特許第6971149号(P6971149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971149
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】潤滑用組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20211111BHJP
   C10M 105/04 20060101ALI20211111BHJP
   C10M 129/40 20060101ALI20211111BHJP
   C10M 133/06 20060101ALI20211111BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20211111BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   C10M169/04
   C10M105/04
   C10M129/40
   C10M133/06
   C10N30:06
   C10N40:25
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-535136(P2017-535136)
(86)(22)【出願日】2015年9月21日
(65)【公表番号】特表2017-528588(P2017-528588A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015071605
(87)【国際公開番号】WO2016046133
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年9月13日
【審判番号】不服2020-9174(P2020-9174/J1)
【審判請求日】2020年7月1日
(31)【優先権主張番号】62/053,467
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】サウスビー,マーク・クリフト
(72)【発明者】
【氏名】デ ローイ,セルジオ
【合議体】
【審判長】 亀ヶ谷 明久
【審判官】 川端 修
【審判官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−7484(JP,A)
【文献】 特開昭55−65297(JP,A)
【文献】 特表2001−500183(JP,A)
【文献】 特開2010−106256(JP,A)
【文献】 特開2013−221156(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083777(WO,A1)
【文献】 特開2001−130475(JP,A)
【文献】 Additin M 10299のテクニカルデータシート、1998年6月
【文献】 Additin M 10299のセーフティデータシート、2020年5月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00〜177/00
C10N 10/00〜 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのクランクケースで使用するための基油を含むエンジンオイルにおける、C12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアの、摩擦及び摩耗を減少させるための使用であって、前記エンジンオイルは、エンジンオイルの重量を基準に0.08wt%以下のリンを含み、基油がフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含上記無灰フリクションモディファイア以外の摩擦調整剤及び摩耗調整剤を含まない、前記使用。
【請求項2】
無灰フリクションモディファイアがC12−C24脂肪酸アミドを追加的に含む、請求項に記載の使用。
【請求項3】
エンジンオイルが、エンジンオイルの重量を基準に0.05wt%〜3wt%の無灰フリクションモディファイアを含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
すすの共存において摩擦及び摩耗を減少させるための、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
すすが、エンジンオイルの重量を基準に1wt%〜5wt%のレベルで存在する、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑用組成物、特に、内燃エンジンを潤滑するのに適し、改良した摩擦および摩耗減少および改良した燃料経済を示す潤滑用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
排気および燃料効率に関しての自動車規則の厳しさの増加は、エンジン製造者や潤滑剤配合者の双方に要求が増し、燃料経済を改良するために効率的な解決策を与える。
高性能ベースストックおよび新規添加剤の使用により最適化する潤滑剤は増大する挑戦に対する柔軟な解決を表す。
【0003】
減摩剤(フリクションモディファイアとしても知られている)は燃料消費を減少させるのに重要な潤滑剤成分であり、かかる種々の添加剤は既に当業界で公知である。
フリクションモディファイアは二つのカテゴリーに都合良く分けられ、すなわち、金属含有フリクションモディファイアおよび無灰(有機)フリクションモディファイアである。
【0004】
有機モリブデン化合物がとりわけ最も一般的な金属含有フリクションモディファイアである。典型的な有機モリブデン化合物にはモリブデンジチオカルバメート類(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート類(MoDTP)、モリブデンアミン類、モリブデンアルコラート類、およびモリブデンアルコール−アミド類等がある。WO1998026030号、WO1999031113号、WO1999047629号およびWO1999066013号各公報は、潤滑油組成物に使用するための三核モリブデン化合物を記載する。
【0005】
しかし、低灰潤滑油組成物に向けての傾向が、低摩擦および無灰フリクションモディファイアを使用する改良燃料経済を達成するのに拍車をかけてきている。
過去に使用されてきた無灰(有機)フリクションモディファイアは、典型的には、脂肪酸と多価アルコールとのエステル類、脂肪酸アミド類、脂肪酸から誘導されるアミン類および有機ジチオカルバメートもしくはジチオホスフェート化合物を含む。
【0006】
しかし、残念なことに、摩擦を減少させるのに使用されている潤滑添加剤は、典型的には、さらに摩耗をも減少させない。摩耗を減少させるための典型的な添加剤はリンおよびイオウの双方を含有する。しかし、リンおよび/またはイオウ含有添加剤はエンジンの後処理システムの触媒に潜在的に毒となり得、かかる添加剤はより高い量において望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO1998026030号公報
【特許文献2】WO1999031113号公報
【特許文献3】WO1999047629号公報
【特許文献4】WO1999066013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
摩擦および摩耗の双方を減少させるために、フリクションモディファイアおよび、例えば、リン−およびイオウ−含有耐摩耗剤のような耐摩耗剤の双方が、典型的には、潤滑油配合物に添加することが必要である。しかし、上述したように、かかる配合物は、エンジン後処理システムの触媒に毒となるような不利益をもたらし得る。したがって、リン−およびイオウ−含有添加剤を含有しないか、かかる添加剤を低レベルでしか含まない、がしかし摩擦と摩耗を依然として減少させる潤滑用組成物を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
今、驚いたことに、潤滑用組成物中にフリクションモディファイアとして公知である一定の無灰添加剤を摩耗も減少させるのにも使用でき、一方で高レベルのリン−およびイオウ−含有添加剤を含む必要性を無くすることが本発明者等により見出された。
【0010】
さらに驚いたことに、本発明の潤滑用組成物は燃料経済特性を改良させることも見出された。
したがって、本発明は、(i)基油ならびに(ii)摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用を提供する。
【0011】
本発明の第二態様では、(i)基油ならびに(ii)摩擦および摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用を提供することにある。
【0012】
本発明の別の態様では、(i)基油ならびに(ii)すすの共存において摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、(i)基油ならびに(ii)すすの共存において摩擦および摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、(i)基油ならびに(ii)燃料経済を改良させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用を提供することにある。
【0015】
ここで使用するための無灰フリクションモディファイアはC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンの混合物を含む。
無灰フリクションモディファイアの脂肪酸成分は、好ましくは、C14−C22脂肪酸、より好ましくは、C16−C20脂肪酸であり、さらにより好ましくは、C18脂肪酸である。好ましくは、C12−C24脂肪酸は不飽和脂肪酸である。特に好適な実施態様では、脂肪酸成分はオレイン酸である。
【0016】
無灰フリクションモディファイアの脂肪酸アミン成分は、好ましくは、C14−C22脂肪酸アミン、より好ましくは、C16−C20脂肪酸アミンであり、さらにより好ましくは、C18脂肪酸アミンである。好ましくは、C12−C24脂肪酸アミンは一級脂肪酸アミンである。特に好適な実施態様では、脂肪酸アミン成分はオレイルアミンである。
【0017】
好適な実施態様では、無灰フリクションモディファイアはC12−C24脂肪酸アミドを追加的に含む。
存在する場合、無灰フリクションモディファイアの脂肪酸アミド成分は、好ましくは、C14−C22脂肪酸アミド、より好ましくは、C16−C20脂肪酸アミドであり、さらにより好ましくは、C18脂肪酸アミドである。好ましくは、C12−C24脂肪酸アミドは不飽和脂肪酸アミドである。特に好適な実施態様では、脂肪酸アミド成分はオレイルアミドである。
【0018】
本発明で使用するのに適している無灰フリクションモディファイアは、Rhein Chemieから商業的に入手できるAdditin M10229である。
上述の無灰フリクションモディファイアは、潤滑用組成物の重量を基準に、好ましくは、0.05wt%〜3wt%のレベルで存在し、より好ましくは、0.1wt%〜1wt%のレベル、さらにより好ましくは、0.5wt%〜1wt%のレベルで存在する。
【0019】
本発明の潤滑用組成物に使用される基油に関して特別の制限はなく、種々の慣用の鉱油、合成油ならびに植物油のような天然由来エステル類を都合良く使用できる。
本発明において用いる基油には、好都合には、1種類以上の鉱油および/または1種類以上の合成油の混合物を含ませることができ、したがって、本発明では、「基油」という用語は、少なくとも1種のフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含んで、二種以上の基油を含有する混合物に対して称することができる。鉱油には、パラフィン系、ナフテン系、またはパラフィン/ナフテン系混合タイプの液体石油系オイル及び溶媒処理または酸処理鉱物系潤滑油等が挙げられ、これらは、水素化精製プロセスおよび/または脱ロウによってさらに精製することができる。
【0020】
本発明の潤滑油組成物に使用するのに適した基油は、グループI−III鉱物基油(好ましくは、グループIII)、グループIVポリ−アルファオレフィン類(PAOs)、グループII−IIIフィッシャー・トロプシュ誘導基油(好ましくは、グループIII)、グループVエステル基油、およびそれらの混合物である。
【0021】
本発明で、「グループI」、「グループII」、「グループ−III」および「グループIV」および「グループV」という用語は、米国石油協会(API)のカテゴリーI、II、III、IVおよびVについての定義にしたがう潤滑油基油を意味する。これらのAPIカテゴリーは、API Publication 1509, 15th Edition, Appendix E, April 2002で定義されている。
【0022】
フィッシャー・トロプシュ誘導基油は当業界で公知である。「フィッシャー・トロプシュ誘導」という用語は、フィッシャー・トロプシュプロセスの合成生成物であるか、またはそれから誘導された基油を意味する。フィッシャー・トロプシュ誘導基油はGTL(Gas−To−Liquid)基油とも称される。本発明の潤滑用組成物として使用されるのに都合良い適切なフィッシャー・トロプシュ誘導基油は、例えば、EP0776959号、EP00668342、WO1997021788号、WO2000015736号、WO2000014188号、WO2000014187号、WO2000014183号、WO2000014179、WO2000008115号、WO1999041332号、EP1029029号、WO2001018156号、およびWO2001057166号各公報に開示されている。
【0023】
典型的には、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の芳香族類含量は、ASTM D 4629により適切に決定して、1wt%未満、好ましくは、0.5wt%未満、そして最も好ましくは、0.1wt%未満であろう。適切には、基油の総パラフィン含量は、少なくとも80wt%、好ましくは、少なくとも85、より好ましくは、少なくとも90、さらにより好ましくは、少なくとも95、そして最も好ましくは、少なくとも99wt%である。飽和物含量は(IP−368により測定して)、98wt%を超えるのが適切である。好ましくは、基油の飽和物含量は99wt%を超え、より好ましくは、99.5wt%を超える。さらに好ましくは、最大n−パラフィン含量は0.5wt%である。基油は、好ましくは、0〜20wt%未満、より好ましくは、0.5〜10wt%のナフテン化合物含量を有する。
【0024】
典型的には、フィッシャー・トロプシュ誘導基油または基油ブレンドの100℃における動粘度は(ASTM D 7042により測定して)1〜30mm/s(cSt)の範囲、好ましくは、1〜25mm/s(cSt)、そしてより好ましくは、2mm/s〜12mm/s(cSt)の範囲である。好ましくは、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の100℃における動粘度は(ASTM D 7042により測定して)、少なくとも2.5mm/s、より好ましくは、少なくとも3.0mm/sである。本発明の一実施態様では、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の100℃における動粘度は、最大限でも5.0mm/s、好ましくは、最大限でも4.5mm/s、より好ましくは、最大限でも4.2mm/s(例「GTL4」)である。本発明の別の実施態様では、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の100℃における動粘度は、最大限でも8.5mm/s、好ましくは、最大限でも8mm/s (例「GTL8」)である。
【0025】
さらに、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の40℃における動粘度は(ASTM D 7042により測定して)、典型的には、10〜100mm/s(cSt)、好ましくは、15〜50mm/s(cSt)である。
【0026】
また、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の流動点は(ASTM D 5950により測定して)、好ましくは、−30℃未満、より好ましくは、−40℃未満、そして、最も好ましくは、−45℃未満である。
【0027】
フィッシャー・トロプシュ誘導基油の引火点は(ASTM D 92により測定して)、120℃を超え、より好ましくは、140℃さえ超える。
フィッシャー・トロプシュ誘導基油の粘度指数は(ASTM D 2270により測定して)、100〜200の範囲内である。好ましくは、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の粘度指数は少なくとも125、好ましくは、130である。さらに、粘度指数が180未満、好ましくは、150未満が好適である。
【0028】
結果的には、フィッシャー・トロプシュ誘導基油は2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油のブレンドを含有し、上記値は2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油のブレンドに適用する。
【0029】
潤滑油組成物は、好ましくは、80wt%またはそれ以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含む。
合成油には、オレフィンオリゴマー(ポリアルファ基油;PAOsを含む)のような炭化水素油、二塩基酸エステル類、ポリオールエステル類、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、アルキルナフタレン類および脱蝋ワックス様異性体類等がある。合成炭化水素基油は、シェルグループにより、「Shell XHVI」(商標)という販売名で販売され、都合良く使用できる。
【0030】
ポリアルファオレフィン基油(PAOs)およびその製造は当業界で周知である。本発明の潤滑用組成物に使用できる好適なポリアルファオレフィン基油は線状C−C32、好ましくは、C−C16、アルファオレフィン類である。前記ポリアルファオレフィン類の特に好適な供給原料は1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンおよび1−テトラデセンである。
【0031】
PAOの高い製造コストに鑑み、フィッシャー・トロプシュ誘導基油を使用することにPAO基油を勝る強い優先性がある。したがって、好ましくは、基油は、50wt%以上、好ましくは、60wt%以上、より好ましくは、70wt%以上、さらにより好ましくは、80wt%以上、最も好ましくは、90wt%以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含有する。特に好適な実施態様では、5wt%以下、好ましくは、2wt%以下の基油がフィッシャー・トロプシュ誘導基油以外である。100wt%の基油が1種またはそれ以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油であることがさらにより好適である。
【0032】
本発明の潤滑用組成物に配合される基油の総量は、潤滑用組成物の総量に対して、好ましくは、60〜99wt%の範囲、より好ましくは、65〜90wt%の範囲、そして最も好ましくは70〜85wt%の範囲である。
【0033】
典型的には、本発明にしたがって使用される基油の100℃における動粘度(ASTM D 445にしたがって)は2.5cStを超え5.6cStまでである。本発明の好適な実施態様では、基油の100℃における動粘度(ASTM D 445にしたがって)は3.5〜4.5cStの間である。結果的には、基油は2種またはそれ以上のブレンドを含有し、該ブレンドの100℃における動粘度は3.5〜4.5cStの間である。
【0034】
典型的には、本発明の潤滑用組成物は、SAE J300粘度等級である、OW−20、OW−30、OW−40、5W−20、5W−30および5W−40で利用されるがこれらに限定される必要性はなく、これらは燃料経済を目標とする等級である。新規なSAE 300粘度等級は現行のOW−20よりも低い粘度のものと共に公開されているので、本発明はこれらの新規の粘度のより低い等級のものにも非常に合って適用可能である。本発明はより高い粘度等級で使用され得ることが考えられる
本発明の潤滑用組成物のノアック(Noack)揮発度は(ASTM D 5800にしたがって)、15wt%以下である。典型的には、前記組成物のノアック揮発度は(ASTM D 5800にしたがって)、1〜15wt%の間、好ましくは、14.6wt%未満であり、より好ましくは、14.0wt%未満である。
【0035】
好ましくは、潤滑用組成物の100℃における動粘度は2〜80mm/sの範囲、より好ましくは、3〜70mm/sの範囲、最も好ましくは、4〜50mm/sの範囲である。
【0036】
ここでは、潤滑油組成物中のリンの総量は、潤滑用組成物の重量を基準に、好ましくは、0.08wt%以下である。
ここでは、潤滑油組成物の硫酸塩灰分の含量は、潤滑油組成物の総重量を基準に、好ましくは、2.0wt%以下、より好ましくは、1.0wt%以下、そして最も好ましくは0.8wt%以下である。
【0037】
ここでは、潤滑油組成物のイオウの含量は、潤滑油組成物の総重量を基準に、好ましくは、1.2wt%以下、より好ましくは、0.8wt%以下、そして最も好ましくは0.2wt%以下である。
【0038】
本発明の潤滑用組成物は、抗酸化剤、耐摩耗添加剤、分散剤、洗浄剤、過塩基化洗浄剤、極圧添加剤、フリクションモディファイア、粘度指数改良剤、流動点抑制剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、抗乳化剤、消泡剤、シール相容剤および付加的希釈用基油等の1種以上の添加剤をさらに含む。
【0039】
当業者は上記および他の添加剤に精通しているので、これらの添加剤についてさらに詳細に論じない。このような添加剤の特定例は、例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第三版、14巻、477〜526頁に記載されている。
【0040】
都合良く使用できる抗酸化剤はアミン性抗酸化剤(aminic antioxidants)および/またはフェノール性抗酸化剤から成る群から選択されるもの等がある。
好適な実施態様では、前記抗酸化剤は、潤滑油組成物の総重量を基準に0.1〜5.0wt%の範囲、より好ましくは、0.3〜3.0wt%の範囲、そして最も好ましくは、0.5〜1.5wt%の範囲の量で存在する。
【0041】
都合良く使用できるアミン性抗酸化剤の例には、アルキル化ジフェニルアミン類、フェニル−α−ナフチルアミン類、フェニル−β−ナフチルアミン類およびアルキル化α−ナフチルアミン類等がある。
【0042】
好適なアミン性抗酸化剤には、p、p’−ジオクチル−ジフェニルアミン、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミンおよびN−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンのようなジアルキルジフェニルアミン類;モノ−t−ブチルジフェニルアミンおよびモノ−オクチルジフェニルアミンのようなモノアルキルジフェニルアミン類;ジ−(2,4−ジエチルフェニル)アミンおよびジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンのようなビス(ジアルキルフェニル)アミン類;オクチルフェニル−1−ナフチルアミンおよびn−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンのようなアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類;1−ナフチルアミン;フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミンおよびN−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンのようなアリールナフチルアミン類;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミンおよびN,N‘−ジフェニル−p−フェニレンジアミンのようなフェニレンジアミン類;ならびにフェノチアジンおよび3,7−ジオクチルフェノチアジンのようなフェノチアジン類等がある。
【0043】
好適なアミン性抗酸化剤には、以下の商標:“Sonoflex OD−3”(Seiko Kagaku Co.から)、“Irganox L−57”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)およびフェノチアジン(Hodogaya Kagaku Co.から)で得られるもの等がある。
【0044】
好都合に使用できるフェノール性抗酸化剤の例には、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸のC〜C分岐アルキルエステル;2−t−ブチルフェノール;2−t−ブチル−4−メチルフェノール;2−t−ブチル−5−メチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2−t−ブチル−4−メトキシフェノール;3−t−ブチル−4−メトキシフェノール;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールのような2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類;2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノールおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールのような2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトオクチルアセテート;n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−ブチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートのようなアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類;2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)および2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)のような2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類;4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)および2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルレゾルシノール)のようなビスフェノール類;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス−[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノールおよび2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノールのようなポリフェノール類;ならびにp−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物およびp−t−ブチルフェノール−アセトアルデヒド縮合物等がある。
【0045】
好適なフェノール性酸化防止剤には、以下の商標:“Irganox L−135”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Yoshinox SS”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)、“Antage W−400”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Antage W−500”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Antage W−300”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Irganox L109”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Tominox 917”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)、“Irganox L115”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Sumilizer GA80”(Sumitomo Kagakuから)、“Antage RC”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Irganox L101”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Yoshinox 930”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)等の商標で入手できるものがある。
【0046】
本発明の潤滑油組成物は、1種以上のフェノール性抗酸化剤と1種以上のアミン性抗酸化剤との混合物を含むことができる。
都合良く使用できる耐摩耗添加剤には、亜鉛含有化合物、例えば、亜鉛ジアルキル−、ジアリール−および/またはアルキルアリール−ジチオホスフェートから選択される亜鉛ジチオホスフェート化合物のような亜鉛含有化合物、モリブデン含有化合物、ホウ素含有化合物および無灰耐摩耗添加剤、例えば、置換もしくは無置換チオホスホン酸、ならびにそれらの塩等がある。
【0047】
好適な実施態様では、潤滑油組成物は、耐摩耗添加剤として、単一亜鉛ジチオホスフェートまたは2種以上の亜鉛ジチオホスフェートの組み合わせを含むことができ、各亜鉛ジチオホスフェートは亜鉛ジアルキル−、ジアリール−またはアルキルアリール−ジチオホスフェートから選択される。
【0048】
亜鉛ジチオホスフェートは当業界で周知の添加剤であり、一般式II:
【0049】
【化1】
【0050】
(式中、R〜Rは同一または異なることができ、各々1〜20個の炭素原子、好ましくは、3〜12個の炭素原子を含有する一級アルキル基、3〜20個の炭素原子、好ましくは、3〜12個の炭素原子を含有する二級アルキル基、アリール基もしくはアルキル基で置換されたアリール基であり、該アルキル置換基は1〜20個の炭素原子、好ましくは3〜18個の炭素原子を含有する。)によって都合良く表すことができる。
【0051】
〜Rが互いに全て異なる亜鉛ジチオホスフェート化合物は単独でまたはR〜Rが全て同一である亜鉛ジチオホスフェート化合物と混合状態で使用することができる。
好ましくは、本発明で使用される各亜鉛ジチオホスフェートは亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである。
【0052】
適切な亜鉛ジチオホスフェートの例には、“Lz 1097”および“Lz 1395”という商標名でLubrizol Corporationから入手できるもの;、“OLOA 267”、“OLOA 269R”という商標名でChevron Oroniteから入手できるもの;および“HITEC 7197”という商標名でAfton Chemicalから入手できるもの;“Lz 677A”、“Lz 1095”および“Lz 1371”という商標名でLubrizol Corporationから入手できるもの、“OLOA 262”という商標名でChevron Oroniteから入手できるもの、および“HITEC 7169”という商標名でAfton Chemicalから入手できるもののような亜鉛ジチオホスフェート;“Lz 1370”および“Lz 1373” という商標名でLubrizol Corporationから入手できるもの、および“OLOA 260”という商標名でChevron Oroniteから入手できるもののような亜鉛ジチオホスフェート等がある。
【0053】
ここで潤滑油組成物は、通常、潤滑油組成物の総重量を基準に、0.4〜1.2wt%の範囲内の亜鉛ジチオホスフェートを含むことができる。
モリブデン含有化合物の例には、モリブデンジチオカルバメート、トリニュークレアモリブデン化合物、例えば、WO1998026030号公報に記載されているものであり、モリブデンのスルフィドおよびモリブデンジチオホスフェート等が好都合である。
【0054】
好都合に使用できるホウ素含有化合物には、ホウ酸化エステル類、ホウ酸化脂肪族アミン類、ホウ酸化エポキシド類、アルカリ金属(または混合アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属)ホウ酸化物およびホウ酸化過塩基化金属塩等がある。
【0055】
ここで、潤滑用組成物中で使用できる典型的な洗浄剤には1種またはそれ以上のサリシレートおよび/またはフェネートおよび/またはスルフォネート洗浄剤等がある。
しかし、洗浄剤として使用される金属有機および無機塩基塩は潤滑油組成物の硫酸灰含量に影響を与え得るので本発明の好適な実施態様では、かかる添加剤の量を可及的に少なくする。
【0056】
さらに、低イオウ量を維持するためにサリシレート洗浄剤が好適である。
したがって、好適な実施態様では、ここで潤滑油組成物中は1種またはそれ以上のサリシレート洗浄剤を含有する。
【0057】
ここで、潤滑油組成物の総硫酸塩灰分含量は、潤滑油組成物の総重量を基準に、好ましくは2.0wt%以下のレベル、より好ましくは1.0wt%以下のレベル、そして最も好ましくは0.8wt%以下のレベルに維持するために、前記洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量を基準に、好ましくは0.05〜20.0wt%、より好ましくは1.0〜10.0wt%、そして最も好ましくは2.0〜5.0wt%の範囲の量で使用される。
【0058】
さらに、前記洗浄剤のTBN(総塩基数)は、独立して、ISO 3771により測定して、10〜500mg.KOH/g値、より好ましくは、30〜350mg.KOH/g値、そして最も好ましくは、50〜300mg.KOH/g値であるのが好適である。
【0059】
ここで、潤滑油組成物はさらに無灰分散剤を含むことができ、好ましくは、潤滑油組成物の総重量を基準に、5〜15wt%の範囲の量で混合される。
使用できる無灰分散剤の例には、日本特許第1367796号、第1667140号、第1302811号および第1743435号公報に開示されているような、ポリアルケニルスクシンイミドおよびポリアルケニルコハク酸エステル等がある。好適な分散剤にはホウ素化スクシンイミド等がある。
【0060】
明細書中で、潤滑用組成物で都合良く使用できる粘度指数改良剤の例には、結晶型または非結晶型のスチレン−ブタジエン星形コポリマー、スチレン−イソプレン星形コポリマーおよびポリメタクリレートコポリマーおよびエチレン−プロピレンコポリマー(オレフィンコポリマーとしても知られている)等がある。ここで、潤滑用組成物中で使用できる分散性粘度指数改良剤を使用できる。しかし、好ましくは、該組成物は該組成物の総重量を基準に、1.0wt%未満、好ましくは、0.5wt%未満の粘度指数改良剤濃縮物(すなわち、VI改良剤プラス「キャリヤー油」もしくは「稀釈剤」)を含有する。最も好ましくは、該組成物は粘度指数改良剤濃縮物を含まない。以降に使用する「ビスコシティーモディファイヤー」という用語は上述の用語「粘度指数改良剤濃縮物」と同一の意味である。
【0061】
好ましくは、前記組成物は少なくとも0.1wt%の流動点降下剤を含有する。例として、アルキル化ナフタレンおよびフェノール性ポリマー類、ポリメタクリレート類、マレエート/フマレートコポリマーエステル類を有効な流動点降下剤として都合良く使用できる。好ましくは、0.3wt%以下の流動点降下剤を使用する。
【0062】
さらに、アルケニルコハク酸もしくはそのエステル部分、ベンゾトリアゾール系化合物およびチオジアゾール系化合物のような化合物を腐食防止剤としてここで潤滑用組成物に都合良く使用できる。
【0063】
ポリシロキサン類、ジメチルポリシロキサンおよびポリアクリレート類のような化合物を脱泡剤としてここで潤滑用組成物に都合良く使用できる。
ここで、シール固定(seal fix)もしくはシール相容剤として潤滑用組成物に都合良く使用できる化合物には、例えば、商業的に入手できる芳香族エステル類等がある。
【0064】
上記添加剤は、典型的には、潤滑用組成物の総量を基準に、0.01〜35.0wt%の範囲の量、好ましくは、0.05〜25.0wt%の範囲の量で、より好ましくは、潤滑用組成物の総量を基準に、1.0〜20.0wt%の範囲の量で存在する。
【0065】
好ましくは、前記組成物は、耐摩耗添加剤、金属洗浄剤、無灰分散剤および抗酸化剤からなる添加剤パッケージを少なくとも9.0wt%、好ましくは、少なくとも10.0wt%,より好ましくは、少なくとも11.0wt%含有する。
【0066】
ここで、潤滑用組成物は、好ましくは、エンジンのクランクケースで使用するためのエンジンオイルである。エンジンオイルには、大型車両用ジーゼルエンジンオイル(Heavy Duty Diesel Engine Oil)、乗用自動車用エンジンオイル、ならびにその他のタイプのエンジンオイル、例えば、モーターサイクルオイル、船舶用エンジンオイル等がある。
【0067】
ここで、潤滑用組成物は,いわゆる「低SAPS」(SAPS=硫酸塩灰分、リンおよびイオウ)、「中SAPS」または「レギュラーSAPS」配合物であることができる。
乗用自動車用エンジンオイル(Passenger Car Motor Oil: PCMO)について上記範囲は:
− 硫酸塩灰分が(ASTM D 874にしたがって)それぞれ、0.5wt%まで、0.8wt%まで、および1.5wt%までであり;
− リン含量が(ASTM D 5185にしたがって)それぞれ、0.05wt%まで、0.08wt%まで、および典型的には0.1wt%まであり;そして
− イオウ含量が(ASTM D 5185にしたがって)それぞれ、0.2wt%まで、0.3wt%まで、および典型的には0.5wt%までであることを意味する。
【0068】
大型車両用ジーゼルエンジンオイルについて上記範囲は:
− 硫酸塩灰分が(ASTM D 874にしたがって)それぞれ、1wt%まで、1wt%まで、および2wt%までであり;
− リン含量が(ASTM D 5185にしたがって)それぞれ、0.08wt%まで(低SAPs)、および0.12wt%まで(中SAOs)であり;そして
− イオウ含量が(ASTM D 5185にしたがって)それぞれ、0.3wt%まで(低SAPs)、および0.4wt%まで(中SAOs)であることを意味する。
【0069】
本発明の潤滑用組成物は、基油と無灰フリクションモディファイヤーおよびその他の添加剤成分/添加剤パッケージとを例えば、おおよそ60℃の温度で混合することによる慣用的な配合技術を使用して都合良く調製できる。
【0070】
本明細書中で記載した潤滑用組成物が、驚いたことに、すす(soot)の共存下、好ましくは、潤滑用組成物の1wt%〜5wt%の範囲のすすの共存下、減少した摩耗を与えることを見出した。
【実施例】
【0071】
本発明を下記の実施例にしたがって記載するが、これらの実施例は本発明の範囲をどのような形態にも制限する意図ではない。
実施例1および比較例1
比較例1は表1に示した配合物の大型車両用ジーゼルエンジンオイルである。該配合物は、慣用の混合技術を使用して種々の成分を共にブレンドすることにより製造した。
【0072】
実施例1は、比較例1と同様であるが、1wt%の「Additin M10229」でトップ処理(top treated)をした。Additin M10229は、RheinChemieから商業的に入手できる無灰フリクションモディファイヤーである。
【0073】
【表1】
【0074】
註:1.GTL4は、100℃の動粘度(ASTM D445)がおおよそ4cst(mm/s)を有するフィッシャー・トロプシュ誘導基油である。このGTL4基油は、例えば、WO20020070631号公報に記載されているプロセスにより都合良く調製できる。
【0075】
2.GTL8は、100℃の動粘度(ASTM D445)がおおよそ8cst(mm/s)を有するフィッシャー・トロプシュ誘導基油である。このGTL8基油は、例えば、WO2002070631号公報に記載されているプロセスにより都合良く調製できる。
【0076】
3.Chevron−Oroniteから商業的に入手できる防錆剤である。
4.Infineumから商業的に入手できるVI改良剤である。
5.サリシレート洗浄剤、高分子量分散剤であるZDTP、アミン性抗酸化剤およびフェノール性抗酸化剤を含むHDDEO添加剤パッケージである。
【0077】
SRV 摩耗および摩擦試験
比較例1および実施例1を、Optimol SRV−4摩擦および摩耗試験用プラットホームを使用して摩耗試験に付した。Optimolから購入した試験標本を使用して試験するためにシリンダー−オン−フラット(cylinder-on-flat)形状を使用した。硬化させた鋼製シリンダーは11×15mm(直径×長さ)であった。鋼製ディスク(6.9×22mm)に適合するように、特注の試料皿ホルダーを製造した。試料皿は約2mlのオイルを保持して、SRV内で完全浸漬の長時間潤滑剤試験を行えるようになっている。整列したピンスロット上の特殊配列は、上記皿がSRV試料室中の左または右のいずれか(中心位置に加えて)に5mm位置に配置可能になっている。これにより、ディスクの各サイドで3種の独立した試験(3mmストローク)が可能である。ディスク片は鋼製であるかDLC被覆鋼製であり;シリンダーは常に鋼表面だった。2種の試験標本(例えば、シリンダーおよびディスク)を試験チャンバー内に設置し、特定の標準的力を用いて一緒にプレスした。頂部の試験標本を底部の試験標本上で振動させた。振動数、ストローク、試験荷重、試験温度および試験期間を予め設定し;摩擦力を継続して測定した。全試験期間中摩擦係数を自動的に計算して記録した。試験中および/または試験後の摩耗値を測定して記録した。
【0078】
比較例1および実施例1試験中、総潤滑用組成物の重量を基準に4.76wt%のすすが存在した。
比較例1および実施例1の試験に下記の試験条件を使用した:
荷重 200N
ストローク 3mm
期間 3時間
温度 130℃
比較例1および実施例1の摩擦係数および摩耗値の測定値を下記の表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例2〜6および比較例1〜3
すすの存在下および不存在下で、大型車両用ジーゼルエンジンオイルに種々の量のAdditin M10229を加える効果を示すために別の一連の実験を行った。
【0081】
試験した配合物は比較例1を基準とし、種々の量のカーボンブラック(すすの存在をシミュレートするために)および種々の量のAdditin M10229を下記の表3に示す量で頂部処理した。
【0082】
表3に示した配合物の各々の摩耗値を実施例1および比較例1について上記で使用したと同じ試験法を使用して測定した。
摩耗値の測定を下記の表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
論考
表2は、潤滑用組成物に1wt%のAdditin M10229の添加が摩擦係数および摩耗値双方の低下に導くことを示す。Additin M10229は有機フリクションモディファイアとして市場化されており、追加的摩耗低下に大きな影響を与え、それは予期できない。
【0085】
Additin M10229はリンを含有しないので、ZDTP耐摩耗添加剤に加えて使用できる。
表3は、潤滑用組成物に種々の濃度のAdditin M10229が摩耗値の減少に導く。この利点はすす(カーボンブラック)の有無にかかわらず見られる。
以下に、出願時の特許請求の範囲の内容を記載する。
[1]
(i)基油ならびに(ii)摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用。
[2]
(i)基油ならびに(ii)摩擦および摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用。
[3]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸がC14−C22脂肪酸である、前記1または2に記載の使用。
[4]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸がC16−C20脂肪酸である、前記1〜3のいずれかに記載の使用。
[5]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸がC18脂肪酸である、前記1〜4のいずれかに記載の使用。
[6]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸アミンがC14−C22脂肪酸アミンである、前記1〜5のいずれかに記載の使用。
[7]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸アミンがC16−C20脂肪酸アミンである、前記1〜6のいずれかに記載の使用。
[8]
無灰フリクションモディファイア中に存在するC12−C24脂肪酸アミンがC18脂肪酸アミンである、前記1〜7のいずれかに記載の使用。
[9]
無灰フリクションモディファイアがC12−C24脂肪酸アミドを追加的に含む、前記1〜8のいずれかに記載の使用。
[10]
潤滑用組成物が、潤滑用組成物の重量を基準に0.05wt%〜3wt%の無灰フリクションモディファイアを含む、前記1〜9のいずれかに記載の使用。
[11]
基油がフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含む、前記1〜10のいずれかに記載の使用。
[12]
(i)基油ならびに(ii)すすの共存において摩耗を減少させるためのC12−C24脂肪酸およびC12−C24脂肪酸アミンを含む無灰フリクションモディファイアを含む潤滑用組成物の使用。
[13]
すすが、潤滑用組成物の重量を基準に1wt%〜5wt%のレベルで存在する、前記12に記載の使用。
[14]
潤滑用組成物が、潤滑用組成物の重量を基準に0.08wt%以下のリンを含む、前記1〜13のいずれかに記載の使用。
[15]
潤滑用組成物が乗用自動車用エンジンオイルである、前記1〜14のいずれかに記載の使用。
[16]
潤滑用組成物が大型車両用ジーゼルエンジンオイルである、前記1〜14のいずれかに記載の使用。