特許第6971214号(P6971214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971214
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】有機半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/46 20060101AFI20211111BHJP
   H01L 51/42 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01L31/04 154C
   H01L31/04 154E
   H01L31/04 154D
   H01L31/04 154B
   H01L31/08 T
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-203682(P2018-203682)
(22)【出願日】2018年10月30日
(62)【分割の表示】特願2016-522406(P2016-522406)の分割
【原出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-54256(P2019-54256A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年11月28日
(31)【優先権主張番号】102013106639.9
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512286163
【氏名又は名称】ヘリアテク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HELIATEK GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ワイス, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント, ダーク
(72)【発明者】
【氏名】ガーデス, オルガ
(72)【発明者】
【氏名】マッターステイク, グンター
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0231125(US,A1)
【文献】 特開2008−109097(JP,A)
【文献】 特表2009−505440(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/126052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42−51/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層系の少なくとも1つの層が光吸収層であり、前記光吸収層が以下の一般式IまたはIIの化合物を含む、1つの層系を有する太陽電池であって、
【化1】
R3,R4,およびR5は、互いに独立したH、またはアリール,アルキル,フッ化または部分フッ化アルキル,不飽和アルキルから選択された1つの基であり、
R8とR9は互いに独立した、ハロゲン,アルキル,フッ化あるいは部分フッ化アルキル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,アリール,またはヘテロアリールから選択したものであり、
R1とR2、およびR6とR7は、それぞれ一緒に、SおよびOから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環の5員環を形成し、またはR1とR2、およびR6とR7は、さらなる融合の無い単素環の6員環を形成する、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式IまたはIIの化合物において、単素環上の残りの4つの結合部位の少なくとも3つは非置換のままであり、前記一般式IまたはIIの化合物は、ドナー-アクセプター-ヘテロ接合のドナーである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
R1とR2、およびR6とR7によって形成された複素環の5員環は、互いに独立して、以下の式の1つから選択される、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池。
【化3】
(式中、
*で示された部分は、前記一般式IまたはIIのR1,R2,R6,またはR7への結合部位を表し、
X,Y,およびZは、互いに独立して、SおよびOから選択され、
R10〜R17は、互いに独立して、水素、アルキル,アルキニル,アルケニル,O−アルキル,S−アルキル,アリール,ヘテロアリール,ハロゲン化アルキル,シアン化アルキルから選択される。)
【請求項4】
R1とR2、およびR6とR7から形成された単素環の6員環は、以下の式の化合物の1つから選択される、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池。
【化4】
(式中、
*で示された部分は、前記一般式IまたはIIのR1,R2,R6,またはR7への結合部位を表し、
R19〜R22は、互いに独立して、水素、アルキル,アルキニル,アルケニル,O−アルキル,S−アルキル,アリール,ヘテロアリール,ハロゲン化アルキル,シアン化アルキルから選択される。)
【請求項5】
R4はアリール,アルキル,フッ化または部分フッ化アルキル,または不飽和アルキルから選択された1つの基である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項6】
R4はフッ化または部分フッ化アルキルから選択された1つの基である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記一般式Iの化合物の大きさは、300〜1500g/molのモル質量を有する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記化合物は下記式のいずれかである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【請求項9】
前記一般式IまたはIIの少なくとも1つの化合物に加えて、前記層系には電荷担体輸送層が存在しており、当該電荷担体輸送層は、ドーピングされているか,部分的にドーピングされているか,またはドーピングされていない、請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記光吸収層が混合層として構成され、当該混合層がバルクヘテロ接合である、請求項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記太陽電池が、タンデムセル,またはマルチセルとして構成されている、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電極の間に少なくとも1つの有機層を備える有機電子デバイスに関し、ここでこの有機層は、ここで提示するBODIPYのグループの少なくとも1つの化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
低分子化合物あるいは高分子化合物をベースにした有機半導体は、電気産業の多くの領域で使用が増大すると見込まれている。この際、省エネルギーの加工性,より良好な基板互換性,およびより広いバリエーションの可能性といった有機化学の利点は有益である。有機エレクトロニクスの例として、一般的な電子回路の他に、OLED,OPV,光検出器,およびOFETがある。
【0003】
有機電子材料は、概ねドーパントとそれ自体が半導体のものに分けられる。ドーパントと基材層が一緒に取り付けられた場合(たとえば共蒸着)、ドーパントは基材層の電気特性を変更するが、これらのドーパントと基材層自体は必ずしも半導体である必要はない。これに対して有機半導体材料は、それ自体既に半導体である。有機半導体は、たとえば電荷輸送,電磁波吸収または放出のような、電子部品における様々な機能を実現することができ、この際1つ以上の機能を同時に満たすことができる。
【0004】
さらに、フレキシブルな構造となっている、有機活性層(複数)を有する太陽電池セル(コナルカ社のパワープラスチック製品群)も知られている。これらの有機活性層は、ポリマー(たとえば特許文献1参照)または小分子(たとえば特許文献2参照)から形成することができる。ポリマーは、これらが蒸着不可能であり、したがって溶液によってのみ塗布可能であるのに対して、小分子は蒸着可能である。
【0005】
従来の非有機ベース(シリコン,ガリ砒素等の半導体)のデバイスに対する、このような有機ベースのデバイスの利点の1つは、極めて高い光吸収係数(2×10cm−1に達する)であり、したがって僅かな材料とエネルギーの使用で極めて薄い太陽電池セルの製造を可能とすることである。さらなる技術的特徴は、低価格であること、プラスチック薄膜でフレキシブルな大面積のデバイスが製造できること、そしてほぼ制限の無い変形実施の可能性と制限の無い有機化学の適用性である。
【0006】
有機太陽電池は、有機材料の薄層(典型的にはそれぞれ厚さ1nm〜1μmである)の配列から成っており、これらの有機材料は好ましくは真空蒸着されるか、または溶液がスピンコーティングされる。電気的接合部は金属層,透明導電性酸化物(TCOs),および/または透明導電性ポリマー(PEDOT−PSS,PANI)によって実現することができる。
【0007】
太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換する。これに関連して「光活性」なる用語は、光エネルギーを電気エネルギーに変換することを意味する。非有機太陽電池セルとは対照的に、有機太陽電池セルの場合は、光によって直接電荷キャリアが生成されるのではなく、まずエキシトン、すなわち電気的に中性な励起状態(束縛された電子−ホール対)が形成される。漸く第2のステップにおいて、これらのエキシトンは、自由電荷キャリアに分離され、これらはこうして電流フローに寄与する。
【0008】
マルチセル太陽電池においては、個々の積層されたセルは、通常直列に接続されており、したがって最も小さな電流を生成するセルがシステム全体を制限する。しかしながら全太陽光スペクトルを利用することができるためには、異なる波長で吸収し、かつエネルギー的に組み合わせ可能な複数の化合物が必要である。
【0009】
現在特に非重合化合物の範疇では、650〜1400nmの領域において、ほんの少数のIR吸収体が有機オプトエレクトロニクス用に知られているのみである。IR吸収体は、非常に注目されているが、これはこのIR吸収体が、非可視領域の光を吸収し、かつこのため観察者には透明に見えるからであり、あるいは有色吸収体と組み合わせて太陽光スペクトルの広い領域を利用することができるからである。
【0010】
特許文献3は、ヘキサアリーレンテトラカルボン酸ジイミドおよびペンタアリーレンテトラカルボン酸ジイミドを太陽光発電における活性成分として記載している。特許文献4は、リレンテトラカルボン酸誘導体および、これを有機電界効果トランジスタおよび太陽電池の製造用のn型の有機半導体として使用することに関するものである。特許文献5は、置換されたカルボキシフタロシアニンおよび、これを太陽電池における活性成分として使用することに関するものである。
【0011】
特許文献6は、BODIPYを基本構造としたものをベースにした蛍光化合物を記載しており、またこれらの記載された化合物を蛍光色素として使用することを記載している。これに記載されたBODIPY(複数)を半導体デバイスまたはオプトエレクトロニクスデバイスにおける吸収体または輸送層の成分として使用することは記載されていない。
【0012】
従来技術で知られているIR色素は、部分的には満足できるものではない。これはたとえばその加工性が十分ではないことであり、真空蒸着のための熱安定性が無いことであり、薄層における全く充分でない吸収強度(たとえば層成長での不適合な主配向または小さすぎるモル吸光係数による)であること、光安定性が小さすぎること、吸収された照射光の利用のための十分な輸送特性を提供しないことであり、あるいはエネルギー的にデバイスに適さないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7825326B2号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2385556A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/111511号
【特許文献4】国際公開第2007/116001号
【特許文献5】国際公開第2008/145172号
【特許文献6】国際公開第2007/126052号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、ここで、有機エレクトロニクスでの使用に適用することができ、かつ上述の欠点を克服するIR吸収体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題は、請求項1に記載の半導体デバイスによって解決され、また請求項12に記載の化合物の使用によって解決される。本発明の特別な実施形態が従属請求項に記載されている。
【0016】
本発明によれば、半導体デバイスは、1つの層系における少なくとも1つの層は以下の一般式IまたはIIの化合物を含む。
【化1】

I II
ここで、
R1およびR2,および/またはR6およびR7は、それぞれ一緒に、S,O,NまたはPから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環の5員環または6員環、または単素環の、さらなる融合の無い6員環を形成し、またもしR1とR2またはR6とR7が複素環基または単素環基を全く形成しない場合は、これらは互いに独立した1つのHまたは他の基の1つであり、
R3,R4,およびR5は、互いに独立したH、またはアリール,アルキル,フッ化アルキルまたは部分フッ化アルキル,不飽和アルキルから選択された1つの基であり、
R8とR9は互いに独立して、ハロゲン,アルキル,フッ化あるいは部分フッ化アルキル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,アリール,またはヘテロアリールから選択したものである。
【0017】
本発明の1つの実施形態においては、半導体のデバイスは、1つの層系における少なくとも1つの層は以下の一般式IIの化合物を含む。
【化2】


ここでR1およびR2,および/またはR6およびとR7は、それぞれ一緒に、S,O,NまたはPから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環の5員環または6員環、または単素環の、さらなる融合の無い6員環を形成し、またもしR1とR2またはR6とR7が複素環基または単素環基を全く形成しない場合は、これらは互いに独立した1つの酸素または他の基の1つであり、
R3,R4,およびR5は、互いに独立して、水素または、アリール,アルキル,フッ化アルキル,不飽和アルキルから選択した1つの基であり、
R8とR9は互いに独立した、ハロゲン,アルキル,アルケニル,アルキニル,アルコキシ,アリール,またはヘテロアリールから選択したものである。
【0018】
本発明の1つの実施形態においては、上記の一般式IまたはIIの化合物において、R1とR2および/またはR6とR7はそれぞれ一緒に、S,O,N,またはPから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環の5員環または6員環を形成する。
【0019】
本発明の1つの実施形態においては、R1およびR2も、またR6およびR7もそれぞれ一緒に、S,O,N,またはPから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を有する複素環の5員環または6員環を形成する。
【0020】
本発明の1つの実施形態においては、R1とR2も、またR6とR7もそれぞれ一緒に、単素環の、さらなる融合の無い6員環を形成する。ここでは「さらなる融合の無い」ということは、R1とR2および/またはR6とR7への結合部位(複数)を除き、全ての基のペアがさらなる単素環または複素環を形成しないことを意味する。好ましくは、この単素環の残っている4個の結合部位では、少なくとも3個が無置換となっている。
【0021】
本発明の1つの実施形態においては、R4はアリール,アルキル,フッ化アルキルまたは部分フッ化アルキル,または不飽和アルキルであり、好ましくはしかしながらR4は、フッ化アルキルまたは部分フッ化アルキルである。
【0022】
本発明の1つの実施形態においては、上記の一般式Iの化合物は、300〜1500g/molの大きさである。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、R1とR2および/またはR6とR7によって形成された複素環の5員環または6員環は、以下の式の1つから選択される。R1とR2も、またR6とR7も1つの環を形成する場合、これら2つの環は同じであってよく、また異なっていてよい。
【化3】

上記の式の*で示された部分は、一般式IまたはIIのR1,R2,R6,またはR7への結合部位を表す。X,Y,およびZは、互いに独立して、O,S,Se,または水素またはアルキルから選択されたR18を有するN−R18から選択され、R10〜R17は、互いに独立して、水素、アルキル,アルキニル,アルケニル,O−アルキル,S−アルキル,アリール,ヘテロアリール,ハロゲン化アルキル,シアン化アルキルから選択されている。
【0024】
本発明の1つの実施形態においては、R1とR2および/またはR6とR7から形成された単素環の、さらなる融合の無い6員環は、以下の式の化合物の1つから選択される。R1とR2も、またR6とR7も1つの環を形成する場合、これら2つの環は同じであってよく、また異なっていてよい。
【化4】
上記の式の*で示された部分は、一般式IまたはIIのR1,R2,R6,またはR7への結合部位を表す。R19〜R22は、互いに独立して、水素、アルキル,アルキニル,アルケニル,O−アルキル,S−アルキル,アリール,ヘテロアリール,ハロゲン化アルキル,シアン化アルキルから選択されている。
【0025】
本発明の1つの実施形態においては、R10〜R17にアリールまたはアリール基を有し、またはR19〜R22に、アリールまたはヘテロアリールのドナー特性を高めるさらなる基を有し、好ましくはアルキル,O−アルキル,N−(アルキル)またはN−シクロアルキルを有する。
【0026】
上記の一般式(I)の本発明での好ましい化合物を以下に示す。
【化5】

【化6】

【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0027】
上記の一般式IまたはIIの本発明での化合物は、600〜900nmの波長領域における赤色光または近赤外光を吸収する。驚くべきことに、これらはさらに加えて、半導体デバイスに使用できるための充分な輸送特性を有していることが見出された。こうして僅かな変化により、このデバイスの層系にエネルギー的に適合させることができる。これにより人間の目にはほぼ透明に見える半導体デバイスとなり、他の吸収材料と組み合わせて効率が改善されたタンデム型太陽電池を製造することができる。
【0028】
通常上記の一般式IまたはIIの化合物は、熱的には300℃を越えるまで安定であり、真空中で熱的に蒸発させることにより分解すること無しに層に加工することができる。加えて本発明による化合物を用いて、ヘテロジャンクションで吸収されたエネルギーを、アクセプター特性を有する分子(たとえばフラーレンC60)を用いて自由電荷担体対に、かつ最終的に電気的エネルギーに転換し、利用することができる。
【0029】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスは、オプトエレクトロニクスデバイスであり、たとえば太陽電池,(場合により光感受性の)OFET,または光検出器である。オプトエレクトロニクスとは、広い意味で、入射する光を電気エネルギーあるいは電流信号あるいは電圧信号に変換し、または電気エネルギーを発光に転換することができる。
【0030】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスは、光活性デバイスであり、好ましくは太陽電池である。
【0031】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスは、太陽電池または光検出器であり、かつ上記の一般式IまたはIIの本発明による化合物が吸収材料として光吸収層系に使用されている。
【0032】
本発明の1つの実施形態においては、上記の一般式IまたはIIによる化合物は、ドナー−アクセプター−ヘテロジャンクションにおけるドナーとして使用されている。
【0033】
光活性な領域は、少なくとも1つのアクセプター材料と接合する少なくとも1つの有機ドナー材料を含み、ここでこのドナー材料およびアクセプター材料は、1つのドナー−アクセプター−ヘテロジャンクションを形成し、またここでこの光活性領域は、上記の一般式IまたはIIの少なくとも1つの化合物を含む。
【0034】
適合するアクセプター材料は、好ましくは、フラーレンおよびフラーレン誘導体,ポリサイクリック芳香族炭化水素およびその誘導体,特にナフタリンおよびその誘導体,リレン,特にペリレン,テリレン,およびクアテリレン,およびこれらの誘導体,アセン,特にアントラセン,テトラセン,とりわけルブレン,ペンタセン,およびこれらの誘導体,ピレン,およびその誘導体,キノン,キノンジメタン,およびこれらの誘導体,フタロシアニン,およびサブフタロシアニン,およびこれらの誘導体,ポルフィリン,テトラアゾポルフィリン,テトラベンゾポルフィリン,およびこれらの誘導体,チオフェン,オリゴ-チオフェン,チエノチオフェンおよびビチエノチオフェンのような濃縮/融合されたチオフェン,およびこれらの誘導体,チアジアゾール,およびその誘導体,カルバゾールおよびトリアリールアミンおよびこれらの誘導体,インダンスロン,ビオランスロン,フラバンスロン,およびこれらの誘導体のグループから選択される。
【0035】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスは、1つ以上の輸送層を備え、この輸送層はドーピングされていてよく、部分的にドーピングされていてよく、またはドーピングされていなくてよい。輸送層系とは、1つ以上の層のことであり、これらの層は一種の電荷担体を輸送し、かつ好ましくはそれ自体が450nm未満の領域の照射電磁波を吸収する。
【0036】
ドーピングとは、ドーパントの添加のことであり、n−ドーピングでは電子、p−ドーピングではホールである自由電荷担体の濃度を高めることをもたらす。ここで際ドーパントは、基材の電気的特性を変化させる化合物であり、それ自身は半導体である必要はない。通常ドーパント濃度は1%〜30%である。
【0037】
文献に既に提案されている有機太陽電池の1つの実現可能性は、以下の層構造を有するpin−ダイオードから成っている。
0. 担体,基板
1.基板側接続部(Grundkontakt)、通常透明
2. p層(複数でもよい)
3. i層(複数でもよい)
4. n層(複数でもよい)
5.上側接続部(Deckkontakt)
【0038】
ここでnあるいはpは、nドーピングあるいはpドーピングを表し、これらは熱的平衡状態にある自由電子あるいはホールの密度の増大をもたらす。この観点からこのような層は、第1に輸送層であると理解される。i層なる名称は、これに対し、ドーピングされていない層(真性層)を表す。ここで1つ以上のi層は、1つの材料から成っていてもよく、2つ以上の材料の混合物(いわゆる相互貫入ネットワーク)から成っていてもよい。
【0039】
本発明の1つの実施形態においては、上記のn層および/またはp層は、ドーピングされた層またはドーピングされていない層の層配列から成っている。
【0040】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスのi層は混合層として形成されている。これはたとえば2つ以上の材料の共蒸着によって達成することができる。1つのヘテロジャンクションにおいては、この層系の一方の材料はドナーとして、かつ他方の材料は電子のアクセプターとして機能する。境界層では、生成されたエキシトンが分離される。ドナーおよびアクセプターが2つの互いに接する層として存在する平坦なヘテロジャンクションに対する混合層の利点は、これらのエキシトンが隣の境界層までの僅かな距離だけ移動すればよいということである。
【0041】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスの吸収層系は、隣接する単層を有する混合層として形成されている。
【0042】
本発明の1つの実施形態においては、上記の基板側接続部とp層との間、および/または上記のp層とi層との間に1つのn層が配設されている。
【0043】
本発明の1つの実施形態においては、上記の上側接続部とこのn層との間、および/またはこのn層とi層との間に1つのp層が配設されている。
【0044】
本発明の1つの実施形態においては、上記の層配列は、逆転されており、nipとなっている。
【0045】
本発明の1つの実施形態においては、1つ以上の輸送層は、いわゆるバッファ層となっており、その厚さは、照射される電磁波の光学的な最大値の部位に、吸収層であるi層が位置するようになっていてよい。こうしてこのデバイスの効率を高めることができる。
【0046】
本発明の1つの実施形態においては、タンデム型デバイスまたはマルチセル型デバイスの個々のセルの間は、1つ以上の変換コンタクト部となっている。
【0047】
本発明の1つの実施形態においては、本発明によるデバイスは、タンデムセルまたはマルチセルとなっており、ここで2つ以上のセルが積層されて直列に回路接続されている。この際個々のセルのi層は、同じ材料または異なる材料または材料混合物から形成されている。
【0048】
本発明の1つの実施形態においては、本発明による半導体デバイスは、可撓な基板上に取り付けられている。
【0049】
可撓性の基板とは、本発明では、外部の力の作用によって変形可能であることが保証された基板である。こうしてこのような可撓性基板は、曲がった表面上に配設することに適している。可撓性基板は、たとえば薄膜(Folien)または金属片(Metallbaender)である。
【0050】
本発明のもう1つの実施形態においては、基板に配設されている電極は、不透明または透明に実装されている。
【0051】
本発明のもう1つの実施形態においては、上記の2つの電極は透明である。
【0052】
上記の一般式IまたはIIの化合物は、国際公開第2007/126052号(WO2007/126052)に記載されているように製造することができる。
【0053】
本発明によるデバイスの個々の層の製造は、担体ガス有りまたは無しで真空蒸着によって行われてよく、または溶液または懸濁液での処理によって、たとえばコーティングまたは印刷のように行われてよい。同様に個々の層はスパッタリングによって取り付けられてよい。以上は特に基板側接続部に対して可能である。真空蒸着による層の製造は有利であり、この際担体基板が加熱され得る。驚くべきことに、本発明による、一般式IまたはIIの化合物は、層成長の際に100℃を越えるまで基板温度を高くしても、良好に機能する、非常に吸収性の高い吸収層を有する半導体デバイスにすることができる。すなわちこれらの化合物は過度に結晶化しにくく、このため凹凸のある層が形成されにくい。加熱された基板上での成長の際には、不適合の主配向(その遷移双極子モーメントによってこの基板上にほぼ垂直に立っている分子)による吸収の大幅な減少がほんの僅かであることが認められる。それにもかかわらず、この層成長の際に基板温度を高くすることで、特にフラーレンC60を有する光活性混合層に対し、配向の改善による輸送特性の改善およびこれによる太陽電池の充填因子の増大が認められる。
【0054】
ほぼ「立っている」分子の遷移双極子を有する望ましくない主配向は、オリゴチオフェン,末端がアルキル化されたオリゴチオフェンまたはオリゴアリール等のオリゴマーではしばしば観察され、このような化合物は照射される光との相互作用が極めて弱いので、このため太陽電池での使用には適していない。
【0055】
上記の実施形態は互いに組み合わされてよい。
【0056】
以下にいくつかの実施形態例および図を参照して、本発明を詳細に説明する。ここでこれらの実施形態例は、本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】1つの半導体デバイスの概略図を示す。
図2】本発明による一般式IIの化合物の吸収スペクトルのグラフ表示を示す。
図3】1つの半導体デバイスにおける、本発明による一般式IIの化合物のスペクトルの外部量子効率のグラフ表示を示す。
図4】MIPデバイスの様々な基板温度での充填因子および効率のグラフ表示を示す。
【0058】
実施例 化合物(1)
1つの実施例においては、透明な基板側接続部ITO(M),フラーレンC60(I)の層,化合物1のフラーレンC60(I)との1:1混合層,p−ドーピングされたDi−NPBおよびNDP9のホール輸送層,および金の上側コンタクト部を有するガラス基板上の試料からなるMIPデバイスが生成され、ここでこの化合物1とC60との混合物は、110℃の基板温度で堆積されている。
【化18】

【0059】
図2には、このデバイスの電流−電圧曲線が示されている。最も重要な指標は66%の充填因子FF,0.69Vの開放電圧(Leerlaufspannung)UOC,9.2mAの短絡電流jSCであり、これらは良好に機能する太陽電池となる。
【0060】
図3には、照射される光子当たりに取り出される電子の数で定義される、スペクトルの外部量子効率が図示されている。この図は、C60も、また化合物1も光活性であることを明瞭に示している。
【0061】
実施例2
実施例1で説明したようなMIPが、異なる基板温度50℃,70℃,90℃,および110℃毎に製造されている。図4のグラフ表示から、上記の充填因子および効率が基板温度の上昇と共に同様に上昇することが分る。
図1
図2
図3
図4