(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトは、前記第1区間において、前記第1ルーメンを有する第1シャフトと、前記第1ルーメン内に配置されている第2シャフトおよび第3シャフトとから構成されており、
前記第2ルーメンが前記第2シャフト内に設けられており、
前記第3ルーメンが前記第3シャフト内に設けられている請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0023】
1.バルーンカテーテル
本発明のバルーンカテーテルは、消化管内の異物の除去に用いられるものであって、遠近方向に延在しているシャフトと、該シャフトの遠位側に接続されているバルーンと、を有し、シャフトは、バルーンに流入させる液体が注入される第1ルーメンと、ガイドワイヤが挿通される第2ルーメンと、を有し、バルーンよりも近位側の第1区間において第1ルーメン内に第2ルーメンが配置されており、シャフトは、バルーンよりも近位側かつ第1区間よりも遠位側に、第2ルーメンが第1ルーメンの外に配置されている第2区間を有している。本発明のバルーンカテーテルは、液体を用いてバルーンを拡張収縮させるため、手元側の操作にバルーンの外径変化が追従しやすく、バルーンの収縮時にもバルーンの外径を微調整しやすい。また、シャフトの第1区間において第1ルーメン内に第2ルーメンを配置することで第1ルーメンの断面積を大きくすることができるため、バルーンの収縮速度を高めることもできる。さらに、第2ルーメンが第1ルーメンの外に配置されている第2区間を第1区間よりも遠位側に設けることにより、第1区間よりも遠位側の内視鏡外に突出する部分のシャフトの外径を小さくすることができるため、カテーテルの挿入性が高められる。なお、第1ルーメンの断面積とは、バルーン拡張用の液体を注入可能な部分の断面積を指し、第1ルーメン内に存在している他の部材(ルーメンを含む)を除いた部分の断面積である。
【0024】
本発明のバルーンカテーテルは、消化管内の異物の除去、例えば胆管に生じる結石を、乳頭を介して十二指腸側に移動させる操作を行うのに用いられる。バルーンカテーテルは、内視鏡の鉗子チャンネルを介して治療部位に送達される。この内視鏡としては、一般に、直径が3.2mmまたは3.7mmの鉗子チャンネルを有するものが用いられる。以下では、バルーンカテーテルを単に「カテーテル」と称することがある。本発明のカテーテルは、ラピッドエクスチェンジ型とオーバーザワイヤ型のいずれにも適用することができる。カテーテルの近位側とはカテーテルの延在方向に対して使用者(術者)の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向(すなわち処置対象側の方向)を指す。また、カテーテルの近位側から遠位側への方向を軸方向または遠近方向と称する。
【0025】
以下、
図1〜
図8を参照しながら、本発明の実施の形態に係るカテーテルについて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルの側面図(一部断面図)であり、
図2、
図3はそれぞれ
図1に示すバルーンカテーテルのII−II線、III−III線に沿った断面図である。
図4〜
図5は
図1に示すバルーンカテーテルの遠位側の側面図(一部断面図)であり、
図6は
図5に示すバルーンカテーテルの変形例を示す側面図(一部断面図)である。
図7〜
図8は
図1に示すバルーンカテーテルのII−II線に沿った断面図の変形例である。なお、
図4はバルーンの収縮状態を示しており、
図1、
図5〜
図6は、シャフトに接合されていないバルーンの作動部の遠位端および近位端を超えない程度にバルーンを拡張させた状態を示している。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るカテーテル1は、遠近方向に延在しているシャフト2と、シャフト2の遠位側に接続されているバルーン4と、を有している。
【0027】
カテーテル1は、後述する注射器からシャフト2を通じてバルーン4の内部に液体が供給されるように構成され、バルーン4の内部に液体が供給されることにより、バルーン4が拡張可能となっている。一方、バルーン4の内部から液体を抜くことにより、バルーン4が収縮可能となっている。バルーン4を拡張させるための液体51は、水または水溶液であることが好ましく、例えば、水道水、純水、水道水にReverse Osmosis(RO)膜処理を施したRO水、生理食塩水、これらの水に造影剤または薬剤が含まれている水溶液であってもよい。
【0028】
図2〜
図3に示すように、シャフト2は、バルーン4に流入させる液体が注入される第1ルーメンL1と、ガイドワイヤ50が挿通される第2ルーメンL2と、を有している。シャフト2は少なくとも2つのシャフト2(例えば、第1シャフトS1と第2シャフトS2)から構成され、第2シャフトS2がガイドワイヤ50の挿通路として機能し、第1シャフトS1と第2シャフトS2の間の空間が液体の流路として機能する。この場合、シャフト2の遠位側では、
図4に示すようにシャフト2がバルーン4を軸方向に貫通し、バルーン4の遠位側と近位側がシャフト2と接合されるように構成される。詳細には、
図4に示すバルーン4は、拡張収縮する作動部4Cと、作動部の遠位側および近位側でそれぞれシャフト2と接合されている遠位接合部4Dおよび近位接合部4Eとを有している。本発明のカテーテル1は、液体を用いてバルーン4を拡張収縮させるため、手元側の操作にバルーン4の外径変化が追従しやすく、バルーン4の収縮時にもバルーン4の外径を微調整しやすいものである。
【0029】
シャフト2に第1ルーメンL1が複数設けられていてもよいが、1つのみ設けられることが好ましい。第1ルーメンL1が複数存在すると、複数の第1ルーメンL1を区画する仕切りの分だけシャフト2の外径が増加して第1ルーメンL1の断面積が小さくなるおそれがあるが、第1ルーメンL1が1つのみであれば、第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができる。
【0030】
シャフト2は、遠位側と近位側を有している。シャフト2としては樹脂チューブが挙げられ、樹脂チューブは例えば押出成形によって製造することができる。シャフト2を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好適に用いられる。
【0031】
シャフト2の外径は内視鏡の鉗子チャンネルのサイズによって制限されるため、カテーテル1が内視鏡の鉗子チャンネルをスムーズに通過するためには、鉗子チャンネルの内壁とシャフト2の外周面のクリアランスを大きくすることが好ましい。
【0032】
図2に示される断面を有する近位側のシャフトと、
図3に示される断面を有する遠位側のシャフトとは遷移部において、シャフトの断面構造が徐々に変化して切り替わる。遷移部は、例えば、シャフトの加熱によって形成される。近位側のシャフトと遠位側のシャフトは例えば以下の方法によって接続される。(1)筒状に形成されている遠位側シャフト、近位側第1シャフト、第2シャフトおよび第3シャフトを準備する。(2)第2シャフトおよび第3シャフトを近位側第1シャフトの内腔に配置する。(3)第2シャフト、第3シャフトに、例えば、それぞれのシャフトの内径に沿った芯材を挿入する。(4)近位側第1シャフトの内腔に、遠位側シャフトの第1ルーメンL1の形状を有する芯材を挿入する。(5)近位側第1シャフトの遠位端面と遠位側シャフトの近位端面を突き当てる、または近位側シャフトの遠位部を遠位側シャフトの近位部の内腔に挿入する、あるいは近位側シャフトの遠位部の内腔に遠位側シャフトの近位部を挿入する。その際、第2シャフト、第3シャフトおよび全ての芯材を、遠位側シャフトの内腔に配置する。(6)近位側第1シャフトと遠位側シャフトが突き当たっている部分、または重なり合っている部分に耐熱性部材を配置し、加熱して遷移部を形成する。(7)遠位側シャフトの外側にも耐熱性部材を配置し、加熱することで、
図3に示される断面を有する遠位側のシャフトが形成される。例えば、上記方法により、
図2に示される断面を有する近位側のシャフトと、
図3に示される断面を有する遠位側のシャフトが、シャフトの外表面や第1ルーメンで段差が生じないように滑らかに接続される。
【0033】
図示していないが、シャフト2の遠位端部(好ましくはバルーン4の収縮時におけるバルーン4の遠位端4Bより遠位側であって、シャフト2の遠位端を含む部分)に、遠位側に向かって先細りに形成されている第1テーパ部が設けられていてもよい。これにより、シャフト2の遠位端部が乳頭を通過する際に生体内壁を傷付けることを抑制できる。
【0034】
図示していないが、バルーン4の収縮状態におけるバルーン4の近位端4Aよりも近位側に、遠位側に向かって先細りに形成されている第2テーパ部が設けられていてもよい。第2テーパ部は、シャフト2の軸方向の中央よりも遠位側に設けられていることが好ましい。このように第2テーパ部を設けることにより、シャフト2の遠位側の剛性を調整することができるとともに、シャフト2の遠位側の外径を小さくすることができる。なお、シャフト2のテーパ部が、バルーン4が配置されている部分に設けられていてもよく、例えばバルーン4の遠位接合部4Dまたは近位接合部4E、あるいは作動部4Cに対応する部分に設けられていてもよい。
【0035】
バルーン4は、ラテックスなどの天然ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムを60質量%以上含有する材料から構成されていることが好ましく、天然ゴムを60質量%以上含有する材料から構成されていることがより好ましい。さらに好ましくは天然ゴムを70質量%以上含有する材料、さらにより好ましくは天然ゴムを80質量%以上含有する材料から構成される。このような材料を用いることで、バルーン4の拡張性が良好となる。
【0036】
バルーン4の寸法は、治療部位の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。例えば、治療部位が十二指腸乳頭等の消化管の場合は、バルーン4の作動部4Cの軸方向長さを5mm〜100mm、バルーン4の拡張時のバルーン4の外径を3mm〜30mmとすることができる。
【0037】
シャフト2とバルーン4の遠位接合部4Dまたは近位接合部4Eとの接合は、接着剤や熱溶着など従来公知の接合手段を用いて行うことができる。また、シャフトのバルーン4が位置する部分には、バルーン4の位置をX線透視下で確認することを可能にするため、一または複数のX線不透過マーカー8を配置してもよい。X線不透過マーカー8は、バルーン4の作動部4C、遠位接合部4Dおよび近位接合部4Eまたはこれら接合部の前後の部分など、用途に応じて配置することができる。シャフト2の位置をX線透視下で確認することを可能にするため、シャフト2には20質量%以上60質量%以下の造影剤が添加されている材料を用いてもよい。造影剤は硫酸バリウムを含有していることが好ましく、30質量%以上50質量%以下含有していることがより好ましい。
【0038】
図1および
図5に示すように、シャフト2の外周面であってバルーン4の内側に、バルーン4の内部と第1ルーメンL1を連通させる側孔3(以下、「第1側孔3A」と称する)が設けられていることが好ましい。これにより、第1側孔3Aを通じてバルーン4の内部に液体を供給することができる。
【0039】
バルーン4の収縮状態において、第1側孔3Aがバルーン4の遠位端よりも近位側であってバルーン4の遠近方向の中央よりも遠位側に設けられていることが好ましい(
図5参照)。本発明ではバルーン4の内部および第1ルーメンL1に液体が注入されるため、手技の前にバルーン4の内部に存在している空気を抜いておく必要があるが、上記の位置に第1側孔3Aを設けることで空気抜きを行いやすくなる。
【0040】
バルーン4の収縮状態において、第1側孔3Aがバルーン4の近位端よりも遠位側であってバルーン4の遠近方向の中央よりも近位側に設けられていてもよい(
図6参照)。第1側孔3Aがこのような位置に設けられていても、バルーン4の内部に液体を供給する際の空気抜きを行える。
【0041】
バルーン4の収縮状態において、シャフト2の遠位端よりも近位側にバルーン4の遠位端が配置されていることが好ましい(
図1、
図5〜
図6参照)。その場合、シャフト2の外周面であってバルーン4の遠位端よりも遠位側に、後述する第3ルーメンL3に連通している側孔3(以下、「第2側孔3B」と称する)を設けることができる。第3ルーメンL3に注入された薬剤や造影剤を第2側孔3Bから生体管内に放出することができる。なお、第3ルーメンL3に連通している側孔3(第2側孔3B)は、シャフト2の外周面であってバルーン4の遠位端よりも遠位側だけでなく、シャフト2の外周面であってバルーン4の近位端よりも近位側に設けることもできる。
【0042】
第1側孔3A、第2側孔3Bはそれぞれ1つまたは複数設けることができるが、バルーン4の内部に液体を供給する際の空気抜きを行いやすくするためには、第1側孔3Aは1つであることが好ましい。シャフト2を外周面側から見たときの第1側孔3Aまたは第2側孔3Bの形状は円形状、楕円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0043】
図2に示すように、本発明では、バルーン4よりも近位側の第1区間2Aにおいて第1ルーメンL1内に第2ルーメンL2が配置されている。第1区間2Aは、バルーン4の近位端4Aよりも近位側に位置する所定長さの区間である。このように第1区間2Aで第1ルーメンL1内に第2ルーメンL2を配置することにより、第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができ、バルーン4の収縮速度を高めることができる。また、注射器によって第1ルーメンL1に液体を注入する場合には、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0044】
軸方向におけるシャフト2の第1区間2Aの長さは、1000mm以上が好ましく、1200mm以上がより好ましく、1500mm以上がさらに好ましく、また、2200mm以下が好ましく、1900mm以下がより好ましく、1800mm以下がさらに好ましい。このように第1区間2Aの長さを設定することにより、バルーン4の収縮速度の向上と注射器の押し引き負荷の低減が図られる。
【0045】
シャフト2の第1区間2Aの遠位端は、バルーン4の収縮状態において、バルーン4の作動部4Cの近位端から50mm以上近位側に位置していることが好ましく、100mm以上近位側がより好ましく、150mm以上近位側がさらに好ましく、また、500mm以下近位側に位置していることが好ましく、400mm以下近位側がより好ましく、300mm以下近位側がさらに好ましい。また、第1区間2Aの遠位端は、シャフト2の軸方向の中央よりも遠位側に設けられていることが好ましい。
【0046】
第1区間2Aの近位端は、バルーン4の収縮状態において、バルーン4の作動部4Cの近位端から1700mm以上近位側の位置にあることが好ましく、1750mm以上近位側がより好ましく、1800mm以上近位側がさらに好ましく、また、2100mm以下近位側が好ましく、2000mm以下近位側がより好ましく、1900mm以下近位側がさらに好ましい。また、第1区間2Aの近位端がシャフト2の近位端であってもよい。
【0047】
シャフト2は、遠近方向全体にわたって第1ルーメンL1内に第2ルーメンL2が配置されていてもよい。このように第1ルーメンL1と第2ルーメンL2を配置することで、バルーン4の収縮速度を高めることができ、また、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0048】
第2ルーメンL2はガイドワイヤ50が挿通することを目的としているため、シャフト2に対して1つのみ設けられることが好ましい。
【0049】
第2ルーメンL2は、シャフト2の遠近方向全体にわたって延在していることが好ましい。これにより、オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルとして好適に使用することができる。
【0050】
手元側の操作に対するバルーン4の外径変化の追従性を調整するために、シャフト2の軸方向の少なくとも一部(より好ましくは第1位置P1から第2位置P2までの少なくとも一部)で、第1ルーメンL1の断面積が遠位側に向かって小さくなっていることが好ましい。また、シャフト2の軸方向において、第1ルーメンL1の断面積は連続的または段階的に変化していることが好ましい。なお、近位側のシャフトと遠位側のシャフトとの遷移部など、第1ルーメンL1の断面積が非連続的に変化する部分があってもよい。ここで、バルーン4の近位端4Aから1200mm近位側の位置を第1位置P1、バルーン4の近位端4Aから30mm近位側の位置を第2位置P2という。
【0051】
図1および
図3に示すように、シャフト2は、バルーン4よりも近位側かつ第1区間2Aよりも遠位側に、第2ルーメンL2が第1ルーメンL1の外に配置されている第2区間2Bを有している。このように第2区間2Bを第1区間2Aよりも遠位側に設けることにより、遠位側での第1ルーメンL1の断面積が小さくなるため、第1区間2Aよりも遠位側の内視鏡外に突出する部分のシャフト2の外径を小さくすることができ、カテーテル1の挿入性が高められる。
【0052】
軸方向において、シャフト2の第1区間2Aは第2区間2Bよりも長いことが好ましい。これにより、第1ルーメンL1の容積を大きくすることができるため、注射器の押し子の移動時に掛かる負荷を低減できる。具体的には、軸方向における第1区間2Aのシャフト長が、第2区間2Bのシャフト長の5倍以上、7倍以上、または10倍以上であってもよく、20倍以下、18倍以下、または16倍以下であってもよい。
【0053】
第2区間2Bの近位端は、バルーン4の収縮状態において、バルーン4の作動部4Cの近位端から50mm以上近位側に位置していることが好ましく、100mm以上近位側がより好ましく、150mm以上近位側がさらに好ましく、また、500mm以下近位側に位置していることが好ましく、400mm以下近位側がより好ましく、300mm以下近位側がさらに好ましい。また、第2区間2Bの近位端は、シャフト2の軸方向の中央よりも遠位側に設けられていることが好ましい。第2区間2Bの近位端は、第1区間2Aの遠位端よりも遠位側に設けられていてもよく、第1区間2Aの遠位端と同じ位置であってもよい。
【0054】
第2区間2Bの遠位端は、バルーン4の収縮状態におけるバルーン4の作動部4Cの近位端と重なっていてもよい。第2区間2Bの近位端または第1区間2Aの遠位端は、シャフト2の遠位端から100mm以上近位側に位置していることが好ましく、150mm以上近位側がより好ましく、200mm以上近位側がさらに好ましく、また、500mm以下近位側に位置していることが好ましく、450mm以下近位側がより好ましく、400mm以下近位側がさらに好ましい。
【0055】
図2〜
図3に示すように、シャフト2は造影剤または薬剤が注入される第3ルーメンL3をさらに有していることが好ましい。このようにシャフト2が第3ルーメンを有していることにより、第3ルーメンを通じて生体管内に造影剤または薬剤を注入することが可能となる。
【0056】
シャフト2に第3ルーメンL3が設けられる場合、第1区間2Aおよび第2区間2Bにおいて、第3ルーメンL3は第2ルーメンL2の外に配置されていることが好ましい。このように第3ルーメンL3を第2ルーメンL2の外に配置することにより、カテーテルの遠位側の外径を小さくすることができ、低侵襲治療により一層貢献できる。
【0057】
シャフト2には、第3ルーメンL3が複数設けられていてもよいが、1つのみ設けられることが好ましい。第3ルーメンL3が複数存在すると、複数の第3ルーメンL3を区画する仕切りの分だけシャフト2の外径が増加して第1ルーメンL1の断面積が小さくなるおそれがあるが、第3ルーメンL3が1つのみであれば、第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができる。
【0058】
第1区間2Aにおいて、シャフト2は次のように構成することができる。
【0059】
図2に示すように、シャフト2は、第1区間2Aにおいて、第1ルーメンL1を有している第1シャフトS1と、第1ルーメンL1内に配置されている第2シャフトS2および第3シャフトS3とから構成されていてもよい。その場合、第2ルーメンL2が第2シャフトS2内に設けられており、第3ルーメンL3が第3シャフトS3内に設けられていることが好ましい。このように第1シャフトS1、第2シャフトS2および第3シャフトS3からシャフト2を構成することにより、第1区間2Aにおける第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができる。
【0060】
他の実施態様として、
図7に示すように、シャフト2は、第1区間2Aにおいて、第1ルーメンL1を有している第1シャフトS1と、第1ルーメンL1内に配置されている第2シャフトS2から構成されており、第2ルーメンL2および第3ルーメンL3が第2シャフトS2内に設けられていてもよい。このようにシャフト2を構成しても第1区間2Aにおける第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができる。また、第2シャフトS2の肉厚を大きくすることができるため、第1ルーメンL1に液体を供給することで第2シャフトS2が外圧を受けても第2ルーメンL2と第3ルーメンL3が変形しにくい。また、
図7に示すように、第2ルーメンL2を第1シャフトS1の軸心付近に配置することができるため、ガイドワイヤ50も第1シャフトS1の軸心付近に配置されやすくなる。
【0061】
さらに他の実施態様として、
図8に示すように、シャフト2は、第1区間2Aにおいて、第1ルーメンL1および第3ルーメンL3を有している第1シャフトS1と、第1ルーメンL1内に配置されている第2シャフトS2から構成されており、第2ルーメンL2が第2シャフトS2内に設けられていてもよい。このようにシャフト2を構成しても第1区間2Aにおける第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができる。また、
図8に示すように、第2ルーメンL2を第1シャフトS1の軸心付近に配置することができるため、ガイドワイヤ50も第1シャフトS1の軸心付近に配置されやすくなる。
【0062】
図示していないが、さらに他の実施態様として、シャフト2は、第1ルーメンL1と第2ルーメンL2のみを有していてもよい。すなわち、シャフト2には、造影剤または薬剤の注入専用の第3ルーメンL3が設けられていなくてもよい。その場合、ガイドワイヤ50が挿通される第2ルーメンL2に、造影剤または薬剤が注入されてもよい。このようにシャフト2を構成することにより、シャフト2の近位側での第1ルーメンL1の断面積をより大きくすることができるため、バルーン4の収縮速度を一層高めることができる。
【0063】
シャフト2は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。シャフト2は、軸方向または周方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。例えば、シャフト2が内層と、内層よりも半径方向の外側にある外層とを有している場合、内層を外層よりも吸水率が低い材料から構成することができる。これにより、シャフト2の内層が液体と接触してもシャフト2の膨張を抑制できる。
【0064】
図2、
図7〜
図8の実施態様において、一のシャフトと他のシャフトは同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。例えば、
図2に示す態様の場合、第1シャフトS1を構成する材料の親水性を、第2シャフトS2を構成する材料よりも高くすることができる。第1シャフトS1の壁面を親水状態にすることで、液体に含まれる造影剤や薬剤等が第1シャフトS1の壁面に付着しにくくなる。
【0065】
第1ルーメンL1または第3ルーメンL3を画定するシャフト2の壁面、例えば
図2に示す第2シャフトS2または第3シャフトS3の外側壁面、第1シャフトS1の内側壁面、或いは
図7または
図8に示す第2シャフトS2の外側壁面にコーティング剤が塗布されていることが好ましい。コーティング剤はシャフト2を構成する材料よりも吸水性が低い材料を含むことが好ましい。これにより、シャフト2の壁面が液体と接触したときにシャフト2が膨張することを抑制できる。コーティング剤は親水性高分子材料や界面活性剤を含んでいてもよい。シャフト2の壁面を親水状態にすることで、液体に含まれる造影剤や薬剤等が壁面に付着しても液体の流れによって流すことができる。例えば、第1ルーメンL1を構成する壁面にコーティング剤が塗布されている場合には、第1ルーメンL1に狭窄が生じにくくなるため、バルーン4の内部への液体の供給が行いやすくなる。また、同様の理由から、シャフト2の壁面にはプラズマ処理等の親水化処理が施されていてもよい。
【0066】
ガイドワイヤの摺動性を高めるために、第2ルーメンL2の壁面にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂やシリコーンオイルを含む潤滑剤が塗布されていてもよい。
【0067】
シャフト2の第1区間2Aの少なくとも一部で、第1ルーメンL1の断面積が、第2ルーメンL2の断面積と第3ルーメンL3の断面積の少なくともいずれか一方よりも大きいことが好ましい。これにより、バルーン4の収縮速度を高めることができる。また、注射器によって第1ルーメンL1に液体を注入する場合には、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0068】
シャフト2の第1区間2Aの少なくとも一部で、第2ルーメンL2の断面積が第3ルーメンL3の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、第2ルーメンL2のガイドワイヤ50の挿通性を良好にしつつ、第1ルーメンL1の断面積を確保することができる。
【0069】
シャフト2の第2区間2Bの少なくとも一部で、第1ルーメンL1の断面積が第2ルーメンL2の断面積よりも小さいことが好ましい。これにより、第2ルーメンL2へのガイドワイヤ50の挿通を可能にしつつ、カテーテル1の遠位側の外径を小さくすることができるため、低侵襲治療に貢献することができる。
【0070】
シャフト2の第2区間2Bの少なくとも一部で、第2ルーメンL2の断面積が第3ルーメンL3の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、第2ルーメンL2へのガイドワイヤ50の挿通を可能にしつつ、カテーテル1の遠位側の外径を小さくすることができる。
【0071】
シャフト2の第2区間2Bの少なくとも一部で、第1ルーメンL1の断面積が第3ルーメンL3の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、バルーン4の収縮速度を高めることができる。また、注射器によって第1ルーメンL1に液体を注入する場合には、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0072】
シャフト2の断面積は具体的に次のように設定することができる。例えば、バルーン4の近位端4Aから1200mm近位側の第1位置P1における第1ルーメンL1の断面積が、バルーン4の近位端4Aから30mm近位側の第2位置P2における第1ルーメンL1の断面積の2倍以上であることが好ましく、2.25倍以上であることがより好ましく、2.5倍以上であることがさらに好ましく、また、5倍以下であることが好ましく、4.5倍以下であることがより好ましく、4倍以下であることがさらに好ましい。このように第1ルーメンL1の断面積を設定することにより、収縮時にバルーン4の外径を微調整しやすくなり、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0073】
第1位置P1は、シャフト2の近位側の断面積の大きさを示す代表地点であり、第2位置P2は、シャフト2の遠位側の断面積の大きさを示す代表地点である。
【0074】
第1位置P1における第1ルーメンL1の断面積が、0.3mm
2以上であることが好ましく、0.5mm
2以上であることがより好ましく、1mm
2以上であることがさらに好ましい。これにより、収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくなり、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。また、第1位置P1における第1ルーメンL1の断面積は、5mm
2以下であることが好ましく、4mm
2以下であることがより好ましく、3mm
2以下であることがさらに好ましい。このように第1ルーメンL1の断面積を設定することにより、内視鏡の鉗子チャンネルにカテーテルを挿通することができる。
【0075】
また、第2位置P2における第1ルーメンL1の断面積が、0.1mm
2以上であることが好ましく、0.2mm
2以上であることがより好ましく、0.3mm
2以上であることがさらに好ましい。また、第2位置P2における第1ルーメンL1の断面積が、2mm
2以下であることが好ましく、1mm
2以下であることがより好ましく、0.8mm
2以下であることがさらに好ましい。このように第1ルーメンL1の断面積を設定することにより、収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくしつつ、カテーテルの遠位側の外径を小さくすることができる。
【0076】
シャフト2の第1位置P1と第2位置P2の間でも、第1ルーメンL1の断面積は可能な限り大きいことが好ましい。例えば、バルーン4の近位端4Aから700mm近位側の第3位置における第1ルーメンL1の断面積が、第2位置P2における第1ルーメンL1の断面積の2倍以上であることが好ましく、2.25倍以上であることがより好ましく、2.5倍以上であることがさらに好ましく、また、5倍以下であることが好ましく、4.5倍以下であることがより好ましく、4倍以下であることがさらに好ましい。軸方向の広範囲で第1ルーメンL1の断面積を大きくできるため、収縮時のバルーン4の外径の微調整がより一層容易になる。
【0077】
シャフト2の第1位置P1が第1区間2Aに配置されていることが好ましい。つまり、第1位置P1では、第1ルーメンL1内に第2ルーメンL2が配置されていることが好ましい。これにより、収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくなり、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0078】
シャフト2の第2位置P2が第2区間2Bに配置されていることが好ましい。つまり、第2位置P2では、第2ルーメンL2が第1ルーメンL1の外に配置されていることが好ましい。このようにシャフト2を構成することにより、カテーテル1の遠位側の外径を小さくすることができる。
【0079】
シャフト2は、第1位置P1において、第1ルーメンL1の断面積が第2ルーメンL2の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくなり、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0080】
バルーン4の近位端4Aから700mm近位側の第3位置では、第1ルーメン内に第2ルーメンL2が配置されていることが好ましい。つまり、シャフト2の第3位置が第1区間2Aに配置されていることが好ましい。これにより、軸方向の広範囲で第1ルーメンL1の断面積を大きくできるため、収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくなり、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0081】
シャフト2は造影剤または薬剤が注入される第3ルーメンL3を有している場合、第1位置P1において、第1ルーメンL1の断面積が第3ルーメンL3の断面積よりも大きいことが好ましい。これにより、バルーン4の収縮速度を高めることができる。また、注射器によって第1ルーメンL1に液体を注入する場合には、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0082】
シャフト2は、第1位置P1では、第1ルーメンL1内に第3ルーメンL3が配置されており、第2位置P2では、第3ルーメンL3が第1ルーメンL1の外に配置されていることが好ましい。これにより、シャフト2の近位側での第1ルーメンL1の断面積を大きくすることができるため、バルーン4の収縮速度を高めることができる。また、注射器によって第1ルーメンL1に液体を注入する場合には、注射器の押し子を遠近方向に移動させるときの負荷も低減することができる。
【0083】
カテーテルは、下記バルーン収縮試験Iの後のバルーン4の最大外径が10mm以下であることが好ましく、9mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることがさらに好ましく、また、3mm以上あるいは5mm以上であることも許容される。バルーン収縮試験Iの後のバルーン4の最大外径がこのような範囲であれば、後述する第1押し子の移動に追従してバルーン4の外径が変化するため、バルーン4の収縮時にバルーン4の外径の微調整をしやすくなる。
【0084】
[バルーン収縮試験I]
(1)内径が15mmの第1筒状体と、第1筒状体内で遠近方向に移動する第1押し子とを有する第1注射器を、シャフト2の近位側に接続し、第1ルーメンL1と第1筒状体の内腔を連通させる。
(2)第1筒状体内と第1ルーメンL1内に水が存在し、かつバルーン4が収縮状態での第1押し子の位置を初期位置とする。
(3)第1押し子を初期位置から遠位側に移動させることによって、バルーン4の外径が15mmになるまでバルーン4の内部に水を注入する。
(4)第1押し子を2mm/秒で初期位置まで近位側に移動させる。
【0085】
試験装置は、バルーン4の外径を測定する外径測定器を有している。外径測定器としては、キーエンス社製のレーザー外径測定器LS−7600を用いることができる。外径測定器は、光照射部と受光部とを含むことが好ましい。その場合、光照射部と受光部の間にバルーン4が配置される。
【0086】
第1注射器は特に限定されないが、例えばテルモ社製のシリンジSS−05Lz(ロックタイプ)を用いることができる。空気抜きに使用する注射器(後述する第4注射器)も特に限定されないが、例えばメリットメディカル社製VacLoc(VAC130P)を用いることができる。
【0087】
バルーン収縮試験Iでは、ステップ(4)の前にバルーン4の内部に空気が存在している場合は空気を抜く。空気を抜く方法は、「2.バルーンカテーテルの作動方法」に記載の脱気工程を参照して行うことができる。
【0088】
なお、バルーン収縮試験Iに用いる試験装置は、後述する
図1の第3注射器30に代えて第1注射器を配置し、バルーン4の外にバルーンの外径を測定する外径測定器を配置することで構成できる。
【0089】
また、カテーテルは、下記バルーン収縮試験IIにおけるバルーン4の収縮速度が0.3mL/秒以上であることが好ましく、0.4mL/秒以上であることがより好ましく、0.5mL/秒以上であることがさらに好ましく、1.5mL/秒以下または1mL/秒以下であることも許容される。バルーン収縮試験IIにおけるバルーン4の収縮速度がこのような範囲であれば、バルーン4の収縮速度を高めることができる。
【0090】
[バルーン収縮試験II]
(1)内径が23.7mmの第2筒状体と、第2筒状体に挿入され遠近方向に移動する第2押し子とを有する容量が30mLのバックロックを有する第2注射器と、第1接続口21と第2接続口22と第3接続口23を有する三方活栓20と、第1ルーメンL1の圧力を計測する圧力センサとを準備する。
(2)第2筒状体に水を3mL入れ、三方活栓20の第1接続口21にシャフト2の近位側を接続し、第2接続口22に第2注射器を接続して第1ルーメンL1と第2筒状体の内腔を連通させ、第3接続口23に圧力センサを接続する。
(3)第2押し子を遠位側に移動させることによって、バルーン4の内部に第2注射器内の水量の少なくとも95%以上を注入する。
(4)三方活栓20を操作して第2注射器をバルーン4から遮断し、バックロック状態で陰圧にした上で、三方活栓20を操作して第2注射器とバルーン4とを連通し、バックロックを操作して−100kPaで水を吸引開始してから、バルーン4の収縮が完了するまでの時間を測定する。
[バルーンの収縮速度]
バルーンの収縮速度(mL/秒)=バルーンの容積3mL/上記(4)の時間(秒)
【0091】
第2注射器として、メリットメディカル社製VacLoc(VAC130P)を用いることができる。圧力センサとしてバルコム社製の中高圧用高精度タイプ圧力センサ(型番:VPRT−A3−5MPa−5)を用いることができる。
【0092】
バルーン収縮試験IIでは、ステップ(4)の前にバルーン4の内部に空気が存在している場合、空気抜き用の注射器(後述する第4注射器)を用いて空気を抜く。空気を抜く方法は、「2.バルーンカテーテルの作動方法」に記載の脱気工程を参照して行う。
【0093】
図示していないが、バルーン収縮試験IIでは、後述する
図1の第3注射器30に代えて第2注射器を、
図1の第4注射器40に代えて圧力センサを接続する以外はバルーン収縮試験Iと同様にして試験装置を構成する。
【0094】
バルーン収縮試験IおよびIIは室温下、常温(例えば25度±1度)の水を用いて行う。水としては、例えば、水道水、純水、RO水を用いることができる。
【0095】
次にカテーテル1の近位側の構成について
図1を参照して説明する。シャフト2の近位側にはバルーン4の内部に水を流入させる第1ルーメンL1と連通している第1流体注入部11が接続されていることが好ましい。シャフト2の近位側には分岐管10が好ましく設けられる。分岐管10は、第1流体注入部11を有していることが好ましく、2つまたは3つに分岐していてもよい。分岐管10は、第1流体注入部11のほか、第3ルーメンL3と連通しており造影剤または薬剤を第3ルーメンL3に注入する第2流体注入部12や、第2ルーメンL2と連通しており第2ルーメンL2にガイドワイヤ50を挿入する処置部13を有していてもよい。第1流体注入部11と、第2流体注入部12と、処置部13は、それぞれ管路として樹脂チューブを有していることが好ましい。シャフト2と分岐管10の接合は、接着剤や熱溶着など従来公知の接合手段を用いて接合できる。
【0096】
シャフト2の近位端部には、液体を第1ルーメンL1に注入する注射器(以下、「第3注射器30」と称する)が接続されており、第3注射器30は、筒状体(以下、「第3筒状体31」と称する)と、第3筒状体31内で遠近方向に移動する押し子(以下、「第3押し子32」と称する)と、を有していることが好ましい。これにより、第1ルーメンL1に液体を注入することができる。例えば、
図1に示すように、分岐管10の遠位側がシャフト2の近位端部に接続されており、分岐管10の第1流体注入部11に第3注射器30の遠位側が接続されていてもよい。
【0097】
第3筒状体31の内径は8mm以上が好ましく、9mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、また、17mm以下が好ましく、16mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。これにより、第3押し子32を遠近方向に移動させるときの負荷を低減することができる。
【0098】
さらに、シャフト2と第3注射器30との間に三方活栓20が接続されていることが好ましい。このように三方活栓20を設けることにより流路の切り替えを容易に行うことができる。
【0099】
さらに、シャフト2の近位端部と、第3注射器30と、第1ルーメンL1内の空気を吸入する他の注射器(以下、「第4注射器40」と称する)と、がそれぞれ接続されている三方活栓20が設けられていることが好ましい。第4注射器40によりバルーン4の内部の空気抜きの操作を行うことができる。また、三方活栓20にシャフト2と第3注射器30と第4注射器40を接続することにより、第3注射器30によるバルーン4の拡張収縮操作と、第4注射器40によるバルーン4の内部の空気抜き操作の切り替えをスムーズに行うことができる。例えば
図1に示すように、三方活栓20が第1接続口21と、第2接続口22と、第3接続口23を有しており、第1接続口21に第1流体注入部11の樹脂チューブが接続されており、第2接続口22に第3注射器30の遠位端部が接続されており、第3接続口23に第4注射器40の遠位端部が接続されていてもよい。
【0100】
第3注射器30と同様に、第4注射器40は、第4筒状体41と、第4筒状体41内で遠近方向に移動する第4押し子42と、を有していることが好ましい。
【0101】
2.バルーンカテーテルの作動方法
本発明には消化管内の異物の除去に用いられるバルーンカテーテルの作動方法も含まれる。この作動方法は、準備工程と、液体注入工程と、を有する点に要旨を有する。作動方法について
図9〜
図11を参照しながら説明する。
【0102】
(準備工程)
遠近方向に延在しているシャフト2と、シャフト2の遠位側に接続されているバルーン4と、シャフト2の近位端部に接続されており、筒状体(第3筒状体31)と筒状体(第3筒状体31)内を遠近方向に移動する押し子(第3押し子32)とを有する注射器(第3注射器30)と、を有し、シャフト2がバルーン4と注射器(第3注射器30)と連通している第1ルーメンL1を有するカテーテル1を準備する。カテーテル1としては、「1.バルーンカテーテル」で説明したものを用いることができる。
【0103】
(液体注入工程)
第3押し子32の遠位側への移動により、第1ルーメンL1に液体51を注入する。液体注入工程において、液体51は水または水溶液であることが好ましく、例えば、水道水、純水、RO水、生理食塩水、これらの水に造影剤または薬剤が含まれている水溶液であってもよい。液体注入工程により、
図9に示すようにバルーン4の内部に液体51が注入される。
【0104】
(脱気工程)
次に、バルーン4の内部に溜まっている空気を抜くことが好ましい。これにより、バルーン4の内部を液体51で満たすことができる。
【0105】
脱気工程において、バルーン4の内部の空気を抜くために、
図1に示すようにシャフト2の近位端部に他の注射器(第4注射器40)が接続されていることが好ましい。他の注射器(第4注射器40)は、筒状体(第4筒状体41)と、筒状体(第4筒状体41)内で遠近方向に移動する押し子(第4押し子42)とを有している。第4押し子42を近位側に移動させることで、バルーン4の内部の空気を吸引することができる。
【0106】
バルーン4の内部の空気を抜くために、カテーテル1のシャフト2としては、バルーン4の内部と連通している側孔(第1側孔3A)を有しているものを用いることが好ましい。バルーン4の空気抜きは次のようにして行う。
図10に示すようにシャフト2の第1側孔3Aが設けられている側が重力方向と反対側(上側)となるようにシャフト2を把持する。このとき第1側孔3Aはバルーン4の内部の液体51と接触していないことが好ましい。このようにシャフト2を把持すると、バルーン4の内部の空気が上側に移動する。次に、第4注射器40の第4押し子42を近位側に移動させることで、バルーン4の内部を減圧する。これにより、
図11に示すようにバルーン4の内部の空気がバルーン4の内部に存在している液体51よりも先に、シャフト2の第1側孔3Aと第1ルーメンL1を通じて吸引されて、第4筒状体41まで吸い上げられる。
【0107】
(拡張工程)
バルーン4の拡張は、第3押し子32を第3筒状体31に対して遠位側に移動することにより行う。脱気工程の後に、カテーテル1を内視鏡の処置具チャンネルを通じて、患者の体内へ挿入し、カテーテル1の先端を十二指腸から乳頭を通じて胆管内へ挿入する。このとき、内視鏡の先端から患者の体内へ挿入されるカテーテル1の部分は、カテーテル1の遠位端から第1区間2Aの近位端までの間であることが好ましい。第1区間2Aは柔軟性が高く、体内を傷つけにくいためである。カテーテル1のバルーン4を、胆管内部で結石を越えて結石よりも胆管の末梢側、すなわち胆管内であって乳頭の反対側へ配置し、バルーン4を拡張する。
【0108】
バルーン4の拡張工程では、バルーン4へゆっくりと液体を注入し、バルーンが配置された箇所の胆管径よりもやや大きくバルーン4を拡張する。これにより、バルーン4が胆管の内壁に密着することができる。胆管の形状により異なるが、拡張後のバルーン4の最大外径は、胆管径より1%から20%程度大きく、胆管に密着し、隙間がないことが好ましい。急激にバルーン4を拡張したり、バルーン4を拡張しすぎると患者に負担を与えることになる。
【0109】
(収縮工程)
バルーン4の収縮は、第3押し子32を第3筒状体31に対して近位側に移動することにより行う。バルーン4を拡張した後、カテーテル1を引いて、バルーン4を結石と共に乳頭側へ移動させる。一般的に治療が必要な結石がある胆管は、乳頭側へ向かって内径が小さくなっているため、内径サイズに応じてバルーン4を収縮させながら、バルーン4を結石と共に乳頭側へ移動させる。これにより、バルーン4と共に結石を、乳頭を通じて排出させることができる。バルーン4の収縮速度は、患者の胆管径や、カテーテル1の牽引速度、カテーテル1に取り付けられた第3注射器30に依存して異なるが、0.25mm/秒から3mm/秒で第3押し子32を近位側に移動させることが好ましい。バルーン4の収縮工程においても、バルーン4が胆管の内壁に密着していることが好ましい。本発明のカテーテル1によれば、バルーン4を収縮させる際に、急激に縮んだりせず、第3押し子32を近位側へ移動させる操作に追従してバルーン4の外径が変化するため、結石を効率的に排出することができる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0111】
まず、各種試験に用いた実施例1、比較例1〜2に係るバルーンカテーテルについて説明する。
【0112】
実施例1
図1〜
図3に示すように、バルーンに流入させる液体が注入される第1ルーメン内に、ガイドワイヤが挿通される第2ルーメンが配置されている第1区間と、バルーンよりも近位側かつ第1区間よりも遠位側に、第2ルーメンが第1ルーメンの外に配置されている第2区間を有しているものを用いた。なお、造影剤または薬剤が注入される第3ルーメンは、第1区間において第1ルーメン内に配置されており、第2区間において第1ルーメンの外に配置されていた。第1区間の長さは1700mm、第2区間の長さは235mmであった。第2区間の遠位端を、バルーンの作動部の近位端に設定した。
【0113】
比較例1
バルーンカテーテルの先端から該先端よりも350mm近位側の位置までにおいて、
図2と同様に第1ルーメンの外に第2ルーメンと第3ルーメンが配置されていた。他方、上記先端よりも350mm近位側の位置から上記先端よりも2000mm近位側の位置までにおいて、
図12に示すようにシャフトに第1ルーメンと第3ルーメンが配置されており、第2ルーメンが配置されていなかった。
【0114】
比較例2
シャフトの遠近方向全体にわたって、
図13に示すように第1ルーメンの外に第2ルーメンおよび第3ルーメンが配置されていた。
【0115】
(第1ルーメンの断面積比)
バルーンカテーテルのシャフトの第1位置(バルーンの収縮状態において、バルーンの近位端から1200mm近位側の位置)での断面積(A)と第2位置(バルーンの収縮状態において、バルーンの近位端から30mm近位側の位置)での断面積(B)の比(A)/(B)を、キーエンス社製デジタルマイクロハイスコープVHX−1000を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
(バルーン収縮試験I:バルーンの外径変化)
温度26.0度の環境下、バルーン収縮試験Iを行った後、バルーンの外径をキーエンス社製のレーザー外径測定器LS−7600を用いて測定した。結果を
図14および表2に示す。なお、第1注射器としてテルモ社製のシリンジSS−05Lz(ロックタイプ)を使用した。バルーン拡張用の水として、水温が24.8度のRO水を用いた。なお、試験の詳細は「1.バルーンカテーテル」に記載したとおりである。
[バルーン収縮試験I]
(1)内径が15mmの第1筒状体と、第1筒状体内で遠近方向に移動する第1押し子とを有する第1注射器を、シャフトの近位側に接続し、第1ルーメンと第1筒状体の内腔を連通させる。
(2)第1筒状体内と第1ルーメン内に水が存在し、かつバルーンの収縮状態での第1押し子の位置を初期位置(0mm)とする。
(3)第1押し子を初期位置から遠位側に移動させることによって、バルーンの外径が15mmになるまでバルーンの内部に水を注入する。
(4)第1押し子を2mm/秒で初期位置まで近位側に移動させる。
【0118】
【表2】
【0119】
上記(3)において、バルーンを外径15mmまで拡張したときの第1押し子の初期位置からの距離と、水の注入量を表3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】
実施例1のバルーンカテーテルは、比較例1に比べて第2位置での第1ルーメンの断面積が大きく、比較例2に比べて第1位置での第1ルーメンの断面積が大きかった。実施例1は、比較例1〜2と比較して、第1押し子の近位側への移動に追従してバルーンの外径が大きく変化し、特に初期位置に近づくにつれて外径変化率が大きくなった。比較例1〜2では、第1押し子を初期位置に戻しても外径が11.5〜11.6mmまでしか下がらず、これに対して実施例1では初期位置でのバルーンの外径は6.2mmであった。この結果から、本発明のバルーンカテーテルは、手元側の操作にバルーンの外径変化が追従しやすく、収縮時にもバルーンの外径の微調整をしやすいことが分かった。
【0122】
(バルーン収縮試験II:収縮速度)
温度25度の環境下、バルーン収縮試験IIを行い、バルーンの収縮速度を算出した。結果を表4に示す。表4に示す比較例1および2の収縮速度は、3回計測した平均値を示している。なお、圧力センサとしてバルコム社製の中高圧用高精度タイプ圧力センサ(型番:VPRT−A3−5MPa−5)を使用した。バルーン拡張用の水として、水温が25度のRO水を用いた。なお、試験の詳細は「1.バルーンカテーテル」に記載したとおりである。結果を表4に示す。
[バルーン収縮試験II]
(1)内径が23.7mmの第2筒状体と、第2筒状体に挿入され遠近方向に移動する第2押し子とを有する容量が30mLのバックロックを有する第2注射器と、第1接続口と第2接続口と第3接続口を有する三方活栓と、第1ルーメンの圧力を計測する圧力センサとを準備する。
(2)第2筒状体に水を3mL入れ、三方活栓の第1接続口にシャフトの近位側を接続し、第2接続口に第2注射器を接続して第1ルーメンと第2筒状体の内腔を連通させ、第3接続口に圧力センサを接続する。
(3)第2押し子を遠位側に移動させることによって、バルーンの内部に第2注射器内の水量の少なくとも95%以上を注入する。
(4)三方活栓を操作して第2注射器をバルーンから遮断し、バックロック状態で陰圧にした上で、三方活栓を操作して第2注射器とバルーンとを連通し、バックロックを操作して−100kPaで水を吸引開始してから、バルーンの収縮が完了するまでの時間を測定する。
[バルーンの収縮速度]
バルーンの収縮速度(mL/秒)=バルーンの容積3mL/上記(4)の時間(秒)
【0123】
【表4】
【0124】
実施例1のバルーンカテーテルは、比較例1〜2と比較して高い収縮速度を有しており、手技に適していることが分かった。
【0125】
(注射器の筒状体の内径と押し子の負荷)
実施例1、比較例1〜2のカテーテルについて、第1ルーメンと連通するように接続した注射器の種類を変化させたときの押し子の負荷(単位:kgf)を測定した。温度25度の環境下、測定を行った。各注射器の筒状体に水温25度のRO水3mLを入れ、1mm/秒の速度で、フォースゲージで注射器の筒状体を遠位側に移動させてバルーンをRO水で拡張させたときの最大負荷を測定した。最大負荷の測定には、日本電産シンポ株式会社製デジタルフォースゲージ(FEP−10)を用いた。結果を表5に示す。
【0126】
【表5】
【0127】
実施例1のバルーンカテーテルは、比較例1〜2と比較して押し子の負荷を低減することができることが分かった。