(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
図1は本発明の一実施形態にかかる荷受用車両の構成を示すブロック図である。この車両1は操舵輪(ステアリングホイール)16、ステアリングシャフトを回転駆動する電動モータを有する操舵アクチュエータ15、ステアリングシャフトの回転角度(操舵角)を検出する舵角センサ14、操舵制御等を行う電子制御ユニット(以下「ECU」という)10、操舵に応じて方向を変える前輪24F、及び図示しない動力源である内燃機関または電気モータと、自動変速機、アクセルペダル、ブレーキペダルなどを備えた自動車である。またECU10には、ブレーキを作動させるブレーキアクチュエータ18及び自動変速機のシフトレバー位置を変更するシフトアクチュエータ19が接続されている。このECU10にはさらに、自動変速機のシフトレバー位置を検出するシフト位置センサ17の検出信号が入力される。なおシフトアクチュエータ19およびシフト位置センサ17は、動力源が内燃機関であれば前進と後退の切り替えに加えて駆動側と被駆動側の減速比の変更にも対応している。一方動力源が電気モータの場合、シフトアクチュエータ19は前進と後退の切り替えが可能であれば良く、シフト位置センサ17も前進か後退かを検知できればよい。また左右の後輪24Rの近傍には、左車輪速VWLを検出する左車輪速センサ20L及び右車輪速VWRを検出する右車輪速センサ20Rが設けられている。各車輪速センサの検出信号は、ECU10に供給される。車両の走行速度VPは、左車輪速VWL及び右車輪速VWRの平均値として算出される。
【0010】
この車両には、さらに車両の前方の画像を取得する全部カメラ11F、車両の後方の画像を取得する後部カメラ11R、車両の前方に向けられたレーダ12F、車両の後方に向けられたレーダ12R、及び車両の四隅、例えば最も外部の物体と接触しやすい前後バンパーの四隅にソナー13FL、13FR,13RL、13RRが設けられている。なおたとえば低速走行時に近接物を検知する目的であれば、レーダ12F、12Rに代えて、例えば前後のバンパー中央部等にソナーを設けてもよい。また、車両の移動の仕方や範囲に制限を設けておけば、カメラ11F、11Rを省いてもよい。
【0011】
ECU10は、入力回路、出力回路、CPU、記憶回路などを備え、上記センサ、カメラ11F、11R、レーダ12F、12R、及びソナー13FL、13FR,13RL、13RRから供給される信号に基づいて、車両の周囲の状況を認識し、操舵アクチュエータ15を介して操舵制御を行うとともに、シフトアクチュエータ19を介した車両の前進及び後退の切換制御(移動制御)、及びブレーキアクチュエータ18を介した車両の停止制御を行う。またブレークアクチュエータ18は、フットブレーキを駆動するだけでなく、パーキングブレーキによる制動と解除とを行うアクチュエータも含むものとする。
【0012】
さらに、貨物用扉鍵アクチュエータ21(以下、鍵アクチュエータと省略する)は、ECU10による制御に応じて、トランクなど荷物の収容部となる貨物積載部の扉(ドア)の鍵を施錠し、または解錠するロック制御部として機能する。鍵アクチュエータ21は、たとえば所定の通信媒体たとえばブルートゥース(登録商標)などを介して仮想キーなどと呼ばれるセキュリティ情報がECU10で受信され、それが所定の手順で認証されたことに応じて、扉の錠(ロック)をアンロックすなわち解錠する。施錠は、たとえば扉が閉鎖されると直ちに又は所定時間の経過後に行ってよい。なお貨物積載部は、必ずしも座席後方のトランクや荷物室とは限らず、搭乗者用の座席を荷物積載部として利用する場合には、搭乗者用の座席を含んでよい。
【0013】
また通信制御部23は、アンテナを介して他の機器との通信を制御する。他の機器には、たとえば
図2に示すサーバ201やユーザ携帯端末202、その他の装置などを含む。車載端末22は車両1に搭載された端末であり、他の機器からのメッセージに応じて、視覚的又は聴覚的な出力を行う。車載端末22は、たとえば車両1からのメッセージの出力やナビゲーションシステムの設定や表示など、車両1の制御や他の用途の入出力デバイスとして使用してもよい。さらに車両1には、その位置を特定するためのGPSシステムを有していてもよい。これにより衛星からのGPS信号を受信して自車両の位置を特定できる。
【0014】
図2(A)に車両1の側面図を示す。この車両は荷物積載部として後部にトランク101を持つ車両の一例を示している。このトランク101の蓋部(貨物用扉)は開閉可能であり、その内部に貨物を収納できる。そしてこのトランク101は鍵アクチュエータ21により施錠または解錠することができ、施錠時には、錠に合ったキー(あるいは仮想キー)を用いることで初めて開けることができる。なお、車体の形状はトランクを持ついわゆるセダンタイプに限らず、後部にハッチバック形状の扉を持つタイプでもよいし、乗員用の扉102の錠を開閉させて居室内を貨物積載部として利用してもよい。
【0015】
図2(B)に本実施形態に係る配達システムの構成を示す。配達サーバ201は、配達者端末203、ユーザ携帯端末202、車載端末22と通信して、配達予定を調整し、また配達予定を各端末に送信する。配達サーバ201には、対象となる荷物ごとに、配達時刻や配達先などを関連付けた配達予定情報214と、配達先の利用者に関する情報、たとえば利用者ごとの住所や保有する車両の情報などを蓄積した利用者情報215を保持する。また、配達サーバとしての機能を提供するために、配達予定を調整する配達予定調整部211、ユーザ携帯端末202等から車両の貨物積載部を開けるための仮想キーを取得する仮想キー取得部212、各端末とメッセージを交換するためのメッセージ送受信部213、配送予定情報や利用者情報にアクセスして登録や変更、読み出し等を行う情報登録/読み出し部214などを有する。なおサーバおよび端末は、それぞれプロセッサとメモリとを有するコンピュータにより実現され、メモリに格納したプログラムを実行してデータを加工したり入出力したりすることによりその機能を実行する。また特に端末は、利用者とのインターフェイスとしてタッチパネルなどを備えていてよい。
【0016】
図3に、
図1及び
図2に示した構成の上で実施される、荷物の配達に際しての処理手順の一例を示す。なお以下の説明において、配達サーバ201では、配達予定情報および利用者情報は配達予定情報214および利用者情報215にそれぞれ格納される。また配達用の調整は配達予定調整部211により、仮想キーの要求および取得は仮想キー取得部212により、端末とのメッセージの交換はメッセージ送受信部213により、受信した情報の保存や保存した情報の読み出しは情報登録/取得部214により行われる。まず配達業者が配達者端末203で配達予定情報を配達サーバ201に送信する(S301)。配達予定情報には、たとえば宛先の住所や氏名、配達予定日時などの情報が含まれている。なお配達予定情報は例えば他の入力用端末から入力されてもよい。この配達予定情報を受信した配達サーバ201は、配達予定を調整する(S311)。調整はたとえば配達先や他の配達物を考慮して行われてよい。
【0017】
いったん配達予定が調整されて決定されると、配達サーバ201は、それを格納するとともに、配送先のユーザのユーザ携帯端末202へとユーザ用配達予定メッセージを送信する(S312)。この送信先は配達予定情報に含まれていてよい。ユーザ用配達予定メッセージには、たとえば配達予定の日時と場所とが含まれ、さらに、車両への配達の可否を問うダイアログを表示するための情報も含まれていてよい。さらに宛先ユーザによる場所や日時の指定を行うためのダイアログを含んでもよいが、本実施形態では車両への配達可否に着目する。それらの情報を確認したユーザが、表示されたダイアログで車両への配達の可否を応答すると、応答した情報が配達可否メッセージとして配達サーバ201へと送信される(S332)。
【0018】
配達可否メッセージを受信した配達サーバ201は、その中に車両への配達可が示されているか、すなわち車両への配達指示が含まれているか判定し(S313)、含まれていれば、その送信元ユーザの車両に関する情報が既に利用者情報215に登録されているか判定する(S314)。一方含まれていなければ、処理を終了する。ただし、配達予定がS311による調整の結果変更されているならば、配達者端末へと調整後の予定を送信する。
【0019】
車両が登録済みでなければ、車両に関する情報の登録依頼メッセージをユーザ携帯端末202へと送信する(S315)。それを受信したユーザ携帯端末202は受信したメッセージに応じたダイアログを表示し、ユーザがその画面で車両の登録に必要な情報と登録指示を入力すると、登録指示メッセージを配達サーバ201に送信する(334)。登録に必要な情報には例えば、車両の登録番号や外見の特徴である色や型、車種などの情報が含まれてよい。またユーザが車両情報の提供を拒否するならば、その旨を入力すればユーザ携帯端末202は拒否の旨を示すメッセージを応答する。
【0020】
ユーザ携帯端末202からの応答を受信した配達サーバ201は、応答に車両情報の登録の指示が含まれているか判断する(S316)。登録の指示が含まれていれば、応答に含まれた車両情報を利用者情報215へ登録する(S317)。一方、登録指示が応答に含まれていない場合には、車両への配達指示を無効化して処理を終了する。この場合には、元の配達予定に従って自宅への配達が行われることとなる。
【0021】
車両の登録後又はすでに登録済みであれば、ユーザ携帯端末202に対して車両の仮想キーを要求し、取得する。仮想キーとは、車両の貨物積載部扉のロックを解錠するための電子的な鍵となる情報であり、車両に入力して認証が成功すると、ロックが解除される。仮想キーは車両により認証されてもよいし、特定のサーバに引き渡されて認証されてもよい。仮想キーを取得すると、車両への配達の準備が完了するので、車両への配達予定メッセージを、ユーザ携帯端末202と車載端末22とに送信する(S319)。この配達予定メッセージは、対象の荷物を配達する配達者の端末203にも送信され、受信される(S302)。配達予定メッセージには、配達予定日時と、車両への配達であることを示す情報が含まれる。さらに配達者端末203に向けたメッセージには、荷物のコンテナとなる車両を識別するための情報と、仮想キーとが含まれる。
【0022】
車両への配達予定メッセージを受信した車載端末22は、たとえばその車両が起動されていればそのときに、起動されていなければ次に起動されたときに、車両への配達がある旨を出力して報知し、運転者にその情報を提供する(S341)。その情報には、配達予定日時に加えて、貨物積載部の扉が開けられるように車両の周囲に空間を確保した状態で駐車することを促すメッセージを含んでいてよい。さらに、荷物積載部に対して、配達者がアクセスしやすいように、荷物積載部の扉たとえばトランクが、例えば道路側に面するように駐車しておくよう促すメッセージを含んでいてよい。これはとくに、車両が車庫に駐車してある場合には有効なメッセージである。さらにこのメッセージは、ユーザ携帯端末202で出力してもよい。このようにすることで、車両に車載端末がないとしても、利用者に車両での配達物の受け取る予定を報知できる。
【0023】
一方荷物の配達人は、配達スケジュールに従って宛先へと向かい、配達先に車両が指定されている荷物については、その荷物に関連して受信済みの車両の特徴に関する情報に基づいて車両を特定し、仮想キーを用いて貨物積載部の蓋を解錠する。その後蓋を開けて荷物を収容して蓋を閉じる。本例では、蓋を閉じることで扉は施錠される。このとき、車両1では、一旦使用された仮想キーを無効化してよい。無効化のタイミングは、例えば最初の使用の直後や、或いは最初の使用から所定5分間時間経過後などであってよい。
【0024】
以上の手順により、本実施形態によれば、車両を宅配コンテナ代わりに使用することができるので、利用者が不在でも安全に配達が可能となる。さらに、配達物の受取人に対して、配達予定日時や、車両への配達があること、荷物積載部の開閉のための空間を確保する必要がある旨のメッセージを報知することで、より確実な受け取りを可能としている。さらにそのメッセージを車両の運転中に車両から通知することで、より確実性の高い荷物の受け取りを実現できる。
【0025】
なお本実施形態では、車両1はメッセージを受信して出力するだけなので、仮想キーにより解錠と、車載端末による受信メッセージの処理に対応していれば十分である。そのため、自動駐車のためのカメラやソナーなどのセンサ類や、操舵やスロットル制御のためのアクチュエータは車両に備わっていなくともよい。また車載端末22は、車両がオフの状態でもメッセージを受信できるように待機状態であることが望ましい。さらに車両1にナビゲーション装置が搭載されている場合には、車載端末によるメッセージ出力を、車両1があらかじめ登録された自宅の位置にあると判定された場合に出力することで、荷物の受け取りにより適した位置や方向の駐車を促すことができる。
【0026】
[第二実施形態]
第二実施形態は、基本的には第一実施形態を踏襲するが、車両1に自動駐車機能が備わっている場合の制御となる。そのためシステム全体の制御シーケンスは
図3に示した通りであるが、車載端末22を含む車両1の制御が第一実施形態のS341と相違する。
【0027】
図4に、
図3のS341に加えて本実施形態で車両1、特にECU1により実行される手順を示す。
図4は、たとえば配達予定日時の一定時間前に達したときに実行される。車両への配達予定メッセージを受信した車載端末22は、S341を実行し、受信した情報のうち車両の制御に必要な部分をECU10に対して転送する。このとき車両1の電源がオフであるとECU10も動作していないので、情報の転送の前に、少なくともECU10を含む制御ユニットに対する電源供給を開始する。そしてその情報を受信した車両1特にECU10は、たとえば配達予定日時よりも所定時間前に起動タイマを設定し、タイマの満了により車両1に電源が投入される。その後に
図4の手順を実行して車両を制御する。まず、自動駐車機能を有しているか判定する(S401)。自動駐車機能はオプションで提供されることが多く、用意されているかどうかは、例えばECU10の持つ不揮発性メモリに記憶したり、あるいはスイッチ等により示したりすることができるので、それを参照して機能の有無を判定できる。
【0028】
自動駐車機能があると判定された場合には、貨物積載部の扉が開く状態にあるか否かを、例えばソナー13やレーダ12等の検知部で周辺の障害物を検知して判定する(S403)。例えば扉の解放方向に対して障害物が検知されないか、または車両から所定の距離以上離れていれば扉は開けられると判定してよい。扉が開けられないと判定した場合には、扉が開く位置へと車両を移動可能か判定する(S405)。この判定では、たとえば車両の前後に、限度まで移動したとしても車両積載部の扉を開けられないような障害物が検知された場合や、自動駐車機能を超えた程度の制御が要求される場合などに、移動可能でないと判定してよい。
【0029】
移動可能と判定された場合には、車両の駆動部を起動し、扉が開く位置へと自動駐車機能を用いて車両を移動させる(S407)。たとえば後部の扉が障害物で開けられないと判定されていれば、車両を前方へと移動させる。またより高度な自動運転機能を備えているならば、車両の前後を入れ替えたり、よりアクセスしやすい位置へと車両を移動させたりしてもよい。S407で車両を移動させる際には、たとえば前照灯を転倒したり、警笛を鳴動させたり、あるいは音声メッセージを出力したりすることで周囲に警告を与えてもよい。準備手順の終了後には、車両1の電源をオフに戻しておく。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、ユーザに対して荷物の配達がある予定を通知するだけでなく、自動駐車機能あるいは自動運転機能を利用して、適時に、荷物を受け取るために適した位置及び方向へと車両を移動させることができる。
【0031】
[第三実施形態]
次に、第一実施形態と基礎とした第三実施形態について説明する。第一実施形態と共通の部分については説明を省略する。本実施形態では、
図5(A)に示したように、車両1のトランクに代えて、車両1の屋根に設けられたサンルーフ52を通して、自動制御により飛行するドローン51で配達される荷物を受け取って収容する。このため、本実施形態の車両1は、
図5(B)に示すようにECU10により制御されるモータ55によって扉53が開閉されるサンルーフ52を持つ。なお
図5(B)の構成は、
図1の構成にさらに付加される構成を示している。サンルーフ52を開く際には、第一実施形態の仮想キーで認証を行ってもよいし、トランクやドアを開ける必要がないので、サンルーフ用の認証情報(以下、仮想キーや認証情報をまとめて認証情報と呼ぶ)を用いて認証を行ってもよい。その場合の認証情報は例えば利用者情報215として登録済みの利用者情報に基づいて一定の手順で生成してもよいし、予めセキュアな手順で交換しておいてもよい。
【0032】
ドローン51は、設定された目的地に向けて基地から自律的に飛行し、荷物を配達して基地に戻る。ドローン51は、荷物の上げ下げが可能なように、巻き取りが可能なロープで荷物を吊り下げ、またホバリングした状態で荷物を下ろせるよう、遠隔的に解放可能なフック等で荷物を保持している。ドローン51には、荷物の揺れを防ぐために荷物の側面を挟む構造などを持たせてもよい。目的の車両の上空に着いたドローン51は、そこで認証情報を送信して車両に対してサンルーフの開放を要求する。このとき、ドローン51は例えばカメラ等で撮影した地上の画像から扉52が開いたサンルーフを認識し、車両を特定してもよい。認証情報を受信した車両1はサンルーフを開放する。ドローンは荷物を下ろしてサンルーフを通して車両内へと収め、吊り下げ用のフックを解放してロープを巻き上げる。ロープをすべて巻き取ったなら、車両1に対してサンルーフ52の閉鎖を要求する。要求された車両1は扉53を閉じてサンルーフ52を閉鎖する。
【0033】
これが本実施形態の概要である。本実施形態では、荷物の配達者は人間ではなくドローンであり、上空から荷物を配達する。そのため、車両の受取人となるユーザへ配達サーバ201からステップS319で送信されるメッセージは、ドローンによりサンルーフを通して配送されることを含む。このメッセージは、ユーザに、車両の上空に障害物がない場所への駐車を促すメッセージを更に含んでもよい。このメッセージの送信のタイミングや制御手順は、ステップS312でユーザ携帯端末202に対して送信するメッセージに、サンルーフを通した受け取りが可能であるかをユーザに確認することが含まれることを除いて第一実施形態と変わるところはない。
【0034】
図6に本実施形態に特有の手順を示す。
図6(A)は
図3のステップS319で配達予定を受信した車載端末22による手順を、
図6(B)は、車両1の上空に到着したドローンから認証情報を受信した車両1による動作手順を示す。配達予定を受信した車載端末22は、配達サーバ201に対して、荷物の受け取り位置を送信する(S601)。すなわち、荷物の配達予定時刻に車両1のいる位置を送信する。この位置は現在の位置であってよいが、例えば自宅駐車場の位置を登録しておき、その位置を送信するようにしてもよい。なお現在位置は、GPS信号等により特定された位置をナビゲーション装置から取得してよい。より精度を上げるために、固定された地上局からの信号で位置を補正してもよい。ステップS603は
図3に示したステップS341と同じ工程である。このようにして、配達サーバ201に対して荷物の受け取り位置を通知することができる。
【0035】
さてドローン52から認証情報を受信した車載端末22は
図6(B)の手順で動作する。なお
図6(B)では車両の機器を制御するので車載端末22を介さず、車両制御の通信装置を介して通信を行ってもよい。認証情報を受信すると、それはECU10に引き渡される。ECU10は、受信した認証情報でその送信者であるドローン51を認証する(S611)。認証が成功すると、ECU10による制御の下でモータ55を駆動してサンルーフの扉53を開放する(S613)。その後、ドローン51からサンルーフの扉53を閉鎖するための閉鎖指示の受信を待つ(S615)。閉鎖指示を受信しない場合でもサンルーフを開放したままにしないため、開放から所定時間が経過したか判定し(S617)、閉鎖指示がったか又は所定時間経過したなら扉53を駆動してサンルーフ52を閉める(S619)。これにより、荷物を受け取ることができる。
【0036】
なおドローンによる荷物の受け取りは、サンルーフではなくセダン型乗用車のトランクを用いて行うこともできる。ただしそのためにはトランクの自動開閉機構が必要であり、そのような機構が車両1に備わっていることを含めて、例えば
図3のS332の配達可否メッセージで配達サーバ201に通知する。またドローン51による車両位置の特定はドローンの側の技術ではあるが、たとえば配達予定時刻の一定時間前から車両1がビーコンを発するなどして誘導してもよい。このようにして本実施形態によれは、荷物を配達する側も、受け取る側も、いずれも無人でよく、受け取った荷物を安全に確保できる。
【0037】
[第四実施形態]
次に、配達される荷物が要冷蔵品であっても受け取ることができる実施形態を説明する。本実施形態では車両1に冷蔵容器を備え、そこに荷物を収容する。
図7(A)にそのための構成を示す。ただし容器そのものは省略した。ECU10は、
図3の構成に加えて、コンプレッサ61の駆動を制御し、また容器内の温度センサ62により収納容器内部の温度を検知する。そして配達された荷物はその冷蔵容器内に格納されることになる。
【0038】
図7(B)に、
図3のステップS319による配達予定情報を受信した際の車載端末22による動作手順を示す。本実施形態では、配達予定情報に、配達予定の荷物が要冷蔵品であるか否かの表示も含まれている。そこで配達予定情報を受信すると、それをECU10に引き渡す。ECU10はまず配達予定の荷物が要冷蔵品であるか判定する(S701)。要冷蔵であれば、配達予定時刻にタイマを設定してタイマの満了を待つ(S703)。なおここでは、配達予定時刻に冷蔵温度に達するよう、予定時刻よりも一定時間前の時刻を設定しておいてよい。また冷蔵温度は、配達予定情報に含めておいてもよいが、一定の温度に定めておいてもよい。設定時刻に達すると(S705−Y)、コンプレッサ61を駆動して冷却を開始する(S707)。ECU10は冷蔵時には温度センサ62で温度を検知し、設定温度に達したならその温度を制御するようコンプレッサのオン・オフを制御する。最後に、車両1が起動されたならメッセージを出力する(S709)。このメッセージは、冷蔵品が配達される予定であること、およびその予定時刻を通知する。
【0039】
以上のようにして、本実施形態では要冷蔵品を受け取ることができる。さらに容器を予冷しておくことで、要冷蔵品の品質を低下させることを防止できる。なお、上記例では冷蔵用の容器を用いるものとしたが、たとえばトランク全体を冷蔵容器として用いてもよい。また本実施形態では冷蔵用のコンプレッサを用いているが、車内空気調整機用のコンプレッサを用いてもよい。その場合には、トランク或いは収納容器に空調用のダクトを通して冷気を循環させる。そのために、居室へのダクトと、容器へのダクトとにECU10により制御される電動の弁を設けておき、通常の空調として使用する場合には容器への弁を閉じ、冷蔵用に用いる場合には居室への弁を閉じるよう制御してもよい。また、第三実施形態で説明したようにサンルーフから荷物を受け入れる場合には、居室が荷物の置き場となることから、通常の空気調整機を用いて居室へと冷却した空気を循環させてもよい。この場合にも、配達予定時刻の所定時間前から予め定めた温度となるよう予冷しておいてよい。また収納容器が小容量ならば、コンプレッサに代えて例えばペルチェ素子などを用いて冷却してもよい。また第一乃至第四の実施形態は相容れないものではないので、それらの任意の組み合わせもまた実施可能である。
【0040】
●実施形態のまとめ
以上説明した本実施形態をまとめると以下のとおりである。
(1)本発明の第1の態様によれば、本発明は、荷受用車両であって、
配達物の受け取り場所として利用可能な収容手段と、
前記収容手段のドアのロックおよびアンロックの制御が可能なロック制御手段と、
通信手段とを有し、
前記荷受用車両への配達予定を示す配達予定情報を前記通信手段により受信した場合には、運転者に対して、前記配達予定情報に基づく情報を提供する
ことを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、車両を宅配コンテナ代わりに使用する際に、車両の運転者に対して通知することで、より確実な受け取りが可能となる。
【0041】
(2)本発明の第2の態様によれば、本発明は、(1)に記載の荷受用車両であって、
前記配達予定情報に基づく情報は、前記配達予定情報を受信した後に前記配達予定情報に含まれた配達予定日時の前の前記荷受用車両の起動をきっかけとして前記運転者に対して提供されることを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、配達予定をより確実に運転者に通知できる。
【0042】
(3)本発明の第3の態様によれば、本発明は、(1)または(2)に記載の荷受車両であって、
車両の周囲の障害物を検知する検知手段を更に有し、
前記配達予定情報を受信した後、前記配達予定情報に含まれた配達予定日時の前に前記荷受用車両が駐車される際に、前記検知手段により前記収容手段のドアの開閉の障害物が検知されたならば、運転者に対して前記配達予定情報に基づく情報が提供される
ことを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、荷物の収容が困難な位置に車両がある際に通知を行うことでより確実な荷物の受け取りを実現できる。
【0043】
(4)本発明の第4の態様によれば、本発明は、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の荷受用車両であって、
前記荷受用車両の自動運転のための運転制御手段を更に有し、
前記配達予定情報を受信した後、前記配達予定情報に含まれた配達予定日時の所定時間前に、前記運転制御手段により、前記収容手段のドアの開閉の障害となる障害物ない位置へと前記荷受用車両を移動させることを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、荷受車両への配達の予定がある場合には車両を適当な場所へと移動することでより確実に荷物を受け取ることができる。
【0044】
(5)本発明の第5の態様によれば、本発明は、(1)乃至(4)のいずれかに記載の荷受用車両であって、
前記運転者に対する情報は、前記収容手段のドアを容易に開閉できるような駐車を前記運転者に促すメッセージを含む
ことを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、ドアの開閉を容易としてより確実に荷物を受け取ることができる。
【0045】
(6)本発明の第6の態様によれば、本発明は、(1)乃至(5)のいずれかに記載の荷受用車両であって、
前記ロック制御部は、前記収容手段のドアのアンロックのための仮想キーとなる情報の入力に応じて、前記ドアのロックを解除する
ことを特徴とする荷受用車両である。
この構成により、解錠用のキーを確実に受け渡し、より確実に荷物を受け取ることができる。