(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光硬化性樹脂を含浸させた繊維が巻回されたライナーを回転させながら、前記光硬化性樹脂に光を照射することにより前記光硬化性樹脂を硬化させる樹脂成形品の製造装置であって、
前記ライナーの外面に対向して配置されて、前記光硬化性樹脂を含浸させた繊維が巻回されたライナーに対して第1の方向から光を照射する第1照射ユニットと、
前記ライナーの回転軸に対して平行な方向において前記第1照射ユニットとは異なる位置に、前記ライナーの外面に対向して配置されて、前記光硬化性樹脂を含浸させた繊維が巻回されたライナーに対して前記第1の方向とは前記ライナーの回転軸に対する角度が異なる第2の方向から光を照射する第2照射ユニットと、
を備え、
前記第2照射ユニットは、面状に光を照射する面光源であり、
前記面光源は、複数の光源が配置されることにより構成されると共に、前記ライナーの回転軸及び前記第2の方向に対して垂直な軸回りに回転可能である樹脂成形品の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、本発明を適用して製造される樹脂成形品の一例として、
図1に示す容器V、並びに、本発明を適用した樹脂成形品の製造装置の一例として、
図2に示す光硬化性樹脂を用いたフィラメントワインディング成形のためのフィラメントワインディング成形装置(以下、FW成形装置という。)1について説明する。
【0017】
ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態の構成に限らない。また、以下の説明において、「回転軸」とは、特に断りがなければ、FW成形装置1に取り付けられたライナーL又は容器Vの回転軸を指すものとする。また、「軸方向」とは回転軸に対して平行な方向を指すものとする。
【0018】
<1.樹脂成形品>
先ず、
図1に示す容器Vの構成について具体的に説明する。なお、
図1は、本発明の一実施形態にかかる樹脂成形品の一例としての容器Vの断面図である。
本実施形態の容器Vは、
図1に示すように、ライナーLと、インサート部材Mと、複合材料層Cとを備える。
【0019】
ライナーLは、回転面を持つ外面を有し、容器Vの内壁を構成する。ライナーLは、軸方向に延びる円筒状の胴部L1と、胴部L1の両端を閉じる鏡部L2、L3(上面L2、下面L3)と、一方の鏡部L2の中心にネック部L4と、他方の鏡部L3の中心に底部L5とを有する。
【0020】
本実施形態において、ライナーLは、例えば熱可塑性樹脂をブロー成形、あるいは射出成形すること等により製造される。ライナーLの材質としては、容器Vの用途を考慮した上で、後述する
図4に示す光照射装置50の各照射ユニット51、52、53が備える複数の光源511、521、531が発光する光を透過するものがよく、例えば、高密度ポリエチレン等が挙げられる。
【0021】
ネック部L4は、鏡部L2から容器Vの外側に向かって軸方向に延びる円筒部L41を有する。また、ネック部L4は、円筒部L41の容器V外側の一端から回転軸に向かって形成された端壁L42と、円筒部L41の容器V外側の一端から円筒部L41の外側に向かって形成されたフランジL43とを有する。端壁L42には、回転軸を中心とした円形の貫通穴L44が形成されている。
【0022】
底部L5は、鏡部L3から容器Vの外側に向かって軸方向に延びる首部L51と、首部L51の容器V外側の一端から、回転軸から離れる方向に向かって形成されたフランジL52と、フランジL52から容器Vの外側に向かって軸方向に延びる円筒部L53とを有する。
【0023】
底部L5には、円筒部L53の容器Vの外側の端面から容器Vの内側に向かって軸方向に挿入穴L54が形成されている。容器Vの製造工程において、挿入穴L54には、後述する
図3に示す回転装置40が備える補助軸42が挿入される。
【0024】
挿入穴L54の深さについては、ライナーLを貫通せず、挿入穴L54の底とライナーLの内面との距離を、鏡部L3におけるライナーLの厚さ以上とすることが好ましい。また、挿入穴L54の深さについては、フランジL52の厚さと円筒部L53の長さの合計以下とすることがより好ましい。これにより、底部L5に応力が集中した場合に、底部L5が破損することを避けることができる。
【0025】
インサート部材Mは、ライナーLのネック部L4の内側に、円筒部L41の内面及び端壁L42の内面に当接した状態で配置される。本実施形態においては、インサート部材MがライナーLと一体成形されている。例えば、ライナーLをブロー成形する際に、型内の所定の位置にインサート部材Mを固定しておくことで、インサート部材MをライナーLと一体成形することができる。インサート部材Mの材質については、金属が好ましく、特にアルミニウム合金が好ましい。
【0026】
インサート部材Mには、回転軸を中心とした貫通穴M1が形成されている。貫通穴M1の直径は、端壁L42の貫通穴L44の直径よりも小さい。貫通穴M1の内周面には、貫通穴M1の全長、あるいは容器V外側の一部にわたって、めねじ部M11が形成されている。めねじ部M11には、製造工程において、後述する
図3に示す回転装置40が備える駆動軸41のおねじ部411が螺合する。また、めねじ部M11には、容器Vの使用時に、例えば、レギュレータ等に設けられたおねじが螺合する。
【0027】
複合材料層Cは、胴部L1、鏡部L2、L3の全体、及びネック部L4、底部L5の一部において、ライナーLの外側に形成されている。複合材料層Cは、第1フープ層C1と、ヘリカル層C2と、第2フープ層C3とを有する。複合材料層Cは、樹脂硬化物Pをマトリックスとし、マトリックス中に繊維Fを含むFRPからなる。樹脂硬化物Pは、後述する光硬化性樹脂P1を硬化させることに生成される。繊維Fとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。その中でも、後述する光照射装置50で照射される光を透過しやすいガラス繊維を用いることが好ましい。
【0028】
第1フープ層C1は、胴部L1の外側に形成されている。第1フープ層C1において、繊維Fは、回転軸と略直角となる角度で、いわゆるフープ巻きで巻回されている。なお、第1フープ層C1において、繊維Fは、1層で巻回されていてもよく、2層以上を形成するように巻回されていてもよい。
【0029】
ここで、繊維Fの巻回方向を回転軸と略直角としたのは、厳密に回転軸に対して直角とした場合、繊維Fが胴部L1を1周したときに、繊維Fの始点と重なり、繊維Fが軸方向へは進まないためである。そのため、本実施形態においては、胴部L1を1周した繊維Fが1周前の繊維Fに対して、少なくとも繊維Fの直径以上、軸方向に進んでいる。また、繊維Fが、軸方向に並ぶN本の繊維である場合、胴部L1を1周した繊維Fが1周前の繊維Fに対して、少なくとも繊維Fの直径のN倍以上、軸方向に進むことが好ましい。
【0030】
第1フープ層C1により、容器V内部の圧力等により胴部L1に外側に向かって大きな力が作用した場合に、胴部L1の変形を抑制することができる。この構成は、本実施形態のような円筒状の容器で特に有効である。
【0031】
ヘリカル層C2は、胴部L1において、第1フープ層C1の外側に形成されている。また、ヘリカル層C2は、鏡部L2、L3の全体、及びネック部L4、底部L5の一部において、ライナーLの外側に形成されている。
【0032】
ヘリカル層C2において、繊維Fは、回転軸の方向とフープ巻きの方向との間の角度で、いわゆるヘリカル巻きで巻回されている。ヘリカル層C2では、複数の層をなすように繊維Fが巻回される。また、隣り合う層の一方の層における繊維Fの巻回方向が右ねじの方向である場合、他方の層における繊維Fの巻回方向は、左ねじの方向であることが好ましい。
【0033】
ヘリカル層C2により、鏡部L2、L3、ネック部L4、及び底部L5に作用する応力に対してライナーLの変形を抑制することができる。また、ヘリカル層C2の繊維Fが、外側から第1フープ層C1を絞めつけることで、第1フープ層C1の繊維Fが軸方向に動くことが抑制され、第1フープ層C1が補強される。
【0034】
第2フープ層C3は、胴部L1において、ヘリカル層C2の外側に形成される。第2フープ層C3において、繊維Fは、第1フープ層C1と同様にフープ巻きで胴部L1の周りに巻回されている。なお、第2フープ層C3において、繊維Fは1層で巻回されていてもよく、2層以上を形成するように巻回されていてもよい。
【0035】
第2フープ層C3を設ける理由及び効果については、第1フープ層C1で述べたことの他、第2フープ層C3の繊維Fが、外側からヘリカル層C2を絞めつけることで、ヘリカル層C2の繊維Fがより強固に固定され、ヘリカル層C2が補強されるといった効果が挙げられる。
【0036】
<2.樹脂成形品の製造装置>
次に、
図2に示すFW成形装置1の構成について具体的に説明する。なお、
図2は、本発明の一実施形態にかかる樹脂成形品の製造装置の一例としてのFW成形装置1を示す斜視図である。
【0037】
FW成形装置1は、
図2に示すように、ライナーLを回転させながら、光硬化性樹脂P1を含浸させた繊維FをライナーL上に巻回し、ライナーL上の光硬化性樹脂P1に光を照射することにより光硬化性樹脂P1を硬化させ、複合材料層Cを形成する樹脂成形品の製造装置である。具体的に、このFW成形装置1は、繊維供給部10と、樹脂供給部20と、繊維ガイド部30と、回転装置40と、光照射装置50とを備える。
【0038】
繊維供給部10は、円筒状に巻かれた繊維Fを有するロービング11と、繊維Fを搬送する供給ローラ12とを備える。繊維供給部10では、ロービング11から繊維Fの一端が引き出され、繊維Fを供給ローラ12に当接させ、供給ローラ12を回転させることにより、樹脂供給部20へ繊維Fが供給される。
【0039】
本実施形態において、ロービング11は、複数設置された構成であり、それぞれのロービング11から繊維Fが引き出される。なお、用途によっては、繊維供給部10は、予め織られた布状の繊維等を供給するものであってもよい。また、本実施形態では、1つの供給ローラ12が設けられた構成となっているが、必要に応じて複数の供給ローラ12を設けてもよい。
【0040】
樹脂供給部20は、樹脂槽21と、搬送ローラ22及び搬送ローラ23とを備える。樹脂槽21には、液体の光硬化性樹脂P1が貯められている。光硬化性樹脂P1は、樹脂硬化物P、すなわち複合材料層Cのマトリックスの原料となる。光硬化性樹脂P1は、例えば、可視光硬化性樹脂であるリポキシLC−720、LC−760等が挙げられるが、これに限らない。
【0041】
搬送ローラ22は、樹脂槽21内に設けられている。この搬送ローラ22の下側に繊維Fを当接させることで、繊維Fが樹脂槽21内に導かれ、繊維Fに光硬化性樹脂P1を含浸させることができる。
【0042】
搬送ローラ23は、樹脂槽21と繊維ガイド部30との間に設けられている。この搬送ローラ23に繊維Fが当接した状態で搬送ローラ23が回転することで、光硬化性樹脂P1を含浸させた繊維Fが繊維ガイド部30へと送られる。
【0043】
繊維ガイド部30は、レール31と、繊維ガイド32とを備える。レール31は、ライナーLの軸方向に延びる一対の棒状部材である。繊維ガイド32は、樹脂供給部20から送られてきた繊維Fを、この繊維ガイド32の内部で束ねて、回転装置40に固定されて回転するライナーLに送る。
【0044】
繊維ガイド32は、レール31に取り付けられ、レール31上を軸方向に往復移動可能である。繊維ガイド32の動作機構としては、例えば、レール31の片方にラックを設け、繊維ガイド32内にピニオンが取り付けられた電動モータを設け、ラックとピニオンとを噛み合わせる構造(ラック・アンド・ピニオン)等が挙げられる。なお、ここで述べた繊維ガイド部30の構成は一例であり、例えば、繊維ガイド部30に樹脂槽を搭載してもよく、さらに、ロービングを搭載してもよい。
【0045】
この構成により、繊維ガイド部30では、繊維ガイド32の移動速度を制御することで、繊維Fの巻回構造をコントロールすることができる。また、繊維ガイド32の移動範囲を制御することで、繊維Fを巻回する範囲を調整することができる。
【0046】
繊維ガイド32の移動制御は、例えば、コンピュータ(図示せず。)により制御される。例えば、
図1に示すような容器Vを製造する場合、以下のように繊維ガイド部の動作が制御される。
【0047】
まず、繊維ガイド32を、胴部L1の範囲で遅い速度(例えば、ライナーLが1回転する間に、(繊維Fの直径+繊維F間の光硬化性樹脂P1の厚み)×(供給される繊維Fの本数)だけ進む速度)で往復させることで、第1フープ層C1が形成される。次に、繊維ガイド32を、胴部L1及び鏡部L2、L3をカバーする範囲で速い速度(例えば、第1フープ層C1の形成時よりも速い速度)で往復させることで、ヘリカル層C2が形成される。その後、繊維ガイド32を、胴部L1の範囲で遅い速度(例えば、第1フープ層C1の形成時と同じ速度)で往復させることで、第2フープ層C3が形成される。なお、各層の厚さは、繊維ガイド部30の往復回数でコントロールすることができる。
【0048】
<3.回転装置>
次に、FW成形装置1が備える回転装置40の構成について
図3を参照しながら説明する。なお、
図3は、本発明の一実施形態にかかるフィラメントワインディング成形装置1が備える回転装置40を示す正面図である。
【0049】
回転装置40は、
図3に示すように、ライナーLを回転させるものであり、駆動軸41と、補助軸42と、補助支持部43と、本体部44とを備える。駆動軸41は、回転軸上にある棒状の部材であり、本体部44を貫通する。駆動軸41は、ライナーL側の一端におねじ部411と、本体部44内となる部分にギア412とを備える。
【0050】
おねじ部411は、ネック部L4内のインサート部材Mの貫通穴L44のめねじ部M11に螺合する。これにより、ライナーLは、駆動軸41に固定され、駆動軸41と共に回転する。
【0051】
本実施形態においては、駆動軸41側からライナーLを見た場合、繊維ガイド部30から送られてきた繊維FがライナーLの左上からライナーL上に達する。また、ライナーLが右方向に回転することで、繊維FがライナーLに巻回される。なお、ライナーLを左回転させる場合、繊維FがライナーLの右下から達するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態において、おねじ部411及びめねじ部M11は、右ねじである。すなわち、本実施形態において、ライナーLを回転させる方向と、駆動軸41とライナーLを結合させているねじの方向とは同じである。この構成によれば、ねじの緩みを抑制できる。また、ライナーLは、より確実に駆動軸41に固定される。なお、ライナーLを逆に回転させる場合、おねじ部411及びめねじ部M11は、左ねじ(逆ねじ)にすることが好ましい。
【0053】
補助軸42は、ライナーLの鏡部L3側を回転可能に支持する。補助軸42は、回転軸上にある棒状の部材である。補助軸42の一端は、後述する補助支持部43の軸支部431に挿入されている。また、補助軸42の他端は、ライナーLの底部L5の挿入穴L54に挿入される。
【0054】
補助支持部43は、上下に延びる部材の上側に軸支部431と、下側にピストン432とを備える。軸支部431は、補助軸42を軸支する。軸支部431の代表的な構成は、ボールベアリングであるが、これに限らない。ピストン432は、ライナーLの下方に位置し、軸方向に延びる。
【0055】
本体部44は、駆動装置441と、動力伝達部442と、シリンダ443とを備える。駆動装置441は、動力源であり、例えば、電動モータ、内燃機関、外燃機関等が挙げられる。その中でも、制御のしやすさから電動モータを用いることが好ましい。動力伝達部442は、駆動装置441及び駆動軸41のギア412と噛み合うギアである。本実施形態では、駆動装置441から駆動軸41へ動力を伝達する手段としてギアを用いている。また、動力を伝達する手段としては、これに限らず、例えば、ベルト及びプーリーを用いた手段などを用いることができる。
【0056】
シリンダ443は、ライナーLの下方に位置する。シリンダ443は、本体部44から補助支持部43に向かって延びる軸である。シリンダ443には、ピストン432が挿し込まれる。この構成により、補助支持部43が軸方向(
図3の矢印AL1及びAR1の方向)に往復移動可能に支持される。そのため、先にライナーLのネック部L4が駆動軸41に固定された状態で、補助支持部43をライナーLの方向に移動させる。これにより、補助軸42が底部L5に挿し込まれ、ライナーLが回転装置40に回転可能に固定される。
【0057】
<4.光照射装置>
次に、FW成形装置1が備える光照射装置50の構成について
図4を参照しながら説明する。なお、
図4は、本発明の一実施形態にかかる光照射装置50を示す正面図である。
【0058】
光照射装置50は、ライナーL上にある光硬化性樹脂P1(被照射物)に光を照射するものであり、第1照射ユニット51と、第2照射ユニット52と、第3照射ユニット53と、リテーナ54と、台車55とを備える。
【0059】
なお、以下の説明において、各照射ユニット51、52、53の向き、及び各照射ユニット51、52、53が光を照射する方向(後述する第1の方向D1、第2の方向D2、及び第3の方向D3)とは、各照射ユニット51、52、53が発する光が最も強い方向を指すものとする。
【0060】
第1照射ユニット51は、ライナーLの胴部L1の外面に対向している。第1照射ユニット51は、複数の光源511(光源511の配置については、後述する
図5を参照しながら説明する。)と、カバー512とを備える。本実施形態では、第1照射ユニット51が光を照射する方向(以下、第1の方向という。)D1は、回転軸に向かう向きであり、回転軸に対して垂直な方向である。
【0061】
複数の光源511は、第1の方向D1に向けて光を照射する。各光源511が発する光の波長は、光硬化性樹脂P1が効率よく硬化する領域であることが好ましい。また、各光源511が発する光は、ライナーLを透過することが好ましい。光を直接照射することが難しい部分を有していても、ライナーLを透過した光がその部分に届くためである。
【0062】
例えば、ライナーLが高密度ポリエチレンからなる場合、光源511は、380〜450nmの波長を持つ光を発することが好ましい。光源511としては、LEDを用いることが好ましい。LEDは、発光効率の高い発光素子であるため、省電力で多くの光を照射することができる。また、LEDは、長寿命の発光素子でもある。そのため、光源511の交換によるメンテナンスコストを低減することができる。ただし、条件によっては光源511として、メタルハライドランプ、有機EL、無機EL等を用いてもよい。
【0063】
カバー512は、照射する対象物(被照射物)であるライナーL上の光硬化性樹脂P1と光源511との間で、複数の光源511の配列される面に平行に配置された板状の部材である。カバー512は、複数の光源511を光硬化性樹脂P1の飛沫から保護することができる。そのため、繊維Fの巻回中でも、光硬化性樹脂P1に光を照射することができ、容器Vの生産性が向上する。
【0064】
なお、この場合、カバー512は、光硬化性樹脂P1を硬化させるために必要な波長の光を透過することができる必要がある。カバー512の材質としては、例えば、ガラス、石英、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。さらに、耐溶剤性及び耐食性等に優れたガラス、石英が好ましく、設備のコストを考慮するとガラスが特に好ましい。
【0065】
図5は、一例としての第1照射ユニット51を光の照射方向から見た平面図である。第1照射ユニット51では、
図5に示すように、軸方向を長手方向とした長方形(正方形の場合も含む。特に断りがなければ以下同様である。)の範囲に、複数の光源511が軸方向と平行な行方向と、行方向と直交する列方向とに並んで配置されている。すなわち、第1照射ユニット51では、複数の光源511が長方形の面内における行方向及び列方向に並んで配置されることにより、面状に光を照射する面光源が構成されている。
【0066】
この面光源を構成する複数の光源511の配置については、以下の点について考慮すべきである。すなわち、軸方向(行方向)における光源511の間隔が狭くなるほど、ライナーLに対して照射する光の均一性が高くなる。一方、必要とされる光源511の数が増加し、消費電力及びメンテナンス等のコストが増大する。
【0067】
これに対して、軸方向における光源511の間隔が広くなるほど、必要とされる光源511の数が減少し、消費電力及びメンテナンス等のコストを抑えることができる。一方、ライナーLに対して照射する光の均一性が低下する。また、照射される光の強度が小さい部分は光硬化性樹脂P1の効果に時間を要するため、容器Vの生産性が低下する。
【0068】
ライナーLの回転方向(列方向)において、複数の光源511を設けることにより、ライナーLに照射される光の量が増加する。また、ライナーL上の光硬化性樹脂P1は、1回転する間に、光がより長い時間照射されるため、容器Vの生産性が向上する。
【0069】
なお、
図5に示す複数の光源511の配置は、一例にすぎず、ライナーLの形状等の条件によっては、光源511の間隔を等間隔ではなく、場所により変化させてもよい。また、
図5に示す構成は、複数の光源511の配置の一例であり、形成される面は長方形に限らない。
【0070】
第2照射ユニット52は、
図4に示すように、回転軸に対して平行な方向において、第1照射ユニット51とは異なる位置に配置されている。本実施形態において、第2照射ユニット52は、第1照射ユニット51に対して鏡部L2側に配置されている。
【0071】
第2照射ユニット52は、ライナーLの鏡部L2の外面に対向している。第2照射ユニット52は、複数の光源521(光源521の配置については、後述する
図6を参照しながら説明する。)と、カバー522とを備える。本実施形態では、第2照射ユニット52が光を照射する方向(以下、第2の方向という。)D2は、回転軸に向かう方向、かつ第1照射ユニット51側に向かう方向である。第2の方向D2は、その回転軸に対する角度が第1の方向D1とは異なる。すなわち、第2の方向D2は、回転軸に対して鋭角をなす、あるいは回転軸と平行な方向である。
【0072】
複数の光源521は、第2の方向D2に向けて光を照射する。各光源521には、第1照射ユニット51で用いた光源511と同様のものを用いることができる。カバー522は、照射する対象物(被照射物)であるライナーL上の光硬化性樹脂P1と光源521との間で、複数の光源521の配列される面に平行に配置された板状の部材である。カバー522は、第1照射ユニット51で用いたカバー512と同様の材質のものを用いることができる。
【0073】
第2照射ユニット52の各光源521への電力供給は、第1照射ユニット51の各光源511と独立して行うことが好ましい。これにより、例えば、鏡部L2上には形成されない第1フープ層C1、及び第2フープ層C3の形成工程において、第2照射ユニット52の各光源521への電力供給を行わなければ、光照射装置50が使用する電力を削減できる。
【0074】
図6は、一例としての第2照射ユニット52を光の照射方向から見た平面図である。
第2照射ユニット52では、
図6に示すように、複数の光源521が回転軸に垂直な行方向と、列方向と直交する行方向とに並んで配置されている。すなわち、第2照射ユニット52では、複数の光源521が長方形の面内における行方向及び列方向に並んで配置されることにより、面状に光を照射する面光源が構成されている。
【0075】
この面光源を構成する複数の光源521の行方向における配置及び間隔については、第1照射ユニット51の複数の光源521の行方向における配置及び間隔と同様の理由を考慮すべきである。
【0076】
また、列方向に複数の光源521を設ける利点は、第1照射ユニット51で述べたものの他に、以下の利点も考えられる。すなわち、流動性のある光硬化性樹脂P1は、回転するライナーL上で、回転軸に近い部分ほど厚く形成される傾向にある。そのため、回転軸に近い部分の光硬化性樹脂P1は、硬化するために、より多くの光が照射される必要がある。
【0077】
ここで、本実施形態のように、第2照射ユニット52が面光源を構成している場合、回転軸に近い部分ほど、広角で光が照射される。すなわち、回転軸に近いほど、光が長い時間照射される。このことから、第2照射ユニット52を面光源とした場合、より効率的かつ均一に、鏡部L2上の光硬化性樹脂P1を硬化させることができる。
【0078】
なお、
図6に示す複数の光源521の配置は、一例にすぎず、ライナーLの形状等の条件によっては、光源521の間隔を等間隔ではなく、場所により変化させてもよい。また、
図6に示す構成は、複数の光源521の配置の一例であり、形成される面は長方形に限らない。
【0079】
第3照射ユニット53は、
図4に示すように、回転軸に対して平行な方向において、第1照射ユニット51とは異なる位置に配置されている。本実施形態において、第3照射ユニット53は、第1照射ユニット51に対して鏡部L3側に配置されている。
【0080】
第3照射ユニット53は、ライナーLの鏡部L3の外面に対向している。第3照射ユニット53は、複数の光源531と、カバー532とを備える。本実施形態では、第3照射ユニット53が光を照射する方向(以下、第3の方向という。)D3は、軸方向、すなわち、回転軸と平行な方向である。
【0081】
複数の光源531及びカバー532は、第2照射ユニット52における複数の光源521及びカバー522と同様である。また、第3照射ユニット53を構成する複数の光源531の配置及び間隔については、第2照射ユニット52を構成する複数の光源521の配置及び間隔と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
第3照射ユニット53の各光源531への電力供給は、第1照射ユニット51の各光源511と独立して行うことが好ましい。これにより、例えば、鏡部L3上には形成されない第1フープ層C1、及び第2フープ層C3の形成工程において、第3照射ユニット53の各光源531への電力供給を行わなければ、光照射装置50が使用する電力を削減できる。
【0083】
リテーナ54は、本体部材541と、第1昇降装置542と、第2昇降装置543と、第3昇降装置544と、第2回転装置545とを備える。本体部材541は、各照射ユニット51、52、53の上において軸方向に延びる部材である。第2昇降装置543及び第2回転装置545は、駆動軸41側に取り付けられている。第3昇降装置544は、補助軸42側に取り付けられている。第1昇降装置542は、第2昇降装置543と第3昇降装置544との間に取り付けられている。
【0084】
第1昇降装置542は、第1照射ユニット51を支持し、かつ第1照射ユニット51を上下方向に移動させる装置である。第1昇降装置542の具体的な構成としては、
図4では、動力源として電動モータを用いて、ラックとピニオンにより動力を第1照射ユニット51に伝える等の構成が挙げられるが、一例にすぎず、これに限らない。
【0085】
第1照射ユニット51は、第1昇降装置542により回転軸に近づく方向及び遠ざかる方向に移動することができ、様々な直径を有する容器Vに対して、適切な位置から光を照射することができる。
【0086】
また、第2昇降装置543及び第3昇降装置544は、それぞれ第2照射ユニット52及び第3照射ユニット53を支持し、第2照射ユニット52及び第3照射ユニット53を上下方向に移動させる装置である。第2昇降装置543及び第3昇降装置544については、第1昇降装置542と同様の構成とすることができる。この構成により、直径の大きな容器Vである場合、すなわち、鏡部L2、L3が大きくても、鏡部L2、L3の全体に光を照射することができる。特に、第3照射ユニット53が昇降可能であることで、底部L5周辺にある光硬化性樹脂P1にも効率よく光を照射することができる。
【0087】
第2回転装置545は、第2照射ユニット52を回転軸及び第2の方向D2に対して垂直な軸回りに回転させる装置である。すなわち、第2照射ユニット52は、図示されている矢印AL2及びAR2の方向に回転可能である。
【0088】
第2回転装置545の例としては、電動モータ等が挙げられるが、これに限らない。この構成により、第2照射ユニット52の向きである第2の方向D2を、軸方向に近づけることで、鏡部L2に効率よく光を照射することができる。また、軸方向と第2の方向D2とがなす角を大きくすることで、ネック部L4上にある光硬化性樹脂P1に効率よく光を照射することができる。
【0089】
台車55は、支柱551と、本体部552と、車輪553とを備える。支柱551は、上下方向に延びる柱部材である。支柱551の上部には、リテーナ54の本体部材541が取り付けられている。また、支柱551の下部は、本体部552に取り付けられる。これらの取り付け構造としては、ねじ締結、溶接等による一体化等、適宜選択可能である。
【0090】
本体部552には、適宜ウエイト等を設けることができる。それにより、台車55の重心を低くして、光照射装置50の姿勢を安定させることができる。車輪553は、本体部552の下側に取り付けられることによって、光照射装置50を床面(又は地面)上で移動可能に支持する。車輪553には、光照射装置50の使用時に光照射装置50を固定するために、ストッパーを設けることが好ましい。
【0091】
<5.光照射装置の第1変形例>
次に、本発明の一実施形態にかかる光照射装置50の第1変形例について
図7を参照しながら説明する。なお、
図7は、本発明の一実施形態にかかる光照射装置50の第1の変形例を示す斜視図である。
【0092】
第1変形例における光照射装置50では、
図7に示すように、照射ユニットのセット50A、50B、50Cが回転軸の周りに3カ所設けられている。
【0093】
セット50Aは、第1A照射ユニット51Aと、第2A照射手ニット52Aと、第3A照射ユニット53Aとを備える。セット50Bは、第1B照射ユニット51Bと、第2B照射手ニット52Bと、第3B照射ユニット53Bとを備える。セット50Cは、第1C照射ユニット51Cと、第2C照射手ニット52Cと、第3C照射ユニット53Cとを備える。
【0094】
なお、この
図7では、各照射ユニット51A〜53A、51B〜53B、51C〜53C以外の光照射装置50の構成については図示を省略するが、各セット50A、50B、50Cに含まれる照射ユニット51A〜53A、51B〜53B、51C〜53Cは、
図4で示す照射ユニット51、52、53の構成と同様の構成で支持されている。
【0095】
この例では、第2A照射ユニット52A、第2B照射ユニット52B、及び第2C照射ユニット52Cは、いずれも回転軸の方向に頂点を有し、回転軸から離れるにつれて幅が広がる三角形の形状を有する面光源となっている。この構成により、各照射ユニット52A、52B、52Cを干渉させることなく、照射ユニット間の隙間を小さく配置することができ、鏡部L2上の光硬化性樹脂P1に効率よく光を照射することができる。
【0096】
また、第3A照射ユニット53A、第3B照射ユニット53B、及び第3C照射ユニット53Cも同様に、いずれも回転軸の方向に頂点を有し、回転軸から離れるにつれて幅が広がる三角形の形状を有する面光源となっている。
【0097】
なお、各第2A〜2C照射ユニット52A、52B、52C、及び、各第3A〜3C照射ユニット53A、53B、53Cにおいて、LED等の点光源を複数配置する場合、その配置方法については特に限定されず、例えば、格子状に配置してもよく、三角形の各辺に平行な列を形成するように配置してもよい。
【0098】
この構成によれば、ライナーL上の光硬化性樹脂P1は、ライナーLが1回転する間により多くの光が照射される。そのため、光硬化性樹脂P1はより速く硬化が進むことにより、容器Vの製造に必要な時間が短縮され、生産性が向上する。
【0099】
なお、
図7に示す例において、セット50A、50B、50Cは、同様の構成を有しているが、製造条件、設備のサイズ等を考慮して、適宜異なる構成としてもよい。
【0100】
<6.光照射装置の第2変形例>
次に、本発明の一実施形態にかかる光照射装置50の第2変形例について
図8を参照しながら説明する。なお、
図8は、本発明の一実施形態にかかる光照射装置50の第2変形例を示す正面図である。また、
図8では、ライナーLの回転軸Aを一点鎖線で図示する。
【0101】
第2変形例における光照射装置50では、
図8に示すように、第1照射ユニット51に代えて、第1L照射ユニット51L、及び第1R照射ユニット51Rを備える。なお、この
図8では、各照射ユニット51L、51R以外の光照射装置50の構成については図示を省略するが、第1L照射ユニット51L及び第1R照射ユニット51Rは、
図4で示した第1照射ユニット51を支持する構成と同様の構成で支持されている。
【0102】
図8では、第1L照射ユニット51L、第1R照射ユニット51R、及び第2照射ユニット52の光の照射方向D1L、D1R、及びD2を一点鎖線で示す。第1L照射ユニット51Lが光を照射する方向D1Lと回転軸Aとがなす角θ1Lは、鋭角である。また、角θ1Lは、第2照射ユニット52が光を照射する方向D2と回転軸Aとがなす角θ2よりも大きい(θ2<θ1L<90°)。
【0103】
第1R照射ユニット51Rは、第1L照射ユニット51Lと第3照射ユニット53との間に配される。第1R照射ユニット51Rは、回転軸Aに向けられ、かつ第1L照射ユニット51L側に向けられている。すなわち、第1R照射ユニット51Rが光を照射する方向D1Rと回転軸Aとがなす角θ1Rは、鋭角である(0°<θ1R<90°)。
【0104】
第2変形例の構成によれば、例えば
図8に示すような胴部に膨らみを持つ形状の容器V2であっても、効率的に光を照射することができ、生産性を向上させることができる。
【0105】
<7.本実施形態の効果>
以上のように、本実施形態にかかるFW成形装置1は、ライナーLの外面に対向して配置されて、第1の方向D1に光を照射する第1照射ユニット51の他に、回転軸に対して平行な方向において前記第1照射ユニット51とは異なる位置に、ライナーLの外面に対向して配置されて、ライナーLの回転軸に対する角度が第1の方向D1と異なる第2の方向D2に光を照射する第2照射ユニット52とを備えている。
【0106】
この構成によれば、回転軸を含む断面において回転軸に対する角度が変化する断面をもつ形状、例えば容器Vのような鏡部L2、L3、すなわち上面及び/又は下面を有する樹脂成形物を製造する場合であっても効率よく光硬化性樹脂P1に光を照射することができる。したがって、本実施形態により、光硬化性樹脂を用いたFRP製の、上面及び/又は下面を有する容器Vを高い生産性で製造することが可能なFW成形装置1を提供することができる。
【0107】
なお、本実施形態の構成は、LEDのような指向性の高い光源を用いた場合、特に大きな効果が得られる。