(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態による電動機制御装置を、四輪自動車の電動ブレーキ装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1において、電動ブレーキ装置1は、車両を停止させるために制動力を付与する。この電動ブレーキ装置1は、車両のホイールシリンダ(図示せず)にブレーキ液を供給するために、マスタシリンダ(M/C)2で発生させるブレーキ液圧を電気的に制御する電動倍力装置(電動式ブースタ)を構成している。このため、電動ブレーキ装置1は、ブレーキ液圧を制御するための電動機11と、電動機11を制御する演算装置31と、を備えている。
【0011】
このとき、電動ブレーキ装置1は、電動機11の駆動電力を供給するためのモータ駆動用電源系統10と、演算装置31の駆動電力を供給するためのロジック駆動用電源系統30とを備えている。モータ駆動用電源系統10は、電動機11、インバータ12、インバータ作動回路18等を備えている。ロジック駆動用電源系統30は、演算装置31、昇降圧回路34等を備えている。
【0012】
電源3は、例えば車両に搭載されたバッテリであり、蓄電装置を構成している。この電源3は、内燃機関からなるエンジン(図示せず)により回転駆動されて発電するジェネレータ(図示せず)の電力を蓄電する。電源3は、電源ライン4を介してエンジンの始動装置であるスタータモータ5に接続されている。このため、電源3は、スタータモータ5が駆動するときに電力を供給する。また、電源3は、インバータ12を介して電動機11に電力を供給する。これに加え、電源3は、インバータ作動回路18に電力を供給する。さらに、電源3は、演算装置31等にも電力を供給する。
【0013】
また、演算装置31には、ストロークセンサ6が接続されている。ストロークセンサ6は、運転者によるブレーキペダルの操作(踏込み)量を検出し、この操作量に応じた検出信号を、本発明の制動要求信号として演算装置31に出力する。
【0014】
次に、モータ駆動用電源系統10について説明する。モータ駆動用電源系統10は、電動機11、インバータ12、インバータ作動回路18等を備えている。
【0015】
電動機11は、制動要求信号に応じて制動力を出力する。この電動機11は、例えばDCブラシレスモータからなる電動倍力装置の電動モータとして構成され、後述の演算装置31により駆動制御される。電動機11は、ブレーキペダル(図示せず)の操作(踏込み)量に基づき、マスタシリンダ2内のピストン(図示せず)を作動させてマスタシリンダ2内にブレーキ液圧を発生させる。
【0016】
電動機11は、インバータ12を介して電源3に接続されている。インバータ12は、例えばn型のMOSFET等からなる複数のスイッチング素子Sを用いて構成されている。インバータ12は、電源3からの直流電力を交流電力に変換して電動機11に供給する。これにより、インバータ12は、電動機11を駆動する。ここで、インバータ12は、インバータ作動回路18によって、各スイッチング素子SのON/OFFが制御される。
【0017】
また、インバータ12は、ハイサイドのスイッチング素子S(上アーム)とローサイドのスイッチング素子S(下アーム)とによって1相分の回路が形成される。このため、3相の電動機11を制御するためには、インバータ12は、例えば合計6個のスイッチング素子Sによって3相分の回路を構成している。
【0018】
ローサイドのスイッチング素子Sは、n型のMOSFETのソースがグランドレベルとなるため、ゲートに電源3からの電源電圧Vbを印加することによって、ONとOFFの切換えが可能である。一方、ハイサイドのスイッチング素子Sは、n型のMOSFETのソースが電源電圧レベルまで上昇する可能性があるため、ゲートに電源電圧Vbよりも高い電圧を印加する必要がある。
【0019】
インバータ12は、電源ライン4とは別個の電源ライン13を介して電源3に接続されている。電源ライン13は、電源3とインバータ作動回路18とを接続する電源ライン20の途中位置から分岐している。電源ライン13は、電源3と第1ダイオード21の間で電源ライン20から分岐し、電源3の電力をインバータ12に供給する第3経路を構成している。電源ライン20には、半導体リレー14,15が設けられている。このとき、電源ライン13は、半導体リレー14,15よりも下流側の位置で電源ライン20から分岐している。このため、電源3は、半導体リレー14,15がON(接続状態)となったときに、インバータ12に電力を供給する。
【0020】
半導体リレー14,15は、例えば電動機11の非起動時や異常発生時のように、電動機11の作動を希望しないときに、電動機11およびインバータ12への電力供給を停止するフェールセーフリレーである。半導体リレー14,15は、インバータ12のスイッチング素子Sとほぼ同様に構成されている。このとき、半導体リレー14,15は、互いに直列接続されている。なお、半導体リレー14,15は、MOSFETに並列接続されたダイオードの極性が互いに逆になっている。
【0021】
半導体リレー14,15は、インバータ作動回路18を経由して電力供給されて作動し、電源3から電動機11への電力供給をON/OFFする。具体的には、半導体リレー14,15のゲートは、スイッチ14A,15Aを通じて、インバータ作動回路18の昇圧回路18Aの出力に接続されている。半導体リレー14,15は、電源ライン20における電源ライン13の分岐点Pbと電源3との間に設けられ、電源3から電動機11へ電力供給するか、または遮断するかを切替える。半導体リレー14,15のゲートに、昇圧回路18Aから電源電圧Vbよりも高い電圧(高側ゲート電圧VgH)が印加されることによって、半導体リレー14,15はONする。スイッチ14A,15AのON/OFFは、演算装置31によって制御される。
【0022】
コンデンサ16(インバータコンデンサ)は、半導体リレー14,15とインバータ12との間に設けられている。具体的には、コンデンサ16は、半導体リレー14,15とインバータ12との間に位置して、電源ライン13に接続されている。コンデンサ16は、平滑回路を構成し、直流に含まれる変動分の平滑を目的に使用される。コンデンサ16は、プリチャージ回路17を介して電源3に接続されている。
【0023】
プリチャージ回路17は、電源ライン13に設けられるコンデンサ16に、半導体リレー14,15を介さずに電源3の電力を供給する。プリチャージ回路17は、半導体リレー14,15よりも上流側で電源3に電気的に接続されると共に、電源ライン13に電気的に接続されている。例えば、コンデンサ16に電荷が貯まっていない状態で半導体リレー14,15を導通すると、突入電流が発生してしまう。プリチャージ回路17は、このような突入電流の発生を防止するために、予めコンデンサ16に電荷をチャージする回路である。プリチャージ回路17は、互いに直列接続されたプリチャージ抵抗17Aとプリチャージスイッチ17Bとを備えている。プリチャージ回路17は、プリチャージ抵抗17Aおよびプリチャージスイッチ17Bを介して、電源3(ロジック用電源)の電力をコンデンサ16に供給する。このとき、プリチャージ抵抗17Aによって電流が制限されるため、プリチャージスイッチ17BがONになっても、大電流は流れない。プリチャージスイッチ17BのON/OFFは、演算装置31によって制御される。プリチャージ回路17は、電源ライン13を介して電源ライン20に電気的に接続されている。このため、プリチャージ回路17は、電源ライン20を経由してコンデンサ16とインバータ作動回路18とに電力供給する。
【0024】
インバータ作動回路18は、インバータ12を作動させる。具体的には、インバータ作動回路18は、プリドライバICによって構成され、演算装置31からの指令に基づいて、インバータ12の各スイッチング素子SのON/OFFを制御する。これにより、インバータ作動回路18は、電動機11の駆動を制御する。インバータ作動回路18の入力側は、電源3に接続されている。インバータ作動回路18の出力側は、インバータ12のスイッチング素子Sに接続されている。また、インバータ作動回路18は、昇圧回路18Aと、駆動回路18Bと、電流センサ18Cとを備えている。
【0025】
昇圧回路18Aは、例えばチャージポンプ回路によって構成されている。昇圧回路18Aは、インバータ作動回路18内に設けられ、インバータ作動回路18に入力された電圧(電源電圧Vbまたは出力電圧Vc)を上昇させて半導体リレー14,15とインバータ12のスイッチング素子Sに電力供給する。昇圧回路18Aの入力側は、電源3に接続されている。昇圧回路18Aの出力側は、駆動回路18Bを介して、ハイサイドのスイッチング素子Sのゲートに接続されている。昇圧回路18Aは、電源電圧Vbを昇圧し、電源電圧Vbよりも高い高側ゲート電圧VgHを出力する。このとき、電源電圧Vbと高側ゲート電圧VgHとの電位差は、ハイサイドのスイッチ素子がONとOFFが切換可能となる値として、予め決められた所定値よりも大きな値に設定されている。
【0026】
駆動回路18Bは、例えば複数のスイッチング素子(図示せず)によって構成され、昇圧回路18Aとハイサイドのスイッチング素子S(MOSFET)のゲートとの間を接続または遮断すると共に、電源3とローサイドのスイッチング素子S(MOSFET)のゲートとの間を接続または遮断する。このとき、駆動回路18Bのスイッチング素子は、演算装置31からの指令に応じて、ON(接続状態)とOFF(遮断状態)とが切換わる。これにより、駆動回路18Bは、ハイサイドのスイッチング素子Sのゲートに対して、高側ゲート電圧VgHの印加状態を切り換える。これに加え、駆動回路18Bは、ローサイドのスイッチング素子Sのゲートに対して、低側ゲート電圧VgLとなる電源電圧Vbの印加状態を切り換える。これにより、インバータ作動回路18は、インバータ12のスイッチング素子SのON/OFFを制御し、インバータ12を作動させる。
【0027】
電流センサ18Cは、電動機11に流れる電流を検出し、検出信号を演算装置31に出力する。電流センサ18Cの入力側は、ローサイドのスイッチング素子Sのソースとグランドとの間に接続された電流検出用抵抗19の両端に接続されている。このとき、電流検出用抵抗19の両端の電位差は、電動機11に流れる電流に対応した値になる。このため、電流センサ18Cは、電源電圧Vbを用いて、電流検出用抵抗19の両端の電位差を増幅し、電位差に応じた検出信号を演算装置31に出力する。
【0028】
インバータ作動回路18は、電源ライン20(第1経路)を介して電源3に接続されている。このとき、電源ライン20は、電源3からインバータ作動回路18へ電力の供給をする第1経路を構成している。電源ライン20は、電源3とインバータ作動回路18とを電気的に接続する。
【0029】
電源ライン20の途中には、半導体リレー14,15とインバータ作動回路18との間に位置して、第1ダイオード21が設けられている。具体的には、第1ダイオード21は、半導体リレー14,15のうち下流側の半導体リレー15とインバータ作動回路18との間に設けられている。第1ダイオード21は、電源3からインバータ作動回路18に向かう方向の電流を許容し、逆方向の電流を遮断する。
【0030】
また、電源ライン13には、半導体リレー14,15とインバータ12の間に位置して電圧センサからなる第1モニタ回路22が接続されている。このとき、第1モニタ回路22は、コンデンサ16の電圧V1を測定している。第1モニタ回路22は、コンデンサ16の電圧V1を検出し、電圧V1に応じた検出信号を演算装置31に出力する。
【0031】
電源ライン20には、第1ダイオード21とインバータ作動回路18との間に位置して電圧センサからなる第2モニタ回路23が接続されている。第2モニタ回路23は、インバータ作動回路18(昇圧回路18A)に入力される電圧V2を測定している。第2モニタ回路23は、インバータ作動回路18の入力電圧V2を検出し、電圧V2に応じた検出信号を演算装置31に出力する。
【0032】
電源3には、電圧センサからなる第3モニタ回路24が接続されている。第3モニタ回路24は、電源電圧Vbを検出し、電源電圧Vbに応じた検出信号を演算装置31に出力する。
【0033】
次に、ロジック駆動用電源系統30について説明する。ロジック駆動用電源系統30は、演算装置31、昇降圧回路34等を備えている。
【0034】
演算装置31は、インバータ作動回路18を制御する。具体的には、演算装置31は、インバータ作動回路18およびインバータ12を用いて、電動機11を制御するもので、電動ブレーキ装置1の一部を構成している。この演算装置31は、例えばマイクロコンピュータ(MCU)等からなり、昇降圧回路34およびレギュレータ35によって生成された駆動電圧Vdによって駆動する。演算装置31は、電動倍力装置の電動機11を駆動制御してマスタシリンダ2内にブレーキ液圧を発生させるマスタ圧制御ユニットとなっている。演算装置31の入力側には、ストロークセンサ6、電流センサ18C、モニタ回路22,23,24が接続されている。これに加え、演算装置31の入力側には、電動機11の回転角を検出するレゾルバ等からなるセンサ32が接続されている。一方、演算装置31の出力側には、インバータ作動回路18(駆動回路18B)、半導体リレー14,15、プリチャージスイッチ17Bが接続されている。さらに、演算装置31は、CAN(Controller Area Network)を通じて車両内に設けられた各種のコントローラ(図示せず)と通信するための通信回路33に接続されている。センサ32および通信回路33も、演算装置31と同様に、駆動電圧Vdによって駆動する。
【0035】
演算装置31は、運転者によるブレーキペダルの操作に基づくストロークセンサ6の検出値を受信する。そして、演算装置31は、ストロークセンサ6の検出信号(制動要求信号)に基づいて電動機11を作動させ、マスタシリンダ2内にブレーキ液圧を発生させる。また、演算装置31は、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を備え、この記憶部には、
図6に示す半導体リレー14,15(スイッチ14A,15A)およびプリチャージスイッチ17BのON/OFFを制御するプログラムが格納されている。演算装置31は、このプログラムを実行することによって、半導体リレー14,15およびプリチャージスイッチ17BのON/OFFを制御する。
【0036】
昇降圧回路34は、電源3の電源電圧Vbを上昇または下降させて、演算装置31に電力供給する。具体的には、昇降圧回路34は、例えば昇降圧チョッパ回路(昇降圧DCDC回路)によって構成され、常時一定の出力電圧Vc(直流電圧)を出力する。このとき、昇降圧回路34は、電源3から供給される電源電圧Vbを上昇または下降させ、電源電圧Vbを予め決められた一定の出力電圧Vcに変換する。このため、電源電圧Vbが出力電圧Vcよりも高いときには、昇降圧回路34は、降圧回路として機能する。逆に、電源電圧Vbが出力電圧Vcよりも低いときには、昇降圧回路34は、昇圧回路として機能する。このとき、昇降圧回路34の入力側は、電源3に接続されている。昇降圧回路34の出力側は、レギュレータ35を介して演算装置31、センサ32、通信回路33等に接続されている。レギュレータ35は、例えばシリーズレギュレータであり、出力電圧Vcからリップル等を除去し、演算装置31等に一定の駆動電圧Vdを供給する。
【0037】
昇降圧回路34の出力側は、補助電源ライン36を介してインバータ作動回路18に接続されている。このとき、補助電源ライン36は、昇降圧回路34を介して電源3とインバータ作動回路18とを電気的に接続する第2経路を構成している。このため、昇降圧回路34は、インバータ作動回路18と演算装置31とに電力を供給する。
【0038】
補助電源ライン36は、電源ライン20と電気的に接続されている。具体的には、補助電源ライン36の一端側は、昇降圧回路34の出力側に接続され、補助電源ライン36の他端側は、電源ライン20の途中位置に接続されている。このため、補助電源ライン36は、電源ライン20に合流してインバータ作動回路18に電気的に接続されている。補助電源ライン36は、昇降圧回路34からインバータ作動回路18へ電源ライン20と合流して電力の供給をする。このとき、補助電源ライン36と電源ライン20との合流点Pjは、第1ダイオード21とインバータ作動回路18との間に位置している。このため、第1ダイオード21は、電源ライン20上で電源ライン20と補助電源ライン36との合流点Pjと電源3との間に設けられている。このため、第1ダイオード21のカソード側に接続された第2モニタ回路23は、合流点Pjの電圧V2を検出している。
【0039】
補助電源ライン36の途中には、昇降圧回路34からインバータ作動回路18に向かう方向の電流を許容し、逆方向の電流を遮断する第2ダイオード37が設けられている。このとき、第2ダイオード37は、合流点Pjと昇降圧回路34との間の補助電源ライン36上に設けられている。これにより、インバータ作動回路18は、昇降圧回路34からも電力供給が可能となっており、電源3と昇降圧回路34とのいずれか大きい電圧値となっている方から電力供給を受ける。即ち、インバータ作動回路18は、電源3の電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcよりも低いときに、補助電源ライン36で電源3から電力の供給を受ける。
【0040】
次に、演算装置31によって半導体リレー14,15およびプリチャージスイッチ17BのON/OFFを制御する処理について、
図1および
図6を参照して説明する。なお、
図6に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示すものである。
【0041】
演算装置31は、
図6に示す処理を実行し、半導体リレー14,15およびプリチャージスイッチ17BのON/OFFを制御する。
図6に示す処理を開始すると、演算装置31は、S1で電動機11の作動要否を判定する。電動機11の作動が不要な場合は、インバータ12への電力供給を遮断するために、演算装置31は、S2でプリチャージスイッチ17BをOFFにし、S3で半導体リレー14,15のスイッチ14A,15AをOFFにする。
【0042】
一方、電動機11の作動が必要な場合は、S4に移行して、既に半導体リレー14,15がONの状態であるか否かを判定する。半導体リレー14,15がONの状態であれば、半導体リレー14,15を経由して供給される電源3の電圧(電源電圧Vb)でインバータ作動回路18(プリドライバIC)を作動できるため、プリチャージ回路17を経由して電力を供給する必要がない。このため、S4で「YES」と判定し、S5に移行する。S5では、演算装置31は、プリチャージスイッチ17BをOFFにし、続くS6で半導体リレー14,15(スイッチ14A,15A)のONを継続する。
【0043】
半導体リレー14,15がOFFの状態の場合は、S4で「NO」と判定し、半導体リレー14,15をONするために、S7に移行する。S7では、演算装置31は、プリチャージスイッチ17BをONにして、コンデンサ16に電荷をチャージし、インバータ作動回路18に電源3の電圧(電源電圧Vb)を供給する。
【0044】
続くS8では、第1モニタ回路22によって検出したコンデンサ16の電圧V1と、第3モニタ回路24によって検出した電源電圧Vbとを比較し、コンデンサ16の電圧V1が電源電圧Vbと同程度(例えば電源電圧Vbの90%以上)まで上昇したか否かを判定する。
【0045】
コンデンサ16の電荷が十分に貯まるまでは、S8で「NO」と判定し、S10で、演算装置31は、半導体リレー14,15(スイッチ14A,15A)をOFFの状態に保持する。一方、コンデンサ16の電圧V1が電源電圧Vbと同程度まで上昇したときには、S8で「YES」と判定し、S9に移行する。
【0046】
S9では、第2モニタ回路23によって検出したインバータ作動回路18の入力電圧V2と、第3モニタ回路24によって検出した電源電圧Vbとを比較し、入力電圧V2が電源電圧Vbと同程度(例えば電源電圧Vbの90%以上)まで上昇したか否かを判定する。
【0047】
インバータ作動回路18に十分な電圧が供給されるまでは、S9で「NO」と判定し、S10で、演算装置31は、半導体リレー14,15(スイッチ14A,15A)をOFFの状態に保持する。一方、コンデンサ16の電荷が十分に貯まり、インバータ作動回路18の入力電圧V2が電源電圧Vbと同程度まで上昇したときには、S9で「YES」と判定し、S11に移行する。このとき、インバータ作動回路18にも十分な電圧が供給されるので、S11で、演算装置31は、半導体リレー14,15のスイッチ14A,15AをONにする。
【0048】
本実施の形態による電動ブレーキ装置1は、上述の如き構成を有するもので、次に、電動ブレーキ装置1の動作について、
図1を参照して説明する。
【0049】
車両の運転者がブレーキペダルを踏込み操作すると、演算装置31は、ブレーキペダルの踏込み量を検出するストロークセンサ6の検出値に基づいて電動機11の作動を制御する。そして、電動機11の作動によりマスタシリンダ2内に発生したブレーキ液圧は、前,後輪側ブレーキに分配して供給され、左,右の前輪と左,右の後輪とにそれぞれ制動力が付与される。
【0050】
また、車両の起動時には、運転者はブレーキペダルを踏込み操作した状態で、スタータモータ5を駆動してエンジンを始動させる。このとき、スタータモータ5は、電源3から電力が供給されることにより駆動を行っている。これに加え、電源3は、インバータ作動回路18にも電力を供給している。従って、スタータモータ5の駆動時に一時的に電源3の電圧(電源電圧Vb)が低下すると、インバータ作動回路18が作動不能となり、電動機11およびブレーキ液圧の制御ができない虞がある。
【0051】
そこで、本実施の形態では、インバータ作動回路18には、電源3と昇降圧回路34との両方から電力供給がなされている。そして、電源3の電圧が低下して、昇降圧回路34の出力電圧Vcが電源電圧Vbよりも高くなると、インバータ作動回路18には、昇降圧回路34の出力電圧Vcが供給される。これにより、電源電圧Vbが低下したときでも、電動機11の制御を継続させることができ、必要なブレーキ液圧を発生させることができる。
【0052】
このような、電源電圧Vbとインバータ作動回路18との関係について、以下に詳細に説明する。
【0053】
電源電圧Vbが正常な状態(正常状態)では、電源電圧Vbは昇降圧回路34の出力電圧Vcよりも高い(Vb>Vc)。この場合、インバータ作動回路18には、第1ダイオード21を介して電源電圧Vbが供給される。このとき、インバータ作動回路18の昇圧回路18Aは、電源電圧Vbによって動作し、電源電圧Vbを昇圧して高側ゲート電圧VgHを生成する。このため、インバータ作動回路18は、電源電圧Vbよりも高い高側ゲート電圧VgHと、電源電圧Vbと同じ程度の低側ゲート電圧VgLとを用いて、インバータ12のスイッチング素子Sを制御する。これにより、インバータ作動回路18は、MOSFETからなるスイッチング素子SのON/OFFを切換えて、電動機11の作動を制御することができる。
【0054】
一方、例えばスタータモータ5を駆動したときには、電源電圧Vbが正常な状態に比べて低下する。このように電源電圧Vbが低電圧になった状態(低電圧状態)では、電源電圧Vbは昇降圧回路34の出力電圧Vcよりも低くなることがある(Vb<Vc)。この場合、インバータ作動回路18には、第2ダイオード37を介して昇降圧回路34の出力電圧Vcが供給される。このとき、インバータ作動回路18の昇圧回路18Aは、昇降圧回路34の出力電圧Vcによって動作し、出力電圧Vcを昇圧して高側ゲート電圧VgHを生成する。このため、インバータ作動回路18は、電源電圧Vbよりも高い高側ゲート電圧VgHと、出力電圧Vcと同レベルの低側ゲート電圧VgLとを用いて、インバータ12のスイッチング素子Sを制御する。これにより、インバータ作動回路18は、MOSFETからなるスイッチング素子SのON/OFFを切換えて、電動機11の作動を制御することができる。
【0055】
ここで、昇降圧回路34が作動不能となる電圧は、インバータ作動回路18が作動不能となる電圧に比べて低い値になっている。この結果、電動機11が制御可能となる電源電圧Vbの低電圧領域を、昇降圧回路34が作動不能となる電圧まで広げることができる。これにより、電源電圧Vbが低下するときでも、昇降圧回路34の作動不能な電圧に低下するまでは、インバータ12、電流センサ18C等が作動し、電動機11の制御を継続することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、電源3とインバータ12との間に配置されるスイッチ(フェールセーフリレー)は、半導体リレー14,15によって構成されている。このとき、半導体リレー14,15を駆動するには、インバータ12と同様に、電源電圧Vbに対して最低でも4〜5V高い電圧を、半導体リレー14,15のMOSFETのゲートに印加する必要がある。半導体リレー14,15を駆動するための電圧は、インバータ作動回路18内の昇圧回路18Aから供給する。
【0057】
一方、本実施の形態では、電動機11が制御可能となる電源電圧Vbの低電圧領域を広げるために、インバータ作動回路18は、電源3に加えて、昇降圧回路34からも電力供給が可能となっており、電源3から電力供給される電圧値(電源電圧Vb)と昇降圧回路34から電力供給される電圧値(出力電圧Vc)とのいずれか大きくなっている方から電力供給を受ける。
【0058】
このため、
図2に示すように、電源3とインバータ12との間の半導体リレー14,15が非導通の段階では、インバータ作動回路18に対して昇降圧回路34からの出力電圧Vcしか供給されない。正常な状態では、昇降圧回路34からの出力電圧Vcは電源電圧Vbよりも低くなる(Vc<Vb)。従って、このままでは、半導体リレー14,15を駆動させて、OFF(非導通状態)からON(導通状態)に切り換えることができないという問題がある。
【0059】
そこで、本実施の形態では、半導体リレー14,15のOFFのときには、プリチャージ回路17を介して、インバータ作動回路18に電源電圧Vbを供給する。次に、半導体リレー14,15およびプリチャージ回路17の具体的な動作について、
図3ないし
図5を参照して説明する。
【0060】
図3に示すように、半導体リレー14,15がOFFの状態のときには、半導体リレー14,15を駆動するために、プリチャージスイッチ17BをONにし、コンデンサ16に電荷をチャージする。
図5に示すように、コンデンサ16に電荷がチャージされると、モータ駆動用の電源ライン13の電圧V1が上昇し、昇降圧回路34からの出力電圧Vcより高くなる(V1>Vc)。このとき、インバータ作動回路18(プリドライバIC)にも、プリチャージ回路17からの電力が供給される。コンデンサ16への電荷のチャージが完了し、インバータ作動回路18へ供給される電圧が十分に高くなったとき、半導体リレー14,15が駆動可能となるので、演算装置31は、ON指令を出す。これにより、スイッチ14A,15AがOFFからONに切り換わり、半導体リレー14,15がONになる。半導体リレー14,15の導通後は、半導体リレー14,15を経由して供給される電力で、インバータ作動回路18は作動可能となる。また、プリチャージ回路17は大きい電流を流すことができないため、電動機11を作動する際には、プリチャージスイッチ17BをOFFにしておく必要がある。このことから、半導体リレー14,15の導通後は、インバータ12の制御を開始する前に、プリチャージスイッチ17BをOFFにする(
図4参照)。
【0061】
かくして、本実施の形態では、インバータ作動回路18と電源3とを電気的に接続する電源ライン20と、昇降圧回路34を介してインバータ作動回路18と電源3とを電気的に接続すると共に、電源ライン20と電気的に接続される補助電源ライン36と、を備えている。これにより、インバータ作動回路18は、電源3に加えて、昇降圧回路34からも電力供給が可能となっている。これに加え、インバータ作動回路18は、電源3から電力供給される電圧値(電源電圧Vb)と昇降圧回路34から電力供給される電圧値(出力電圧Vc)とのいずれか大きくなっている方から電力供給を受ける。具体的には、インバータ作動回路18は、電源3の電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcより大きい場合(Vb>Vc)には、半導体リレー14,15がOFFのとき、プリチャージ回路17と電源ライン20を介して電源3の電力供給を受け、半導体リレー14,15がONのとき、半導体リレー14,15と電源ライン20を介して電源3の電力供給を受ける。また、インバータ作動回路18は、電源3の電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcより小さい場合(Vb<Vc)には、補助電源ライン36を介して、昇降圧回路34からの電力供給を受ける。
【0062】
このため、電源電圧Vbがインバータ作動回路18の作動不能な電圧まで低下したときでも、インバータ作動回路18には、昇降圧回路34から出力電圧Vcが供給される。この結果、インバータ作動回路18は、動作可能な電源電圧Vbの低電圧領域を広げることができ、電源3の低電圧状態におけるインバータ作動回路18の作動を安定化させることができる。
【0063】
また、インバータ作動回路18は、電源3と電気的に接続される電源ライン20(第1経路)と、昇降圧回路34を介して電源3と電気的に接続される補助電源ライン36(第2経路)と、を有し、インバータ作動回路18は、電源3の電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcよりも高いときに、電源ライン20で電源3から電力供給を受け、昇降圧回路34の出力電圧Vcが電源3の電源電圧Vbよりも高いときに、補助電源ライン36で昇降圧回路34から電力供給を受け、昇降圧回路34は、インバータ作動回路18と演算装置31とに電力を供給する。
【0064】
このため、昇降圧回路34は、電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcよりも高い正常状態では、演算装置31に電力を供給し、電源電圧Vbが昇降圧回路34の出力電圧Vcより低い低電圧状態で、インバータ作動回路18と演算装置31の両方に電力を供給する。これにより、電源3の低電圧状態におけるインバータ作動回路18および演算装置31の両方の作動を安定化させることができる。これに加え、演算装置31に電力を供給する昇降圧回路34を、低電圧状態でのバックアップの電力源として使用することができるから、低電圧状態用に新たな電源を設ける必要がなく、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0065】
また、補助電源ライン36は、電源ライン20に合流してインバータ作動回路18に電気的に接続されており、電源ライン20と補助電源ライン36の合流点Pjと電源3との間に設けられた第1ダイオード21と、合流点Pjと昇降圧回路34との間に設けられた第2ダイオード37と、を備えている。
【0066】
これにより、補助電源ライン36および2つのダイオード21,37を追加するだけで、インバータ作動回路18には、電源3と昇降圧回路34とのいずれか大きい電圧値となっている方から電力を供給することができる。この結果、簡易な回路構成で、電源3の低電圧状態におけるインバータ作動回路18の作動を安定化させることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、プリチャージ回路17は、電源ライン20(第1経路)を経由してコンデンサ16とインバータ作動回路18とに電力供給する。これにより、既存のプリチャージ回路17を利用して、半導体リレー14,15を駆動可能としている。半導体リレー14,15が導通していない場合、プリチャージスイッチ17BをONにし、プリチャージ回路17を経由してインバータ作動回路18に電源電圧Vbを供給する。これにより、インバータ作動回路18の昇圧回路18Aから電源電圧Vbよりも高い電圧(高側ゲート電圧VgH)を半導体リレー14,15に供給し、半導体リレー14,15を駆動させることができる。また、半導体リレー14,15の導通後は、プリチャージスイッチ17BをOFFにし、半導体リレー14,15を介してインバータ作動回路18に電源電圧Vbを供給する。これにより、半導体リレー14,15の導通後も、インバータ作動回路18の昇圧回路18Aから供給される電圧によって、半導体リレー14,15の駆動を継続することができる。
【0068】
本実施の形態によれば、既存の回路構成に対して新たな部品を増設することなく、半導体リレー14,15がOFFのときに、インバータ作動回路18に電源3の電力を供給することが可能となる。
【0069】
例えば、半導体リレー14,15がOFFのときに、インバータ作動回路18に電源3の電力を供給する構成として、
図7に示す比較例の構成が考えられる。
図7に示す比較例による電動ブレーキ装置41では、別経路として、半導体リレー14,15の前段(電源3側)に接続された電源ライン42を通じて、インバータ作動回路18に電源3から電力を供給し、フェールセーフリレー(半導体リレー14,15)を駆動させる。しかしながら、インバータ作動回路18と電源3とを常時接続すると、電動機11の非起動時にインバータ作動回路18に電流が流れて、不要な電力消費が発生してしまう。このため、不要な電力消費を防止するために、演算装置43は、半導体リレー14,15をOFFするときに、電源ライン42を切断する必要がある。即ち、電源ライン42には、ダイオード21の前段に位置して、スイッチ44のような回路素子を増設する必要がある。これに対し、本実施の形態では、半導体リレー14,15がダイオード21の前段に必要なスイッチの役割を果たすため、回路増設の必要がなくなる。
【0070】
なお、前記実施の形態では、電源3とインバータ12との間には、互いに直列接続された2つの半導体リレー14,15を設ける構成とした。本発明はこれに限らず、例えば2つの半導体リレー14,15のうち、一方の半導体リレー15を省いてもよい。この場合、半導体リレー15に代えて、逆流防止用のダイオードを設けるのが好ましい。
【0071】
前記実施の形態では、電源ライン20の途中に1個の第1ダイオード21が接続されるものとしたが、複数個の第1ダイオードが直列に接続されてもよい。同様に、補助電源ライン36の途中に1個の第2ダイオード37が接続されるものとしたが、複数個の第2ダイオードが直列に接続されてもよい。
【0072】
前記実施の形態では、ストロークセンサ6が検出したブレーキペダルのストローク量から必要な制動力を算出した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車両に搭載された他の外部ユニットからの制動要求から要求される制動力により必要な制動力を算出してもよい。また、車両が位置している道路の状態を検出して要求される制動力を算出してもよい。
【0073】
前記実施の形態では、2つのダイオード21,37を用いて、インバータ作動回路18が、電源3と昇降圧回路34とのいずれか大きい電圧値となっている方から電力供給を受ける構成とした。本発明はこれに限らず、例えば2つのダイオード21,37に代えて、2つのスイッチを設け、演算装置31が、電源電圧Vbと昇降圧回路34の出力電圧Vcとの比較結果に応じて、これら2つのスイッチのONとOFFを切換える構成としてもよい。
【0074】
前記実施の形態では、スイッチング素子SとしてMOSFETを用いた場合を例に挙げて説明したが、例えばIGBT等のような他のスイッチング素子を用いてもよい。
【0075】
以上説明した実施の態様に基づく電動機制御装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0076】
第1の態様としては、電動機と、該電動機を駆動するインバータと、該インバータを作動させるインバータ作動回路と、該インバータ作動回路に電力供給する蓄電装置と、前記インバータ作動回路を制御する演算装置と、前記蓄電装置の電圧を上昇または下降させて前記演算装置に電力供給する昇降圧回路と、前記蓄電装置から前記インバータ作動回路へ電力の供給をする第1経路と、前記昇降圧回路から前記インバータ作動回路へ該第1経路と合流して電力の供給をする第2経路と、前記第1経路と該第2経路の合流点と前記蓄電装置との間の前記第1経路上に設けられる第1ダイオードと、前記合流点と前記昇降圧回路との間の前記第2経路上に設けられる第2ダイオードと、前記蓄電装置と前記第1ダイオードの間から分岐し、前記蓄電装置の電力を前記インバータに供給する第3経路と、前記第1経路における前記第3経路の分岐点と前記蓄電装置との間に設けられ、前記蓄電装置から前記電動機へ電力供給するか、または遮断するかを切替える半導体リレーと、前記インバータ作動回路内に設けられ、前記インバータ作動回路に入力された電圧を上昇させて前記半導体リレーと前記インバータのスイッチング素子に電力供給する昇圧回路と、前記第3経路に設けられるコンデンサに、前記半導体リレーを介さずに前記蓄電装置の電力を供給するプリチャージ回路と、を有する電動機制御装置であって、前記インバータ作動回路は、前記蓄電装置の電圧が前記昇降圧回路の電圧より大きい場合には、前記半導体リレーがOFFのとき、前記プリチャージ回路と前記第1経路を介して前記蓄電装置の電力供給を受け、前記半導体リレーがONのとき、前記半導体リレーと前記第1経路を介して前記蓄電装置の電力供給を受け、前記蓄電装置の電圧が前記昇降圧回路の電圧より小さい場合には、前記第2経路を介して、前記昇降圧回路からの電力供給を受けることを特徴としている。
【0077】
また、以上説明した実施の態様に基づくブレーキ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0078】
第2の態様としては、制動要求信号に応じて制動力を出力する電動機と、前記電動機を制御する電動機制御装置と、を備えたブレーキ装置であって、前記電動機制御装置は、電動機を駆動するインバータと、該インバータを作動させるインバータ作動回路と、該インバータ作動回路に電力供給する蓄電装置と、前記インバータ作動回路を制御する演算装置と、前記蓄電装置の電圧を上昇または下降させて前記演算装置に電力供給する昇降圧回路と、前記蓄電装置から前記インバータ作動回路へ電力の供給をする第1経路と、前記昇降圧回路から前記インバータ作動回路へ該第1経路と合流して電力の供給をする第2経路と、前記第1経路と該第2経路の合流点と前記蓄電装置との間の前記第1経路上に設けられる第1ダイオードと、前記合流点と前記昇降圧回路との間の前記第2経路上に設けられる第2ダイオードと、前記蓄電装置と前記第1ダイオードの間から分岐し、前記蓄電装置の電力を前記インバータに供給する第3経路と、前記第1経路における前記第3経路の分岐点と前記蓄電装置との間に設けられ、前記蓄電装置から前記電動機へ電力供給するか、または遮断するかを切替える半導体リレーと、前記インバータ作動回路内に設けられ、前記インバータ作動回路に入力された電圧を上昇させて前記半導体リレーと前記インバータのスイッチング素子に電力供給する昇圧回路と、前記第3経路に設けられるコンデンサに、前記半導体リレーを介さずに前記蓄電装置の電力を供給するプリチャージ回路と、を有し、前記インバータ作動回路は、前記蓄電装置の電圧が前記昇降圧回路の電圧より大きい場合には、前記半導体リレーがOFFのとき、前記プリチャージ回路と前記第1経路を介して前記蓄電装置の電力供給を受け、前記半導体リレーがONのとき、前記半導体リレーと前記第1経路を介して前記蓄電装置の電力供給を受け、前記蓄電装置の電圧が前記昇降圧回路の電圧より小さい場合には、前記第2経路を介して、前記昇降圧回路からの電力供給を受けることを特徴としている。
【0079】
第3の態様としては、第2の態様において、前記蓄電装置は、内燃機関の始動装置に電力を供給することを特徴としている。