(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベルトが移動することで、前記ベルトによって前記本体部の上方に第1長さの持ち手部が形成される第1状態と、前記ベルトによって前記本体部の側方に前記第1長さよりも長い肩掛け部が形成される第2状態と、に切換可能であることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載の運搬用具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、着脱可能な背負いベルトを有し、背負いベルトを着脱することで、手提げバッグとしてもリュックサックとしても使用可能であるバッグの場合、手提げバッグとリュックサックとを切り換える際に背負いベルトを着脱する必要があり手間がかかってしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の使用方法での切り換えをスムーズに行うことができる運搬用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、前面及び後面を有する本体部と、前記本体部の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルトと、前記本体部に設けられ、前記ベルトの位置を規制する第1上部規制部、第2上部規制部、第3上部規制部、及び第4上部規制部、を有し、前記第1上部規制部は、前記本体部の前面の左側上方に設けられ、前記第2上部規制部は、前記本体部の前面の右側上方に設けられ、前記第3上部規制部は、前記本体部の後面の左側上方に設けられ、前記第4上部規制部は、前記本体部の後面の右側上方に設けられ、前記ベルトは、前記第1上部規制部から前記第2上部規制部に至り、前記第2上部規制部から前記本体部の下端を通って前記第3上部規制部に至り、前記第3上部規制部から前記第4上部規制部に至り、前記第4上部規制部から前記本体部の下端を通って前記第1上部規制部に至るよう設けられていることを特徴とする運搬用具を提供する。
【0007】
また、前記ベルトは、前記第1上部規制部と前記第2上部規制部との間にある前記ベルトと、前記第3上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルトとを上方に引っ張ることで、手提げの運搬用具として使用することができ、前記第1上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルトと、前記第2上部規制部と前記第3上部規制部との間にある前記ベルトとを前記本体部から離れる向きに引っ張ることで、背負いの運搬用具として使用することができる所定の長さを有していてもよい。また、前記ベルトは、前記第1上部規制部に係止する第1上部係止部と、前記第2上部規制部に係止する第2上部係止部と、を有し、前記第1上部係止部及び前記第2上部係止部により、前記第1上部規制部と前記第2上部規制部との間にある前記ベルトが、所定の長さ以上に上方に引っ張られることが規制されてもよい。
【0008】
また、前記ベルトは、前記第3上部規制部に係止する第3上部係止部と、前記第4上部規制部に係止する第4上部係止部と、を更に有し、前記第3上部係止部及び前記第4上部係止部により、前記第3上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルトが、所定の長さ以上に上方に引っ張られることが規制されてもよい。また、前記ベルトは、前記第1上部規制部に係止する第1持ち手係止部と、前記第2上部規制部に係止する第2持ち手係止部と、を有し、前記第1持ち手係止部により、前記第1上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルトが、所定の長さ以上に前記本体部から離れる向きに引っ張られることが規制され、前記第2持ち手係止部により、前記第2上部規制部と前記第3上部規制部との間にある前記ベルトが、所定の長さ以上に前記本体部から離れる向きに引っ張られることが規制されてもよい。
【0009】
また、前記本体部の前面及び後面の少なくとも一方の下方に設けられ、前記第1上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルトの位置を規制する第1下部規制部と、前記本体部の前面及び後面の少なくとも一方の下方に設けられ、前記第2上部規制部と前記第3上部規制部との間にある前記ベルトの位置を規制する第2下部規制部と、を有していてもよい。また、前記第1下部規制部及び前記第2下部規制部は、それぞれ前記本体部の前面及び後面の2箇所に設けられていてもよい。
【0010】
また、前記ベルトは、前記第1下部規制部に係止する第3下部係止部と、前記第2下部規制部に係止する第4下部係止部と、を有し、前記第3下部係止部及び前記第4下部係止部により、前記第1上部規制部と前記第4上部規制部との間にある前記ベルト及び前記第2上部規制部と前記第3上部規制部との間にある前記ベルトが、所定の長さ以上に前記本体部から離れる向きに引っ張られることが規制されてもよい。また、前記本体部は、上方に開口部が設けられた収容部材であってもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、前面及び後面を有する本体部と、前記本体部の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルトと、前記本体部に設けられており、かつ前記ベルトの長手方向に前記ベルトが移動可能な状態で、前記ベルトと前記本体部との距離が所定の範囲内に収まるように前記ベルトの位置を規制する複数の規制部と、を有し、前記ベルトが移動することで、前記ベルトによって前記本体部の上方に第1長さの持ち手部が形成される第1状態と、前記ベルトによって前記本体部の側方に前記第1長さよりも長い肩掛け部が形成される第2状態と、に切換可能であることを特徴とする運搬用具を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様においては、前面及び後面を有する本体部に取り付け可能な運搬用具であって、前記本体部の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルトと、前記本体部に取り付けられ、前記ベルトの位置を規制する第1上部規制部、第2上部規制部、第3上部規制部、及び第4上部規制部、を有し、前記第1上部規制部は、前記本体部の前面の左側上方に取り付けられ、前記第2上部規制部は、前記本体部の前面の右側上方に取り付けられ、前記第3上部規制部は、前記本体部の後面の左側上方に取り付けられ、前記第4上部規制部は、前記本体部の後面の右側上方に取り付けられ、前記ベルトは、前記第1上部規制部から前記第2上部規制部に至り、前記第2上部規制部から前記本体部の下端を通って前記第3上部規制部に至り、前記第3上部規制部から前記第4上部規制部に至り、前記第4上部規制部から前記本体部の下端を通って前記第1上部規制部に至るよう、前記本体部に取り付け可能に設けられていることを特徴とする運搬用具を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運搬用具において、複数の使用方法での切り換えをスムーズに行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本実施形態>
[運搬用具Sの概要]
図1は、本実施形態に係る運搬用具Sの正面図である。
図2は、本実施形態に係る運搬用具Sの背面図である。
図3は、本実施形態に係る運搬用具Sの右側面図である。
図4は、本実施形態に係る運搬用具Sの左側面図である。
図5は、本実施形態に係る運搬用具Sの平面図である。
図6は、本実施形態に係る運搬用具Sの底面図である。
図7は、本実施形態に係る運搬用具Sの斜視図である。
図8は、本実施形態に係る運搬用具Sの開口13が開いた状態の斜視図である。
【0016】
運搬用具Sは、本体部1、ベルト2、及び複数の規制部3を有する。本体部1は、例えば物品を収容するための開口13を有する収容部材である。本体部1は、前面11、後面12、及び開口13を有する。本体部1は、例えば前面11を形成する布の縁と後面12を形成する布の縁とが縫い合わされて結合されており、上方に開口13を有する。本体部1は、開口13にホック又は面ファスナーが設けられており、ユーザは、前面11と後面12とを離す向きに力を加えることで、本体部1に物品を収容することが可能になる。前面11は、例えば運搬用具Sがリュックサックとして用いられるときにユーザの背中と接する面である。
【0017】
ベルト2は、本体部1の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルトである。ベルト2は、例えば、1本のベルト2が本体部1の外側に巻き付けられた状態でベルト2の長手方向における端部同士が縫い合わされることで接続されている。複数の規制部3は、本体部1に設けられており、かつベルト2の長手方向にベルト2が移動可能な状態で、ベルト2と本体部1との距離が所定の範囲内に収まるようにベルト2の位置を規制する機能を有する部材である。ベルト2及び複数の規制部3の詳細は後述する。
【0018】
(運搬用具Sの機能)
運搬用具Sは、ベルト2が移動することで、ベルト2によって本体部1の上方に第1長さL1の持ち手部20が形成される第1状態と、ベルト2によって本体部1の側方に第1長さL1よりも長い肩掛け部21が形成される第2状態と、に切換可能である。第1状態は、
図1から
図8に示すように、例えば、運搬用具Sが持ち手部20を有する手提げ用バッグとして用いられる状態である。
【0019】
持ち手部20は、前方持ち手部201と後方持ち手部202とを含んで構成されている。前方持ち手部201は、前方側に位置する持ち手部である。後方持ち手部202は、後方側に位置する持ち手部である。前方持ち手部201及び後方持ち手部202は、ベルト2の長手方向における所定の長さにおいて、ベルト2がベルト2の短手方向において折り曲げられて重ねられた状態で縫いつけられることで形成されている。
【0020】
前方持ち手部201の幅は、ベルト2の幅よりも小さく、前方持ち手部201の厚みは、ベルト2の厚みよりも大きい。同様に、後方持ち手部202の幅は、ベルト2の幅よりも小さく、後方持ち手部202の厚みは、ベルト2の厚みよりも大きい。
【0021】
図9は、本実施形態に係る運搬用具Sの第2状態における正面図である。
図10は、本実施形態に係る運搬用具Sの第2状態における背面図である。
図11は、本実施形態に係る運搬用具Sの第2状態における右側面図である。
図12は、本実施形態に係る運搬用具Sの第2状態における斜視図である。
【0022】
第2状態は、
図9から
図12に示すように、運搬用具Sが、持ち手部20よりも長い肩掛け部21を有する状態であり、例えば背中に背負うリュックサックとして用いられる状態である。
図12に示すように、肩掛け部21は左側肩掛け部211と右側肩掛け部212とを含んで構成されている。左側肩掛け部211は、左側に位置する肩掛け部である。右側肩掛け部212は、右側に位置する肩掛け部である。
【0023】
(ベルト2の移動を規制する規制部)
複数の規制部3は、例えば第1上部規制部31、第2上部規制部32、第3上部規制部33、第4上部規制部34、第1下部規制部35、及び第2下部規制部36である。第1上部規制部31、第2上部規制部32、第3上部規制部33、第4上部規制部34、第1下部規制部35、及び第2下部規制部36は、例えば開口の形状が長方形又は楕円形の環状の金具である。
【0024】
第1上部規制部31は、本体部1の前面11の左側上方(「上方」とは、本体部1の上端を含むがこれに限定されない。以下同じ。)に設けられている。第2上部規制部32は、本体部1の前面11の右側上方に設けられている。第3上部規制部33は、本体部1の後面12の左側上方に設けられている。第4上部規制部34は、本体部1の後面12の右側上方に設けられている。
【0025】
第1下部規制部35は、本体部1の前面11及び後面12の少なくとも一方の下方(「下方」とは、本体部1の下端を含むが、これに限定されない。以下同じ。)に設けられ、第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2の位置を規制する。具体的には、第1下部規制部35は、ベルト2が本体部1の下方から離れることを規制する機能を有する。
【0026】
第2下部規制部36は、本体部1の前面11及び後面12の少なくとも一方の下方に設けられ、第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2の位置を規制する。具体的には、第2下部規制部36は、ベルト2が本体部1の下方から離れることを規制する機能を有する。
【0027】
(ベルト2の概要)
ベルト2は、第1上部規制部31から第2上部規制部32に至り、第2上部規制部32から本体部1の下端を通って第3上部規制部33に至り、第3上部規制部33から第4上部規制部34に至り、第4上部規制部34から本体部1の下端を通って第1上部規制部31に至るよう設けられている。
【0028】
ベルト2は、第1上部規制部31と第2上部規制部32との間にあるベルト2と、第3上部規制部33と第4上部規制部34との間にあるベルト2とを上方に引っ張ることで、手提げの運搬用具として使用することができ、第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2と、第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2とを本体部1から離れる向きに引っ張ることで、背負いの運搬用具として使用することができる所定の長さを有する。
【0029】
運搬用具Sが第1状態になっている際、ベルト2は、本体部1の上方におけるベルト2の第1上部規制部31と第2上部規制部32との間に位置する領域が前方持ち手部201として機能し、本体部1の上方におけるベルト2の第3上部規制部33と第4上部規制部34との間に位置する領域が後方持ち手部202として機能する。
【0030】
また、運搬用具Sが第2状態になっている際、ベルト2は、本体部1の前方におけるベルト2の第1上部規制部31と第1下部規制部35との間に位置する領域が左側肩掛け部211として機能し、本体部1の前方におけるベルト2の第2上部規制部32と第2下部規制部36との間に位置する領域が右側肩掛け部212として機能する。
【0031】
(前面11側の係止部)
図1に示すように、ベルト2の前面11側には、規制部に係止することにより長手方向に移動する量を所定の範囲内に留めるために、複数の係止部が形成されている。ベルト2に係止部を形成するために、ベルト2の前面11側には、係止部材221及び係止部材222が形成されている。ベルト2の前面11側においては、係止部材221及び係止部材222の両端が、第1上部係止部231、第2上部係止部232、第1下部係止部241、及び第2下部係止部242として機能する。
【0032】
第1下部係止部241は、後面12においてベルト2が本体部1から離れる向きに引っ張られてリュックサックの形態にする際に、第1下部規制部35に係止する係止部である。第2下部係止部242は、後面12においてベルト2が本体部1から離れる向きに引っ張られてリュックサックの形態にする際に、第2下部規制部36に係止する係止部である。
【0033】
係止部材221及び係止部材222は、例えばベルト2と同じ幅を有する。係止部材221は、ベルト2の本体部1側の面とは反対側の面における第1上部規制部31と第1下部規制部35との間に位置するように、ベルト2に縫い付けられている。係止部材222は、ベルト2の本体部1側の面とは反対側の面における第2上部規制部32と第2下部規制部36との間に位置するように、ベルト2に縫い付けられている。係止部材221及び係止部材222は、例えばベルト2と同程度の厚みを有している。
【0034】
第1上部係止部231は、第1上部規制部31に係止する。第2上部係止部232は、第2上部規制部32に係止する。第1上部係止部231及び第2上部係止部232により、第1上部規制部31と第2上部規制部32との間にあるベルト2が、所定の長さ以上に上方に引っ張られることが規制される。
【0035】
第1上部係止部231は、例えば、ベルト2と係止部材221の上端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材221の厚みとを合計した厚みは、第1上部規制部31の開口の幅以上である。第2上部係止部232は、例えば、ベルト2と係止部材222の上端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材222の厚みとを合計した厚みは、第2上部規制部32の開口の幅以上である。
【0036】
第1下部係止部241は、ベルト2と係止部材221の下端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材221の厚みとを合計した厚みは、第1下部規制部35の開口の幅以上である。第2下部係止部242は、ベルト2と係止部材222の下端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材222の厚みとを合計した厚みは、第2下部規制部36の開口の幅以上である。
【0037】
また、ベルト2の前面11側においては、前方持ち手部201の両端が第1持ち手係止部251及び第2持ち手係止部252として機能する。第1持ち手係止部251は、第1上部規制部31に係止する。第2持ち手係止部252は、第2上部規制部32に係止する。第1持ち手係止部251により、第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2が、前面11において所定の長さ以上に本体部1から離れる向きに引っ張られることが規制される。また、第2持ち手係止部252により、第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2が、前面11において所定の長さ以上に本体部1から離れる向きに引っ張られることが規制される。
【0038】
第1持ち手係止部251は、例えば、前方持ち手部201の左端付近に形成されている段差である。前方持ち手部201の左端付近に形成されている段差の高さは、第1上部規制部31の開口の幅以上である。第2持ち手係止部252は、例えば、前方持ち手部201の右端付近に形成されている段差である。前方持ち手部201の右端付近に形成されている段差の高さは、第2上部規制部32の開口の幅以上である。前方持ち手部201の左端付近に形成されている段差及び前方持ち手部201の右端付近に形成されている段差は、前述したようにベルト2がベルト2の短手方向において折り曲げられて重ねられた状態で縫いつけられることで形成されている。
【0039】
(後面12側の係止部)
図2に示すように、ベルト2の後面12側には、規制部に係止することにより長手方向に移動する量を所定の範囲内に留めるために、複数の係止部が形成されている。ベルト2に係止部を形成するために、ベルト2の後面12側には、係止部材223及び係止部材224が形成されている。ベルト2の後面12側においては、係止部材223及び係止部材224の両端が、第3上部係止部233、第4上部係止部234、第3下部係止部243、及び第4下部係止部244として機能する。
【0040】
係止部材223及び係止部材224は、例えばベルト2と同じ幅を有する。係止部材223は、ベルト2の本体部1側の面とは反対側の面における第3上部規制部33と第2下部規制部36との間に位置するように、ベルト2に縫い付けられている。係止部材224は、ベルト2の本体部1側の面とは反対側の面における第4上部規制部34と第1下部規制部35との間に位置するように、ベルト2に縫い付けられている。係止部材223及び係止部材224は、例えばベルト2と同程度の厚みを有している。
【0041】
第3上部係止部233は、第3上部規制部33に係止する。第4上部係止部234は、第4上部規制部34に係止する。第3上部係止部233及び第4上部係止部234により、第3上部規制部33と第4上部規制部34との間にあるベルト2が、所定の長さ以上に上方に引っ張られることが規制される。
【0042】
第3上部係止部233は、ベルト2と係止部材223の上端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材223の厚みとを合計した厚みは、第3上部規制部33の開口の幅以上である。第4上部係止部234は、ベルト2と係止部材224の上端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材224の厚みとを合計した厚みは、第4上部規制部34の開口の幅以上である。
【0043】
第3下部係止部243は、ベルト2と係止部材224の下端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材224の厚みとを合計した厚みは、第1下部規制部35の開口の幅以上である。第4下部係止部244は、ベルト2と係止部材223の下端とで形成される段差である。ベルト2の厚みと係止部材223の厚みとを合計した厚みは、第2下部規制部36の開口の幅以上である。
【0044】
また、ベルト2の後面12側においては、後方持ち手部202の両端が第3持ち手係止部253及び第4持ち手係止部254として機能する。第3持ち手係止部253は、第3上部規制部33に係止する。第4持ち手係止部254は、第4上部規制部34に係止する。第3持ち手係止部253は、後面12においてベルト2が本体部1から離れる向きに引っ張られてリュックサックの形態にする際に、第3上部規制部33に係止する係止部である。第4持ち手係止部254は、後面12においてベルト2が本体部1から離れる向きに引っ張られてリュックサックの形態にする際に、第4上部規制部34に係止する係止部である。
【0045】
第3持ち手係止部253は、例えば、後方持ち手部202の左端付近に形成されている段差である。後方持ち手部202の左端付近に形成されている段差の高さは、第3上部規制部33の開口の幅以上である。第4持ち手係止部254は、例えば、後方持ち手部202の右端付近に形成されている段差である。後方持ち手部202の右端付近に形成されている段差の高さは、第4上部規制部34の開口の幅以上である。後方持ち手部202の左端付近に形成されている段差及び後方持ち手部202の右端付近に形成されている段差は、前述したようにベルト2がベルト2の短手方向において折り曲げられて重ねられた状態で縫いつけられることで形成されている。
【0046】
第3下部係止部243は、第1下部規制部35に係止する。第4下部係止部244は、第2下部規制部36に係止する。第3下部係止部243及び第4下部係止部244により、第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2及び第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2が、前面11において所定の長さ以上に本体部1から離れる向きに引っ張られることが規制される。
【0047】
[変形例]
上記実施形態では、第1下部規制部35は、本体部1の前面11及び後面12の少なくとも一方の下方に設けられており、第2下部規制部36は、本体部1の前面11及び後面12の少なくとも一方の下方に設けられているとしたが、これに限定されない。第1下部規制部35及び第2下部規制部36は、それぞれ本体部1の前面11及び後面12の2箇所に設けられていてもよい。この場合、複数の第1下部規制部35のうち、一方の第1下部規制部35は、前面11の下端付近に設けられており、他方の第1下部規制部35は、後面12の下端付近に設けられていてもよい。また、複数の第2下部規制部36のうち、一方の第2下部規制部36は、前面11の下端付近に設けられており、他方の第2下部規制部36は、後面12の下端付近に設けられていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2と、第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2とを前方に引っ張ることで、背負いの運搬用具として使用することができる例を示したが、これに限定されない。第1上部規制部31と第4上部規制部34との間にあるベルト2と、第2上部規制部32と第3上部規制部33との間にあるベルト2とを後方に引っ張ることで、背負いの運搬用具として使用することができてもよい(前方と後方のいずれに引っ張った場合でも背負いの運搬用具として使用可能な構成としてもよいし、前方または後方のいずれか一方に引っ張った場合のみ背負いの運搬用具として使用可能な構成としてもよい。)。
【0049】
また、上記実施形態では、第1上部係止部231、第2上部係止部232、第3上部係止部233、第4上部係止部234、第1下部係止部241、第2下部係止部242、第3下部係止部243、及び第4下部係止部244は、ベルト2に設けられている係止部材221、係止部材222、係止部材223、及び係止部材224によって形成されている段差であるが、これに限定されない。また、第1持ち手係止部251、第2持ち手係止部252、第3持ち手係止部253、及び第4持ち手係止部254は、ベルト2を短手方向において、折り曲げて縫い付けることで形成される段差であるが、これに限定されない。
【0050】
第1上部係止部231、第2上部係止部232、第3上部係止部233、第4上部係止部234、第1下部係止部241、第2下部係止部242、第3下部係止部243、第4下部係止部244、第1持ち手係止部251、第2持ち手係止部252、第3持ち手係止部253、及び第4持ち手係止部254は、例えばベルト2に取り付けられており、規制部の開口を通らない大きさの係止突起(例えば金具)であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、ベルト2の厚みと係止部材の厚みとを合計した厚みは、規制部の開口の幅以上であるとしたが、これに限定されない。係止部は、ベルト2の長手方向の移動を規制部において規制する構造であれば、任意の構造を有していてよい。ベルト2の厚みと係止部材の厚みとを合計した厚みが、規制部の開口の幅未満であっても、例えば、係止部材の上端の面に規制部に係止する凹部が設けられており、当該凹部が規制部に係止する構成であってもよい。または、係止部材の上端付近がベルト2と縫い付けられていないことで、係止部材の上端付近とベルト2との間には隙間が形成されており、当該隙間が規制部に係止する構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、本体部1は、例えば物品を収容するための開口13を有する収容部材としたが、これに限定されない。本体部1は、ベルト2によって支持可能なものであれば任意の物体(例えば、開口13を有さない箱状の収容部材や、収容部自体を有さない物体(ホワイトボード、電子機器等))とすることもできる。また、運搬用具Sは、本体部1を有さず、本体部1に取り付け可能なベルト2及び規制部3からなる構成であってもよい。
【0053】
[本実施形態に係る運搬用具Sによる効果]
本実施形態に係る運搬用具Sは、前面11及び後面12を有する本体部1と、本体部1の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルト2と、本体部1に設けられ、ベルト2の位置を規制する第1上部規制部31、第2上部規制部32、第3上部規制部33、及び第4上部規制部34、を有する。そして、第1上部規制部31は、本体部1の前面11の左側上方に設けられ、第2上部規制部32は、本体部1の前面11の右側上方に設けられ、第3上部規制部33は、本体部1の後面12の左側上方に設けられ、第4上部規制部34は、本体部1の後面12の右側上方に設けられている。そして、ベルト2は、第1上部規制部31から第2上部規制部32に至り、第2上部規制部32から本体部1の下端を通って第3上部規制部33に至り、第3上部規制部33から第4上部規制部34に至り、第4上部規制部34から本体部1の下端を通って第1上部規制部31に至るよう設けられている。
【0054】
本実施形態に係る運搬用具Sは、このように本体部1の外側に沿って長手方向に移動可能な環状のベルト2が、本体部1に設けられているベルト2の位置を規制する複数の規制部3を通過するようにして設けられている。よって、運搬用具Sは、複数の使用方法で切り換える際、すなわち手提げバッグとして用いられる場合と、リュックサックとして用いられる場合とで、両者の切り換えをスムーズに行うことができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。