特許第6971208号(P6971208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971208
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20211111BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B05B11/00 102B
   B05B11/00 102E
   B65D47/34 200
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-163867(P2018-163867)
(22)【出願日】2018年8月31日
(65)【公開番号】特開2020-32396(P2020-32396A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2021年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】 河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−194642(JP,A)
【文献】 特開2018−089549(JP,A)
【文献】 特開2017−047350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B11/00−11/06
B65D35/44−35/54
39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体から前方に突出した中継部材と、
前記中継部材に対して前方から組み合わされ、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔側に向けて流通させる射出筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記中継部材は、前後方向に延び、前記ノズル部材が装着される装着筒部を備え、
前記ノズル部材は、液体の噴出が可能となる噴出可能位置と、液体の噴出が規制される噴出規制位置と、の間を、前記中継部材に対して前記装着筒部の軸線回りに沿うノズル周方向に回転可能に配設され、
前記噴出孔は、前方に向けて開口するとともに、前記装着筒部の軸線に対して偏心して配置され、
前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記噴出孔を前記噴出孔の前方から閉塞し、かつ前記ノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、前記噴出孔を開放する蓋体が、前記中継部材若しくは前記噴出器本体に固定された状態で取付けられている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記ノズル部材は、前記噴出孔の前方に配設されるとともに、前記噴出孔を囲い、かつ内側に外気を導入する外気導入孔が形成された造泡筒を備え、
前記蓋体は、前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記造泡筒の前端開口および前記外気導入孔を閉塞し、かつ前記ノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、前記造泡筒の前端開口および前記外気導入孔を開放する、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記ノズル部材は、噴出規制位置に位置したときに、前記トリガー部に当接若しくは近接することで前記トリガー部の後方移動を規制し、かつ噴出可能位置に位置したときに、前記トリガー部から離れ、前記トリガー部の後方移動を許容する規制部を備える、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記規制部は、前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記トリガー部に前記トリガー部の後方から当接若しくは近接し、かつ前記噴出器本体のうち、前記トリガー部と前後方向で対向する部分に、この部分の前方から当接若しくは近接する、請求項3に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載のトリガー式液体噴出器が知られている。このトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体から前方に突出した中継部材と、中継部材に対して前方から組み合わされ、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備える。
噴出器本体は、上下方向に延び、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に配設され、縦供給筒部内の液体を噴出孔側に向けて流通させる射出筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から射出筒部内を通じて噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−108553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のトリガー式液体噴出器では、噴出孔の内面などに付着した液体が、乾燥して固化することで、噴出孔が塞がれるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、噴出孔の内面などに付着した液体が固化するのを抑制することができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体から前方に突出した中継部材と、前記中継部材に対して前方から組み合わされ、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔側に向けて流通させる射出筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記中継部材は、前後方向に延び、前記ノズル部材が装着される装着筒部を備え、前記ノズル部材は、液体の噴出が可能となる噴出可能位置と、液体の噴出が規制される噴出規制位置と、の間を、前記中継部材に対して前記装着筒部の軸線回りに沿うノズル周方向に回転可能に配設され、前記噴出孔は、前方に向けて開口するとともに、前記装着筒部の軸線に対して偏心して配置され、前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記噴出孔を前記噴出孔の前方から閉塞し、かつ前記ノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、前記噴出孔を開放する蓋体が、前記中継部材若しくは前記噴出器本体に固定された状態で取付けられている。
【0007】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部をピストンとともに後方へ移動させると、シリンダ内の液体が縦供給筒部内に供給されることで、縦供給筒部および射出筒部それぞれの内圧が上昇し、液体が噴出孔から噴出される。
また、ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、噴出孔を噴出孔の前方から閉塞し、かつノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、噴出孔を開放する蓋体を備えるので、液体を噴出孔から噴出したときに、液体が例えば、噴出孔内に残存したり、ノズル部材の前端部に付着したりしても、ノズル部材を噴出規制位置に位置させた状態で保管している間に、この液体が乾燥して固化し、噴出孔が塞がれるのを抑制することができる。
また、蓋体が、中継部材若しくは噴出器本体に固定された状態で取付けられているので、ノズル部材を噴出規制位置から噴出可能位置に移動させれば、蓋体をノズル部材から離脱する操作を行わなくても、噴出孔が開放されることとなり、操作性の悪化を防ぐことができる。
また、蓋体が、中継部材若しくは噴出器本体に固定された状態で取付けられていることから、ノズル部材を噴出可能位置から噴出規制位置に移動させれば、蓋体をノズル部材に装着する操作を行わなくても、噴出孔が蓋体により閉塞されることとなり、噴出孔を蓋体で閉塞し忘れるのを抑制することができる。
【0008】
ここで、前記ノズル部材は、前記噴出孔の前方に配設されるとともに、前記噴出孔を囲い、かつ内側に外気を導入する外気導入孔が形成された造泡筒を備え、前記蓋体は、前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記造泡筒の前端開口および前記外気導入孔を閉塞し、かつ前記ノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、前記造泡筒の前端開口および前記外気導入孔を開放してもよい。
【0009】
この場合、ノズル部材が造泡筒を備えるので、噴出孔から噴出された液体が、造泡筒内に進入すると造泡筒内が負圧になり、造泡筒に形成された外気導入孔から造泡筒内に外気が導入される。これにより、液体が、造泡筒内で外気と混合されて発泡し、泡状となって造泡筒の前端開口から噴出される。
また、蓋体が、ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、造泡筒の前端開口および外気導入孔を閉塞し、かつノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、造泡筒の前端開口および外気導入孔を開放するので、ノズル部材を噴出規制位置に位置させた状態で保管している間に、噴出孔、外気導入孔、および造泡筒の各内周面などに付着した液体が乾燥して固化するのを抑制することが可能になり、噴出孔が塞がれることだけでなく、外気導入孔が塞がれることも抑制することができる。したがって、噴出孔から造泡筒内に噴出される液体の量、および造泡筒内に導入される外気の量を安定させることが可能になり、噴出される泡体の泡質の悪化を防ぐことができる。
【0010】
また、前記ノズル部材は、噴出規制位置に位置したときに、前記トリガー部に当接若しくは近接することで前記トリガー部の後方移動を規制し、かつ噴出可能位置に位置したときに、前記トリガー部から離れ、前記トリガー部の後方移動を許容する規制部を備えてもよい。
【0011】
この場合、ノズル部材が、噴出規制位置に位置したときに、トリガー部に当接若しくは近接することでトリガー部の後方移動を規制する規制部を備えるので、ノズル部材を噴出規制位置に位置させた状態で保管しているときに、トリガー部に不意に加えられた外力により、噴出器本体の内部に大きな圧力が生ずるのを抑制することができる。
【0012】
また、前記規制部は、前記ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、前記トリガー部に前記トリガー部の後方から当接若しくは近接し、かつ前記噴出器本体のうち、前記トリガー部と前後方向で対向する部分に、この部分の前方から当接若しくは近接してもよい。
【0013】
この場合、規制部が、ノズル部材が噴出規制位置に位置したときに、トリガー部と、噴出器本体のうち、トリガー部と前後方向で対向する部分と、の前後方向の隙間部分に配設されるので、トリガー式液体噴出器の保管、若しくは陳列時等に、規制部がトリガー式液体噴出器から突出する等してかさ張るのを抑制することができる。
また、ノズル部材が噴出可能位置に位置したときに、規制部が、前記隙間部分から退避して、トリガー式液体噴出器から突出することとなり、液体の噴出後、保管する際に、ノズル部材を噴出可能位置から噴出規制位置に移動し忘れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、噴出孔の内面などに付着した液体が固化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1実施形態として示したトリガー式液体噴出器を前方から見た正面図であって、ノズル部材が噴出規制位置に位置した状態を示す図である。
図2図1に示すトリガー式液体噴出器のII−II線矢視断面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態として示したトリガー式液体噴出器を前方から見た正面図であって、ノズル部材が噴出可能位置に位置した状態を示す図である。
図4】本発明に係る第2実施形態として示したトリガー式液体噴出器の一部外観を含む縦断面図であって、ノズル部材が噴出規制位置に位置した状態を示す図である。
図5図4に示すトリガー式液体噴出器を前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図3を参照し、この発明の実施の形態について説明する。本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、容器体A内の液体を吸上げる縦供給筒部10を有し、かつ液体が収容された容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔6が形成されたノズル部材5と、噴出器本体2とノズル部材5とを連結する中継部材4と、を備える。なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0017】
以下、縦供給筒部10の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部10に対してノズル部材5が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0018】
噴出器本体2は、上下方向に延びる縦供給筒部10と、縦供給筒部10の前方に配設され、縦供給筒部10内の液体を噴出孔6側に向けて流通させる射出筒部11と、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部51を有するトリガー機構Tと、縦供給筒部10、射出筒部11および後述するシリンダ53を上方、後方および左右方向から一体に覆うカバー体55と、を備える。
【0019】
縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合された内筒13と、を備える。
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、かつ大径部12aより内径および外径が小さい小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備える。小径部12bの上端開口は、頂壁部12dに塞がれている。
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、かつ大径部13aより内径および外径が小さい小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備える。
【0020】
内筒13の小径部13b内に、容器体A内に配置され、かつ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。内筒13のフランジ部13cと、外筒12のフランジ部12cと、の間に隙間S1が設けられている。
【0021】
内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分に、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ3の上端部内に配設され、装着キャップ3の上端部をその軸線回りに回転可能に係止する。鍔部13dは、装着キャップ3と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
外筒12および内筒13で構成される縦供給筒部10の中心軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方に偏心している。
【0022】
内筒13の上端部内に、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁30が配設されている。
吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の内周面に段差状に形成された弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31および弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備える。
【0023】
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、弁座32に対して密に当接している。弁体33は、内筒13内において、弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断する。弁体33は、中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内において、弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、を連通する。
【0024】
内筒13の内周面のうち、弁座32よりも下方に位置し、かつパイプ15の上端よりも上方に位置する部分に、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。テーパ筒部35は、下方に向かうに従って漸次、縮径している。テーパ筒部35の内側に、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座するボール弁36が配置されている。
ボール弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断する。ボール弁36は、上昇してテーパ筒部35の内周面から離間することで、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通する。
【0025】
射出筒部11は、前後方向に延び、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。射出筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、および内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。内側吐出孔17は、内筒13内において、弁座32よりも上方に位置する空間に開口している。
外筒12において、射出筒部11よりも下方に位置する部分に、前方に向けて突出するシリンダ装着筒40が形成されている。シリンダ装着筒40は、前方に向けて開口している。シリンダ装着筒40の下端部は、外筒12におけるフランジ部12cと一体に形成されている。
【0026】
トリガー機構Tは、トリガー部51の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内を通じて噴出孔6側に向けて流通させる。トリガー機構Tは、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部51と、トリガー部51に連動して前後方向に移動するピストン52と、ピストン52が挿入され、かつ内部が縦供給筒部10内に連通したシリンダ53と、を備える。
【0027】
シリンダ53は、シリンダ装着筒40内に嵌合され、かつ前方に向けて開口した外筒部60と、外筒部60の後端開口を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部から前方に向けて突出するとともに前端が閉塞された有頂筒状のピストンガイド62と、を備える。
外筒部60、ピストンガイド62、およびシリンダ装着筒40は、前後方向に延びるシリンダ軸O2と同軸に配置されている。
【0028】
ピストンガイド62は内側が後方に開口しており、この開口内に、シリンダ装着筒40の後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突出した突部が嵌合されている。
外筒部60の外周面とシリンダ装着筒40の内周面とは、前後方向の両端部において密接している。外筒部60の外周面とシリンダ装着筒40の内周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が設けられている。
【0029】
外筒部60に、外筒部60の内側と前記隙間S2とを連通する第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cに、前記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間の隙間S1と、を連通する第2通気孔64が形成されている。内筒13のフランジ部13cに、前記隙間S1と、内筒13の大径部13aおよび装着キャップ3の内側と、を連通する第3通気孔65が形成されている。
【0030】
シリンダ53の後壁部61に、後方に向けて突出し、前後方向に開口する筒部66が形成されている。筒部66は、後壁部61において、ピストンガイド62より上方に位置する部分に形成されている。筒部66は、シリンダ装着筒40の後壁(外筒12の小径部12b)に形成された貫通孔に嵌合されている。
ここで、内筒13の小径部13bに、筒部66内に連通する第2貫通孔67が形成されている。第2貫通孔67は、内筒13内において、弁座32よりも下方に位置し、かつテーパ筒部35よりも上方に位置する空間に開口している。
【0031】
以上より、シリンダ53内と縦供給筒部10内とが、筒部66の内側、および第2貫通孔67を通して連通している。また、吐出弁30は、射出筒部11内とシリンダ53内との連通およびその遮断を切換え、ボール弁36は、容器体A内とシリンダ53内との連通およびその遮断を切換える。
【0032】
シリンダ53の上端部に、上方に向けて突出し、かつ後方に向けて延びる装着突部53aが配設されている。装着突部53aと外筒部60の外周面との間に隙間が設けられている。装着突部53aは、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。装着突部53aにおける左右方向の中央部に、後方に向けて開口し、かつ上下方向に貫き、前後方向に延びる細孔が形成されている。この細孔には、シリンダ装着筒40の上端部と、射出筒部11の後部における下端部と、を連結し、かつ表裏面が左右方向を向く差込板115が差し込まれている。
【0033】
ピストン52は、トリガー部51に連結された円柱状の連結部70と、連結部70より後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。ピストン52は、シリンダ軸O2と同軸に配置されている。
【0034】
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、かつ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、かつ外筒部60の内周面に密に摺接する摺動筒部73と、を備える。
ピストン本体部72の内径は、ピストンガイド62の外径より大きい。ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間に隙間が設けられている。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうに従って漸次、拡径しており、前後方向の両端部に位置するリップ部が外筒部60の内周面に対して摺動する。
【0035】
ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、ピストン52は、トリガー部51とともに後述する弾性板部54により前方に付勢され、かつトリガー部51の後方への移動に伴って後方に移動してシリンダ53内に押し込まれる。
【0036】
トリガー部51が最前方移動位置に位置しているときに、ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への移動によってピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、前記隙間S1、第2通気孔64、前記隙間S2および第1通気孔63を通じて外部に連通する。
【0037】
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部80と、主板部80の左右方向の両端部から後方に向けて突出する一対の側板部81と、を備える。
【0038】
一対の側板部81の上端部には、上方に延び、射出筒部11を左右方向に挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて突出する回転軸部83が各別に設けられている。回転軸部83は、射出筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた軸受け部に回動可能に支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。
【0039】
主板部80の上端部に、後方に向けて延びる連結筒85が形成されている。連結筒85の内周面の後部に、連結筒85の内側に向けて左右方向に突出した一対の連結軸86が形成されている。連結軸86は、ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51とピストン52とが、互いに連結されている。
ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、かつ上下方向に所定量だけ移動可能に連結されている。
【0040】
射出筒部11の上面には、縦供給筒部10における外筒12の頂壁部12dに連結された水平板状の前記上板部材84が取付けられている。
上板部材84における左右方向の両端部に、左右方向から見た側面視で前方に突の円弧状を呈し、射出筒部11の下方まで延びる弾性板部54が形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で同心の円弧状を呈し、前後に並ぶ一対の板ばねを備える。
【0041】
一対の板ばねの各下端部は、左右方向から見た側面視で下方に向けて突の円弧状を呈する折返し部を介して接続されている。折返し部に、下方に向けて突出する係止片54dが形成されており、この係止片54dがトリガー部51の側板部81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれている。
これにより、弾性板部54は、係止片54dおよびポケット部81aを介してトリガー部51を前方に付勢している。
【0042】
トリガー部51の主板部80の上端部は、弾性板部54による付勢によって後述する中継部材4における隔壁90の下端部に対して後方から当接している。これにより、トリガー部51は最前方移動位置に位置決めされている。
トリガー部51が後方に引かれて最前方移動位置から移動すると、係止片54dが後方に移動し、弾性板部54が弾性変形する。このとき、係止片54dは、ポケット部81aに対して上昇しつつも、ポケット部81aへの係合状態を維持する。
【0043】
中継部材4は、噴出器本体2に対して前方から組み合わされている。中継部材4は、射出筒部11に対して前方から組み合わされ、噴出器本体2から前方に突出している。中継部材4は、射出筒部11の前端開口を前方から覆う隔壁90と、隔壁90から後方に向けて延び、射出筒部11に外嵌された外嵌筒部91と、隔壁90から前方に向けて延び、ノズル部材5が装着された第1装着筒部92と、隔壁90のうち、第1装着筒部92の内側に位置する部分から前方に向けて延びるガイド軸部94と、を備える。
【0044】
隔壁90、およびカバー体55の前端縁それぞれの前後方向の位置は、互いに同等になっている。第1装着筒部92、およびガイド軸部94は、前後方向に延びる中心軸線O3と同軸に配設されている。中心軸線O3は、射出筒部11の中心軸線より下方に位置している。
以下、前後方向から見て、中心軸線O3に交差する方向をノズル径方向といい、中心軸線O3回りに周回する方向をノズル周方向という。
【0045】
第1装着筒部92における前後方向の中間部に、ノズル径方向の外側に向けて突出し、全周にわたって延びる取付フランジ部106が形成されている。
ガイド軸部94は、前端部が閉塞され、かつ後方に開口した有頂筒状に形成されている。ガイド軸部94は第1装着筒部92よりも前方に突出することなく、第1装着筒部92の内側に収まるように形成されている。
なお、ガイド軸部94の形状はこの場合に限定されるものではなく、例えば中実の円柱状に形成しても構わない。
【0046】
隔壁90のうち、ガイド軸部94の上方に位置し、かつ第1装着筒部92の内側に位置する部分に、射出筒部11内に連通する連通孔95が形成されている。これにより、ガイド軸部94と第1装着筒部92との間に画成された環状空間96は、連通孔95を通じて射出筒部11内に連通している。
ガイド軸部94における前端部側の外周面に、前後方向に延びるとともに前方に向けて開口する第1切換溝97が形成されている。第1切換溝97はノズル周方向に等間隔をあけて2つ形成されている。ただし、第1切換溝97の数は2つに限定されるものではなく、例えば1つ或いは3つ以上形成されていても良い。
【0047】
ノズル部材5は、第1装着筒部92を介して中継部材4に装着されることで、中継部材4に対して前方から組み合わされている。ノズル部材5は、中継部材4に対して中心軸線O3回りに回転可能に装着されている。
【0048】
ノズル部材5は、ガイド軸部94の前端面、および第1装着筒部92の前端開口を前方から覆うノズル壁部100と、ノズル壁部100から後方に向けて延び、第1装着筒部92に対して前方に抜け止めされた状態で回転可能に外嵌された第2装着筒部101と、ノズル壁部100のうち、第2装着筒部101の内側に位置する部分から後方に向けて延び、ガイド軸部94に回転可能に外嵌された第2嵌合筒部102と、ノズル壁部100から後方に向けて延び、第1装着筒部92の内側に中心軸線O3回りに回転可能に嵌合したサポート筒部105と、ノズル壁部100から前方に突出したノズルチップ107と、ノズル壁部100から前方に突出しノズルチップ107をノズル径方向の外側から囲うキャップ装着筒部108と、キャップ装着筒部108内に嵌合され、ノズルチップ107の前端面を前方から覆うノズルキャップ109と、を備える。
【0049】
ノズル壁部100の後面と、ガイド軸部94の前端面と、の間に、第1切換溝97が開口する隙間110が設けられている。ノズル壁部100に、隙間110に開口する接続孔111が形成されている。
ノズルチップ107は、中実の柱状に形成され、中心軸線O3に対して上方に偏心して配設されている。ノズルチップ107の外周面に、前後方向の全長にわたって延び、接続孔111に連通するノズル連通溝112が形成されている。
ノズルキャップ109は、前方が閉塞された有頂筒状に形成され、その頂壁に前後方向に貫く噴出孔6が形成されている。噴出孔6は、中心軸線O3に対して上方に偏心して配設されている。噴出孔6は、ノズルチップ107のノズル連通溝112、ノズル壁部100の接続孔111、および隙間110を通して、ガイド軸部94の第1切換溝97に連通している。
【0050】
第2装着筒部101は、ノズル壁部100の外周縁部に配設されている。第2装着筒部101の後端開口縁は、第1装着筒部92の取付フランジ部106の前面に当接若しくは近接している。
第2嵌合筒部102は、ガイド軸部94の第1切換溝97を全域にわたってノズル径方向の外側から覆っている。第2嵌合筒部102の後端縁は、第1切換溝97より後方に位置している。第2嵌合筒部102の内周面に、前後方向に延びるとともに、後方に開口する第2切換溝103が形成されている。第2切換溝103は、環状空間96に開口している。第2切換溝103はノズル周方向に等間隔をあけて2つ形成されている。なお、第2切換溝103の数は2つに限定されるものではなく、例えば1つ或いは3つ以上形成されていても良く、第1切換溝97に対応して配置することが好ましい。
【0051】
ノズル部材5および中継部材4のノズル周方向の相対位置を変えることで、第1切換溝97と第2切換溝103との連通、およびその遮断が切替えられるようになっている。すなわち、ノズル部材5は、中継部材4に、液体の噴出が可能となる噴出可能位置と、液体の噴出が規制される噴出規制位置と、の間を、ノズル周方向に回転可能に配設されている。
なお、ノズル部材5が噴出規制位置に位置すると、第1切換溝97と第2切換溝103との連通が遮断され、ノズル部材5の第2嵌合筒部102と、中継部材4のガイド軸部94と、の間がシールされる。したがって、ノズル部材5を噴出規制位置に位置させた状態で保管しているときに、例えば環境温度の上昇、および容器体Aに加えられた押圧力などに起因して、噴出器本体2の内圧が上昇しても、噴出孔6から液体が漏出するのを防ぐことができる。
【0052】
さらにノズル部材5は、噴出孔6の前方に配設されるとともに、噴出孔6を囲い、かつ内側に外気を導入する外気導入孔26が形成された造泡筒27と、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、トリガー部51に当接若しくは近接することでトリガー部51の後方移動を規制し、かつノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、トリガー部51から離れ、トリガー部51の後方移動を許容する規制部28と、を備える。
【0053】
造泡筒27は、キャップ装着筒部108に外嵌されている。前方から見て、造泡筒27およびノズル壁部100は円形状を呈し、造泡筒27は、ノズル壁部100に内接するように配設されている。
外気導入孔26は、前後方向に延び、造泡筒27の前面に開口し、かつ造泡筒27の内側において、ノズルキャップ109より前方に位置する通過孔27aに連通している。外気導入孔26は、噴出孔6回りに間隔をあけて複数配設されている。
【0054】
規制部28は、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、シリンダ53にシリンダ53の前方から当接若しくは近接し、ノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、シリンダ53から離れる。規制部28は、トリガー部51の後部と、シリンダ53の前端開口縁の下端部と、の間に配設されている。規制部28は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。規制部28は、上下方向から見て、一対の辺が前後方向に延び、かつ残り一対の辺が左右方向に延びる矩形状を呈する。規制部28の側面のうち、前方を向く前面がトリガー部51に当接若しくは近接し、後方を向く後面がシリンダ53の前端開口縁に当接若しくは近接している。前方から見て、規制部28の左右方向の中央部は、トリガー部51およびシリンダ53それぞれの左右方向の中央部に対して右側にずれている。なお、前方から見て、規制部28の左右方向の中央部を、トリガー部51およびシリンダ53それぞれの左右方向の中央部に対して左側にずらしてもよい。
【0055】
規制部28は、第2装着筒部101に連結部29を介して連結されている。連結部29は、第2装着筒部101から下方に向けて延びる第1連結部29aと、規制部28から前方に向けて延びる第2連結部29bと、を備える。
【0056】
第1連結部29aは、第2装着筒部101の下端部から下方に向けて延びている。第1連結部29aは、トリガー部51より前方に配置されている。第1連結部29aの下部は、前方から見てトリガー部51より右側に位置している。
第2連結部29bは、第1連結部29aの下端部から後方に向けて延びている。第2連結部29bは、規制部28における右側の端部に連結されている。第2連結部29bは、トリガー部51より右側に位置している。第2連結部29bの前後方向の長さは、第1連結部29aの上下方向の長さと同等になっている。
【0057】
さらにトリガー式液体噴出器1は、被覆筒部材20を備える。
被覆筒部材20は、内側に第2装着筒部101が中心軸線O3回りに回転可能に嵌合された本体筒21と、本体筒21の後端部から後方に向けて突出し、第1装着筒部92の取付フランジ部106をノズル径方向の外側から囲う固定部22と、本体筒21の前端部に配設された蓋体23と、を備える。
【0058】
本体筒21に、第1連結部29aが挿通された窓孔21aが形成されている。窓孔21aは、本体筒21における前後方向の全長にわたって形成されている。窓孔21aはノズル周方向に延びており、ノズル部材5が、噴出規制位置と噴出可能位置との間を移動するのに伴い、第1連結部29aが窓孔21aの内側を移動する。
本体筒21の内側に、造泡筒27が、前方から見て本体筒21に内接するように配設されている。本体筒21の後端開口縁は、取付フランジ部106の前面に当接若しくは近接している。
【0059】
固定部22は、中心軸線Oと同軸に配設された矩形枠状に形成され、前方から見て本体筒21が内接するように配設されている。固定部22は、全周にわたって連続して延びている。固定部22の後端開口縁は、カバー体55の前端縁に前後方向で近接している。固定部22に、ノズル径方向の内側に向けて突出し、取付フランジ部106の後面に当接若しくは近接する係止突片24が形成されている。係止突片24と、本体筒21の後端開口縁と、により、取付フランジ部106が前後方向に挟まれることで、被覆筒部材20が、中継部材4に固定状態で取付けられている。係止突片24は、固定部22の角部に形成されている。
なお、被覆筒部材20は、噴出器本体2に固定状態で取付けられてもよい。
【0060】
蓋体23は、本体筒21の上端部から下方に向けて突出している。蓋体23は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されている。蓋体23は、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、噴出孔6を噴出孔6の前方から閉塞し、かつノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、噴出孔6を開放する。図示の例では、蓋体23は、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、造泡筒27の通過孔27aの前端開口および外気導入孔26を閉塞し、かつノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、通過孔27aの前端開口および外気導入孔26を開放する。蓋体23の後面に、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、通過孔27aの前端開口に着脱可能に嵌められる膨出部が形成されている。
【0061】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填されているものとする。
【0062】
まず、ノズル部材5を、中継部材4に対して中心軸線O3を中心に反時計回りに回転させ、図1および図2に示される噴出規制位置から、図3に示される噴出可能位置に移動させる。これにより、第1切換溝97と第2切換溝103とが連通する。
この際、造泡筒27が、蓋体23に対して中心軸線O3回りに回転することで、通過孔27aの前端開口および外気導入孔26が開放される。図示の例では、通過孔27aの前端開口および外気導入孔26は、前方から見て、蓋体23に対して左斜め下に移動して開放される。さらにこの際、規制部28が、トリガー部51の後部と、シリンダ53の前端開口縁の下端部と、の間から退避され、前方から見てカバー体55から右側に突出する。
【0063】
そして、トリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴ってピストン52が後退するので、シリンダ53内の液体が、筒部66の内側および第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13に導入される。すると、内筒13に導入された液体は、ボール弁36を押し下げて閉弁させるとともに、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、液体が、加圧された状態で内側吐出孔17および外側吐出孔16を通じて射出筒部11内に供給される。
【0064】
すると、射出筒部11内に供給された液体は、連通孔95、環状空間96、第2切換溝103、第1切換溝97、隙間110、接続孔111、およびノズル連通溝112を通じて噴出孔6に到達し、噴出孔6から造泡筒27の通過孔27a内に噴出される。この際、通過孔27a内が負圧になり、造泡筒27内に外気導入孔26を通して外気(空気)が導入され、液体が、通過孔27a内で外気と混合されて発泡して泡状となり、通過孔27aの前端開口から噴出される。
【0065】
液体の噴出後、トリガー部51を解放すると、弾性板部54の復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴ってピストン52が前方移動する。そのため、シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によって、吐出弁30が閉弁した状態で、ボール弁36が上昇して開弁し、容器体A内の液体が、パイプ15を通じて縦供給筒部10に吸い上げられ、第2貫通孔67および筒部66の内側を通してシリンダ53内に導入される。
【0066】
そして、ノズル部材5を、中継部材4に対して中心軸線O3を中心に時計回りに回転させ、図3に示される噴出可能位置から、図1および図2に示される噴出規制位置に移動させる。これにより、第1切換溝97と第2切換溝103との連通が遮断される。
この際、造泡筒27が、蓋体23に対して中心軸線O3回りに回転することで、通過孔27aの前端開口および外気導入孔26が、蓋体23により閉塞される。さらにこの際、規制部28が、トリガー部51の後部と、シリンダ53の前端開口縁の下端部と、の間に進入し、トリガー部51の後部、およびシリンダ53の前端開口縁に当接若しくは近接する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、噴出孔6を噴出孔6の前方から閉塞し、かつノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、噴出孔6を開放する蓋体23を備えるので、液体を噴出孔6から噴出したときに、液体が例えば、噴出孔6内に残存したり、ノズル部材5の前端部に付着したりしても、ノズル部材5を噴出規制位置に位置させた状態で保管している間に、この液体が乾燥して固化し、噴出孔6が塞がれるのを抑制することができる。
【0068】
また、蓋体23が、中継部材4に固定された状態で取付けられているので、ノズル部材5を噴出規制位置から噴出可能位置に移動させれば、蓋体23をノズル部材5から離脱する操作を行わなくても、噴出孔6が開放されることとなり、操作性の悪化を防ぐことができる。
また、蓋体23が、中継部材4に固定された状態で取付けられていることから、ノズル部材5を噴出可能位置から噴出規制位置に移動させれば、蓋体23をノズル部材5に装着する操作を行わなくても、噴出孔6が蓋体23により閉塞されることとなり、噴出孔6を蓋体23で閉塞し忘れるのを抑制することができる。
【0069】
また、蓋体23が、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、造泡筒27の通過孔27aの前端開口、および外気導入孔26を閉塞し、かつノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、通過孔27aの前端開口、および外気導入孔26を開放するので、ノズル部材5を噴出規制位置に位置させた状態で保管している間に、噴出孔6、外気導入孔26、および通過孔27aの各内周面などに付着した液体が乾燥して固化するのを抑制することが可能になり、噴出孔6が塞がれることだけでなく、外気導入孔26が塞がれることも抑制することができる。したがって、噴出孔6から造泡筒27の通過孔27aに噴出される液体の量、および通過孔27aに導入される外気の量を安定させることが可能になり、噴出される泡体の泡質の悪化を防ぐことができる。
【0070】
また、ノズル部材5が、噴出規制位置に位置したときに、トリガー部51に当接若しくは近接することでトリガー部51の後方移動を規制する規制部28を備えるので、ノズル部材5を噴出規制位置に位置させた状態で保管しているときに、トリガー部51に不意に加えられた外力により、噴出器本体2の内部に大きな圧力が生ずるのを抑制することができる。したがって、ノズル部材5を噴出規制位置に位置させた状態で保管しているときに、トリガー部51に不意に外力が加えられても、例えば、ノズル部材5が中継部材4から外れたり、ノズル部材5の第2嵌合筒部102と、中継部材4のガイド軸部94と、の間のシール性を確保できなくなったりするのを抑制することができる。
【0071】
また、規制部28が、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、トリガー部51とシリンダ53との前後方向の隙間部分に配設されるので、トリガー式液体噴出器1の保管、若しくは陳列時等に、規制部28がトリガー式液体噴出器1から突出する等してかさ張るのを抑制することができる。
また、ノズル部材5が噴出可能位置に位置したときに、規制部28が、トリガー部51とシリンダ53との前後方向の隙間部分から退避して、トリガー式液体噴出器1から突出することとなり、液体の噴出後、保管する際に、ノズル部材5を噴出可能位置から噴出規制位置に移動し忘れるのを抑制することができる。
【0072】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0073】
本実施形態のトリガー式液体噴出器7では、図4および図5に示されるように、本体筒21の後部に、前後方向の大きさが、第1連結部29aにおける第2装着筒部101との接続部分の前後方向の大きさと同等の窓孔21bが形成されている。固定部22において、窓孔21bに前後方向で連なる部分に、ノズル周方向の長さが窓孔21bと同じ間欠部22aが形成されている。
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器7によれば、固定部22に間欠部22aが形成されているので、被覆筒部材20を中継部材4に容易に取付けることができる。
【0074】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0075】
例えば、前記実施形態では、ノズル部材5を、噴出規制位置から噴出可能位置に移動したときに、通過孔27aの前端開口が、前方から見て、中心軸線O3の左側に位置した構成を示したが、ノズル部材5を、噴出規制位置から噴出可能位置に移動したときに、通過孔27aの前端開口が、前方から見て、ノズル壁部100における左右方向の中央部に位置するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、ノズル部材5が、造泡筒27および規制部28を備える構成を示したが、これら27、28を有しないノズル部材を採用してもよい。
【0076】
また、前記実施形態では、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、規制部28が、シリンダ53にシリンダ53の前方から当接若しくは近接した構成を示したが、規制部28は、噴出器本体2のうち、トリガー部51と前後方向で対向する部分に、この部分の前方から当接若しくは近接してもよい。例えば、外筒12に、大径部12aから前方に向けて突出する突部を形成し、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、規制部28が、前記突部にこの突部の前方から当接若しくは近接するようにしてもよい。
また、ノズル部材5は、内部空間の圧力が所定値を超えたときに、開閉弁が開いて噴出孔6から液体が噴出される、蓄圧機構を備えてもよい。
【0077】
前記実施形態では、ノズル部材5が噴出規制位置に位置したときに、第1切換溝97と第2切換溝103との連通を遮断して、ノズル部材5の第2嵌合筒部102と、中継部材4のガイド軸部94と、の間をシールするだけでなく、規制部28が、トリガー部51に当接若しくは近接することでトリガー部51の後方移動を規制することによって、液体の噴出を規制したが、第2嵌合筒部102とガイド軸部94との間のシール、およびトリガー部51の後方移動の規制のうちのいずれか一方だけを行うことで、液体の噴出を規制してもよい。
【0078】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、7 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
4 中継部材
5 ノズル部材
6 噴出孔
10 縦供給筒部
11 射出筒部
23 蓋体
26 外気導入孔
27 造泡筒
28 規制部
51 トリガー部
52 ピストン
53 シリンダ
92 装着筒部(第1装着筒部)
A 容器体
T トリガー機構
O3 軸線(中心軸線)
図1
図2
図3
図4
図5