(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
並列する複数のレーンを構成し前記レーンに基板を搬送して前記基板に所定作業を行う複数の作業装置を備え、前記レーンの数が途中で変化する基板生産ラインにおける、情報を管理する情報管理装置であって、
前記複数のレーンのうち一のレーンを前記基板毎に対応付けて指定したレーン指定情報を設定する情報設定部と、
上流側の前記作業装置から下流側の前記作業装置への前記基板の受け渡しに先立って、当該基板の前記レーン指定情報が下流側の前記作業装置に取得されるように前記レーン指定情報を管理する情報管理部と、
を備え、
前記情報管理部は、前記作業装置の数に応じて格納領域が複数に区分けされると共に前記作業装置がそれぞれ対応する前記格納領域にアクセス可能な共有フォルダを用いて前記レーン指定情報を管理する情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1,
図2は基板生産ライン10の構成を示しており、
図1は基板生産ライン10を側方からみた構成図であり、
図2は基板生産ライン10を上方からみた構成図である。図示するように、基板生産ライン10は、基板Sに所定の作業を行う複数の作業装置20と、基板Sの情報を管理する情報管理装置30とを備える。複数の作業装置20は、上流側(
図1の左側)から基板Sを搬入し、所定の作業を行って下流側(
図1の右側)へ搬出する。
【0011】
基板生産ライン10は、複数の作業装置20として、基板Sに粘性流体であるはんだを印刷する印刷装置21と、はんだの印刷状態を検査する印刷検査装置22と、基板Sに部品を実装する実装装置23,27と、部品の実装状態を検査する実装検査装置25とを備える。また、基板生産ライン10は、実装検査装置25の前後に配置され基板Sのレーンを切り替えるレーン切替装置24,26とを備える。なお、作業装置20の数はこれに限られず、これら以外に基板Sのリフロー処理を行うリフロー装置などを備えてもよい。基板生産ライン10は、基板Sを搬送するレーンとして、第1レーンL1と第2レーンL2との2つを有するデュアルレーンの構成となっている。ただし、実装検査装置25は、1の搬送コンベアで第1レーンL1のみを構成し、第2レーンL2を構成しないものとなっている。このため、第2レーンL2は実装検査装置25の箇所で分断される(
図2中の点線)。したがって、基板生産ライン10のレーンの数は、上流側では2レーンあり、途中で1レーンに減少し、下流側で再度2レーンに戻ることになる。隣接する作業装置20間では、基板Sを搬出可能なことを下流側の作業装置20に通知する搬出可能信号と、基板Sを搬入可能なことを上流側の作業装置20に通知する搬入可能信号とがやり取りされる。搬出可能信号と搬入可能信号は、第1レーンL1と第2レーンL2とを区別して通知可能となっている。
【0012】
また、基板生産ライン10は、基板Sに設けられた基板情報を読み取るための読取装置12を備える。基板情報は、バーコードや2Dコードなどの各種コードとして設けられてもよいし、ICチップなどとして設けられてもよい。また、基板情報は、例えば基板Sの基板種情報や基板ID情報、基板サイズ情報などを含む。読取装置12は、印刷装置21の搬入口即ち第1レーンL1および第2レーンL2の最も上流側の位置に設けられており、基板生産ライン10で作業が開始される基板Sの情報を読み取る。読取装置12は、例えば各種コードを読み取るコードリーダや各種コードを撮像して画像を出力する撮像装置としたり、ICチップを読み取るICチップリーダとしたりすることができる。
【0013】
印刷装置21は、第1レーンL1の基板Sを搬送する第1搬送コンベア21aと、第2レーンL2の基板Sを搬送する第2搬送コンベア21bと、スクリーンマスクに形成されたパターン孔にスキージによりはんだを押し込んで基板Sに印刷する印刷部21cと、印刷装置21の全体を制御する印刷制御部21dとを備える。印刷検査装置22は、第1レーンL1の基板Sを搬送する第1搬送コンベア22aと、第2レーンL2の基板Sを搬送する第2搬送コンベア22bと、基板Sを撮像した画像に基づいてはんだの印刷ずれ量などを測定する印刷状態測定部22cと、印刷検査装置22の全体を制御する印刷検査制御部22dとを備える。
【0014】
実装装置23は、第1レーンL1の基板Sを搬送する第1搬送コンベア23aと、第2レーンL2の基板Sを搬送する第2搬送コンベア23bと、吸着ノズルで部品を吸着して基板Sに実装する実装部23cと、実装装置23の全体を制御する実装制御部23dとを備える。なお、実装装置27は、実装装置23と同様に、第1搬送コンベア27aと、第2搬送コンベア27bと、実装部27cと、実装制御部27dとを備える。実装検査装置25は、第1レーンL1の基板Sを搬送する搬送コンベア25aと、基板Sを撮像した画像に基づいて部品の実装ずれ量などを測定する実装状態測定部25bと、実装検査装置25の全体を制御する実装検査制御部25cとを備える。
【0015】
レーン切替装置24は、第1レーンL1上の位置(
図2中実線)と第2レーンL2上の位置(
図2中点線)との間を移動するシャトルコンベア24aと、シャトルコンベア24aを移動させて基板Sのレーンを切り替える切替制御部24bとを備える。レーン切替装置24は、実装装置23の第1搬送コンベア23aから搬出された第1レーンL1の基板Sを実装検査装置25の搬送コンベア25aに搬入したり、実装装置23の第2搬送コンベア23bから搬出された第2レーンL2の基板Sをシャトルコンベア24aで第1レーンL1に移動させてから実装検査装置25の搬送コンベア25aに搬入したりする。また、レーン切替装置26は、レーン切替装置24と同様に、シャトルコンベア26aと、切替制御部26bとを備える。レーン切替装置26は、実装検査装置25の搬送コンベア25aから搬出された第1レーンL1の基板Sを実装装置27の第1搬送コンベア27aに搬入したり、実装検査装置25の搬送コンベア25aから搬出された第1レーンL1の基板Sをシャトルコンベア26aで第2レーンL2に移動させてから実装装置27の第2搬送コンベア27bに搬入したりする。
【0016】
情報管理装置30は、管理制御部32と、メインフォルダ34と、表示操作部36と、共有フォルダ40とを備える。管理制御部32は、CPUやROM、RAMなどを備え、情報管理装置30の全体を制御すると共に基板生産ライン10の各作業装置20の情報管理を行う。メインフォルダ34は、HDDなどの不揮発性メモリであり、各種情報が記憶される。表示操作部36は、例えばタッチパネル及び操作ボタンなどを備え、作業者への各種情報の表示や作業者からの各種操作の入力を行う。共有フォルダ40は、各作業装置20からアクセスが可能なHDDなどの不揮発性メモリであり、第1〜第4格納領域41〜44の計4つの格納領域を有し、各格納領域に基板情報ファイルFL(FL1〜FL4)が格納(記憶)される。
図3は基板情報ファイルFLの一例を示す説明図である。図示するように、基板情報ファイルFLは、レーン指定情報や基板情報、印刷結果情報、実装結果情報などの各種情報が含まれており、詳細は後述する。
【0017】
共有フォルダ40の第1格納領域41は、印刷装置21の印刷制御部21dにより基板情報ファイルFL1の格納が可能であり、印刷検査装置22の印刷検査制御部22dにより基板情報ファイルFL1の読み込みと消去が可能である。第2格納領域42は、印刷検査制御部22dにより基板情報ファイルFL2の格納が可能であり、実装装置23の実装制御部23dにより基板情報ファイルFL2の読み込みと消去が可能である。第3格納領域43は、実装制御部23dにより基板情報ファイルFL3の格納が可能であり、実装検査装置25の実装検査制御部25cにより基板情報ファイルFL3の読み込みと消去が可能である。第4格納領域44は、実装検査制御部25cにより基板情報ファイルFL4の格納が可能であり、実装装置27の実装制御部27dにより基板情報ファイルFL4の読み込みと消去が可能である。
【0018】
管理制御部32は、各作業装置20に基板Sの生産に関する指示として、はんだの印刷位置や部品の実装位置、部品の実装数、実装順などを含む基板Sの生産関連情報を出力する。管理制御部32は、各作業装置20から基板Sの生産状況や搬送状況を入力したり、はんだや部品の消費状況などを入力したりする。また、管理制御部32は、メインフォルダ34や共有フォルダ40に情報を格納したり、メインフォルダ34や共有フォルダ40から情報を読み出したり、表示操作部36に情報を表示したり、表示操作部36から操作内容を入力したりする。
【0019】
以下は、こうして構成された本実施形態の基板生産ライン10の作動についての説明である。
図4〜
図6は、基板Sおよび基板情報ファイルFLの受け渡しの一例を示す説明図である。なお、各作業装置20は、基板Sの受け入れ時に基板Sの幅に応じて各コンベアの幅を変更するが、本開示の要旨をなさないため説明は省略する。
【0020】
図4に示すように、印刷装置21の印刷制御部21dは、まず、読取装置12を介して基板生産ライン10のレーン(第1レーンL1または第2レーンL2)の最も上流側にある処理対象の基板Sの基板情報を取得する(S100)。次に、印刷制御部21dは、第1搬送コンベア21aおよび第2搬送コンベア21bのうち基板Sが投入されるレーンに対応する搬送コンベア上に基板Sがないことを確認してから、印刷装置21内に基板Sを搬入する(S110)。続いて、印刷制御部21dは、基板情報に対応する生産関連情報の印刷位置に基づいて印刷部21cを制御して基板Sにはんだを印刷する(S120)。印刷制御部21dは、基板Sへの印刷を行うと、S100で取得した基板情報と、基板Sを第1レーンL1および第2レーンL2のいずれで搬送させるかを示すレーン指定情報とを含む基板情報ファイルFL1を作成し共有フォルダ40の第1格納領域41に格納する(S130)。なお、情報管理装置30により基板S毎に予め指定されたレーン(第1レーンL1および第2レーンL2のいずれか)に基板Sが投入される場合、印刷制御部21は情報管理装置30からレーンの指定に関する情報を取得してレーン指定情報を生成し、基板情報ファイルFLに含めるものなどとしてもよい。そして、印刷制御部21dは、印刷を行ったレーンの基板Sを搬出可能であることを示す搬出可能信号を下流側の印刷検査装置22に送信する(S140)。上述したように、搬出可能信号は、基板Sを搬出するレーンがいずれのレーンであるかを通知可能である。
【0021】
搬出可能信号を受信した印刷検査装置22の印刷検査制御部22dは、共有フォルダ40の第1格納領域41にアクセスして基板情報ファイルFL1を読み込んでその基板情報ファイルFL1を削除する(S200)。なお、印刷装置21の印刷処理の状況によっては、第1格納領域41に、第1レーンL1の基板Sの基板情報ファイルFL1と、第2レーンL2の基板Sの基板情報ファイルFL1とが格納されている場合がある。その場合、印刷検査制御部22dは、搬出可能信号で通知されたレーンと、基板情報ファイルFL1のレーン指定情報で指定されたレーン(指定レーン)とが一致する基板情報ファイルFLを読み込むものとすればよい。また、印刷検査制御部22dは、印刷検査装置22内において指定されたレーンに対応する搬送コンベア上に基板Sがないこと、即ち指定されたレーンが空いていることを確認してから(S210)、そのレーンへ基板Sを搬入可能であることを示す搬入可能信号を上流側の印刷装置21に送信する(S220)。なお、印刷検査制御部22dは、S210でレーンが空いてない場合には、基板Sが装置外へ搬出されるのを待つことになる。また、S210,S220ではレーン指定情報で指定されたレーンとしたが、搬出可能信号で通知されたレーンとしてもよい。また、上述したように、搬入可能信号は、基板Sを搬入するレーンがいずれのレーンであるかを通知可能である。搬入可能信号を受信した印刷装置21の印刷制御部21dは、S140の搬出可能信号で通知したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬出する(S150)。また、印刷検査制御部22dは、S220の搬入可能信号で通知したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬入する(S230)。そして、印刷検査制御部22dは、印刷状態測定部22cを制御して基板Sの印刷状態を検査する(S240)。印刷検査制御部22dは、基板情報に対応する生産関連情報に含まれる印刷位置と照合して印刷ずれの有無を判定し、印刷ずれの位置毎に印刷位置ずれ量を取得する。印刷検査制御部22dは、基板Sの印刷状態の検査を行うと、基板情報ファイルFL1の内容に印刷位置ずれ量などの印刷結果情報を加えた基板情報ファイルFL2を作成し共有フォルダ40の第2格納領域42に格納する(S250)。このため、基板情報ファイルFL2には、基板情報ファイルFL1と同じレーン指定情報が含まれる。続いて、印刷検査制御部22dは、基板Sの搬出可能信号を下流側の実装装置23に送信する(S260)。
【0022】
搬出可能信号を受信した実装装置23の実装制御部23dは、共有フォルダ40の第2格納領域42にアクセスして搬出可能信号で通知されたレーンに該当する基板情報ファイルFL2を読み込んで第2格納領域42から基板情報ファイルFL2を削除する(S300)。また、実装制御部23dは、基板情報ファイルFL2のレーン指定情報で指定されたレーンが空いていること確認してから(S310)、そのレーンへの搬入可能信号を上流側の印刷検査装置22に送信する(S320)。なお、S310,S320ではレーン指定情報で指定されたレーンとしたが、搬出可能信号で通知されたレーンとしてもよい。搬入可能信号を受信した印刷検査装置22の印刷検査制御部22dは、S260の搬出可能信号で通知したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬出する(S270)。また、実装制御部23dは、S320の搬入可能信号で通知したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬入する(S330)。そして、実装制御部23dは、実装部23cを制御して基板Sに部品を実装する(S340)。実装制御部23dは、印刷位置ずれ量が含まれた基板情報ファイルFL2を読み込んでいるから、その印刷位置ずれ量に基づいて補正した実装位置に部品を精度よく実装することができる。また、印刷装置21と印刷検査装置22と実装装置23は、いずれも第1レーンL1と第2レーンL2に対応する搬送コンベアを備えるから、レーン指定情報で指定されたレーンに基板Sを搬送することができる。また、共有フォルダ40(格納領域)を用いた情報管理によって、レーン指定情報が下流側の作業装置20に順次取得されることになる。
【0023】
図5に示すように、実装制御部23dは、基板Sに部品を実装すると、基板情報ファイルFL2に実装済み部品の情報(部品種や部品数、実装位置など)を含む実装結果情報を加えた基板情報ファイルFL3を作成し共有フォルダ40の第3格納領域43に格納する(S350)。このため、基板情報ファイルFL3には、基板情報ファイルFL2と同じレーン指定情報が含まれる。続いて、実装制御部23dは、基板Sの搬出可能信号を下流側のレーン切替装置24に送信する(S360)。
【0024】
搬出可能信号を受信したレーン切替装置24の切替制御部24bは、シャトルコンベア24a上に基板Sがないこと、即ちシャトルコンベア24aが空いていることを確認してから(S400)、搬出可能信号で通知されたレーンにシャトルコンベア24aを移動させる(S410)。そして、切替制御部24bは、基板Sの搬入可能信号を上流側の実装装置23に送信する(S420)。搬入可能信号を受信した実装装置23の実装制御部23dは、S360の搬出可能信号で通知したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬出する(S370)。また、切替制御部24bは、シャトルコンベア24aを制御して基板Sを搬入する(S430)。続いて、切替制御部24bは、基板Sの搬出可能信号を下流側の実装検査装置25に送信する(S440)。
【0025】
搬出可能信号を受信した実装検査装置25の実装検査制御部25cは、共有フォルダ40の第3格納領域43にアクセスして基板情報ファイルFL3を読み込んで第3格納領域43から基板情報ファイルFL3を削除する(S500)。また、実装検査制御部25cは、第1レーンL1が空いていることを確認してから(S510)、第1レーンL1への搬入可能信号を上流側のレーン切替装置24に送信する(S520)。なお、実装検査装置25は、第1レーンL1のみを構成するため、基板情報ファイルFL3のレーン指定情報で第2レーンL2が指定されていても、その指定に拘わらず第1レーンL1で基板Sを受け入れることになる。搬入可能信号を受信した切替制御部24bは、シャトルコンベア24aを第1レーンL1に移動させて(S450)、シャトルコンベア24aから基板Sを搬出する(S460)。また、実装検査制御部25cは、搬送コンベア25aを制御して基板Sを搬入し(S530)、基板情報ファイルFL3の情報を参照しながら実装状態測定部25bにより基板Sの実装状態を検査する(S540)。実装状態測定部25bは、実装状態の検査として、部品の実装位置ずれ量を確認したり、実装すべき部品を実装できなかった未実装部品の有無を確認したり、未実装部品がある場合にはその部品種やその本来の実装位置などを確認したりする。
【0026】
図6に示すように、実装検査制御部25cは、基板Sの実装状態の検査を行うと、基板情報ファイルFL4の内容に部品の実装位置ずれ量や未実装部品(部品種や本来の実装位置など)に関する情報を含む実装結果情報を加えた基板情報ファイルFL4を作成し共有フォルダ40の第5格納領域44に格納する(S550)。このため、基板情報ファイルFL4には、基板情報ファイルFL3と同じレーン指定情報が含まれる。これにより、第1レーンL1のみを構成する実装検査装置25がレーン指定情報に拘わらず第1レーンL1で基板Sを搬送しても、下流側の作業装置20には基板Sに対応付けられたレーン指定情報を確実に通知することができる。そして、実装検査制御部25cは、基板Sの搬出可能信号を下流側のレーン切替装置26に送信する(S560)。
【0027】
搬出可能信号を受信したレーン切替装置26の切替制御部26bは、シャトルコンベア26aが空いていることを確認してから(S600)、搬出可能信号で通知されたレーン、即ち第1レーンL1にシャトルコンベア26aを移動させる(S610)。そして、切替制御部26bは、基板Sの搬入可能信号を上流側の実装検査装置25に送信する(S620)。搬入可能信号を受信した実装検査装置25の実装検査制御部25cは、搬送コンベア25aを制御して基板Sを搬出する(S570)。また、切替制御部26bは、シャトルコンベア26aを制御して基板Sを搬入する(S630)。次に、切替制御部26bは、基板Sの搬出可能信号を下流側の実装装置27に送信する(S640)。
【0028】
搬出可能信号を受信した実装装置27の実装制御部27dは、共有フォルダ40の第4格納領域44にアクセスして基板情報ファイルFL4を読み込んで第4格納領域44から基板情報ファイルFL4を削除する(S700)。また、実装制御部27dは、基板情報ファイルFL4のレーン指定情報で指定されたレーンが空いていることを確認してから(S710)、指定レーンへの基板Sの搬入可能信号を上流側のレーン切替装置26に送信する(S720)。搬入可能信号を受信したレーン切替装置26の切替制御部26bは、搬入可能信号で通知されたレーンにシャトルコンベア26aを移動させて(S650)、シャトルコンベア26aから基板Sを搬出する(S660)。また、実装制御部27dは、S720の搬入可能信号に対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬入する(S730)。そして、実装制御部27dは、実装部27cを制御して基板Sに部品を実装する(S740)。このように、実装検査装置25でレーン数が一旦減少するために指定されたレーンとは異なるレーンで基板Sが搬送されても、レーン切替装置26と実装装置27とにより元のレーンに基板Sを戻すことができる。また、実装装置27は、レーン切替装置26にレーン指定情報で指定されたレーンに基板Sの搬送を切り替えさせればよいから、簡易な処理で基板Sを元のレーンに戻すことができる。
【0029】
ここで、本実施形態の基板生産ライン10の構成要素と本開示の基板生産ラインの構成要素との対応関係を説明する。作業装置20が作業装置に相当し、印刷装置21の印刷制御部21dが情報設定部に相当し、レーン指定情報を含む基板情報ファイルFLを各作業装置20がアクセス可能に格納する共有フォルダ40を有する情報管理装置30が情報管理部に相当する。
【0030】
以上説明した本実施形態の基板生産ライン10では、第1レーンL1と第2レーンL2とのうち一のレーンを基板S毎に対応付けて指定したレーン指定情報を設定し、上流側の作業装置20から下流側の作業装置20への基板Sの受け渡しに先立って、その基板Sのレーン指定情報が下流側の作業装置20に取得されるように共有フォルダ40を用いて管理する。これにより、レーン指定情報を各作業装置20に順次取得させることができるから、レーンの数が途中で減少して元のレーンの数に戻る箇所などにおいて、基板Sのレーンを元のレーンに容易に決定することが可能となる。
【0031】
また、第2レーンL2を構成しない実装検査装置25はレーン指定情報に拘わらず第1レーンL1で基板Sを搬送し、デュアルレーンを構成する他の作業装置20はレーン指定情報に従って基板Sを搬送可能である。このため、各作業装置20が構成するレーンの数が異なっていても基板Sを適切に搬送することができる。
【0032】
また、基板生産ライン10では、各作業装置20がそれぞれ対応する第1〜第4格納領域41〜44にアクセス可能な共有フォルダ40を用いてレーン指定情報を含む基板ファイル情報FLを管理する。そして、各作業装置20は、対応する第1〜第4格納領域41〜44からレーン指定情報を含む基板ファイル情報FLを読み込むことにより取得して基板Sの搬送制御を行うと共にそのレーン指定情報を含む基板ファイル情報FLを削除する。また、各作業装置20は、基板Sに所定作業を実行するとその基板Sのレーン指定情報を含む基板情報ファイルFLを下流側の作業装置20に対応する格納領域に格納する。このため、基板Sの受け渡しに応じた適切なタイミングで、各作業装置20が基板Sのレーン指定情報を容易に取得して基板Sの搬送制御を行うことができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、レーン指定情報で指定されたレーンを構成する作業装置20は、常にそのレーン(搬送コンベア)で基板Sを搬送するものとしたが、これに限られるものではない。
図7はモード切替処理の一例を示すフローチャートであり、
図8は変形例の基板Sおよび基板情報ファイルFLの受け渡しを示す説明図である。
図7のフローチャートは、実装装置27の実装制御部27dにより実行されるものとする。
【0035】
図7のモード切替処理では、実装制御部27dは、情報管理装置30からモード切替指示を受信したか否かを判定し(S10)、モード切替指示を受信したと判定すると、指定優先モードへの切替指示であるか否かを判定する(S20)。変形例の実装装置27は、レーン指定情報で指定されたレーンを優先する指定優先モードと、指定されたレーンよりも基板Sの作業(生産)効率を優先する効率優先モードとの2つのモードのいずれかを選択的に設定可能となっている。また、情報管理装置30は、生産対象の基板Sの基板種や実装される部品種などからいずれのモードにするかを決定して、実装装置27へ指示を送信する。実装制御部27dは、S20で指定優先モードが指示されたと判定すると、効率優先モードから指定優先モードに切り替えて(S30)、モード切替処理を終了する。また、実装制御部27dは、S20で効率優先モードが指示されたと判定すると、指定優先モードから効率優先モードへ切り替えて(S40)、モード切替処理を終了する。指定優先モードでは、上述した実施形態と同じ処理が行われるため、説明を省略する。
【0036】
図8では、
図6と同じ処理には同じステップ番号を付す。この
図8では、実装制御部27dが効率優先モードに切り替えた状態を示しており、主に実装装置27のS700以降の処理が
図6と異なる。実装装置27の実装制御部27dは、S700で基板情報ファイルFL4を読み込んで削除すると、第1レーンL1と第2レーンL2の空き状況を確認し(S710a)、レーン指定情報で指定されたレーンに拘わらず生産効率を優先させるために空いているレーンを決定する(S715)。なお、実装制御装置27dは、S710a,S720でいずれのレーンも空いていない場合、第1レーンL1と第2レーンL2のいずれかのレーンが空くのを待ち、先に空いたレーンを決定するものとする。そして、決定したレーンへの基板Sの搬入可能信号を上流側のレーン切替装置26に送信する(S720a)。搬入可能信号を受信したレーン切替装置26の切替制御部26bは、搬入可能信号で通知されたレーンにシャトルコンベア26aを移動させて(S650a)、S660でシャトルコンベア26aを制御して基板Sを搬出する。また、実装制御部27dは、決定したレーンに対応する搬送コンベアを制御して基板Sを搬入する(S730a)。このように、変形例では、指定優先モードか効率優先モードのいずれかのモードを設定し、設定したモードに基づいて基板Sのレーンを決定するのである。効率優先モードが決定されている場合には、基板Sに対応付けられたレーン指定情報におけるレーンの指定に拘わらず、空いているレーンを決定して基板Sを効率よく処理することができる。
【0037】
この変形例において、
図7のように管理装置30から受信した指示に基づいてモードを切り替えるものに限られず、作業装置20が生産対象の基板Sの基板種や実装される部品種からいずれのモードにするかを切り替えるものとしてもよい。また、基板情報ファイルFLの基板種情報などにレーンの指定よりも効率を優先するか否かに関する情報を含めておき、効率を優先する旨の情報が含まれていれば、作業装置20が効率を優先して基板Sを搬送するレーンを決定するものなどとしてもよい。また、実装装置27だけでなく、他の複数の作業装置20の前にレーン切替装置を設けておき、それらの作業装置20がそれぞれ効率を優先してレーンを決定するものなどとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、2つのレーンを備えるものを例示したが、これに限られず、3以上の複数のレーンを備え、レーンの数が途中で変化するものであればよい。また、レーンの数が変化する箇所は、1箇所に限られず、2以上の複数箇所であってもよい。また、レーンの数は1レーンだけ減少するものに限られず、2レーン以上減少するものとしてもよい。さらに、一旦減少したレーン数が最大レーン数まで戻るものに限られず、レーン数は増えるものの最大レーン数まで戻らないものなどとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、各作業装置20が共有フォルダ40を介してレーン指定情報を取得するものとしたが、これに限られるものではない。各作業装置20が基板Sを搬入する前に情報管理装置30との通信を介して送信されたレーン指定情報を取得するものなどとしてもよい。あるいは、上流側の作業装置20と下流側の作業装置20とを通信可能に構成しておき、上流側の作業装置20との通信を介して送信されたレーン指定情報を下流側の作業装置20が取得するものなどとしてもよい。また、情報管理装置30がレーン指定情報を各作業装置20に送信するものなどにおいては、レーン指定情報の設定と管理とを情報管理装置30の管理制御部32が行うものなどとしてもよい。そのようにする場合、情報管理装置30が本開示の情報管理装置に相当するものとなる。
【0040】
上述した実施形態では、基板情報ファイルFLが、レーン指定情報の他に基板情報や印刷結果情報、実装結果情報などを含んだが、これに限られず、レーン指定情報を含むものであればよく、基板情報や印刷結果情報、実装結果情報などを含まなくてもよいし、これら以外の情報を含んでもよい。ただし、下流側の作業装置20での情報の有効利用を図るため、印刷結果情報や実装結果情報を含むものが好ましい。
【0041】
上述した実施形態では、第1レーンL1のみを構成する作業装置20として、実装検査装置25を例示したが、これに限られるものではない。例えば、基板Sの表裏を反転する反転装置や基板Sを待機させるバッファ領域を有するバッファ装置、基板Sのリフロー処理を行うリフロー装置などとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、レーン切替装置24,26は上流側または下流側の作業装置20からの搬出可能信号や搬入可能信号に基づいてシャトルコンベア24a,26aのレーンを切り替えて基板Sの搬送を行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、レーン切替装置24,26の切替制御部24b,26bが共有フォルダ40にアクセスして取得したレーン指定情報に基づいてレーンを切り替えるものなどとしてもよい。このようにする場合、レーン切替装置24,26に対応する格納領域を設けるものとしてもよいし、レーン切替装置24,26は上流側に隣接する作業装置20の格納領域にアクセスしてレーン指定情報を取得するものとしてもよい。あるいは、レーン切替装置24,26が切替制御部24b,26bを備えるものに限られず、上流側または下流側に隣接する作業装置20の制御部によりレーンの切り替えや基板Sの搬送を制御されるものなどとしてもよい。
【0043】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記作業装置は、前記レーン指定情報で指定された前記レーンを備えている場合には当該レーンで前記基板の搬送制御を行い、前記レーン指定情報で指定された前記レーンを備えていない場合には当該レーンの指定に拘わらず他のいずれかの前記レーンで前記基板の搬送制御を行うものとしてもよい。こうすれば、各作業装置が構成するレーンの数が異なっていても、基板の搬送制御を適切に行うことができる。
【0044】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記情報管理部は、前記作業装置の数に応じて格納領域が複数に区分けされると共に前記作業装置がそれぞれ対応する前記格納領域にアクセス可能な共有フォルダを用いて前記レーン指定情報を管理し、前記作業装置は、自装置に対応する前記格納領域から前記レーン指定情報を読み込んで前記基板の搬送制御を行うと共に前記レーン指定情報を削除し、前記基板に前記所定作業を実行すると当該基板の前記レーン指定情報を下流側の前記作業装置に対応する前記格納領域に格納するものとしてもよい。こうすれば、基板の受け渡しに応じた適切なタイミングで、各作業装置が基板のレーン指定情報を容易に取得して基板の搬送制御を行うことができる。
【0045】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記基板の搬送制御に関するモードとして、前記レーン指定情報で指定された前記レーンを優先する指定優先モードと、前記所定作業の効率を優先する効率優先モードのいずれかを設定するモード設定手段を備え、前記作業装置は、前記レーン指定情報で指定された前記レーンを備えている場合、前記指定優先モードが設定されているときには当該レーンで前記基板の搬送制御を行い、前記効率優先モードが設定されているときには当該レーンの指定に拘わらず空いているレーンで前記基板の搬送制御を行うものとしてもよい。こうすれば、レーン指定か作業効率のいずれかを優先した搬送制御が可能となるから、基板にレーン指定情報を対応付けた場合でも基板を搬送するレーンをより適切に決定することができる。
【0046】
本開示の情報管理装置は、並列する複数のレーンを構成し前記レーンに基板を搬送して前記基板に所定作業を行う複数の作業装置を備え、前記レーンの数が途中で変化する基板生産ラインにおける、情報を管理する情報管理装置であって、前記複数のレーンのうち一のレーンを前記基板毎に対応付けて指定したレーン指定情報を設定する情報設定部と、上流側の前記作業装置から下流側の前記作業装置への前記基板の受け渡しに先立って、当該基板の前記レーン指定情報が下流側の前記作業装置に取得されるように前記レーン指定情報を管理する情報管理部と、を備えることを要旨とする。
【0047】
本開示の情報管理装置は、複数のレーンのうち一のレーンを基板毎に対応付けて指定したレーン指定情報を設定し、上流側の作業装置から下流側の作業装置への基板の受け渡しに先立って、その基板のレーン指定情報が下流側の作業装置に取得されるようにレーン指定情報を管理する。これにより、レーン指定情報を各作業装置に順次取得させていくことができるから、レーンの数が途中で変化するライン構成において基板を搬送するレーンを適切に決定可能とすることができる。