(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。また、以下で説明する実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0013】
(アンギュラ玉軸受)
図1は、実施の形態に係る研削システムの研削対象となるアンギュラ玉軸受の一例を示す断面図である。
図1に示されるように、アンギュラ玉軸受10は、一対の軌道輪を構成する外輪11および内輪12と、複数の転動体13と、保持器14とを備える。転動体13と外輪11との接触点と、転動体13と内輪12との接触点とを結ぶ直線(図中の一点鎖線)は、ラジアル方向に対して接触角だけ傾斜している。これにより、アンギュラ玉軸受10は、アキシアル荷重およびラジアル荷重の両方を負荷を受けることができる。アンギュラ玉軸受10にラジアル荷重が作用するとアキシアル方向に分力が生じるため、通常2つのアンギュラ玉軸受10が軸方向に配置されて使用される。
【0014】
外輪11の背面側の端面11Bと内輪12の背面側の端面12Bとの差幅(平面差)HBと、外輪11の正面側の端面11Fと内輪12の正面側の端面12Fとの差幅(平面差)HFとは、所定の予圧量を得るために、規定値に調整される。差幅HBは、端面11Bと端面12Bとの軸方向のずれ(段差)を示す。差幅HFは、端面11Fと端面12Fとの軸方向のずれ(段差)を示す。差幅HBと差幅HFとが同値に調整されたアンギュラ玉軸受10は、フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受と呼ばれる。フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受の場合、外輪11の幅寸法Hoと内輪の幅寸法Hiとは同値となる。フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受を用いることにより、2つのアンギュラ玉軸受10の組合せ方式(背面同士を対向させる組合せ方式、正面同士を対向させる組合せ方式、背面と正面とを対向させる組合せ方式)のいずれでも所定の予圧量を得ることができる。
【0015】
(研削システム)
図2は、実施の形態に係る研削システムの一例を示す平面図である。
図2に示されるように、研削システム100は、平面研削盤1と、投入用コンベア2と、仮置き台4と、搬送ロボット6と、排出用コンベア5と、制御装置7とを備える。研削システム100では、外輪11の背面側の端面11Bと内輪12の背面側の端面12Bとの差幅HBが規定値となり、かつ、外輪11の幅寸法Hoと内輪12の幅寸法Hiとが同値になるように、端面11B,11F,12B,12Fが研削される。研削システム100により研削された外輪11および内輪12を組み合わせることにより、フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受を製造できる。
【0016】
投入用コンベア2は、外輪11と内輪12とからなるワークWを搬送する。投入用コンベア2の上面における下流側の端部には旋回式のストッパ3が設置されている。ワークWは、ストッパ3に当接するまで投入用コンベア2によって搬送される。ワークWは、端面11B,12Bが上向きであり、外輪11の内側に内輪12が配置された状態で、投入用コンベア2によって搬送される。
【0017】
各ワークWの差幅HBは、当該ワークWが投入用コンベア2に投入される前に予め測定されている。ワークWの差幅HBとは、当該ワークWを構成する外輪11と内輪12とを組み合わせてアンギュラ玉軸受10を作製したときの端面11Bと端面12Bとの差幅である。ここで、投入用コンベア2に投入される前に測定された差幅HBの値(初期値)をhとする。ワークWごとに予め測定された初期値hは、制御装置7に入力される。
【0018】
搬送ロボット6は、投入用コンベア2によってストッパ3まで搬送されたワークWを仮置き台4に置く。センサがワークWを検知すると、ストッパ3が旋回する。搬送ロボット6は、旋回したストッパ3と接触していたワークWを把持して、仮置き台4まで搬送する。搬送ロボット6は、端面11Bおよび端面11Fのうち制御装置7から指示された端面が上向きとなるように外輪11を仮置き台4に置く。搬送ロボット6は、端面12Bおよび端面12Fのうち制御装置7から指定された端面が上向きとなるように内輪12を仮置き台4に置く。搬送ロボット6は、仮置き台4に置かれたワークWを把持して、平面研削盤1へ搬送する。搬送ロボット6は、平面研削盤1によって研削されたワークWを把持して、排出用コンベア5上に搬送する。
【0019】
排出用コンベア5は、平面研削盤1によって研削されたワークWを次工程まで搬送する。平面研削盤1は、ワークWの端面11B,11F,12B,12Fを研削する。制御装置7は、平面研削盤1、搬送ロボット6、投入用コンベア2および排出用コンベア5を制御する。平面研削盤1および制御装置7の詳細について以下に説明する。
【0020】
(平面研削盤)
図3は、平面研削盤1の構成を概略的に示す斜視図である。
図3に示されるように、平面研削盤1は、回転テーブル20と、洗浄装置30と、寸法測定器40と、砥石ユニット50と、ドレッサ70とを備える。
【0021】
回転テーブル20は、図示しないモータの駆動によって、図中のR方向に回転するテーブルである。回転テーブル20上にはワークWが載置される。このとき、端面11Bおよび端面11Fのいずれか一方が上向きとなるように外輪11(
図1参照)が回転テーブル20上に載置される。同様に、端面12Bおよび端面12Fのいずれか一方が上向きとなるように内輪12(
図1参照)が回転テーブル20上に載置される。内輪12は、外輪11の内側に配置される。回転テーブル20は、載置されたワークWを吸着するためのマグネットチャックを含む。
【0022】
図4は、回転テーブル20とその支持機構とを示す側面図である。
図4に示されるように、回転テーブル20は、スライドテーブル21に図示しない主軸を介して取り付けられる。図示しないモータによって主軸が回転することにより、回転テーブル20は、スライドテーブル21に対して回転する。スライドテーブル21は、ベッド27の上面22上に摺動可能に配置されている。スライドテーブル21および回転テーブル20は、X方向に沿って移動する。
【0023】
図3に戻って、洗浄装置30は、ワイパ31を含み、ワイパ31を回転テーブル20上で旋回させることにより回転テーブル20上を洗浄する。これにより、回転テーブル20上の切屑および砥粒などが取り除かれる。
【0024】
寸法測定器40は、2つの端子部41,42を含み、回転テーブル20の上面からの端子部41,42の先端の高さを測定する。寸法測定器40は、外輪11における上向きの端面に端子部41の先端を接触させ、外輪11の幅寸法Hoを測定する。ここで、砥石ユニット50による加工前に寸法測定器40によって測定された外輪11の幅寸法Hoの値(初期値)をHo0とする。砥石ユニット50による加工中または加工後に寸法測定器40によって測定された外輪11の幅寸法Hoの値(測定値)をHo1とする。寸法測定器40は、内輪12における上向きの端面に端子部42の先端を接触させ、内輪12の幅寸法Hiを測定する。ここで、砥石ユニット50による加工前に寸法測定器40によって測定された内輪12の幅寸法Hiの値(初期値)をHi0とする。砥石ユニット50による加工中または加工後に寸法測定器40によって測定された内輪12の幅寸法Hiの値(測定値)をHi1とする。
【0025】
寸法測定器40は、図示しない変位センサによって回転テーブル20の上面の位置を常時測定し、測定した位置を基準に幅寸法Ho,Hiを測定する。これにより、回転テーブル20を回転させる主軸等の熱変位によって回転テーブル20が移動したとしても、寸法測定器40は、外輪11の幅寸法Hoおよび内輪12の幅寸法Hiを精度良く測定できる。
【0026】
砥石ユニット50は、回転テーブル20上に載置されたワークWにおける上向きの端面を研削するユニットである。
【0027】
図5は、砥石ユニット50の構成を概略的に示す図である。
図5に示されるように、砥石ユニット50は、スライド部材55と、回転軸56と、砥石車57と、支持体58と、モータ59とを含む。
【0028】
支持体58は、平面研削盤1(
図2参照)のフレームに固定される。スライド部材55は、支持体58の表面上をスライド可能な部材であり、Z方向(上下方向)にスライドする。スライド部材55には、モータ59と、回転軸56と、砥石車57とが取り付けられている。スライド部材55がスライドすることにより、モータ59、回転軸56および砥石車57もスライド部材55と一体となってZ方向(上下方向)にスライドする。モータ59は、回転軸56の一方端に接続され、回転軸56を回転させる。回転軸56の他方端には砥石車57が取り付けられている。これにより、砥石車57は、モータ59の駆動力により回転する。
【0029】
回転軸56はX方向に平行である。上述したように、回転テーブル20はX方向に移動可能である。回転テーブル20をX方向に移動させながら、砥石車57を外輪11および内輪12の上向きの端面に接触させることにより、当該端面がトラバース研削される。
【0030】
図3に戻って、ドレッサ70は、砥石ユニット50の下方に設置され、砥石ユニット50の砥石車57(
図5参照)の表面をドレッシングする。ドレッサ70による砥石車57のドレッシングは、定期的に実行される。
【0031】
(制御装置)
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、入出力バッファ等(いずれも図示せず)を含み、平面研削盤1、搬送ロボット6、投入用コンベア2および排出用コンベア5を制御する。CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、平面研削盤1、搬送ロボット6、投入用コンベア2および排出用コンベア5が制御される。制御装置7は、差幅HBを調整するための制御(差幅調整制御)と、外輪11と内輪12との幅寸法を合わせるための制御(幅合わせ制御)とを実行する。
【0032】
(差幅調整制御)
制御装置7は、ワークWごとに予め測定された差幅HBの初期値hと目標値Lとに基づいて、差幅調整制御における目標研削量Δh(取代:研削されるべき厚み)を決定する。差幅HBの初期値hおよび目標値Lは、外輪11の端面11Bよりも内輪12の端面12Bの方が背面側に突出している場合に正(+)となり、そうでない場合に負(−)となるように測定される。制御装置7は、初期値hと目標値Lとの差の絶対値を目標研削量Δhとして決定する。すなわち、制御装置7は、h>Lの場合に目標研削量Δh=h−Lとし、h<Lの場合に目標研削量Δh=L−hとする。
【0033】
制御装置7は、初期値hと目標値Lとの比較結果に基づいて、外輪11の端面11Bと端面11Fとのいずれを研削対象面とするか決定するとともに、内輪12の端面12Bと端面12Fとのいずれを研削対象面とするか決定する。h>Lである場合、外輪11の端面11Bを研削せず、内輪12の端面12Bを研削することにより、差幅HBが目標値Lに近づく。そのため、制御装置7は、h>Lである場合には、外輪11の端面11Fと内輪12の端面12Bとを研削対象面として決定する。h<Lである場合、内輪12の端面12Bを研削せず、外輪11の端面11Bを研削することにより、差幅HBが目標値Lに近づく。そのため、制御装置7は、h<Lである場合には、外輪11の端面11Bと内輪12の端面12Fとを研削対象面として決定する。
【0034】
制御装置7は、研削対象面として決定した端面が上向きとなるように搬送ロボット6に指示する。搬送ロボット6は、指示された端面が上向きとなるように、研削対象となるワークWの外輪11および内輪12を一旦仮置き台4に置く。その後、搬送ロボット6は、前のワークWの研削が完了したタイミングで、仮置き台4から平面研削盤1の回転テーブル20上に研削対象となるワークWを搬送する。
【0035】
制御装置7は、平面研削盤1の回転テーブル20上のワークWが搬送されると、平面研削盤1を制御して、ワークWが砥石車57(
図5参照)の下方に位置するように回転テーブル20を移動させる。さらに、制御装置7は、砥石ユニット50を制御して、砥石車57をZ方向に沿って下方に移動させながら砥石車57を回転させ、ワークWの上向きの端面を研削する。このとき、制御装置7は、回転テーブル20をX方向に移動させるとともに回転させ、ワークWをトラバース研削する。
【0036】
図6は、h>Lである場合に回転テーブル20上に載置された外輪11および内輪12を示す断面図である。
図6に示されるように、h>Lである場合、外輪11の正面側の端面11Fと内輪12の背面側の端面12Bとが上向きとなるように、外輪11および内輪12が回転テーブル20上に載置される。
図7は、h<Lである場合に回転テーブル20上に載置された外輪11および内輪12を示す断面図である。
図7に示されるように、h<Lである場合、外輪11の背面側の端面11Bと内輪12の正面側の端面12Fとが上向きとなるように、外輪11および内輪12が回転テーブル20上に載置される。
【0037】
制御装置7は、ワークWを研削しながら、外輪11の幅寸法Hoおよび内輪12の幅寸法Hiを寸法測定器40(
図3参照)により測定させる。制御装置7は、h>Lである場合、内輪12の幅寸法Hiの初期値Hi0と測定値Hi1とがHi1=Hi0−Δhを満たすまで、外輪11の端面11Fと内輪12の端面12Bとを砥石車57によって研削させる。制御装置7は、h<Lである場合、外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0と測定値Ho1とがHo1=Ho0−Δhを満たすまで、外輪11の端面11Bと内輪12の端面12Fとを砥石車57によって研削させる。これにより、差幅HBが目標値Lに調整される。
【0038】
制御装置7は、h=Lである場合、差幅調整制御が不要であると判断し、幅合わせ制御を実行する。
【0039】
(幅合わせ制御)
幅合わせ制御における目標研削量ΔHとして、ワークWの外輪11の端面11Fおよび内輪12の端面12Fの平行度よりも大きい固定値が予め設定される。
【0040】
制御装置7は、差幅調整制御において正面側の端面が上向きになるように配置された外輪11または内輪12の研削量が目標研削量ΔH未満である場合に幅合わせ制御を実行する。すなわち、制御装置7は、h>Lである場合、差幅調整制御において端面11Fが上向きになるように載置された外輪11の差幅調整制御後の幅寸法Hoの測定値Ho1と初期値Ho0とがHo1>Ho0−ΔHを満たすときに幅合わせ制御を実行する。制御装置7は、h<Lである場合、差幅調整制御において端面12Fが上向きになるように載置された内輪12の差幅調整制御後の幅寸法Hiの測定値Hi1と初期値Hi0とがHi1>Hi0−ΔHを満たすときに幅合わせ制御を実行する。さらに、制御装置7は、h=Lである場合、幅合わせ制御を実行する。
【0041】
制御装置7は、外輪11の端面11Fと内輪12の端面12Fとが上向きとなるように搬送ロボット6に指示する。これにより、搬送ロボット6は、指示された端面が上向きとなるように、ワークW(外輪11および内輪12)を一旦仮置き台4に置いた後に平面研削盤1の回転テーブル20上に搬送する。平面研削盤1の回転テーブル20上にワークWが搬送されると、平面研削盤1を制御して、ワークWが砥石車57(
図5参照)の下方に位置するように回転テーブル20を移動させる。さらに、制御装置7は、砥石ユニット50を制御して、砥石車57をZ方向に沿って下方に移動させながら砥石車57を回転させ、ワークWの上向きの端面を研削する。このとき、制御装置7は、回転テーブル20をX方向に移動させるとともに回転させ、ワークWをトラバース研削する。
【0042】
図8は、幅合わせ制御において回転テーブル20上に載置された外輪11および内輪12を示す断面図である。
図8に示されるように、外輪11の正面側の端面11Fと内輪12の正面側の端面12Fとが上向きとなるように、外輪11および内輪12が回転テーブル20上に載置され、端面11F,12Fが砥石車57によって研削される。
【0043】
制御装置7は、ワークWを研削しながら、外輪11の幅寸法Hoおよび内輪12の幅寸法Hiを寸法測定器40(
図3参照)により測定させる。制御装置7は、h>Lである場合、差幅調整制御でも正面側の端面11Fが上向きに配置された外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0と測定値Ho1とがHo1=Ho0−ΔHを満たすまで、端面11F,12Fを砥石車57によって研削させる。つまり、幅合わせ制御における外輪11の端面11Fの研削量(Ho0−Ho1)が目標研削量ΔHに達するまで、端面11F,12Fを砥石車57によって研削させる。制御装置7は、h<Lである場合、差幅調整制御でも正面側の端面12Fが上向きに配置された内輪12の幅寸法Hiの初期値Hi0と測定値Hi1とがHi1=Hi0−ΔHを満たすまで、端面11F,12Fを砥石車57によって同時に研削させる。つまり、幅合わせ制御における内輪12の端面12Fの研削量(Hi0−Hi1)が目標研削量ΔHに達するまで、端面11F,12Fを砥石車57によって研削させる。
【0044】
制御装置7は、h=Lである場合、外輪11および内輪12のうち幅寸法の初期値が小さい方の幅寸法の測定値がΔHだけ変化するまで、端面11F,12Fを砥石車57によって研削させる。すなわち、制御装置7は、外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0が内輪12の幅寸法Hiの初期値Hi0よりも小さい場合、初期値Ho0と測定値Ho1とがHo1=Ho0−ΔHを満たすまで、端面11F,12Fを砥石車57によって研削させる。制御装置7は、内輪12の幅寸法Hiの初期値Hi0が外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0も小さい場合、初期値Hi0と測定値Hi1とがHi1=Hi0−ΔHを満たすまで、端面11F,12Fを砥石車57によって同時に研削させる。
【0045】
幅合わせ制御により、背面側の差幅HBが目標値Lを満たした状態で、外輪11の幅寸法Hoと内輪12の幅寸法Hiとが同じ値となる。そのため、外輪11と内輪12とを組み合わせることにより、フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受を製造できる。
【0046】
(研削システムの処理の流れ)
図9は、研削システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。研削システム100は、ワークWごとに
図9に示す一連の処理を実行する。まず、ステップS1において、制御装置7は、ワークWに対して予め測定された差幅HBの初期値hが目標値Lよりも大きいか否かを判断する。h>Lではない場合(ステップS1でNO)、ステップS2において、制御装置7は、差幅HBの初期値hが目標値Lよりも小さいか否かを判断する。
【0047】
h>Lである場合(ステップS1でYES)、ステップS3において、搬送ロボット6は、正面側の端面11Fが上向きとなるように外輪11を回転テーブル20上に配置するとともに、背面側の端面12Bが上向きとなるように内輪12を回転テーブル20上に配置する。h<Lである場合(ステップS2でYES)、ステップS4において、搬送ロボット6は、背面側の端面11Bが上向きとなるように外輪11を回転テーブル20上に配置するとともに、正面側の端面12Fが上向きとなるように内輪12を回転テーブル20上に配置する。ステップS3,S4において、搬送ロボット6は、内輪12、外輪11の順で回転テーブル20上に搬送する。さらに、外輪11および内輪12は、マグネットチャックによって回転テーブル20上に固定される。
【0048】
ステップS3およびステップS4の後、平面研削盤1は、ステップS5において差幅調整研削を実行する。すなわち、平面研削盤1は、背面側の端面が上向きとなるように配置された輪(外輪11または内輪12)が目標研削量Δhだけ研削されるまで、外輪11および内輪12の上向きの端面を研削する。目標研削量Δhは、差幅HBの初期値hと目標値Lとの差の絶対値である。具体的には、内輪12の端面12Bが上向きに配置されている場合、平面研削盤1は、内輪12の幅寸法Hiの測定値Hi1が(Hi0−Δh)となるまで、内輪12の端面12Bと外輪11の端面11Fとを研削する。外輪11の端面11Bが上向きに配置されている場合、平面研削盤1は、外輪11の幅寸法Hoの測定値Ho1が(Ho0−Δh)となるまで、外輪11の端面11Bと内輪12の端面12Fとを研削する。
【0049】
次にステップS6において、制御装置7は、差幅調整研削における正面側の端面が上向きに配置された輪(外輪11または内輪12)の研削量が、幅合わせ制御における目標研削量ΔH未満であるか否かを判断する。具体的には、差幅調整研削において外輪11の端面11Fが上向きに配置されている場合、制御装置7は、外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0と測定値Ho1との差Ho0−Ho1が目標研削量ΔH未満であるか否かを判断する。差幅調整研削において内輪12の端面12Fが上向きに配置されている場合、制御装置7は、内輪12の幅寸法の初期値Hi0と測定値Hi1との差Hi0−Hi1が目標研削量ΔH未満であるか否かを判断する。
【0050】
ステップS6でYESの場合、ステップS7において、搬送ロボット6は、正面側の端面11F,12Fが上向きとなるように外輪11および内輪12を平面研削盤1の回転テーブル20上に配置する。h=Lである場合も(ステップS2でNO)、差幅調整研削が不要であるため、ステップS7が実行される。
【0051】
次にステップS8において、平面研削盤1は幅合わせ研削を実行する。具体的には、平面研削盤1は、差幅調整研削において端面11Fが上向きとなるように外輪11が配置された場合、外輪11の幅寸法の初期値Ho0と測定値Ho1との差Ho0−Ho1が目標研削量ΔHとなるまで、端面11F,12Fを研削する。平面研削盤1は、差幅調整研削を実行しておらず、かつ外輪11の幅寸法Hoの初期値Ho0が内輪12の幅寸法Hiの初期値Hi0よりも小さい場合も、差Ho0−Ho1が目標研削量ΔHとなるまで、端面11F,12Fを研削する。平面研削盤1は、差幅調整研削において端面12Fが上向きとなるように内輪12が配置された場合、内輪12の幅寸法の初期値Hi0と測定値Hi1との差Hi0−Hi1が目標研削量ΔHとなるまで、端面11F,12Fを研削する。平面研削盤1は、差幅調整研削を実行しておらず、かつ内輪12の幅寸法の初期値Hi0が外輪11の幅寸法の初期値Ho0よりも小さい場合も、差Hi0−Hi1が目標研削量ΔHとなるまで、端面11F,12Fを研削する。
【0052】
次にステップS9において、回転テーブル20のマグネットチャックがオフにされ、搬送ロボット6は、回転テーブル20上の外輪11、内輪12をこの順で排出用コンベア5上に搬送する。ステップS6でNOの場合もステップS9が実行される。
【0053】
次にステップS10において、洗浄装置30は、ワイパ31を旋回させて、回転テーブル20上を洗浄する。これにより、研削システム100による1つのワークWに対する処理が完了する。
【0054】
図10は、研削システム100における加工パターンを示す図である。加工パターンAは、ステップS1でYESであり、ステップS6でNOである場合のパターンである。加工パターンAでは、差幅調整研削において内輪12の背面側の端面12Bが目標研削量Δhだけ研削され、幅合わせ研削が実行されない。加工パターンBは、ステップS1でYESであり、ステップS6でYESである場合のパターンである。加工パターンBでは、差幅調整研削において内輪12の背面側の端面12Bが目標研削量Δhだけ研削され、幅合わせ研削が実行される。加工パターンCは、ステップS2でYESであり、ステップS6でNOである場合のパターンである。加工パターンCでは、差幅調整研削において外輪11の背面側の端面11Bが目標研削量Δhだけ研削され、幅合わせ研削が実行されない。加工パターンDは、ステップS2でYESであり、ステップS6でYESである場合のパターンである。加工パターンDでは、差幅調整研削において外輪11の背面側の端面11Bが目標研削量Δhだけ研削され、幅合わせ研削が実行される。加工パターンEは、ステップS2でNOである場合のパターンである。加工パターンEでは、差幅調整研削が実行されず、幅合わせ研削が実行される。
【0055】
なお、ステップS6でYESの場合、搬送ロボット6は、外輪11または内輪12の上下を逆にして配置し直す。そのため、搬送ロボット6によって外輪11、内輪12がこの順で一旦仮置き台4に退避される。このとき、洗浄装置30は、ワイパ31を旋回させて、回転テーブル20上を洗浄することが好ましい。さらに、図示しないエアノズルやクリーナーを用いて、外輪11および内輪12を洗浄することが好ましい。
【0056】
ステップS1の前に、洗浄装置30は、ワイパ31を旋回させて回転テーブル20上を洗浄してもよい。
【0057】
平面研削盤1が差幅調整研削または幅合わせ研削を行なっているときに、搬送ロボット6は、制御装置7によって決定された研削対象面が上向きとなるように、次のワークWを投入用コンベア2から仮置き台4に搬送しておいてもよい。これにより、研削システム100の処理効率を向上させることができる。
【0058】
(利点)
以上のように、制御装置7は、差幅調整制御(第1制御)において、差幅HBの初期値hと目標値Lとの比較結果がh>L(第1条件)を満たす場合に、搬送ロボット(搬送装置)6を制御して、端面(第2端面)11Fが研削対象面となるように外輪11を回転テーブル20上に載置させ、端面(第1端面)12Bが研削対象面となるように内輪12を回転テーブル20上に載置させる。制御装置7は、比較結果がh<L(第2条件)を満たす場合に、搬送ロボット6を制御して、端面(第1端面)11Bが研削対象面となるように外輪11を回転テーブル20上に載置させ、端面(第2端面)12Fが研削対象面となるように内輪12を回転テーブル20上に載置させる。さらに、制御装置7は、差幅調整制御において、外輪11の研削対象面および内輪12の研削対象面のうち背面側の端面である一方の研削対象面が目標研削量Δhの厚みだけ研削されるまで、平面研削盤1を制御して外輪11および内輪12の研削対象面を研削させる。目標研削量Δhは、初期値hと目標値Lとの差分の絶対値である。
【0059】
上記の構成によれば、初期値hと目標値Lとの比較結果に従って、外輪11および内輪12の研削対象面が自動的に決定される。そして、背面側の端面である一方の研削対象面が目標研削量Δhの厚みだけ研削されるまで、外輪11および内輪12の研削対象面が研削される。これにより、外輪11と内輪12との組み合わせがいかなる状態であったとしても、背面側の端面11Bと端面12Bとの差幅HBを目標値Lに自動的に調整することができる。
【0060】
さらに、砥石車57とワークWとの接触を作業者が目視で確認しながら差幅HBを調整することがない。寸法測定器40を用いて研削対象面の研削量を測定しながら、研削対象面が研削される。そのため、作業者による差幅HBのばらつきを抑制することができる。
【0061】
さらに、制御装置7は、差幅調整制御における、外輪11の研削対象面および内輪12の研削対象面のうち正面側の端面である他方の研削対象面の研削量が目標研削量ΔH未満である場合に、平面研削盤1および搬送ロボット6を制御して、外輪11と内輪12との幅寸法を合わせる幅合わせ制御を実行する。制御装置7は、幅合わせ制御において、搬送ロボット6を制御して、端面11Fが研削対象面となるように外輪11を回転テーブル20上に載置させ、端面12Fが研削対象面となるように内輪12を回転テーブル20上に載置させる。制御装置7は、幅合わせ制御における他方の研削対象面の研削量が目標研削量ΔHに達するまで、平面研削盤1を制御して外輪11および内輪12の研削対象面を研削させる。たとえば、差幅調整制御において外輪11の端面11Fが研削対象面である場合、幅合わせ制御における端面11Fの研削量(つまり、Ho0−Ho1)が目標研削量ΔHに達するまで、端面11F,12Fが研削される。差幅調整制御において内輪12の端面12Fが研削対象面である場合、幅合わせ制御における端面12Fの研削量(つまり、Hi0−Hi1)が目標研削量ΔHに達するまで、端面11F,12Fが研削される。これにより、外輪11と内輪12との幅寸法が同値に調整され、外輪11と内輪12とを組み合わせることにより、フラッシュグラウンドアンギュラ玉軸受を製造できる。
【0062】
研削システム100は、回転テーブル20上を洗浄する洗浄装置30をさらに備える。これにより、研削後に回転テーブル20上の切屑および砥粒を除去することができる。
【0063】
(変形例)
差幅HBの初期値hおよび目標値Lは、内輪12の端面12Bが外輪11の端面11Bよりも背面側に突出している場合に負(−)となり、そうでない場合に正(−)となるように測定されてもよい。この場合、制御装置7は、h>Lであるときに、外輪11の端面11Bと内輪12の端面12Fとを研削対象面として決定すればよい。制御装置7は、h<Lであるときに、外輪11の端面11Fと内輪12の端面12Bとを研削対象面として決定すればよい。
【0064】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。