特許第6971153号(P6971153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971153多重特異的NKエンゲイジャータンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971153
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】多重特異的NKエンゲイジャータンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20211111BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20211111BHJP
   C07K 16/32 20060101ALI20211111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211111BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20211111BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   C07K16/46ZNA
   C07K16/28
   C07K16/32
   A61P35/00
   A61K39/395 N
   A61K39/395 T
   !C12N15/13
【請求項の数】12
【全頁数】105
(21)【出願番号】特願2017-566332(P2017-566332)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-524326(P2018-524326A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】EP2016064537
(87)【国際公開番号】WO2016207278
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2015/064063
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/271,459
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506000184
【氏名又は名称】イナート・ファルマ・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA PHARMA S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ゴーティエ
(72)【発明者】
【氏名】ナディア・アンセリズ
(72)【発明者】
【氏名】アリアーヌ・モレル
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・ロッシ
【審査官】 小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】 BOLZHAUSER, Markus,Immunotherapy of childlike ALL: Influence of a bispecific CD19*NKp46 antibody on the cytotoxic activity of NK cells opposite CD19+ ALL blasts of pediatric patients,Inaugural-Dissertaion,2010年,p. 1-113
【文献】 BLOOD,2009年,Vol. 113, No. 16,p. 3735-3743
【文献】 BLOOD,2006年,Vol. 108, No. 8,p. 2648-2654
【文献】 Protein Eng. Des. Sel.,2013年,Vol. 26, No. 10,p. 645-654
【文献】 BMC Proceedings,2013年,Vol. 7, Suppl. 6,p. 1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00 ー 16/46
C12N 15/13 ー 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリン重鎖可変ドメインおよび免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含む第1の抗原結合ドメイン(「ABD」)と、免疫グロブリン重鎖可変ドメインおよび免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含む第2のABDと、ヒトCD16Aに結合することができるFcドメインとを含む多重特異的抗原結合タンパク質であって、前記第1又は第2のABDの一方がNK細胞上のヒトNKp46ポリペプチドに結合し、且つ他方が腫瘍細胞によって発現される目的の抗原に結合し、前記Fcドメインが、アミノ酸残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメインであり、前記多重特異的タンパク質が一価で前記NKp46ポリペプチドに結合し、且つ前記多重特異的タンパク質が、NKp46発現NK細胞を誘導して、前記目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させることができ、前記標的細胞の前記溶解がNKp46シグナル伝達によって媒介される、多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項2】
前記標的細胞の溶解が、NKp46シグナル伝達と、CD16に媒介される抗体依存性細胞介在性細胞傷害(「ADCC」)との組み合わせによって媒介される、請求項1に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項3】
NK細胞上でのCD137発現を上方制御する、請求項1〜2のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項4】
ヘテロ二量体又はヘテロ三量体タンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項5】
ポリペプチドが、表面プラズモン共鳴によって決定された場合に、10−7M未満のNKp46に対するKD(一価結合親和性)を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項6】
抗原結合部位の少なくとも1つが、従来のヒトIgG1抗体における抗原結合部位と比較してより大きい鎖内ドメイン運動を有するように構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項7】
少なくとも1つのポリペプチド鎖を含み、前記少なくとも1つのポリペプチド鎖が、可撓性リンカーによって、任意選択により可撓性ポリペプチドリンカーによって定常ドメイン又はFcドメインに結合された抗原結合ドメインを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項8】
表面上で固定されて、Biacoreを使用する表面プラズモン共鳴によって決定された場合に、2000nM以下、任意選択により1300nM以下、任意選択により1100nM以下である一価結合に対するKDで可溶性ヒトCD16に結合する、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項9】
前記目的の抗原が癌抗原である、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項10】
NKp46ポリペプチドへの結合に関してモノクローナル抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6の任意の1つ又は任意の組み合わせと競合する、請求項1〜のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項11】
多重特異的抗原結合タンパク質が、野生型NKp46への結合と比較して変異型NKp46ポリペプチドへの減少した結合を有し、変異型NKp46ポリペプチドが、
a.野生型NKp46への結合と比較して残基R101、V102、E104及びL105での変異を有する変異型NKp46ポリペプチド、
b.前記野生型NKp46への結合と比較して残基K41、E42、E119、Y121及びY194の任意の1つ以上での変異を有する変異型NKp46ポリペプチド、及び
c.前記野生型NKp46への結合と比較して残基P132、E133、I135及びS136の任意の1つ以上での変異を有する変異型NKp46ポリペプチド
からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の多重特異的抗原結合タンパク質を含む、癌の処置のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/271,459号明細書及び2015年6月23日に出願されたPCT特許出願第PCT/欧州特許出願公開第2015/064063号明細書の利益を主張し、これらは両方とも、全ての図面及び配列表を含めてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、電子形式の配列表と合わせて出願されている。この配列表は、2016年6月22日に作成された355KBサイズの「NKp46−6 PCT_ST25 txt」という名称のファイルとして提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0003】
エフェクターNK細胞に結合し且つそれを特異的にリダイレクトして、複数の活性化受容体を介して目的の標的細胞を溶解する多重特異的タンパク質が提供される。このタンパク質は、疾患、特に癌又は感染病の処置に有用である。
【背景技術】
【0004】
2つの異なるエピトープに結合する二重特異的抗体は、特異性を高める機会、効力を拡張する機会、及び従来のモノクローナル抗体では達成できない作用の新規な機序を利用する機会を提供する。同時に2つの標的に結合する二重特異的抗体の様々な形態が報告されている。また、二重特異的抗体を用いて2つの異なる受容体を架橋してシグナル伝達経路を阻害することは、様々な適用例で有用性を示している(例えば、(非特許文献1)を参照されたい)。二重特異的抗体は、2つの異なる受容体を中和するために使用されてきた。他のアプローチでは、二重特異的抗体は、免疫エフェクター細胞を動員するために使用され、ここで、T細胞の活性化が、2つの異なる細胞型における受容体に同時に結合する二重特異的抗体によって腫瘍細胞の近傍で達成される((非特許文献2)を参照されたい)。この抗体は「二重特異的T細胞エンゲイジャー(engager)抗体」(又は「BiTE」抗体)と称されている。しかしながら、T細胞を完全に活性化させるには、このT細胞とBiTEのクラスターとが標的細胞の表面上で相互作用しなければならない。BiTE形態で機能する抗体可変領域を見出すことの困難さに起因して、これまで、CD19×CD3特異的抗体ブリナツママブ(blinatumamab)では単一の免疫細胞受容体(CD3)のみが標的とされている。これまでに開発された二重特異的抗体として、T細胞上のCD3複合体を腫瘍関連抗原に連結するものも挙げられる。また、一方のアームがCD16(FcγRIIIa)に結合し、且つ他方のアームが目的の抗原、例えば、CD19に結合する二重特異的抗体が開発された((非特許文献3)を参照されたい)。
【0005】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、従来にない免疫に関与するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、不所望の細胞、例えば、腫瘍又はウイルス感染細胞を排除することができる効率的な免疫学的監視機構を提供する。NK細胞の特徴及び生物学的特性は、CD16、CD56、及び/又はCD57を含む表面抗原の発現、細胞表面上のα/β又はγ/δTCR複合体の非存在、特定の細胞溶解酵素の活性化によって「自己」MHC/HLA抗原を発現することができない細胞に結合してその細胞を殺す能力、NK活性化受容体のリガンドを発現する腫瘍細胞又は他の異常細胞を殺す能力、及び免疫応答を刺激又は抑制するサイトカインと呼ばれるタンパク質分子を放出する能力を含む。
【0006】
NK細胞の活性は、シグナルの活性化及び阻害の両方を伴う複合機構によって調節される。NK細胞媒介認識及びHLAクラスI欠損標的細胞の殺生において重要な役割を果たすいくつかの異なるNK細胞受容体が同定されている。1つの受容体は、NK細胞に特異的ではないが、NK細胞媒介ADCCに関与するFcγR3a(CD16)である。NK細胞はまた、CD137(4−1BB)等の様々な他の活性化受容体及び共活性化受容体も発現する。抗4−1BBに対するアゴニスト抗体は固形腫瘍(例えば、黒色腫、腎癌及び卵巣癌)の患者で臨床試験中であり、様々な癌モデル(例えば、乳癌、肉腫、神経膠腫、結腸癌、骨髄腫及びマスト細胞腫)で強い活性を示している。
【0007】
別のNK細胞受容体は、IgスーパーファミリーのメンバーであるNKp46である。NKp46は、NK細胞に特異的であり、特定のmAbによって誘導されるその架橋は、細胞内Ca++のレベルを上昇させる強いNK細胞の活性化をもたらし、それにより細胞障害性が誘発され、リンホカインが放出される。(特許文献1)(Innate Pharma)は、Fcγ陽性の血液悪性腫瘍の処置での、Fcγ受容体に結合する単一特異的完全長IgG抗NKp46抗体の使用を開示している。腫瘍細胞(例えば、B細胞悪性腫瘍)上で発現されたFcγ受容体は、NK細胞に結合する抗NKp46抗体のFcドメインと相互作用し、それにより、活性化NK細胞が、抗体の2つの反応部分(即ち、抗原認識ドメイン及びFcドメイン)によって標的細胞に接近するようになり、処置の効率を高めると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/105858号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jackman,et al.,(2010)J.Biol.Chem.285:20850−20859
【非特許文献2】Baeuerle,P.A.,et al,(2009)Cancer Res 69(12):4941−4
【非特許文献3】Kellner et al.(2011)Cancer Lett.303(2):128−139
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これまでNK細胞特異的二重特異的抗体は報告されていない。むしろ、NK細胞障害性を漸増させる除去剤、例えば、抗腫瘍抗体は、典型的にはCD16によってADCCを媒介する完全長IgG1抗体である。様々な形態の二重特異的抗体の存在にもかかわらず、新規な十分に定義された作用機序を有する多重特異的タンパク質、具体的には、完全長抗体を上回る治療上の利点をもたらし得るものが当技術分野でなお要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、NK細胞上のNKp46及び標的細胞上の目的の抗原に結合し、且つNK細胞をリダイレクトして、目的の抗原を発現する標的細胞、例えば、疾患の一因である細胞を溶解することができる機能的な多重特異的タンパク質(例えば、限定されるものではないが、抗体ベースのタンパク質形態を含む、ポリペプチド、一本鎖タンパク質、多鎖タンパク質)の発見に由来する。特に、第1の抗原結合ドメインと第2の抗原結合ドメインとを含む多重特異的タンパク質であって、第1又は第2の抗原結合ドメインの一方がヒトNKp46ポリペプチドに結合し、且つ他方が目的の抗原に結合し、多重特異的タンパク質が一価でNKp46ポリペプチドに結合し、多重特異的タンパク質が、NKp46発現NK細胞を誘導して、目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させることができる、多重特異的タンパク質が提供される。有利には、一実施形態において、NK細胞及び標的細胞の存在下で、多重特異的タンパク質が(i)標的細胞上の目的の抗原、及び(ii)NK細胞上のNKp46に結合することができ、標的細胞上の目的の抗原及びNKp46に結合すると、NKp46を介してNK細胞のシグナル伝達及び/又はNK細胞の活性化を誘導することができ(このタンパク質はNKp46作動薬として機能する)、それにより、特にNKp46によって伝達される活性化シグナルによってNK細胞の活性化及び/又は標的細胞の溶解が促進される。
【0012】
一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、ヒトFcドメインの少なくとも一部(例えば、FcRnが結合するFcドメイン)を含む。
【0013】
特定の実施形態では、本多重特異的抗体は、従来の完全長ヒトIgG1抗体と比較してFcγR結合が減少しているように又はFcγR結合が実質的に消失しているように設計されている。任意選択により、この多重特異的タンパク質は、完全長野生型ヒトIgG1抗体と比較してヒトCD16、CD32A、CD32B及び/又はCD64ポリペプチドへの結合が減少又は消失している。他の実施形態では、この多重特異的タンパク質は、例えば従来の完全長ヒトIgG1抗体と比較して、実質的なFcγR結合を保持するように設計されている。任意選択により、この多重特異的タンパク質は、(例えば、この多重特異的タンパク質のFcドメインを介して)ヒトCD16、CD32A、CD32B及び/又はCD64ポリペプチドに結合する。
【0014】
本発明は、目的の抗原に結合し、且つ一価でNK細胞上のNKp46に結合するように及びCD16又はCD16Aに結合するようにさらに操作された多重特異的タンパク質が、(従来の抗体と比べて)NK細胞に媒介される標的細胞の溶解を促進する能力の増強を示すという観察に部分的に起因する。機能が異なる分子の比較を通して、そのような多重特異的タンパク質がこれらの受容体の個々の及び組み合わされた効果を誘発し、それにより、NK細胞による標的細胞の溶解がより良好に促進されることを観測した。本明細書に詳細に説明されているように、(a)NK細胞上のNKp46及びCD16と、(b)標的細胞上の目的の抗原とに結合する様々な機能性多重特異的タンパク質を構築しており、これらの機能性多重特異的タンパク質は、NK細胞を再誘導して目的の抗原を発現する標的細胞(例えば、癌又は感染等の疾患の一因となる細胞)を溶解させることができる。さらに、NK細胞上のNkp46への結合にもかかわらず、有利には、これらの多重特異的タンパク質はNK細胞自体の溶解を誘導しない。
【0015】
また、CD16及びNKp46を活性化することができ、且つNKに媒介される所望の標的細胞の死滅を促進するために使用され得る多重特異的Fcタンパク質の新規な形態も提供される。CD16に結合し、且つNKp46及び目的の抗原にさらに結合する主題の多重特異的タンパク質により実証した標的細胞の死滅での効力は、NK細胞の表面上で発現される共活性化受容体CD137の誘導及び上方制御に少なくも部分的に起因すると考えられる。具体的には、CD137の上方制御は、(標的細胞の存在下だけでなく)標的細胞の非存在下でも、且つCD16に媒介されるNK細胞の溶解を誘導することなく、休止NK細胞上で起こる。CD137の発現が増加しているNK細胞は、CD137L(CD137リガンド)を発現する標的細胞(例えば、腫瘍細胞)に対して高度に活性であることが知られている。結果的に、一価で結合するNKp46に加えてCD16に結合する本多重特異的タンパク質は、CD137を上方制御する手段を提供することができる。さらに有利には、この多重特異的タンパク質は、標的細胞によって発現される目的の抗原へのさらなる結合時、エフェクター細胞上で発現される複数の活性化受容体を含む標的細胞の多角的な認識を誘発することができる。また、(標的細胞の非存在下で)ヒトIgG1抗体に相当するNK細胞上のCD137の上方制御を引き起こす能力にもかかわらず、驚くべきことに、この多重特異的タンパク質は、ヒトIgG1抗体と比べて、NK細胞に媒介される腫瘍細胞の溶解の誘導においてはるかに強力である。これは、主題の多重特異的タンパク質が、NKp46、CD16及び/又はCD137に媒介される活性化の複合効果をもたらし、それにより、CD16NKp46NK細胞によるNK細胞の細胞傷害の誘導における相乗的な又は相加的な増強がもたらされることを示唆するであろう。加えて、CD137のいくらかの寄与とは無関係に、この多重特異的タンパク質は、有利には、CD16NK細胞及びCD16NK細胞の両方(全てのNK細胞がNKp46である)を強力に動員することができる。
【0016】
さらに、主題の多重特異的タンパク質にCD16が結合するにもかかわらず、予想外にも、目的の抗原の標的化が、従来の抗体(例えば、完全長ヒトIgG1)が結合する場合に下方調節又はインターナリゼーションに対して敏感であることが知られている場合であっても、この多重特異的タンパク質は、目的の抗原の下方調節又はインターナリゼーションを誘導又は増加しない。これに基づき、主題の多重特異的タンパク質は、標的細胞(例えば、腫瘍細胞又は感染細胞)によって発現される目的の抗原の標的化に十分適しているはずであり、例えば、従来の抗体(例えば、CD16結合性を保持するヒトIgG1 Fcドメインを有する抗体)が結合する場合に下方調節又はインターナリゼーションを受け得ることが知られている抗原の標的化に十分適しているはずである。これは治療上の巨大な利益であり、なぜなら、当技術分野では、抗原インターナリゼーションは、従来のヒトIgG1抗体の標的細胞に対してADCCを媒介する能力を実質的に妨げる可能性があることが知られているからである。
【0017】
従って、一実施形態では、細胞の表面上で発現される目的の抗原に一価で結合する多重特異的タンパク質であって、目的の抗原の下方調節又は細胞内インターナリゼーションを増加させないか又は誘導しないタンパク質が提供される。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、(例えば、単一の抗原結合ドメインを介して)一価でヒトNKp46ポリペプチドに結合する抗原結合ドメインを含む多重特異的タンパク質であって、ヒトCD16に結合することができ、任意選択により標的細胞の非存在下で及び/又は存在下で、さらに任意選択により他の細胞の非存在下で、NKp46ポリペプチド及びCD16を発現するエフェクター細胞(例えば、ヒトNKp46CD16NK細胞)と共に可溶形態でインキュベートされた場合に、(例えば、NK細胞の検出可能な溶解を誘導することなく)このエフェクター細胞の表面上でのCD137ポリペプチド発現の増加又は誘導を引き起こすことができる多重特異的タンパク質を提供する。任意選択により、この多重特異的タンパク質は目的の抗原にさらに結合する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、(i)ヒトNKp46ポリペプチドに結合する第1の抗原結合ドメイン(「ABD」)と、(ii)ヒトCD16Aに結合するFcドメインと、(iii)標的細胞によって発現される目的の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む多重特異的タンパク質を提供する。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は、NKp46発現NK細胞を誘導して、目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させることができ、前記標的細胞の溶解はNKp46シグナル伝達によって媒介され、任意選択により、前記標的細胞の溶解は、NKp46に媒介されるシグナル伝達と、CD16に媒介される抗体依存性細胞介在性細胞傷害(「ADCC」)との組み合わせによって媒介される。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、(i)ヒトNKp46ポリペプチドに結合する一価の抗原結合ポリペプチド(「ABD」)と、(i)目的の抗原に結合するABDであって、前記目的の抗原が、腫瘍細胞又は感染因子によって発現される抗原を任意選択により含む、ABDと、(iii)CD16A結合ポリペプチド、任意選択により、対応する野生型Fcポリペプチドと比べてCD16A結合を増強するように任意選択により改変されているFcポリペプチドとを含む多重特異的抗原結合タンパク質であって、NKp46シグナル伝達により、NKp46発現NK細胞を誘導して、目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させることができる、多重特異的抗原結合タンパク質を提供する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインと、Fcドメイン又はその一部であって、ヒトCD16又はCD16Aに結合することができるように任意選択により改変され得るFcドメイン又はその一部とを含む単離された多重特異的Fcタンパク質であって、第1又は第2の抗原結合ドメインの一方がヒトNKp46ポリペプチドに結合し、且つ他方が目的の抗原に結合し、この多重特異的タンパク質が、NKp46発現NK細胞を誘導して、目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させることができる、多重特異的タンパク質を提供する。一実施形態では、このタンパク質は、NKp46シグナル伝達を増強又は誘導することによって標的細胞の溶解を引き起こし、任意選択により、標的細胞の溶解は、Nkp46シグナル伝達と、CD16に媒介される抗体依存性細胞介在性細胞傷害(「ADCC」)との組み合わせによって媒介される。任意選択により、この多重特異的タンパク質は、目的の抗原(例えば、NKp46ポリペプチド以外の抗原、即ち、腫瘍細胞又は感染因子等の標的細胞によって発現される目的の抗原)にそれぞれ結合する第3又は第4又はより高次の抗原結合ドメインをさらに含み、この目的の抗原は、第2の抗原結合ドメインによって結合される目的の抗原と同一であるか又は異なる。一実施形態では、第3の抗原結合ドメインは、第2の抗原結合ドメインと同一の目的の抗原に結合し、任意選択によりさらに、第3の抗原結合ドメインは、目的の抗原上において第2の抗原結合ドメインと同一のエピトープ又は異なるエピトープに結合する。一実施形態では、目的の抗原は癌抗原である。一実施形態では、目的の抗原は、悪性免疫細胞(例えば、血液系腫瘍に関与する細胞、白血病細胞、リンパ腫細胞)の表面上で発現される(任意選択により過剰発現される)タンパク質、CD19タンパク質、CD20タンパク質等である。一実施形態では、このタンパク質を使用して血液系腫瘍を処置し、例えば白血病又はリンパ腫細胞を処置する。別の実施形態では、目的の抗原は、感染細胞の表面上で発現される(任意選択により過剰発現される)タンパク質であるか、又はウイルス感染細胞、細菌感染細胞若しくは寄生虫感染細胞等の感染因子によって発現されるタンパク質である。
【0022】
任意選択により、主題の多重特異的ポリペプチドは、任意選択により他の細胞(例えば、標的細胞)の存在下で又は非存在下で、NKp46及びCD16を発現するエフェクター細胞(例えば、ヒトNKp46CD16NK細胞)と共に可溶形態でインキュベートされた場合に、(例えば、NK細胞の検出可能な溶解を誘導することなく)NK細胞の表面上でのCD137ポリペプチド発現の増加又は誘導を誘発することができる。任意選択により、目的の抗原を発現する標的細胞及びNKp46CD16NK細胞の存在下で、この多重特異的タンパク質は、具体的にはNKp46、CD16及び/又はCD137の任意の組み合わせによって伝達される活性化シグナルにより、NK細胞の活性化及び/又は標的細胞の溶解を誘導することができる。
【0023】
一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は一価の様式でNKp46に結合する。任意の実施形態の一態様では、この多重特異的タンパク質は、一価でNKp46ポリペプチドに結合するNkp46結合ABDを含む。
【0024】
標的細胞及びNK細胞の存在下における一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、例えばNK46及びCD16を発現するNK細胞(NKp46CD16NK細胞)上で細胞表面CD137の増加を誘導することができる。
【0025】
標的細胞及びNK細胞の存在下における一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、NKp46を介したNK細胞によるシグナル伝達を誘導することができる。
【0026】
標的細胞及びNK細胞の存在下における一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、標的細胞(目的の抗原を発現する細胞)の非存在下でNK細胞と共にインキュベートされた場に合、(CD16から独立して)NKp46に媒介されるシグナル伝達又はNK細胞の細胞活性化を誘導する能力を欠いており、例えば、この多重特異的タンパク質は、このタンパク質が、CD16に結合しないFcドメイン(例えば、N297S置換を含むFc領域)を含むように改変されているとき、標的細胞の非存在下でNK細胞と共にインキュベートされた場合に、NKp46に媒介されるシグナル伝達又はNK細胞活性化を誘導する能力を欠いているか、又はこの多重特異的タンパク質は、標的細胞の非存在下でNKp46CD16NK細胞と共にインキュベートされた場合に、NKp46に媒介されるシグナル伝達又はNK細胞活性化を誘導する能力を欠いている。
【0027】
本明細書で説明されている多重特異的タンパク質のいずれかでは、そのような多重特異的タンパク質は、以下の特徴を潜在的に有する:
(a)NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、CD16及びNKp46を発現するヒトNK細胞(NKp46CD16NK細胞)を誘導して、目的の抗原を発現する標的細胞を溶解させる能力、及び
(b)任意選択により標的細胞の存在下において又は標的細胞の非存在下において、CD16及びNKp46を発現するNK細胞と共に(例えば、可溶形態で)インキュベートされた場合に、細胞表面CD137の増加を誘導する能力。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、NKp46ベースのNK細胞エンゲイジャーでの使用に適した多重特異的タンパク質形態を提供し、例えば、ヒトCD16結合する(且つ任意選択により、FcRn及び/又は他のヒトFcγ受容体にさらに結合する)二量体Fcドメインを形成することができる免疫グロブリン由来の抗原結合ドメイン及び/又は定常領域ドメインを含む抗体ベースの形態を提供する。NKp46のNK選択的発現と、多重特異的タンパク質がFcドメインを介したヒトFcγ受容体への結合の増加を維持し及び/又は有する多重特異的(例えば、二重特異的)抗体形態とを組み合わせることにより、本発明は、FcRn結合に起因して、NK細胞の細胞傷害を目的の標的に誘導することができ、且つ活性化受容体CD16、NKp46及びさらに任意選択によりCD137の複合作用によって標的細胞を溶解する能力の増加をさらに有するという好ましい薬理を有する多重特異的抗体形態を提供する。
【0029】
本明細書で説明されている任意の実施形態の別の態様では、本多重特異的タンパク質は、Fcγ受容体陰性NK細胞(例えば、精製されたNKp46CD16NK細胞)と共に、且つ標的細胞(例えば、目的の抗原を発現する細胞)の非存在下でインキュベートされた場合のNKp46に対するアゴニスト活性の欠如によって特徴付けられ得る。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、NK細胞上のNKp46及びCD16と、標的細胞によって発現される目的の抗原とに結合する多重特異的タンパク質を同定、試験及び/又は産生する方法であって、
(a)この多重特異的タンパク質が、CD16発現NK細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)と共にインキュベートされた場合に、NK細胞上の細胞表面CD137の増加を誘導することができるかどうかを評価するステップ、及び
(b)この多重特異的タンパク質が、NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、CD16及びNKp46を発現するNK細胞を誘導して標的細胞を溶解させる能力を有するかどうかを評価するステップ
を含む方法を提供する。
【0031】
任意選択により、上記のいずれかでは、NK細胞は精製されたNK細胞である。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、多重特異的タンパク質を同定、試験及び/又は産生する方法であって、NK細胞上のNKp46及びCD16と、標的細胞によって発現される目的の抗原とに結合する複数の多重特異的タンパク質を用意するステップ、
(a)各多重特異的タンパク質が、NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、CD16及びNKp46を発現するNK細胞を誘導して標的細胞を溶解させる能力を有するかどうかを評価するステップ、
(b)任意選択により、CD16発現NK細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)と共にインキュベートされた場合に、細胞表面CD137の増加を誘導する能力に関して各多重特異的タンパク質をさらに評価するステップ、及び
(c)多重特異的タンパク質が、
a.NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、CD16及びNKp46を発現するNK細胞を誘導して標的細胞を溶解させる能力を有し、且つ
b.任意選択により、CD16発現NK細胞と共にインキュベートされた場合に、細胞表面CD137の増加を誘導する能力を有する
場合、(例えば、薬剤として使用するために、さらなる評価のために、さらなる産生のために)この多重特異的タンパク質を選択するステップ
を含む方法を提供する。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、多重特異的タンパク質を同定、試験及び/又は産生する方法であって、NK細胞上のNKp46及びCD16と、標的細胞によって発現される目的の抗原とに結合する複数の多重特異的タンパク質を用意するステップ、
(a)各多重特異的タンパク質を評価して、各多重特異的タンパク質が、標的細胞の非存在下でNK細胞と共にインキュベートされた場合に、CD16から独立してNK細胞のNKp46に媒介されるシグナル伝達又はNK細胞活性化を誘導することができるかどうかを決定するステップ、
(b)各多重特異的タンパク質を評価して、各多重特異的タンパク質が、NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、NK細胞を誘導して標的細胞を溶解させる能力を有するかどうかを決定するステップ、
(c)任意選択により、各多重特異的タンパク質をさらに評価して、各多重特異的タンパク質が、CD16発現NK細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)と共にインキュベートされた場合に、細胞表面CD137の増加を誘導することができるかどうかを決定するステップ、及び
(d)多重特異的タンパク質が、
a.標的細胞の非存在下でNK細胞と共にインキュベートされた場合に、CD16から独立してNK細胞でのNKp46に媒介されるシグナル伝達又はNK細胞活性化を誘導する能力を欠いており、
b.NK細胞及び標的細胞と共にインキュベートされた場合に、NK細胞を誘導して標的細胞を溶解させる能力を有し、且つ
c.任意選択により、CD16発現NK細胞と共にインキュベートされた場合に、細胞表面CD137の増加を誘導する能力を有する
場合、(例えば、薬剤として使用するために、さらなる評価のために、さらなる産生のために)この多重特異的タンパク質を選択するステップ
を含む方法を提供する。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、ヒトCD16に結合する多重特異的タンパク質(例えば、ポリペプチド、非抗体ポリペプチド又は抗体)であって、(a)第1の抗原結合ドメインと、(b)第2の抗原結合ドメインとを含み、第1の抗原結合ドメインの内の一方がNKp46に結合し、且つ他方が標的細胞上の目的の抗原(NKp46以外)に結合し、この多重特異的タンパク質がNKp46発現NK細胞を誘導して前記標的細胞を溶解させることができる、多重特異的タンパク質を提供する。一実施形態では、このタンパク質はヒトFcドメインの少なくとも一部を含み、任意選択により、このFcドメインは二量体であり、且つヒトCD16が結合し(及びさらに任意選択により、このFcドメインにはFcRnも結合し)、さらに任意選択により、この多重特異的抗体は、CD16への結合を増加させる改変を(野生型Fcドメインと比較して)含むFcドメインを含み、一実施形態では、このFcドメインは2つのABD間に介在している(このFcドメインに対して、一方のABDはN末端に配置されており、且つ他方はC末端に配置されている)。
【0035】
一態様では、本多重特異的タンパク質は2つ以上のポリペプチド鎖を含み、即ち、この多重特異的タンパク質は複数鎖タンパク質を含む。例えば、この多重特異的タンパク質又は複数鎖タンパク質は、二量体、三量体若しくは四量体であり得るか、又は5つ以上のポリペプチド鎖を含む場合もある。
【0036】
ポリペプチド鎖上に位置する抗原結合ドメイン(例えば、scFv若しくは単一抗原結合ドメイン)は、この抗原結合ドメインが、異なるポリペプチド鎖(これらのポリペプチド鎖は結合して多量体(例えば、二量体、三量体等)を形成する)上に位置する1つ以上の相補的タンパク質ドメイン(抗原結合ドメイン)と関連又は結合している場合、この抗原結合ドメイン自体がその標的(即ち、NKp46若しくは目的の抗原)に結合することができるか、又は任意選択によりその標的に結合することができる。
【0037】
一態様では、本多重特異的タンパク質は一価の様式でNKp46ポリペプチド(例えば、NK細胞の表面上で発現される)に結合する。一態様では、この多重特異的タンパク質は一価の様式で目的の抗原に結合する。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、1つ以上の抗原結合ドメイン(ABD)の運動(鎖内ドメインの運動)の自由度又は柔軟性が例えば従来のヒトIgG抗体のABDと比較して増加している構造を有する多重特異的タンパク質を提供する。一実施形態では、多重特異的タンパク質であって、第1の抗原結合ドメインの抗原結合部位と第2の抗原結合ドメインの抗原結合部位とが、機能(例えば、この多重特異的タンパク質がNKp46シグナル伝達及び標的細胞の溶解を誘導する能力)を向上させる距離(例えば、任意選択により80オングストローム(Å)未満の距離)で分離されることを可能にする構造を含む多重特異的タンパク質が提供される。ABDがより大きい柔軟性を有し、及び/又は最適化された距離で分離されている多重特異的タンパク質は、溶解性NKp46標的シナプスの形成を増強することができ、それによりNKp46に媒介されるシグナル伝達が増強される。
【0039】
一実施形態では、本発明は、(例えば、従来のヒトIgG抗体(例えば、ヒトIgG1抗体)のABDと比較して)抗原結合ドメインの運動の自由が増加している多重特異的タンパク質を提供する。そのようなタンパク質の一例は、抗原結合ドメイン(例えば、NKp46に結合するABD又は目的の抗原に結合するABD)が可撓性リンカーを介してFcドメインに連結又は融合された単量体又は多量体Fcドメイン含有タンパク質(例えば、ヘテロ二量体又はヘテロ三量体)である。このリンカーは、このリンカーで曲げてABDとFcドメインとの間(又は2つのABD間)の角度を潜在的に減少させる能力を付与することにより、1つ以上のABDの柔軟性又は運動の自由度を提供することができる。任意選択により、両方の抗原結合ドメイン(及び任意選択により、さらなるABDが多重特異的タンパク質中に存在する場合にはより多く)が、リンカー(概して可撓性ペプチドリンカー)を介してFcドメインに連結又は融合されている。任意選択により、1つ以上のエフェクター機能を変更(増強又は阻害)するために任意選択により改変され得る定常ドメイン等の他の配列又はドメインがFcドメインとABDとの間に配置されており、例えば、それにより、ABDは可撓性リンカー及び定常領域を介してFcドメインに融合されている。この抗原結合ドメインを、例えば可変領域、dAb、VhH又は非Ig足場で構成することができる。この抗原結合ドメインは、その全体が単一のポリペプチド鎖上に存在してもよく、又は別々のポリペプチド鎖上に存在するドメインとの結合に起因して形成されてもよい。任意選択により、運動の自由度が増加しているタンパク質は、このタンパク質が、NKp46結合部位と目的の抗原結合部位との間の距離が両方の結合ドメインがFabであったタンパク質で観測した場合と比べて小さいか、又は完全長抗体で観測した場合と比べて小さい高次構造を採用することを可能にする。
【0040】
ABDを、可撓性リンカーを介して(任意選択により、定常領域ドメイン又はその一部等の介在配列、例えばCH1又はCを介して)Fcドメイン(又はそのCH2若しくはCH3ドメイン)に接続することができる。このリンカーはポリペプチドリンカーであり得、例えば、少なくとも5個の残基、少なくとも10個の残基、少なくとも15個の残基、少なくとも20個の残基、少なくとも25個の残基、少なくとも30個の残基又はより多くの長さを含むペプチドリンカーであり得る。他の実施形態では、このリンカーは、2〜4個の残基、2〜4個の残基、2〜6個の残基、2〜8個の残基、2〜10個の残基、2〜12個の残基、2〜14個の残基、2〜16個の残基、2〜18個の残基、2〜20個の残基、2〜30個の残基、10〜24個の残基、10〜26個の残基、10〜30個の残基又は10〜50個の残基の長さを含む。任意選択により、リンカーは抗体定常領域に由来するアミノ酸配列を含み、例えばN末端のCH1又はヒンジ配列を含む。任意選択により、リンカーはアミノ酸配列RTVAを含む。任意選択により、リンカーは、グリシン及び/又はセリン残基で主に又はそれのみで構成されている可撓性リンカーであり、例えば、アミノ酸配列GEGTSTGS(GS)GGAD又はアミノ酸配列(GS)を含む。
【0041】
一実施形態では、Fcドメインは2つのABD間に介在している(Fcドメインに対して、一方のABDはN末端に配置されており、且つ他方はC末端に配置されている)。主題の多重特異的タンパク質(例えば、二量体、三量体、四量体)は、一部の実施形態では以下のようなドメイン配置を含むことができ、このドメイン配置では、2つ、3つ又は4つのポリペプチド鎖のいずれかにドメインが配置され得、抗原結合ドメイン間にFcドメインが介在しており、且つABDの少なくとも1つとFcドメインとの間に可撓性リンカーが存在する:
(ABD)(Fcドメイン)(ABD)。
【0042】
別の実施形態では、本多重特異的タンパク質(例えば、二量体、三量体、四量体)は以下のいずれかのドメイン配置を含むことができ、これらのドメイン配置では、2つ、3つ又は4つのポリペプチド鎖のいずれかにドメインが配置され得、ABD間にはFcドメインが介在しておらず(例えば、このタンパク質は末端又は遠位のFcドメインを有する)、且つABDの少なくとも1つとFcドメインとの間に可撓性リンカーが存在する:
(Fcドメイン)(ABD及びABD)、又は
(ABD及びABD)(Fcドメイン)。
【0043】
上記で説明したドメイン配置では、ABD及びABDの一方はNKp46に結合する抗原結合ドメインであり、且つ他方は目的の抗原に結合する抗原結合ドメインであり、リンカーは可撓性ポリペプチドリンカーである。Fcドメインは二量体Fcドメイン(例えば、ヒトFcRn及び/又はFcγ受容体に結合する)であり得る。一実施形態では、ABD及びABDのそれぞれは、直列型可変領域内に存在する2つの可変領域から形成されており、結合して特定のABDを形成するこれらの可変領域は、同一のポリペプチド鎖上にも異なるポリペプチド鎖上にもあり得る。別の実施形態では、ABD及びABDの一方は直列型可変領域を含み、且つ他方はFab構造を含む。
【0044】
本発明はまた、本明細書で開示されている多重特異的ポリペプチド等、NKp46結合部分による標的化に十分に適しているNKp46上の特異的エピトープも同定する。例えば、これらのNkp46エピトープの1つ以上に結合する二重特異的又は多重特異的タンパク質は有利な特性を有し、特に、(例えば、NKp46に媒介されるシグナル伝達を介した)NK細胞による標的細胞の溶解の発生又は誘導において高い有効性を有する。また、効率的な多重特異的タンパク質(例えば、二重特異的及び三重特異的タンパク質、特に、目的の標的細胞を強力に溶解するもの)の構築での使用に適した異なる抗NKp46抗体のCDRと、例示的な多重特異的タンパク質のアミノ酸及び核酸配列と、これらのタンパク質をコードする核酸とも提供される。
【0045】
一態様では、本タンパク質(及び/又はNKp46に結合するその抗原結合ドメイン)は、NKp46ポリペプチドへの結合に関して、モノクローナル抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6若しくは−9又はそのようなNKp46−1、−2、−3、−4、−6若しくは−9二重特異的抗体を含む抗CD19−F5−抗NKp46抗体の任意の1つ又は任意の組み合わせと競合する。一実施形態では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、NKp46ポリペプチドのD2(近位)ドメイン内(部分的に又は完全にD2ドメイン内)のエピトープに結合する。一実施形態では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、NKp46ポリペプチドのD1(遠位)ドメイン内(部分的に又は完全にD1ドメイン内)のエピトープに結合する。一実施形態では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6若しくは−9又はそのようなNKp46−1、−2、−3、−4、−6若しくは−9二重特異的抗体を含む抗CD19−F5−抗NKp46抗体の任意の1つ又は組み合わせが結合する残基から選択される1つ、2つ、3つ又はより多くの残基を含む配列番号1のNKp46ポリペプチド上のエピトープに結合する。一実施形態では、この多重特異的タンパク質はヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合することができる。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は、例えば、完全長野生型ヒトIgG1抗体と比較して、ヒト及び/又は非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)Fcγ受容体への結合が減少又は消失している。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は、NKに媒介される溶解を(例えば、完全長ヒト野生型IgG1抗体と同様に又はこの完全長ヒト野生型IgG1抗体と比べて良好に)誘導することができる。
【0046】
本明細書で説明されている多重特異的タンパク質のいずれかの一実施形態では、目的の抗原に結合する抗原結合ドメインは、NK細胞により溶解されることが求められる標的細胞によって発現される抗原(例えば、ポリペプチド)に結合する。任意選択により、この抗原は、癌細胞により、又はウイルス感染細胞、細菌感染細胞若しくは寄生虫感染細胞、腫瘍の増殖若しくは回避に寄与する免疫細胞(例えば、腫瘍関連単球若しくはマクロファージ)により、又は自己免疫、アレルギー反応若しくは炎症性疾患に寄与する細胞により発現される。
【0047】
一実施形態では、本多重特異的タンパク質は一価の様式でNKp46に結合する。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は一価の様式で目的の抗原に結合する。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は一価の様式でNKp46及び目的の抗原の両方に結合する。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は二量体Fcドメインを介してCD16に結合する。
【0048】
一実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、抗体の重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとを含む。任意選択により、前記重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの両方がNKp46との結合相互作用に関与する。
【0049】
一実施形態では、第2のABD(及び存在する場合には任意選択により第3又はより高次のABD)は、抗体の重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとを含む。任意選択により、前記重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの両方が、第2の抗原結合ドメインによって結合される抗原との結合相互作用に関与する。一実施形態では、第2のABD(及び存在する場合には任意選択により第3の又はより高次のABD)は非免疫グロブリン足場を含む。
【0050】
任意選択により、Fcドメインは、CH2ドメインの少なくとも一部とCH3ドメインの少なくとも一部とを含み、多重特異的ポリペプチド中に存在する場合には二量体Fcドメインの一部である。
【0051】
一実施形態では、CH2ドメインは、野生型CH2ドメインと比較してアミノ酸改変を含む。一実施形態では、このCH2改変により、野生型ヒトFc領域と比べて、この二重特異的ポリペプチドのヒトCD16ポリペプチドへの結合が増加する(例えば、結合親和性が増加する)。
【0052】
一実施形態では、このCH2ドメイン及び/又はCH3ドメインは、天然に存在する(操作されていない)ヒトCH2及び/又はCH3ドメインである。一実施形態では、この多重特異的タンパク質は、N連結グリコシル化を含むFcドメインを含む。一実施形態では、(残基N297(Kabat EU付番)での)このN連結グリコシル化は、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞又は他の齧歯動物細胞、非ヒト霊長類細胞又はヒト細胞)中で産生されるIgGクラス(例えば、IgG1)免疫グロブリンで見られるものに特有のグリカン構造を含む。一実施形態では、このFcドメインは、ヒトCD16ポリペプチドに対する結合親和性を増加させる改変N連結グリコシル化(例えば、N297での低フコシル化(hypofucosylated)グリカン)を含む。
【0053】
一実施形態では、このFc由来ポリペプチドは二量体であり、任意選択によりホモ二量体又はヘテロ二量体である。一実施形態では、このFc由来ポリペプチドはヘテロ三量体である。一実施形態では、このFc由来ポリペプチドはヘテロ四量体である。
【0054】
一実施形態では、それぞれが少なくとも1つのV−(CH1/Cκ)単位を含む3つの異なるポリペプチド鎖で構成されている2つの抗原結合ドメインを含むヘテロ三量体タンパク質であって、第1の(中心)鎖が、Fcドメイン(又はこのFcドメインの任意選択によりCD16に結合する部分)によって分離された2つのV−(CH1/Cκ)単位を含み、且つ第2及び第3の鎖のそれぞれが1つのV−(CH1/Cκ)単位を含み、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の一方が、第2の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を優先的に受け、それにより第1の抗原結合ドメインが形成されており、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の他方が、第3の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を優先的に受け、それにより第2の抗原結合ドメインが形成されており、第2又は第3の鎖が、このポリペプチド鎖上に配置されたFcドメイン(又はその一部)をさらに含み、それにより、このFcドメインが中心ポリペプチドのFcドメインと一緒に、CD16に結合する二量体Fcドメインを形成することができる、ヘテロ三量体タンパク質が提供される。
【0055】
一実施形態では、それぞれが少なくとも1つのV−(CH1/Cκ)単位を含む3つの異なるポリペプチド鎖で構成されている3つの抗原結合ドメインを有するヘテロ三量体タンパク質であって、第1の(中心)鎖が2つのV−(CH1/Cκ)単位を含み、且つ第2及び第3の鎖のそれぞれが1つのV−(CH1/Cκ)単位を含み、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の一方が、第2の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を優先的に受け、それにより第1の抗原結合ドメインが形成されており、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の他方が、第3の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を優先的に受け、それにより第2の抗原結合ドメインが形成されており、ポリペプチド鎖の1つが、第3の抗原結合ドメインを形成する抗原結合ドメイン(例えば、直列型可変ドメイン、scFv)をさらに含み、第1又は第2の鎖が、このポリペプチド鎖上に配置されたFcドメイン(又はその一部)をさらに含み、それにより、このFcドメインが中心ポリペプチドのFcドメインと一緒に、CD16に結合する二量体Fcドメインを形成することができる、ヘテロ三量体タンパク質が提供される。
【0056】
一実施形態では、本発明は、ヘテロ多量体(例えば、ヘテロ二量体)二重特異的タンパク質であって、(a)CH1又はCκドメインに融合された第1の可変領域(V)を含む第1のポリペプチド鎖であって、V−(CH1/Cκ)単位がヒトFcドメイン(完全Fcドメイン又はその一部)の第1の末端(N末端又はC末端)に融合されている、第1のポリペプチド鎖と、(b)第1の鎖のCH1又はCκと相補的であるCH1又はCκドメインに融合されてCH1−Cκ二量体を形成する第1の可変領域(V)を含む第2のポリペプチド鎖であって、V−(CH1/Cκ)単位が少なくともヒトFcドメイン(完全Fcドメイン又はその一部)に融合されており、2つの第1の可変領域が、一価の様式で第1の目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを形成する、第2のポリペプチド鎖と、(c)(任意選択により、相補的な抗原結合ドメインと共に)第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン、及び任意選択により、第1のポリペプチドのFcドメインの第2の末端(N末端又はC末端)に融合され、それにより、FcドメインがV−(CH1/Cκ)単位と第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインとの間に介在している、第2のCH1又はCκドメインであって、ヘテロ多量体タンパク質の第1及び第2の鎖のFcドメイン(又はその一部)が、ヒトCD16ポリペプチドが結合することができる二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を形成する、抗原結合ドメインとを含むヘテロ多量体二重特異的タンパク質を提供する。任意選択により、第1及び第2のポリペプチド鎖は、非共有結合によって、及び任意選択によりさらに、例えばそれぞれのCH1及びCκドメイン間及び/又はそれぞれのヒンジドメイン間に形成された鎖間ジスルフィド結合によって結合している。任意選択により、V−(CH1/Cκ)単位は、ヒトFcドメインに直接的に又は介在配列(例えば、リンカー、他のタンパク質ドメイン等)を介して融合されている。任意選択により、抗原の1つはNKp46であり、抗原のもう1つは、免疫細胞により溶解される細胞の表面上で発現されるもの(例えば、癌抗原又はウイルス抗原又は細菌抗原)であり、任意選択によりさらに、免疫細胞(例えば、NK細胞)により溶解される細胞の表面上に存在するそのような抗原は、特に抗体(例えば、CD16が結合するヒトIgG1又はIgG3等のアイソタイプの完全長抗体)が結合する場合に細胞内インターナリゼーションを受けることが知られているタンパク質である。
【0057】
一実施形態では、本多重特異的ポリペプチド又はタンパク質はモノクローナルである。一実施形態では、この多重特異的ポリペプチド又はタンパク質は精製されている。一実施形態では、この多重特異的ポリペプチド又はタンパク質は単離されている。別の実施形態では、この多重特異的ポリペプチド又はタンパク質は細胞(例えば、ヒトNK細胞等のヒト免疫細胞)によって発現されている。
【0058】
上記のヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質の一実施形態では、ポリペプチド又はタンパク質は、ヘテロ二量体であり、第2の抗原の抗原結合ドメインは、scFvであり、任意選択により、NKp46に結合するscFvである。
【0059】
上記のヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質の一実施形態では、ヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質は、重鎖又は軽鎖可変領域を含むか又はそれからなる第2の抗原の抗原結合ドメインを含むヘテロ三量体であり、ヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質は、第1鎖のCH1又はCκと相補的なCH1又はCκドメインに融合されてCH1−Cκ二量体を形成する可変領域(V)を含むか又はそれからなる第3のポリペプチド鎖をさらに含み、第1のポリペプチドの第2の抗原の抗原結合ドメインである可変領域と第3鎖の可変領域とが抗原結合ドメインを形成する。二重の二量体化は、三量体を形成する。第3のポリペプチドのCH1又はCκ定常領域は、(第1のポリペプチド鎖の第1のCH1/Cκに相補的ではないが)第1のポリペプチド鎖の第2のCH1又はCκ定常領域に相補的であるように選択される。
【0060】
一態様では、本発明に係るヘテロ二量体ポリペプチドは、
(a)N末端からC末端へと、第1の可変ドメイン(V)、Cκ定常領域のCH1、Fcドメイン又はこのFcドメインの任意選択によりCD16に結合する部分、第2の可変ドメイン、及び第3の可変領域を含む第1のポリペプチド鎖と、
(b)N末端からC末端へと、第1の可変ドメイン(V)、CH1又はCκ定常領域、Fcドメイン又はその一部を含む第2のポリペプチド鎖であって、CH1又はCκ定常領域が、第1のポリペプチド鎖のCH1又はCκ定常領域に相補的であるように選択され、それにより、第1及び第2のポリペプチドが、第1のポリペプチド鎖の第1の可変ドメイン及び第2のポリペプチドの第1の可変ドメインが第1の目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを形成するCH1−Cκヘテロ二量体を形成し、第2の可変ドメイン及び第3の可変ドメインが、第2の目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを形成し、ヘテロ多量体タンパク質の第1及び第2の鎖のFcドメイン(又はその一部)が、ヒトCD16ポリペプチドが結合し得る二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を形成する、第2のポリペプチド鎖と
を含む。
【0061】
別の態様では、本発明は、
(a)N末端からC末端へと、第2の可変ドメイン及び第3の可変ドメイン、Fcドメイン又はその一部、第1の可変ドメイン(V)、並びにCκ定常領域のCH1を含む第1のポリペプチド鎖と、
(b)N末端からC末端へと、第1の可変ドメイン(V)、CH1又はCκ定常領域、及びFcドメイン又はその一部を含む第2のポリペプチド鎖であって、CH1又はCκ定常領域が、第1のポリペプチド鎖のCH1又はCκ定常領域に相補的であるように選択され、それにより、第1及び第2のポリペプチドが、第1のポリペプチド鎖の第1の可変ドメイン及び第2のポリペプチドの第1の可変ドメインが第1の目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを形成するCH1−Cκヘテロ二量体を形成し、第2の可変ドメイン及び第3の可変ドメインが、第2の目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを形成し、ヘテロ多量体タンパク質の第1及び第2の鎖のFcドメイン(又はその一部)が、ヒトCD16ポリペプチドが結合し得る二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてIgG型のN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を形成する、第2のポリペプチド鎖と
を含むヘテロ二量体ポリペプチドを提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、
(a)N末端からC末端へと、第1のCH1又はCκ定常領域に融合された第1の可変ドメイン(V)、Fcドメイン又はその一部、及び第2のCH1又はCκ定常領域に融合された第2の可変ドメイン(V)を含む第1のポリペプチド鎖と、
(b)N末端からC末端へと、第1のポリペプチド鎖の第1の(第2ではない)CH1又はCκ定常領域に相補的であるように選択されているCH1又はCκ定常領域に融合されており、それにより、第1及び第2のポリペプチドがCH1−Cκヘテロ二量体を形成する可変ドメイン、並びにFcドメイン又はその一部を含む第2のポリペプチド鎖と、
(c)N末端からC末端へと、CH1又はCκ定常領域に融合された可変ドメインを含む第3のポリペプチド鎖であって、CH1又はCκ定常領域が、第2の(第1ではない)可変ドメイン及び第1のポリペプチド鎖の第2のCH1又はCκ定常領域に相補的であるように選択され、ヘテロ多量体タンパク質の第1及び第2の鎖のFcドメイン(又はその一部)が、ヒトCD16ポリペプチドが結合し得る二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてIgG型のN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を形成する、第3のポリペプチド鎖と
を含むヘテロ二量体ポリペプチドを提供する。従って、第1のポリペプチドと第3のポリペプチドとは、第3のポリペプチドのCH1又はCκ定常領域と第1のポリペプチドの第1のCH1又はCκ定常領域との間ではなく、第3のポリペプチドのCH1又はCκ定常領域と第1のポリペプチドの第2のCH1又はCκ定常領域との間にCH1−Cκヘテロ二量体を形成する。第1のポリペプチドと第2のポリペプチドと第3のポリペプチドとは、CH1−CKヘテロ三量体を形成し、第1のポリペプチド鎖の第1の可変ドメインと第2のポリペプチド鎖の可変ドメインとは、目的の第1の抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成し、第1のポリペプチド鎖の第2の可変ドメインと第3のポリペプチド鎖の可変ドメインとは、目的の第2の抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成する。
【0063】
別の実施形態では、上記で説明したヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質は、1つ以上の追加のポリペプチド鎖を含むことができる。
【0064】
本明細書で説明されている任意のヘテロ多量体ポリペプチド又はタンパク質は、ヒトCD16ポリペプチドが結合し得る二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を含むことができる。
【0065】
任意選択により、CH1及び/又はCκドメインは、ヒンジ領域を介してFcドメインに融合されている。任意選択により、ヒンジ、CH2及び/又はCH3は、ヒトCD16に対する結合親和性を増加させる1つ以上のアミノ酸改変を含む。任意選択により、ヒンジ、CH2及び/又はCH3は、ヒトFcRnに対する結合親和性を増加させるアミノ酸改変を含む。任意選択により、CD16に対する結合親和性を増加させるアミノ酸改変はまた、1つ以上の他のヒトFcγ受容体に対する親和性も増加させることができる。任意選択により、ヒンジ、CH2及び/又はCH3は、阻害性ヒトFcγ受容体(例えば、CD32B)への結合並びに/又はCD16以外のFcγ受容体(例えば、CD32A及び/若しくはCD64)への結合を減少させるか又は実質的に消失させるアミノ酸改変を含む。本明細書で説明されている任意の実施形態では、CH1及びCκドメインは任意選択によりヒト起源であり得る。
【0066】
本明細書で説明されている実施形態のいずれかの一態様では、本二重特異的タンパク質は、NKp46に結合する場合と比べて目的の抗原(例えば、癌又はウイルス又は他の感染因子の抗原)に対して強力に又は貪欲に結合する(大きい結合親和性を有する)。そのような抗体は有利な薬理学的特性を有することができる。本明細書の実施形態のいずれかの一態様では、このポリペプチドは、10−7M未満、好ましくは10−8M未満又は好ましくは10−9M未満の、NKp46に対するKd(一価結合親和性)を有し、任意選択により、このポリペプチドは、NKp46ポリペプチドに対するKd(一価結合親和性)と比べて低い、癌、ウイルス、細菌又は他の抗原への結合に関するKd(一価結合親和性)を有する(即ち、より良好な結合親和性を有する)。本明細書で説明されている実施形態のいずれかの一態様では、このポリペプチドは、NKp46ポリペプチドへの結合に関して、10−7M(100ナノモル濃度)〜10−10M(0.1ナノモル濃度)のNKp46に対するKd(一価結合親和性)を有する。本明細書で開示されている実施形態のいずれかの一態様では、このポリペプチドは、10−8M(10ナノモル濃度)〜10−10M(0.1ナノモル濃度)のNKp46に対するKd(一価結合親和性)を有する。本明細書の実施形態のいずれかの一態様では、この多重特異的ポリペプチドは、10−8M(10ナノモル濃度)〜10−9M(1ナノモル濃度)のNKp46に対するKd(一価結合親和性)を有する。結合性を本明細書の実施例のように評価することができ、例えば表面プラズモン共鳴で評価することができる。
【0067】
本発明の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9、又は抗CD19−抗NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9二重特異的抗体のいずれか1つに結合されたアミノ酸残基のいずれかに一致するNKp46の少なくとも1つの残基に結合する。一態様では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9、又は抗CD19−抗NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9二重特異的抗体のいずれか1つ又は組み合わせに結合されたエピトープ内のNKp46の少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つ以上のアミノ酸に結合する。本発明の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9のいずれか、又は抗CD19−抗NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9二重特異的抗体のいずれかと同じNKp46ポリペプチドのエピトープに結合する。一実施形態では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、配列番号1のNKp46ポリペプチドのエピトープに結合し、このエピトープは、抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6、又は−9のいずれかに結合された残基の群から選択される1つ、2つ、又は3つ以上の残基を含む。
【0068】
一部の実施形態では、NKp46に結合するタンパク質は、配列番号1の野生型NKp46ポリペプチドと比較して、抗体NKp46−1、−2、−3、−4、−6、又は−9のいずれかに結合された残基が異なるアミノ酸で置換された変異NKp46ポリペプチドに対して著しく低い結合性を示す。
【0069】
本発明の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合するタンパク質は、NKp46ポリペプチドに対する結合について、モノクローナル抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9のいずれか、又は抗CD19−抗NKp46−1、−2、−3、−4、−6、若しくは−9二重特異的抗体のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせと競合する。一実施形態では、NKp46に結合するタンパク質は、以下の群から選択される抗体と、NKp46ポリペプチドに対する結合について競合する:
(a)配列番号3のVH領域及び配列番号4のVL領域を有する抗体(NKp46−1)、
(b)配列番号5のVH領域及び配列番号6のVL領域を有する抗体(NKp46−2)、
(c)配列番号7のVH領域及び配列番号8のVL領域を有する抗体(NKp46−3)、
(d)配列番号9のVH領域及び配列番号10のVL領域を有する抗体(NKp46−4)、
(e)配列番号11のVH領域及び配列番号12のVL領域を有する抗体(NKp46−6)、及び
(f)配列番号13のVH領域及び配列番号14のVL領域を有する抗体(NKp46−9)。
【0070】
一実施形態では、本発明は、NKp46ポリペプチドに対する結合について、以下の群から選択される抗体と競合する、Nkp46に特異的に結合する単離されたタンパク質(例えば、単一特異的モノクローナル抗体又は断片、多重特異的タンパク質又は断片、二重特異的抗体等)(又はそのようにコードする核酸)を提供する:
(a)配列番号3のVH領域及び配列番号4のVL領域を有する抗体(NKp46−1)、
(b)配列番号5のVH領域及び配列番号6のVL領域を有する抗体(NKp46−2)、
(c)配列番号7のVH領域及び配列番号8のVL領域を有する抗体(NKp46−3)、
(d)配列番号9のVH領域及び配列番号10のVL領域を有する抗体(NKp46−4)、
(e)配列番号11のVH領域及び配列番号12のVL領域を有する抗体(NKp46−6)、及び
(f)配列番号13のVH領域及び配列番号14のVL領域を有する抗体(NKp46−9)。
【0071】
本発明の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9、又は上記の任意の組み合わせのいずれか1つの超可変領域を含む。
【0072】
本発明の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合する抗原結合ドメインは、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、及びNKp46−9からなる群から選択される抗体の重鎖の1つ、2つ、又は3つのCDRを有する重鎖可変領域及び/又はこれらの抗体の軽鎖の1つ、2つ、又は3つのCDRを有する軽鎖可変領域を有する。
【0073】
一実施形態では、本発明によるNKp46に結合する単離された多重特異的タンパク質は、以下の群から選択される任意の抗体の重鎖CDR1、2、及び3並びに軽鎖CDR1、2、及び3又はその抗原結合ドメインを含む:
(a)配列番号3のVH領域及び配列番号4のVL領域を有する抗体(NKp46−1)、
(b)配列番号5のVH領域及び配列番号6のVL領域を有する抗体(NKp46−2)、
(c)配列番号7のVH領域及び配列番号8のVL領域を有する抗体(NKp46−3)、
(d)配列番号9のVH領域及び配列番号10のVL領域を有する抗体(NKp46−4)、
(e)配列番号11のVH領域及び配列番号12のVL領域を有する抗体(NKp46−6)、及び
(f)配列番号13のVH領域及び配列番号14のVL領域を有する抗体(NKp46−9)。
【0074】
一実施形態では、本発明は、NKp46に結合し且つ以下を含む抗体(例えば、完全長の単一特異的抗体若しくは二重特異的抗体)又は抗原結合ドメイン(任意選択によりヒト化、キメラ化、若しくは親和性成熟化され(affinity matured)得る)を提供する:
(a)(i)表AのNKp46−1の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−1の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、
(b)(i)表AのNKp46−2の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−2の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、
(c)(i)表AのNKp46−3の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−3の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、
(d)(i)表AのNKp46−4の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−4の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、
(e)(i)表AのNKp46−6の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−6の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、又は
(f)(i)表AのNKp46−9の重鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖、並びに(ii)表AのNKp46−9の軽鎖可変領域のCDR1、2、及び3を含むポリペプチド鎖。
【0075】
一態様では、本発明は、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9からなる群から選択される抗体と同じ又は重複するNKp46のエピトープに結合するNKp46に特異的に結合するタンパク質(単量体又は多量体タンパク質)(例えば、単一特異的モノクローナル抗体、多重特異的タンパク質、二重特異的抗体)を提供する。単離されたポリペプチドは、例えば、単一特異的モノクローナル抗体、多重特異的ポリペプチド、又は二重特異的抗体であり得る。
【0076】
一態様では、本発明は、本明細書で開示されているF5、F13又はT5タンパク質の第1のポリペプチド鎖の配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98又は99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、本明細書で開示されている各F5、F13又はT5タンパク質の第2のポリペプチド鎖の配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98又は99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、本明細書で開示されているF5、F13又はT5タンパク質の第3のポリペプチド鎖の配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98又は99%同一であるアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖とを含む単離された多重特異的ヘテロ三量体タンパク質を提供する。一態様では、このタンパク質は、ヒトCD16ポリペプチドが結合し得る二量体Fcドメイン(例えば、残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む二量体Fcドメイン)を含む。任意選択により、第1、第2及び/又は第3の鎖の可変領域又はCDRのいずれか又は全てが別の可変領域で置換されており、任意選択により、第1、第2及び/又は第3の鎖のV−CH1/Cκ単位のいずれか又は全てが別のV−CH1/Cκ単位で置換されている。任意選択により、可変領域、CDR又はV−CH1/Cκ単位は、同一性の計算に考慮される配列から除外されており、任意選択により、抗NKp46可変領域、CDR又はV−CH1/Cκ単位は同一性の計算に含まれており、且つ他の抗原に結合する抗原結合ドメイン用の可変領域、CDR又はV−CH1/Cκ単位が、同一性の計算に考慮される配列から除外されている。
【0077】
本明細書に記載の任意のポリペプチドの一実施形態では、多重特異的ポリペプチドは、NKp46発現NK細胞に目的の標的細胞(例えば、NKp46以外の抗原を発現する標的細胞)を溶解させることができる。
【0078】
本明細書に記載の任意の実施形態の一態様では、本発明は、第1のポリペプチド鎖、及び/又は第2のポリペプチド鎖、及び/又は第3のポリペプチド鎖、及び/又は第4のポリペプチド鎖をコードする組換え核酸を提供する。本明細書に記載の任意の実施形態の一態様では、本発明は、第1のポリペプチド鎖、及び/又は第2のポリペプチド鎖、及び/又は第3のポリペプチド鎖をコードする核酸を含む組換え宿主細胞を提供し、任意選択により、この宿主細胞は、少なくとも1、2、3、又は4mg/Lの収量(精製前又は精製後の最終生産性又は濃度)で本発明による多量体又は他のタンパク質を産生する。また、本発明による第1のポリペプチド鎖をコードする組換え核酸、本発明による第2のポリペプチド鎖をコードする組換え核酸、及び任意選択により、本発明による第3のポリペプチド鎖をコードする組換え核酸を含む核酸のキット又はセットも提供される。また、本発明による二量体、三量体、及び四量体タンパク質を作製する方法も提供される。
【0079】
いずれの方法も、特に「発明を実施するための形態」を含め、本出願に開示されるあらゆるステップを含むとしてさらに特徴付けることができる。本発明はさらに、本明細書に開示のタンパク質を同定、試験及び/又は産生する方法に関する。本発明はさらに、任意の本方法によって得ることができる多重特異的タンパク質に関する。本開示はさらに、本明細書に開示される多重特異的タンパク質の少なくとも1つを含む医薬剤又は診断剤に関する。本開示はさらに、治療又は診断の方法における主題の多重特異的タンパク質の使用方法に関する。
【0080】
本発明のこれらの及び追加の有利な態様及び特徴が本明細書の他の箇所でさらに説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】抗CD19−F1−抗CD3は、分離された場合にはB221(CD19)又はJURKAT(CD3)細胞株の存在下でT/B細胞の凝集を引き起こさないが、B221及びJURKAT細胞の両方を共にインキュベートされた場合に細胞の凝集を引き起こすことを示す。
図2A-2F】産生された二重特異的抗NKp46タンパク質の様々なドメイン配置を示す。
図3A-3B】それぞれNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4をベースとするNKp46結合領域を有する二重特異的F1及びF2形態タンパク質は、静止NK細胞をそれらのCD19陽性Daudi腫瘍標的細胞に誘導することができ、アイソタイプ対照抗体は、Daudi細胞の除去をもたらさなかったことを示す。リツキシマブ(RTX)はADCCの陽性対照としての役割を果たし、RTX(このアッセイでは10μg/ml)で得られた最大応答は21.6%の特異的溶解であった。
図4A-4C】図4Aは、F2形態のタンパク質におけるNKp46及びCD19結合領域を有する二重特異的抗体が標的細胞の非存在下で静止NK細胞を活性化せず、対照的に、完全長抗NKp46抗体及び陽性対照アレムツズマブがNK細胞を活性化したことを示す。図4Bは、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4の結合ドメインのそれぞれを含む)がDaudi標的細胞の存在下で静止NK細胞を活性化したが、完全長抗CD19が最良でも非常に低いNK細胞の活性化を示し、完全長抗NKp46抗体もアレムツズマブも、NK細胞のみの存在下で観察された活性化を実質的に超える活性化の実質的な増大を誘発しなかったことを示す。図4Cは、CD19陰性HUT78細胞の存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4の可変領域のそれぞれを含む)のいずれもNK細胞を活性化しなかったことを示す。しかしながら、完全長抗NKp46抗体及びアレムツズマブは、即ちNK細胞のみの存在下で観察された同様のレベルで、NK細胞の検出可能な活性化をもたらした。アイソタイプ対照抗体は活性化を誘導しなかった。
図5A-5B】1:1の低いエフェクター:標的比では、試験した二重特異的抗NKp46×抗CD19抗体のそれぞれがDaudi細胞の存在下でNK細胞を活性化させたこと、及び二重特異的抗NKp46×抗CD19抗体が対照抗CD19抗体及び完全長ヒトIgG1 ADCC誘導抗体と比べてはるかに強力であった(標的細胞の溶解をより良好に誘発した)ことを示す。
図6A-6C】図6A及び図6Bは、各NKp46×CD19二重特異的タンパク質(形態F3、F5及びF6)が、ヒトKHYG−1 CD16陰性hNKp46陽性NK細胞株によるDaudi細胞(図6A)又はB221細胞(図6B)の特異的溶解を誘導したが、リツキシマブ及びヒトIgG1 アイソタイプ対照(IC)抗体を誘導しなかったことを示す。図6Cは、NKp46×KIR3DL2二重特異的タンパク質(形態F6)が、同一の抗KIR3DL2可変領域を有する従来のIgG1抗体と同程度にNKp46結合(CD16結合なし)によりHUT78腫瘍細胞の特異的溶解を誘導したことを示す。
図7】FcドメインがCD16に結合するF5形態でのNKp46×CD19二重特異的タンパク質が、Daudi標的細胞溶解の媒介において完全長IgG1抗CD19抗体又はF6形態の二重特異的タンパク質と比べてはるかに強力であることを示す。この図はまた、FcドメインがCD16に結合しないF6形態での二重特異的抗CD19が、Daudi標的細胞のNK細胞溶解の媒介において完全長IgG1抗CD19抗体と同程度に強力であったことも示し、これは、対照IgG1抗CD19抗体が二価でCD19に結合することを考慮すると予想外である。同等レベルの標的細胞溶解では、CD19−F5−NKp46−3は、完全長抗CD19 IgG1と比べて少なくとも1000倍強力であった。
図8】新鮮なNK細胞を使用する細胞傷害アッセイの結果を示し(右側パネルにおけるDaudi細胞及び左側パネルにおけるHUT78細胞)、N297置換に起因してFcドメインがCD16に結合しないCD19−F6−NKp46−3は、NK細胞が標的細胞と遭遇した場合にNKp46誘発の作用様式を有するが、CD19−F5−NKp46−3二重特異的タンパク質は、Daudi細胞への細胞傷害性の媒介ではるかに高い効力を示した。F5タンパク質もF6タンパク質も、HUT78細胞へのいかなるNK細胞の細胞傷害性も媒介しなかった。
図9】F5タンパク質によるNK細胞の表面上のCD137の強力な上方制御を示したNK細胞表面マーカーのフローサイトメトリー染色の結果を示す(最も左側のパネル:NK細胞対Daudi、中央のパネル:NK細胞対HUT78、最も右側のパネル:NK細胞のみ)。CD16に結合する完全長抗CD19 IgG1抗体もCD137上方制御を示したが、CD19−F5−NKp46−3タンパク質と比べてはるかに低かった。NKp46を介して機能するがCD16を介しては機能しないCD19−F6−NKp46−3は、いかなるCD137上方制御も示さなかった。
図10】GA101−F5+−NKp46−1二重特異的タンパク質のDaudi細胞を溶解させる能力を同一の可変領域を含む比較抗体(GA101)と比較した細胞傷害アッセイの結果を示す。図10の結果は、GA101−F5−NKp46−1二重特異的タンパク質がGA101と比べてDaudi細胞への細胞傷害の媒介ではるかに高い効力(EC50で約10倍の増加)を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
定義
本明細書で使用される「1つの(a)」又は「1つの(an)」は1つ以上を意味し得る。請求項において「含む(comprising)」という語と共に使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語は1つ又は2つ以上を意味し得る。
【0083】
「含む(comprising)」が使用される場合、これは、任意選択により「本質的に〜からなる(essentially consisting of)」で置き換えることができ、又は任意選択により「〜からなる(consisting of)」に置き換えることができる。
【0084】
本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」又は「ABD」という語は、エピトープに免疫特異的に結合することができる3次元構造を含むドメインを指す。従って、一実施形態では、前記ドメインは、超可変領域、任意選択により抗体鎖のVH及び/又はVLドメイン、任意選択により少なくとも1つのVHドメインを含み得る。別の実施形態では、結合ドメインは、抗体鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含み得る。別の実施形態では、結合ドメインは、非免疫グロブリン足場からのポリペプチドドメインを含み得る。
【0085】
本明細書の「抗体」という語は、広い意味で使用され、特に、完全長モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、並びに抗体断片及び誘導体(但し、所望の生物学的活性を示すものに限られる)を含む。抗体の作製に適切な様々な技術が、例えば、Harlow,et al.,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1988)に示されている。「抗体断片」は、完全長抗体、例えば、その抗原結合領域又は可変領域の一部を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab)、F(ab’)、F(ab)、Fv(典型的には、抗体の単一アームのVL及びVHドメイン)、一本鎖Fv(scFv)、dsFv、Fd断片(典型的には、VH及びCH1ドメイン)、及びdAb(典型的には、VHドメイン)断片;VH、VL、VhH、及びV−NARドメイン;ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びカッパボディ(例えば、Ill et al.,Protein Eng 1997;10:949−57を参照されたい);ラクダIgG;IgNAR;並びに抗体断片から形成された多重特異的抗体断片、及び1つ以上の単離されたCDR又は機能的パラトープが挙げられ、単離されたCDR又は抗原結合残基若しくはポリペプチドは、機能的抗体断片を形成するように1つに結合又は連結され得る。様々なタイプの抗体断片が、例えば、Holliger and Hudson,Nat Biotechnol 2005;23,1126−1136;国際公開第2005040219号パンフレット、及び米国特許出願公開第20050238646号明細書及び同第20020161201号明細書に記載され、再考察されている。
【0086】
本明細書で使用される「抗体誘導体」という語は、完全長抗体、又は例えばその少なくとも抗原結合領域又は可変領域を含む抗体の断片を含み、1つ以上のアミノ酸が、例えば、アルキル化、PEG化、アシル化、エステル形成、又はアミド形成などによって化学修飾されている。これは、限定されるものではないが、PEG化抗体、システイン−PEG化抗体、及びこれらの変異体を含む。
【0087】
「超可変領域」という語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24−34(L1)、50−56(L2)、及び89−97(L3)並びに重鎖可変ドメインの残基31−35(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3);Kabat et al.1991)、及び/又は「超可変ループ」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26−32(L1)、50−52(L2)、及び91−96(L3)及び重鎖可変ドメインの残基26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol 1987;196:901−917)を含む。典型的には、この領域のアミノ酸残基の付番は、前出のKabatらに記載の方法によって行われる。本明細書の「Kabat位置」、「Kabatと同様の可変ドメイン残基の付番」、及び「Kabatによる」などの句は、重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインについてのこの付番方式を指す。Kabat付番方式を用いると、ペプチドの実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDRの短縮又はFR又はCDRへの挿入に一致するより少ない又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後の単一アミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)及び重鎖FR残基82の後の挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat付番は、抗体の配列の相同領域と「基準」Kabat付番配列とのアラインメントによって所与の抗体について決定することができる。
【0088】
本明細書で使用される「フレームワーク」又は「FR」残基とは、CDRとして定義される部分を除く抗体可変ドメインの領域のことである。各抗体可変ドメインフレームワークは、CDRによって分離された連続した領域にさらに細分することができる(FR1、FR2、FR3、及びFR4)。
【0089】
本明細書で定義される「定常領域」とは、軽鎖又は重鎖免疫グロブリン定常領域遺伝子の1つによってコードされる抗体由来定常領域のことである。本明細書で使用される「定常軽鎖」又は「軽鎖定常領域」とは、κ(C)又はλ(Cλ)軽鎖によってコードされる抗体の領域のことである。定常軽鎖は、典型的には、単一ドメインを含み、且つ本明細書で定義されるように、Cの108〜214位、又はCλを指し、付番は、EUインデックスによる((Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)。
【0090】
本明細書で使用される「定常重鎖」又は「重鎖定常領域」とは、μ、δ、γ、α、又はε遺伝子によってそれぞれコードされてIgM、IgD、IgG、IgA、又はIgEとして抗体のアイソタイプを確定する抗体の領域のことである。完全長IgG抗体では、本明細書で定義される定常重鎖は、CH1ドメインのN末端からCH3ドメインのC末端までを指し、従って118〜447位を含み、付番は、EUインデックスによる。
【0091】
本明細書で使用される「Fab」又は「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、及びCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドのことである。Fabは、分離されたこの領域、又はポリペプチド、多重特異的ポリペプチド、若しくはABD、又は本明細書で概説されたその他の実施形態との関連でのこの領域を指し得る。
【0092】
本明細書で使用される「一本鎖Fv」又は「scFv」とは、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片のことであり、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが、抗原結合のための所望の構造を形成できるようにする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvを作製する方法は当技術分野で周知である。scFvを作製する方法の再考察については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。
【0093】
本明細書で使用される「Fv」、又は「Fv断片」、又は「Fv領域」とは、単一抗体のVL及びVHドメインを含むポリペプチドのことである。
【0094】
本明細書で使用される「Fc」又は「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く、抗体の定常領域を含むポリペプチドのことである。従って、Fcは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びに可撓性ヒンジN末端からこれらのドメインまでを指す。IgA及びIgMでは、FcはJ鎖を含み得る。IgGでは、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2(CH2)及びCγ3(CH3)、並びにCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226、P230、又はA231からそのカルボキシ末端までを含むように定義され、この付番はEUインデックスによる。Fcは、以下に記載される、分離されたこの領域、又はFcポリペプチドとの関連でのこの領域を指し得る。本明細書で使用される「Fcポリペプチド」又は「Fc由来ポリペプチド」とは、Fc領域の全て又は一部を含むポリペプチドのことである。本明細書のFcポリペプチドは、限定されるものではないが、抗体、Fc融合体、及びFc断片を含む。また、本発明に係るFc領域として、Fc関連エフェクター機能を変更(増強又は低減)する少なくとも1つの改変を含む変異体も挙げられる。また、本発明に係るFc領域として、例えば異なるアイソタイプ又は種の抗体に由来する異なるFc領域の異なる部分又はドメインを含むキメラFc領域も挙げられる。
【0095】
本明細書で使用される「可変領域」とは、それぞれ軽鎖(及びλを含む)免疫グロブリン遺伝子座及び重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成するVL(V(V)及びVλを含む)遺伝子及び/又はVH遺伝子のいずれかによって実質的にコードされる1つ以上のIgドメインを含む抗体の領域のことである。軽鎖可変領域又は重鎖可変領域(VL又はVH)は、「相補性決定領域」又は「CDR」と呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」又は「FR」領域からなる。フレームワーク領域及びCDRとの関連では、例えば、Kabatと同様に(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1983)を参照されたい)、及びChothiaと同様に正確に定義されている。抗体のフレームワーク領域、即ち、構成軽鎖及び構成重鎖の組み合わせフレームワーク領域は、CDRを配置して整列させる役割を果たし、CDRは抗原への結合に主に関与する。
【0096】
「特異的に結合する」という語は、抗体又はポリペプチドを、タンパク質の組換え形態、その中のエピトープ、又は単離された標的細胞の表面に存在するナイーブタンパク質のいずれかを用いて評価される、好ましくは競合的結合アッセイでの結合パートナー、例えば、NKp46に結合できることを意味する。競合的結合アッセイ及び特異的結合を決定する他の方法は、以下にさらに記載され、当技術分野で周知である。
【0097】
抗体又はポリペプチドが、特定のモノクローナル抗体(例えば、抗NKp46単一又は二重特異的抗体との関連でのNKp46−1、−2、−4、−6、又は−9)と「競合する」と言われる場合、この「競合する」は、抗体又はポリペプチドが、組換え標的(例えば、NKp46)分子又は表面発現標的(例えば、NKp46)分子のいずれかを用いた結合アッセイでモノクローナル抗体と競合することを意味する。例えば、試験抗体が、結合アッセイにおいてNKp46−1、−2、−4、−6、又は−9のNKp46ポリペプチド又はNKp46発現細胞に対する結合性を低下させる場合、抗体は、それぞれNKp46−1、−2、−4、−6、又は−9と「競合する」と言われる。
【0098】
本明細書で使用される「親和性」という語は、抗体又はポリペプチドのエピトープへの結合の強さを指す。抗体の親和性は、[Ab]×[Ag]/[Ab−Ag]として定義される解離定数Kによって示され、[Ab−Ag]は抗体−抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は非結合抗体のモル濃度であり、及び[Ag]は非結合抗原のモル濃度である。親和定数Kは1/Kによって定義される。mAbの親和性の決定に好ましい方法は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられるHarlow,et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988),Coligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992,1993)、及びMuller,Meth.Enzymol.92:589−601(1983)に記載されている。mAbの親和性を決定するための当技術分野で周知の1つの好ましい標準的な方法では、(例えば、BIAcore(商標)SPR分析装置での分析によって)表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニングを使用する。
【0099】
本発明との関連では、「決定基」は、ポリペプチド上の相互作用又は結合の部位を指定する。
【0100】
「エピトープ」という語は、抗原決定基を指し、抗体又はポリペプチドが結合する抗原の範囲又は領域である。タンパク質エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基、並びに特定の抗原結合抗体又はペプチドによって効果的にブロックされるアミノ酸残基、即ち、抗体の「フットプリント」内のアミノ酸残基を含み得る。タンパク質エピトープは、例えば、抗体又は受容体と結合することができる複合抗原分子上の最も単純な形態又は最も小さい領域である。エピトープは、線形又は高次構造/構造であり得る。「線形エピトープ」という語は、アミノ酸の線形配列(一次構造)上の連続したアミノ酸残基から構成されるエピトープとして定義される。「高次構造又は構造エピトープ」という語は、全てが連続しているわけではないアミノ酸残基から構成され、従って分子の折り畳み(二次、三次、及び/又は四次構造)によって互いに近接するアミノ酸の線形配列の分離した部分を表すエピトープとして定義される。高次構造エピトープは3次元構造によって決まる。従って、「高次構造の」という語は、「構造の」という語と頻繁に同義的に使用される。限定されるものではないが、アラニンスキャニング、ファージディスプレイ、X線結晶構造解析、アレイベースのオリゴペプチドスキャニング又はペプスキャン分析(pepscan analysis)、部位特異的突然変異誘発、ハイスループット変異誘発マッピング、H/D−Ex質量分析、ホモロジーモデリング、ドッキング、水素−重水素交換等が挙げられる当技術分野で既知の様々な方法により、エピトープを同定することができる(例えば、Tong et al.,Methods and Protocols for prediction of immunogenic epitopes”,Briefings in Bioinformatics 8(2):96−108;Gershoni,Jonathan M;Roitburd−Berman,Anna;Siman−Tov,Dror D;Tarnovitski Freund,Natalia;Weiss,Yael(2007).“Epitope Mapping”.BioDrugs 21(3):145−56;及びFlanagan,Nina(May 15,2011);“Mapping Epitopes with H/D−Ex Mass Spec:ExSAR Expands Repertoire of Technology Platform Beyond Protein Characterization”,Genetic Engineering&Biotechnology News 31(10)を参照されたい)。
【0101】
本明細書の「アミノ酸改変」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失のことである。本明細書のアミノ酸改変の一例は置換である。本明細書の「アミノ酸改変」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失のことである。本明細書の「アミノ酸置換」又は「置換」とは、タンパク質配列の所与の位置のアミノ酸の別のアミノ酸での置換のことである。例えば、置換Y50Wは、親ペプチドの変異体を指し、50位のチロシンがトリプトファンで置換されている。ポリペプチドの「変異体」は、基準ポリペプチド、典型的にはナイーブ又は「親」ポリペプチドと実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。ポリペプチド変異体は、ナイーブアミノ酸配列内の特定の位置に1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を有し得る。
【0102】
「保存的な」アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、同様の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるアミノ酸置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリは、当技術分野で公知であり、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0103】
2つ以上のポリペプチドの配列間の関係で使用される「同一性」又は「同一の」という語は、2つ以上のアミノ酸残基のストリング間の一致の数によって決定される、ポリペプチド間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の計算モデル又はコンピュータープログラム(即ち、「アルゴリズム」)によって行われる、(存在する場合)ギャップアライメントを用いた同様の2つ以上の配列間の完全な一致のパーセントを示す。関連ポリペプチド間の同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。このような方法としては、限定されるものではないが、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991;and Carillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載の方法が挙げられる。
【0104】
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間の最大の一致を得るように設計されている。同一性を決定する方法は、公表されているコンピュータープログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータープログラム方法は、GAP(Devereux et al.,Nucl.Acid.Res.12,387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410(1990))を含め、GCGプログラムパッケージを含む。BLASTXプログラムは、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)及び他の情報源(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschul et al.,前出)から公表されている。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性の決定に使用することができる。
【0105】
「単離された」分子は、組成物中の主な種である分子であり、この組成物中では、この分子は、この分子が属する分子のクラスに対して見出される(即ち、単離された分子は、組成物中の分子のタイプの少なくとも約50%を構成し、典型的には、組成物中の分子、例えば、ペプチドの種の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%以上を構成する)。通常、ポリペプチドの組成は、組成物中に存在する全てのペプチド種との関連でのポリペプチドに対して、又は少なくとも提案される使用との関連での実質的に活性なペプチド種に対して98%、98%、又は99%の均一性を示す。
【0106】
本明細書に関連して、「処置」又は「処置する」は、反対の旨の記載がない限り、疾患又は障害の1つ以上の症状又は臨床的に関連する兆候を予防すること、緩和すること、管理すること、治癒すること、又は軽減することを指す。例えば、疾患又は障害の症状又は臨床的に関連する兆候が確認されていない患者の「処置」は、防止又は予防療法であり、疾患又は障害の症状又は臨床的に関連する兆候が確認された患者の「処置」は、一般に、防止又は予防療法とはならない。
【0107】
本明細書で使用される「NK細胞」という句は、従来にない免疫に関与するリンパ球の亜集団を指す。NK細胞は、特定の特徴及び生物学的特性、例えば、ヒトNK細胞のCD56及び/又はNKp46を含む特定の表面抗原の発現、細胞表面のα/β又はγ/δTCR複合体の非存在、特定の細胞溶解装置の活性化によって「自己」MHC/HLA抗原を発現することができない細胞に結合してその細胞を殺す能力、NK活性化受容体のリガンドを発現する腫瘍細胞又は他の異常細胞を殺す能力、及び免疫応答を刺激又は抑制するサイトカインと呼ばれるタンパク質分子を放出する能力によって特定することができる。これらの特徴及び活性のいずれかを用いて、当技術分野で周知の方法でNK細胞を特定することができる。NK細胞のいかなる亜集団もNK細胞という語に包含される。本明細書に関連して、「活性な」NK細胞は、標的細胞を溶解するか又は他の細胞の免疫機能を促進する能力を有するNK細胞を含む生物学的に活性なNK細胞を指す。NK細胞は、当技術分野で公知の様々な技術、例えば、血液サンプルからの単離、細胞吸着除去療法、組織又は細胞の収集などによって得ることができる。NK細胞を伴うアッセイの有用なプロトコルは、Natural Killer Cells Protocols(edited by Campbell KS and Colonna M).Humana Press.pp.219−238(2000)に記載されている。
【0108】
「細胞内インターナリゼーション」と互換的に使用される「インターナリゼーション」という語は、細胞の細胞外表面から細胞の細胞内表面へと分子を移行させるプロセスと関連する分子事象、生化学的事象及び細胞事象を指す。分子の細胞内インターナリゼーションに関与するプロセスは公知であり、特に、細胞外分子(例えば、ホルモン、抗体及び有機小分子)、膜関連分子(例えば、細胞表面受容体)並びに細胞外分子に結合した膜関連分子の複合体(例えば、膜貫通受容体に結合したリガンド又は膜関連分子に結合した抗体)のインターナリゼーションを挙げることができる。そのため、「インターナリゼーションを誘導し及び/又は増加させる」は、細胞内インターナリゼーションが開始され、且つ/又は細胞内インターナリゼーションの割合及び/若しくは程度が増加する事象を指す。
【0109】
本明細書で使用される、NKp46で「アゴニスト」活性を有する作用物質は、「NKp46シグナル伝達」を引き起こす又は増加させることができる作用物質である。「NKp46シグナル伝達」は、細胞内シグナル伝達経路を活性化させるか又は伝達するNKp46ポリペプチドの能力を指す。NKp46シグナル伝達活性の変化は、例えば、シグナル伝達要素のリン酸化の監視などによるNKp46シグナル伝達経路の変化を測定するように設計されたアッセイ、特定のシグナル伝達要素と他のタンパク質若しくは細胞内構造の結合を測定するアッセイ、又はキナーゼなどの成分の生化学活性において、又はNKp46感受性プロモーター又はエンハンサーの制御下でのレポーター遺伝子の発現を測定するように設計されたアッセイにより、又はNKp46ポリペプチドによって媒介される下流の効果(例えば、NK細胞における特定の細胞溶解装置の活性化)により間接的に測定することができる。レポーター遺伝子は、天然に存在する遺伝子であり得る(例えば、サイトカインの産生を監視する)、又は細胞に人工的に導入される遺伝子であり得る。他の遺伝子は、このような調節要素の制御下に置くことができ、従って、NKp46シグナル伝達のレベルを報告する役割を果たす。
【0110】
「NKp46」は、Ncr1遺伝子又はこのような遺伝子から調製されるcDNAによってコードされるタンパク質又はポリペプチドを指す。あらゆる天然に存在するイソ型、対立遺伝子、オルソログ、又は変異体は、NKp46ポリペプチドという語(例えば、配列番号1に90%、95%、98%、若しくは99%同一のNKp46ポリペプチド、又はその少なくとも20、30、50、100、若しくは200のアミノ酸残基の連続した配列)に包含される。ヒトNKp46(イソ型a)の304のアミノ酸残基の配列は、以下のように示される。
【化1】
【0111】
配列番号1は、NCBIアクセッション番号NP_004820に一致し、この開示は、参照により本明細書に組み入れられる。ヒトNKp46 mRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_004829に示されており、この開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0112】
ポリペプチドの産生
本明細書に記載のタンパク質に使用される抗原結合ドメインは、様々な免疫グロブリン又は非免疫グロブリン足場、例えば、ブドウ球菌プロテインAのZドメインをベースとしたアフィボディ、エンジニアリングされたKunitzドメイン、ヒトフィブロネクチンIIIの第10細胞外ドメインをベースとしたモノボディ又はアドネクチン、リポカリンに由来するアンチカリン、DARPin(設計アンキリン反復ドメイン、多量体化LDLR−Aモジュール、アビマー、又はシステインリッチknottinペプチド)の任意のものから容易に得ることができる。例えば、参照により開示内容が本明細書に組み入れられる、Gebauer and Skerra(2009)Current Opinion in Chemical Biology 13:245−255を参照されたい。
【0113】
可変ドメインは、通常、抗体(免疫グロブリン鎖)に由来し、例えば、2つのポリペプチド鎖に存在する結合したV及びVドメイン、又は一本鎖抗原結合ドメイン、例えば、scFv、Vドメイン、Vドメイン、dAb、V−NARドメイン、又はVHドメインの形態である。対形成及び/又は折り畳みを実質的にさらに必要とすることなくFab又はscFv由来の広範囲の可変領域の使用を直接可能にする本明細書で開示されている特定の有利なタンパク質形態では、抗原結合ドメイン(例えば、ABD及びABD)はまた、Fab又はscFvとして抗体にも容易に由来し得る。
【0114】
典型的には、抗体は、最初は、抗体(例えば、ヒトポリペプチド)を得るのに望ましいポリペプチド、又は典型的には免疫原性断片であるその断片若しくは誘導体を含む免疫原を用いて、非ヒト動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、又はウサギの免疫によって得られる。非ヒト哺乳動物を抗原で免疫するステップは、マウスの抗体の産生を刺激するための当技術分野で周知の任意の方式で行うことができる(例えば、参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられるE.Harlow and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)を参照されたい)。ヒト抗体は、ヒト抗体レパートリーを発現するようにエンジニアリングされたトランスジェニック動物(Jakobovitz et Nature 362(1993)255)を免疫に用いることにより、又はファージ提示法を用いる抗体レパートリーの選択により産生することもできる。例えば、XenoMouse(Abgenix,Fremont,CA)を免疫に使用することができる。XenoMouseは、その免疫グロブリン遺伝子が機能的なヒト免疫グロブリン遺伝子によって置き換えられたマウス宿主である。従って、このマウスにより、又はこのマウスのB細胞から産生されたハイブリドーマで産生される抗体は既にヒト化されている。XenoMouseは、参照によりその内容が本明細書に組み入れられる米国特許第6,162,963号明細書に記載されている。抗体はまた、例えば、(参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられるWard et al.Nature,341(1989)p.544)に開示されているように、免疫グロブリンの組み合わせライブラリーの選択によって産生することもできる。ファージ提示法(McCafferty et al(1990)Nature 348:552−553)を用いて、非免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから抗体を産生することができる。例えば、Griffith et al(1993)EMBO J.12:725−734;米国特許第5,565,332号明細書;同第5,573,905号明細書;同第5,567,610号明細書;及び同第5,229,275号明細書を参照されたい。組み合わせライブラリーが、ヒト起源の可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーを含む場合、組み合わせライブラリーからの選択により、ヒト抗体が得られる。
【0115】
加えて、広範囲の抗体が、DNA及び/又はアミノ酸配列を含む化学文献及び特許文献で、又は民間供給業者から入手可能である。抗体は、典型的には、所定の抗原に対するものである。抗体の例としては、除去されるべき標的細胞、例えば、増殖細胞又は病理の原因となる細胞によって発現される抗原を認識する抗体が挙げられる。例としては、腫瘍抗原、微生物(例えば、細菌又は寄生虫)抗原、又はウイルス抗原を認識する抗体が挙げられる。
【0116】
NKp46に結合する抗原結合ドメインは、本明細書に記載される(「CDR配列」のセクションを参照されたい)抗NKp46抗体に由来し得る。可変領域は、直接使用することもできるし、又はNKp46抗体の超可変又はCDR領域を選択して、これらを適切なVL又はVHフレームワーク、例えば、ヒトフレームワークに入れることによって改変することもできる。NKp46に結合する抗原結合ドメインはまた、抗体を産生する方法を用いて新たに得ることもできる。抗体は、NKp46ポリペプチドに対する結合性について試験することができる。本明細書の任意の実施形態の一態様では、NKp46に結合するポリペプチド(例えば、多重特異的ポリペプチド、二重特異的又は単一特異的抗体)は、細胞の表面で発現されるNKp46、例えば、NK細胞によって発現されるナイーブNKp46に結合することができる。
【0117】
目的の抗原に結合する抗原結合ドメイン(ABD)は、所望の目的の抗原(例えば、NKp46以外の抗原)に基づいて選択され得、例えば、癌抗原、例えば腫瘍細胞上に及び/又は腫瘍誘発効果(pro−tumoral effect)を媒介し得る免疫細胞(例えば、単球若しくはマクロファージ、任意選択によりサプレッサーT細胞、調節性T細胞若しくは骨髄由来のサプレッサー細胞)上に存在する抗原(癌の処置の場合);細菌若しくはウイルス抗原(感染性疾患の処置の場合);又は炎症誘発性免疫細胞(例えば、T細胞、好中球、マクロファージ)上に存在する抗原等(炎症性及び/若しくは自己免疫性の障害の処置の場合)を挙げることができる。本明細書で使用される「細菌抗原」という語は、限定されるものではないが、無傷細菌、弱毒細菌、若しくは死菌、あらゆる構造的若しくは機能的細菌タンパク質若しくは炭水化物、又は抗原性であるべき十分な長さ(典型的には、約8アミノ酸以上)の細菌タンパク質の任意のペプチド部分を含む。例としては、グラム陽性細菌抗原及びグラム陰性細菌抗原が挙げられる。一部の実施形態では、細菌抗原は、ヘリコバクター(Helicobacter)種、特にヘリコバクターピロリス(Helicobacter pyloris);ボレリア(Borrelia)種、特にボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi);レジオネラ(Legionella)種、特にレジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia);マイコバクテリア属(Mycobacteria s)種、特に結核菌(M.tuberculosis)、アビウム菌(M.avium)、イントラセルラ菌(M.intracellulare)、M.カンサシイ(M.kansasii)、M.ゴルドナエ(M.gordonae);ブドウ球菌(Staphylococcus)種、特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);ナイセリア(Neisseria)種、特に淋菌(N.gonorrhoeae)、髄膜炎菌(N.meningitidis);リステリア(Listeria)種、特にリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes);ストレプトコッカス(Streptococcus)種、特にS.ピオゲネス(S.pyogenes)、S.アガラクティエ(S.agalactiae)、S.ファエカリス(S.faecalis);S.ボビス(S.bovis)、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae);嫌気性連鎖球菌(anaerobic Streptococcus)種;病原性カンピロバクター(pathogenic Campylobacter)種;エンテロコッカス(Enterococcus)種;ヘモフィルス(Haemophilus)種、特にヘモフィルスインフルエンザ(Haemophilus influenzae);バチルス(Bacillus)種、特に炭疽菌(Bacillus anthracis);コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、特にコリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae);エリジペロスリックス(Erysipelothrix)種、特にブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae);クロストリジウム(Clostridium)種、特にウェルシュ菌(C.perfringens)、破傷風菌(C.tetani);エンテロバクター(Enterobacter)種、特にエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ(Klebsiella)種、特にクレブシエラ1Sニューモニエ(Klebsiella 1S pneumoniae)、パストレラ(Pasteurella)種、特にパストレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、パスツレラ(Pasturella)種、特にパスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス(Bacteroides)種;フソバクテリウム(Fusobacterium)種、特にフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum);ストレプトバチルス(Streptobacillus)種、特にストレプトバチルス・モリホルミス(Streptobacillus moniliformis);トレポネーマ(Treponema)種、特にトレポネーマ(Treponema pertenue);レプトスピラ(Leptospira);病原性エシェリキア種(pathogenic Escherichia);及びアクチノマイセス(Actinomyces)種、特にアクチノミセス・イスラエリ(Actinomyces israeli)からなる群から選択される細菌に由来する。
【0118】
本明細書で使用される「ウイルス抗原」という語は、限定されるものではないが、無傷全ウイルス、弱毒全ウイルス、若しくは死滅全ウイルス、任意の構造的若しくは機能的ウイルスタンパク質、又は抗原性であるべき十分な長さ(典型的には、約8アミノ酸以上)のウイルスタンパク質の任意のペプチド部分を含む。ウイルス抗原の供給源としては、限定されるものではないが、レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えば、HIV−1(HTLV−III、LAV、又はHTLV−III/LAV、又はHIV−IIIとも呼ばれる;及び他の分離株、例えば、HIV−LP;ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス;ヒトコクサッキーウイルス;ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブンヤウイルス科(例えば、ハンタウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス、及びナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、及びロタウイルス);ボルナビリダエ科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス(殆どのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1及び2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス;ポックスウイルス科(バリオラウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);及びイリダウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);及び未分類ウイルス(例えば、デルタ肝炎の作用物質(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライト(defective satellite)と考えられる)、C型肝炎;ノーウォーク及び関連ウイルス、及びアストロウイルス)の科からのウイルスが挙げられる。別法では、ウイルス抗原は、組換えにより作製することができる。
【0119】
本明細書で使用される「癌抗原」及び「腫瘍抗原」という語は互換的に使用され、癌細胞により差次的に発現され、又は腫瘍誘発効果(例えば、免疫抑制効果)を有する非腫瘍細胞(例えば、免疫細胞)によって発現され、それにより癌細胞を標的とするために利用され得る抗原(NKp46又はCD16以外)を指す。癌抗原は、明らかに腫瘍特異的免疫応答を潜在的に刺激し得る抗原である。この抗原の一部は、正常細胞により、必ずしも発現されるものではないがコードされているか、又はより低いレベル若しくはより少ない頻度で発現される。これらの抗原は、正常細胞では通常サイレントである(即ち、発現されない)抗原、分化の特定の段階のみで発現される抗原、及び胚抗原及び胎児抗原のように一時的に発現される抗原として特徴付けることができる。他の癌抗原は、変異細胞遺伝子、例えば、癌遺伝子(例えば、活性化ras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、突然変異p53)、内部欠失又は染色体転座から生じる融合タンパク質によってコードされる。さらに他の癌抗原は、ウイルス遺伝子、例えば、RNA及びDNA腫瘍ウイルスに保持されたウイルス遺伝子によってコードすることができる。さらに他の癌抗原は、腫瘍誘発効果に寄与し得るか又はそれを媒介し得る免疫細胞(例えば、免疫回避に寄与する細胞、単球若しくはマクロファージ、任意選択によりサプレッサーT細胞、調節性T細胞若しくは骨髄由来のサプレッサー細胞)上で発現され得る。
【0120】
癌抗原は、通常、過剰発現されるか若しくは異常な回数で発現される正常細胞の表面抗原であるか、又は標的とされる細胞の集団によって発現される。理想的には、標的抗原は増殖細胞(例えば、腫瘍細胞)上又は腫瘍誘発細胞(例えば、免疫抑制効果を有する免疫細胞)上でのみ発現されるが、実際にはこのようなことが観測されるのは稀である。結果として、標的抗原は、多くの場合、増殖/疾患組織と健康組織との間の差次的な発現に基づいて選択される。癌抗原の例として以下が挙げられる:受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、Crypto、CD4、CD20、CD30、CD19、CD38、CD47、糖タンパク質NMB、CanAg、Her2(ErbB2/Neu)、Siglecファミリメンバー、例えばCD22(Siglec2)又はCD33(Siglec3)、CD79、CD138、CD171、PSCA、L1−CAM、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、BCMA、CD52、CD56、CD80、CD70、E−セレクチン、EphB2、メラノトランスフェリン、Mud6及びTMEFF2。癌抗原の例として以下も挙げられる:免疫グロブリンスーパーファミリ(IgSF)、例えばサイトカイン受容体、キラーIg様受容体、CD28ファミリタンパク質、例えばキラーIg様受容体3DL2(KIR3DL2)、B7−H3、B7−H4、B7−H6、PD−L1、IL−6受容体。例として以下も挙げられるが、これは包括的であることを意図されていない:MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、主要組織適合複合体クラスI関連鎖A及びBポリペプチド(MICA及びMICB)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)−C017−1A/GA733、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、受容体タンパク質チロシンキナーゼ3(TYRO−3)、ネクチン(例えば、ネクチン−4)、主要組織適合複合体クラスI関連鎖A及びBポリペプチド(MICA及びMICB)、UL16−結合タンパク質(ULBP)ファミリのタンパク質、レチノイン酸初期転写産物−1(retinoic acid early transcript−1)(RAET1)ファミリのタンパク質、癌胎児性抗原(CEA)及びその免疫原性エピトープCAP−1及びCAP−2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)、T細胞受容体/CD3−ゼータ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリ、腫瘍抗原のGAGEファミリ、抗ミュラー管ホルモンII型受容体、デルタ様リガンド4(DLL4)、DR5、ROR1(受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1又はNTRKR1(EC2.7.10.1)としても知られている、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、MUCファミリ、VEGF、VEGF受容体、アンジオポイエチン−2、PDGF、TGF−アルファ、EGF、EGF受容体、ヒトEGF様受容体ファミリのメンバー、例えば、HER−2/neu、HER−3、HER−4、又は少なくとも1つのHERサブユニットで構成されたヘテロ二量体受容体、ガストリン放出ペプチド受容体抗原、Muc−1、CA125、インテグリン受容体、αvβ3インテグリン、α5β1インテグリン、αIIbβ3インテグリン、PDGFベータ受容体、SVE−カドヘリン、IL−8受容体、hCG、IL−6受容体、CSF1R(腫瘍関連の単球及びマクロファージ)、α−フェトプロテイン、E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン及びγ−カテニン、p120ctn、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、大腸ポリポーシスタンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2及びGD2ガングリオシド、ウイルス産物、例えば、ヒトパピローマウイルスタンパク質、imp−1、P1A、EBVコード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−1、SSX−4、SSX−5、SCP−1及びCT−7、並びにc−erbB−2。一態様では、目的の抗原は、例えばFcγ受容体細胞の存在下で又は非存在下で従来のヒトIgG1抗体が結合した場合、細胞内インターナリゼーションを受けることができる抗原(例えば、上記で列挙した抗原の任意の1つ)である。一態様では、目的の抗原はCD19又はCD20ポリペプチドであり、一態様では、本多重特異的タンパク質はV及び/若しくはV又はscFv又は別のABDを含み、これらは、本明細書の実施例で説明されている抗CD19若しくは抗CD20それぞれのV、V若しくはscFvの配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%若しくは95%同一であるアミノ酸配列を含むCD19若しくはCD20に結合するか、又は本明細書で開示されている抗CD19若しくは抗CD20の重鎖及び軽鎖の可変領域の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。一態様では、本多重特異的タンパク質は、実施例で開示されている各抗CD19又は抗CD20のV、V又はscFvを含む抗体(即ちF5若しくはT6タンパク質)と、ヒトCD19又はCD20ポリペプチドへの結合に関して競合する。
【0121】
一実施形態では、目的の抗原に結合するABDは、抗原性標的(細胞上の目的の抗原)に結合した場合に目的の抗原の下方調節又は細胞内インターナリゼーションを増加させるか又は誘導する、目的の抗原に結合する親抗体(例えば、ネズミ抗体、ヒト抗体)に由来する(例えば、この親抗体の超可変領域を含むか、又はこの親抗体のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つを含む)。一実施形態では、目的の抗原は癌抗原であり、例えば、インターナライズすることが分かっている上記で列挙した癌抗原の1つ(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリ(IgSF)メンバー、例えばサイトカイン受容体α又はβ鎖、キラーIg様受容体、CD28ファミリタンパク質、B7−H3、B7−H4、B7−H6、KIR3DL2、PTK7、ROR1、L1−CAM、Siglecファミリメンバー、EGF受容体及びEGF様受容体ファミリメンバー、EGFR、HER−2、インテグリン、抗ミュラー管ホルモンII型受容体、CSF−1R等)である。一実施形態では、抗原標的は、腫瘍誘発効果を媒介することができる免疫細胞(例えば、単球又はマクロファージ、任意選択によりサプレッサーT細胞、調節性T細胞又は骨髄由来のサプレッサー細胞)上に存在するポリペプチドである。
【0122】
一実施形態では、ABDは、癌抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、又は感染(例えば、ウイルス感染)細胞上若しくは炎症性免疫細胞上に存在する抗原に結合する。一実施形態では、前記抗原は、腫瘍細胞、及び感染細胞又は炎症性細胞で選択的に発現又は過剰発現されるポリペプチドである。一実施形態では、前記抗原は、阻害されると、腫瘍細胞、感染細胞、又は炎症性細胞の増殖及び/又は生存率を低下させるポリペプチドである。
【0123】
ポリペプチドに含められるABDは、多重特異的NKp46結合タンパク質に含められる前に任意の所望の活性について試験することができ、例えば、ABDは、目的の抗原への結合性について試験することができる。
【0124】
抗体に由来するABDは、一般に、結合活性を付与するのに十分な超可変領域を少なくとも含む。ABDは、限定されるものではないが、リンカー要素(例えば、リンカーペプチド、CH1、C又はCλドメイン、ヒンジ、又はそれらの断片)を含む他のアミノ酸又は機能的ドメインを場合により必要に応じて含み得ることを理解されたい。一例では、ABDは、scFv、Vドメイン及びVドメイン、又は単一ドメイン抗体(ナノボディ又はdAb)、例えば、V−NARドメイン又はVHドメインを含む。例示的な抗体形態は、本明細書にさらに説明され、ABDは、所望の形態に基づいて選択することができる。
【0125】
任意の実施形態では、抗原結合ドメインは、ヒト化抗体から得ることができ、このヒト化抗体では、ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)からの残基が、元の抗体(親又はドナー抗体、例えば、マウス又はラット抗体)のCDRからの残基によって置換されているが、所望の特異性、親和性、及び元の抗体の能力を維持している。非ヒト生物を起源とする核酸によって一部又は全てがコードされた親抗体のCDRを、ヒト抗体可変領域のβシートフレームワークに全て又は一部を移植して、その特異性が移植されるCDRによって決まる抗体を作製する。このような抗体の作製は、例えば、国際公開第92/11018号パンフレット、Jones,1986,Nature 321:522−525,Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534−1536に記載されている。従って、抗原結合ドメインは、非ヒト超可変領域又はCDR及びヒトフレームワーク領域の配列(任意選択により逆突然変異を含む)を有し得る。
【0126】
所望の特異性及び/又は活性を有する適切な抗原結合ドメインが特定されると、ABDのそれぞれをコードするDNAを、適切な宿主へのトランスフェクションのために、任意の要素、例えば、CH1、CK、CH2、及びCH3ドメイン又はその一部並びにその他の任意選択の要素をコードするDNA(例えば、誘導されるヒンジ又はリンカー要素をコードするDNA)と共に、適切な配置で適切な発現ベクターに別個に配置することができる。ABDは、互いに機能的に連結された所望のドメインを有するFcポリペプチドを作製するために、いずれのタイプのポリペプチドが作製されるべきかに応じて、1つの発現ベクター又は別個のベクターに配置することができる。次いで、宿主を多重特異的ポリペプチドの組換え産生に使用することができる。
【0127】
例えば、ポリペプチド融合産物をベクターから作製することができ、このベクターでは2つのABDのうちの第1のABDが、CH2ドメインのN末端に(例えば、直接、或いはCH1、C、若しくはCλ定常領域及び/又はヒンジ領域を介して)機能的に連結され、CH2ドメインが、そのC末端からN末端でCH3ドメインに機能的に連結されている。2つのABDのうちの第2のABDは、第1のABDを含むポリペプチドと二量体、例えば、ヘテロ二量体を形成する第2のポリペプチド鎖上にあり得る。このポリペプチドは、完全長及び/又は二量体Fcドメインを含み得る。
【0128】
次いで、多重特異的ポリペプチドを適切な宿主細胞で又は任意の適切な合成プロセスによって産生することができる。多重特異的ポリペプチドの発現用に選択された宿主細胞は、限定されるものではないが、免疫グロブリンCH2ドメインのタンパク質を装飾するオリゴ糖部分の組成の変化を含め、最終組成物にとって重要な寄与因子である。従って、本発明の一態様は、多重特異的ポリペプチドが、FcRn及びCD16結合を維持するように、所望の治療用タンパク質を発現する産生細胞の使用及び/又は開発のための適切な宿主細胞の選択を含む。宿主細胞は、哺乳動物起源であってもよく、又はCOS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫、リンパ腫、酵母、昆虫若しくは植物細胞、又はそれらの任意の誘導体、不死化若しくは形質転換細胞から選択してもよい。宿主細胞は、N連結グリコシル化ポリペプチドを産生し得る任意の適切な種又は生物であり得、例えば、ヒト又は齧歯動物のIgG型N連結グリコシル化を生じさせ得る哺乳動物宿主細胞であり得る。
【0129】
ヘテロ二量体、ヘテロ三量体及び四量体(後者は、例えば2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する二重特異的抗体を含む)等の多量体二重特異的タンパク質を様々な形式に従って作製することができる。この多量体ポリペプチドは、概して、ヒトCD16又はCD16A並びに任意選択により他のFcγ受容体(例えば、CD16B、CD32A、CD32B及び/又はCD64)に結合することができる二量体Fcドメインを含む。本明細書でさらに説明されているように、適切なCH2及び/又はCH3ドメインの使用により、実質的なFcRn及びCD16(CD16A)結合を有するFc部分を得ることができる。一実施形態では、Fc部分はヒトIgG1アイソタイプ定常領域に由来する。一実施形態では、宿主細胞中でのポリペプチドの産生により、又はN297連結グリコシル化を引き起こすプロセス(例えば、哺乳動物細胞)により、Fc部分を得ることができる。一実施形態では、Fc部分は、CD16又はCD16Aへの結合を増加させる(例えば、CH2ドメイン中での)1つ以上のアミノ酸改変を含む。
【0130】
一例では、本タンパク質は、ヒトFcドメインに融合された可変ドメイン(優先的なCH3−CH3ヘテロ二量体化を受けることができるCH3ドメインを含む)をそれぞれ含む第1及び第2のポリペプチド鎖を含み、これらの第1及び第2の鎖はCH3−CH3二量体化によって結合し、このタンパク質は二量体Fcドメインを含む。各鎖の可変ドメインは、同一の又は異なる抗原結合ドメインの一部であり得る。
【0131】
多量体ポリペプチドを作製する有利な一方法は、ヒトCH1又はCκ定常ドメイン(V−(CH1/Cκ)単位)に融合された少なくとも1つの重鎖又は軽鎖の可変ドメインをそれぞれが含む異なるポリペプチド鎖の結合によるものであり、このタンパク質鎖は、CH1−Cκ二量体を受けて、非共有結合により並びに任意選択によりさらにそれぞれのCH1及びCκドメイン間に形成されたジスルフィド結合によって互いに結合している。一実施形態では、本発明は、第1及び第2の抗原に結合する単離又は精製されたヘテロ二量体又はヘテロ三量体タンパク質であって、V−(CH1/Cκ)単位をそれぞれ含む少なくとも2つ又は3つのポリペプチド鎖であり、そのため、これらの鎖が、非供給結合により互いに結合しており、任意選択によりCH1及びCκドメイン間のジスルフィド結合によりさらに結合しており、さらに任意選択により、これらの鎖が、それぞれの可変領域間の非共有結合によって結合している、ポリペプチド鎖と、CH1及びCκドメインと、Fc部分のCH3ドメインとを含むタンパク質を提供する。
【0132】
一実施形態では、本タンパク質は、CH1又はCκドメインに融合された可変ドメイン(V−(CH1/Cκ)単位)をそれぞれ含む第1及び第2のポリペプチド鎖であって、CH1又はCκドメインがそのC末端でヒトFcドメイン(CH3−CH3二量体化を受けることができるCH3ドメインを含む)に融合されている、第1及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1及び第2の鎖はCH1−Cκ及びCH3−CH3二量体化によって結合し、このタンパク質は二量体Fcドメインを含む。それぞれの鎖の可変ドメインは同一の又は異なる抗原結合ドメインの一部であり得る。
【0133】
これらの可変及び定常領域は、各鎖がその所望の相補的パートナー鎖と優先的に結合するように選択及び構成され得る。従って、得られる多量体タンパク質は、組換え宿主細胞を使用する従来の作製方法を使用して作製することが簡単であろう。いずれのV又はVが単位中のCH1及びCκと結合するかの選択は、所望の多量体の形成を駆動するように対形成する単位間の親和性に基づく。得られる多量体は、相補的なV及びVドメイン間の非共有結合により、相補的なCH1及びCκドメイン間の非共有結合により、並びに任意選択により相補的なCH1及びCκドメイン間のさらなるジスルフィド結合(及び任意選択により相補的なヒンジドメイン間のさらなるジスルフィド結合)により結合する。V−V結合はV−V又はV−Vと比べて強力であり、その結果として、本明細書で示すように、V又はVをCH1又はCκのいずれかに隣接して配置することができ、得られるV−C単位は、好ましくは、そのV−Cカウンターパートとパートナーになる。例えば、V−Cκは、V−CH1よりも優先的にV−CH1と対形成する。加えて、Fcドメインを含むことにより、2つのFc含有鎖がFcドメインのCH3ドメイン間の非共有結合によって結合することから、好ましい鎖の対形成がさらに改善される。従って、様々なV−Cの組み合わせは、任意選択によりFcの対形成とさらに組み合わされて、ヘテロ多量体タンパク質を作製するためのツールを提供する。
【0134】
一例では、本多重特異的タンパク質は、CH1又はCκドメインに融合された可変ドメイン(V−(CH1/Cκ)単位)をそれぞれ含む第1及び第2のポリペプチド鎖であって、CH1又はCκドメインがそのC末端でヒトFcドメインに融合されている第1及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1の鎖のV−(CH1/Cκ)単位が第2の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を受けており、それにより第1の抗原結合ドメイン(ABD)と二量体Fcドメインとが形成されており、これらのポリペプチド鎖の一方が、第2の抗原結合ドメイン(ABD)を形成する抗原結合ドメインをさらに含み、FcドメインがヒトCD16ポリペプチドに結合する。一実施形態では、このFcドメインは残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む。一例では、このタンパク質は、ドメイン配置:
【化2】
を有する。
【0135】
一例では、本タンパク質は、CH1又はCκドメインに融合された可変ドメイン(V−(CH1/Cκ)単位)をそれぞれ含む3つのポリペプチド鎖を含み、第1の(中心)鎖が、2つのV−(CH1/Cκ)単位と、これらの単位間に介在しているヒトFcドメインとを含み、第2の鎖が1つのV−(CH1/Cκ)単位とヒトFcドメインとを含み、第3の鎖が1つのV−(CH1/Cκ)単位を含み、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の一方が、第2の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を受けており、それにより第1の抗原結合ドメイン(ABD)と二量体Fcドメインとが形成されており、中心鎖のV−(CH1/Cκ)単位の他方が、第3の鎖のV−(CH1/Cκ)単位とのCH1−Cκ二量体化を受けており、それにより第2の抗原結合ドメイン(ABD)が形成されており、FcドメインがヒトCD16ポリペプチドに結合する。一実施形態では、このFcドメインは残基N297(Kabat EU付番)においてN連結グリコシル化を含む。一例では、このタンパク質は、ドメイン配置:
【化3】
を有する。
【0136】
特定の形態では、抗原結合ドメインを形成するためにCH1又はCκドメインに隣接した可変ドメインと第2の鎖との結合を必要としないヘテロ二量体が形成されている。例えば、単一可変ドメイン又はscFvの使用により、各鎖は機能的ABDを含む。単一可変の例示的なヘテロ二量体分子によるCH1−Cκ二量体化をベースとする例は、ドメイン配置:
【化4】
を有することができ、V及びVは単一可変ドメイン(例えば、Vドメイン、Vドメイン、dAb、V−NARドメイン又はVHドメイン)であり、V及びVの一方はNKp46に結合し、且つ他方は目的の抗原に結合する。
【0137】
一実施形態では、例示的なヘテロ二量体分子は、ドメイン配置:
【化5】
を有することができ、Va−1、Vb−1、Va−2、及びVb−2は、それぞれVドメイン又はVドメインであり、Va−1及びVb−1の一方はVHであり、且つ他方はVLであり、従って、Va−1とVb−1とが第1の抗原結合ドメイン(ABD)を形成し、Va−2及びVb−2の一方はVHであり、且つ他方はVLであり、従って、Va−2とVb−2とが第2の抗原結合ドメインを形成し、ABDの一方はNKp46に結合し、且つ他方は目的の抗原に結合する。前述の一変異型では、Va−1、Vb−1、Va−2、及びVb−2のいずれか又はそれぞれは、(2つの可変ドメインから形成された)scFvである。Vドメインの各対は、(例えば、scFvを形成するために)リンカーペプチドによって分離することができる。
【0138】
同様のアプローチでは、三量体を作製することができる。例示的なヘテロ三量体分子は、以下のドメイン配置:
【化6】
を有することができ、第1/中心鎖と第2鎖とは、CH3−CH3二量体化によって結合し、第1/中心鎖と第3鎖とは、CH1又はC二量体化によって結合し、第1/中心鎖及び第3鎖のドメインは、第1鎖と第3鎖とがCH1−C二量体化によって結合できるように相補的となるように選択され、Va−1、Vb−1、Va−2、及びVb−2は、それぞれVドメイン又はVドメインであり、Va−1及びVb−1の一方はVHであり、且つ他方はVLであり、従って、Va−1とVb−1とが第1の抗原結合ドメイン(ABD)を形成し、Va−2及びVb−2の一方はVHであり、且つ他方はVLであり、従って、Va−2とVb−2とが第2の抗原結合ドメイン(例えば、Va−2及びVb−2がリンカーによって分離されているscFv)を形成し、ABDの一方はNKp46に結合し、且つ他方は目的の抗原に結合する。
【0139】
一実施形態では、多量体タンパク質は、CH3−CH3二量体化及び/又はヒンジ二量体化により二量体を生成するための2つFc含有鎖(例えば、鎖1及び2)と、鎖1又は2の一方と二量体化する、V−C/C単位を含むさらなる鎖(例えば、鎖3)とに基づいて構築されている。例示的な分子は、ドメイン配置:
【化7】
を有することができ、Va−1、Vb−1、Va−2及びVb−2はそれぞれVドメイン又はVドメインであり、Va−1及びVb−1の一方はVであり、且つ他方はVであり、それにより、Va−1及びVb−1は第1の抗原結合ドメイン(ABD)を形成し、Va−2及びVb−2の一方はVHであり、且つ他方はVであり、それにより、Va−2及びVb−2は第2の抗原結合ドメインを形成する。
【0140】
例示的な分子は、ドメイン配置:
【化8】
を有することができ、Va−1、Vb−1、Va−2及びVb−2はそれぞれVドメイン又はVドメインであり、Va−1及びVb−1の一方はVであり、且つ他方はVであり、それにより、Va−1及びVb−1は第1の抗原結合ドメイン(ABD)を形成し、Va−2及びVb−2の一方はVであり、且つ他方はVであり、それにより、Va−2及びVb−2は第2の抗原結合ドメインを形成する。CH1及びCは、鎖1が鎖2と結合することができ、且つ鎖2が鎖3と結合することができるように選択される。このタンパク質を、鎖1及び2がCH3−CH3二量体化によって結合し、且つ鎖2及び3がCH1−C二量体化によって結合するように構成することができる。
【0141】
任意選択により、本発明の多重特異的タンパク質のいずれかは、アミノ酸置換を含むCH3ドメインを含むことができ、抗体Fc領域のCH3ドメイン界面は、Fc二量体界面にわたって変更された電荷極性が生じるように変異されており、それにより、静電気的に一致したFc鎖の同時発現が有利な引力相互作用を支援し、それにより、所望のFcヘテロ二量体の形成が促進され、不利な反発電荷相互作用が望ましくないFcホモ二量体の形成を抑制する。
【0142】
それぞれが例えばCH1−Cヘテロ二量体化により中心鎖と結合している1つ以上の鎖として、2つのABD及び二量体Fcドメインを有するヘテロ二量体又はヘテロ三量体ポリペプチドを任意選択により作製することができる。そのような多量体を、別々の抗原結合ドメイン(抗原特異性が異なる)の一部である2つの免疫グロブリン可変ドメインを含む中心(第1の)ポリペプチド鎖と、追加の及び/又は相補的な可変ドメインを生じる1つ以上の他の鎖と、中心及び/又は1つ以上の他の鎖上に配置されたFcドメインとで構成することができる。一実施形態では、このFcドメインは多量体タンパク質中の2つのABD間に介在している。
【0143】
一例では、第1(中心)のポリペプチド鎖は、第2のポリペプチド鎖上の相補的な可変ドメインと共に、目的の1つの(例えば、第1の)抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成する1つの可変ドメインを提供する。第1(中心)のポリペプチド鎖はまた、相補的な可変ドメインと対を形成して目的の別の(例えば、第2の)抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成する(例えば、間置Fcドメインの反対側の端部に位置する)第2の可変ドメインを提供し、第2の可変ドメインに相補的な可変ドメインは、(例えば、直列型可変ドメイン構築物、例えば、scFvの第2の可変ドメインに隣接した)中心ポリペプチド上に配置することができるか、又は別個のポリペプチド鎖、特に第3のポリペプチド鎖上に配置することができる。第2(及び存在する場合には第3)のポリペプチド鎖は、CH1−Cヘテロ二量体化により中心ポリペプチド鎖と結合し、非共有結合並びに任意選択により相補的なCH1及びCドメイン間のさらなる鎖間ジスルフィド結合(及び任意選択によりヒンジ領域間の鎖間ジスルフィド結合)を形成し、CH/CK及びV/Vドメインが、優先的に所望のV−Vの対形成をもたらす好ましい二量体化構造を生じさせるように選択される限り、一次多量体ポリペプチドが形成される。残りの望ましくない対形成は、作製中に最小限に維持され得、及び/又は精製ステップ中に除去される。三量体では、又はポリペプチドが三量体の調製のために構築される場合、一般に、天然に存在しないVH−CK又はVK−CH1ドメイン配置を含む1つのポリペプチド鎖が存在するであろう。
【0144】
そのようなヘテロ二量体タンパク質で使用する中心ポリペプチド鎖のドメイン配置(NからC末端へ)の例として、以下:
V−(CH1又はC)−Fcドメイン−V−V、及び
V−V−(CH1又はC)−Fcドメイン、及び
Fcドメイン−V−V、及び
V−V−Fcドメイン、及び
V−V−Fcドメイン−V−(CH1又はC
のいずれかが挙げられる。
【0145】
例えば、そのようなヘテロ二量体タンパク質で使用する中心ポリペプチド鎖のドメイン配置(NからC末端へ)として、以下:
a−1−(CH1又はC−Fcドメイン−Va−2−Vb−2、及び
a−2−Vb−2−Fcドメイン−Va−1−(CH1又はC
を挙げることができ、Va−1は軽鎖又は重鎖の可変ドメインであり、Va−2及びVb−2の一方は軽鎖可変ドメインであり、且つ他方は重鎖可変ドメインである。
【0146】
さらなる例として、以下:
a−1−(CH1又はCK)−Fcドメイン−V、及び
−Fcドメイン−Va−1−(CH1又はCK)
が挙げられ、Vは単一可変ドメイン(例えば、dAb、VhH)である。
【0147】
中心鎖のFcドメインは、第2の鎖と二量体Fcを形成する場合に所望の機能性(例えば、CD16及び任意選択によりFcRn又は別のFc受容体の結合性)を付与するのに十分な完全Fcドメイン(CH2−CH3)又はその一部であり得る。次いで、第2のポリペプチド鎖が作製され、この第2のポリペプチド鎖は、免疫グロブリン可変ドメイン、及びCH1−Cの中心ポリペプチド鎖とのヘテロ二量体化を可能にするように選択されたCH1又はC定常領域、例えば、(CH1又はC単位を含み、この免疫グロブリン可変ドメインは、CH1又はCドメインに隣接した中心鎖の可変ドメインを補完し、それにより、相補的な可変ドメインが、目的の第1の抗原の抗原結合ドメインを形成するように選択される。
【0148】
例えば、第2のポリペプチド鎖は、ドメイン配置:
b−1−(CH1又はC−Fcドメイン
を含むことができ、それにより、(CH1又はCが中心鎖の(CH1又はCと二量体化し、Vb−1が中心鎖のVa−1と共に抗原結合ドメインを形成する。中心鎖のVa−1が軽鎖可変ドメインである場合、Vb−1は重鎖可変ドメインであり、中心鎖のVa−1が重鎖可変ドメインである場合、Vb−1は軽鎖可変ドメインである。
【0149】
次いで、目的の第2の抗原の抗原結合ドメインを、目的の第2の抗原の抗原結合ドメインを形成する中心鎖の直列型可変ドメイン(例えば、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖()可変ドメイン(V)であり、例えば、scFv単位を形成する)として構成されたVa−2及びVb−2から形成することができる。目的の第2の抗原の抗原結合ドメインは、別法では、中心鎖に存在する単一可変ドメインVから形成することもできる。
【0150】
得られるヘテロ二量体は、例えば以下の構成:
【化9】
を有することができ(図2D及2Eで示す形態13及び14として示すそのようなタンパク質のさらなる例を参照されたい)、この構成中、第1のポリペプチド鎖のVa−1及び第2のポリペプチド鎖のVb−1の一方は軽鎖可変ドメインであり、且つ他方は重鎖可変ドメインであり、Va−2及びVb−2の一方は軽鎖可変ドメインであり、且つ他方は重鎖可変ドメインである。
【0151】
一実施形態では、ヘテロ二量体二重特異的Fc由来ポリペプチドは、以下:
【化10】
の1つから選択されるドメイン配置を含み、任意選択により、ヒンジドメインの一方又は両方はペプチドリンカーで置き換えられており、任意選択により、Fcドメインはペプチドリンカーを介して抗NKp46 scFvに融合されている。
【0152】
本発明に係るヘテロ二量体ポリペプチドに関する潜在的なドメイン配置の他の例として、限定されるものではないが以下の表に示すものが挙げられる。
【0153】
【表1】
【0154】
例えば、第1のCH1又はC定常領域に融合された第1の可変ドメイン(V)、第2のCH1又はC定常領域に融合された第2の可変ドメイン(V)、並びに第1及び第2の可変ドメイン間に介在しているFcドメイン又はその一部(即ち、このFcドメインは、第1及び第2のV−(CH1/C)単位間に介在している)を含む中心(第1の)ポリペプチド鎖を使用することにより、ヘテロ三量体タンパク質を形成することができる。例えば、本発明に係るヘテロ三量体タンパク質で使用する中心ポリペプチド鎖は、以下のようなドメイン配置(N末端からC末端へ):
a−1−(CH1又はC−Fcドメイン−Va−2−(CH1又はC
を有することができる。
【0155】
次いで、第2のポリペプチド鎖は、ドメイン配置(N末端からC末端へ):
b−1−(CH1又はC−Fcドメイン
を含むことができ、それにより、(CH1又はCは中心鎖上の(CH1又はCと二量体化し、Va−1及びVb−1は抗原結合ドメインを形成する。
【0156】
次いで、第3のポリペプチド鎖は、ドメイン配置(N末端からC末端へ):
b−2−(CH1又はC
を含むことができ、それにより、(CH1又はCは中心鎖上の(CH1又はC単位と二量体化し、Va−2及びVb−2は抗原結合ドメインを形成する。
【0157】
二量体Fcドメインを有する、得られるヘテロ三量体のドメイン構成の一例(図2D及び2E中での形態5、6、7及び16としても示される)を以下に示す。
【化11】
【0158】
そのため、本発明に係る三量体ポリペプチドでは、第1のポリペプチドは、別個のポリペプチド鎖上の可変ドメイン(即ち、第2及び第3の鎖の可変ドメイン)と抗原結合ドメインをそれぞれが形成する2つの可変ドメインを有することができ、第2のポリペプチド鎖は1つの可変ドメインを有し、且つ第3のポリペプチドは1つの可変ドメインを有する。
【0159】
本発明に係る三量体ポリペプチドは以下:
(a)C定常領域の第1のCH1に融合された第1の可変ドメイン(V)、C定常領域の第2のCH1に融合された第2の可変ドメイン(V)、並びに第1及び第2の可変ドメイン間に介在しているFcドメイン又はその一部を含む第1のポリペプチド鎖と、
(b)第2のポリペプチド鎖であって、第1のポリペプチド鎖の第1のCH1又はC定常領域に相補的であるように選択されているCH1又はC定常領域にC末端で融合された可変ドメインであり、それにより、第1及び第2のポリペプチドがCH1−Cヘテロ二量体を形成する、可変ドメイン、並びにFcドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、
(c)CH1又はC定常領域に(例えば、C末端で)融合された可変ドメインを含む第3のポリペプチド鎖であって、この可変ドメイン及び定常領域は、第1のポリペプチド鎖の第2の可変ドメイン及び第2のCH1又はC定常領域に相補的であるように選択され、それにより、第1及び第3のポリペプチドは、非共有結合により及び任意選択によりさらに第3のポリペプチドのCH1又はC定常領域と第1のポリペプチドの第1のCH1又はC定常領域との間ではなく、第3のポリペプチドのCH1又はC定常領域と第1のポリペプチドの第2のCH1又はC定常領域との間に形成されたジスルフィド結合によって結合したCH1−Cヘテロ二量体を形成する、第3のポリペプチド鎖と
をさらに含むことができ、第1、第2及び第3のポリペプチドがCH1−Cヘテロ三量体を形成し、第1のポリペプチド鎖の第1の可変ドメインと第2のポリペプチド鎖の可変ドメインとが、第1の目的の抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成し、且つ第1のポリペプチド鎖の第2の可変ドメインと第3のポリペプチド鎖上の可変ドメインとが、第2の目的の抗原に特異的な抗原結合ドメインを形成する。
【0160】
そのような三量体二重特異的ポリペプチドに関する潜在的なドメイン配置の他の例として、限定されるものではないが以下に示すものが挙げられる。
【0161】
【表2】
【0162】
さらなる例では、3つのABD及び二量体Fcでヘテロ三量体を構築することができる。ABDの1つはNKp46に結合し、他の2つのABDは目的の抗原に結合することができ、これらの2つのABDが結合する目的の抗原は、同一の抗原でも異なる抗原でもあり得る。そのため、そのような実施形態の一態様では、多重特異的ポリペプチドは、(2つのABDによる)二価の様式で目的の抗原に結合することができる。
【0163】
例えば、第1のCH1又はC定常領域に融合された第1の可変ドメイン(V)と、第2のCH1又はC定常領域に融合された第2の可変ドメイン(V)と、第1及び第2の可変ドメイン間に介在するFcドメイン又はその一部(即ち、このFcドメインは第1及び第2の(V−CH1/C)単位間に介在する)とを含む中心(第1の)ポリペプチド鎖を使用することにより、ヘテロ三量体タンパク質を形成することができる。例えば、ヘテロ三量体タンパク質で使用する中心ポリペプチド鎖は、以下のようなドメイン配置(N末端からC末端へ):
−(CH1又はC−Fcドメイン−V−(CH1又はC
を有することができる。
【0164】
次いで、第2のポリペプチド鎖は、ドメイン配置(N末端からC末端へ):
−(CH1若しくはC、又は
−(CH1若しくはC−Fcドメイン
を含むことができ、それにより、(CH1若しくはCは中心鎖上の(CH1又はCと二量体化し、Va1及びVb1は抗原結合ドメインを形成する。
【0165】
次いで、第3のポリペプチド鎖は、ドメイン配置(N末端からC末端へ):
−(CH1又はC−scFv
を含むことができ、それにより、(CH1又はCは中心鎖上の(CH1又はC単位と二量体化し、Va2及びVb2は抗原結合ドメインを形成する。
【0166】
二量体Fcドメインを有する、得られるヘテロ三量体の構成の一例(図2F中で形態T5及びT6としても示される)は、ドメイン配置:
【化12】
を有する。
【0167】
本明細書のポリペプチド鎖のいずれかでは、ヒンジ領域は、概して、CH1ドメインとFcドメインのCH2ドメインとの間のポリペプチ上に存在し、及び/又はCドメインとCH2ドメインとの間に存在することができる。任意選択により、ヒンジ領域を例えば適切なリンカーペプチドで置き換えることができる。
【0168】
任意のドメイン配置では、Fcドメインは、CH2−CH3単位(完全長CH2及びCH3ドメイン又はその断片)を含み得る。Fcドメイン(二量体Fcドメイン)を有する2つの鎖を含むヘテロ二量体又はヘテロ三量体では、CH3ドメインは、CH3−CH3二量体化が可能である(例えば、それは野生型CH3ドメインを含む)。
【0169】
一部の例示的な構成では、本多重特異的タンパク質はヘテロ二量体、ヘテロ三量体又はヘテロ四量体であることでき、ポリペプチド鎖は、所望のタンパク質を作製するために互いの中でヘテロ二量体化するように操作されている。所望の鎖の対形成がCH1−C二量体化により駆動されない実施形態では、鎖は、2つの同一の鎖のホモ二量体化よりも2つの異なる鎖の優先的なヘテロ二量体化を好むアミノ酸改変(例えば、置換)を有する定常又はFcドメインを含むことができる。一部の実施形態では、「knob−into−holes」アプローチが使用され、このアプローチでは、抗体Fc領域のCH3ドメイン界面が、抗体がヘテロ二量体(付着した軽鎖をさらに含む)を優先的に形成するように変異される。これらの変異は、Fc二量体界面にわたる電荷極性の変化を生じさせ、従って、静電気的に一致したFc鎖の同時発現が有利な引力相互作用を支援し、それにより、所望のFcヘテロ二量体の形成が促進され、不利な反発電荷相互作用が不所望のFcホモ二量体の形成を抑制する。例えば、1つの重鎖がT366W置換を含み、且つ第2の重鎖がT366S、L368A及びY407V置換を含み、例えば、参照によりその開示内容が本明細書に組み入れられるRidgway et al(1996)Protein Eng.,9,pp.617−621;Atwell(1997)J.Mol.Biol.,270,pp.26−35;及び国際公開第2009/089004号パンフレットを参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がF405L置換を含み、且つ第2の重鎖がK409R置換を含み、例えばLabrijn et al.(2013)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,110,pp.5145−5150を参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がT350V、L351Y、F405A及びY407V置換を含み、且つ第2の重鎖がT350V、T366S、K392L及びT394W置換を含み、例えばVon Kreudenstein et al.,(2013)mAbs 5:646−654を参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がK409D及びK392D置換の両方を含み、且つ第2の重鎖がD399K及びE356K置換の両方を含み、例えばGunasekaran et al.,(2010)J.Biol.Chem.285:19637−19646を参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がD221E、P228E及びL368E置換を含み、且つ第2の重鎖がD221R、P228R及びK409R置換を含み、例えばStrop et al.,(2012)J.Mol.Biol.420:204−219を参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がS364H及びF405A置換を含み、且つ第2の重鎖がY349T及びT394F置換を含み、例えばMoore et al.,(2011)mAbs 3:546−557を参照されたい。別のアプローチでは、1つの重鎖がH435R置換を含み、且つ第2の重鎖が任意選択により置換を含んでもよく又は含まなくてもよく、例えば米国特許第8,586,713号明細書を参照されたい。そのようなヘテロ多量体抗体が、ヒトIgG2又はIgG4に由来するFc領域を有する場合、この抗体のFc領域を、CD16結合を可能にするアミノ酸改変を含むように操作することができる。一部の実施形態では、この抗体は、残基N297(Kabat EU付番)で哺乳類抗体型のN連結グリコシル化を含むことができる。
【0170】
一部の実施形態では、本発明は、NKp46結合ABDと目的の抗原結合ABDとを含むヘテロ二量体又はヘテロ三量体タンパク質も含み、これらのABDの一方又は両方(例えば、可変領域又は他の抗原結合ドメイン、例えば非免疫グロブリン足場)が、リンカー(例えば、可撓性ポリペプチドリンカー)を介して定常領域(例えば、Fcドメイン又はその一部)に連結されている。任意選択により、このABDは単一ポリペプチド鎖(例えば、直列型可変ドメイン、VH又は単一Vドメイン、非免疫グロブリン足場)上に配置されている。
【0171】
一部の実施形態では、ABDの一方又は両方が、互いに結合してABDを形成するV及びVドメインに含まれる。一実施形態では、ABDを形成するV及びVはそれぞれ直列型可変領域内である(V及びVドメインは可撓性ポリペプチドリンカーによって分離されている)。
【0172】
一部の実施形態では、ABDの1つは、可変ドメインがCH1ドメインに連結されており且つ相補的な可変ドメインが相補的C(又はCλ)定常ドメインに連結されているFab又はFab様構造に含まれており、CH1及びC(又はCλ)定常ドメインによって結合される(二量体化される)。一部の実施形態では、ABDの1つは、そのようなFab又はFab様構造に含まれており、他のABDは単一ポリペプチド鎖(例えば、直列型可変ドメイン)上に配置されており、且つリンカー(例えば、可撓性ポリペプチドリンカー)を介して定常領域(例えば、Fcドメイン又はその一部)に連結されている。
【0173】
一部の実施形態では、ABDの1つは、可変ドメインがCH1ドメインに連結されており且つ相補的な可変ドメインが相補的C(又はCλ)定常ドメインに連結されているFab又はFab様構造を含み、CH1及びC(又はCλ)定常ドメインによって結合されてヘテロ二量体タンパク質を形成する。例えば、第1及び第2のABDは、有利には、異なる抗原結合特異性(例えば、VhH及びVhH)を有する単一可変ドメイン(例えば、VhHドメイン)を含み得るか又はそれからなり得る。また、VhHは、CH1ドメインに融合することができ、VhHは、C又はCλドメインに融合することができる。V−C(又はCλ)鎖は、Fabが形成されるようにV−CH1鎖と結合する。Fcドメインを欠いたこのような抗体の例を開示する、参照によりそのPCT出願の開示内容が本明細書に組み入れられる国際公開第2006/064136号パンフレット及び同第2012/089814号パンフレットを参照されたい。次いで、CH1及び/又はCドメインを、任意選択によりヒンジ領域(又はリンカーペプチド、例えば同様の機能的特性、例えば二量体化を有するもの)を介して、CH2ドメインに連結することができる。次いで、CH2ドメインがCH3ドメインに連結される。従って、CH2−CH3ドメインは、任意選択により完全長Fcドメインとして実施することができる。
【0174】
本発明に係る任意の多重特異的タンパク質では、ヒンジ領域は、概して、CH1ドメインとCH2ドメインとの間のポリペプチド鎖上に存在し、及び/又はCドメインとCH2ドメインとの間に存在することができる。任意選択により、ヒンジ領域を例えば適切なリンカーペプチド(例えば、可撓性ポリペプチド)で置き換えることができる。
【0175】
本開示で記載されるタンパク質ドメインは、任意選択により、N末端からC末端であると指定することができる。例示のための開示のタンパク質の配置は、N末端(左側)からC末端へと示されている。ドメインは、互いに融合されていると言える(例えば、ドメインは、その左側のドメインのC末端に融合されていると言え、且つ/又はドメインは、その右側のドメインのN末端に融合されていると言える)。
【0176】
本開示に記載されるタンパク質ドメインは、直接又は介在アミノ酸配列を介して互いに融合することができる。例えば、CH1又はCドメインは、リンカーペプチド、任意選択によりヒンジ領域又はその断片を介してFcドメイン(又はそのCH2若しくはCH3ドメイン)に融合され得る。別の例では、V又はVドメインは、リンカーペプチドを介してCH3ドメインに融合され得る。直列型に互いに連結されたV及びVドメインは、リンカーペプチド(例えば、scFv)を介して融合され得、且つ一般的に融合される。Fcドメインに連結されたV及びVドメインは、リンカーペプチドを介して融合される。2つのポリペプチド鎖は、非共有結合によって互いに結合され(「|」によって示される)、且つ任意選択により、相補的なCH1及びCドメイン内のシステイン残基間に形成される鎖間ジスルフィド結合を介してさらに結合され得る。
【0177】
リンカー
ABD又はポリペプチド鎖が直列型可変領域(例えば、scFv)を含む場合、2つのVドメイン(例えば、Vドメイン及びVドメイン)は、概して、ABDが結合しようとする抗原への結合を可能にするようにABDが折り畳むのを可能にするのに十分な長さのリンカーにより互いに連結されている。同様に、ABDが定常ドメイン又はFcドメインに連結されている場合、この連結は、ABDがその標的抗原に結合して所望の機能を示すようにABDが配置されるのを可能にする可撓性リンカー(例えば、ポリペプチドリンカー)を介したものであり得、例えば、この連結は多重特異的タンパク質の残り(Fcドメイン及び/又は他のABD)と比べて十分な運動の範囲を有し、それによりNKp46シグナル伝達を媒介する。リンカーの例として、例えば、抗体ヒンジ領域に由来するリンカー、アミノ配列RTVA、又はグリシン及びセリン残基を含むリンカー、例えばアミノ酸配列GEGTSTGS(GS)GGADが挙げられる。別の具体的な実施形態では、scFvのVドメイン及びVドメインは、アミノ酸配列(GS)により互いに連結されている。
【0178】
主題の多重特異的タンパク質に含まれるペプチドリンカーのいずれかは、少なくとも4個の残基、少なくとも5個の残基、少なくとも10個の残基、少なくとも15個の残基、少なくとも20個の残基、少なくとも25個の残基、少なくとも30個の残基又はより多くの長さを含むことができる。他の実施形態では、このリンカーは、2〜4個の残基、2〜4個の残基、2〜6個の残基、2〜8個の残基、2〜10個の残基、2〜12個の残基、2〜14個の残基、2〜16個の残基、2〜18個の残基、2〜20個の残基、2〜22個の残基、2〜24個の残基、2〜26個の残基、2〜28個の残基、2〜30個の残基、2〜50個の残基又は10〜50個の残基の長さを含む。
【0179】
ABD(例えば、免疫グロブリン可変領域)は、従来の(例えば、野生型完全長ヒトIgG)抗体と比較して(例えば、ABDとFcドメインとの間の又は中の)構造の剛性(rigidity)又は剛性(stiffness)を小さくする可撓性リンカー(例えば、ポリペプチドリンカー)を介して定常ドメイン又はFcドメインに任意選択により連結され得る。例えば、多重特異的タンパク質は、従来の(例えば、野生型完全長ヒトIgG)抗体中のABDと比較してドメインの運動範囲の増加を可能にする、ABDと定常ドメイン又はFcドメインとの間の構造又は可撓性リンカーを有することができる。具体的には、この構造又は可撓性リンカーを、従来のヒトIgG1抗体中の抗原結合部位と比較してより大きい鎖内ドメイン運動を抗原結合部位に付与するように構成することができる。例えば、リンカー又はヒンジを含むタンパク質の旋回半径を測定するための又は比較するためのコンピュータモデリング、電子顕微鏡、核磁気共鳴(NMR)等の分光法、X線結晶構造解析又は沈降速度分析超遠心分離(AUC)により、剛性又はドメイン運動/鎖間ドメイン運動を決定することができる。試験タンパク質又はリンカーは、この試験タンパク質が比較器(例えば、IgG1抗体又はヒンジ)の値と少なくとも5%、10%、25%、50%、75%又は100%異なる、先の文章で記載されている試験のいずれかから得られる値を有する場合、比較器タンパク質(comparator protein)と比べて低い剛性を有することができる。当業者は、これらの試験の結果を解釈することにより、これらの試験から、試験タンパク質がそれぞれ別のタンパク質よりも低い剛性を有するどうかを決定することができるであろう。
【0180】
一実施形態では、本多重特異的タンパク質は、NKp46 ABD及び目的の抗原に結合するABDが、約80オングストローム未満、約60オングストローム未満又は約40〜60オングストロームの範囲を含む前記ABD間の間隔を有することを可能にする、ABDと定常ドメイン又はFcドメインとの間の構造又は可撓性リンカーを有することができる。
【0181】
一実施形態では、ヒンジ領域はヒンジ領域の断片(例えば、システイン残基を含まないトランケート型ヒンジ領域)であるか、又はヒンジ領域中のシステイン残基(任意選択により両方のシステイン残基)を除去する(例えば、別のアミノ酸で置換するか若しくは欠失させる)1つ以上のアミノ酸改変を含むことができる。システインの除去は、望ましくないジスルフィド結合形成(例えば、単量体ポリペプチド中でのジスルフィド架橋の形成)を予防するのに有用であり得る。
【0182】
一実施形態では、CH1又はCKドメインをFcドメインのCH2又はCH3ドメインに連結するために使用される(ポリ)ペプチドリンカーは、CH1ドメイン及び/又はヒンジ領域の断片を含む。例えば、CH1のN末端アミノ酸配列を可変ドメインに融合させて、野生型抗体の天然構造を可能な限り密接に模倣することができる。一実施形態では、このリンカーは、ヒンジドメイン又はN末端CH1アミノ酸由来のアミノ酸配列を含む。この配列は、例えば2〜4個の残基、2〜4個の残基、2〜6個の残基、2〜8個の残基、2〜10個の残基、2〜12個の残基、2〜14個の残基、2〜16個の残基、2〜18個の残基、2〜20個の残基、2〜22個の残基、2〜24個の残基、2〜26個の残基、2〜28個の残基又は2〜30個の残基であり得る。一実施形態では、このリンカーはアミノ酸配列RTVAを含むか、又はアミノ酸配列RTVAからなる。
【0183】
一実施形態では、ヒンジ領域(又はその断片)は、ヒトIgG1抗体のヒンジドメインに由来する。例えば、ヒンジドメインは、アミノ酸配列:T−H−T−C−S−S−C−P−A−P−E−L−L(一文字コード)又はこのアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%又は90%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、任意選択により、一方又は両方のシステインが欠失しているか、又は別のアミノ酸残基で置換されている。
【0184】
一実施形態では、ヒンジ領域(又はその断片)は、ヒトIgM抗体のCμ2−CCμ3ヒンジドメインに由来する。例えば、ヒンジドメインは、アミノ酸配列:N−A−S−S−M−C−V−P−S−P−A−P−E−L−L(一文字コード)又はこのアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%又は90%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、任意選択により、一方又は両方のシステインが欠失しているか、又は別のアミノ酸残基で置換されている。
【0185】
非共有結合を介して互いに二量体化して結合するポリペプチド鎖は、これらの鎖上のそれぞれのCH1及びCκドメイン間並びに/又はそれぞれのヒンジドメイン間に形成された鎖間ジスルフィド結合によりさらに結合してもよく又は結合しなくてもよい。CH1、Cκ及び/若しくはヒンジドメイン(又は他の適切な連結アミノ酸配列)を、鎖の所望の対形成が好まれ且つ望ましくない又は不正確なジスルフィド結合形成が回避されるように鎖間ジスルフィド結合が鎖間で形成されるように、任意選択により構成することができる。例えば、対形成する2つのポリペプチド鎖がそれぞれヒンジドメインに隣接するCH1又はCκを有する場合、これらのポリペプチド鎖を、それぞれのCH1/Cκ−ヒンジ断片間での鎖間ジスルフィド結合形成に利用可能なシステインの数が減少する(又は完全になくなる)ように構成することができる。例えば、それぞれのCH1、Cκ及び/又はヒンジドメインのアミノ酸配列を改変して、ポリペプチドのCH1/Cκ及びヒンジドメイン両方中のシステイン残基を除去することができ、それにより、二量体化する2つの鎖のCH1及びCκドメインは非共有的相互作用によって結合する。
【0186】
別の例では、ヒンジドメインに(例えば、N末端が)隣接するCH1又はCκドメインは、鎖間ジスルフィド結合形成が可能なシステインを含み、CH1又はCκのC末端に配置されているヒンジドメインは、このヒンジの一方又は両方のシステイン(例えば、Kabatに従ってヒトIgG1ヒンジに関して付番した場合にはCys239及びCys242)の欠失又は置換を含む。一実施形態では、ヒンジ領域(又はその断片)は、アミノ酸配列:T−H−T−S−P−P−S−P−A−P−E−L−L(一文字コード)又はこのアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%若しくは90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0187】
別の例では、ヒンジドメインに(例えば、N末端が)隣接するCH1又はCκドメインは、鎖間ジスルフィド結合形成が可能なシステイン残基で欠失又は置換を含み、CH1又はCκのC末端に配置されているヒンジドメインは、このヒンジの一方又は両方のシステイン(例えば、Kabatに従ってヒトIgG1ヒンジに関して付番した場合にはCys239及びCys242)を含む。一実施形態では、ヒンジ領域(又はその断片)は、アミノ酸配列:T−H−T−C−S−S−C−P−A−P−E−L−L(一文字コード)又はこのアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%若しくは90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0188】
別の例では、ヒンジ領域はIgM抗体に由来する。そのような実施形態では、CH1/CKの対形成は、IgM抗体でのCμ2ドメインホモ二量体化を模倣する。例えば、ヒンジドメインに(例えば、N末端が)隣接するCH1又はCκドメインは、鎖間ジスルフィド結合形成が可能なシステインで欠失又は置換を含み、CH1又はCκのC末端に配置されているIgMヒンジドメインは、このヒンジの一方又は両方のシステインを含む。一実施形態では、ヒンジ領域(又はその断片)は、アミノ酸配列:T−H−T−C−S−S−C−P−A−P−E−L−L(一文字コード)又はこのアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%若しくは90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0189】
定常領域
定常領域ドメインは任意の適切なヒト抗体に由来することができ、定常重(CH1)及び軽(Cκ)ドメイン、ヒンジドメイン、CH2及びCH3ドメインが挙げられる。重鎖定常ドメインに関して、「CH1」は、概して、Kabatと同様にEUインデックスに従うと118〜220位を指す。
【0190】
「CH2」は、概して、Kabatと同様にEUインデックスに従うと237〜340位を指し、「CH3」は、概して、Kabatと同様にEUインデックスに従うと341〜447位を指す。
【0191】
「ヒンジ」又は「ヒンジ領域」又は「抗体ヒンジ領域」は本明細書において、抗体の第1及び第2の定常ドメイン間の可撓性ポリペプチド又はリンカーを指す。構造的に、IgG CH1ドメインはEU220位で終端し、IgG CH2ドメインはEU237位の残基で始まる。そのため、IgGの場合、ヒンジは、概して、221位(IgG1中のD221)〜236位(IgG1中のG236)を含み、これらの付番は、Kabatと同様のEUインデックスに従う。ポリペプチド内で見られる定常領域ドメイン内の特定のアミノ酸残基への言及は、特段の記載がない限り、又は文脈から他の旨である場合を除き、IgG抗体との関連で、Kabatに従って定義されるものとする。
【0192】
主題の抗体又は多重特異的タンパク質中に存在し得るCH2及びCH3ドメインは、任意の適切な抗体に由来することができる。そのようなCH2及びCH3ドメインは、野生型ドメインとして使用され得るか、又は改変されたCH2若しくはCH3ドメインの基礎として機能する場合もある。任意選択により、CH2及び/若しくはCH3ドメインはヒト由来であるか、又は別の種(例えば、齧歯動物、ウサギ、非ヒト霊長類)のものを含むことができるか、又は改変された若しくはキメラのCH2及び/若しくはCH3ドメイン(例えば、異なるCH2若しくはCH3ドメイン由来(例えば、異なる抗体アイソタイプ又は種抗体由来)の部分若しくは残基を含むもの)を含むことができる。
【0193】
多重特異的がヒトCD16ポリペプチドに結合することが意図されていない実施形態では、CH2及び/若しくはCH3ドメイン(又はそれらを含むFcドメイン)は、FcγRIIIA(CD16)への結合を減少又は消失させる改変を含むことができる。例えば、残基N297(Kabat付番)での二量体Fcドメインタンパク質中におけるCH2変異は、CD16結合を除去することができる。しかしながら、他の構成が実行され得ることを当業者は認識するであろう。例えば、233〜236位でのヒトIgG1又はIgG2残基への並びに327位、330位及び331位でのIgG4残基への置換は、Fcγ受容体への結合の大きい減少を示し、その結果としてADCC及びCDCの大きい減少を示した。さらに、Idusogie et al.(2000)J.Immunol.164(8):4178−84は、K322等の様々な位置でのアラニン置換が補体活性化を著しく減少させることを実証した。
【0194】
CD16Aへの結合が所望されている本明細書の特定の実施形態では、CH2及び/若しくはCH3ドメイン(又はそれらを含むFcドメイン)は、野生型ドメインであってもよく、又はヒトCD16及び任意選択によりFcRn等の別の受容体への結合を増加させる1つ以上のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換)を含んでもよい。任意選択により、この改変は、Fc由来ポリペプチドの新生児Fc受容体(FcRn)(例えば、ヒトFcRn)に結合する能力を実質的に低下も消失もさせない。典型的な改変として、少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、置換、欠失、挿入)を含む改変ヒトIgG1由来定常領域及び/又は変更されたタイプのグリコシル化(例えば、低フコシル化)が挙げられる。そのような改変は、Fc受容体:FcγRI(CD64)、FCγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)との相互作用に影響を及ぼすことができる。FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32A)及びFcγRIII(CD16)は活性化(即ち、免疫系増強)受容体であるが、FcγRIIB(CD32B)は抑制(即ち、免疫系抑制)受容体である。改変は、例えば、エフェクター(例えば、NK)細胞上のFcγIIIaへのFcドメインの結合を増加させることができ、及び/又はFcγRIIBへの結合を減少させることができる。改変の例は、参照によりその開示内容が本明細書に組み入れられるPCT公報国際公開第2014/044686号パンフレットに記載されている。FcγRIIIa又はFcRn結合性に影響を及ぼす(増強する)特定の変異(IgG1 Fcドメイン中)も以下に記載する。
【0195】
【表3】
【0196】
一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は変異型Fc領域を含み、このFc領域は、そのCH2及び/又はCH3ドメイン中に少なくとも1つのアミノ酸改変を含み(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はより多くのアミノ酸改変を有し)、この改変はヒトCD16ポリペプチドへの結合を増強する。他の実施形態では、多重特異的タンパク質は、アミノ酸237〜341からのFc領域のCH2ドメイン中に又は残基231〜341を含む下位のヒンジ−CH2領域内で少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はより多くのアミノ酸改変)を含む。一部の実施形態では、多重特異的タンパク質は、少なくとも2つのアミノ酸改変(例えば、2つ、3、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はより多くのアミノ酸改変)を含み、そのよう改変の少なくとも1つはCH3領域内であり、且つ少なくとも1つのそのような改変はCH2領域内である。また、ヒンジ領域中のアミノ酸改変も包含される。一実施形態では、CH1ドメイン中の、任意選択により残基216〜230(Kabat EU付番)を含む上位のヒンジ領域中のアミノ酸改変も包含される。Fc改変の適切に機能するあらゆる組み合わせを行うことができ、例えば、様々なFc改変の任意の組み合わせが以下のいずれかで開示されている:米国特許第7,632,497号明細書;同第7,521,542号明細書;同第7,425,619号明細書;同第7,416,727号明細書;同第7,371,826号明細書;同第7,355,008号明細書;同第7,335,742号明細書;同第7,332,581号明細書;同第7,183,387号明細書;同第7,122,637号明細書;同第6,821,505号明細書及び同第6,737,056号明細書;並びに/又はPCT公報国際公開第2011/109400号パンフレット;同第2008/105886号パンフレット;同第2008/002933号パンフレット;同第2007/021841号パンフレット;同第2007/106707号パンフレット;同第06/088494号パンフレット;同第05/115452号パンフレット;同第05/110474号パンフレット;同第04/1032269号パンフレット;同第00/42072号パンフレット;同第06/088494号パンフレット;同第07/024249号パンフレット;同第05/047327号パンフレット;同第04/099249号パンフレット及び同第04/063351号パンフレット;並びに/又はLazar et al.(2006)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 103(11):405−410;Presta,L.G.et al.(2002)Biochem.Soc.Trans.30(4):487−490;Shields,R.L.et al.(2002)J.Biol.Chem.26;277(30):26733−26740及びShields,R.L.et al.(2001)J.Biol.Chem.276(9):6591−6604)。
【0197】
一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、野生型Fc領域と比べて少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はより多くのアミノ酸改変)を含むFcドメインを含み、それにより、この分子は、野生型Fc領域を含む同一分子と比較してヒトCD16に対する結合親和性が増強されており、任意選択により、この変異型Fc領域は、221位、239位、243位、247位、255位、256位、258位、267位、268位、269位、270位、272位、276位、278位、280位、283位、285位、286位、289位、290位、292位、293位、294位、295位、296位、298位、300位、301位、303位、305位、307位、308位、309位、310位、311位、312位、316位、320位、322位、326位、329位、330位、332位、331位、332位、333位、334位、335位、337位、338位、339位、340位、359位、360位、370位、373位、376位、378位、392位、396位、399位、402位、404位、416位、419位、421位、430位、434位、435位、437位、438位及び/又は439位(Kabat EU付番)の任意の1つ以上において置換を含む。
【0198】
一実施形態では、本多重特異的タンパク質は、野生型Fc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はより多くのアミノ酸改変)を含むFcドメインを含み、それにより、この分子は、野生型Fc領域を含む分子と比較してヒトCD16に対する結合親和性が増強されており、任意選択により、変異型Fc領域は、239位、298位、330位、332位、333位及び/又は334位の任意の1つ以上で置換(例えば、S239D、S298A、A330L、I332E、E333A及び/又はK334A置換)を含み、任意選択により、変異型Fc領域は残基S239及びI332で置換を含み、例えばS239D及びI332E置換(Kabat EU付番)を含む。
【0199】
一部の実施形態では、本多重特異的タンパク質は、ヒトCD16に対する結合親和性が増加している変更されたグリコシル化パターンを含むFcドメインを含む。そのような炭水化物改変を、例えば、変更されたグリコシル化装置を有する宿主細胞中において多重特異的タンパク質をコードする核酸を発現させることにより達成することができる。変更されたグリコシル化装置を有する細胞は当技術分野で既知であり、組換え抗体を発現させ、それによりグリコシル化が変更された抗体を産生する宿主細胞として使用され得る。例えば、それぞれ参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられるShields,R.L.et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733−26740;Umana et al.(1999)Nat.Biotech.17:176−1、並びに欧州特許第1,176,195号明細書;PCT公報国際公開第06/133148号パンフレット;同第03/035835号パンフレット;同第99/54342号パンフレットを参照されたい。一態様では、多重特異的タンパク質は1つ以上の低フコシル化定常領域を含む。そのような多重特異的タンパク質は、アミノ酸変更を含んでもよく若しくはアミノ酸変更を含まなくてもよく、又は低フコシル化が得られる条件下で発現、合成若しくは処理されてよい。一態様では、多重特異的タンパク質組成物は本明細書で説明されている多重特異的タンパク質を含み、この組成物中の抗体種の少なくとも20、30、40、50、60、75、85、90、95%又は実質的に全てが、フコースを欠いているコア炭水化物構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)を含む定常領域を有する。一実施形態では、フコースを有するコア炭水化物構造を含むN連結グリカンを含まない多重特異的タンパク質組成物が提供される。このコア炭水化物は、好ましくはAsn297での糖鎖である。
【0200】
任意選択により、二量体Fcドメインを含む多重特異的タンパク質は、例えば表面プラズモン共鳴によって評価された場合に、従来のヒトIgG1抗体のヒトCD16ポリペプチドへの結合親和性の1−log内であるヒトCD16ポリペプチドへの結合親和性を有することによって特徴付けられ得る。
【0201】
一実施形態では、Fc受容体結合を増強するように操作された二量体Fcドメインを含む多重特異的タンパク質は、例えば表面プラズモン共鳴によって評価された場合に、従来又は野生型のヒトIgG1抗体のヒトCD16ポリペプチドへの結合親和性と比べて少なくとも1−log大きいCD16ポリペプチドへの結合親和性を有することによって特徴付けられ得る。
【0202】
任意選択により、二量体Fcドメインを含む二重特異的タンパク質は、(例えば、実施例16、Sensor Chip CM5上に固定された二重特異的抗体、及びこの固定された二重特異的抗体全体に注入された可溶性CD16ポリペプチドの連続希釈物によりBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で実施したSPR測定のように)表面プラズモン共鳴によって評価された場合に、ヒトCD16ポリペプチドへの結合(一価)に関するKdが10−5M(10μモル濃度)未満、任意選択により10−6M(1μモル濃度)未満であることによって特徴付けられ得る。
【0203】
CDR配列及びエピトープ
一部の実施形態では、本明細書のタンパク質及び抗体は、配列番号1のNKp46ポリペプチドのNKp46のD1ドメイン、NKp46のD2ドメイン、又は(D1とD2ドメインの境界、D1/D2接合部において)D1及びD2ドメインに跨る領域に結合する。一部の実施形態では、本発明による多重特異的タンパク質又は抗体は、10−8M未満、10−9M未満、又は10−10M未満のKによって特徴付けられるヒトNKp46に対する親和性を有する。
【0204】
別の実施形態では、本発明の抗体又は多重特異的タンパク質は、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9と実質的に同じNKp46上のエピトープでNKp46に結合する。別の実施形態では、この抗体は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9によって結合されたセグメント又はエピトープの少なくとも1つの残基と少なくとも部分的に重複するか、又はこの少なくとも1つの残基を含む。一実施形態では、エピトープの全ての重要な残基は、ドメインD1又はD2に対応するセグメント内にある。一実施形態では、この抗体又は多重特異的タンパク質は、D1ドメイン内に存在する残基及びD2ドメイン内に存在する残基に結合する。一実施形態では、抗体は、配列番号1のNKp46ポリペプチドのドメインD1又はD2に対応するセグメント内の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ以上の残基を含むエピトープに結合する。一実施形態では、抗体は、ドメインD1に結合し、且つ残基R101、V102、E104、及び/又はL105の1つ、2つ、3つ、又は4つを含むエピトープにさらに結合する。
【0205】
別の実施形態では、抗体又は多重特異的タンパク質は、D1/D2ドメイン接合部においてNkp46に結合し、且つ残基K41、E42、E119、Y121、及び/又はY194の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含むか又はそれからなるエピトープに結合する。
【0206】
別の実施形態では、抗体又は多重特異的タンパク質は、ドメインD2に結合し、且つ残基P132、E133、I135、及び/又はS136の1つ、2つ、3つ、又は4つを含むエピトープに結合する。
【0207】
以下に提供される実施例のセクションに、一連の変異ヒトNKp46ポリペプチドの構築が記載される。実施例では、NKp46変異体でトランスフェクトされた細胞への抗NKp46抗体又は多重特異的タンパク質の結合を測定し、野生型NKp46ポリペプチド(配列番号1)に結合する抗NKp46抗体の能力と比較した。本明細書で記載される抗NKp46抗体又はNKp46結合多重特異的タンパク質と変異NKp46ポリペプチドとの間の結合の低下は、抗NKp46抗体の結合親和性の低下(例えば、公知の方法、例えば、特定の変異体を発現する細胞のFACS試験により、又は変異ポリペプチドへの結合性のBiacore試験により測定される)、及び/又は抗NKp46抗体の総結合能の低下(例えば、抗NKp46抗体濃度のポリペプチド濃度に対するプロットにおけるBmaxの減少によって裏付けられる)が存在することを意味する。結合性の著しい低下は、変異残基がNKp46への抗NKp46抗体に対する結合性に直接関与しているか、又は抗NKp46抗体若しくはNKp46結合多重特異的タンパク質がNKp46に結合するときに結合タンパク質に非常に近接していることを示唆する。従って、抗体エピトープは、好ましくはこのような残基を含み、且つこのような残基に隣接した追加の残基を含み得る。
【0208】
一部の実施形態では、結合性の著しい低下は、抗NKp46抗体又はNKp46結合多重特異的タンパク質と変異NKp46ポリペプチドとの間の結合親和性及び/又は結合能が、この抗体と野生型NKp46ポリペプチド(例えば、配列番号1に示されているポリペプチド)との間の結合性に対して、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超低下していることを意味する。特定の実施形態では、結合性は、検出限界未満に低下する。一部の実施形態では、結合性の著しい低下は、抗NKp46抗体の変異NKp46ポリペプチドに対する結合性が、抗NKp46抗体と野生型NKp46ポリペプチド(例えば、配列番号1に示されているポリペプチド(又はその細胞外ドメイン))との間で観察される結合性の50%未満(例えば、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満)であるときに立証される。このような結合性の測定は、当技術分野で公知の様々な結合アッセイを用いて行うことができる。1つのこのようなアッセイの特定の例が、実施例のセクションに記載される。
【0209】
一部の実施形態では、野生型NKp46ポリペプチド(例えば、配列番号1)の残基が置換されている変異NKp46ポリペプチドに対する著しい結合性の低下を示す抗NKp46抗体又はNKp46結合多重特異的タンパク質が提供される。本明細書で使用される略語では、その形式は、配列番号1に示されている残基の番号が付された野生型残基:ポリペプチドの位置:変異残基である。
【0210】
一部の実施形態では、抗NKp46抗体は、野生型NKp46ポリペプチドに結合するが、野生型NKp46に対する結合性と比較して、(配列番号1における)残基R101、V102、E104、及び/又はL105のいずれか1つ以上に変異(例えば、アラニン置換)を有する変異NKp46ポリペプチドに対して低い結合性を有する。
【0211】
一部の実施形態では、抗NKp46抗体又はNKp46結合多重特異的タンパク質は野生型NKp46ポリペプチドに結合するが、野生型NKp46への結合と比較して(配列番号1に関して)残基K41、E42、E119、Y121及び/又はY194の1つ以上において変異(例えば、アラニン置換)を有する変異型NKp46ポリペプチドへの結合が減少している)。
【0212】
一部の実施形態では、抗NKp46抗体又はNKp46結合多重特異的タンパク質は野生型NKp46ポリペプチドに結合するが、野生型NKp46への結合と比較して(配列番号1に関して)残基P132、E133、I135及び/又はS136の1つ以上において変異(例えば、アラニン置換)を有する変異型NKp46ポリペプチドへの結合が減少している)。
【0213】
抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、及びNKp46−9の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ本明細書の表Bに列記され(配列番号:3、5、7、9、11、及び13)、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、及びNKp46−9の軽鎖可変領域のアミノ酸配列もそれぞれ本明細書の表Bに列記されている(配列番号:4、6、8、10、12、及び14)。
【0214】
特定の一実施形態では、本発明は、モノクローナル抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9と本質的に同じエピトープ又は決定基に結合する、二重特異的単量体ポリペプチドを含む抗体、例えば、完全長単一特異的抗体、多重特異的又は二重特異的抗体、又はNKp46結合多重特異的タンパク質を提供し、任意選択により、この抗体は、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の超可変領域を含む。本明細書の任意の実施形態では、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9は、そのアミノ酸配列及び/又はそれをコードする核酸配列によって特徴付けることができる。一実施形態では、この抗体は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9のFab又はF(ab’)2部分を含む。また、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖可変領域を含む抗体も提供される。一実施形態によると、抗体は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖可変領域の3つのCDRを含む。また、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9の軽鎖可変領域のCDRの1つ、2つ、又は3つをさらに含むポリペプチドも提供される。任意選択により、前記軽鎖又は重鎖CDRのいずれか1つ以上は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上のアミノ酸改変(例えば、置換、挿入、若しくは欠失)を含み得る。任意選択により、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、若しくはNKp46−9の抗原結合領域の一部若しくは全てを含む軽鎖及び/又は重鎖可変領域のいずれかがヒトIgG型の免疫グロブリン定常領域に融合された多重特異的タンパク質又は抗体ポリペプチドが提供される。
【0215】
別の態様では、本発明は、タンパク質、例えば、抗体、完全長単一特異的抗体、多重特異的若しくは二重特異的タンパク質、又はポリペプチド鎖若しくはその断片、又はNKp46結合多重特異的タンパク質、並びにこれらのいずれかをコードする核酸を提供し、このタンパク質は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖CDRを含み、それぞれの抗体が、表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むHCDR1領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって置換することができる、HCDR1領域;表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むHCDR2領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって置換することができる、HCDR2領域;表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むHCDR3領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって置換することができる、HCDR3領域を含む。
【0216】
別の態様では、本発明は、タンパク質、例えば、抗体、完全長単一特異的抗体、多重特異的若しくは二重特異的タンパク質、又はポリペプチド鎖若しくはその断片、又はNKp46結合多重特異的タンパク質、並びにこれらのいずれかをコードする核酸を提供し、このタンパク質は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の軽鎖CDRを含み、それぞれの抗体が、表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むLCDR1領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって置換することができる、LCDR1領域;表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むLCDR2領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって置換することができる、LCDR2領域;表Aに示されているアミノ酸配列、又は少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸の配列を含むLCDR3領域であって、これらのアミノ酸の1つ以上を異なるアミノ酸によって欠失させるか又は置換することができる、LCDR3領域を含む。
【0217】
別の態様では、本発明は、ヒトNKp46に結合する多重特異的タンパク質又は抗体を提供し、このタンパク質は、
(a)任意選択により1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Bに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖可変領域、
(b)任意選択により1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Bに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の軽鎖可変領域、
(c)任意選択により1つ以上のこれらのアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Bに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖可変領域、及び任意選択により1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Bに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9のそれぞれの軽鎖可変領域、
(d)任意選択によりCDRの1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Aに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖CDR1、2、及び3(HCDR1、HCDR2)アミノ酸配列、
(e)任意選択によりCDRの1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Aに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の軽鎖CDR1、2、及び3(LCDR1、LCDR2、LCDR3)アミノ酸配列、又は
(f)任意選択によりCDRの1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Aに示されているNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9の重鎖CDR1、2、及び3(HCDR1、HCDR2、HCDR3)アミノ酸配列、並びに任意選択によりCDRの1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸によって置換することができる、表Aに示されているそれぞれのNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、又はNKp46−9抗体の軽鎖CDR1、2、及び3(LCDR1、LCDR2、LCDR3)アミノ酸配列
を含む。
【0218】
一実施形態では、上述のCDRは、例えば、表1に示されているようにKabatに従っている。一実施形態では、上述のCDRは、例えば、表Aに示されているようにChothia付番に従っている。一実施形態では、上述のCDRは、例えば、表Aに示されているようにIMGT付番に従っている。
【0219】
本明細書の任意の実施形態の別の態様では、重鎖及び軽鎖の任意のCDR1、CDR2、及びCDR3は、少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、若しくは10の連続したそのアミノ酸配列により、並びに/又は対応する配列番号若しくは表Aに列記されている特定のCDR若しくは一連のCDRと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有することにより特徴付けることができる。
【0220】
別の態様では、本発明は、NKp46の結合について、上述の(a)〜(f)によるモノクローナル抗体と競合する抗体を提供する。
【0221】
別の態様では、本発明は、上述の(a)〜(f)によるヒトNKp46に結合する抗体、又はこのような抗体のいずれかとNKp46の結合について競合する、単量体Fcドメインに(任意選択により、介在アミノ酸配列によって)融合され、任意選択により第2の抗原結合ドメイン(例えば、scFv、Vドメイン、Vドメイン、dAb、V−NARドメイン、若しくはVHドメイン)にさらに(任意選択により、介在アミノ酸配列によって)融合された抗体を含む二重特異的抗体を提供する。任意選択により、第2の抗原結合ドメインは、癌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、又は細菌抗原に結合する。
【0222】
IMGT、Kabat、及びChothia定義方式に従ったCDRの配列が以下の表Aに要約される。本発明による抗体の可変鎖の配列は、以下の表Bに列記されている。本明細書の任意の実施形態では、VL又はVH配列は、シグナルペプチド若しくはその任意の部分を含むか又は含まないように指定又は付番することができる。
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
【表6】
【0226】
【表7】
【0227】
また、本明細書の実施例に記載されるように、単量体二重特異的ポリペプチドのアミノ酸配列を含む多重特異的タンパク質又は抗体が提供され、このタンパク質又は抗体は、抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、NKp46−6、及びNKp46−9の配列番号3〜14として列記されているそれぞれに重鎖及び軽鎖可変領域の重鎖及び軽鎖CDR1、2、及び3を含むscFv、単量体Fcドメイン、並びに抗CD19抗体、例えば、本明細書の実施例のセクションに記載される抗CD19の任意のものの重鎖及び軽鎖可変領域の重鎖及び軽鎖CDR1、2、及び3を含むscFvをそれぞれ含む。
【0228】
多重特異的タンパク質を作製すると、このタンパク質を生物学的活性に関して評価することができ、例えば、抗原結合、標的細胞溶解を誘発する能力及び/又はそれにより誘発される特異的シグナル伝達活性に関して評価することができる。
【0229】
本明細書で説明されている任意の実施形態の一態様では、本発明の多重特異的タンパク質は、このタンパク質をNKp46発現細胞(例えば、精製されたNK細胞)及び目的の抗原を発現する標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、NKp46発現細胞(例えば、NK細胞、レポーター細胞)の活性化を誘導することができる)。
【0230】
本明細書で説明されている任意の実施形態の一態様では、本発明の多重特異的タンパク質は、このタンパク質を、任意選択により標的細胞の非存在下において、NKp46及び/又はCD16発現細胞(例えば、精製されたNK細胞)の存在下でインキュベートされた場合に、NKp46及び/又はCD16発現細胞(例えば、NK細胞、レポーター細胞)の細胞表面上に存在するCD137の増加を誘導することができる。
【0231】
本明細書で説明されている任意の実施形態の一態様では、本発明の多重特異的タンパク質は、このタンパク質をNKp46発現細胞(例えば、精製されたNK細胞)及び目的の抗原を発現する標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、NKp46発現細胞(例えば、NK細胞、レポーター細胞)中でNKp46シグナル伝達を誘導することができる)。
【0232】
任意選択により、NK細胞の活性化又はシグナル伝達は、活性化の細胞表面マーカー、例えば、CD107、CD69、Sca−1又はLy−6A/E、KLRG1などの発現の増加によって特徴付けられる。
【0233】
活性は、例えば、多重特異的ポリペプチドの存在下で、標的細胞とNKp46発現細胞とを互いに接触させることによって測定することができる。一例では、標的細胞とNK細胞との凝集が測定される。別の例では、多重特異的タンパク質は、例えば、NK細胞の活性に関連した当技術分野で公知の任意の特性又は活性、例えば、細胞毒性のマーカー(CD107)又はサイトカインの産生(例えば、IFN−γ若しくはTNF−α)の測定可能な増加をもたらす能力、細胞内遊離カルシウムレベルの増加、リダイレクト殺傷アッセイ(redirected killing assay)において標的細胞を溶解する能力などについて評価することができる。
【0234】
標的細胞(目的の抗原を発現する標的細胞)及びNKp46を発現するNK細胞の存在下で、多重特異的タンパク質は、in vitroにおいて、NK細胞の活性に関連した特性又は活性(例えば、NK細胞の細胞毒性の活性化、CD107の発現、IFNγの産生)の増加を引き起こすことができる。例えば、本発明による多重特異的タンパク質は、多重特異的タンパク質に接触されない同じNK細胞と標的細胞を用いて同じエフェクター:標的細胞比で達成されるNK細胞の活性と比較して、約20%超、好ましくは少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又はそれを超えるNK細胞の活性を増加させるその能力に基づいて選択することができ、このNK細胞の活性は、NK細胞の活性を検出するアッセイ、例えば、NK活性化マーカーの発現を検出するか、又はNK細胞傷害性を検出するアッセイ、例えば、CD107又はCD69の発現を検出するアッセイ、IFNγの産生、又は従来のin vitroでの細胞毒性のクロム放出試験によって測定される。NK細胞活性化を検出するためのプロトコル及び細胞毒性アッセイの例は、本明細書の実施例のセクション、及び例えばPessino et al,J.Exp.Med,1998,188(5):953−960;Sivori et al,Eur J Immunol,1999.29:1656−1666;Brando et al,(2005)J.Leukoc.Biol.78:359−371;El−Sherbiny et al,(2007)Cancer Research 67(18):8444−9;and Nolte−’t Hoen et al,(2007)Blood 109:670−673)に記載されている。任意選択により、本発明に係る多重特異的タンパク質は、NK細胞活性のアッセイ(例えば、目的の抗原を発現する標的細胞のNK細胞に媒介される溶解を検出するアッセイ)によって測定された場合に、同一の目的の抗原に結合する従来のヒトIgG1抗体と比較して標的細胞へと(即ち標的細胞の溶解へと)NK細胞活性を誘導する能力が高いというその能力のために選択され得るか、又はその能力によって特徴付けられ得る。
【0235】
本明細書で示すように、CD16に結合しないFcドメインを有する本発明に係る多重特異的タンパク質は、(例えば、目的の抗原及び/又は標的抗原の非存在下で)このタンパク質が標的細胞上の目的の抗原に結合しない場合、NK細胞のNKp46シグナル伝達(及び/又はこのシグナル伝達により生じるNK活性化)を実質的に誘導しない。そのため、多重特異的タンパク質の一価NKp46結合成分はそれ自体、NKp46シグナル伝達を引き起こさない。従って、CD16に結合するFcドメインを有する多重特異的タンパク質の場合、CD16陰性NK細胞により、この多重特異的タンパク質のNKp46発現への効果を試験することにより、そのような多重特異的タンパク質を、NKp46シグナル伝達又はNKp46に媒介されるNK細胞活性化を誘発する能力に関して評価することができる。任意選択により、多重特異的タンパク質を、この多重特異的タンパク質を標的細胞の非存在下でNKp46発現CD16陰性細胞(例えば、精製されたNK細胞又は精製されたレポーター細胞)と共にインキュベートされた場合に、そのようなNKp46発現CD16陰性細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞、レポーター細胞)によるNKp46シグナル伝達を実質的に引き起こさない(又は増加しない)と特徴付けることができる。
【0236】
本明細書の任意の実施形態の一態様では、CD16に結合する本明細書で説明されている多重特異的タンパク質は、例えば以下によって特徴付けられ得る:
(a)NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合に、CD16及びNKp46を発現するNK細胞を誘導して標的細胞を溶解させることができ、及び
(b)標的細胞の非存在下でCD16陰性NK細胞(例えば、CD16を発現しないNKp46発現NK細胞)と共にインキュベートされた場合のNKp46でのアゴニスト活性の欠如。任意選択により、このNK細胞は精製されたNK細胞である。
【0237】
本明細書の任意の実施形態の一態様では、本明細書で説明されている多重特異的タンパク質は、例えば以下によって特徴付けられ得る:
(a)NKp46発現NK細胞及び標的細胞の存在下でインキュベートされた場合のNKp46でのアゴニスト活性、及び
(b)標的細胞の非存在下での、(例えば、CD16陰性NK細胞(例えば、CD16−NKp46+NK細胞)と共にインキュベートされた場合又はNK細胞と共にインキュベートされた場合の、及びこのタンパク質中に(例えば、改変により)CD16への結合を欠くFcドメインを含む場合の)NKp46でのアゴニスト活性の欠如。任意選択により、このNK細胞は精製されたNK細胞である。
【0238】
化合物の使用
一態様では、疾患の処置、予防又は診断を、それを必要とする哺乳動物において行うための医薬製剤の製造のための、本明細書で定義されている化合物(具体的には、本発明の多重特異的タンパク質若しくは抗体及び/又はそれらを発現する細胞)のいずれかの使用が提供される。また、薬剤としての又は薬剤中の活性成分若しくは活性物質としての、上記で定義されている化合物のいずれかの使用も提供される。さらなる態様では、本発明は、経口投与、局所投与、又は注射による投与のための固体又は液体製剤を生成するために本明細書で定義されている化合物を含む医薬組成物を調製する方法を提供する。そのような方法又はプロセスは、この化合物と薬学的に許容され得る担体とを混合するステップを少なくとも含む。
【0239】
一態様では、本明細書で説明されている多重特異的タンパク質若しくは抗体又はそれを含む(医薬)組成物を使用することにより、又は投与することにより、個体における所定の状態を処置する方法、予防する方法若しくはより一般的にはこの状態に影響を及ぼす方法、又は特定の状態を検出する方法が提供される。
【0240】
例えば、一態様では、本発明は、NKp46NK細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)の活性の回復又は増強を、それを必要とする患者(例えば、癌又はウイルス若しくは細菌の感染を有する患者)において行う方法であって、前記患者に本明細書で説明されている多重特異的タンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法は、リンパ球(例えば、NK細胞)活性の増加が有益である疾患又は不十分なNK細胞活性により引き起こされるか、若しくはこの活性によって特徴付けられる疾患を有する患者において、例えば、癌又はウイルス若しくは微生物/細菌の感染を有する患者において、NKp46リンパ球(例えば、NKp46CD16NK細胞)の活性を増加させることに向けられる。
【0241】
別の態様では、本発明は、NKp46NK細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)の活性の回復又は増強を、それを必要とする患者(例えば、癌又はウイルス、寄生虫若しくは細菌の感染を有する患者)において行う方法であって、患者由来の細胞(例えば、免疫細胞、及び任意選択により目的の抗原を発現する標的細胞)を本発明に係る多重特異的タンパク質と接触させるステップ、及びこの多重特異的タンパク質で処置した細胞を患者に再注入するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法は、リンパ球(例えば、NK細胞)活性の増加が有益である疾患又は不十分なNK細胞活性により引き起こされるか、若しくはこの活性によって特徴付けられる疾患を有する患者において、例えば、癌又はウイルス若しくは微生物(例えば、細菌)若しくは寄生虫の感染を有する患者において、NKp46リンパ球(例えば、NKp46CD16NK細胞)の活性を増加させることに向けられる。
【0242】
別の実施形態では、主題の多重特異的タンパク質を、処置する患者由来の又は別のドナー由来の免疫細胞(特にNK細胞)、及びそれを必要とする患者(例えば、リンパ球(例えば、NK細胞)活性の増加が有益である疾患又は不十分なNK細胞活性により引き起こされるか、若しくはこの活性によって特徴付けられる疾患を有する患者、例えば、癌又はウイルス若しくは微生物(例えば、細菌)若しくは寄生虫の感染を有する患者)に投与されるこのNK細胞と組み合わせて使用又は投与してよい。NK細胞は(CAR−T細胞と異なり)TCRを発現しないことから、このNK細胞は、たとえ別のドナー由来のものであってもGVHD反応を誘導しない(例えば、Glienke et al.,“Advantages and applications of CAR−expressing natural killer cells”,Front.Pharmacol.6,Art.21:1−6(2015);Hermanson and Kaufman,Front.Immunol.6,Art.195:1−6(2015)を参照されたい)。
【0243】
一実施形態では、エフェクター細胞(NKp46、CD16及びCD137等)の複数の活性化受容体を介してNK細胞活性化及び/又は標的細胞溶解を媒介する本明細書で開示されている多重特異的タンパク質を、エフェクター細胞(例えば、NKp46CD16NK細胞)が低活性であるか、消尽されているか、又は抑制されている個体(例えば、1つ又は複数の抑制受容体(例えば、TIM−3、PD1、CD96、TIGIT等)の発現及び/又は上方制御によって特徴付けられるエフェクター細胞の顕著な集団を有する患者)の処置に有利に使用することができる。
【0244】
本明細書に記載の多重特異的ポリペプチドを使用して、抗体で処置することができる障害、例えば、癌、固形及び非固形腫瘍、血液悪性腫瘍、感染、例えば、ウイルス感染、及び免疫又は自己免疫疾患を予防又は処置することができる。
【0245】
一実施形態では、目的の抗原(非NKp46抗原)は、以下からなる群から選択される癌のタイプの悪性細胞の表面で発現される抗原である:膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、頸癌、甲状腺癌、及び扁平上皮癌を含む皮膚癌を含む癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、及びバーケッツリンパ腫を含むリンパ系統の造血腫瘍;急性及び慢性の骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病を含む骨髄系統の造血腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉系起源の腫瘍;神経芽腫及び神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む横紋筋起源の腫瘍;並びに黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺癌、及び奇形癌を含む他の腫瘍、リンパ系統の造血腫瘍、例えば、限定されるものではないが、小細胞及び大脳細胞型を含むT細胞障害、例えば、T前リンパ球性白血病(T−PLL)を含むT細胞及びB細胞腫瘍;好ましくはT細胞型の大顆粒性リンパ球性白血病(LGL);セザリー症候群(SS);成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL);a/d T−NHL肝脾臓リンパ腫;末梢/胸腺後T細胞リンパ腫(多形性及び免疫芽球性亜型);血管免疫芽球性T細胞リンパ腫;血管中心(鼻)T細胞リンパ腫;未分化(Ki 1+)大細胞リンパ腫;腸管T細胞リンパ腫;Tリンパ芽球;並びにリンパ腫/白血病(T−Lbly/T−ALL)。
【0246】
一実施形態では、本明細書に記載の本発明の多重特異的ポリペプチドを使用して、以下からなる群から選択される癌を予防又は処置することができる:膀胱癌、頭頸部癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、頸癌、甲状腺癌、及び扁平上皮癌を含む皮膚癌を含む癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、及びバーケッツリンパ腫を含むリンパ系統の造血腫瘍;急性及び慢性の骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病を含む骨髄系統の造血腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉系起源の腫瘍;神経芽腫及び神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む横紋筋起源の腫瘍;並びに黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺癌、及び奇形癌を含む他の腫瘍。本発明によって処置することができる他の例示的な障害としては、リンパ系統の造血腫瘍、例えば、限定されるものではないが、小細胞及び大脳細胞型を含むT細胞障害、例えば、T前リンパ球性白血病(T−PLL)を含むT細胞及びB細胞腫瘍;好ましくはT細胞型の大顆粒性リンパ球性白血病(LGL);セザリー症候群(SS);成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL);a/d T−NHL肝脾臓リンパ腫;末梢/胸腺後T細胞リンパ腫(多形性及び免疫芽球性亜型);血管免疫芽球性T細胞リンパ腫;血管中心(鼻)T細胞リンパ腫;未分化(Ki 1+)大細胞リンパ腫;腸管T細胞リンパ腫;Tリンパ芽球;並びにリンパ腫/白血病(T−Lbly/T−ALL)が挙げられる。
【0247】
一例では、腫瘍抗原は、リンパ腫細胞又は白血病細胞の表面で発現される抗原であり、多重特異的タンパク質は、リンパ腫又は白血病を有する個人に投与され、且つ/又はこの個人の処置に使用される。任意選択により、腫瘍抗原は、CD19、CD20、CD22、CD30、又はCD33から選択される。
【0248】
一態様では、処置の方法は、例えば本明細書で開示されている疾患(例えば、上記で同定されている癌のいずれか)の処置のために、治療有効量において本明細書で説明されている多重特異的タンパク質を個体に投与するステップを含む。治療有効量は、疾患又は障害を有する患者に治療効果を有する(又は疾患若しくは障害を有する患者及び患者と実質的に同様の特徴を有する患者の少なくとも相当数でこのような効果を促進、増強及び/又は誘導する)任意の量であり得る。
【0249】
一実施形態では、本発明に係る多重特異的タンパク質を使用して、CD137活性化に応答する癌(例えば、固形腫瘍又は血液癌、例えば、限定されるものではないが乳癌、肉腫、神経膠腫、結腸癌、骨髄腫、マスト細胞腫、黒色腫、腎癌及び卵巣癌)を処置する。一実施形態では、本発明に係る多重特異的タンパク質を使用してCD137L発現癌を処置する。本明細書で示すように、多重特異的タンパク質の腫瘍細胞溶解を誘導する強い効果は、NK細胞の表面上のCD137(4−1BB)の上方制御により部分的に媒介されると仮定される。共活性化CD137タンパク質は、腫瘍細胞上のCD137リガンド(CD137L、4−1BBL)に結合して認識することができ、その結果としてNK細胞活性化及びCD137L発現細胞の細胞傷害性が増強される。CD137Lは様々な腫瘍上で発現されることが分かっており、特に中程度の又は低い分化腫瘍において、悪性腫瘍によってより一般的に発現される(例えば、Vinay et al.,(2012)Mol.Cancer Ther.11(5):1062−1070を参照されたい)。CD137L発現癌として、例えば肺扁平上皮癌、鼻腔扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、結腸腺癌、直腸腺癌、胆嚢腺癌、膵臓腺癌及び乳腺癌が挙げられる。
【0250】
本発明に係る多重特異的タンパク質を、個体から得られる生物学的サンプル(例えば、癌細胞、癌組織又は癌隣接組織を含む生物学的サンプル)中における標的細胞上での目的の抗原の発現を検出する事前のステップの有無にかかわらず使用することができる。別の実施形態では、本開示は、癌の処置又は予防を、それを必要とする個体において行う方法であって、
a)目的の抗原を発現する、個体由来のサンプル中において細胞(例えば、腫瘍細胞)を検出するステップ、及び
b)任意選択により参照レベル(例えば、健康な個体又は本明細書で説明されているタンパク質から実質的な利益を得ていない個体に対応する)と比べて高いレベルで、目的の抗原を発現する細胞がサンプルに含まれることの検出時に、目的の抗原、NKp46(例えば、一価で)及びCD16(例えば、Fcドメインを介して)結合する多重特異的タンパク質(例えば、本発明に係る多重特異的タンパク質)をこの個体に投与するステップ
を含む方法を提供する。任意選択により、目的の抗原は癌抗原(例えば、本明細書で開示されている癌抗原)であり、任意選択により、特異的に結合する完全長ヒトIgG1抗体と接触した場合に細胞内インターナリゼーションを受け得ることが分かっている癌抗原である。
【0251】
一実施形態では、本発明は、癌の処置又は予防を、それを必要とする個体において行う方法であって、
a)CD137L(CD137リガンド)を発現する個体由来のサンプル中(又は腫瘍内及び/若しくは隣接組織内)において細胞(例えば、腫瘍細胞)を検出するステップ、及び
b)任意選択により参照レベル(例えば、健康な個体又は本明細書で説明されているタンパク質から実質的な利益を得ていない個体に対応する)と比べて高いレベルで、CD137Lを発現する細胞がサンプル(又は腫瘍内及び/若しくは隣接組織内)に含まれることの検出時に、癌抗原、NKp46(例えば、一価で)及びCD16に結合する多重特異的タンパク質(例えば、本開示のタンパク質)をこの個体に投与するステップ
を含む方法を提供する。任意選択により、癌抗原は本明細書で開示されている癌抗原であり)、任意選択により、特異的に結合する完全長ヒトIgG1抗体と接触した場合に細胞内インターナリゼーションを受け得ることが分かっている癌抗原である。
【0252】
一実施形態では、本開示は、疾患(例えば、癌)の処置又は予防を、それを必要とする個体において行う方法であって、
a)個体由来のサンプル中において(例えば、循環中において又は腫瘍環境中において)免疫エフェクター細胞(例えば、NK細胞、T細胞)上の1つ又は複数の抑制受容体の細胞表面発現を検出するステップ、及び
b)任意選択により参照レベル(例えば、健康な個体、免疫疲労若しくは免疫抑制に罹患していない個体、又は本明細書で説明されているタンパク質から実質的な利益を得ていない個体に対応する)と比べて高いレベルでの、免疫エフェクター細胞上の1つ又は複数の抑制受容体の細胞表面発現の検出時に、目的の抗原(例えば、癌抗原)、NKp46(例えば、一価で)及びCD16に結合する多重特異的タンパク質(例えば、本発明に係る多重特異的タンパク質)をこの個体に投与するステップ
を含む方法を提供する。任意選択により、癌抗原は本明細書で開示されている癌抗原であり)、任意選択により、特異的に結合する完全長ヒトIgG1抗体と接触した場合に細胞内インターナリゼーションを受け得ることが分かっている癌抗原である。
【0253】
一実施形態では、本発明に係る多重特異的タンパク質を単一治療(他の治療薬なし)として使用してもよく、又は1つ以上の他の治療薬による処置と組み合わせて使用してもよく、この他の治療薬として、抗体が投与される特定の治療目的に通常利用される薬剤が挙げられる。追加の治療薬を通常、処置される特定の疾患又は状態のための単一治療においてその薬剤に概して使用される量及び処置計画で投与する。そのような治療薬は、癌の処置で使用する場合、限定されるものではないが抗癌剤及び化学療法剤が挙げられ、感染性疾患の処置では、限定されるものではないが抗ウイルス剤及び抗生物質が挙げられる。そのような他の治療薬として、例えばIg融合タンパク質、抗体、サイトカイン等の他の免疫調節性ポリペプチドをさらに挙げることができる。一部の実施形態では、本発明に係る多重特異的タンパク質及び他の治療薬の投与により、免疫及び/又は治療効果への相加又は相乗効果を引き出すことができる。
【0254】
本多重特異的タンパク質をキットに含めることもできる。このキットは、任意選択により、任意の数のポリペプチド及び/又は他の化合物をさらに含むことができ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又はあらゆる他の数の本発明に係る多重特異的タンパク質及び/又は他の化合物をさらに含むことができる。キットの内容物に関するこの説明は決して限定するものではないことが認識されるであろう。例えば、このキットは、他のタイプの治療化合物を含むことができる。任意選択により、このキットはまた、ポリペプチドの使用に関する取扱説明書も含み、例えば、特定の疾患状態の検出又は処置等での本明細書で説明されている方法を詳述する取扱説明書も含む。
【0255】
本発明はまた、主題の多重特異的タンパク質と、任意選択により、上記定義された他の化合物とを含む医薬組成物も提供する。多重特異的タンパク質及び任意選択により別の化合物は、医薬組成物として医薬担体と共に精製された形態で投与することができる。形態は、意図する投与方式及び治療又は診断用途によって決まる。医薬担体は、化合物を患者に送達するのに適した任意の適合性の非毒性物質とすることができる。薬学的に許容され得る担体は、当技術分野で公知であり、例えば、水溶液、例えば、(滅菌)水若しくは生理緩衝食塩水、又は他の溶媒若しくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油、例えば、オリーブ油、又は注射可能な有機エステル、アルコール、脂肪、ワックス、及び不活性固体を含む。薬学的に許容され得る担体は、例えば化合物の吸収を安定させるか又は高めるように作用する、生理的に許容され得る化合物をさらに含み得る。このような生理的に許容され得る化合物は、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロース、又はデキストラン、抗酸化物、例えば、アスコルビン酸又はグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質、又は他の安定剤若しくは賦形剤を含む。当業者であれば、生理的に許容され得る化合物を含む薬学的に許容され得る担体の選択が、例えば、組成物の投与経路によって決まることを理解されよう。薬学的に許容され得るアジュバント、緩衝剤、及び分散剤なども医薬組成物に含まれ得る。そのようなアジュバントの非限定的な例として、無機及び有機アジュバント、例えばミョウバン、リン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウム、スクアレン、リポソーム、リポ多糖、二本鎖(ds)RNA、一本鎖(s−s)DNA、並びに非メチル化CpG等のTLRアゴニストが挙げられる。
【0256】
本発明による多重特異的タンパク質は、非経口投与することができる。非経口投与用の化合物の調製は、滅菌でなければならない。滅菌は、任意選択により凍結乾燥及び再生の前又は後での、滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に達成される。化合物の投与の非経口経路は、公知の方法、例えば、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、動脈内経路、若しくは病巣内経路による注射又は注入に従う。化合物は、注入又はボーラス注射によって連続的に投与することができる。静脈注射用の典型的な組成物は、特定のタイプの化合物及びその必要な投与計画に合わせて、任意選択により20%アルブミン溶液が添加された100〜500mlの滅菌0.9%NaCl又は5%グルコース及び1mg〜10gの化合物を含むように構成することができる。非経口投与可能な組成物を調製する方法は、当技術分野で公知である。
【実施例】
【0257】
実施例1:
抗huNKp46抗体の作製
Balb/cマウスを、配列番号1のタンパク質の細胞外ドメインを含む組換えヒトNKp46細胞外ドメイン組換えFcタンパク質で免疫化した。マウスは、50μgのNKp46タンパク質と完全フロイントアジュバントのエマルションの腹腔内投与により最初の免疫を行い、50μgのNKp46タンパク質と不完全フロイントアジュバントのエマルションの腹腔内投与により2回目の免疫を行い、最後に、10μgのNKp46タンパク質の静脈投与により追加免疫した。免疫脾細胞を追加免疫の3日後にX63.Ag8.653不死化B細胞に融合し、これを放射線照射脾細胞の存在下で培養した。
【0258】
一次スクリーニング:増殖しているクローンの上清(S/N)を、細胞表面でヒトNKp46構築物を発現する細胞株を用いるフローサイトメトリーによって一次スクリーニングで試験した。簡単に述べると、FACSスクリーニングでは、上清中の反応性抗体の存在を、PEで標識されたヤギ抗マウスポリクローナル抗体(pAb)によって明らかにした。
【0259】
NKp46に結合する抗体のパネルを選択し、産生し、及びそれらの可変領域を配列決定し、且つこれらの抗体及びその誘導体を二重特異的分子との関連でのそれらの活性についてさらに評価した。
【0260】
実施例2 エフェクター細胞受容体を標的とする、FcRnには結合するがFcγRには結合しない二重特異的抗体形態の同定
実験は、Fcドメインを、抗NKp46結合ドメイン及び抗標的抗原結合ドメインと共にポリペプチドに配置する新規な二重特異的タンパク質形態を開発することを目的として行われた。そのような二重特異的タンパク質は、その抗NKp46結合ドメインを介してNKp46に一価で結合するはずである。単量体Fcドメインは、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する少なくとも部分的な結合を維持するが、ヒトCD16及び/又は他のヒトFcγ受容体には実質的に結合しないはずである。結果として、そのような二重特異的タンパク質は、Fcγ媒介(例えば、CD16媒介)標的細胞溶解を誘導しないはずである。
【0261】
実施例2−1 抗CD19−IgG1−Fcmono抗CD3の作製及び結合分析
このようなタンパク質が機能的であり得るか否かを示すことができる抗NKp46二重特異的抗体が作製されていないため、NKp46を介したNK細胞の標的化前に新規な一価二重特異的タンパク質形態の可能な機能を調べるために、NKp46の代わりにCD3をモデル抗原として使用した。
【0262】
腫瘍抗原CD19に特異的なscFv(抗CD19 scFv)及びT細胞の活性化受容体CD3に特異的なscFv(抗CD3 scFv)をベースとした二重特異的Fcを使用して、新規な単量体二重特異的ポリペプチド形態のFcRn結合及びCD19結合機能を評価した。最終ポリペプチドのドメイン配置は、「F1」形態と呼ばれる(CH2ドメインの星は、本明細書で試験されたポリペプチドには含まれていない任意選択のN297S変異を示す)(図2を参照されたい)。
【0263】
二重特異的単量体Fc含有ポリペプチドを、腫瘍抗原CD19に特異的なscFv(抗CD19 scFv)及びT細胞の活性化受容体CD3に特異的なscFv(抗CD3 scFv)をベースに構築した。CH3ドメインは、変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A及びK409Yを含んでいた。このポリペプチドは、以下のように配置されたドメインを有する:抗CD19−CH2−CH3−抗CD3。CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために、アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列も設計した。
【0264】
このCH3ドメインは、変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A及びK409Yを含んでいた。選択したCH2ドメインは野生型CH2であった。単量体CH2−CH3 Fc部分及び抗CD19のDNA及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0265】
抗CD19 scFvに対応する軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列は次の通りであった。
【0266】
【表8】
【0267】
単量体CH2−CH3 Fc部分及び最終二重特異的IgG1−Fcmonoポリペプチド(その構築物では最後のKが除去された)のDNA配列が配列番号117に示されている。それによってコードされたアミノ酸配列が配列番号2に示されている。抗CD19−F1−抗CD3完全配列(成熟タンパク質)が配列番号118に示されている。
【0268】
組換えタンパク質のクローニング及び産生
コード配列を直接合成及び/又はPCRによって構築した。PCRは、PrimeSTAR MAX DNAポリメラーゼ(Takara,#R045A)を用いて行い、PCR産物を、NucleoSpinゲル及びPCR clean−upキット(Macherey−Nagel,#740609.250)を用いて1%アガロースゲルから精製した。精製した後、PCR産物を定量してから、製造者のプロトコル(ClonTech,#ST0345)に記載されているようにIn−Fusion連結反応を行った。プラスミドは、Nucleospin 96プラスミドキット(Macherey−Nagel,#740625.4)を用いてEVO200(Tecan)で行われたミニプレップ調製後に得た。次いで、CHO細胞株のトランスフェクションの前に、プラスミドを配列の確認のために配列決定した。
【0269】
CHO細胞を、フェノールレッド及び6mM GlutaMaxが添加されたCD−CHO培地(Invitrogen)で増殖した。トランスフェクションの前日に、細胞をカウントし、175,000細胞/mlで播種した。トランスフェクションのために、細胞(200,000細胞/トランスフェクション)をAMAXA SF細胞株キット(AMAXA,#V4XC−2032)に記載されているように調製し、Nucleofector 4D装置でDS137プロトコルを用いてヌクレオフェクトした。全てのトランスフェクションは、300ngの検証済みプラスミドを用いて行った。トランスフェクション後、細胞を24ウェルプレートの予熱された培養培地に播種した。24時間後、ハイグロマイシンBを培養培地に添加した(200μg/ml)。タンパク質の発現を1週間後に培地で監視した。次いで、タンパク質を発現している細胞をサブクローニングして最高の産生株を得た。96平底ウェルプレートを用いて、200μg/mlのハイグロマイシンBが添加された200μlの培養培地に1細胞/ウェルで細胞を播種して、サブクローニングを行った。クローンの生産性を試験する前に、細胞を3週間放置した。
【0270】
IgG1−Fc断片を含む組換えタンパク質を、プロテインAビーズ(rProteinA Sepharose fast flow,GE Healthcare)を用いて精製した。簡単に述べると、細胞培養上清を濃縮し、遠心分離によって清澄化し、プロテインAカラムに注入し、組換えFc含有タンパク質を捕捉した。タンパク質を酸性pH(クエン酸0.1M pH3)で溶出し、及びTRIS−HCL pH8.5を用いて溶出物を即座に中和し、1×PBSで透析した。「six his」タグを含む組換えscFvを、コバルト樹脂を用いてアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。他の組換えscFvをサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。
【0271】
実施例2−2:抗CD19−IgG1−Fcmono−抗CD3〜B221、JURKAT、HUT78、及びCHO細胞株の結合分析
細胞を回収して、抗CD19−F1−抗CD3産生細胞の細胞上清で、4℃で1時間染色した。染色緩衝液(PBS 1X/BSA 0.2%/EDTA 2mM)で2回洗浄した後、細胞をヤギ抗ヒト(Fc)−PE抗体(IM0550 Beckman Coulter−1/200)で4℃において30分間染色した。2回の洗浄後、染色をBD FACS Canto IIで実施し、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。
【0272】
CD3及びCD19の発現もフローサイトメトリーによって制御した。細胞を回収して、5μlの抗CD3−APC及び5μlの抗CD19−FITC抗体を用いて、PBS 1X/BSA 0.2%/EDTA 2mM緩衝液で、4℃で30分間染色した。2回の洗浄後、染色をBD FACS Canto IIで実施し、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。
【0273】
これらの実験の結果は、抗CD19−F1−抗CD3タンパク質が、CD3細胞株(HUT78及びJURKAT細胞株)及びCD19細胞株(B221細胞株)に結合するが、陰性対照として使用されたCHO細胞株には結合しないことを明らかにした。
【0274】
実施例2−3:
精製抗CD19−F1−抗CD3によるT細胞及びB細胞の凝集
精製抗CD19−F1−抗CD3をT/B細胞凝集アッセイで試験して、抗体が、CD19及びCD3発現細胞の凝集を促進するか否かを評価した。
【0275】
このアッセイの結果が図1に示されている。上のパネルは、抗CD19−F1−抗CD3は、B221(CD19)又はJURKAT(CD3)細胞株の存在下で凝集を引き起こさないが、B221及びJURKAT細胞の両方が同時にインキュベートされるときに細胞を凝集させることを示し、二重特異的抗体が機能的であることを例示する。下のパネルは、抗体なしで実施された対照実験の結果を示す。
【0276】
実施例2−4:
二重特異的単量体FcポリペプチドのFcRnに対する結合性
表面プラズモン共鳴(SPR)による親和性試験
Biacore T100の一般的な手順及び試薬
SPR測定をBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で25℃において行った。全てのBiacore実験では、酢酸緩衝液(50mM酢酸 pH5.6、150mM NaCl、0.1%界面活性剤p20)及びHBS−EP+(Biacore GE Healthcare)がそれぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液として使用された。センサーグラムをBiacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。組換えマウスFcRnをR&D Systemsから購入した。
【0277】
FcRnの固定化
組換えFcRnタンパク質をSensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定した。チップ表面をEDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。FcRnタンパク質を結合緩衝液(10mM酢酸、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、2500RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を用いて行った。
【0278】
親和性試験
一価親和性試験をSingle Cycle Kinetic(SCK)プロトコルに従って行った。5段階希釈の41.5〜660nMの可溶性分析物(抗体及び二重特異的分子)を(再生なしで)FcRnに添加し、再生の10分前に解離させた。各分析物について、全てのセンサーグラムを、1:1SCK結合モデルを用いてフィッティングした。
【0279】
結果
CH2−CH3ドメインが2つの抗原結合ドメイン(具体的には2つのscFv)間に配置された抗CD19−F1−抗CD3を評価して、そのような二重特異的単量体Fcタンパク質が、FcRnへの結合を維持することができ、且つ従来の二重特異的抗体と比較して改善されたin vivo半減期を有するか否かを決定した。これらの実験の結果はFcRn結合性が維持されることを示しており、このモデルは、正常なIgG又は野生型IgGに対して、2:1の比(各抗体に対して2つのFcRn)ではなく1:1の比(各単量体Fcに対して1つのFcRn)を示唆している。
【0280】
この多重特異的タンパク質の結合親和性を、SPRを使用して評価し、完全なヒトIgG1定常領域を含むキメラ完全長抗体と比較した。単量体Fcは、FcRnに対して著しい単量体結合性を維持した(単量体Fc:KD=194nMの親和性;二価結合を有する完全長抗体:KD=15.4nMの親和性)。
【0281】
実施例3:
抗CD19x抗NKp46二重特異的単量体Fcドメインポリペプチドの作製
NK細上の活性化受容体が標的細胞の溶解に寄与し得るかは不明であり、また、抗NKp46抗体がNKp46をブロックし得るため、細胞毒性がNKp46によって媒介することができたか否かはさらに不明であった。本発明者らは、二重特異的タンパク質形態が、NKp46のトリガーを引き起こすことができたか否か、それが、標的から離れた不適切なNK活性化及び/又は標的細胞に対する全活性の低下をもたらし得る、標的細胞の非存在下でNKp46アゴニズムを誘導するか否かを調べた。
【0282】
新規な二重特異的タンパク質形態を、FcRnには結合するがFCγRには結合しない一本鎖タンパク質として開発した。加えて、2つ又は3つのポリペプチド鎖を含み、Fcドメインが単量体を維持している多量体タンパク質を開発し、この多量体タンパク質は、scFv形態に変換されたときにそれらの標的に対する結合性を維持しない抗体可変領域での使用に適合している。scFv形態は、抗体のスクリーニングに便利に使用することができ、少なくとも1つの結合領域をF(ab)構造として含めることにより、任意の抗標的(例えば、抗腫瘍)抗体可変領域を、抗体がscFvとして結合性を維持するか否かにかかわらず、二重特異的タンパク質内のF(ab)形態として二重特異的構築物で直接発現させて試験することができ、それにより、利用可能な抗体を単純にスクリーニングしてその数を増加させることができる。Fcドメインが単量体を維持するこれらの形態は、最大の配座柔軟性を維持するという利点を有し、且つ以下に示すように、NKp46又は標的抗原に対する最適な結合性を可能にし得る。
【0283】
異なる構築物を、実施例2−1に記載の腫瘍抗原CD19に特異的なscFvからの可変ドメイン、及び実施例1に示されたNKp46受容体に特異的な抗体からの異なる可変領域を用いて、二重特異的抗体の調製に使用するために作製した。また、NKp46受容体に特異的である、商業的に入手可能な抗体Bab281(Beckman Coulter,Inc.(Brea,CA,USA)が市販するmIgG1(Pessino et al,J.Exp.Med,1998,188(5):953−960 and Sivori et al,Eur J Immunol,1999.29:1656−1666も参照されたい))からの可変領域を抗NKp46として用いて作製した。
【0284】
Fcドメインが、一本鎖ポリペプチドで、又は1つの鎖のみがFcドメインを有する多量体で単量体を維持するために、CH3−CH3二量体化が、2つの異なる戦略:(1)特定の変異(EU付番)、即ちL351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Yを含むCH3ドメインの使用により、又は(2)直列型CH3ドメインが互いに結合された可撓性リンカーにより分離され、鎖間CH3−CH3二量体化を防止する直列型CH3ドメインの使用によって防止された。上記で特定された点変異を含む単量体CH2−CH3Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、実施例2−1と同じであった。直列型CH3ドメインを有する単量体CH2−CH3−リンカーCH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、図2A図2Dに示されている。
【0285】
抗CD19 scFvの軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列も実施例2−1と同じであった。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。以下に、異なる抗NKp46 scFvの軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列が示される。
【0286】
【表9】
【0287】
【表10】
【0288】
形態1(F1)(抗CD19−IgG1−Fcmono−抗NKp46(scFv))
形態1(F1)のドメイン構造が図2Aに示されている。二重特異的Fc含有ポリペプチドを、腫瘍抗原CD19(抗CD19 scFv)に特異的なscFv及びNKp46受容体に特異的なscFvをベースに構築した。このポリペプチドは、以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する一本鎖ポリペプチドである。
(V−V抗CD19−CH2−CH3−(V−V抗NKp46
【0289】
アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列を、CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために設計した。図2に示されている最終ポリペプチドのドメイン配置(CH2ドメインの星は、任意選択のN297S変異を示す)では、抗CD3 scFvが抗NKp46 scFvによって置換されている。(V−V)単位は、VドメインとVドメインとの間にリンカーを含む。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的ポリペプチドのアミノ酸配列(完全な配列(成熟タンパク質))が、以下の表2Bに列記された対応する配列番号に示されている。
【0290】
【表11】
【0291】
形態2(F2):CD19−F2−NKp46−3
F2ポリペプチドのドメイン構造が図2Aに示されている。単量体CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、実施例2−1と同様であり、それは、同様にCH3ドメイン変異(変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Y)を含む。ヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
(V−V抗CD19−CH2−CH3−V抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK抗NKp46−CK。
【0292】
(V−V)単位は、Vドメイン、リンカー、及びV単位(即ち、scFv)から構成されていた。本発明の二重特異的ポリペプチドの他の形態と同様に、アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列を、CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために設計した。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。F2タンパク質の第1鎖及び第2鎖のアミノ酸配列は、配列番号140及び141に示されている。
【0293】
形態3(F3):CD19−F3−NKp46−3
F3ポリペプチドのドメイン構造が図2Aに示されている。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、同じポリペプチド鎖上の2つのCH3ドメインが互いに結合し、それにより、異なる二重特異的タンパク質間の二量体化が防止される直列型CH3ドメインを含んでいた。
【0294】
一本鎖ポリペプチドは、以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する。
(V−V抗CD19−CH2−CH3−CH3−(V−V抗NKp46
【0295】
(V−V)単位は、Vドメイン、リンカー、及びV単位(scFv)から構成されていた。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、3.4mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。F3タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号142に示されている。
【0296】
形態4(F4):CD19−F4−NKp46−3
F4ポリペプチドのドメイン構造が図2Aに示されている。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、形態F3と同様に直列型CH3ドメインを含み、さらに、N連結グリコシル化を防止してFcγR結合性を消失させるN297S変異を含んでいた。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、1mg/Lの良好な産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。NKp46−3可変ドメインを有するF4タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号143に示されている。
【0297】
形態8(F8)
F8ポリペプチドのドメイン構造を図2Bに示す。単量体CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は形態F2と同様であり、CH3ドメイン変異(変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A及びK409Y、並びにN連結グリコシル化を防止してFcγR結合性をさらに消失させるN297S変異)を同様に含む。F8タンパク質の以下の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである1(野生型、F8Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基で置換された第2(F8B)、及び(c)ヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換するリンカー配列GGGSSを含む第3(F8C)。変異型F8B及びF8Cは中心鎖のホモ二量体の形成を回避することから、これらの変異体は作製上の利点を提供した。このヘテロ三量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−V抗NKp46−C、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK抗NKp46−CH1、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
抗CD19−C
【0298】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上清から精製し、分析し、SECにより精製した。このタンパク質は3.7mg/L(F8C)の高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は単純なSECプロフィールを再び示した。NKp46−3可変領域を有するF8タンパク質(C変異体)の3つの鎖のアミノ酸配列を配列番号144、145及び146に示す。
【0299】
形態9(F9):CD19−F9−NKp46−3
F9ポリペプチドは、中心ポリペプチド鎖及びそれぞれCH1−Cの二量体化によって中心鎖に結合している2つのポリペプチド鎖を有する三量体ポリペプチドである。この三量体F9タンパク質のドメイン構造を図2Bに示し、CH1及びCドメイン間の結合は鎖間ジスルフィド結合である。2つの抗原結合ドメインは、抗体がscFv形態で機能を維持するか否かにかかわらず、この抗体の使用を可能にするF(ab)構造を有する。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、形態F4と同様の直列型CH3ドメインを含み、且つN297S置換を含むCH2ドメインを含む。F9タンパク質の以下の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである第1(野生型、F9Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基で置換された第2(F9B)、及び(c)ヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換するリンカー配列GGGSSを含む第3(F9C)。変異型F9B及びF9Cは、中心鎖のホモ二量体の形成を回避することにより作製で利点を提供した。このヘテロ三量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−V抗NKp46−C、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗NKp46−CH1、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
抗CD19−C
【0300】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、8.7mg/L(F9A)及び3.0mg/L(F9B)の高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。
【0301】
F9タンパク質変異型F9Aの3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号147、148、及び149に示されている。F9タンパク質変異型F9Bの3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号150、151、及び152に示されている。F9タンパク質変異型F9Cの3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号153、154、及び155に示されている。
【0302】
形態10(F10):CD19−F9−NKp46−3
F10ポリペプチドは、中心ポリペプチド鎖及びCH1−C二量体化により中心鎖に結合している第2のポリペプチド鎖を有する二量体タンパク質である。この二量体F10タンパク質のドメイン構造を図2Bに示し、CH1及びCドメイン間の結合は鎖間ジスルフィド結合である。2つの抗原結合ドメインの一方はFab構造を有し、且つ他方はscFvである。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、形態F4で示すような直列型CH3ドメインを含み、且つN297S置換を含むCH2ドメインを含む。F10タンパク質の以下の3つの変異体も作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである第1(野生型、F10Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基により置換された第2(F10B)、及び(c)ヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換するリンカー配列GGGSSを含む第3(F10C)。変異型F10B及びF10Cは中心鎖のホモ二量体の形成を回避することから、これらの変異体は作製で利点を提供した。(V−V)単位は、Vドメイン、リンカー、及びV単位(scFv)から構成されていた。このヘテロ二量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−(V−V抗NKp46、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗CD19−C
【0303】
これらのタンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上清から精製し、分析し、SECにより精製した。このタンパク質は2mg/L(F10A)の良好な産生収率を示し、精製されたタンパク質は単純なSECプロフィールを再び示した。F10Aタンパク質変異体の2つの鎖のアミノ酸配列を配列番号156(第2鎖)及び157(第1鎖)に示す。F10Bタンパク質変異体の2つの鎖のアミノ酸配列を配列番号158(第2鎖)及び159(第1鎖)に示す。F10Cタンパク質変異体の2つの鎖のアミノ酸配列を配列番号160(第2鎖)及び161(第1鎖)に示す。
【0304】
形態11(F11):CD19−F11−NKp46−3
F11ポリペプチドのドメイン構造を図2Cに示す。このヘテロ二量体タンパク質はF10に類似しているが、抗原結合ドメインの構造が逆である。2つの抗原結合ドメインの一方はFab様構造を有し、且つ他方はscFvである。このヘテロ二量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
(V−V抗CD19−CH2−CH3−CH3−V抗NKp46−C、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗NKp46−CH1。
【0305】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上清から精製し、分析し、SECにより精製した。このタンパク質は2mg/Lの良好な産生収率を示し、精製されたタンパク質は単純なSECプロフィールを同様に示した。F11タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列を配列番号162(第1鎖)及び配列番号163(第2鎖)に示す。
【0306】
形態12(F12):CD19−F12−NKp46−3
二量体F12ポリペプチドのドメイン構造を図2Cに示し、CH1及びCドメイン間の結合はジスルフィド結合である。このヘテロ二量体タンパク質はF11に類似しているが、F(ab)構造内のCH1及びCドメインが逆である。このヘテロ二量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
(V−V抗CD19−CH2−CH3−CH3−V抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗NKp46−C
【0307】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上清から精製し、分析し、SECにより精製した。このタンパク質は2.8mg/Lの良好な産生収率を示し、精製されたタンパク質は単純なSECプロフィールを同様に示した。F12タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列を配列番号164(第1鎖)及び配列番号165(第2鎖)に示す。
【0308】
形態17(F17):CD19−F17−NKp46−3
三量体F17ポリペプチドのドメイン構造を図2Cに示し、CH1及びCドメイン間の結合はジスルフィド結合である。ヘテロ二量体タンパク質はF9と同様であるが、V及びVドメイン、並びにC末端F(ab)構造内のCH1及びCドメインは、それぞれそれらのパートナーと逆である。このヘテロ三量体は以下から構成される:
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1の(中心)ポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−V抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗NKp46−C、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
抗CD19−C
【0309】
加えて、F17タンパク質の以下の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである第1(野生型、F17Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基で置換された第2(F10B)、及び(c)ヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換するリンカー配列GGGSSを含む第3(F17C)。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生して精製した。F17Bタンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列を配列番号166、167、及び168に示す。
【0310】
実施例4:
二量体Fcドメインを有する二重特異的NKp46抗体形態
二量体Fcドメインを有する新規なタンパク質構築物を開発しており、このタンパク質構築物は、実施例3の単量体Fcドメインタンパク質の利点の多くを共有するが、より高い親和性でFcRnに結合する。FcγR(CD16を含む)への結合が低かった若しくは実質的に欠如していた又はFcγR(CD16を含む)への結合を有していた様々なタンパク質形態を作製し、例えば、ヒトCD16への結合親和性は、SPR(例えば、実施例16の方法を参照されたい)によって評価された場合に、野生型ヒトIgG1抗体の結合親和性の1−log内であった。この異なるポリペプチド形態を、(VH−(CH1/C)−CH2−CH3−)単位又は(V−(CH1又はC)−CH2−CH3−)単位を有する中心鎖を含むヘテロ二量体タンパク質の機能を調べるために試験及び比較した。次いで、CH3ドメインの一方又は両方は、任意選択により介在アミノ酸配列若しくはドメインを介して、可変ドメイン(分離されたポリペプチド鎖上の可変ドメインに結合する単一可変ドメイン)、直列型可変ドメイン(例えば、scFv)、又は単一可変ドメインとして抗原に結合することができる単一可変ドメインに融合される。2つの鎖が、CH1−C二量体化によって結合してジスルフィド結合二量体を形成するか、又は第3鎖と結合して三量体を形成する。
【0311】
様々な構築物を、二重特異的抗体の調製に使用するために、実施例2−1に記載の腫瘍抗原CD19に特異的なscFvに由来する可変ドメインDNA及びアミノ酸配列及び実施例1で明らかにされたNKp46に特異的な抗体からの異なる可変領域を用いて作製した。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。ドメイン構造は、図2A図6Dに示されている。
【0312】
形態5(F5):CD19−F5−NKp46−3
三量体F5ポリペプチドのドメイン構造が図2Dに示されており、ヒンジドメイン間の鎖間結合(鎖上のCH1/CとCH2ドメイン間に図形で示されている)及びCH1とCドメインとの間の鎖間結合は鎖間ジスルフィド結合である。ヘテロ三量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−V抗NKp46−C、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗CD19−CK−CH2−CH3、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
抗NKp46−CH1
【0313】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、37mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。3つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号169(第2鎖)、170(第1鎖)、及び171(第3鎖)に示されている。
【0314】
形態6(F6):CD19−F6−NKp46−3
ヘテロ三量体F6ポリペプチドのドメイン構造が図2Dに示されている。F6タンパク質は、F5と同じであるが、N連結グリコシル化を防止するためのN297S置換を含む。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、12mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。3つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号172(第2鎖)、173(第1鎖)、及び174(第3鎖)に示されている。
【0315】
形態7(F7):CD19−F7−NKp46−3
ヘテロ三量体F7ポリペプチドのドメイン構造が図2Dに示されている。F7タンパク質は、F6と同じであるが、但し、中心鎖とV抗NKp46−CH1鎖との二量体種の少数集団の形成を防止するために、それらのC末端でFcドメインに連結されたCH1及びCドメインにシステインのセリンでの置換を有する。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、11mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。3つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号175(第2鎖)、176(第1鎖)、及び177(第3鎖)に示されている。
【0316】
形態13(F13):CD19−F13−NKp46−3
二量体F13ポリペプチドのドメイン構造が図2Dに示されており、ヒンジドメイン間の鎖間結合(鎖上のCH1/CとCH2ドメイン間に示されている)及びCH1とCドメイン間の鎖間結合は、鎖間ジスルフィド結合である。このヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
抗CD19−CH1−CH2−CH3−(V−V抗NKp46、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
抗CD19−C−CH2−CH3。
【0317】
(V−V)単位は、Vドメイン、リンカー、及びV単位(scFv)から構成されていた。
【0318】
タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、6.4mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。2つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号178(第2鎖)及び179(第1鎖)に示されている。
【0319】
形態14(F14):CD19−F14−NKp46−3
二量体F14ポリペプチドのドメイン構造が図2Eに示されている。F14ポリペプチドは、F13形態の構造を共有する二量体ポリペプチドであるが、野生型Fcドメイン(CH2−CH3)の代わりに、F14二重特異的形態は、N連結グリコシル化をなくすためにCH2ドメイン変異N297Sを有する。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、2.4mg/Lの高い産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを示した。2つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号180(第2鎖)及び181(第1鎖)に示されている。
【0320】
形態15(F15):CD19−F15−NKp46−3
三量体F15ポリペプチドのドメイン構造が図2Eに示されている。F15ポリペプチドは、F6形態の構造を共有するが、中心鎖と第2鎖との間のN末端VH−CH1とV−C単位とが逆であるため異なっている三量体ポリペプチドである。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、0.9mg/Lの良好な産生収率を示し、精製されたタンパク質は、単純なSECプロフィールを有していた。3つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号182(第2鎖)、183(第1鎖)、及び184(第3鎖)に示されている。
【0321】
形態16(F16):CD19−F16−NKp46−3
三量体F16ポリペプチドのドメイン構造が図2Eに示されている。F16ポリペプチドは、F6形態の構造を共有するが、中心鎖と第2鎖との間のC末端V−CKとV−CH1単位とが逆であるため異なっている三量体ポリペプチドである。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。3つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号185(第2鎖)、186(第1鎖)、及び187(第3鎖)に示されている。
【0322】
形態T5(T5)
三量体T5ポリペプチドのドメイン構造を図2Fに示す。このT5ポリペプチドはF5形態の構造を共有する三量体ポリペプチドであるが、第3の鎖(Fcドメインを欠いている鎖)のC末端でのscFv単位の融合が異なる。従って、このタンパク質は、目的の抗原用の2つの抗原結合ドメインとNKp46用の1つとを有し、このタンパク質のFcドメインを介してCD16に結合する。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。このT5タンパク質は、異なる抗体に由来する(及びCD20上の異なるエピトープに結合する)、ヒトCD20に結合する2つの抗原結合ドメインを有した。第1の抗CD20 ABDは、親抗体GA101(GAZYVA(登録商標)、Gazyvaro(登録商標)、オビヌツズマブ、Roche Pharmaceuticals)のV及びVを含んだ。第2の抗CD20 ABDは、親抗体リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Mabthera(登録商標)、Roche Pharmaceuticals)のV及びVを含んだ。第3の抗原結合ドメインはヒトNKp46に結合する。このT5タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列を以下に示す(リツキシマブ配列を太字及び下線で示し、抗GA101配列を下線で示し、抗NKp46配列をイタリック体で示す)。
【0323】
GA101−T5−Ritux−NKp46
ポリペプチド1(配列番号188)
【化13】
【0324】
ポリペプチド2(配列番号189)
【化14】
【0325】
ポリペプチド3:(配列番号190)
【化15】
【0326】
形態T6(T6)
三量体T6ポリペプチドのドメイン構造を図2Fに示す。このT6ポリペプチドはF6形態の構造を共有する三量体ポリペプチドであるが、第3の鎖(Fcドメインを欠いている鎖)のC末端でのscFv単位の融合が異なる。この三量体タンパク質は、目的の抗原用の2つの抗原結合ドメインとNKp46用の1つとを含み、N297置換に起因して、この三量体タンパク質のFcドメインを介してCD16に結合しない。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。このT6タンパク質は、ヒトCD20に結合する2つの抗原結合ドメインを含む。第1の抗CD20 ABDは親抗体GA101のV及びVを含み、第2の抗CD20 ABDはリツキシマブのV及びVを含む。このT6タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列を配列番号191、192及び193に示す。
【0327】
形態T9B(T9B)
三量体T9Bポリペプチドのドメイン構造を図2Fに示す。このT9BポリペプチドはF9形態(F9B変異体)の構造を共有する三量体ポリペプチドであるが、(第3の鎖上の)遊離CH1ドメインのC末端でのscFv単位の融合が異なる。このタンパク質は、目的の抗原用の2つの抗原結合ドメインとNKp46用の1つとを含むが、単量体Fcドメイン及び/又はN297置換に起因して、このタンパク質のFcドメインを介してCD16に結合しない。上記で説明した三量体タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。このT9Bタンパク質は、ヒトCD20に結合する2つの抗原結合ドメインを有した。第1の抗CD20 ABDは親抗体GA101のV及びVを含み、第2の抗CD20 ABDは親抗体リツキシマブのV及びVを含んだ。このT9Bタンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列を以下に示す。
【0328】
GA101−T9B−Ritux−NKp46
ポリペプチド2:(配列番号195)
【化16】
【0329】
ポリペプチド1:(配列番号194)
【化17】
【0330】
ポリペプチド3(配列番号196):
【化18】
【0331】
形態T11(T1):CD19−T11−NKp46−3
二量体T11ポリペプチドのドメイン構造を図2Fに示す。このT11ポリペプチドはF11形態の構造を共有する三量体ポリペプチドであるが、遊離CH1ドメインのC末端でのscFv単位の融合が異なる。この二量体タンパク質は、目的の抗原用の2つの抗原結合ドメインとNKp46用の1つとを含み、単量体Fcドメイン及び/又はN297置換に起因して、この二量体タンパク質のFcドメインを介してCD16に結合しない。タンパク質を実施例2−1と同様にクローニングし、産生させて精製した。このT11タンパク質は、ヒトCD20に結合する2つの抗原結合ドメインを含む。第1の抗CD20 ABDは親抗体GA101のV及びVを含み、第2の抗CD20 ABDはリツキシマブのV及びVを含んだ。このT11タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列を以下に示す。
【0332】
GA101−T11−Ritux−NKp46
ポリペプチド1(配列番号197):
【化19】
【0333】
ポリペプチド2(配列番号198):
【化20】
【0334】
実施例5:
表面プラズモン共鳴(SPR)によって検出される二重特異的タンパク質によるNKp46結合親和性
Bacore T100の一般的な手順及び試薬
SPR測定をBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で、25℃で行った。全てのBiacore実験では、HBS−EP+(Biacore GE Healthcare)及びNaOH 10mMは、それぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液としての役割を果たした。センサーグラムをBiacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。プロテインAを(GE Healthcare)から購入した。ヒトNKp46組換えタンパク質をクローニングし、産生し、且つInnate Pharmaで精製した。
【0335】
プロテインAの固定化
プロテインAタンパク質をSensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定した。チップ表面をEDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。プロテインAを結合緩衝液(10mM酢酸、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、2500RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を用いて行った。
【0336】
結合試験
まず、二重特異的タンパク質を、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4の抗体からの異なる抗NKp46可変領域を有する実施例2に記載のように形態F1で試験した。次に、抗体を、NKp46−3抗体からの抗NKp46可変領域を有する異なる形態F3、F4、F5、F6、F9、F10、F11、F13、F14として試験し、完全長ヒトIgG1のようなNKp46−3抗体と比較した。
【0337】
二重特異的タンパク質を1μg/mLで、プロテインAチップ上で捕捉し、組換えヒトNKp46タンパク質を、5μg/mLで、捕捉した二重特異的抗体に注入した。ブランク差し引きのために、サイクルを再び行って、NKp46タンパク質を泳動用緩衝液に替えた。
【0338】
Bab281抗体を、SPRによってNKp46に対する結合性について別個に試験し、さらに細胞表面にヒトNKp46構築物を発現する細胞株を用いてフローサイトメトリーによって試験した。FACSスクリーニングのために、上清中の反応性抗体の存在を、PEで標識されたヤギ抗マウスポリクローナル抗体(pAb)を使用して検出した。SPC及びFACSの結果は、Bab281ベースの抗体が、NKp46細胞株にもNKp46 Fcタンパク質にも結合しないことを示した。Bab281は、二重特異的形態で存在する場合、その標的に結合する能力を失った。
【0339】
親和性試験
一価親和性試験を、製造者(Biacore GE Healthcare kinetic wizard)が推奨する正規のCapture−Kineticプロトコルに従って行った。62.5〜400nMの範囲のヒトNKp46組換えタンパク質の7段階希釈物を、捕捉した二重特異的抗体に連続的に注入し、再生の10分前に解離させた。全てのセンサーグラムのセットを、1:1動態結合モデルを用いてフィッティングした。
【0340】
結果
SPRは、NKp46−1、2、3、及び4 scFv結合ドメインを有する形態F1の二重特異的ポリペプチドが、NKp46に結合したが、異なる抗NKp46抗体のscFvを有する他の二重特異的ポリペプチドが、NKp46結合性を維持しなかったことを示した。単量体二重特異的形態で結合性を維持しなかった結合ドメインは、当初はNKp46に結合したが、二重特異的形態への変換時にNKp46に結合する能力を失った。形態F1、F2、F3、F4、F5、F6、F9、F10、F11、F13、及びF14の二重特異的ポリペプチドの全ては、NKp46−3可変領域を用いる場合にNKp46に対する結合性を維持した。一価親和性並びに動力学的結合及び解離速度定数が以下の表3に示されている。
【0341】
【表12】
【0342】
実施例6:
Daudi腫瘍標的に対するNK細胞とFc含有NKp46xCD19二重特異的タンパク質との結合
単量体Fcドメイン及び実施例3に記載の一本鎖F1又は二量体F2形態に従って配置されたドメイン、及びNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4をベースとするNKp46結合領域を有する二重特異的抗体を、NK細胞にCD19陽性腫瘍標的細胞(Bリンパ芽球細胞株によって十分に特徴付けられるDaudi)を溶解させる機能的能力について試験した。F2タンパク質は、scFv形態ではNKp46に結合する能力を失うが、F2のF(ab)様形態ではNKp46に結合する能力を維持するNKp46−9の可変領域をさらに含んでいた。
【0343】
簡単に述べると、(a)静止ヒトNK細胞、及び(b)ヒトNKp46でトランスフェクトされたヒトNK細胞株KHYG−1のそれぞれの細胞溶解活性をU底96ウェルプレートにおいて典型的な4時間の51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞を51Cr(50μCi(1.85MBq)/1×10細胞)で標識し、次いで、異なる濃度の単量体二重特異的抗体の存在下で、KHYG−1では50、静止NK細胞では(F1タンパク質に対して)10又は(F2タンパク質に対して)8.8に等しいエフェクター/標的比で、hNK46でトランスフェクトされたKHYG−1と混合した。短時間の遠心分離及び37℃で4時間のインキュベーション後、上清のサンプルを取り出して、LumaPlate(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)に移し、51Crの放出をTopCount NXT ベータ検出器(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)で測定した。全ての実験条件を3連で分析し、特異的溶解のパーセンテージを以下のように決定した:100×(平均cpm実験放出−平均cpm自然放出)/(平均cpm総放出−平均cpm自然放出)。総放出のパーセンテージは、2% Triton X100(Sigma)での標的細胞の溶解によって得られ、自然放出は、培地(エフェクターもAbsも含まない)中の標的細胞に一致する。
【0344】
結果
KHYG−1 hNKp46 NK実験モデルでは、各二重特異的抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9が、陰性対照(ヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)及びCD19/CD3二重特異的抗体)と比較して、ヒトKHYG−1 hNKp46 NK細胞株によるDaudi細胞の特異的溶解を誘導し、それにより、これらの抗体が、CD19/NKp46架橋によってKHYG−1 hNKp46によるDaudi標的細胞の溶解を誘導することが示された。
【0345】
静止NK細胞をエフェクターとして使用したときに、各二重特異的抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9が同様に、陰性対照(ヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)抗体)と比較して、ヒトNK細胞によるDaudi細胞の特異的溶解を誘導し、それにより、これらの抗体が、CD19/NKp46架橋によってヒトNK細胞によるDaudi標的細胞の溶解を誘導することが示された。リツキシマブ(RTX、キメラIgG1)を、静止ヒトNK細胞によるADCC(抗体依存性細胞傷害)の陽性対照として使用した。RTX(このアッセイでは10μg/mlで)で得られた最大応答は、21.6%の特異的溶解であり、本発明の二重特異的抗体が高い標的細胞溶解活性を有することを例証した。静止NK細胞での実験の結果は、一本鎖F1タンパク質については図3Aに示され、二量体Fcタンパク質については図3Bに示されている。
【0346】
実施例7:
完全長抗NKp46 mAbと枯渇抗腫瘍mAbとの比較:NKp46xCD19二重特異的タンパク質が非特異的NK活性化を防止する
これらの実験では、特有の二重特異的形態を有する二重特異的抗体が、非特異的NK細胞の活性化を引き起こすことなく、癌標的細胞に対するNKp46媒介NK活性化を媒介することができるか否かを評価することを目的として、そのような二重特異的抗体を作製した。
【0347】
具体的には、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3に記載のF2形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質を以下と比較した:
(a)完全長単一特異的抗NKp46抗体(ヒトIgG1のようなNKp46−3)、及び
(b)ADCC誘導抗体対照比較(ADCC inducing antibody control comparator)としての完全長ヒトIgG1のような抗CD19抗体。
【0348】
実験は、対照として以下をさらに含んでいた:リツキシマブ、高い発現レベルを有する標的抗原の抗CD20 ADCC誘導抗体対照;抗CD52抗体アレムツヅマブ、標的細胞及びNK細胞の両方に存在するCD52標的に結合するヒトIgG1;並びに陰性対照アイソタイプ対照治療抗体(標的細胞(HUG1−IC)に存在する標的に結合しないヒトIgG1)。
【0349】
様々なタンパク質を、CD19陽性腫瘍標的細胞(Daudi細胞)の存在下、CD19陰性CD16陽性標的細胞(HUT78 Tリンパ腫細胞)の存在下、且つ標的細胞の非存在下でのNK細胞の活性化に対するその相対的な機能的影響について評価するために試験した。
【0350】
簡単に述べると、NK活性化を、フローサイトメトリーにより、NK細胞でのCD69及びCD107の発現を評価することによって試験した。アッセイは、完全RPMI、150μL最終/ウェルで、96Uウェルプレートで行った。エフェクター細胞は、ドナーから精製した新鮮なNK細胞とした。標的細胞は、Daudi(CD19−陽性)、HUT78(CD19−陰性)、又はK562(NK活性化対照細胞株)とした。K562陽性対照に加えて、以下の3つの条件を試験した。
>NK細胞のみ
>NK細胞対Daudi(C19+)
>NK細胞対HUT78(CD19−)
【0351】
エフェクター:標的(E:T)比は、2.5:1(50,000E:20,000T)とし、抗体の希釈範囲は、1/4希釈で10μg/mLから始めた(n=8の濃度)。抗体、標的細胞、及びエフェクター細胞を混合し、300gで1分間回転させ、37℃で4時間インキュベートし、500gで3分間回転させ、染色緩衝液(SB)で2回洗浄し、50μLの染色Abミックスを加え、300gで30分間インキュベートし、CellFixを含むSB再懸濁ペレットで2回洗浄し、4℃で一晩保存し、Canto II(HTS)で蛍光を検出した。
【0352】
結果
1.NK細胞のみ
これらの実験の結果は図4Aに示されている。標的抗原発現細胞の非存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の可変領域のそれぞれを含む)はいずれも、CD69又はCD107の発現による評価によるとNK細胞を活性化しなかった。完全長抗CD19もNK細胞を活性化しなかった。しかしながら、完全長抗NKp46抗体は、NK細胞の検出可能な活性化を引き起こした。アレムツヅマブも非常に高いレベルでNK細胞の活性化を誘導した。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0353】
2.NK細胞対Daudi(CD19+)
これらの実験の結果は図4Bに示されている。標的抗原発現細胞の存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の結合ドメインのそれぞれを含む)は全て、NK細胞を活性化した。完全長抗CD19抗体は、最良でも非常に低いNK細胞の活性化のみを示した。完全長抗NKp46抗体もアレムツヅマブも、NK細胞のみの存在下で観察された活性化を超えた活性化の実質的な増加を示さなかった。図4のデータは、完全長抗NKp46抗体が、NK細胞のみの存在下で観察されたものと同様のレベルのベースライン活性化を誘発することを示す。アレムツヅマブも、NK細胞のみの存在下で観察された活性と同様のレベルのNK細胞の活性化を誘導し、この設定のより高い抗体濃度(ET 2.5:1)では、活性化は、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体を用いたときよりも高かった。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0354】
3.NK細胞対HUT78(CD19
これらの実験の結果は図4Cに示されている。標的抗原陰性HUT78細胞の存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の可変領域のそれぞれを含む)は全て、NK細胞を活性化した。しかしながら、完全長抗NKp46抗体及びアレムツヅマブは、NK細胞のみの存在下で観察された同様のレベルでNK細胞の検出可能な活性化を引き起こした。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0355】
上述の結果は、本発明の二重特異的抗NKp46タンパク質が、完全長単一特異的抗NKp46抗体と異なり、さらには標的細胞の非存在下で同様にNK細胞を活性化する枯渇IgGアイソタイプの完全長抗体とも異なり、標的細胞特異的にNK細胞を活性化し得ることを示す。抗NKp46二重特異的タンパク質により達成されるNK細胞の活性化は、完全長抗CD19 IgG1抗体で観察される活性化と比べて顕著に高かった。従って、この二重特異的抗体は、誘発する非特異的細胞傷害性がより低いはずであり、治療で使用される場合により強力であり得る。
【0356】
実施例8:
低いET比での枯渇抗腫瘍mAb:NKp46xCD19二重特異的タンパク質の効果の比較
これらの試験は、二重特異的抗体が、低いエフェクター:標的比で、癌標的細胞に対するNKp46媒介NK細胞活性化を媒介できるか否かを調べることを目的とした。この実施例に使用されるET比は、実施例7で使用された2.5:1のET比又は実施例6の10:1のET比よりもin vivoで遭遇するであろう設定に近いと考えられる1:1とした。
【0357】
NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3に記載のF2形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質を以下と比較した:
(a)完全長単一特異的抗NKp46抗体(ヒトIgG1のようなNKp46−3)、及び
(b)ADCC誘導抗体対照比較としての完全長ヒトIgG1のような抗CD19抗体。
【0358】
実験は、対象として以下をさらに含んでいた:リツキシマブ(高い発現レベルを有する標的抗原の抗CD20 ADCC誘導抗体対照);抗CD52抗体アレムツヅマブ(標的細胞及びNK細胞の両方に存在するCD52標的に結合するヒトIgG1)、並びに陰性対照アイソタイプ対照治療抗体(標的細胞(HUG1−IC)に存在する標的に結合しないヒトIgG1)。様々なタンパク質を、CD19陽性腫瘍標的細胞(Daudi細胞)の存在下、CD19陰性CD16陽性標的細胞(HUT78 Tリンパ腫細胞)の存在下、且つ標的細胞の非存在下でのCD69又はCD107の発現により評価される、NK細胞活性化に対する機能的な影響について試験した。これらの実験は、ET比を1:1としたことを除いて実施例7と同様に行った。
【0359】
結果
上記の実験の結果は図5に示されている(図5A:CD107及び図5B:CD69)。標的抗原発現細胞の存在下では、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9の可変領域をそれぞれ含む)は全て、Daudi細胞の存在下でNK細胞を活性化した。
【0360】
Daudi細胞の存在下で二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体によって誘導される活性化は、完全長ヒトIgG1抗CD19抗体によって誘発されるものよりも遥かに強力であった。このADCC誘導抗体は、この設定で低い活性を有していた。さらに、この低いE:T比の設定では、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体によって誘導される活性化は、抗CD20抗体リツキシマブと同程度に強力であり、差異は、差異が2.5:1のET比で観察された濃度よりも10倍高い最高濃度でのみ観察された。
【0361】
標的細胞の非存在下又は標的抗原陰性HUT78細胞の存在下では、完全長抗NKp46抗体及びアレムツヅマブは、Daudi細胞の存在下で観察されたものと同様のレベルのベースライン活性化を示した。抗NKp46x抗CD19抗体は、HUT78細胞の存在下でNK細胞を活性化しなかった。
【0362】
上記の結果は、本発明の二重特異的抗NKp46タンパク質が、標的細胞特異的にNK細胞を活性化することができ、より低いエフェクター:標的比が、NK細胞の活性化の媒介において従来のヒトIgG1抗体よりも有効であることを示す。
【0363】
実施例9:
NKp46動作機序
NKp46−3からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3又は4に記載のF2、F3、F5、又はF6形態に従った配置を有するNKp46x抗CD19二重特異的抗体を、CD16−/NKp46+NK細胞株にCD19陽性腫瘍標的細胞を溶解させるその機能的能力について、リツキシマブ(抗CD20 ADCC誘導抗体)、及びヒトIgG1アイソタイプ対照抗体と比較した。
【0364】
簡単に述べると、CD16−/NKp46ヒトNK細胞株KHYG−1の細胞溶解活性をU底96ウェルプレート中において典型的な4時間51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞又はB221細胞を51Cr(50μCi(1.85MBq)/1×10個の細胞)で標識し、次いで1/5希釈で10−7mol/Lから始まる希釈範囲での試験抗体の存在下において、50:1に等しいエフェクター/標的比でKHYG−1と混合した(n=8濃度)。
【0365】
短時間の遠心分離及び37℃での4時間にわたるインキュベーション後、50μLの上清を取り出して、LumaPlate(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)に移し、51Crの放出をTopCount NXTベータ検出器(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)で測定した。全ての実験条件を3連で分析し、特異的溶解のパーセンテージを以下のように決定した:100×(平均cpm実験放出−平均cpm自然放出)/(平均cpm総放出−平均cpm自然放出)。総放出のパーセンテージは、2% Triton X100(Sigma)による標的細胞の溶解により得られ、自然放出は、培地(エフェクターもAbsも含まない)中の標的細胞に一致する。
【0366】
結果
上記実験の結果を図6A(KHYG−1対Daudi)及び図6B(KHYG−1対B221)に示す。KHYG−1 hNKp46 NK実験モデルでは、各NKp46×CD19二重特異的タンパク質(形態F2、F3、F5及びF6)は、ヒトKHYG−1 hNKp46 NK細胞株によるDaudi細胞又はB221細胞の特異的溶解を誘導するが、リツキシマブ及びヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)抗体を誘導しなかった。
【0367】
実施例10
抗KIR3DL2二重特異的タンパク質
ヒトKIR3DL2を標的とする二重特異的タンパク質(KIR3DL2×NKp46二重特異的)をF6形態として構築し、活性に関して試験した。KIR3DL2(CD158k;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン及び長い細胞質尾部2)は、Pende et al.(1996)J.Exp.Med.184:505−518(この開示は参照により本明細書に組み入れられる)で説明されている約140kDの3つのIgドメイン分子のジスルフィド連結ホモ二量体である。KIR3DL2ポリペプチドに関していくつかの対立遺伝子変異体が報告されており、これらはそれぞれ用語KIR3DL2に包含される。成熟ヒトKIR3DL2(対立遺伝子002)のアミノ酸配列をGenbankアクセッション番号AAB52520に示す。簡潔に述べると、ドナーからのBuffyコート由来のNK細胞の細胞溶解活性をU底96ウェルプレート中での典型的な4時間51Cr放出アッセイで評価した。KIR3DL2を発現するHUT78腫瘍細胞(CTCL)を51Crで標識し、次いで、1/10希釈で10μg/mL(又は100μg/mL)から始まる希釈範囲での試験抗体の存在下において、10:1(25000:2500)に等しいエフェクター/標的比でNK細胞と混合した(n=8)。アッセイは、3連においてcRPMI(150μL最終/ウェル)中であった。
【0368】
結果を図6Cに示す。この形態中のCD16に結合しないFcドメインにもかかわらず、NKp46×KIR3DL2二重特異的タンパク質として作製したF6タンパク質構造は、驚くべきことに、同一の可変領域を含んでおり且つ二価でKIR3DL2に結合する既知の抗KIR3DL2ヒトIgG1抗体と同等の標的細胞溶解能力を示した。
【0369】
実施例11
多量体タンパク質内の鎖内ドメイン運動の効果
本発明者らは、NKp46二重特異的タンパク質の、標的細胞のNKp46媒介溶解を促進する能力が、NKp46抗原結合ドメイン及び目的の抗原と相互作用する抗原結合ドメインの一方又は両方の能力に影響を及ぼしてそれぞれの標的と相互作用することができる二重特異性タンパク質中の2つの抗原結合ドメイン間の距離に影響され得ることを理論化した。また、標的細胞のNkp46媒介溶解が、2つの抗原結合ドメインの構造及び/又はそれぞれの高次構造、2つの抗原結合ドメインの構造の影響を受け得る運動の自由度又は柔軟性、並びに2つの抗原結合ドメインが互いに結合する方法、例えばリンカーペプチド及びこのリンカーペプチドの特定の長さ及び化学組成の影響を受け得ることもさらに理論化した。具体的には、溶解性NKp46標的細胞シナプスが二重特異的タンパク質のサイズ及び構造の関数として変化し得ることを理論化した。従って、本発明者らは、抗原結合ドメインが、この抗原結合ドメインがその高次構造、間隔及び柔軟性をより密接に模倣又は近似する形態である二重特異的タンパク質を仮定した。
【0370】
これは理論化されており、なぜなら、高次構造の柔軟性、特に鎖内ドメインの運動又は移動が、例えばNKp46と目的の抗原結合部位との間の有効距離に影響を及ぼす場合があり、この有効距離は、NKp46標的細胞シナプス並びに多量体二重特異的タンパク質のNKp46媒介シグナル伝達及び溶解を媒介する能力への影響を有する可能性があるからである。これらの仮定に基づいて、本発明者らは、抗原結合部位及びこれらの抗原結合部位を分離する具体的なリンカーの構造に基づいて、抗原結合ドメインのより大きい又はより小さい運動の自由度を含む様々な二重特異的タンパク質形態の多量体タンパク質の溶解機能を評価した。
【0371】
具体的には、様々な腫瘍抗原に結合する様々な形態(例えば、F3、F4、F9、F10及びF11形態)の様々なNKp46×腫瘍抗原二重特異的タンパク質を、それぞれのKHYG−1NK細胞(NKp46CD16)による腫瘍標的細胞のNKp46媒介溶解を誘導する能力に関して評価した。F5及びF6二重特異的タンパク質形態は、NKp46結合部位と目的の抗原結合部位との間の距離が完全長抗体の場合と比べて小さい。これに対して、F9形態でヒトCD19を標的とする二重特異的タンパク質(CD19×NKp46二重特異的)は、従来の完全長抗体における2つの結合部位の距離と同様に、さらに離れている結合部位を有する。従って、二重特異的タンパク質をF9形態として構築し、F10及びF11形態と比較した。構造的には形態F9、F10及びF11は互いに非常に近いが、形態F10及びF11は、Fab構造を有する1つの抗原結合ドメインと、直列型可変ドメイン構造(可撓性リンカーによって分離されている2つの可変ドメイン)を有する他の抗原結合ドメインとによって特徴付けられる。従って、F10及びF11は、F9タンパク質におけるよりも結合部位間の距離が場合により小さいだけなく、より大きい鎖内ドメインの運動及び/又はより小さい局所的立体障害を有する。
【0372】
CD16−/NKp46+ヒトNK細胞株KHYG−1の細胞溶解活性をU底96ウェルプレート中における典型的な4時間51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞又はB221細胞を51Cr(50μCi(1.85MBq)/1×10個の細胞)で標識し、次いで、1/5希釈で10−7mol/Lから始まる希釈範囲での試験抗体の存在下において、50:1に等しいエフェクター/標的比でKHYG−1と混合した(n=8濃度)。結果は、NK細胞によるDaudi細胞溶解の誘導において、形態F10及びF11が両方とも形態F9と比べて強力であることを示した。上述したように、F9形態タンパク質は、NKp46結合部位と目的の抗原結合部位との間の距離が完全長抗体と類似し、又は約80Åであり、F10及びF11タンパク質は、可撓性リンカーによりFcに連結された単鎖ドメインを含み、抗原結合部位間が実質的に80Å未満である(F10の場合には約55Å)。
【0373】
これに基づき、他のCD19×NKp46二重特異的タンパク質を使用して、NKp46結合ドメインと目的の抗原結合ドメインとの間のさらに短い距離の効果を試験した。この実験では、タンパク質形態F10及びF11との比較のためにF3、F4タンパク質形態を選択した。これらのタンパク質のそれぞれは抗原結合部位間の距離が80Å未満であるが、F3及びF4はF10及びF11と比べて短く、F3及びF4は抗原結合部位間の距離がF11と等しいがF10の場合と比べて25Å小さい。この実験の結果は、F3、F4、F10及びF11形態がそれらのNK細胞によるDaudi細胞溶解を誘導する能力において有意に異ならないことを示した。この結果は、効力を改善する抗原結合ドメイン間の最適な最小間隔が存在し得ること、並びに/又は効力が、抗原結合ドメイン間の間隔と抗原結合ドメインの柔軟性及び/若しくは高次構造との組み合わせの影響を受けることを示唆するであろう。
【0374】
実施例12:
NKp46誘発及びCD16誘発の組み合わせ
NKp46−3由来の抗NKp46可変ドメインを有するF5形態に係る配置を有する、ヒトCD16に結合するNKp46×CD19二重特異的タンパク質を、精製されたNK細胞を誘導してCD19陽性Daudi腫瘍標的細胞を溶解させる機能的能力に関して、F6形態(CD16結合を欠く)での同一の二重特異的抗体及びヒトIgG1アイソタイプ抗CD19抗体並びにヒトIgG1アイソタイプ対照抗体と比較した。
【0375】
簡単に述べると、EFS Buffy Coatからの新鮮なヒト精製済NK細胞の細胞溶解活性をU底96ウェルプレート中における典型的な4時間51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞又はHUT78細胞(CD19を発現しない陰性対照細胞)を51Crで標識し、次いで、1/10希釈で10μg/mLから始まる希釈範囲での試験抗体の存在下において、10:1に等しいエフェクター/標的比でNK細胞と混合した(n=8濃度)。
【0376】
短時間の遠心分離及び37℃で4時間のインキュベーション後、50μLの上清を取り出して、LumaPlate(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)に移し、51Crの放出をTopCount NXTベータ検出器(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)で測定した。全ての実験条件を3連で分析し、特異的溶解のパーセンテージを以下のように決定した:100×(平均cpm実験放出−平均cpm自然放出)/(平均cpm総放出−平均cpm自然放出)。総放出のパーセンテージは、2% Triton X100(Sigma)での標的細胞の溶解によって得られ、自然放出は、培地(エフェクターもAbsも含まない)中の標的細胞に一致する。
【0377】
この実験の結果を図7に示す。N297置換に起因してFcドメインがCD16に結合しないCD19−F6−NKp46(F6形態での二重特異的タンパク質)は、完全長IgG1抗CD19抗体と同様にDaudi標的細胞のNK細胞溶解の媒介において強力であった。この結果は、対照IgG1抗CD19抗体が二価でCD19に結合することを考慮すると、さらにCD16が抗CD19抗体に結合することから、特に注目すべきである。F6タンパク質を、Kabat残基297でのアスパラギンを除いてCD19−F6−NKp46タンパク質と同一であるタンパク質CD19−F5−NKp46とも比較した。驚くべきことに、FcドメインがCD16に結合するCD19−F5−NKp46(F5形態タンパク質)によるCD16誘発によって媒介される強力なNK活性化にもかかわらず、F5形態は、Daudi標的細胞溶解の媒介において、完全長IgG1抗CD19抗体又はF6形態二重特異的タンパク質と比べてはるかに強力であった。これは、CD16が誘発される場合であってもNKp46が標的細胞溶解を増強し得ることを示唆するであろう。実際に、同程度の標的細胞溶解では、CD19−F5−NKp46は、完全長抗CD19 IGg1と比べて少なくとも1000倍強力であった。これらの効力の結果は、本発明の多重特異的NKp46抗体が、例えば癌又は感染性疾患の処置において、ヒト治療での使用に十分に適しているはずであることを示唆するであろう。
【0378】
実施例13:
CD16結合NKp46×CD19二重特異的の作用機序
NKp46×CD19二重特異的F5及びF6によるDaudi細胞の溶解を従来のヒトIgG1抗体と比較した。対照として、CD19を欠くHUT78細胞についても溶解を試験し、HUT78細胞溶解の陽性対照は、ヒトIgG1アイソタイプの抗KIR3DL2であった(HUT78はKIR3DL2陽性である)。細胞傷害アッセイを実施例10と同様に行った。NK細胞表面マーカーのフローサイトメトリー染色を実施例7と同様に行った。
【0379】
細胞傷害アッセイに関する結果を図8に示す(右側パネルにおけるDaudi細胞及び左側パネルにおけるHUT78細胞)。N297置換に起因してFcドメインがCD16に結合しないCD19−F6−NKp46−3は、NK細胞が標的細胞と遭遇した場合にNKp46が誘発する作用様式を有するが、CD19−F5−NKp46−3二重特異的タンパク質は、Daudi細胞への細胞傷害性の媒介ではるかに高い効力を示した。F5タンパク質もF6タンパク質も、HUT78細胞へのいかなるNK細胞の細胞傷害性も媒介しなかった。
【0380】
NK細胞表面マーカーのフローサイトメトリー染色の結果は、F5タンパク質によるNK細胞の表面上のCD137の強力な上方制御を示した。この結果を図9に示す(最も左側のパネル:NK細胞対Daudi、中央のパネル:NK細胞対HUT78、最も右側のパネル:NK細胞のみ)。FcドメインがCD16に結合するCD19−F5−NKp46−3が最高のCD137上方制御を示した。CD16に結合する完全長抗CD19 IgG1抗体はCD137上方制御も誘発したが、CD19−F5−NKp46−3と比べてはるかに低かった。NKp46を介して機能するがCD16を介しては機能しないCD19−F6−NKp46−3は、いかなる検出可能なCD137上方制御も誘発しなかった。F5形態の顕著な効力は、NKp46及びCD16の二重標的化によって媒介され得るNK細胞上の特に強力なCD137上方制御から生じ得ると仮定する。
【0381】
実施例14:
Fcが操作されたCD16結合NKp46×CD20二重特異的
最も強力な新世代のFc増強抗体を改善することができる薬剤を生成するために、新規の二重特異的タンパク質をさらに構築した。この実験では、比較抗体として市販の抗体GA101(GAZYVA(登録商標)、Gazyvaro(登録商標)、オビヌツズマブ、Roche Pharmaceuticals)を選択し、これらは、低フコシル化されたN連結グリコシル化の結果としてCD16A結合性が増強されているFc改変ヒトIgG1抗体である。
【0382】
NKp46×CD20二重特異的タンパク質を、CD16結合なしのタンパク質(F6形態)として、CD16結合ありのタンパク質(F5形態)として、又はF5をベースとするが重鎖のCH2ドメイン中にヒトCD16Aに対する結合親和性を増加させる2つのアミノ酸置換を含むFc操作形態(「F5+」と称する)として作製した。これらの構築物では、抗CD20 ABDはGA101のV及びVを含む。
【0383】
NKp46×CD20二重特異的F5、F5+及びF6抗体によるDaudi細胞の溶解を市販の抗体GA101(GAZYVA(登録商標))と比較した。細胞傷害アッセイを実施例10と同様に行った。
【0384】
この細胞傷害アッセイの結果を図10に示す。図10に示すように、GA101−F5+−NKp46−1二重特異的タンパク質は、GA101と比べてDaudi細胞への細胞傷害性の媒介ではるかに高い効力(EC50で約10倍の増加)を示した。
【0385】
さらに、ADCC最適化Fcを二重特異的形態(F5)に使用する場合、GA101−F5−NKp46−1活性におけるNKp46の寄与を確認する、NKp46アームを欠くF5+−BS(GA101−F5+−IC;黒色の菱形)とCD16+NKp46に同時に結合するF5+−BS(GA101−F5−NKp46−1;黒色の四角)との間での有意な差異を観測した。驚くべきことに、CD16に対するGA101−F5−NKp46−1の高い親和性及び推定される最大NK細胞媒介溶解にもかかわらず、NKp46はそれでも細胞傷害活性の実質的なさらなる増加を誘発した。この結果は、CD16を介してADCCを誘導することができる薬剤を、NKp46に媒介される溶解を誘導する能力をこの薬剤にさらに付与することにより改善し得ること、及び二重特異的抗NKp46薬剤の効力を、Fc操作によりCD16への親和性を増強させることによって改善することもできることを示唆するであろう。
【0386】
様々な二重特異的形態のFcRnに対する結合性
様々な抗体形態のヒトFcRNに対する親和性を、実施例2〜6に記載されているように、組換えFcRnタンパク質をSensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定化することにより、表面プラズモン共鳴(SPR)によって試験した。
【0387】
完全なヒトIgG1定常領域を有するキメラ完全長抗CD19抗体、及びNKp46−3(F2ではNKp46−2)からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3又は4に記載のF3、F4、F5、F6、F9、F10、F11、F13、又はF14形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質をそれぞれの分析物について試験し、全てのセンサーグラムを、定常状態又は1:1のSCK結合モデルを用いてフィッティングした。
【0388】
これらの実験の結果は以下の表4に示されている。二量体Fcドメイン(形態F5、F6、F13、F14)を有する二重特異的タンパク質は、完全長IgG1抗体の親和性と同様の親和性でFcRnに結合した。単量体Fcドメイン(F3、F4、F9、F10、F11)を有する二重特異的タンパク質もFcRnに対する結合親和性を示したが、二量体Fcドメインを有する二重特異的タンパク質よりも低い結合性であった。
【0389】
【表13】
【0390】
実施例16
Fcγに対する結合性
そのような二重特異的単量体Fcタンパク質がFcγ受容体への結合を保持し得るかどうかを評価するために、様々な二重特異的Fcタンパク質を評価した。
【0391】
SPR測定を25℃においてBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で実施した。全てのBiacore実験では、HBS−EP+(Biacore GE Healthcare)及び10mM NaOH、500mM NaClがそれぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液としての役割を果たした。センサーグラムをBiacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。組換えヒトFcR(CD64、CD32a、CD32b、CD16a及びCD16b)をクローニングし、産生させて精製した。
【0392】
F5及びF6二重特異的抗体CD19−F5−NKp46−3又はCD19−F6−NKp46−3をSensor Chip CM5上のデキストラン層中のカルボキシル基に共有結合的に固定した。チップ表面をEDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。二重特異的抗体を結合緩衝液(10mM酢酸塩、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、800〜900RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を使用して実施した。
【0393】
一価親和性試験を古典的なkinetic wizard(製造業者により推奨されている)に従って評価した。CD64の場合には0.7〜60nMの及び他の全てのFcRの場合には60〜5000nMの範囲の可溶性分析物(FcR)の連続希釈物を固定した二重特異的抗体全体にわたり注入し、再生の10分前に解離させた。全てのセンサーグラムのセットを、CD64の場合には1:1動態結合モデルを使用してフィッティングし、他の全てのFcRの場合にはSteady State Affinityモデルでフィッティングした。
【0394】
この結果は、完全長野生型ヒトIgG1が全てのカニクイザル及びヒトFcγ受容体に結合するが、CD19−F6−NKp46−3二重特異的抗体はいずれの受容体にも結合しないことを示した。一方、CD19−F5−NKp46−3は、ヒト受容体CD64(KD=0.7nM)、CD32a(KD=846nM)、CD32b(KD=1850nM)、CD16a(KD=1098nM)及びCD16b(KD=2426nM)のそれぞれに結合した。従来のヒト抗IgG1抗体は、これらのFc受容体への同等の結合性を有する(KDを以下の表に示す)。
【0395】
【表14】
【0396】
実施例17:
抗NKp46抗体のエピトープマッピング
A.競合アッセイ
競合アッセイを以下に記載の方法に従って表面プラズモン共鳴(SPR)によって行った。
【0397】
SPR測定をBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で25℃において行った。全てのBiacore実験では、HBS−EP+(Biacore GE Healthcare)及びNaOH 10mM NaCl 500mMがそれぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液としての役割を果たした。センサーグラムをBiacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。抗6xHis標識抗体をQIAGENから購入した。ヒト6xHis標識NKp46組換えタンパク質(NKp46−His)をクローニングし、産生し、且つInnate Pharmaで精製した。
【0398】
抗His抗体をSensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定した。チップ表面をEDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。プロテインA及び抗His抗体を結合緩衝液(10mM酢酸、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、2000〜2500RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を用いて行った。
【0399】
NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4に一致するNKp46結合領域を有する正常なヒトIgG1キメラ親抗体を、抗6xHis標識抗体チップを用いて行われた競合試験に使用した。1μg/mLの、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4をベースとするNKp46結合領域を有する二重特異的抗体をプロテインAチップで捕捉し、組換えヒトNKp46タンパク質をNKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4の群の第2の試験二重特異的抗体と共に5μg/mLで注入した。
【0400】
結果は、NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4のいずれも、NKp46に対する結合について互いに競合しないことを示した。従って、これらの抗体は、それぞれ異なるNKp46エピトープに結合するか又はそれと相互作用する。
【0401】
B.NKp46変異体に対する結合性
これらの抗NKp46抗体のエピトープを定義するために、本発明者らは、NKp46の2つのドメイン上の分子表面に露出された1つ、2つ、又は3つのアミノ酸置換によって定義されるNKp46変異体を設計した。このアプローチにより、以下の表に示されている、Hek−293T細胞でトランスフェクトされた42の変異体が作製された。以下の表5の標的アミノ酸変異は共に、配列番号1の付番に従って示されている(Jaron−Mendelson et al.(2012)J.Immunol.88(12):6165−74で使用された付番にも一致している)。
【0402】
【表15】
【0403】
C.変異体の生成
NKp46変異体をPCRによって生成した。増幅された配列をアガロースゲルにかけて、Macherey Nagel PCR Clean−Up Gel Extractionキットを用いて精製した。次いで、それぞれの変異体について生成された2つ又は3つの精製PCR産物をClonTech InFusionシステムで発現ベクターに連結した。変異配列を含むベクターをMiniprepで調製し、配列決定した。配列決定後、変異配列を含むベクターを、Promega PureYield(商標)Plasmid Midiprep Systemを用いてMiniprepで調製した。HEK293T細胞をDMEM培地(Invitrogen)で増殖させ、InvitrogenのLipofectamine 2000を用いてベクターでトランスフェクトし、導入遺伝子発現の試験前にCO2インキュベーターで、37℃で24時間インキュベートした。
【0404】
D.抗NKp46のHEK293Tトランスフェクト細胞に対する結合性のフローサイトメトリー分析
全ての抗NKp46抗体を、それらのそれぞれの変異体に対する結合性についてフローサイトメトリーによって試験した。1つ又はいくつかの変異体に対する結合性を特定の濃度(10μg/ml)で失う抗体を同定するために最初の実験を行った。結合性の消失を確認するために、抗体の滴定を、結合性がNKp46変異体(1〜0,1〜0.01〜0.001μg/ml)によって影響を受けると思われる抗体を使用して行った。
【0405】
E.結果
抗体NKp46−1は、野生型NK46と比較して変異体2(残基K41、E42及びE119で変異を有する)(NKp46野生型での付番)への結合が減少していた。同様に、NKp46−1も追加変異体Supp7(残基Y121及びY194で変異を有する)への結合が減少していた。
【0406】
抗体NKp46−3は変異体19(残基I135及びS136で変異を有する)への結合が減少していた。同様に、NKp46−1も追加変異体Supp8(残基P132及びE133で変異を有する)への結合が減少していた。
【0407】
抗体NKp46−4は変異体6(残基R101及びV102で変異を有する)への結合が減少していた。同様に、NKp46−1も、残基I104及びL105で変異を有する追加変異体Supp6への結合が減少していた。
【0408】
これらの方法を使用して、抗NKp46抗体NKp46−1、NKp46−3及びNKp46−4のエピトープを同定した。NKp46−4、NKp46−3及びNKp46−1のエピトープは、それぞれNKp46 D1ドメイン、D2ドメイン及びD1/D2接合部上にあると決定した。R101、V102、E104及びL105は、NKp46−4結合性に必須の残基であり、NKp46−4エピトープの一部と定義される。NKp46−1エピトープのエピトープとして、K41、E42、E119、Y121及びY194残基が挙げられる。NKp46−3のエピトープとして、P132、E133、I135及びS136残基が挙げられる。
【0409】
実施例18:
様々な二重特異的形態の、既存の形態と比較して改善された産生プロフィール及び収率
ブリナツモマブ、並びにF1〜F17形態及びNKp46−3をベースとするNKp46及びCD19結合領域を有する2つの二重特異的抗体、並びにブリナツモマブをそれぞれ同じプロトコルに従って且つ同じ発現系を使用して、形態6(F6)、DART(商標)形態及びBiTE(商標)形態の下でクローニングして産生させた。F6、DART(商標)及びBiTE(商標)二重特異的タンパク質を、F6の場合にはprot−Aビーズを使用し、DART(商標)及びBiTE(商標)の場合にはNi−NTAビーズを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより、細胞培養上清から精製した。精製したタンパク質をさらに分析し、SECにより精製した。DART(商標)及びBiTE(商標)は、F6と比較して非常に低い産生収率を示しており、精製したタンパク質は非常に複雑なSECプロフィールを有する。DART(商標)及びBiTE(商標)は、予想されるSEC画分(BiTE(商標)の場合には3及び4、並びにDART(商標)の場合には4及び5)でのクマーシー染色後のSDS−PAGEによってわずかに検出可能であり、F6形態は、多量体二重特異的タンパク質を含む主ピーク(画分3)を有する、明確で単純なSEC及びSDS−PAGEプロフィールを示した。F6形態の主ピークは全タンパク質の約30%に一致する。これらの結果は、F1〜F17タンパク質で見られるものと一致し(データは示さない)、これは、これらの形態中に存在するFcドメイン(又はFc由来ドメイン)が産生を促進し、二重特異的タンパク質の品質及び溶解性を改善することを示す。
【0410】
さらに、タンパク質F1〜F17中に存在するFcドメインは、ペプチドタグの取込みを必要とすることなくアフィニティークロマトグラフィーでの使用に適しているという利点を有する。これは、そのようなタグは望ましくない免疫原性を潜在的に誘発し得ることから治療用製品では望ましくないことから望ましい。対照的に、DART(商標)及びBiTE(商標)抗体を、プロテインAを使用して精製することができないが、F1〜F17抗体全てにプロテインAが結合する。以下の表6は、様々な形態の生産性を示す。
【0411】
【表16】
【0412】
表題及び副題は、本明細書では便宜のためにのみ使用され、本発明を限定すると決して一切解釈するべきではない。上述の要素の全ての可能なバリエーションでのあらゆる組み合わせが、本明細書に特段の記載がない限り、又は文脈から他の旨である場合を除き、本発明に包含される。本明細書で述べられた値の範囲は、本明細書に特段の記載がない限り、範囲内に含まれるそれぞれの別個の値について個々に述べられる省略方法の役割を単に果たすものであり、それぞれの別個の値は、本明細書で個々に述べられたかのように本明細書に包含される。特段の記載がない限り、本明細書に記載される全ての正確な値は、対応するおおよその値を代表する(例えば、特定の因子又は測定値に関して記載される全ての正確な例示的な値は、適切な場合に「約」によって変更される、対応するおおよその測定値を示すものと見なすことができる)。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に特段の記載がない限り、又は文脈から他の旨である場合を除き、任意の適切な順序で行うことができる。
【0413】
本明細書に記載されるあらゆる例又は例示的な語(例えば、「〜など」)の使用は、単に本発明をより明確にするためのものであり、特段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明確な記載がない限り、いずれの要素も本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈される語は本明細書には存在しない。
【0414】
語、例えば、1つ又は複数の要素を指す語を用いた、本発明の任意の態様又は実施形態の本明細書の説明は、特段の記載がない限り、又は文脈から明確に他の旨である場合を除き、その1つ又は複数の特定の要素「からなる」、「から実質的になる」、又は「を実質的に含む」本発明の同様の態様又は実施形態を支援するためである(例えば、特定の要素を含むとして本明細書に記載される組成物は、特段の記載がない限り、又は文脈から明確に他の旨である場合を除き、その要素からなる組成物の記載でもあることを理解されたい)。
【0415】
本発明は、適用される法律によって許容される最大程度まで、本明細書に記載される態様又は請求項で述べられる主題の全ての変更形態及び均等物を含む。
【0416】
本明細書で述べられる全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が、参照により含められると具体的且つ個別に示されたかのように、参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられる。
【0417】
前述の本発明は、理解を明確にするために例示及び例によってある程度詳細に説明されたが、当業者であれば、添付の特許請求の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変形形態及び変更形態をなし得ることが本発明の教示から明白であろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A-3B】
図4A
図4B
図4C
図5A-5B】
図6A-6B】
図6C
図7
図8
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]