(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤中に含まれる前記スペーサにおいて、前記スペーサの平均粒子径に対して、平均粒子径が1.5倍以上であるスペーサが存在しないか、又は、前記スペーサの全個数100%中、前記スペーサの平均粒子径に対して、平均粒子径が1.5倍以上であるスペーサが0.1%以下の個数で存在する、請求項1に記載の半導体実装用接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[半導体実装用接着剤]
本発明に係る半導体実装用接着剤(以下、接着剤と記載することがある)は、半導体の実装に用いられる接着剤である。本発明に係る接着剤は、シリコーン樹脂とスペーサとを含む。
【0021】
本発明に係る接着剤に含まれるスペーサの含有量は、上記接着剤100重量%中、0.1重量%以上、5重量%以下である。
【0022】
上記スペーサの10%圧縮弾性率は、5000N/mm
2以上、15000N/mm
2以下である。上記スペーサの平均粒子径は、10μm以上、200μm以下である。
【0023】
本発明では、上述した構成が備えられているので、半導体の実装において、ギャップを高精度に制御でき、かつ、耐熱性を高めることができる。例えば、半導体チップをより一層水平に接着することができる。また、耐熱性として、高温での接着強度を高めることができる。
【0024】
ギャップ制御効果を十分に高める観点から、上記スペーサの含有量は、上記接着剤100重量%中、0.1重量%以上、5重量%以下である。ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記スペーサの含有量は、上記接着剤100重量%中、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
【0025】
上記10%圧縮弾性率は、スペーサを10%圧縮したときの圧縮弾性率である。ギャップ制御効果を十分に高める観点から、上記スペーサの10%圧縮弾性率は、5000N/mm
2以上、15000N/mm
2以下である。ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記スペーサの10%圧縮弾性率は、好ましくは5500N/mm
2以上、より好ましくは6000N/mm
2以上であり、好ましくは10000N/mm
2以下、より好ましくは8000N/mm
2以下である。
【0026】
上記スペーサの10%圧縮弾性率は、以下のようにして測定できる。
【0027】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重20mNを60秒かけて負荷する条件下でスペーサを圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0028】
10%圧縮弾性率(N/mm
2)=(3/2
1/2)・F・S
−3/2・R
−1/2
F:スペーサが10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:スペーサが10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:スペーサの半径(mm)
【0029】
上記スペーサの平均粒子径は、10μm以上、200μm以下である。ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記スペーサの平均粒子径は、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは110μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0030】
上記平均粒子径は、スペーサを走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各スペーサの最大径を算術平均することにより求められる。
【0031】
耐熱性をより一層高め、継時的な熱劣化をより一層抑制する観点からは、上記スペーサを150℃で1000時間加熱したときに、加熱後のスペーサの10%圧縮弾性率の加熱前のスペーサの10%圧縮弾性率に対する比(加熱後のスペーサの10%圧縮弾性率/加熱前のスペーサの10%圧縮弾性率)は、好ましくは0.95以上、より好ましくは0.98以上であり、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.02以下である。
【0032】
ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記接着剤中に含まれる上記スペーサにおいて、上記スペーサの平均粒子径に対して、平均粒子径が1.5倍以上であるスペーサが存在しないことが好ましい。また、上記スペーサの平均粒子径に対して、平均粒子径が1.5倍以上であるスペーサが存在する場合に、ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記接着剤中に含まれる上記スペーサにおいて、上記スペーサの全個数100%中、上記スペーサの平均粒子径に対して、平均粒子径が1.5倍以上であるスペーサが0.1%以下の個数で存在することが好ましく、0.05%以下の個数で存在することがより好ましい。
【0033】
ギャップ制御効果をより一層高め、分散性をより一層高める観点からは、上記スペーサの比重は、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上であり、好ましくは1.30未満、より好ましくは1.25未満である。ギャップ制御効果をより一層高め、分散性をより一層高める観点からは、スペーサを除いた上記接着剤の硬化後の比重と、上記スペーサの比重との差は、好ましくは0.5以下である。
【0034】
ギャップ制御効果をより一層高める観点からは、上記スペーサの圧縮回復率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。上記スペーサの圧縮回復率の上限は特に限定されない。上記スペーサの圧縮回復率は100%以下であってもよい。
【0035】
上記スペーサの圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0036】
試料台上にスペーサを散布する。散布されたスペーサ1個について、微小圧縮試験機を用いて、スペーサの中心方向に、スペーサが30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0037】
圧縮回復率(%)=
[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0038】
ギャップ制御効果をより一層高め、耐熱性をより一層高める観点からは、上記スペーサは、重合成分の重合体であることが好ましい。
【0039】
上記重合成分は、重合可能な成分である。上記重合成分としては、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を含むことが好ましい。
【0040】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0041】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α−オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0042】
上記架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4−ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル系単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シリコーン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端変性シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0043】
「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリロイル」の用語は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
【0044】
ギャップ制御効果をより一層高め、耐熱性をより一層高める観点からは、上記重合成分は、ビニル化合物又は(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。
【0045】
ギャップ制御効果をより一層高め、耐熱性をより一層高める観点からは、上記スペーサは、ジビニルベンゼンを含む重合成分の共重合体であることが好ましい。ギャップ制御効果をより一層高め、耐熱性をより一層高める観点からは、上記スペーサは、(メタ)アクリル化合物を含む重合成分の共重合体であり、該(メタ)アクリル化合物が、(メタ)アクリロイル基を4つ以上有する(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。
【0046】
上記(メタ)アクリロイル基を4つ以上有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
耐熱性をより一層高める観点からは、上記スペーサの重合性基の残存率は、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
【0048】
上記スペーサの重合性基の残存率は、以下のようにして測定できる。
【0049】
核磁気共鳴装置を用いて、スペーサ0.4gを固体用8mmローターに充填した後、Single Pulse(DD/MAS)法(測定条件:MAS回転数 7kHz、スキャン回数 1000回)にて、
13Cの測定を実施する。得られたDD/MASスペクトルのビニル基に帰属されるピークから、重合性基の残存率を算出する。上記核磁気共鳴装置としては、例えば、JEOL RESONANCE社製「JNM−ECX400」等が用いられる。
【0050】
上記接着剤は、上述したスペーサとシリコーン樹脂とを含む。上記スペーサは、シリコーン樹脂中に分散され、接着剤として用いられることが好ましい。半導体センサでは、接着剤に高いギャップ性能及び高い耐熱性が求められるので、上記接着剤は、半導体センサチップの実装に好適に用いられる。半導体センサでは、接着剤に高いギャップ性能及び高い耐熱性が求められるので、上記接着剤は、半導体センサチップ実装用接着剤であることが好ましい。上記シリコーン樹脂は、流動性を有することが好ましい。上記シリコーン樹脂は、ペースト状であることが好ましい。上記ペースト状には液状が含まれる。
【0051】
上記接着剤は、主剤及び硬化剤等が予め混合されている一液型であってもよく、主剤と硬化剤とが分けられている二液型であってもよい。上記接着剤は、縮合硬化型であってもよく、付加硬化型であってもよい。上記接着剤は、白金等の触媒を用いて硬化させてもよく、加熱や湿気によって硬化させてもよい。
【0052】
上記シリコーン樹脂は特に限定されない。上記シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサン化合物であってもよく、該オルガノポリシロキサンは、末端に水酸基を有してもよく、末端にビニル基を有してもよい。上記シリコーン樹脂は、メチルジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキシドであってもよい。
【0053】
上記接着剤は、上記シリコーン樹脂及び上記スペーサ以外に、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体、エラストマー及び溶剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0055】
上記溶剤としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。容易に除去できることから、有機溶剤が好ましい。上記有機溶剤としては、エタノール等のアルコール化合物、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル化合物、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素化合物、並びに石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0056】
上記接着剤は、上記スペーサ及び上記シリコーン樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0057】
上記シリコーン樹脂中に上記スペーサを分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記シリコーン樹脂中に上記スペーサを分散させる方法としては、例えば、上記シリコーン樹脂中に上記スペーサを添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記スペーサを水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記シリコーン樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記シリコーン樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記スペーサを添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0058】
外部衝撃をより一層緩和し、クラック及び剥れをより一層防止する観点からは、上記シリコーン樹脂の含有量は、上記接着剤100重量%中、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。
【0059】
[半導体センサ]
本発明に係る半導体センサは、第1の部材と、第2の部材である半導体と、第1,第2の部材を接着している接着層とを備える。本発明に係る半導体センサでは、上記接着層が、上記接着剤の硬化物により形成されている。第2の部材である半導体は、半導体センサチップであることが好ましい。
【0060】
図1は、本発明に係る半導体実装用接着剤を用いた半導体センサの一例を示す断面図である。
【0061】
図1に示す半導体センサ1は、第1の部材3と、第2の部材4である半導体センサチップと、第1の部材3と第2の部材4とを接着している接着層5とを備える。接着層5は、スペーサ2とシリコーン樹脂とを含む接着剤の硬化物である。
【0062】
第1の部材3と第2の部材4との間にスペーサ2が存在しており、第1の部材3と第2の部材4とが一定の間隔(ギャップ)で、水平に接着されている。
【0063】
上記半導体センサの製造方法は特に限定されない。半導体センサの製造方法の一例として、第1の部材と第2の部材との間に上記接着剤を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
【0064】
上記第1の部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の部材は電子部品であることが好ましい。上記接着剤は、電子部品を接着するための接着剤であることが好ましい。
【0065】
上記半導体は、センサチップであることが好ましく、圧力センサチップであることがさらに好ましい。
【0066】
上記第1の部材は第1の電極を表面に有していてもよい。上記第2の部材は第2の電極を表面に有していてもよい。上記部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、チタン電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、チタン電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、チタン電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0067】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0068】
(スペーサ1の作製)
テトラメチロールメタン500gと、ジビニルベンゼン500gと、過酸化ベンゾイル20gとを混合し、均一に溶解させてモノマー混合液を得た。1重量%ポリビニルアルコール水溶液5kgを作製し、反応釜に入れた。この反応釜の中に上記モノマー混合液を更に入れ、2〜4時間攪拌することで、モノマー混合液の液滴が所定の粒子径になるように、粒子径を調整した。この後85℃の窒素雰囲気下で10時間反応を行い、スペーサ1を得た。得られたスペーサ1を熱水にて数回洗浄した後、分級操作を行った。得られたスペーサ1では、平均粒子径は19.8μm、粒子径のCV値は3.5%であった。
【0069】
(スペーサ2の作製)
ジビニルベンゼン1000gと、過酸化ベンゾイル56gとを混合し、均一に溶解させてモノマー混合液を得た。1重量%ポリビニルアルコール水溶液5kgを作製し、反応釜に入れた。この反応釜の中に上記モノマー混合液を更に入れ、2〜4時間攪拌することで、モノマー混合液の液滴が所定の粒子径になるように、粒子径を調整した。この後90℃の窒素雰囲気下で10時間反応を行い、スペーサ2を得た。得られたスペーサ2を熱水にて数回洗浄した後、分級操作を行った。得られたスペーサ2では、平均粒子径は20.1μm、粒子径のCV値は3.2%であった。
【0070】
(スペーサ3の作製)
ジビニルベンゼン800gと、アクリロニトリル200g、過酸化ベンゾイル20gとを混合し、均一に溶解させてモノマー混合液を得た。1重量%ポリビニルアルコール水溶液5kgを作製し、反応釜に入れた。この反応釜の中に上記モノマー混合液を更に入れ、2〜4時間攪拌することで、モノマー混合液の液滴が所定の粒子径になるように、粒子径を調整した。この後140℃の窒素雰囲気下で6時間反応を行い、スペーサ3を得た。得られたスペーサ3を熱水にて数回洗浄した後、分級操作を行った。得られたスペーサ3では、平均粒子径は20.5μm、粒子径のCV値は2.9%であった。
【0071】
(スペーサ4の作製)
メチルトリメトキシシラン400gと、ビニルトリメトキシシラン1600gとを混合し、モノマー混合液を得た。メタノール100gと、15℃のイオン交換水(アンモニア水でpH10.5に調整されている)30kgとの混合液中に、上記モノマー混合液1000gを添加し撹拌しながら反応した。
【0072】
上記モノマー混合液1000gを、1回目の上記モノマー混合液を添加してから48時間後に添加した。2回目のモノマー混合液を添加してから、さらに48時間反応させた。その後、水及びメタノールにて数回洗浄した後、48時間真空下で50℃で乾燥させた。乾燥させた粒子を375℃窒素雰囲気下で10時間焼成することでスペーサを得た。得られたスペーサの分級操作を行い、スペーサ4を得た。得られたスペーサ4では、平均粒子径は19.0μm、粒子径のCV値は4.7μmであった。
【0073】
(スペーサAの作製)
エチレングリコールジメタクリレート100gと、イソボルニルアクリレート800gと、シクロヘキシルメタクリレート100gと、過酸化ベンゾイル35gとを混合し、均一に溶解させて、モノマー混合液を得た。1重量%ポリビニルアルコール水溶液5kgを作製し、反応釜に入れた。この反応釜の中に上記モノマー混合液を更に入れ、2〜4時間攪拌することで、モノマー混合液の液滴が所定の粒子径になるように、粒子径を調整した。この後90℃の窒素雰囲気下で9時間反応を行い、スペーサAを得た。得られたスペーサAを熱水にて数回洗浄した後、分級操作を行った。得られたスペーサAでは、平均粒子径は20.1μm、粒子径のCV値は3.1%であった。
【0074】
(スペーサBの作製)
シリコーン粒子の作製:
両末端アクリルシリコーンオイル30重量部に、tert−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノアート(重合開始剤、日油社製「パーブチルO」)0.5重量部を溶解させた溶解液Aを用意した。また、イオン交換水150重量部と、ラウリル硫酸トリエタノールアミン塩の40重量%水溶液(乳化剤)0.8重量部と、ポリビニルアルコール(重合度:約2000、けん化度:86.5〜89モル%、日本合成化学社製「ゴーセノールGH−20」)の5重量%水溶液80重量部とを混合して、水溶液Bを用意した。温浴槽中に設置したセパラブルフラスコに、上記溶解液Aを入れた後、上記水溶液Bを添加した。その後、Shirasu Porous Glass(SPG)膜(細孔平均径約20μm)を用いることで、乳化を行った。その後、85℃に昇温して、9時間重合を行った。重合後の粒子の全量を遠心分離により水洗浄した後、分級操作を行ってシリコーン粒子を得た。
【0075】
スペーサBの作製:
温浴槽内に設置した500mlのセパラブルフラスコに、得られたシリコーン粒子6.5重量部と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.6重量部と、蒸留水240重量部と、メタノール120重量部とを入れた。40℃で1時間攪拌した後、ジビニルベンゼン3.0重量部とスチレン0.5重量部とを添加して、75℃まで昇温して0.5時間攪拌を行った。その後、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.4重量部を入れて8時間攪拌、反応を行った。重合後の粒子の全量を遠心分離により水洗浄して、スペーサBを得た。得られたスペーサBでは、平均粒子径は20.3μm、粒子径のCV値は3.6%であった。
【0076】
(実施例1)
(シリコーン接着剤の調製)
1成分加熱硬化型シリコーン接着剤 TSE322(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)に対して、得られる接着剤中での含有量が1重量%となるようにスペーサ1を添加し、遊星式攪拌機にて攪拌し、均一に分散させて、シリコーン接着剤を調製した。
【0077】
(圧力センサ構造体の作製)
上記シリコーン接着剤をシリンジに充填し、ディスペンサを用いてプリント基板上に厚さが20μmとなるように塗布した後、塗布した接着剤上に圧力センサチップを配し、150℃で10分加熱して硬化、接着し、圧力センサ構造体を得た。
【0078】
(実施例2)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサ2をスペーサ1の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0079】
(実施例3)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサ3をスペーサ1の代わりに用いたこと、並びに、シリコーン接着剤に対して、得られる接着剤中での含有量が0.5重量%となるように、スペーサ3を添加したこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0080】
(実施例4)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサ3をスペーサ1の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0081】
(実施例5)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサ3をスペーサ1の代わりに用いたこと、並びに、シリコーン接着剤に対して、得られる接着剤中での含有量が3重量%となるように、スペーサ3を添加したこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0082】
(実施例6)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサ4をスペーサ1の代わりに用いたこと並びに、シリコーン接着剤に対して、得られる接着剤中での含有量が2.5重量%となるように、スペーサ4を添加したこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0083】
(比較例1)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサAをスペーサ1の代わりに用いたこと、並びに、シリコーン接着剤に対して、得られる接着剤中での含有量が8重量%となるように、スペーサAを添加したこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0084】
(比較例2)
シリコーン接着剤の調製の際、スペーサBをスペーサ1の代わりに用いたこと、並びに、シリコーン接着剤に対して、得られる接着剤中での含有量が10重量%となるように、スペーサBを添加したこと以外は実施例1と同様にして、圧力センサ構造体を得た。
【0085】
(評価)
(1)10%圧縮弾性率
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、上述した方法で、スペーサの10%圧縮弾性率を測定した。
【0086】
(2)平均粒子径
スペーサを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各スペーサの最大粒子径を算術平均することにより求めた。
【0087】
(3)圧縮回復率
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、上述した方法で、スペーサの圧縮回復率を測定した。
【0088】
(4)熱経時変化
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、スペーサを150℃、大気中で1000時間加熱した後の10%圧縮弾性率を測定した。スペーサの熱経時変化を以下の基準で判定した。
【0089】
[熱経時変化の判定基準]
○:加熱後の10%圧縮弾性率の加熱前の10%圧縮弾性率に対する比が、0.95以上、1.05以下
△:加熱後の10%圧縮弾性率の加熱前の10%圧縮弾性率に対する比が、0.9以上、0.95未満、又は、1.05より大きく、1.10以下
×:加熱後の10%圧縮弾性率の加熱前の10%圧縮弾性率に対する比が、0.9未満、又は、1.10より大きい
【0090】
(5)ギャップ制御性
得られた圧力センサ構造体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、接着層の最小厚みと最大厚みとを評価した。ギャップ制御性を以下の基準で判定した。
【0091】
[ギャップ制御性の判定基準]
○○:最大厚みが最小厚みの1.2倍未満
○:最大厚みが最小厚みの1.2倍以上、1.5倍未満
×:最大厚みが最小厚みの1.5倍以上
【0092】
(6)耐熱性:接続強度
得られた圧力センサ構造体の260℃でのシェア強度を測定した。シェア強度から、耐熱性:接続強度を判定した。
【0093】
[耐熱性:接続強度の判定基準]
○○:シェア強度が150N/cm
2以上
○:シェア強度が100N/cm
2以上、150N/cm
2未満
×:シェア強度が100N/cm
2未満
結果を下記の表1に示す。