特許第6971114号(P6971114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971114建築用面構造及び該建築用面構造を製造するための両面粘着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971114
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】建築用面構造及び該建築用面構造を製造するための両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20211111BHJP
   B32B 1/00 20060101ALI20211111BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   E04F13/08 101K
   E04F13/08 101Q
   B32B1/00 Z
   B32B37/12
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-192226(P2017-192226)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-65586(P2019-65586A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165021
【弁理士】
【氏名又は名称】千々松 宏
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕明
(72)【発明者】
【氏名】服部 絢子
(72)【発明者】
【氏名】安田 誠也
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−317121(JP,A)
【文献】 特開2012−072393(JP,A)
【文献】 特開2004−051708(JP,A)
【文献】 特開2003−292913(JP,A)
【文献】 特開2008−038528(JP,A)
【文献】 特開2003−013028(JP,A)
【文献】 特開平05−340058(JP,A)
【文献】 特開2013−213075(JP,A)
【文献】 中国実用新案第2732889(CN,Y)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0186605(US,A1)
【文献】 特開2016−216597(JP,A)
【文献】 特開2015−007164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
C09J 7/38
C09J 7/10
B32B 1/00
B32B 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも曲面を有する下地面に化粧材が両面粘着テープで固定されている建築用面構造であって、前記両面粘着テープが下記(1)〜(3)を満足し、少なくとも前記化粧材の周縁部と前記下地面の間に前記両面粘着テープが存在する、建築用面構造。
(1)厚みが0.1〜5mm
(2)両面粘着テープの粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が30万〜50万Pa
(3)90°ピール粘着力が20〜100N/25mm
【請求項2】
前記曲面の曲率半径Rが1m以下である、請求項1に記載の建築用面構造。
【請求項3】
前記化粧材が、メラミン系、ポリエステル系、アクリル系、ケイ酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する、請求項1又は2に記載の建築用面構造。
【請求項4】
前記化粧材が、化粧材用基材及び前記化粧用基材上に積層された化粧層を有し、前記化粧材用基材がケイ酸カルシウムを含み、前記化粧層がメラミン系、ポリエステル系、アクリル系からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の建築用面構造。
【請求項5】
前記両面粘着テープが、基材を含まないものである、請求項1〜4のいずれかに記載の建築用面構造。
【請求項6】
前記建築用面構造が、壁構造である請求項1〜5のいずれかに記載の建築用面構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの建築用面構造製造方法であって、
前記両面粘着テープを、前記下地面及び前記化粧材のいずれか一方に貼り付けて積層体を形成させ、ついで他方を該積層体の両面粘着テープ上に貼り付ける、建築用面構造の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用面構造及び該建築用面構造を製造するための両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅、ビル、マンション、商業施設などの建築物の施工時に、仕上げとして、モルタル、コンクリートなどの下地に化粧材を貼り付けた建築用面構造を形成させ、美感を向上させることが知られている。この際、一般的に、下地に対して接着性よく化粧材を貼り付ける技術が求められている。下地面が平坦である場合は、化粧材を貼り付けることは比較的容易である。一方、下地面が曲面を有する場合には、化粧材を貼り付けると、初期の接着力が弱いため、化粧材端部が浮いてしまう「ナキワカレ」という問題が生じる場合がある。
特許文献1では、耐熱両面粘着テープと弾性接着剤とを介して、下地面と化粧材をあてがい、その後、80℃程度に設定されたアイロンで圧締する技術が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−77687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来報告されている技術によっても、曲面を有する下地面上に、化粧材を貼り付ける場合において、化粧材の端部の浮きなどが問題になる場合があり、これを改善する技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、少なくとも曲面を有する下地面に化粧材が両面粘着テープで固定されている建築用面構造であって、前記両面粘着テープが下記(1)〜(3)のすべてを満足することで、上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]少なくとも曲面を有する下地面に化粧材が両面粘着テープで固定されている建築用面構造であって、前記両面粘着テープが下記(1)〜(3)を満足する、建築用面構造。
(1)厚みが0.1〜5mm
(2)両面粘着テープの粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が30万〜50万Pa
(3)90°ピール粘着力が20〜100N/25mm
[2]前記曲面の曲率半径Rが1m以下である、上記[1]に記載の建築用面構造。
[3]前記化粧材は、メラミン系、ポリエステル系、アクリル系、ケイ酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する、上記[1]又は[2]に記載の建築用面構造。
[4]前記化粧材が、化粧材用基材及び前記化粧材用基材上に積層された化粧層を有し、前記化粧材用基材がケイ酸カルシウムを含み、前記化粧層がメラミン系、ポリエステル系、アクリル系からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の建築用面構造。
[5]前記両面粘着テープが、基材を含まないものである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の建築用面構造。
[6]前記建築用面構造が、壁構造である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の建築用面構造。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの建築用面構造を製造するための両面粘着テープであって、下記(1)〜(3)を満足する両面粘着テープ。
(1)厚みが0.1〜5mm
(2)両面粘着テープの粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が30万〜50万Pa
(3)90°ピール粘着力が20〜100N/25mm
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特定の両面粘着テープを用いることで、下地面が曲面を有する場合でも、化粧材の端部の浮きが高度に抑制された建築用面構造を提供することができる。また、該建築用面構造を製造するための両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の建築用面構造の一実施態様における断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(建築用面構造)
本発明の建築用面構造の一実施態様を図面にて説明する。図1は建築用面構造の断面模式図を示している。本発明の建築用面構造20は、下地10における曲面を有する下地面10Aに、化粧材12が両面粘着テープ11を介して固定されている。本発明の建築用面構造20は、各建築物の壁を構成する壁構造に適用されるとよいが、壁構造以外に適用されてもよい。例えば、下地10は、建築物の柱を構成するものであってもよい。また、図1において、下地面10Aは、全て曲面である態様が示されるが、下地面10Aは曲面と平面との組み合わせてあってもよい。
下地10は、下地面10A側が凸状に膨らんだ形状である。下地面10Aの曲面の曲率半径Rは、好ましくは1m以下であり、より好ましくは0.2〜1mであり、さらに好ましくは0.3〜0.8mである。このような曲率半径の曲面を有する下地面10Aに対しても、後述する両面粘着テープを用いることで、化粧材を密着性よく下地10に固定化でき、化粧材12Aの端部の浮きが高度に抑制された建築用面構造を得ることができる。なお、図1において下地10は、下地面10A側が凸状に膨らんだ形状であるが、下地面10A側が凹んだ凹状の曲面であってもよい。また、異なる曲率半径の面が複数組み合わされてもよい。
下地10は、特に限定されない。下地10は、例えば、コンクリート、モルタル、石膏ボード、ALC板、スレート板等の無機材料による下地;合板、OSB、パーティクルボード等の木質材料による下地;アスファルト、EPDM、TPOなどの防水シート、ウレタンフォーム断熱材などの有機材料による下地;金属パネルなどの金属材料による下地などが挙げられる。
【0009】
下地10上に後述する両面粘着テープ11が積層されている。下地10上の下地面10Aと化粧材12の間の面全体に両面粘着テープ11が存在してもよいし、化粧材12の周縁部と下地面10Aの間など部分的に両面粘着テープが存在してもよい。下地面10A上に部分的に両面粘着テープが存在する場合において、両面粘着テープが存在しない下地面10A上には図示しない公知の接着剤が存在してもよい。
【0010】
化粧材12は、特に限定されず、公知の化粧材を用いることができる。化粧材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などの樹脂系材料;薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などの紙系材料;合板、パーティクルボード、繊維板などの木質材料;押し出しセメント、スラグセメント、ALC、ケイ酸カルシウム、石膏などの無機系材料などを用いることができる。
化粧材は、曲面に追従して曲げることができるように可撓性を有するものを適宜選択して、使用すればよい。可撓性を有しない場合には、予め下地面10Aの形状に合わせて、曲面を有する形状に形成されればよい。また、適宜、化粧材にスリットを入れて、曲面加工しやすいようにしてもよい。
化粧材は、上記材料の中でも、メラミン系、ポリエステル系、アクリル系、ケイ酸カルシウム系からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含有することが好ましい。
【0011】
化粧材は、化粧材用基材及び該化粧材用基材上に積層された化粧層を有していてもよい。
この場合、化粧材用基材としては、特に限定されないが、合板、パーティクルボード、繊維板などの木質材料、押し出しセメント、スラグセメント、ALC、ケイ酸カルシウム、石膏などの無機系材料が好適に用いられる。また、化粧層としては、特に限定されないが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などの樹脂系材料が好適に用いることができる。
中でも、化粧材用基材がケイ酸カルシウムを含み、化粧層がメラミン系、ポリエステル系、アクリル系からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する化粧材が好ましい。さらに、化粧材用基材がケイ酸カルシウム板であり、化粧層がメラミン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含有する化粧材がより好ましい。この場合、化粧層は、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される1種の材料を紙系材料に含浸した樹脂含浸紙であってもよい。
【0012】
(両面粘着テープ)
両面粘着テープは、基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープであってもよいし、基材を含まない両面粘着テープであってもよい。基材を含まない両面粘着テープは、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれ、粘着剤層単体からなるものである。コスト、製造上の容易性の観点から、基材を含まない両面粘着テープが好ましい。
なお、両面粘着テープの両面それぞれには、一般的に、剥離シートが貼付されており、その剥離シートを剥離した後に被着体(すなわち、下地及び化粧材)に貼着されるものである。剥離シートとしては、樹脂フィルムの一方の面にシリコーン剥離剤等の剥離剤により剥離処理したものなどが使用され、剥離シートは剥離処理面が粘着剤層に接触するように貼付される。
【0013】
両面粘着テープの基材としては、不織布、和紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布、ポリエステル、ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、アセテート等からなる樹脂フィルム、フラットヤーンクロスなどが挙げられる。
また、両面粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤を使用すると、貯蔵弾性率、及びピール粘着力を後述する所望の範囲に調整しやすくなる。
【0014】
本発明における両面粘着テープは(1)厚みが0.1mm〜5mmであること、(2)両面粘着テープの粘着剤の25℃における貯蔵弾性率が30〜50万Paであること、(3)90°ピール粘着力が20〜100N/25mmであることの要件を同時に満足する。このような両面粘着テープを用いることで、下地面が曲面を有する場合でも、化粧材の端部の浮きが高度に抑制された建築用面構造を得ることができる。
本発明における両面粘着テープの厚みは0.1mm〜5mmである。厚みが0.1mm未満であると、下地と化粧材との接着力が悪く、化粧材の端部の浮きが生じやすい。また、厚みが5mmを超えると、化粧材を貼り合わせる際の位置調整が難しくなる場合や、段差ができて、外観上目立つ場合などがある。両面粘着テープの厚みは、好ましくは0.2〜3mmであり、より好ましくは0.3〜1mmである。両面粘着テープの厚みが、このような範囲であると、下地と化粧材との接着力が高まり、化粧材の端部の浮きがより抑制される傾向にある。
なお、両面粘着テープの厚さとは、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合には、粘着剤層単体の厚さを意味し、基材の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープである場合には、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面までの厚さを意味する。
厚みは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0015】
本発明における両面粘着テープの粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、30〜50万Paである。貯蔵弾性率は、樹脂の変形のしやすさ等を示すものとして一般に知られている物性値である。本発明では、このような変形のし易さの指標となる貯蔵弾性率を、適切な範囲とすることが重要であり、粘着剤層の貯蔵弾性率が30万未満の場合、あるいは50万を超える場合は、下地と化粧材との接着力が悪く、化粧材の端部の浮きが生じやすい。また、粘着剤層の貯蔵弾性率が30万未満の場合、化粧材と下地とを両面粘着テープで貼り合わせた後に、両面粘着テープによって化粧材を支持することが難しくなる。
両面粘着テープの粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは30万〜45万Paであり、より好ましくは32万〜40万Paである。貯蔵弾性率がこのような範囲であると、下地面と化粧材との接着力が高まり、化粧材の端部の浮きがより抑制される傾向にある。
貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0016】
本発明の両面粘着テープの90°ピール粘着力は20〜100N/25mmである。
ピール粘着力が20N/25mm未満であると、両面粘着テープの下地及び化粧材に対する粘着力が十分でなくなる。そのため、振動が生じたときなどに下地により化粧材を支持できなくなり、化粧材の剥がれなどが発生する。また、100N/25mmを超える場合は、化粧材を貼り合わせる際の位置調整が難しくなるなど、施工作業の煩雑さが増す場合がある。
両面粘着テープの90°ピール粘着力は、好ましくは20〜80N/25mmであり、より好ましくは20〜50N/25mmである。
90°ピール粘着力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0017】
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
【0018】
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、貯蔵弾性率及びピール粘着力を上記した範囲に調整しやすくなる。
【0019】
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B)(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
【0021】
[極性基含有ビニルモノマー(B)]
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層の貯蔵弾性率、ピール粘着力などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、粘着力などを制御でき、両面粘着テープの90°ピール粘着力を上記範囲に調整しやすくなる。
【0023】
[オレフィン重合体(C)]
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、両面粘着テープの貯蔵弾性率及びピール粘着力を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
【0024】
片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L−1253」等が挙げられる。
【0025】
また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、両末端にエポキシ基を有するポリプロピレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリプロピレン等が挙げられる。また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI−1000」、「EA−3000」、「TE−2000」、大阪有機化学工業株式会社製の「BAC−45」等が挙げられる。
オレフィン重合体(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
オレフィン重合体(C)としては、上記した中では、両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが好ましく、中でも両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が好ましい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、ピーク粘着力を上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、貯蔵弾性率、ピール粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
【0027】
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
【0028】
[多官能モノマー(D)]
重合性モノマーは、多官能モノマー(D)を含有することが好ましい。多官能モノマー(D)を含有させることで、重合時に分子鎖が架橋されて、粘着剤層の貯蔵弾性率を高めることができる。
多官能モノマー(D)としては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
市販品としては、例えば、日本曹達株式会社製TEAI−1000などを使用することができる。
多官能モノマー(D)を使用する場合、多官能モノマー由来の構成単位の含有量は、粘着剤層の貯蔵弾性率を所望の範囲に調整する観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
【0029】
[その他のモノマー]
重合性モノマーは、上記した(A)〜(D)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
【0030】
[粘着付与樹脂]
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
【0031】
[微粒子]
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、下地又は化粧材に対する粘着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.7〜5質量部である。
【0032】
[その他の成分]
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
【0033】
[ゲル分率]
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力及び貯蔵弾性率を高めやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤のピール粘着力を高めやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%がさらに好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
【0034】
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
【0035】
粘着剤組成物に光を照射する際に用いることができるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、ケミカルランプが好ましい。粘着剤組成物に対して光を照射する際の光照射強度は、光重合開始剤の有無等によっても異なるが、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。
【0036】
以上説明した、上記(1)〜(3)の要件を満足する両面粘着テープを用いることにより、下地と化粧材との接着性が良好で、化粧材の端部の浮きが高度に抑制された建築用面構造を得ることが可能となる。また、上記(1)〜(3)の要件を満足する両面粘着テープは、このような建築用面構造を製造するための両面粘着テープとして有用である。
【0037】
(建築用面構造の製造方法)
本発明の建築用面構造の製造方法は特に限定されず、例えば、両面粘着テープを下地及び化粧材のいずれか一方に貼り付けて積層体を形成させ、ついで他方を該積層体の両面粘着テープ上に貼り付ければよい。本発明の建築用面構造の製造方法においては、アイロンなどを使用し、高温で圧締する操作は必要としないため、施工が容易となる。なお、本発明の建築用面構造を製造する際には、高温で圧締する操作を行ってもよく、特に妨げられるものではない。
本発明の建築用面構造の製造方法としては、(i)少なくとも曲面を有する下地面に対して両面粘着テープを貼り付けて、下地/両面粘着テープ積層体を得る工程、(ii)工程(i)で得られた下地面/両面粘着テープ積層体の両面粘着テープ側の表面に、化粧材を貼り付けて建築用面構造を得る工程、を少なくとも有する製造方法が好ましい。
工程(i)においては、通常、両面粘着テープの両面は剥離シートが積層されているため、一方の剥離シートを剥がした後に、室温下(例えば5℃〜35℃)で、該両面粘着テープを下地面に対して貼り付ければよい。両面粘着テープを下地面に貼り付ける際の圧力は、通常0.1〜2MPaの範囲で行うことが好ましい。両面粘着テープは、下地面における化粧材が積層される全面又は少なくとも一部に貼り付けられる。両面粘着テープを貼り付けない領域には、適宜公知の接着剤を塗布して、接着性を高めるとよい。
工程(ii)においては、工程(i)で得られた下地面/両面粘着テープ積層体の両面粘着テープの表面の剥離シートを剥離した後に、化粧材を貼り付ける。化粧材を貼り付ける際の圧力は、通常0.2〜0.6MPaの範囲で行うことが好ましい。
【実施例】
【0038】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、本発明における各物性の測定方法、評価方法は以下のとおりである。
【0039】
[厚さ]
ダイヤルゲージで計測したものを厚さとした。
【0040】
[貯蔵弾性率]
測定装置:DVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:−100℃〜100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、25℃における貯蔵弾性率を求めた。試料サイズは、長さ40mm(但し、つかみ間距離25mm)、幅5mmであった。
【0041】
[90°ピール粘着力]
一方の面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた両面粘着テープを幅25mm×長さ150mmに切断し、その後SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。その後、23℃、50%RHの環境下、引張速度300mm/minで90°方向に引っ張ることでピール粘着力として測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を90°ピール粘着力とした。
【0042】
(両面粘着テープ)
各実施例で使用した両面粘着テープは以下のとおり製造した。
<両面粘着テープAの製造>
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ500μmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープを得た。
両面粘着テープB、C及びDについては、表1に記載の配合に変更した以外は、両面粘着テープAと同様にして製造した。
【0043】
【表1】

※表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
多官能アクリレート:商品名「TEAI−1000」、日本曹達株式会社製
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
【0044】
[実施例1]
25℃において、曲率半径Rが0.5mの曲面を有する下地(コンクリート)の該曲面部分であって、化粧材の周縁が貼付される位置に、剥離シートの一方を剥がした両面粘着テープAを圧力0.4MPaで貼り合わせた。次いで、下地に貼り合わされている両面粘着テープAのもう一方の剥離シートを剥がして、接着剤として積水ボンド#75(積水フーラ社製)を縁部以外に塗布した後、この上から、幅900mm、長さ1800mm、厚み1mmの化粧材を圧力0.4MPaで貼り合わせ、建築用面構造を作製した。建築用面構造を作製した後、5分経過後に、建築用面構造を目視した結果、下地面と化粧材は密着しており、化粧材端部の浮きや剥がれは確認されなかった。
【0045】
[比較例1]
両面粘着テープAの代わりに両面粘着テープBを用いた以外は、実施例1と同様にして建築用面構造を作製した。建築用面構造を作製した後、5分経過後に、建築用面構造を目視した結果、化粧材端部が部分的に下地面から剥がれていた。
【0046】
[比較例2]
両面粘着テープAの代わりに両面粘着テープCを用いた以外は、実施例1と同様にして建築用面構造を作製した。建築用面構造を作製した後、5分経過後に、建築用面構造を目視した結果、化粧材端部が部分的に下地面から剥がれていた。
【0047】
[比較例3]
両面粘着テープAの代わりに両面粘着テープDを用いた以外は、実施例1と同様にして建築用面構造を作製した。建築用面構造を作製した後、5分経過後に、建築用面構造を目視した結果、化粧材端部が部分的に下地面から剥がれていた。
【符号の説明】
【0048】
10 下地
10A 下地面
11 両面粘着テープ
12 化粧材
20 建築用面構造
図1