特許第6971171号(P6971171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971171
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】管補修具および管補修方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/17 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   F16L55/17
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-33148(P2018-33148)
(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-148297(P2019-148297A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 太久
(72)【発明者】
【氏名】川俣 佑太
(72)【発明者】
【氏名】小林 真澄
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−176892(JP,A)
【文献】 特開2004−305645(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3021569(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第02241987(GB,A)
【文献】 特開平08−200586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/168− 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯形状を有し、互いに反対側を向いた一対の表面のうち一方の表面側に長手方向の両端部が弾性的に変位するように形成され、長手方向に延びる一対の側部が他方の表面側に反った反り形状により弾性力に抗して前記両端部が拡げられた基本形態を維持する本体部と、
前記本体部の前記一方の表面側に設けられ、管路の損傷部分を覆うように形成された補修部と
を備え、
前記本体部は、前記管路に前記一方の表面を対向させた状態で前記基本形態の前記反り形状が解消されることにより、前記管路に前記補修部を押し当てるように前記両端部が弾性的に変位した補修形態に変形することを特徴とする管補修具。
【請求項2】
前記本体部は、一端部から他端部にわたって前記一方の表面側に弾性的に変形するように形成され、長手方向に直線状に延びた形状を維持する前記基本形態から前記管路に弾性的に巻回する前記補修形態に変形される請求項1に記載の管補修具。
【請求項3】
前記補修部は、前記本体部の一端部近傍に配置される請求項1または2に記載の管補修具。
【請求項4】
前記補修部は、前記管路に接着するように形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の管補修具。
【請求項5】
前記補修部は、前記本体部に対して離脱可能に取り付けられる請求項1〜4のいずれか一項に記載の管補修具。
【請求項6】
前記本体部の他端部を前記本体部の前記他方の表面に固定する端部固定部をさらに有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の管補修具。
【請求項7】
前記本体部の一端部近傍に配置され、前記管路に対する滑りを防ぐように前記一方の表面側に突出する突出部をさらに有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の管補修具。
【請求項8】
帯形状を有すると共に互いに反対側を向いた一対の表面のうち一方の表面側に長手方向の両端部が弾性的に変位するように形成された本体部を変形して、長手方向に延びる一対の側部が他方の表面側に反った反り形状により弾性力に抗して前記両端部が拡げられた基本形態を維持し、
管路の損傷部分を前記本体部の前記一方の表面側に設けられた補修部で覆うように当接し、
前記基本形態の前記反り形状を解消することにより、前記管路に前記補修部を押し当てるように前記両端部が弾性的に変位して前記本体部が補修形態に変形することを特徴とする管補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管補修具および管補修方法に係り、特に、管路の損傷部分を補修する管補修具および管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、都市ガスが流通するガス管などの管路において、経年劣化や外的要因などによって管壁の一部が損傷した場合、その損傷部分を外側から覆って簡易的に補修する技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、管路の外周面に巻き付けられるゴム製のバンド本体と、バンド本体の一端側および他端側のそれぞれに設けられる粘着テープとを備えた配管補修用ゴムバンドが提案されている。この配管補修用ゴムバンドは、バンド本体の一端側に設けられる粘着テープを管路の外周面に貼着した後、バンド本体を管路の外周面に緊締状に巻き付けて管路の損傷部分を覆う。そして、バンド本体の他端側に設けられた粘着テープをバンド本体等に貼着することによりバンド本体を管路に固定し、これにより管路の損傷部分を簡易的に補修することができる。
【0004】
このような技術によれば、ゴムバンドの締め付け中にあっては、バンド本体の一端側が締め付け方向に移動するのを抑制することができるため、管路を比較的強い力で巻き付けることが可能となる。また、ゴムバンドの締め付け後にあっては、バンド本体の他端側が緩み方向に移動するのを抑制することができるため、巻き付け状態の継時的な維持が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−200586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の配管補修用ゴムバンドは、ゴムバンド本体を比較的強い力で引っ張りながら管路に巻き付けることで、管路の損傷部分からの流体の漏えいを止めるように構成されたものである。
【0007】
ここで、管路の損傷は、床上などの作業者が補修しやすい場所のみならず、補修しにくい場所、例えば高所などの作業者が手を伸ばしても届かない場所または届きにくい場所において発生することが少なくない。
このように、補修しにくい場所で管路を補修する場合、特許文献1の技術では、作業を行いにくいといった不都合が生じる。例えば、作業者が手を伸ばしても手が届かない高い場所で管路を補修する場合、脚立などの昇降具に乗った不安定な状態で、ゴムバンド本体を強い力で引っ張ることになる。
【0008】
また、特許文献1の技術では、手作業でゴムバンドを配管に多重に巻き付けなければならないため、その作業に時間がかかってしまい、特に、緊急性を要する場合においては、被害が拡大してしまう、といった問題があった。
【0009】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、比較的短時間で容易に管路の損傷部分を補修する管補修具および管補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る管補修具は、帯形状を有し、互いに反対側を向いた一対の表面のうち一方の表面側に長手方向の両端部が弾性的に変位するように形成され、長手方向に延びる一対の側部が他方の表面側に反った反り形状により弾性力に抗して両端部が拡げられた基本形態を維持する本体部と、本体部の一方の表面側に設けられ、管路の損傷部分を覆うように形成された補修部とを備え、本体部は、管路に一方の表面を対向させた状態で基本形態の反り形状が解消されることにより、管路に補修部を押し当てるように両端部が弾性的に変位した補修形態に変形するものである。
【0011】
ここで、本体部は、一端部から他端部にわたって一方の表面側に弾性的に変形するように形成され、長手方向に直線状に延びた形状を維持する基本形態から管路に弾性的に巻回する補修形態に変形されることが好ましい。
【0012】
また、補修部は、本体部の一端部近傍に配置することができる。
【0013】
また、補修部は、管路に接着するように形成することが好ましい。
【0014】
また、補修部は、本体部に対して離脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0015】
また、本体部の他端部を本体部の他方の表面に固定する端部固定部をさらに有することができる。
【0016】
また、本体部の一端部近傍に配置され、管路に対する滑りを防ぐように一方の表面側に突出する突出部をさらに有することができる。
【0017】
この発明に係る管補修方法は、帯形状を有すると共に互いに反対側を向いた一対の表面のうち一方の表面側に長手方向の両端部が弾性的に変位するように形成された本体部を変形して、長手方向に延びる一対の側部が他方の表面側に反った反り形状により弾性力に抗して両端部が拡げられた基本形態を維持し、管路の損傷部分を本体部の一方の表面側に設けられた補修部で覆うように当接し、基本形態の反り形状を解消することにより、管路に補修部を押し当てるように両端部が弾性的に変位して本体部が補修形態に変形するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、本体部は、管路に一方の表面を対向させた状態で基本形態の反り形状が解消されることにより、管路に補修部を押し当てるように両端部が弾性的に変位した補修形態に変形されるので、比較的短時間で容易に管路の損傷部分を補修する管補修具および管補修方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態1に係る管補修具の構成を示す図である。
図2】本体部が補修形態に変形した様子を示す図である。
図3】ガス管の損傷部分を補修する様子を示す図である。
図4】実施の形態2に係る管補修具の構成を示す図である。
図5】実施の形態2においてガス管の損傷部分を補修する様子を示す図である。
図6】実施の形態3に係る管補修具の構成を示す図である。
図7】実施の形態3の変形例に係る管補修具の構成を示す図である。
図8】実施の形態4に係る管補修具の構成を示す図である。
図9】実施の形態1〜4の変形例に係る管補修具の構成を示す図である。
図10】実施の形態1〜4の他の変形例に係る管補修具の構成を示す図である。
図11】実施の形態1〜4のさらに他の変形例に係る管補修具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る管補修具の構成を示す。この管補修具は、流体が流通する流通管などの管路の損傷部分を補修するもので、本体部1と、補修部2とを有する。なお、流通管としては、例えば、ガスが流通するガス管および水道水が流通する水道管などが挙げられる。
【0021】
本体部1は、帯形状を有すると共に弾性体から構成され、互いに反対側を向いた一対の表面3aおよび3bのうち表面3a側に、両端部4aおよび4bを含む一端部4aから他端部4bにわたる全体が弾性的に変形するように形成されている。本体部1は、例えば、板ばねから構成することができる。
【0022】
ここで、本体部1は、弾性力に抗して長手方向に直線状に延びた基本形態F1で維持されている。この時、本体部1は、長手方向に延びる一対の側部5aおよび5bが表面3b側に反った反り形状、すなわち表面3bが幅方向に湾曲した形状となっており、この反り形状により弾性力に抗して両端部4aおよび4bを拡げた基本形態F1が維持されている。
【0023】
補修部2は、流通管の損傷部分を補修するもので、流通管を流通する流体が透過しないような材料から構成されている。補修部2は、本体部1の一端部4a近傍において表面3aに設けられ、流通管の損傷部分を覆うような広さで形成されている。また、補修部2は、流通管の損傷部分の形状に応じて変形するように弾性材料から構成されており、例えばゴム材料、ガム状の粘着部材、半固形状部材などから構成することができる。ガム状の粘着部材としては防水用シーリング材などが挙げられ、半固形状部材としてはグリスなどが挙げられる。なお、補修部2は、流通管に接着するように形成することが好ましく、例えば補修部2の表面に防水用シーリング材などのガム状の粘着部材を設けて構成することができる。
【0024】
次に、基本形態F1とされた本体部1の変形について説明する。
基本形態F1の本体部1を表面3a側に曲げるように変形させると、側部5aおよび5bが表面3b側に反った反り形状が解消されて表面3bが平坦形状となり、基本形態F1から両端部4aおよび4bが表面3a側に変位した補修形態に弾性的に変形される。
【0025】
ここで、本体部1は、一端部4aから他端部4bにわたる全体が弾性的に変形するように形成されているため、図2に示すように、一端部4aから他端部4bまで順次表面3a側に変位し、表面3aを内側にして巻回した補修形態F2に変形される。これにより、本体部1を流通管の周りに弾性的に巻回させることができ、巻回した本体部1で補修部2を流通管に押し当てることができる。
なお、本体部1は、補修形態F2において流通管に沿った形状となるように、流通管の径に応じた曲率で巻回するように形成することが好ましい。
【0026】
このようにして、補修形態F2とされた本体部1は、再び、長手方向に直線状に延びるように変形させることで側部5aおよび5bが表面3b側に反った反り形状となり、基本形態F1に戻すことができる。
【0027】
次に、本体部1の製造方法について簡単に説明する。
まず、帯状の金属板を、長手方向に延びる一対の側部5aおよび5bが表面3b側に反るように成形機で成形し、テンパー処理を施す。ここで、金属板としては、例えばリボン鋼およびステンレス鋼などを用いることができる。
【0028】
続いて、金属板の表面3a側が内側となるようにリング状に成形することにより本体部1が製造される。これにより、本体部1は、側部5aおよび5bの反り形状により直線状に延びる基本形態F1が維持され、この反り形状を解消することで基本形態F1からリング状に巻回された補修形態F2に弾性的に変形するように形成される。
【0029】
次に、この実施の形態の管補修方法について説明する。
まず、図1に示すように、本体部1を長手方向に直線状に延びた基本形態F1とする。この時、本体部1は、一対の側部5aおよび5bが表面3b側に反った反り形状により弾性力に抗して基本形態F1が維持されている。
続いて、流通管の管理者が、流通管の損傷部分、例えば図3(a)に示すように、ガス管Pからガスが漏えいする損傷部分Rを発見すると、基本形態F1とされた本体部1の他端部4b側を把持し、本体部1の表面3aをガス管Pに対向させる。そして、ガス管Pの損傷部分Rを本体部1の一端部4a近傍に配置された補修部2で覆うようにガス管Pに補修部2を当接させる。
【0030】
ここで、本体部1は、長手方向に直線状に延びた形状を有するため、補修部2とガス管Pとの間に本体部1が介在せずに補修部2が外部に開放されており、補修部2をガス管Pの損傷部分Rに容易に当接することができる。また、本体部1は、長尺形成を有するため、補修しにくい場所に配置されたガス管P、例えば高い場所に配置されたガス管Pの損傷部分Rに対して補修部2を容易に当接することができる。
【0031】
補修部2がガス管Pの損傷部分Rを覆うように配置されると、本体部1が表面3a側に曲げるように変形される。この変形により、弾性力に抗して基本形態F1を維持していた表面3bの反り形状が解消され、弾性力に従って一端部4aから他端部4bに向かって順次表面3a側に変位する。これにより、本体部1は、図3(b)に示すように、ガス管Pに補修部2を押し当てるようにガス管Pに弾性的に巻回した補修形態F2に速やかに変形し、ガス管Pからガスが漏れないように補修部2で損傷部分Rが封止される。
【0032】
このように、本体部1は、表面3a側に曲げるだけで基本形態F1から補修形態F2に変形してガス管Pの損傷部分Rが補修部2で封止されるため、補修しにくい場所に配置されたガス管Pの損傷部分Rであっても容易に封止することができる。
また、本体部1は、基本形態F1から補修形態F2に速やかに変形するため、ガス管Pの損傷部分Rに対する補修部2の位置ずれを抑制することができ、ガス管Pの損傷部分Rを確実に封止することができる。また、補修部2は、ガス管Pに接着するように形成されているため、本体部1の変形に伴う補修部2の位置ずれをより抑制することができる。
【0033】
さらに、本体部1は、ガス管Pの径に応じた曲率で巻回するように形成されているため、ガス管Pに沿って変形することができ、補修部2をガス管Pの損傷部分Rに均一に押し当ててガス管Pの損傷部分Rを確実に封止することができる。また、補修部2は、弾性材料から構成されているため、ガス管Pの損傷部分Rの形状に応じて変形することができ、ガス管Pの損傷部分Rをより確実に封止することができる。
【0034】
このようにして、ガス管Pの損傷部分Rが応急的な修理として補修部2で封止された後、損傷部分Rが生じたガス管Pを取り換えるなどの本格的な修理が実施される。
【0035】
本実施の形態によれば、本体部1は、基本形態F1の反り形状が解消されることによりガス管Pに補修部2を押し当てるようにガス管Pに弾性的に巻回する補修形態F2に速やかに変形されるため、比較的短時間で容易にガス管Pの損傷部分Rを補修することができる。
【0036】
実施の形態2
実施の形態1において、補修部2は、本体部1に対して離脱可能に取り付けることができる。
例えば、図4に示すように、実施の形態1の補修部2に換えて補修部21を新たに配置することができる。
【0037】
補修部21は、当接部22と、離脱部23とを有する。
当接部22は、実施の形態1の補修部2と同様の構成を有し、流通管を流通する流体が透過しないような材料から構成されている。当接部22は、離脱部23を介して本体部1の一端部4a近傍に取り付けられ、流通管の損傷部分を覆うような広さで形成されている。また、当接部22は、流通管に接着するように形成されており、例えば当接部22の表面に防水用シーリング材などの粘着部材を設けて構成することができる。
【0038】
離脱部23は、当接部22に接着されると共に本体部1に離脱可能に取り付けられている。離脱部23は、例えば磁石などから構成することができる。
【0039】
実施の形態1と同様に、ガス管Pの損傷部分Rに補修部21を当接して、基本形態F1とされた本体部1を表面3a側に曲げるように変形する。これにより、本体部1は、図5(a)に示すように、ガス管Pに当接部22を押し当てるように弾性的に巻回した補修形態F2に変形される。
【0040】
続いて、本体部1の他端部4bがガス管Pから離れる方向に引っ張られると、当接部22が粘着部材によりガス管Pに接着されているため、本体部1と離脱部23との接続が外れて、本体部1のみがガス管Pから取り外される。これにより、図5(b)に示すように、ガス管Pには、損傷部分Rを覆った状態で補修部21が離脱部23と共に残されることになる。
【0041】
このように、本体部1を取り外した状態でガス管Pの損傷部分Rを補修するため、補修部分の厚みを薄くすることができ、例えば補修部21の上から補強テープを巻くなどの補完作業を容易に行うことができる。また、補修部21から取り外された本体部1に別の補修部21を取り付けて本体部1を再利用することもできる。
【0042】
なお、当接部22は、粘着部材によりガス管Pに接着するように形成されたが、ガス管Pに接着することができればよく、粘着部材に限られるものではない。例えば、鋼材から構成された白ガス管などのガス管Pの損傷部分Rを補修する場合には、当接部22は、離脱部23の磁力によりガス管Pに接着することができる。また、当接部22は、ガス管Pの損傷部分Rに係合してガス管Pに接着することもできる。
【0043】
本実施の形態によれば、補修部21が、本体部1に対して離脱可能に取り付けられるため、本体部1を取り外した状態でガス管Pを補修することができ、補修部分の厚みを薄くすることができる。
【0044】
実施の形態3
実施の形態1および2において、本体部1の他端部4bを本体部1の表面3bに固定することができる。
例えば、図6に示すように、実施の形態1の本体部1に新たに端部固定部31を配置することができる。
【0045】
端部固定部31は、本体部1の他端部4b近傍において表面3aに配置されている。端部固定部31は、本体部1の表面3bに接着するように形成されており、例えば粘着部材から構成することができる。
これにより、本体部1がガス管Pに弾性的に巻回した補修形態F2に変形された後、その他端部4bを端部固定部31により本体部1の表面3bに接着することができる。
【0046】
本実施の形態によれば、端部固定部31が、本体部1の他端部4bを本体部1の表面3bに固定するため、本体部1がガス管Pから外れることを抑制することができ、ガス管Pの損傷部分Rを確実に封止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、端部固定部31は、本体部1の表面3bに接着する粘着部材から構成されたが、本体部1の他端部4bを本体部1の表面3bに固定することができればよく、粘着部材に限られるものではない。
例えば、図7に示すように、端部固定部31に換えて一対の端部固定部32aおよび32bを配置することができる。
【0048】
端部固定部32aおよび32bは、いわゆる面ファスナーであり、端部固定部32aが本体部1の他端部4b近傍において表面3aに配置され、端部固定部32bが本体部1の表面3bにおいて端部固定部32aに対応する位置に配置されている。端部固定部32aはフック状に起毛するように形成され、端部固定部32bはループ状に起毛するように形成することができる。
これにより、本体部1がガス管Pに弾性的に巻回した補修形態F2に変形された後、端部固定部32aを端部固定部32bに接触させることで、本体部1の他端部4bを本体部1の表面3bに固定することができる。
【0049】
実施の形態4
実施の形態1〜3において、流通管に対する滑りを防ぐように本体部1の表面3a側に突出する突出部をさらに備えることができる。
例えば、図8(a)に示すように、実施の形態1において新たに複数の突出部41を配置することができる。
【0050】
突出部41は、本体部1の一端部4a近傍に配置され、流通管に対する滑りを防ぐように表面3a側に突出する。
これにより、図8(b)に示すように、基本形態F1とされた本体部1をガス管Pに当接させた際に、突出部41がガス管Pに接触して本体部1の滑りを抑制することができ、本体部1を安定した姿勢で基本形態F1から補修形態F2に変形させることができる。このため、例えば、高所などの補修作業がしにくい場所に配置されたガス管Pに対して本体部1の姿勢を容易に安定させることができ、本体部1をガス管Pに速やかに巻回させることができる。
【0051】
また、本体部1をガス管Pに巻回させた後に本体部1の他端部4bを引っ張っても突出部41が滑りを抑制して補修部2の位置がずれないため、本体部1をガス管Pに強固に固定させることができる。
【0052】
なお、突出部41は、表面3a側に突出していればよく、補修部2から突出するものに限られるものではない。例えば、突出部41は、補修部2の表面に凹凸を形成するように本体部1から補修部2内に突出してもよい。
【0053】
本実施の形態によれば、突出部41が、本体部1の一端部4a近傍に配置され、ガス管Pに対する滑りを防ぐように表面3a側に突出するため、補修作業がしにくい場所に配置されたガス管Pに対して本体部1の姿勢を容易に安定させて基本形態F1から補修形態F2に速やかに変形させることができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態1〜4では、補修部は、本体部1の一端部4a近傍に配置されたが、本体部1の表面3a側に取り付けられていればよく、一端部4a近傍に限られるものではない。例えば、図9に示すように、実施の形態1において補修部2を本体部1の中央部近傍に配置することもできる。
【0055】
また、上記の実施の形態1〜4では、本体部1は、長手方向に直線状に延びた形状の基本形態F1で維持されたが、弾性力に抗して両端部4aおよび4bが拡げられた基本形態F1を維持することができればよく、直線状に延びた形状に限られるものではない。
【0056】
例えば、図10に示すように、実施の形態1の本体部1に換えて本体部51を配置することができる。この本体部51は、弾性力に抗して両端部4aおよび4bが拡げられた基本形態F1を維持するように形成されている。ここで、本体部51は、一端部4a近傍が表面3a側に湾曲した状態で基本形態F1を維持するように形成されている。このため、基本形態F1を維持する表面3bの反り形状が解消されると、弾性力に従って一端部4aから他端部4bに向かって順次表面3a側に変位し、流通管に巻回した補修形態F2に変形される。
【0057】
このように、本体部51は、基本形態F1において一端部4a近傍が湾曲した形状を有するため、流通管に対して本体部51の姿勢を容易に安定させることができる。なお、本体部51は、この形状に限られるものではなく、流通管の配置環境および補修作業の仕方に応じた様々な形状で形成することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態1〜4では、本体部は、一端部4aから他端部4bにわたる全体が表面3a側に弾性的に変形するように形成されたが、両端部4aおよび4bが表面3a側に弾性的に変位するように形成されていればよく、本体部の一部が弾性的に変形するように形成することもできる。
例えば、図11に示すように、実施の形態1の本体部1に換えて本体部52を配置することができる。この本体部52は、変形部53と、一対の平板部54aおよび54bとを有する。
【0059】
変形部53は、実施の形態1の本体部1と同様の構成を有する。すなわち、変形部53は、帯形状を有すると共に弾性体から構成され、互いに反対側を向いた一対の表面3aおよび3bのうち表面3a側に、平板部54aの一端部4aと平板部54bの他端部4bが弾性的に変位するように形成されている。ここで、変形部53は、弾性力に抗して長手方向に直線状に延びた基本形態F1で維持されている。この時、変形部53は、長手方向に延びる一対の側部が表面3b側に反った反り形状を有し、この反り形状により弾性力に抗して両端部4aおよび4bを拡げた基本形態F1が維持されている。
【0060】
平板部54aおよび54bは、それぞれ平板形状を有し、変形しない剛体から構成されている。平板部54aには変形部53の一端部が接合され、平板部54bには変形部53の他端部が接合されている。また、平板部54aの表面3aには補修部2が取り付けられている。
【0061】
このような構成により、変形部53の基本形態F1を維持する反り形状が解消されると、弾性力に従って変形部53が両端部4aおよび4bを表面3a側に変位させる補修形態F2に変形する。これにより、本体部52は、平板部54aと平板部54bでガス管Pを挟むように変形し、補修部2がガス管Pの損傷部分Rに押し当てられる。
【0062】
このように、本体部52は、ガス管Pを挟むように変形するため、ガス管Pに巻回させるスペースがない場合でもガス管Pの損傷部分Rを補修することができる。なお、本体部52は、ガス管Pを挟むように変形するものに限られるものではなく、流通管の配置環境および補修作業の仕方に応じた様々な補修形態F2に変形するように形成することができる。
【0063】
また、上記の実施の形態1〜4では、補修部は、流通管を流通する流体が透過しない材料から構成されたが、流通管の損傷の種類に応じて変えることができる。例えば、流通管に錆が生じた場合には、補修部は、錆を除去または抑制する材料から構成することができる。
【0064】
また、上記の実施の形態1〜4では、管補修具は、円状の外周を有する流通管に対して用いられたが、これに限られるものではない。例えば、管補修具は、四角形状の外周を有する流通管に対して用いることができる。また、管補修具は、流通管同士を連結する管継手と流通管との間の接続部分(段差部分)に用いることもできる。
また、上記の実施の形態1〜4では、管補修具は、流体が内部を流通する流通管を補修するために用いられたが、その他の管路を補修するために用いることもできる。例えば、管補修具は、電気配線を通す配線管などを補修するために用いることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1,51,52 本体部
2,21 補修部
3a,3b 表面
4a 一端部
4b 他端部
5a,5b 側部
22 当接部
23 離脱部
31,32a,32b 端部固定部
41 突出部
53 変形部
54a,54b 平板部
F1 基本形態
F2 補修形態
P ガス管
R 損傷部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11