(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記(A)において、前記被接合部の温度がA3変態点以上となるように、前記直動駆動器及び前記回転駆動器を制御する、請求項1に記載の摩擦接合装置。
前記制御装置は、前記(B)において、前記被接合部の温度をA3変態点以上に維持するように、前記直動駆動器及び前記回転駆動器を制御する、請求項1又は2に記載の摩擦接合装置。
前記制御装置は、前記(C)において、前記被接合部の温度をA3変態点以上に維持するように、前記直動駆動器及び前記回転駆動器を制御する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦接合装置。
前記第1部材は、アルミニウム、熱可塑性プラスチック、及び繊維強化プラスチックのうち、少なくとも1つの材料で構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦接合装置。
前記被接合部の温度と、前記ツールの押圧力及び回転数と、の相関関係を示す第1データが記憶されている記憶装置をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の摩擦接合装置。
前記(A)において、前記直動駆動器及び前記回転駆動器は、前記被接合部の温度がA3変態点以上となるように動作する、請求項10に記載の摩擦接合装置の運転方法。
前記(B)において、前記直動駆動器及び前記回転駆動器は、前記被接合部の温度をA3変態点以上となるように動作する、請求項10又は11に記載の摩擦接合装置の運転方法。
前記(C)において、前記直動駆動器及び前記回転駆動器は、前記被接合部の温度がA3変態点以上となるように動作する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の摩擦接合装置の運転方法。
前記第1部材は、アルミニウム、熱可塑性プラスチック、及び繊維強化プラスチックのうち、少なくとも1つの材料で構成されている、請求項10〜13のいずれか1項に記載の摩擦接合装置の運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る摩擦接合装置は、第1部材と第2部材を有する、被接合物を摩擦熱で軟化させることにより接合する摩擦接合装置であって、円柱状に形成され、軸線周りの回転と該軸線に沿った方向への進退移動とが可能なように構成されているツールと、ツールを軸線周りに回転させる回転駆動器と、ツールを軸線に沿って進退移動させる直動駆動器と、制御装置と、を備え、第1部材は、ツールと対向するように配置され、かつ、第2部材とは異なる種類の材料で構成されていて、第2部材は、鋼で構成されていて、制御装置は、ツールの先端部が被接合物の被接合部を押圧しながら、ツールを軸線周りに回転させて、被接合部の温度がA1変態点以上となるように、直動駆動器及び回転駆動器を制御する(A)と、直動駆動器及び回転駆動器を制御して、被接合部の温度をA1変態点以上に維持した状態で、軟化した第2部材が、軟化した第1部材に突き刺さるように、予め設定されている所定の第1位置までツールの先端部を到達させる(B)と、被接合部の温度をA1変態点以上に維持し、かつ、ツールを回転させた状態で被接合部から引き抜くように、直動駆動器及び回転駆動器を制御する(C)と、を実行するように構成されている。
【0015】
また、本実施の形態1に係る摩擦接合装置では、制御装置は、(A)において、被接合部の温度がA3変態点以上となるように、直動駆動器及び回転駆動器を制御してもよい。
【0016】
また、本実施の形態1に係る摩擦接合装置では、制御装置は、(B)において、被接合部の温度をA3変態点以上に維持するように、直動駆動器及び回転駆動器を制御してもよい。
【0017】
また、本実施の形態1に係る摩擦接合装置では、制御装置は、(C)において、被接合部の温度をA3変態点以上に維持するように、直動駆動器及び回転駆動器を制御してもよい。
【0018】
また、本実施の形態1に係る摩擦接合装置では、第1部材は、アルミニウム、熱可塑性プラスチック、及び繊維強化プラスチックのうち、少なくとも1つの材料で構成されていてもよい。
【0019】
さらに、本実施の形態1に係る摩擦接合装置では、被接合部の温度を検出する温度検出器をさらに備え、制御装置は、温度検出器が検出した温度により、被接合部の温度がA1変態点以上であるか否かを判断するように構成されていてもよい。
【0020】
以下、本実施の形態1に係る摩擦接合装置の一例について、
図1〜
図3を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
[摩擦接合装置の構成]
図1は、本実施の形態1に係る摩擦接合装置の概略構成を示す模式図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態1に係る摩擦接合装置1は、ツール10、基体2、可動体3、ツール保持体4、直動駆動器7、回転駆動器8、温度検出器60、及び制御装置30を備えていて、被接合物Wの被接合部Waを摩擦熱で軟化させて、接合するように構成されている。
【0023】
基体2は、ロボットアーム9の先端部に着脱可能に取り付けられている。基体2には、可動体3が、ツール保持体4の軸線X方向に移動可能に取り付けられている。可動体3の先端部には、ツール保持体4が設けられている。
【0024】
ツール保持体4は、その軸線X周りに回転可能であり、かつ、可動体3と一体となって、軸線Xの方向に移動可能に構成されている。ツール保持体4の先端部には、ツール10が着脱可能に設けられている。なお、ツール10は、摩擦攪拌接合の分野で公知の構成を用いることができる。
【0025】
また、基体2の内部には、直動駆動器7が配置されている。直動駆動器7は、可動体3(ツール10)を軸線X方向に直動させるように構成されている。直動駆動器7としては、例えば、電動モータ(サーボモータ)を用いてもよい。また、直動駆動器7には、ツール10の先端部の位置を検出するように構成されている、位置検出器が配置されていてもよい。位置検出器としては、例えば、エンコーダを用いてもよい。
【0026】
可動体3の内部には、回転駆動器8が配置されている。回転駆動器8は、ツール保持体4及びツール10を軸線X周りに回転させるように構成されている。回転駆動器8としては、例えば、電動モータ(サーボモータ)を用いてもよい。
【0027】
さらに、基体2には、略C字状(略L字状)に形成されている湾曲フレーム5が固定されている。湾曲フレーム5は、その先端部が、ツール10に対して、対向するように形成されている。また、湾曲フレーム5の先端部には、支持台6が設けられている。支持台6は、被接合物Wを支持するように構成されている。すなわち、本実施の形態1においては、基体2、可動体3、ツール保持体4、湾曲フレーム5、及び支持台6は、C型ガン(C型フレーム)で構成されている。
【0028】
被接合物Wは、本実施の形態1においては、板状の第1部材W1と板状の第2部材W2で構成されている。第1部材W1は、金属材料(例えば、アルミニウム)、熱可塑性プラスチック(例えば、ポリアミド)、及び繊維強化プラスチック(例えば、炭素繊維強化プラスチック)のうち、少なくとも1つの材料を用いてもよく、第2部材W2は、第1部材W1とは異なる金属材料(例えば、鋼)を用いてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態1においては、被接合物Wを板状の第1部材W1と板状の第2部材W2で構成されている形態を採用したが、これに限定されず、被接合物W(第1部材W1及び第2部材W2)の形状は任意であり、例えば、直方体状であってもよく、円弧状に形成されていてもよい。
【0030】
温度検出器60は、被接合物Wの被接合部Waの温度を検出して、検出した温度を制御装置30に出力するように構成されている。温度検出器60としては、被接合物Wの被接合部Waの温度を検出することができれば、どのような態様であってもよく、例えば、赤外線センサを用いてもよく、支持台6の内部に配置されている熱電対を用いてもよい。
【0031】
制御装置30は、マイクロプロセッサ、CPU等の演算処理器と、ROM、RAM等の記憶器と、を備えている(図示せず)。記憶器には、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算処理器は、記憶器に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、直動駆動器7、回転駆動器8、及びロボットアーム9の各種動作を制御する。
【0032】
なお、制御装置30は、集中制御する単独の制御装置30によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置30によって構成されていてもよい。また、制御装置30は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0033】
[摩擦接合装置の動作(摩擦接合装置の運転方法)]
次に、本実施の形態1に係る摩擦接合装置1の運転方法について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。なお、以下の動作は、制御装置30の演算処理器が、記憶器に格納されているプログラムを読み出すことにより実行される。
【0034】
図2は、本実施の形態1に係る摩擦接合装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3は、本実施の形態1に係る摩擦接合装置の要部を示す模式図であり、摩擦接合を実行した状態を示す。
【0035】
まず、作業者が支持台6の上面に被接合物Wを載置する。ついで、作業者が入力器(図示せず)を操作して、制御装置30に被接合物Wの接合実行を入力する。
【0036】
すると、
図2に示すように、制御装置30は、回転駆動器8を駆動させて、ツール保持体4及びツール10を所定の回転数(例えば、500〜3000rpm)で回転させる(ステップS101)。ついで、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10を回転させた状態で、ツール10の先端部が予め設定されている所定の第1位置まで移動するように、直動駆動器7を駆動させる(ステップS102)。このとき、制御装置30は、ツール10が予め設定された所定の押圧力(例えば、4kN〜70kN)で被接合物Wを押圧するように、直動駆動器7を制御する。なお、所定の回転数及び所定の押圧力は、予め実験等により、適宜設定することができる。また、第1位置については、後述する。
【0037】
これにより、ツール10は、被接合物Wの被接合部Waに当接し、ツール10の先端部と被接合部Waとの摩擦により、摩擦熱が発生し、被接合物Wの被接合部Waが軟化されて、塑性流動が生じる。
【0038】
そして、
図3に示すように、ツール10の先端部が、被接合部Waの内部に圧入されることにより、第2部材W2の軟化部分である第2軟化部分42が、第1部材W1の軟化部分である第1軟化部分41に入り込む(突き刺さる)。なお、本明細書においては、第1軟化部分41に入り込んだ第2軟化部分42をアンカー部分と称する。
【0039】
次に、制御装置30は、温度検出器60が検出した被接合物Wの被接合部Waの温度を取得する(ステップS103)。ついで、制御装置30は、ステップS103で取得した温度が、A1変態点以上であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0040】
なお、本実施の形態1においては、制御装置30は、ステップS103で取得した温度が、A1変態点以上であるか否かを判定する形態を採用したが、これに限定されない。被接合物Wの接合強度をより向上させる観点から、制御装置30が、ステップS103で取得した温度が、A1変態点よりも高いか否かを判定する形態を採用してもよく、A3変態点以上であるか否かを判定する形態を採用してもよい。
【0041】
被接合部Waの温度をA1変態点以上にすると、ツール10を引き抜いた時に、第2軟化部分42をマルテンサイト変態させることが可能となる。このため、アンカー部分である、第2軟化部分42の強度を大きくすることができ、被接合物Wの引張強度を向上させることができる。
【0042】
また、被接合部Waの温度をA3変態点以上にすると、第2軟化部分42のマルテンサイト変態させる割合を増加させることが可能となる。このため、アンカー部分である、第2軟化部分42の強度をより大きくすることができ、被接合物Wの引張強度を向上させることができる。
【0043】
制御装置30は、ステップS103で取得した温度が、A1変態点未満であると判定した場合(ステップS104でNo)には、ツール10の回転数及び/又は押圧力を増加させるように、回転駆動器8及び/又は直動駆動器7を制御し(ステップS105)、被接合物Wの被接合部Waの温度がA1変態点以上になるまで、ステップS103〜ステップS105の処理を繰り返す。
【0044】
一方、制御装置30は、ステップS103で取得した温度が、A1変態点以上であると判定した場合(ステップS104でYes)には、ステップS106の処理を実行する。
【0045】
ステップS106において、制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達したか否かを判定する。なお、ツール10の先端部の位置情報は、図示されない位置検出器により検出されて、制御装置30に出力される。
【0046】
ここで、第1位置とは、第2部材W2の第1部材W1と当接する面を0%とし、第2部材W2の支持台6と当接する面を100%とした場合に、0%より大きく、かつ、100%未満の間で任意に設定される位置をいう。なお、接合強度を向上させる観点から、第1位置は、第2部材W2の支持台6と当接する面に近い方がよく、25%以上であってもよく、50%以上であってもよく、75%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよい。
【0047】
制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達していないと判定した場合(ステップS106でNo)には、ツール10の先端部が、第1位置まで到達するまで、ステップS103〜ステップS106の各処理を実行する。一方、制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達していると判定した場合(ステップS106でYes)には、ステップS107の処理を実行する。
【0048】
ステップS107では、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10を回転させた状態で、ツール10の先端部を被接合部Waから引き抜くように、直動駆動器7を駆動させる。そして、制御装置30は、ツール10の先端部が、被接合部Waから引き抜かれると、ツール保持体4及びツール10の回転を停止するように、回転駆動器8を停止させて、本プログラムを終了する。なお、複数の被接合部Waを接合する場合には、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10の回転を停止させずに、次の被接合部Waの接合を開始するように構成されていてもよい。
【0049】
このように構成された、本実施の形態1に係る摩擦接合装置1では、被接合物Wに対して、摩擦接合を実行することにより、第2部材W2の第2軟化部分42が、第1部材W1の第1軟化部分41に入り込み、引張せん断に対する強度が高くなり、相対的に剥離強度も高くなるといったアンカー効果が得られる。
【0050】
また、本実施の形態1に係る摩擦接合装置1では、制御装置30が、被接合部Waの温度がA1変態点以上となるように、直動駆動器7及び回転駆動器8を制御する。このため、第2部材W2の第2部分42が、いわゆる焼入れ処理をされた状態となり、アンカー部分(第2軟化部分42)の強度を向上させることができる。これにより、引張せん断に対する強度がより高くなり、アンカー効果をより向上させることができる。
【0051】
[変形例1]
次に、本実施の形態1に係る摩擦接合装置の変形例について、説明する。
【0052】
本変形例1における摩擦接合装置は、実施の形態1に係る摩擦接合装置において、第1部材は、複数の第1サブ部材で構成されている。
【0053】
以下、本変形例1における摩擦接合装置について、
図4を参照しながら説明する。
【0054】
図4は、本変形例1における摩擦接合装置の一例の要部を示す模式図であり、摩擦接合を実行した状態を示す。
【0055】
図4に示すように、本変形例1における摩擦接合装置1は、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と基本的構成は同じであるが、第1部材W1が複数の第1サブ部材W1A、W1Bで構成されている点が異なる。複数の第1サブ部材は、少なくとも1つの第1サブ部材が、第2部材W2と異なる種類の材料で構成されていればよい。
【0056】
例えば、第2部材W2が、鋼で構成されていて、第1サブ部材W1A、W1Bがアルミニウムで構成されていてもよい。この場合、
図4に示すように、第1サブ部材W1A、W1Bは、ツール10の先端部との摩擦により、それぞれ軟化し、軟化した部分が攪拌されて、接合される。このため、第2部材W2の第2軟化部分42は、第1サブ部材W1A、W1Bが軟化して、攪拌されて接合された部分(第1軟化部分41)に入り込む(突き刺さる)。
【0057】
このように構成された、本変形例1における摩擦接合装置1であっても、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と同様の作用効果を奏する。
【0058】
[変形例2]
本変形例2における摩擦接合装置は、実施の形態1に係る摩擦接合装置(変形例1における摩擦接合装置を含む)において、第2部材は、複数の第2サブ部材で構成されている。
【0059】
以下、本変形例2における摩擦接合装置について、
図5を参照しながら説明する。
【0060】
図5は、本変形例2における摩擦接合装置の一例の要部を示す模式図であり、摩擦接合を実行した状態を示す。
【0061】
図5に示すように、本変形例2における摩擦接合装置1は、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と基本的構成は同じであるが、第2部材W2が複数の第2サブ部材W2A、W2Bで構成されている点が異なる。複数の第2サブ部材は、少なくとも1つの第2サブ部材が、第1部材W1と異なる種類の材料で構成されていればよい。
【0062】
例えば、第2サブ部材W2A、W2Bが、鋼で構成されていて、第1部材W1がアルミニウムで構成されていてもよい。この場合、
図5に示すように、第2サブ部材W2A、W2Bは、ツール10の先端部との摩擦により、それぞれ軟化し、軟化した部分が攪拌されて、接合される。このため、第2サブ部材W2A、W2Bが軟化して、攪拌されて接合された部分(第2軟化部分42)が、第1軟化部分41に入り込む(突き刺さる)。
【0063】
このように構成された、本変形例2における摩擦接合装置1であっても、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と同様の作用効果を奏する。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る摩擦接合装置は、実施の形態1に係る摩擦接合装置(変形例1及び変形例2を含む)において、被接合部の温度と、ツールの押圧力及び回転数と、の相関関係を示す第1データが記憶されている記憶装置をさらに備える。
【0065】
以下、本実施の形態2に係る摩擦接合装置の一例について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0066】
[摩擦接合装置の構成]
図6は、本実施の形態2に係る摩擦接合装置の概略構成を示す模式図である。
【0067】
図6に示すように、本実施の形態2に係る摩擦接合装置1は、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と基本的構成は同じであるが、温度検出器60に代えて、記憶装置70を備えている点が異なる。
【0068】
記憶装置70には、被接合部Waの温度と、ツール10の押圧力及び回転数と、の相関関係を示す第1データが記憶されている。第1データは、予め実験等により、適宜設定することができる。具体的には、例えば、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と同様にして、温度検出器60により、被接合部Waの温度を検出し、当該温度を検出したときのツール10の押圧力と回転数(直動駆動器7の駆動量と回転駆動器8の駆動量)を取得して、これらの情報をデータベースにすることで得ることができる。
【0069】
記憶装置70としては、制御装置30を構成する記憶器(図示せず)で構成されていてもよく、外付けハードディスク、又はUSBメモリ等の各種の記憶媒体で構成されていてもよい。
【0070】
[摩擦接合装置の動作(摩擦接合装置の運転方法)]
次に、本実施の形態2に係る摩擦接合装置1の動作について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0071】
図7は、本実施の形態2に係る摩擦接合装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0072】
まず、作業者が支持台6の上面に被接合物Wを載置する。ついで、作業者が入力器(図示せず)を操作して、制御装置30に被接合物Wの接合実行を入力する。
【0073】
すると、
図7に示すように、制御装置30は、回転駆動器8を駆動させて、ツール保持体4及びツール10を所定の回転数(例えば、500〜3000rpm)で回転させる(ステップS201)。ついで、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10を回転させた状態で、ツール10の先端部が第1位置まで移動するように、直動駆動器7を駆動させる(ステップS202)。このとき、制御装置30は、ツール10が予め設定された所定の押圧力(例えば、4kN〜70kN)で被接合物Wを押圧するように、直動駆動器7を制御する。なお、所定の回転数及び所定の押圧力は、制御装置30が、記憶装置70に記憶されている第1データを読み出すことにより、適宜設定される。
【0074】
次に、制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達したか否かを判定する(ステップS203)。なお、ツール10の先端部の位置情報は、図示されない位置検出器により検出されて、制御装置30に出力される。
【0075】
制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達していないと判定した場合(ステップS203でNo)には、ツール10の先端部が、第1位置まで到達するまで、ステップS202及びステップS203の処理を実行する。一方、制御装置30は、ツール10の先端部が、第1位置まで到達していると判定した場合(ステップS203でYes)には、ステップS204の処理を実行する。
【0076】
ステップS204では、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10を回転させた状態で、ツール10の先端部を被接合部Waから引き抜くように、直動駆動器7を駆動させる。そして、制御装置30は、ツール10の先端部が、被接合部Waから引き抜かれると、ツール保持体4及びツール10の回転を停止するように、回転駆動器8を停止させて、本プログラムを終了する。なお、複数の被接合部Waを接合する場合には、制御装置30は、ツール保持体4及びツール10の回転を停止させずに、次の被接合部Waの接合を開始するように構成されていてもよい。
【0077】
このように構成された、本実施の形態2に係る摩擦接合装置1であっても、実施の形態1に係る摩擦接合装置1と同様の作用効果を奏する。
【0078】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。