(54)【発明の名称】自律移動ロボットと自律移動ロボットの基地局とを有するシステム、自律移動ロボットの基地局、自律移動ロボットのための方法、自律移動ロボットの基地局への自動ドッキング方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ナビゲーションモジュールは、前記環境の電子地図上に物体の検出された幾何学的特徴を格納するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
前記基地局(200)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴は、前記基地局(200)ハウジング上の特徴点と、前記基地局(200)のハウジング上の特徴線と、前記基地局(200)のハウジングによって規定される多角形と、基地局(200)のハウジングによって規定される表面とのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
前記ロボットコントローラは、前記基地局を識別および/または位置特定するために、前記少なくとも1つの検出された幾何学的特徴に少なくとも1つの測定値を割り当て、その測定値を対応する基準値と比較するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
前記少なくとも1つの測定値は、長さ、距離、角度、2つの長さの比、2つの距離の比、2つの角度の比のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
前記少なくとも1つの測定値は、2つの点間の距離、1つの線の長さ、1つの点の1つの線からの距離、1つの点の1つの面からの距離、3つの点で定義される角度、2本の線によって規定される角度、2本の線の長さの比のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
前記少なくとも1つの開口部(230、230´)は、前記ナビゲーションセンサ(110)に対して透明な材料で作られたカバーによって覆われていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
前記少なくとも1つの開口部(230、230´)は、スクリーンを取り付け、又は、スライドさせることにより、または所定の破断線に沿って前記ハウジング壁の一部を破壊することによってそのサイズまたは形状を変更することができることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載のシステム。
前記基地局(200)のハウジングに取り付け部品を追加することによって、または前記基地局(200)のハウジングから取り付け部品を取り外すことによって、または前記基地局(200)のハウジング上の取り付け部品をスライドするか傾斜させることによって前記基地局(200)の少なくとも1つの幾何学的特徴を変更することができることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のシステム。
前記基地局の前記少なくとも1つの幾何学的特徴は、前記ナビゲーションモジュールによって床までの距離が異なる水平面内で前記少なくとも1つの幾何学的特徴が検出されたときに、異なることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のシステム。
前記ナビゲーションモジュールは、多数の電子地図のためのメモリを有し、各地図は特定の基地局(200)に割り当て可能であり、各地図は前記特定の基地局が位置するロボット動作領域を表していることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載のシステム。
少なくとも1つのさらに他の基地局を有し、前記基地局(200)がロボット動作の第1の領域に位置し、前記少なくとも1つのさらに他の基地局がロボット動作の第2の領域に位置し、
前記ナビゲーションモジュールは、前記基地局のうちの1つに割り当てることができる多数の電子地図のためのメモリを有し、
前記ナビゲーションモジュールは、ある基地局を識別した後、その基地局に割り当てられた地図をロードすること
を特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明は、図面に示される例によって、より詳細に説明される。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明は、示された態様にのみ限定されない。代わりに、本発明の根底にある原理を説明することに重点が置かれる。
【0018】
一般に、移動ロボットは基地局に確実かつ安全にドッキングできる必要がある。既知のシステム(基地局およびロボット)および基地局およびその正確な位置および向きを発見および認識するための方法では、ロボット内の特別なセンサ(例えば、光線)、ナビゲーションアルゴリズムに加えて実行される複雑な画像処理アルゴリズム、および/またはロボットが動作している領域内の特別なマーキングが良く使用される。さらに、基地局の位置特定と基地局へのロボットのドッキングは、多くの異なる種類の障害に対して堅牢であるべきである。例えば、基地局の位置が移動すると、基地局の信頼できる位置特定を損なう可能性がある。ナビゲーションのためにロボットに使用されるセンサの機能は、ロボットが動作する領域など、未知の環境において確実にテストすることができない。基地局への接近(ドッキング動作)は、走行距離測定誤差のために充電接触が失敗した場合に終了することがある。例えば、ユーザが、ドッキング動作を中断させる障害物を基地局の近くに配置し、その結果ドッキングが失敗する可能性がある。
【0019】
上述した従来のロボット基地局システムおよび基地局の識別および位置特定の方法ならびに基地局へのロボットの確実なドッキングの方法の欠点の観点から、改善の必要性が存在する。例えば、ロボットに既に存在するナビゲーションセンサを使用して、基地局が信号を送出する必要なく、または特別なマーキングを基地局に付加する必要なく、ロボットの基地局の位置特定を可能にすることが望ましい。ここで説明される実施形態のいくつかによれば、この目的のために、基地局は、その幾何学的形状(例えば、基地局のハウジングの幾何学的特性(外形/形状))を用いて認識され、位置特定される。これは、基地局自体が、その外形のために、少なくとも1つの幾何学的特徴を示すことを意味し、これにより、ロボットは、基地局を認識することができる。基地局のハウジング上の(その幾何学的形状に影響を与えない)特別なマーキング又は(位置特定)信号の放出は、もはや必要ではない。一般に、ロボットは、その(例えば、清掃)作業が完了した後、素早くかつ確実に基地局に戻るべきである。ここで説明されている実施形態のいくつかによれば、この目的のために、基地局の位置が地図上にマークされ、様々な方法によって最新の状態に維持される。ロボットのさらなる望ましい能力は、ロボットが動作する異なる領域(例えば、建物の様々な床など)において行くべき道がわかる(正確かつ迅速に方向付けできる)ことである。ここで説明されている実施形態のいくつかによれば、この目的のために、ロボットが動作する領域のそれぞれに、ロボットが互いに区別することができるように1つの基地局が使用される。ロボットは、それぞれの動作領域のマップを各基地局にリンクする。ロボットが特定の基地局を識別すると、各基地局にリンクされているマップを使用して、すぐに(自己)位置特定を開始することができる。
【0020】
移動ロボットの別の望ましい能力は、基地局への堅牢で正確なドッキングであり、これによりロボットの充電接点と基地局の充電接点との間の確実な接触を行うことができる。ここで説明するいくつかの実施形態によれば、このために予め計算されたドッキング位置に到達した後、安全にドッキングするためにロボットの位置および向きがわずかに修正される。妨害の可能性がある場合(例えば、基地局へのアクセスが阻止されている場合)にも、ドッキングが可能でなければならない。ここに記載された実施形態のいくつかによれば、この目的のために、起こり得る妨害が検出され、ユーザにその旨が通知される。
【0021】
一般に、ロボットの動作領域内でナビゲーションセンサの機能性をテストし、必要に応じてそれを再較正することが可能であることが望ましい。ここに記載された実施形態では、この目的のために、事前に知られている幾何学的パラメータを有する基地局が使用される。
【0022】
図1(A)は、自律移動ロボット100、及び、ロボットの動作領域内の対応する基地局200を示す図である。ロボットは、自身の環境内で方向付けし、ロボットの動作領域全体をナビゲートするための少なくとも1つのナビゲーションセンサ110を有するナビゲーションモジュールを有し、それによって自律的にタスクを実行することができる。ロボット100のナビゲーションモジュールは、ナビゲーションセンサ110の助けを借りて、床の表面材の情報とともに、障害物等の物体の幾何学的特徴などの、ロボットの環境内の「ナビゲーション特徴」の位置に関する情報を収集する。幾何学的特徴は、例えば、表面(例えば、壁)、線(例えば、ロボット100の環境内の壁、家具、又は他の物体の輪郭)、及び点(例えば、ロボット100の環境内の物体の辺又は隅部の点)である。あらゆるナビゲーション特徴は、部屋における位置(向きを含む)に関連付けられ、必要に応じて、ロボット100の電子地図に記録される。ナビゲーションモジュールは、例えば、障害回避戦略および/またはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)アルゴリズムおよび/またはロボットが動作する領域の1つ以上の地図を用いて動作する。ロボットは、動作中にロボット操作領域の新しい地図を作成したり、タスクを開始する前の既存の地図を使用したりすることができる。既に存在する地図は、探索的な走行のような初期のタスクの完了時にロボット自身によって作成されてもよく、別のロボットおよび/または人によって提供されてもよい。
【0023】
ナビゲーションセンサ110は、ロボットの環境に関する情報(ロボットが動作する領域に関する情報)、特に1次元、2次元または3次元の幾何学的特徴に関する情報を検出する。ナビゲーションセンサ110は、例えば、三角測量によって、又は送信信号(例えば、レーザビームまたは超音波信号)の通過時間を測定することによって、センサと障害物との間の距離を検出する、光学および/または音響センサのような距離測定用のセンサであってもよい。したがって、例えば、三角測量センサ、ToF(Time of Flight)カメラ、レーザスキャナ、超音波センサなどをナビゲーションセンサとして使用することができる。このナビゲーションセンサ110を用いて、ロボット100のナビゲーションモジュールは、ロボットと、ロボットの環境内の物体の個々の点、線および/または表面との間の距離を決定することができる。このように検出された点、線および/または面は、「ナビゲーション特徴」として指定され、ロボットの地図上に保存される(すなわち、ナビゲーション特徴のジオメトリーと方向付けを含むその位置が電子地図上に指定される)。後で、ロボットは、これらのナビゲーションセンサの助けを借りて自らを方向付けることができ、および/または検出された障害物を回避して、衝突を防止することができる。ナビゲーションセンサ110の別の典型的な例は、画像データ処理によって画像に記録された環境内の物体(ナビゲーション特徴)のコーナおよびエッジを識別する検出モジュールを有する(例えばCCDまたはCMOS画像センサを備えた)カメラである。このようにして、ロボットに対する投影面内のナビゲーション特徴の位置を決定することができる。ロボットが移動するとき、この移動に基づいて、ナビゲーション特徴および部屋内のロボットの方向づけを含む位置を判定することができる。この手順は、ビジュアルSLAMと呼ばれる。
【0024】
図1(C)は、基地局200の簡単な例を示している。基地局200は、ナビゲーションセンサによって検出することができるナビゲーション特徴としての幾何学的特徴を有する本体210を有する。基地局200の本体210は、例えば、ロボット100のバッテリを充電するための、または汚れを真空引きするための構成要素を含むことができる。例えば、2つの充電接点220が基地局200上に配置される。対応する接点がロボット100に配置され、ロボットの電池を充電するためには、これらの接点が充電接点220と接触しなければならない。すなわち、電池を充電するためには、ロボットが特定の位置と特定の向きで基地局にドッキングする必要がある。このために必要とされる位置および向き(経路)は、本体210の位置および向きがロボットに既知であるときに、ロボットによって決定され得る。
【0025】
ここで説明する実施形態によれば、基地局200の幾何学的特性(すなわち、その外形またはその個々の部品)は、そのナビゲーションの目的でロボットのナビゲーションセンサ110の助けを借りてナビゲーション特徴として検出される。ナビゲーション特徴の特性を(ロボットのナビゲーションモジュールの助けを借りて)決定し、解釈することによって、基地局の、したがって基地局自体のナビゲーション特徴は、多くの追加の努力をすることなしに、ロボットの環境におけるそれらの位置および向きを決定することができ、それらをロボットの地図上に記録することができる。このために、例えば、以下のような単純な基準が用いられる。(1)特徴を他の特徴と分離する点(例えば、コーナー)の距離、(2)エッジ/セグメント/線の長さ、(3)表面の大きさ、(4)特徴の互いの相対位置、特に2つのエッジ、セグメントまたは線の間の角度、または3つの特定の点(コーナー)によって規定される角度、(5)比(相対的サイズ、長さ)、例えば2つの線の長さの間の比、(6)設計の標準値からの(誤った)測定の(二乗された)偏差のような誤差メトリック(より多くの点により、例えば、直線線形回帰によって確立することができる直線を決定することができ、回帰線から特定の点の偏差の程度は、所与の点が全体として仮定された線に属するかどうかの判断基準として働くことができる)。
【0026】
例えば、検出された特徴の少なくともいくつかは、基地局の本体の一部の幅、深さおよび/または高さを指定する。基地局の位置を決定するために使用される基準は、計算が容易であり、様々な位置から確実に決定可能でなければならない。これについては、以下により詳細に説明する。
【0027】
図1(A)に示される例では、光の三角測量によって、床の表面にほぼ平行に走る線の形で(可視または非可視範囲の)放射される構造化光のロボットの環境内の障害物までの距離が決定される。光三角測量の原理が
図2に示されている。放射された構造光111は、障害物Hに当たって、そこから拡散的に散乱される。カメラは、障害物から反射された光(例えば、光線)を描写する環境を撮影する。三角測量により、選択された点または線全体に沿った照明された障害物Hまでの距離dは、その写真内の(すなわち、水平光線の場合には)構造化された反射光(すなわち、光線)の垂直位置xに基づいて決定される。
【0028】
良好な検出を保証するために、基地局200は、その高さのために、ナビゲーションセンサ110から放射された光によって照明され、その深さのために壁からはっきりと区別できるように幾何学的に設計される。さらに、基地局の表面は、ナビゲーションセンサ110から放射された光が良好に拡散された状態で反射されるように(すなわち、吸収表面または鏡表面とならないように)設計される。
【0029】
図1(B)は、
図1(A)に示すシナリオのセンサ測定の起こりうる結果の一例を示す。具体的には、ロボット100は、そのナビゲーションモジュールおよびそのナビゲーションセンサ110の助けを借りて、基地局の測定に由来する2つの線形のナビゲーション特徴201および202を認識する。以下では、ナビゲーション特徴201、202は、境界線として、または単に線として参照される。これらの2本の線201、202のそれぞれは、側面(線201)と正面(線202)の幅(水平方向)に対応する特徴的な長さを有する。さらに、2つの線201および202は、ある既知の角度(例えば、直角)を含む。したがって、例えば、(例えば、床からある高の水平面内で)基地局200が辺の長さが例えば、5cmと15cmの辺の長さの矩形断面を有し、ロボット100が、ナビゲーションセンサ110を使用して、約5cm(線201)および15cm(線202)の長さを有する2つのほぼ矩形の線を検出して、これらの線201、202を基地局と解釈する。さらに、5:15=1:3のアスペクト比を使用することができる。
図1(B)に示すように、ロボットは、ナビゲーションセンサの前面の影によって、基地局の片側を認識することができない。基地局のこのさらなる幾何学的特性を捕捉するために、ロボットは第2の側面も確実に検出するまで基地局の周りを移動することができる。したがって、基地局は、この場合、少なくとも2つの異なる位置から認識される。
【0030】
上述の方法では、基地局200は、その矩形形状のみに基づいて認識される。このような場合、対応する側の長さを有する任意の矩形の物体(例えば、箱など)が基地局として認識されるので、誤検出の確率は高い。さらに、角部は、安全上の理由(怪我の危険性)または設計上の理由のために、一般に、丸みを帯びたエッジに置き換えられる場合がる。原理的には、このような丸みのあるエッジは、上述したナビゲーションセンサを用いて検出することもできる。しかし、丸められたフォームの処理に必要な計算に要する労力は、直線に必要なものよりも大きい。
【0031】
このため、ここに記載された実施形態によれば、基地局の内部もその検出に利用される。この目的のために、1つまたは複数の開口部が基地局の本体に設けられる。これらの開口部を通して、基地局の個々の構成要素(例えば、汚れを掃除するためのもの)を見ることができる。しかしながら、これを省略して、1つ以上の内壁しか認識できないようにすることもできる。
【0032】
図3(A)は、丸められた角部を有する基地局200と、基地局の前面に配置された2つの開口230の例を示す図である。
図3(B)は、
図3(A)の基地局200の断面図を示し、この断面は、床上からある高さにある水平面である。この高さは、ナビゲーションセンサ110がロボットの環境内の障害物までの距離測定を行う高さである。
図3(C)は、ロボットが基地局の前方にある距離(例えば、0.5−1m)で位置している場合の測定の結果の一例を示す図である。ここから、基地局200の後壁の部分を見ることができ、これらはすべて1つの線に沿っている。これに加えて、ロボットは、無視できる測定誤差で、4点(1、2、3、4)の位置を決定することができる。この場合、2つの開口部230(窓)の位置および大きさは、点のペアの2つの点の距離がペア間で異なるように選択されている(d(1;2)≠d(1;3)≠d(1;4)≠d(2;3)≠d(2;4)≠d(3;4)、d(i、j)は、点iと点jとの間の距離を示す)。これらの距離は簡単に計算し、保存されている標準値と比較することができる。さらに、例えば、後壁によって形成された線から2点間の距離が、比較されてもよい。互いの距離の比も考慮に入れることができる。例えば回帰モデルの決定係数のような誤差関数を使用することにより、点1,2,3および4が後壁に平行な線に沿って存在する正確さの程度を試験することができる。これらの手段により、誤った検出の可能性を著しく減少させる多数の特徴が利用可能となり、毎日の練習で誤った検出が事実上発生しないようにできる。
【0033】
内部を汚染から保護するために、ナビゲーションセンサ110から放射された光を通過させる透明材料でできたカバー250を開口部230の上に配置することができる。放出される光は、例えば、人間が見ることのできない赤外線のスペクトルを有し、このため、カバーは、ロボットから見た場合には、透明であるが、人間が見た場合には、色がついて、不透明となる。このようなカバー250は、開口部230を覆うだけでなく、これとは独立して、ユーザおよびロボットによって認識され得る異なる幾何学的形状を形成するために使用されるべきである。このようにして、設計の態様を簡単な検出可能性と組み合わせることができる。カバー250には、ナビゲーションセンサ110によって放射される光の波長に適合する反射防止膜が設けられてもよい。
【0034】
説明された(水平)面の測定の場合には、(例えば、ナビゲーションセンサ110の設置高が異なるため、又は、例えば、ロボットが幾分斜めに立っているために測定面が床と完全に平行でない場合などのために)、床への距離の違いにより、測定がわずかに変化する。基地局がその幾何学的形状に基づいてこの平面内で確実に認識されるようにするためには、認識可能なナビゲーション特徴の少なくとも一つの選択(又は、より具体的にはそれらの基礎となる寸法)が期待される断面測定の環境において実際の高さ測定(距離測定が床から行われる平面の距離)に関係なく見つけられる。
【0035】
いくつかの用途では、ロボットは、例えば、建物の2つの異なるフロアのような2つの相互に独立したロボット動作領域に使用される。ロボット100が、そのナビゲーションセンサ110の助けにより決定的に認識することができる基地局200が、ロボット動作領域の各々に配置される。したがって、ロボット100は、基地局200を区別することができる場合、ユーザが追加介入する必要なしに、即座に、種々の動作領域の何れの領域に配置されているかについての情報を得ることができる。
【0036】
基地局200を区別できるようにするために、例えば、基地局の幾何学的形態の一部は、ユーザによって(例えば、基地局が動作する時に)変更されてもよく、すなわち、ナビゲーションセンサ110によって認識可能な特徴は、予め定義された方法で変更することができる。この変更は、例えば、基地局の部品の移動、取り外し、または追加によって達成することができる。
図3(A)の例示した基地局200の場合、例えば、2つの開口のうちの1つのサイズ(幅)を変更することによって変更を行うことができる。したがって、例えば、ポイント3(
図3(C))の位置は、例えば、追加のスクリーンを追加することによって変更することができる。例えば、2つの視野窓の間の中央パネルの後ろにスライド可能なスクリーンを配置することができる。
【0037】
基地局200を地図上にマークする自律移動ロボット100は基本的に知られている。しばしば、基地局は地図の出発点として機能する、すなわち基地局は地図上に永久的な位置を有する。しかし、基地局の位置は変化する可能性がある。ナビゲーションセンサ110が検出できる特性(ナビゲーション特徴)に基づいて基地局を検出することにより、地図上の基地局の位置を容易に更新することができる。しかしながら、他の手段によって基地局を検出することも可能であり、これにより、ロボットの地図上の基地局の位置を更新することが可能になる。基地局の位置の変更は、(1)ロボットが動作中に、または(2)ロボットが基地局にドッキングしている間に、ユーザによって実行されてもよい。さらに、測定および距離測定誤差のために、ロボットによって実行されるマッピングおよび/または地図(SLAM)上のその位置特定は、ロボットによって予想される基地局の位置がその実際の位置に対応しない場合がある。最悪の場合、これは基地局の位置に関するすべての(有意義な)情報の損失をもたらす可能性がある。以下では、この問題をどのように解決するか、または少なくとも軽減するかを例を上げて説明する。
【0038】
SLAMアルゴリズムを使用した位置更新−ナビゲーションセンサによって検出されたロボットの位置および選択されたナビゲーション特徴が連続的に相関するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)アルゴリズムは、自律移動体のナビゲーションにしばしば採用される。これにより、ロボットは計測誤差や距離誤差にもかかわらず堅牢なマッピングを実行できる。SLAMは比較的高い演算能力を必要とするため、必要な計算作業を制限するために、例えば壁などの選択された容易に視認可能なナビゲーション特徴のみが考慮される。SLAMアルゴリズムで追跡されるナビゲーション特徴(およびロボット)の位置は、連続的に修正され、SLAMアルゴリズムでは追跡されない他の物体との関係では、永久(相対)位置ではない。基地局の特徴は、一般に、SLAMアルゴリズムによって追跡するには小さすぎるので、(SLAMアルゴリズムによって追跡される)壁面に対して記録された位置を移動する場合がある。この場合に、記録された位置が間違った部屋に置かれたり、動作領域の外に位置されたりする可能性がある。このため、基地局の位置を更新することは有効である。
【0039】
基地局も検出可能な幾何学的特徴(ナビゲーション特徴)を有するので、基地局の位置はSLAMアルゴリズムを用いて容易に最新に保つことができる。この目的のために、例えば、基地局の少なくとも1つの容易に検出可能な特徴(
図3参照)が選択され、SLAMアルゴリズムを用いて追跡される。これは、例えば、
図3(C)の点2と点3とによって形成されるセグメントとすることができる。あるいは、基地局の近傍で検出された特徴を使用することもできる。これは、例えば基地局と対向している壁によって形成される、
図1(B)の線300とすることができる。いずれの場合も、ロボットは、SLAMアルゴリズムによって追跡された特徴のどれが基地局の位置を決定するかを記録する。これに加えて、ロボットは、このナビゲーション特徴に対する基地局の位置を保存することができる。ロボットが基地局に戻ろうとするとき、ロボットはこの特徴の近くの位置に移動することができ、信頼性高く戻ってくることが保証される。
【0040】
ロボットの動作中の位置更新−たとえば、ロボットが動作している間にユーザによって基地局が動かされた場合、基地局を通り過ぎて移動するときにロボット100が基地局200を認識して、新しい位置で地図を更新するのが有利である。ナビゲーションセンサは基地局の特徴を検出してロボットをナビゲートするので、この場合、新たに検出された特徴が基地局の一部であるかどうかについて検査されれば十分である。この場合、第1ステップとして、検出に追加の計算時間がわずかしか必要でない容易に認識できる特徴が使用できる。認識が確認された後、基地局のさらなる特性の試験をすることができる。
【0041】
例えば、
図3(A)の基地局の場合、
図3(C)の点2と点3の間の距離に対応する長さのセグメント(例えば、ある長さと向きの線)を探すことができる。そのようなセグメントが見つけられた後、それは、後壁が認識可能かどうか、後壁が正しい距離にあるかどうか、および点1と点4が存在し、1本の線に沿っているかどうかについてさらに検査することができる。そうする間に、認識されたセグメントの長さは、ナビゲーションに対するそれらの関連性を評価するために、例えば、ナビゲーションモジュールによって定期的に検出することができる。
【0042】
基地局が新しい位置で認識されると、さらなる動作のための様々なオプションがロボットに利用可能になる。新しい位置が前の位置からわずかにずれる場合(例えば、1m未満の距離だけ)には、基地局の新しい位置が記録され、前の位置が削除される。これは、ナビゲーションセンサが基地局の以前の位置を同時に検査し、この位置で基地局が検出されない場合に特に有用である。基地局が、前の基地局から遠方にあるロボット動作の領域内の位置で検出された場合、これは、第2の基地局の存在に起因する可能性がある。この場合、基地局の位置は新たに記録され、前の位置は後の検証のために保持される。ロボットが前の位置に接近しているとき、ロボットは基地局がまだ存在しているかどうかをテストする。この結果に応じて、前の位置が削除されるか、またはロボットの動作領域に2つの基地局があることが記録される。両方の基地局のそれぞれの位置(向きを含む)は、地図上に保存することができる。
【0043】
また、ロボットの地図上の情報によれば、ロボットは基地局の近傍に位置するが、それを検出しないことがある。これは、ユーザによって基地局の位置が変更された場合か、ユーザが例えば基地局を清掃するために一時的に除去しただけの場合である。最も単純な場合、ロボットは、地図データから基地局の位置を削除する。あるいは、ロボットの地図上のこの位置は「疑わしい」とマークされてもよい。ロボットがその動作タスクを実行している間にロボットが後に異なる位置の基地局を認識した場合には、疑わしいとマークされた位置が削除され、基地局の新しい位置が記録される。そうでない場合には、ロボットは基地局に戻ろうとするときに疑わしいとマークされた位置に戻る。再びこの位置に基地局が見つからない場合には、特別な探索プログラムが開始されて基地局が見つけられ、そこでロボットは動作領域の周りを移動し、基地局の特徴(ナビゲーション特徴)を探す。これに加えて、必要ならば、ユーザが状況に反応することを可能にするように、メッセージをユーザに(例えば、タブレットコンピュータまたは携帯電話上のアプリケーションなどのユーザインタフェースを用いて)送信することができる。
【0044】
ナビゲーションセンサ110の測定精度は、距離が測定される対象物までの距離が増加するにつれて低下する可能性がある。細長い寸法を有する物体の場合、精度はまた、その向きに依存する。これは、三角測量センサが使用される場合に特にそうである。例えば、
図3の基地局200を正面から直接見た場合、点2と点3との間の距離は、約2mの距離において十分な精度で決定することができる。しかしながら、基地局が45°の角度から見られる場合、信頼できる測定を保証するために、基地局200とロボット100との間の距離は約1mを超えてはならない。これに基づいて、基地局の検出品質を向上させるために、検出されたナビゲーション特徴が基地局に属するかどうかをテストするための最大距離を決定することができる。テストを実行するための最大距離は、特徴の向き(ロボットに対する)によっても異なる。
【0045】
ロボット動作開始時の位置更新−ユーザは、ロボットがその上にドッキングされている間およびロボットが例えば休止モードにある間に、基地局と共にロボットを移動させることができる。ロボットが、例えば、以前の動作タスクを実行しながら作成した既存の地図を使用している場合、新しいロボットの位置(および基地局の位置)はもはや既存のナビゲーション情報に対応しなくなる。ここで説明する実施形態によれば、ロボットは、その動作タスクの開始時に以下のステップを実行することができる。(1)基地局を出て、その動作タスクに関連する地図データを収集する。(2)既存の地図データにおけるロボットの位置を特定する。(3)地図データ中の基地局の位置を更新する。
【0046】
この場合、ロボットの自己位置特定は、ナビゲーションセンサによって検出されたデータと既存の地図データとを比較することによって、地図上のロボットの位置を決定するアルゴリズムを用いて行うことができる。位置特定アルゴリズムを高速化するために、基地局の以前の既知の位置は、ロボットの位置に関する第1の位置付け前提として使用することができる。例えば、上述のステップ2でロボットの位置特定に失敗した場合、ロボットは新しい地図を作成し始め、基地局の位置がこの新しい地図に記録される。ロボットの動作タスクが完了すると、ユーザは新しく作成された地図を知ることができ、以前の地図を置換または拡張するために新しく作成された地図を使用すべきかどうかが尋ねられる。
【0047】
ロボット動作の多数の領域におけるナビゲーション−ロボットは、例えば、建物の様々な床などの2つ以上の相互に離れたロボット動作領域で使用されてもよい。ロボットがナビゲーションセンサの助けを借りて(上記のように)明確に識別できる基地局は、動作領域の各1つに配置することができる。この基地局のこの識別の結果として、ロボットは、それが位置している動作領域(例えば、どの床にあるか)を「知る」。したがって、ロボットのナビゲーションモジュールは、それぞれの基地局にリンクされた地図データをロードすることができる。これの前提条件は、ユーザが、基地局の1つに、または基地局の1つに近接して、ロボットを事前に配置することである。ロボットは、ロードされた地図データを使用して位置特定を開始できる。その際、上述したように、ロボットは、地図から知られている基地局の位置およびその地図に対する相対位置を、位置特定を高速化するために使用することができる。これは、例えば、基地局の位置(またはロボットのドッキング位置)を位置特定前提として用いることによって行われる。代替の実施形態としては、ロボットがそれ自身を位置特定しようとしている地図上の領域は、基地局を囲む領域に限定される。この領域は、例えば、基地局の正面の正方形(およびそれに接する)または基地局の周りの円である。その側面の長さ/半径は、ロボットと基地局との間の距離に依存するようにすることができる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、ロボットは、位置特定のために以下のステップを実行する。(1)基地局を出る。(2)基地局を検出して識別する。(3)基地局にリンクされた地図データを読み込む。(4)ロードされた地図データに基づいて、地図上のロボットの位置を特定する。(5)地図データ中の基地局の位置を更新する。ステップ1は、最初にロボットが基地局にドッキングされているかどうかに応じて選択される。
【0049】
認識された基地局に地図データがリンクされていない場合、またはそれぞれの地図上の位置特定が失敗した場合、ロボットの動作領域の新しい地図が作成される。ロボットが動作タスクを完了した後、ユーザは新しく作成された地図について知らされ得る。ロボットは、新しい地図を基地局にリンクして永久保存するかどうかをユーザに尋ねることができる。代替実施形態では、ロボットは、位置特定が失敗した場合、他の基地局に関連付けられた地図データを使用して位置特定を試みることができる。これは、例えば、ユーザが基地局を別のものに交換した場合に有用である。
【0050】
例えば、距離測定用センサ(例えば、
図2による三角測量センサを参照)のようなナビゲーションセンサは、非常に感度の高い測定システムである。例えば衝撃などの障害は、センサを非較正状態にし、一貫して誤った測定につながる可能性がある。これは、その動作領域を通るロボットのナビゲーションを著しく損なう可能性がある。ロボットの確実な機能を保証するためには、ナビゲーションセンサの測定誤差を体系的に認識し、可能であれば較正によってそれらを補償することが必要な場合がある。基地局は、ナビゲーションセンサによって容易に認識される十分に定義された幾何学的特徴を有するので、本明細書に記載の実施形態による基地局をこの目的(較正)に用いることができる。
【0051】
ナビゲーションセンサが非較正状態でることは、例えば、基地局の1つまたは複数の幾何学的特徴(または、より具体的には、それらから算出されたナビゲーション特徴)の距離、長さ、サイズおよび/または角度を測定し、これらを対応する標準値と比較することによって確認される。この標準値は、ナビゲーションセンサの再較正にも使用される。これに加えて、基地局の個々の幾何学的特徴は、それらの測定が、較正されるべきナビゲーションセンサのパラメータの少なくとも1つについて直接推論されることを可能にするように設計されてもよい。
【0052】
較正の精度を向上させるために、多数の独立した測定値を組み合わせることができ、これにより、単一の測定値の測定誤差の全体への影響がより少なくなる。このために、基地局の多数の独立した幾何学的特徴(例えば、幅および深さ、
図1(B)および
図3参照)を測定することができる。これに代えてまたはこれに加えて、基地局に対して異なる距離で同じ測定を行うことができる。特に、ロボットの2つの測定位置間の移動距離(距離測定)を考慮に入れることができる。
【0053】
ナビゲーションセンサ(特に距離測定用センサ)の一例は、光源から構造化された光(
図2の光線111を参照)を放出し、そのように照射された環境をカメラ(
図2のカメラ112を参照)で撮影するようにすることができる。カメラ画像と、カメラと光源との相対位置とに基づいて、障害物までの距離(
図2参照、距離d)を決定することができる。カメラ112に対する光源(したがって、光線111)の移動(例えば約1μm)または回転(例えば約0.01°)によって引き起こされる相対位置の小さな変化(衝撃によってもたらされる)は、例えば、(以前に較正された)ナビゲーションセンサ110を非較正状態にし、距離測定における系統誤差を生じさせる可能性がある。
図1(A)に示す実施形態では、三角測量センサ(ナビゲーションセンサ110)で、基地局200の(水平)断面が検出される。この測定の起こり得る結果は、
図3(C)に示されている。このセンサデータから、距離測定の品質について推論を引き出すことを可能にする様々な寸法(寸法値)を導出することができる。例えば、(a)点1と点4を隔てる距離が決定され、(既知の)実際の幅と比較される。(b)基地局の正面側の1つ以上の特徴の後壁までの距離(点1、2、3および4)を決定し、基地局の(既知の)実際の深さと比較することができる。(c)点1、2、3および4が1つの線に沿っているかどうかが検査される。および/または(d)後壁と前面の特徴によって定義された線との間の角度(点1,2,3および4)を決定することができる(この例では、この角度は理想的にゼロである。すなわち線は後壁に平行である)。特に、ロボット100と基地局との間の距離は、例えば、基地局200の幅および/または深さに基づいて決定される。この値は、距離測定を較正するために使用することができる。
【0054】
基地局200を使用する較正の正確さのための1つの特定の課題は、(大きな家具と比較して)その比較的小さい構造サイズである。ナビゲーションセンサは、数メートルのコースにわたって正確な測定結果を提供すべきであるが、基地局自体は数センチの幅と深さである。基地局内に鏡を配置することにより、その内部の光路を拡張することができる。このようにして、目標とする光を発するナビゲーションセンサの較正の精度を向上させることができる。例えば、
図3(A)による基地局では、後壁の内側に鏡を備え付けることができる。そのような場合には、ハウジングの前壁の内面がナビゲーションセンサ110に見えるようになり、測定経路として利用可能な深度は、鏡なしでの深さの2倍になる。
【0055】
三角測量センサの場合、以下のセンサパラメータを較正することができる。レンズからのイメージセンサ(例えば、CCDまたはCMOSセンサ)の距離(焦点距離)、光源(例えば、レーザおよびレンズ)からの光軸の距離、測定平面の傾き(光源の光軸の傾きに対応、
図4(A)のbの場合)、イメージセンサ上の位置xのゼロ点(
図2参照)。具体的には、最後の2つのパラメータ(光源の光軸の傾きとイメージセンサ上のゼロ点の位置)は、非較正状態の際に、特に長距離で、距離測定が大きく歪曲され、その結果体系的な測定誤差が生じる。これらの三角測量センサのパラメータの両方は、例えば基地局の幅(または
図3(C)の点1と点4との間の距離)を測定し、測定値が既知の基準値に対応するようにパラメータを適合(較正)することによって較正することができる。基地局の深さ(例えば、後壁からの点3の距離、
図3(C)参照)も知られており、上述のパラメータの較正に使用することができる。
【0056】
前述の例によれば、水平断面平面内の基地局の形態のみが考慮されるが、これに代えて又は追加して、(水平)測定平面の床までの距離に依存するナビゲーション特徴が考慮されてもよい。
【0057】
図4(A)は、基地局200の断面の測定を実行するナビゲーションセンサ110(特に三角測量センサ)を備えたロボット100を示す図である。理想的な場合には、測定は、床hまである距離の、床に平行(
図4(A)のaの場合)な平面内で実行されるが、これはまた、これから逸脱してもよい(
図4(A)のbの場合)。
図4(B)は、
図3(A)の実施形態に匹敵する基地局200を示しているが、ナビゲーション特徴の位置(および/または延長)が床までの距離であって、その距離でセンサ測定が実行される距離(
図4(B)の点線)に依存するように形成された開口230’(窓)を有している。
図4(C)は、ナビゲーション特徴として、aの場合(測定の床までの距離h=h
a)の基地局の開口230,230’のコーナ点を表しており、
図4(D)は、ナビゲーション特徴として、bの場合(測定の床までの距離h=h
b)の基地局の開口230、230’のコーナ点を表している。bの場合では、aの場合と比較して点2が左に移動され、これにより、bの場合の点1と点2との間の距離がより小さくなり、点2と点3の間の距離がaの場合と比較して、より大きくなる。種々の距離で基地局を測定することにより、例えば、センサ測定が床面に平行して実行されているかどうか、またはそうでない場合、測定面の傾きが水平面に対してどれほど大きいかを直接的に判断することができる。したがって、この手順では、2次元断面測定に加えて、基地局の第3の次元が、センサパラメータ(ここでは光源の光軸の傾きまたはナビゲーションセンサの測定平面)を直接的に決定および較正するために使用される。このために、基地局は、床hまでの距離に決定的に依存する幾何学的特徴(例えば、点2の位置または点1と点2との間の距離)を必要とする。
【0058】
本発明の別の実施例によれば、ナビゲーションモジュールは、基地局の検出された幾何学的特徴(ナビゲーション特徴)からドッキング位置を計算し、次にロボットをこの位置に向ける。ナビゲーションセンサの測定が誤っていると、計算されたドッキング位置が実際に必要な位置に対応しなくなり、ドッキング操作が失敗する可能性がある。ドッキング位置の計算は、正確なドッキング位置がわかっている場合に較正できる1つ以上のパラメータに依存する。これらのパラメータは、例えば、ロボット100上のナビゲーションセンサ110の位置であり、例えば、ナビゲーションセンサ110の光学受信装置の鏡の移動でもある。較正は、試行錯誤に基づく方法によって実行される。この目的のために、計算されたドッキング位置が変更され、ドッキング動作を実行するために使用される。これは繰り返し行われ、成功率が測定される。成功率が最も高いドッキング位置は、必要なパラメータを較正するために使用される。位置の変化(方向付け)は、計算された位置の周りの間隔で小さなステップでランダムにまたは系統的に起こり得る。もちろん、位置の代わりに、関心のあるパラメータを直接的に変化させ、関心のある位置を決定するために使用することもできる。
【0059】
上述したように、ロボット100は、基地局200の位置に基づいてドッキングの位置および方向を決定することができる。
図5(A)に示す例によれば、ナビゲーションモジュールは、その計算された位置および方向に基づいてロボットの経路を決定し、このドッキング位置にロボットを向けることができる。それにもかかわらず、(ドッキング時の)ロボット100の実際の最終位置および最終的な向きは、距離測定誤差のために計画された必要なドッキング位置およびドッキング方向から外れることがある。
図5(B)は、小さな偏差により、例えば、基地局の充電接点220とロボットの対応する充電接点120との間の接触が確立されず、ロボット100の自律機能を損なう誤差が生じることを示している。
【0060】
ドッキング動作の完了後に実際に必要とされるドッキング位置および/または向きからロボットの位置および/またはその向きの小さな偏差を修正するために、ロボット100はその位置(例えば向き)を僅かに変更する。
図5(C)に示すように、例えば小さな回転によって、正確なドッキング位置とは異なるが、充電接触が確立される(
図5(D)参照)。
【0061】
図5(B)による最初のドッキング位置から、ロボットは、例えば、所定の角度αだけ左へ最初の回転を行う。
図5(C)に示すように、これは必ずしも成功につながるわけではないので、反対方向の第2の回転が行われる。元の向きの周りの対称領域をカバーするために、第2の回転は、例えば第1の回転の約2倍の角度2αだけ反対方向に行われる。
【0062】
必要なドッキング姿勢が達成されたかどうかは、例えば、充電接点上の電圧の存在によって、または接触スイッチによって決定することができる。例えば、成功した接触が達成されなかった場合、ロボットは上述の回転を完了した後、最初の向きに戻ることができる。
【0063】
基地局へのドッキング動作の堅牢性をさらに高めるために、基地局には、ロボットに設けられた対応する凹部に係合する1つ以上の(フレキシブルに取り付けられた)凸部を設けることができる。
図1(C)において、これらは例えば2つの充電接点220によって形成されている。ロボットの回転により、これらの凸部はロボット上の対応する凹部に滑り込み、正確なドッキング位置と方向を定めることができる。基地局によってロボット上の汚れ容器を真空引きするための接続または洗浄剤を補充する接続は、同等の機能を果たすことができる。
【0064】
ドッキング操作を確実に成功させるためには、基地局の前にある特定のドッキング領域に障害物がないようにする必要がある。この領域は、ロボットが通過する際にロボットが確実に認識でき、できるだけ単純で直接的なドッキング操作に十分なスペースを有する大きさでなければならない。このような領域は、例えば、基地局の左右両側にロボットの直径にほぼ等しい空間を有し、基地局の前にはロボットの直径の約2倍の空間を有するべきである。
【0065】
ユーザの影響により、例えば、以下の障害が生じうる。(i)壁がドッキング領域を通過するように基地局が配置されている(特に、基地局が部屋のコーナーに近すぎて配置されているため)。(ii)椅子の脚や散在した靴のような小さな障害物がドッキング領域に存在し、接近経路の一部を遮っている。(iii)ケーブルや衣服などの小さな障害物がドッキング領域に置かれ、これにより、例えば、車輪のスリップが増加して、ロボットの動きを妨げる。
【0066】
一般に、ユーザは意図的にこれらの障害を引き起こすことはなく、故意に基地局へのアクセスを損ない、したがって安全なドッキングを妨げる障害物をロボットの経路に配置しない。ここに記載された実施形態によれば、このような問題を早期に検出し、ユーザに通知して、障害を除去することができるようにする試みがなされている。例えば、ロボットには、ドッキング経路に沿った計算および/または移動が、例えば上記の障害の1つによって著しく損なわれているかまたは不可能にされたことを認識できる検出モジュールが設けられている。この場合に、例えば、ナビゲーションセンサは、ドッキング領域内の障害物を検出するために使用されうる。ロボットが走行することができるドッキングエリア内のより小さい障害物は、例えば、スリップなどの距離測定誤差を検出するセンサによって認識することができる。
【0067】
認識された問題をユーザに知らせるために、ロボットは少なくとも1つの通信インタフェース(ヒューマンマシンインタフェースHMIとしても知られている)を有している。これは、ロボット上の直接的な視覚ディスプレイまたは音声信号、特に音声出力を含むことができる。これに加えて、WLANを介して例えばスマートフォンまたはタブレットコンピュータのような外部装置への接続を確立し、情報をユーザに送ることができる。この情報は、例えば、検出された障害の種類を含む。
【0068】
さらに、ロボットは、障害がどの程度深刻であるかを評価し、ユーザにこの情報を提供することができる(例えば、軽度の問題(レベルI、ユーザによる措置が即座に必要とされない)、関連する問題(レベルII、ユーザの措置が推奨される)、深刻な問題(レベルIII、ユーザーによる措置が必要))。このようにして、ユーザーは介入することがどれほど重要かを判断することができる。例えば、基地局が壁に近すぎて置かれており、ドッキングを妨害しているが、ドッキングが不可能ではないことがある(レベルIまたはII)。この場合、ユーザは、基地局が現在の位置に留まり、ロボットがドッキングを試みるべきであると判断することができる。一方、ユーザは誤って椅子を基地局の前に置き、直接ドッキング動作を不可能にする場合がある(レベルIII)。この問題はユーザが迅速に取り除くことができ、ロボットの機能を保証することができる。取られる措置に応じて、ユーザは、通信インタフェースを介してロボットに再登録を送信する。この再登録には、たとえば次の内容が記載される。(i)問題は是正された。(ii)問題は無視され、ドッキングが試みられる。(iii)ドッキング動作が延期され、問題は後で是正される。障害のこの分類は、当然のことながら、例示的なものであり、任意の他の所望の方法で実行することもできる。
【0069】
ユーザにできるだけ早く問題が通知されるように、ロボットは基地局を離れるといつもすぐに、特に、新しい運用タスクの開始時には、障害の検出を実行する必要があり、障害の検出を実行する必要がある。
【0070】
最後に、本発明の他の実施形態に到達するために、様々な実施例を使用して本明細書に記載された装置、方法およびシステムの技術的特徴が一般に互いに組み合わされてもよいことに言及すべきである。このような組み合わせは、特に明記しない限り、一般的に可能であり有用である。ここに記載された方法の全てがロボットによって実行されることを理解すべきである。これは、ロボットが一般的にプログラム可能なロボットコントローラを含み、アプリケーションに応じて、ロボットがそれぞれの方法を実行できるようにプログラムされていることを意味する。ロボットコントローラは、必ずしもロボットの単一構成要素で実現される必要はない。一般に、ロボットの外部から見える動作に影響を与えるすべてのコンポーネントは、ロボットコントローラの一部を形成する。したがって、ロボットコントローラは、移動ロボット内に物理的に設置される必要はなく、例えば、通信接続を介してロボットと接続されたコンピュータのように、ロボットの外側の静止(制御)装置内に部分的に配置されてもよい。