(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態によるリフォーム用の雨戸パネルについて添付図面により説明する。
図1乃至
図8は第一実施形態による建具1の雨戸パネル8の高さ(長さ)調整機構を示すものである。
図1に示す既存の建具1の縦断面図において、上枠2及び下枠3と左右の縦枠(図示せず)とで形成される四角形枠状の既存の枠体4内に室内側から室外側に向けて内障子5と外障子6が設置されている。外障子6の更に外側には網戸を介して雨戸パネル8が設置され、雨戸パネル8は図示しない戸袋に収納可能である。雨戸パネル8はリフォームしたものである。
既存の枠体4は上枠2の内面に雨戸パネル8を摺動可能に受け入れる溝部2aが形成され、下枠3の溝部3a内にはその長手方向に沿ってレール溝9が設置されている。上枠2と下枠3の間に雨戸パネル8が摺動可能に設置されている。
【0014】
既存の建具1は、枠体4が経時的に変形したり部分的にまたは全体的に摩耗していることがあり、枠体4の寸法は施工時のものと相違していることが多い。或いは、新たな雨戸パネル8は既存の枠体4と寸法違いが生じている場合がある。そのため、雨戸パネル8の高さ方向の寸法を調整する必要が生じる場合がある。そのため、本実施形態による雨戸パネル8には高さ調整機構と厚み調整機構を追加している。
【0015】
図2は雨戸パネル8を示すものであり、上框13及び下框14と左右の縦框15(
図4、
図5参照)で形成された略四角形状の框体16内に本体部17として例えば波状の鋼板からなる面材11が配設されている。上框13は左右の縦框15に当接する位置まで水平方向に延びている。本体部17の室外側の面に面材11が取り付けられているが、図では一部を除いて省略している。
【0016】
図3に示す雨戸パネル8の上部の拡大図において、雨戸パネル8の上框13はその下部が本体部17に連結された断面略コの字状の連結部19を形成し、連結部19の上部は端部開口20aを備えた断面略コの字状の嵌合部20を形成している。この嵌合部20には端部開口20aを通して調整桟21が嵌入されて上下方向に進退可能とされている。調整桟21は上框13と水平方向に略同一長さに形成されている。
【0017】
上框13の断面略コの字状の嵌合部20は室内側壁面20bと室外側壁面20cとを対向して配設している。室内側壁面20bと室外側壁面20cの各上端部は室内側に曲がった突出部20ba、20caを有している。室内側壁面20bに上下方向に所定間隔(例えば5mm間隔)で複数(例えば4本)のリブ22が係合部として形成されている。複数のリブ22は例えば水平線状の突起部が平行に形成されているが、リブ22はドット状等でもよい。
室内側壁面20bに対向する室外側壁面20cには例えば略L字状の固定係止部23が下向きに形成されている。固定係止部23は適宜高さ、例えば最も高さの高いリブ22よりも1段下側のリブ22に対向する位置に設置されている。
【0018】
調整桟21は、室内側片部26及び室外側片部27とこれら両片部26、27を連結する連結板28とで略断面H形に形成されている。しかも、調整桟21の室内側片部26及び室外側片部27は上半部が上框13の嵌合部20と略同一厚みに設定されて上端に開口し、途中の屈曲部26a、27aで内側に屈曲されて上半部より小幅になる下半部が嵌合部20内に嵌合されている。調整桟21は上框13の嵌合部20の端部開口からスライドして挿入される。
図3(a)に示す構成では、屈曲部26a、27aは嵌合部20の突出部20ba、20caに着座しており、室内側片部26の下部には室内側壁面20bのリブ22に係合可能なように屈曲する係止部26bと雌ねじが形成されたバーリング孔26cが一体形成されている。なお、
図3ではバーリング孔26cの一部に係止部26bが形成されているが、両者は別個に形成されていてもよい。
【0019】
また、嵌合部20の室内側壁面20bにはリブ22の設置範囲に亘って上下方向に固定ねじ29を挿通可能な長孔30が形成されている(
図4、
図5参照)。そのため、調整桟21を上下方向に位置調整した状態で固定ねじ29を長孔30を通してバーリング孔26cに螺合して固定可能とされている。室外側片部27の下端部には室外側に向けて断面略L字状のストッパー部31が形成され、ストッパー部31は嵌合部20に形成された固定係止部23に係合可能とされている。
図3(b)に示すように、調整桟21のストッパー部31が嵌合部20の固定係止部23に係合した状態で、室内側片部26に形成されたバーリング孔26cの係止部26bは最上部のリブ22とその下側のリブ22の間に係合された状態になり、これが調整桟21を嵌合部20内で最も上側に上昇した上限位置である。なお、
図3(a)は調整桟21を嵌合部20内で最も下側に降下した下限位置であり、バーリング孔26cの係止部26bが最下端のリブ22の下側に係止する位置にある。
【0020】
また、調整桟21は室外側片部27の下端部に設けたストッパー部31が嵌合部20の室外側壁面20cに当接して進退方向に摺動可能であり、これによって室内側片部26の下端部に設けたバーリング孔26cの係止部26bが弾性によってリブ22に押圧されている。そのため、調整桟21は上框13の嵌合部20内で進退して係止部26bが任意の位置でリブ22に係止可能である。
なお、バーリング孔26cに締め込む固定ねじ29がバカになったとしても、バーリング孔26cを形成する係止部26bの上下いずれかのリブ22によって機械的に調整桟21を係止できる。
【0021】
図4及び
図5に示す雨戸パネル8において、上框13に嵌合された調整桟21の両端部には、縦框15の上端部との角部に端部キャップ33がそれぞれ設けられている。各端部キャップ33は例えば樹脂製であり、その内側端部に形成された側面視略三角形状の突起部34が調整桟21の端部開口に嵌合され、突起部34と調整桟21はねじで固定されている。端部キャップ33には上下方向に形成された中空部を通して略棒状の補強鉄芯35が補強部材として挿入されている。
縦框15内には例えば中空形状の補強用の鉄芯37が補強芯材として予め挿入されており、補強鉄芯35は鉄芯37内にも挿入されてオーバーラップしている。縦框15の上端部と鉄芯37と補強鉄芯35と上框13は締め込みねじで共締めされている。一方で、補強鉄心35と端部キャップ33とは互いに固定されておらず、調整桟21の上下方向の位置調整に合わせて端部キャップ33は補強鉄心35に対して上下方向に摺動可能とされている。なお、調整桟21は上部調整機構を構成する。また、端部キャップ33及び補強鉄芯35は第一補強機構を構成する。
【0022】
図6は雨戸パネル8の下框14を示す断面図であり、下框14は断面略コの字状の下端部を有している。下框14にはその長手方向に所定間隔で複数の戸車ユニット39が設置されている。
図7及び
図8に示すように、戸車ユニット39は下框14の下端部に挿入された断面略コの字状の戸車フレーム40と、戸車フレーム40の対向する両側面40a間で軸部41に支持された戸車42とを備えている。
戸車フレーム40の上面40bには孔部を通して進退可能な調整ねじ44が挿入され、上面40bの裏面に設けたナット部46に螺合されている。調整ねじ44は逆ねじであり、ねじ頭部44aの下側にねじ頭部44aと一体形成されたワッシャ45が設けられている。ワッシャ45の上面において、下框14の受け面14aにはねじ頭部44aより大きくワッシャ45より小さい穴14bが形成されている。
【0023】
そのため、
図7に示す調整ねじ44を下端まで締め込んだ状態ではワッシャ45が下框14の受け面14aに当接した押し込み位置にある。
図8に示すように、調整ねじ44を更に締め込んで頭部44a及びワッシャ45を戸車ユニット39から離間する位置まで上方に引き上げると、下框14の受け面14aがワッシャ45を介して上方に持ち上げられる。そのため、雨戸パネル8を戸車ユニット39に対して上方に移動させて高さを延ばす高さ調整をすることができる。
この調整ねじ44及びワッシャ45は下部調整機構を構成する。
なお、既存の枠体4に対してリフォーム用の雨戸パネル8の厚みが小さくがたつく場合には厚み調整機構として、調整桟21の切欠き38に振れ止め用の厚み調整部品36を取り付け固定し、上枠2の溝部と調整桟21との見込み幅を厚み調整部品36で調整する。さらに、戸車ユニット39を覆う下框14に厚み調整部品36を取り付け固定して、下枠3の溝部と下框14との見込み幅を厚み調整部品36で調整してもよい。また、上枠2や下枠3の溝部に切欠きを設け、厚み調整部品36を設置してもよい。これによって雨戸パネル8のガタツキを防止できる。
【0024】
本第一実施形態による建具1の雨戸パネル8は上述した構成を備えており、次にリフォームに際して枠体4に対して雨戸パネル8の組み立て方法について説明する。
既存の建具1の枠体4に対して既設の雨戸を外して新たな雨戸パネル8を取り付ける。リフォーム用の雨戸パネル8の本体部17に例えば波状の鋼板である面材11を嵌め込むと共に左右の縦框15内に鉄芯37を挿入する。
次に、
図4に示す上框13の嵌合部20に調整桟21の下半部を端部開口からスライドさせて嵌合させる。調整桟21の両端開口に端部キャップ33の突起部34を挿入してねじで調整桟21に固定する。そして、端部キャップ33の中空部に下方から補強鉄芯35を挿入して係止させ、補強鉄芯35の下部を下方に突出させる。次いで、
図5に示すように、補強鉄芯35が縦框15の鉄芯37内に挿入されるように上框13の連結部19を本体部17の上部に取り付ける。
また、雨戸パネル8の本体部17の下部に戸車ユニット39を装着した下框14を取り付ける。最後に上部では縦框15と鉄芯37と補強鉄芯35と上框13を締め込みねじで共締めする。雨戸パネル8の下部では縦框15と下框14と鉄芯37をねじで共締めすることで雨戸パネル8の組み立てが完了する。
【0025】
雨戸パネル8は高さ調整をした後で既設の枠体4の上枠2と下枠3の間に嵌め込むか、或いは枠体4に取り付け後に高さ調整する。
取り付け後に高さ調整する場合、雨戸パネル8の上下方向の基準長さとして最も短い長さに設定しておく。即ち、下框14では調整ねじ44の頭部44aを締め込んで
図6及び
図7に示すようにワッシャ45を戸車フレーム40の上面に当接させる。上框13では、
図3(a)に示すように、調整桟21の屈曲部26a、27aを上框13の嵌合部20の上端の突出部20ba,20caに着座させておく。
なお、上枠2や下枠3が傾いている場合には上枠2及び下枠3間の距離が最も短い位置を基準にして雨戸パネル8の上下方向の長さを調整する。下部の戸車42の調整には調整ねじ44の上下方向の締め込み量を調整し、上部の調整桟21の調整には上框13の嵌合部20に対する調整桟21の上下方向の進退量を調整することで行う。
【0026】
例えば、雨戸パネル8を7mm伸長させることで枠体4に取り付け可能である場合には、下框14の受け面14aの孔に嵌合させた調整ねじ44を締め込んで2mm上方に引き出す。これによって、戸車ユニット39に対して下框14が調整ねじ44のワッシャ45に押し上げられて2mm上昇する。雨戸パネル8の下部を2mm広げることができる。
【0027】
一方、
図3(a)において、上框13に設けた調整桟21を固定する固定ねじ29を緩めて調整桟21を嵌合部20の長孔30に沿って上方に持ち上げ、リブ22の1つ分上方に移動させる。その際、室内側片部26のバーリング孔26cの係止部26bが1つのリブ22を乗り越えることで「カチッ」と音がするため、操作者がリブ22の1つ分である5mmの上昇を認識できる。しかも、調整桟21の室内側片部26の係止部26bと室外側片部27のストッパー部31は嵌合部20の室内側壁面20bと室外側壁面20cに当接しながら上下動するため、調整桟21は傾斜することなく直線的に昇降する。
また、調整桟21と一体に固定ねじ29が長孔30に沿って上昇するため、固定ねじ29を再度バーリング孔26cに捩じ込み固定することで調整桟21を調整済みの位置に固定できる。これによって、雨戸パネル8は上下方向に7mm長さを調整できる。
【0028】
なお、調整桟21の上下方向長さを最大限広げるためには、
図3(b)に示すように、調整桟21の室内側片部26に設けた係止部26bを最も高い位置のリブ22とその下のリブ22の間に移動させればよい。その時に、室外側片部27の下端部に設けたストッパー部31が上昇して嵌合部20の固定係止部23に係止させられる。これにより、調整桟21は上框13に対して20mm高さを延ばすことができ、しかも調整桟21の外れを防止できる。嵌合部20におけるリブ22の間隔や配列数を変更することで調整可能な長さを適宜変更できる。
雨戸パネル8の下部においては、下框14の受け面14aと戸車ユニット39との間に螺合させた調整ねじ44の軸部の長さによって上下方向の引き伸ばし長さが決定される。
【0029】
次に既設の枠体4にリフォームのために取り付けられた雨戸パネル8の作用について説明する。
図1において、枠体4に装着されたリフォーム用の雨戸パネル8は下枠3の溝部内に載置され、上端の調整桟21が上枠2の溝部内で上下方向に隙間を有して係止されている。そして、雨戸パネル8に対して台風等で強風が吹き付けると雨戸パネル8は室内側に湾曲変位し、その後の吹き戻しの風によって室外側が負圧になる。一般に、雨戸パネル8の耐荷重は室内側から室外側へ働く荷重に耐え得る力によって評価されている。
すると、
図9に破線で示すように、雨戸パネル8は上下方向の中央が室外側に湾曲して変位するため、雨戸パネル8の下框14が下枠3の溝部に当接し、調整桟21が上枠2の溝部に当接する。なお、この際、上枠2と上框13とが当接しても良い。
【0030】
そのため、上框13に係止させられている調整桟21、そして調整桟21及び上框13の連結部に大きな負荷がかかる。特に
図3(b)に示すように、上框13に対する調整桟21の引き伸ばし量が最大で、上端とその下側のリブ22に係止部26bが係止すると共にストッパー部31が固定係止部23に係止している場合に荷重がかかる。
ストッパー部31と係止部26bが係止できない位置にある場合でも、調整桟21の両端部に突起部34で係止する端部キャップ33と縦框15内の鉄芯37にねじ固定された補強鉄芯35とがオーバーラップして設置されているため耐荷重を補強できる。そのため、端部キャップ33及び調整桟21が上枠2の溝部に当接して湾曲する際に端部キャップ33と補強キャップ33に連結された調整桟21の湾曲が補強鉄芯35によって抑制され、調整桟21が上框13や上枠2から外れたり折損したりすることを阻止できる。
【0031】
上述のように本実施形態による建具1の雨戸パネル8によれば、上框13に設けた調整桟21は、上框13の嵌合部20の室内側壁面20bに所定間隔で上下方向に設けた複数のリブ22を係止部26bが乗り越えることで高さ方向の調整長さを認識できる。しかも、その長さを係止部26bがリブ22を乗り越える際の「カチッ」という音で把握できる。
また、リフォーム用の雨戸パネル8を既設の枠体4に取り付けた状態で、室外側に吹き返しの負圧が生じて室外側に湾曲した場合でも、調整桟21の両端に固定した端部キャップ33と縦框15内の鉄芯37との間に補強鉄芯35をオーバーラップさせたため調整桟21を補強でき、調整桟21の外れや変形や折れ等を防止できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態による建具1の雨戸パネル8について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0033】
例えば、上述した実施形態による雨戸パネル8の構成に代えて、上框13と調整桟21との関係でリブ22を室内側片部26に係止部26bを室内側壁面20bに配置してもよい。また、リブ22及び係止部26bの配置を室外側に設け、固定係止部23及びストッパー部31の配置を室内側に配置してもよい。
また、固定係止部23とストッパー部31は設けなくてもよいが、ストッパー部31を室外側壁面20cに当接させながら摺動させることで係止部26bをリブ22に押し付けて当接させることができて係止部26bとリブ22の係脱がより確実で好ましい。
【0034】
また、上述の実施形態において、上部補強機構で補強鉄芯35を端部キャップ33に固定してもよい。この場合、変形する雨戸パネル8において、調整桟21及び端部キャップ33と共に補強鉄芯35が縦框15及び鉄芯37に対してオーバーラップした状態で摺動可能となる。なお、端部キャップ33は突起部34を介して調整桟21に連結して調整桟21を補強することができる。そのため、端部キャップ33に補強鉄芯35は必ずしも設けなくても補強できる。
また、上述した実施形態において、縦框15内に補強用の鉄芯37を設けた例について説明したが、鉄芯37は必ずしも設けなくてもよい。
【0035】
次に本発明の第二実施形態によるリフォーム用の雨戸パネル8Aについて
図10〜
図14により説明する。
図10は雨戸パネル8Aの縦断面図であり、下框14に設けた戸車ユニット39と上框13に設けた調整桟21は上述した第一実施形態による雨戸パネル8と同一構成を備えている。第二実施形態における雨戸パネル8Aは、本体部17において筐体の内部に断熱材48として例えば硬質ウレタン等を充填させた断熱性の雨戸パネルである。雨戸パネル8Aは上述した調整桟21及び上框13の第一調整機構を有している。
【0036】
次に、本第二実施形態による雨戸パネル8Aにおける調整桟21の補強構造について
図11〜
図14に基づいてその製造工程に沿って説明する。
本第二実施形態において、調整桟21は上框13の嵌合部20の端部開口に調整桟21の下半部を端部から水平方向にスライドして嵌入させる。この状態で、
図10乃至
図12に示すように、調整桟21の連結板28と上框13の連結部19及び嵌合部20の間の第一接続部19aとに貫通孔がそれぞれ形成され、その内部に例えばアルミパイプ製の補強管49が第2補強部材として挿入されている。
補強管49の下端部は第一接続部19aの下側に形成した第二接続部19bに着座している。第二接続部19bには後述する固定ねじ50を嵌挿させる小孔が形成されている。しかも、これらの貫通孔及び補強管49の構成は調整桟21と上框13の長手方向に所定間隔で複数(
図11では4個)設けられている。
【0037】
上框13の連結部19の下部には本体部17の上端開口を形成する凹溝状の上端受け部17aが嵌合している。上端受け部17aの下面には下向きの凹溝が形成され、本体部17の断熱材48が嵌合されている。上端受け部17aの底部には下方に向けてバーリング孔17bが形成され、その内部に雌ねじが切られている。
補強管49には軸部の長い固定ねじ50が上部から挿通され、その雄ねじ部が第二接続部19bの小孔を貫通して上端受け部17aのバーリング孔17bの雌ねじ部に捩じ込まれて固定されている。固定ねじ50の軸部の先端はバーリング孔17bを通って本体部17内の断熱材48に挿入されている。そのため、
図12に示すように、補強管49は固定ねじ50の頭部50aと連結部19の第二接続部19bとの間に固定保持され、上框13と調整桟21との接続を補強する第一補強機構を構成している。
また、補強管49は上框13の上面を貫通して、上框13の底面である第二接続部19bもしくは連結部19の上端受け面17aに載置または接触していることが好ましい。上框13を補強管49が貫通しているので、補強管49で上框13を補強でき、上框13の湾曲に対する抵抗力を増すことができる。しかも、施工時に補強管49が上框13の上面と調整桟21とで位置決めされるので固定ネジ50を取り付けやすい。
【0038】
図11に示す雨戸パネル8Aの上部コーナー部である上框13及び調整桟21の両端部において、有底筒状の第一コーナーキャップ53を縦框15の上面に設置して、その内空部に有底筒状の補強鉄芯54を挿入させた状態で固定ねじ55によって第一コーナーキャップ53と補強鉄芯54の各底部が連結部19の上端部に固定されている。補強鉄芯54は第1補強部材である。
図13及び
図14において、第一コーナーキャップ53の上面から上方に突出する補強鉄芯54に有蓋筒状の凹部をなす第二コーナーキャップ56を嵌合させ、その側部に形成した突起部57を調整桟21の端部開口に嵌入させて固定ねじ58で調整桟21に固定している。これによって調整桟21の両端の第二補強機構を構成している。
【0039】
そのため、雨戸パネル8Aが室外側や室内側に湾曲した場合でも、第一補強構造の補強管49と第二補強構造の補強鉄芯54によって調整桟21と第一コーナーキャップ53及び第二コーナーキャップ56を補強し、これらの湾曲を抑制して外れや折損等を防止できる。
なお、第二補強構造において、補強鉄芯54を第二コーナーキャップ56にねじ等で固定して、第一コーナーキャップ53とオーバーラップさせて摺動可能としてもよい。その際、補強鉄芯54は第一コーナーキャップ53を貫通して縦框15内に進入していてもよい。本実施形態においても、第一実施形態と同様に、厚み調整機構として調整桟21に切欠き38を設け、振れ止め用の厚み調整部品36を取り付け固定してもよい。下框にも同様に厚み調整部品36を取り付けてもよい。
【0040】
本第二実施形態による建具1の雨戸パネル8Aは上述した構成を備えているから、リフォーム時に第一実施形態と同様にリフォーム用の雨戸パネル8Aを枠体4に取り付ける。その際、上枠2や下枠3等の変形や摩耗や寸法違い等に応じて上框13の嵌合部20に嵌入された調整桟21を進退して雨戸パネル8Aの高さ調整を行える。その際、調整桟21の係止部26bが嵌合部20の室内側壁面20bに設けた複数のリブ22の少なくとも1つを乗り越えて高さ調整してカチッという音で調整寸法を計測できる。そして、係止部26bが上下のリブ22の間に係止した状態で固定ねじ29で締め込み固定できる。
なお、補強管49と固定ねじ50の取り付けは調整桟21の高さ調整後に行うことが好ましいが、取付後に高さ調整してもよい。
【0041】
また、
図9に示す場合のように、雨戸パネル8Aの室外側に吹き戻しの風による負圧が生じた場合、雨戸パネル8Aが室外側に湾曲することがある。この場合、上枠2の溝部に対して調整桟21が外側に湾曲して当接し負荷がかかったとしても、調整桟21と上框13との接続部に水平方向に所定間隔で補強管49を配設して本体部17の上端受け部17aに固定ねじ50で固定したため補強でき、耐曲げ荷重が大きく調整桟21の湾曲変形を抑制して上框13や上枠2からの外れや破損を防止できる。
また、調整桟21の両端においても、縦框15の上端に固定した第一コーナーキャップ53及び補強鉄芯54に対して調整桟21に固定した第二コーナーキャップ56が進退可能に挿入されている。そのため、雨戸パネル8Aの湾曲で調整桟21に曲げ荷重が働いても補強鉄芯54に対して第二コーナーキャップ56がオーバーラップして補強でき、第二コーナーキャップ56や調整桟21の外れや破損等を防止できる。
【0042】
なお、上述した第一実施形態において、上框13の上部に補強鉄芯35を設け、第二実施形態において、上框13及び調整桟21の間に補強管49及び固定ねじ50を設け、上框13の上部に補強鉄芯54を設けたが、これらの補強鉄芯35、54や補強管49は設置しなくてもよい。この場合でも、調整桟21によって雨戸パネル8,8Aの高さ調整を行える。しかも端部キャップ33、第一コーナーキャップ53、第二コーナーキャップ56等のキャップで調整桟21の補強ができる。
また、雨戸パネル8,8Aの高さ調整に際し、上框13に設けた調整桟21と下框14に設けた調整ねじ44及びワッシャ45によって上下で寸法調整するようにしたが、下框14の調整ねじ44及びワッシャ45は設けなくてもよい。調整桟21だけで高さ調整することができる。
【0043】
なお、上框13と下框14は横框に含まれる。
上述した各実施形態ではリフォームに用いる建具1の高さ調整可能な雨戸パネル8,8Aについて説明したが、本発明はリフォーム用に限定されるものではなく、新設用やその他の雨戸パネル8,8A等にも適用できる。
また、上述した各実施形態では雨戸パネル8,8Aにおける高さ調整可能な調整桟21について説明したが、本発明は雨戸パネル8,8Aに限定されることなく、障子やFIX窓等、各種の建具に適用できる。