(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
金属含有収着剤材料が提供され、金属含有収着剤材料の作製方法、金属含有収着剤材料の使用方法及び金属含有収着剤材料に塩基性窒素含有化合物を収着させることによってもたらされる金属錯体含有複合材料が提供される。収着剤材料は、多孔性ケイ酸質材料をシラン及び/又はジシラザン表面処理剤により処理することにより形成される前駆体材料に、二価の金属を組み込むことによって、調製される。多孔性ケイ酸質材料はメソ細孔を有する。金属含有収着剤材料を使用して、150グラム/モル以下の分子量を有するものなどの塩基性窒素含有化合物を捕捉することができる。この捕捉は、組み込まれた金属錯体を含有する複合体の形成をもたらす。
【0015】
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、「少なくとも1つの」と交換可能に使用され、記載されている要素のうちの1つ以上を意味する。
【0016】
用語「及び/又は(and/or)」は、一方又は両方を意味する。例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ又はAとBの両方を意味する。
【0017】
用語「収着すること」、並びに「収着する」、「収着した」及び「収着」などの類似の語は、吸着、吸収又はその両方による第2の物質(例えば、多孔質材料)への第1の物質(例えば、揮発性アミン化合物などのガス)の添加を指す。同様に、用語「収着剤」は、吸着、吸収又はその両方により第1の物質を収着する第2の物質を指す。
【0018】
多孔性ケイ酸質材料及び多孔性収着剤材料などの多孔質材料を、これらの細孔の径に基づいて特徴付けることができる。用語「ミクロ細孔」は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。用語「メソ細孔」は、2〜50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔を指す。用語「マクロ細孔」は、50ナノメートルより大きい直径を有する細孔を指す。多孔質材料の多孔度は、極低温条件(例えば、77°Kの液体窒素)下において、多孔質材料による窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの吸着等温線から決定され得る。吸着等温線は、約10
−6〜約0.98±0.01の範囲の複数の相対圧力における多孔質材料による窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの吸着率を測定することによって、典型的に得られる。次に等温線は、比表面積を計算するためにBET(Brunauer−Emmett−Teller)法など、多孔度及び細孔径分布を特性付けるために密度関数理論(DFT)などの様々な方法を使用して分析される。
【0019】
用語「表面積」は、到達可能な細孔の内表面を含む、材料表面の総面積を指す。表面積は、ある範囲の相対圧力にわたって極低温条件下(すなわち、77°K)で材料の表面に吸着する、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの量を測定することによって得られる吸着等温線から典型的に計算される。用語「BET比表面積」は、BET法を使用して0.05〜0.3の相対圧力範囲にわたる不活性ガスの吸着等温線データから典型的に計算される、材料1グラムあたりの表面積である。
【0020】
用語「二価の金属」は、+2の酸化状態を有する金属を指す。二価の金属は、典型的には、IUPAC元素周期表の2族又は6〜12族からのものである。混乱を避けるために、2族は最も軽い元素としてベリリウムを含み、6族は最も軽い元素としてクロムを含み、7族は最も軽い元素としてマンガンを含み、8族は最も軽い元素として鉄を含み、9族は最も軽い元素としてコバルトを含み、10族は最も軽い元素としてニッケルを含み、11族は最も軽い元素として銅を含み、12族は最も軽い元素として亜鉛を含む。二価の金属は、金属塩、金属錯体、金属酸化物などの形態であり得る。
【0021】
用語「前駆体」及び「前駆体材料」は、交換可能に使用される。
【0022】
用語「収着剤材料」、「収着剤」、「金属含有収着剤材料」及び「金属含有収着剤」は、交換可能に使用される。
【0023】
用語「ケイ酸質材料」及び「多孔性ケイ酸質材料」は、交換可能に使用される。
【0024】
用語「アルキル」は、アルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキル基は1〜20個の炭素原子を有することができ、直鎖状、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであり得る。アルキルが直鎖状である場合、1〜20個の炭素原子を有することができる。アルキルが分枝状又は環状である場合、3〜20個の炭素原子を有することができる。アルキル基は、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子又は少なくとも4個の炭素原子を有することができる。アルキル基は、20個までの炭素原子、18個までの炭素原子、16個までの炭素原子、12個までの炭素原子、10個までの炭素原子、8個までの炭素原子又は6個までの炭素原子を有することができる。
【0025】
用語「アルキレン」は、アルカンのラジカルである二価の基を指す。アルキレン基は1〜20個の炭素原子を有することができ、直鎖状、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであり得る。アルキレンが直鎖状である場合、1〜20個の炭素原子を有することができる。アルキレンが分枝状又は環状である場合、3〜20個の炭素原子を有することができる。アルキレン基は、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子又は少なくとも4個の炭素原子を有することができる。アルキレン基は、20個までの炭素原子、18個までの炭素原子、16個までの炭素原子、12個までの炭素原子、10個までの炭素原子、8個までの炭素原子又は6個までの炭素原子を有することができる。
【0026】
用語「アルコキシ」は、アルキル基に直接結合しているオキシ基を有する一価の基を指す。言い換えると、アルコキシは式−ORの基であり、Rはアルキルである。アルコキシ基に含まれるアルキル基の炭素原子の数は、上記の記載と同じである。
【0027】
用語「アリール」は、芳香族炭素環式化合物のラジカルである一価の基を指す。アリール基は、少なくとも1個の芳香族炭素環を有し、その芳香族炭素環に接続又は縮合している1〜5個の任意の環を有することができる。これらの追加的な環は、芳香族、脂肪族又はこれらの組み合わせであり得る。アリール基は、5〜20個の炭素原子、6〜20個の炭素原子、6〜16個の炭素原子、6〜12個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を有することができる。
【0028】
用語「アリーレン」は、芳香族炭素環式化合物のラジカルである二価の基を指す。アリーレン基は、少なくとも1個の芳香族炭素環を有し、その芳香族炭素環に接続又は縮合している1〜5個の任意の環を有することができる。これらの追加的な環は、芳香族、脂肪族又はこれらの組み合わせであり得る。アリーレン基は、5〜20個の炭素原子、6〜20個の炭素原子、6〜16個の炭素原子、6〜12個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を有することができる。
【0029】
用語「アリールオキシ」は、式−OArの一価の基を指し、Arは、上記に定義されたアリールである。
【0030】
用語「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキルを指す。アルキル及びアリール基は、上記の記載と同じである。アラルキルを式−R
a−Arで表すことができ、R
aは、上記に記載されたアルキレンであり、Arは、上記に記載されたアリールである。
【0031】
用語「アルカリール」は、アルキル基で置換されたアリールを指す。アリール及びアルキル基は、上記の記載と同じである。アルカリールを式−Ar
1−Rで表すことができ、Ar
1は、上記に記載されたアリーレンであり、Rは、上記に記載されたアルキルである。
【0032】
用語「アラルコキシ」は、式−O−R
a−Arの基を指し、R
aは、上記に記載されたアルキレンであり、Arは、上記に記載されたアリールである。
【0033】
用語「アルカリールオキシ」は、式−O−Ar
1−Rの基を指し、Ar
1は、上記に記載されたアリーレンであり、Rは、上記に記載されたアルキルである。
【0034】
用語「アシルオキシ」は、式−O(CO)R
bの一価の基を指し、R
bは、アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキルである。アルキル、アリール、アルカリール及びアラルキル基は、上記の記載と同じである。
【0035】
用語「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、ヨード又はクロロなどのハロゲン原子を指す。反応性シリル基の一部であるとき、ハロ基は、多くの場合、クロロである。
【0036】
用語「加水分解性基」は、大気圧の条件下で水と反応し得る基を指す。加水分解性基は、多くの場合、反応の際にヒドロキシル基に変換される。ヒドロキシル基は、多くの場合、更なる反応を受ける。典型的な加水分解性基には、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルカリールオキシ、アシルオキシ又はハロが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用されるとき、この用語は、多くの場合、シリル基のケイ素原子に結合している1つ以上の基に関して使用される。アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルカリールオキシ、アシルオキシ及びハロ基は、上記の記載と同じである。
【0037】
用語「非加水分解性基」は、大気圧の条件下で水と反応し得ない基を指す。典型的な非加水分解性基には、水素、アルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用されるとき、この用語は、多くの場合、シリル基のケイ素原子に結合した1つ以上の基に関して使用される。アルキル、アリール、アルカリール及びアラルキル基は、上記の記載と同じである。
【0038】
用語「室温」は、20℃〜30℃の範囲又は20℃〜25℃の範囲の温度を指す。
【0039】
1つの態様において、金属含有収着剤が提供される。別の態様において、金属含有収着剤の調製方法が提供される。金属含有収着剤は、a)前駆体、及びb)収着剤の総重量に基づいて少なくとも1重量パーセントに等しい量で前駆体に組み込まれている二価の金属を含む。前駆体は、メソ細孔を有する多孔性ケイ酸質材料を、表面処理剤で処理することによって形成される。表面処理剤には、シラン、ジシラザン又はこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
メソ細孔を有する任意の多孔性ケイ酸質材料が、表面処理剤と反応して、前駆体を形成することができる。用語「前駆体」及び「前駆体材料」は、交換可能に使用される。多孔性ケイ酸質材料はメソ細孔を有し(すなわち、ケイ酸質材料はメソ多孔性であり)、メソ細孔は、2〜50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔である。多孔性ケイ酸質材料内の全ての細孔の平均細孔径は、典型的にはメソ細孔径範囲である(すなわち、平均細孔径は2〜50ナノメートルの範囲である)。平均細孔径は、多くの場合、2〜40ナノメートル、2〜30ナノメートル、2〜20ナノメートル又は2〜10ナノメートルの範囲である。平均細孔径の計算方法は、下記の実施例のセクションに記載されている。
【0041】
典型的には、多孔性ケイ酸質材料の総細孔容積の少なくとも50体積パーセントが、メソ細孔に起因する。いくつかの実施形態では、多孔性ケイ酸質材料の総細孔容積の少なくとも55体積パーセント、少なくとも60体積パーセント、少なくとも65体積パーセント、少なくとも70体積パーセント、少なくとも75体積パーセント、少なくとも80体積パーセント、少なくとも85体積パーセント又は少なくとも90体積パーセントが、メソ細孔に起因する。体積パーセントの計算方法は、下記の実施例のセクションに記載されている。
【0042】
多孔性ケイ酸質材料の総細孔容積は、多くの場合、少なくとも0.5cm
3/グラム、少なくとも0.6cm
3/グラム、少なくとも0.7cm
3/グラムg、少なくとも0.8cm
3/グラム又は少なくとも0.9cm
3/グラムである。細孔容積は、例えば、1.5cm
3/グラム以上まで、1.4cm
3/グラムまで、1.3cm
3/グラムまで、1.2cm
3/グラムまで、1.1cm
3/グラムまで又は1.0cm
3/グラムまでであり得る。
【0043】
多孔性ケイ酸質材料の比表面積は、多くの場合、少なくとも50m
2/グラム、少なくとも100m
2/グラム、少なくとも200m
2/グラム又は少なくとも300m
2/グラムである。比表面積は、1000m
2/グラム以上まで、900m
2/グラムまで、800m
2/グラムまで、700m
2/グラムまで、600m
2/グラムまで又は500m
2/グラムまでであり得る。
【0044】
多孔性(例えば、メソ多孔性)ケイ酸質材料のいくつかの例は、H.Boettcher et al.in Advanced Materials,Vol.11,No.2,138−141(1999)による論文に記載されているものに類似した手順を使用して形成され得る。より詳細には、ゾルゲル技術を使用して、多孔性ケイ酸質材料を形成することができる。テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物を、有機溶媒の存在下で加水分解することができる。一部の有機溶媒は、ゾルが形成されるとその中に閉じ込められる可能性がある。続いて有機溶媒はゾルを乾燥することによって除去することができ、有機溶媒が以前に滞留していた場所に細孔を有するゲル(例えば、キセロゲル)の形成がもたらされる。
【0045】
ゲルを調製するのに適したテトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランは、多くの場合、式(III)のものである。
(R
5)
ySi(R
6)
4−y
(III)
式(III)において、R
5は、アルキル基又は水素であり、R
6は、アルコキシ又はハロ基である。適切なアルキル、アルコキシ及びハロ基は、上記に記載されている。変数yは、0又は1に等しい整数である。
【0046】
式(III)のいくつかの実施形態において、R
5は、アルキル基であり、R
6は、アルコキシ基又はクロロであり、変数yは、1に等しい。R
5アルキル基及びR
6アルコキシ基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有する。例えば、式(III)の化合物は、トリメトキシ(メチル)シラン、トリエトキシ(メチル)シラン、トリエトキシ(エチル)シラン、トリエトキシ(n−プロピル)シラン、トリエトキシ(イソ−ブチル)シラン、トリプロポキシ(メチル)シラン、イソオクチルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン又はトリクロロメチルシランなどのトリアルコキシ(アルキル)シランであり得る。
【0047】
別の実施形態において、R
6は、アルコキシ又はクロロであり、yは、0に等しい(すなわち、R
5基がない)。R
6アルコキシ基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有する。例えば、式(III)の化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又は四塩化ケイ素などのテトラアルコキシシランであり得る。
【0048】
式(III)の化合物は、最初に有機溶媒と混合される。有機溶媒は、典型的には、式(III)の化合物と混和性であるように(すなわち、溶解するように)、かつ乾燥によってゾルから容易に除去されるように選択される。有機溶媒の例には、低級アルカノールのアルコール(例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、メトキシプロパノール及び2−エチルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン及びメチルn−ブチルケトン)、エステル(例えば、酢酸ブチル、酢酸2−エトキシエチル及び酢酸2−エチルヘキシル)、並びにエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
式(III)の化合物と有機溶媒との混合物は、通常、pHが2〜4の範囲になるように調整されている。任意の適切な酸を使用することができるが、酸は、多くの場合、例えば塩酸、硝酸、リン酸又は硫酸などの鉱酸である。酸は、典型的には、混合物のpHを調整するために、事前に水で希釈されている。
【0050】
混合物(例えば、式(III)の化合物、希酸及び有機溶媒の混合物)に含まれる有機溶媒の量は、形成される多孔性ケイ酸質材料の細孔容積によって影響され得る。すなわち、混合物中の有機溶媒の体積が大きいほど、多孔性ケイ酸質材料に大きな細孔容積をもたらす。混合物は、多くの場合、少なくとも20体積パーセント有機媒体を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒の量は、混合物の少なくとも30体積パーセント、少なくとも40体積パーセント又は少なくとも50体積パーセントである。上限は、多くの場合、90体積パーセントである。体積パーセントがこれより高い場合、形成される多孔性ケイ酸質材料の量は、望ましくないほど低くなり得る。混合物中の有機溶媒の体積パーセントは、85体積パーセントまで、80体積パーセントまで、75体積パーセントまで、70体積パーセントまで、65体積パーセントまで、60体積パーセントまで又は55体積パーセントまでであり得る。
【0051】
混合物を数時間エージングさせた後、pHは7以上に増加する。任意の適切な塩基(例えば、希水酸化アンモニウム又は混合物に可溶性のアミン)を使用することができる。塩基の添加は、式(III)の化合物の加水分解及びゲルの形成をもたらす。すなわち、−O−Si−O−連鎖により一緒に接続している三次元網目構造を形成する。ゲルは、多くの場合、塩基を添加した数分以内に形成される。得られたゲルを(例えば、濾過によって)収集することができる。
【0052】
次にゲルを乾燥して、ゲルから有機溶媒を除去する。典型的には、乾燥温度は有機溶媒を有効に除去するように選択される。有機溶媒の除去は、ケイ酸質材料内に細孔をもたらす。乾燥温度は、多くの場合、有機溶媒の沸点より高くなるように選択される。いくつかの実施形態において、乾燥温度は、有機溶媒の沸点より少なくとも10℃高く、少なくとも20℃高く又は少なくとも30℃高くなるように選択される。多くの場合、乾燥温度は、有機溶媒の大部分を除去する第1の温度、次にあらゆる残留水を除去するために、より高い第2の温度に設定される。どちらのステップにおける乾燥温度も、例えば、150℃まで、140℃まで、130℃まで、120℃まで、110℃まで又は100℃までであり得る。
【0053】
多孔性ケイ酸質材料の他の例は、金属ケイ酸塩水溶液(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)を酸(例えば、硫酸)と混合し、ナトリウム塩を沈殿させ、混合物をアルカリpHにして、ポロゲン(porogen)(例えば、有機溶媒)の存在下でゲルを形成するのに十分な時間にわたってエージングさせることによって、形成され得る。この調製方法は、米国特許第7,559,981(B2)号(Friday et al.)に更に記載されている。
【0054】
多孔性ケイ酸質材料の更なる例は、2〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有するものなどのコロイドシリカから調製され得る。ゾルは、酸又は塩基のいずれかによって安定化され得る。そのようなシリカゾルは、Nalco Company(Naperville,IL,USA)から市販されており、例えば、NALCO 2326及びNALCO 2327が挙げられる。ゾルのpHは、酸又は塩基の添加により5〜8の範囲内に調整され得る。このpH調整は、シリカ粒子の不安定化、続く凝集をもたらす。凝集したシリカ粒子を収集し、乾燥することができる。
【0055】
様々な種類のメソ多孔性ケイ酸質材料が市販されている。いくつかのケイ酸質材料は、メソ細孔の規則的配列を有する。例には、MCM−41(すなわち、Mobile Composition of Matter No.41)及びMCM−48(すなわち、Mobile Composition of Matter No.48)が挙げられ、これらは、Mobil Oil Corporationの研究者によって開発されたケイ酸質材料を指す。別の例は、SBA−15(すなわち、Santa Barbara Amorphous No.15)であり、これは、University of California,Santa Barbaraの研究者によって開発されたケイ酸質材料を指す。なお別の例はM41Sであり、これは、ExxonMobilの研究者によって開発されたケイ酸質材料を指す。少なくともMCM−41及びSBA−15は、Sigma−Aldrich(Saint Louis,MO,USA)から市販されている。
【0056】
他の多孔性ケイ酸質材料(例えば、シリカゲル)は、例えば、W.R.Grace and Company(Columbia,MD,USA)から商標名DAVISILで市販されている。多孔性ケイ酸質材料は、例えば、6ナノメートル(DAVISIL LC60A)、15ナノメートル(DAVISIL LC150A)、25ナノメートル(DAVISIL LC250A)及び50ナノメートル(DAVISIL LC500A)の平均細孔径を有するものが利用可能である。なお他の多孔性ケイ酸質材料には、Material Harvest Limited(Cambridge,England)、SiliCycle Inc.(Quebec City,Canada)及びEMD Millipore(Darmstadt,Germany)から商標名LICHROPREPで市販されているシリカゲルが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、表面処理剤と反応して前駆体材料を形成する前に、酸塩基指示薬を多孔性ケイ酸質材料に添加することができる。すなわち、後に形成される前駆体材料及び収着剤の両方が、酸塩基指示薬を含み得る。酸塩基呈色指示薬(colorimetric indicator)は、酸性型から塩基性型に移行するときに色が変わる化合物(典型的には、有機染料)である。酸塩基呈色指示薬は、収着剤材料に収着される窒素含有化合物のpK
b未満のpK
bを有するように典型的に選択される。すなわち、酸塩基呈色指示薬は、窒素含有化合物を収着する収着剤の容量の全て又は相当な部分に達したとき又は達しそうになったときに、第1の色から第2の色に変わるように選択される。本明細書において使用されるとき、用語「達しそうになった」は、容量の少なくとも60パーセント以上に達する(すなわち、利用可能な収着部位の少なくとも60パーセント以上が窒素含有化合物の収着に使用されている)ことを意味する。例えば、少なくとも70パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも90パーセント又は少なくとも95パーセントの収着部位が、窒素含有化合物の収着に使用されている。
【0058】
収着される窒素含有化合物のpK
bを知ることによって、当業者は、より低いpK
b値を有する酸塩基呈色指示薬を容易に選択することができる。いくつかの用途において、窒素含有化合物のpK
b値と酸塩基呈色指示薬のpK
bとの差は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3又は少なくとも4である。酸塩基呈色指示薬のpK
bは、多くの場合、3〜10の範囲である。
【0059】
酸塩基呈色指示薬の例には、メチルレッド、ブロモキシレノールブルー、パラローザニリン、クリソイジン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェニルブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、アゾリトミン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールフタレイン及びチモールフタレインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
酸塩基呈色指示薬は、任意の適切な方法を使用して多孔性ケイ酸質材料に添加することができる。いくつかの実施形態において、多孔性ケイ酸質材料は、酸塩基呈色指示薬の溶液に少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間又は少なくとも8時間にわたって浸漬される。多くの場合、浸漬溶液は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり約1ミリグラムの酸塩基呈色指示薬を含有する。
【0061】
多孔性ケイ酸質材料は、表面処理剤と反応する。表面処理剤は、式(I)のシラン、式(II)のジシラザン又は式(I)のシランと式(II)のジシラザンとの混合物である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。式(II)において、各R
4は炭化水素基である。表面処理剤は、典型的には、式(I)の1つ以上の化合物、式(II)の1つ以上の化合物、又は式(I)の1つ以上の化合物と式(II)の1つ以上の化合物との混合物である。少なくともいくつかの実施形態において、1つを超える表面処理剤が使用される場合、複数の表面処理剤は、多くの場合に式(I)のものである。
【0062】
式(I)の基R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。この基は、多くの場合、式(I)の化合物と多孔性ケイ酸質材料との反応によって形成される前駆体の表面に疎水性の特徴を提供する又は表面の疎水性の特徴を増強する。本明細書において使用されるとき、用語「炭化水素」は、炭素及び水素原子のみを含む基を指す。本明細書において使用されるとき、用語「フッ素化炭化水素」は、炭化水素基の少なくとも1個の水素原子がフッ素原子に置き換えられている基を指す。炭化水素基又はフッ素化炭化水素基は、飽和、部分的に不飽和又は不飽和(例えば、芳香族)であり得る。適切な炭化水素基は一価であり、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルカリール基が挙げられる。適切なフッ素化炭化水素基は一価であり、例えば、フッ素化アルキル基(すなわち、1つ以上のフルオロ基で置換されているアルキル基)、フッ素化アリール基(すなわち、1つ以上のフルオロ基で置換されているアリール基)、フッ素化アラルキル基(すなわち、1つ以上のフルオロ基で置換されているアラルキル基)及びフッ素化アルカリール基(すなわち、1つ以上のフルオロ基で置換されているアルカリール基)が挙げられる。多くの実施形態において、R
1は、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールである。大部分の実施形態において、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基は、多孔性ケイ酸質材料の表面、二価の金属又は窒素含有化合物と反応しない。
【0063】
式(I)の基R
2は、加水分解性基である。加水分解性基は、表面処理剤と多孔性ケイ酸質材料との(例えば、多孔性ケイ酸質材料の表面のヒドロキシル基との)反応部位である。加水分解性基が多孔性ケイ酸質材料の表面と反応すると、−O−Si−O−結合が形成されて、表面処理剤を多孔性ケイ酸質材料に結合させる。加水分解性基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリールオキシ、アラルコキシ、アシルオキシ又はハロであり得る。これらの基は、上記の記載と同じである。多くの実施形態において、R
2は、アルコキシ又はハロである。
【0064】
式(I)の基R
3は、非加水分解性基である。典型的な非加水分解性基には、水素、アルキル、アリール、アルカリール及びアラルキルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基は、上記の記載と同じである。多くの実施形態において、R
3は、水素、アルキル又は不在である(xは0に等しい)。
【0065】
式(I)のいくつかの実施形態において、R
1は、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールであり、各R
2は、アルコキシ又はハロであり、xは、0に等しい(R
3は不在である)。多くの場合、アルコキシR
2基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有し、ハロR
2基は、クロロである。例には、トリメトキシ(メチル)シラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリメトキシ(プロピル)シラン、トリメトキシ(イソブチル)シラン、トリエトキシ(メチル)シラン、トリエトキシ(エチル)シラン、トリメトキシ(フェニル)シラン、トリプロポキシ(メチル)シラン、トリメトキシ(2−フェニルエチル)シラン、トリエトキシ(シクロペンチル)シラン、トリメトキシ(イソオクチル)シラン、トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリエトキシ(フェニル)シラン、トリエトキシ(p−トリルシラン)、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチル)シラン、トリエトキシ(ドデシル)シラン、トリメトキシ(ヘキサデシル)シラン及びトリエトキシ(n−オクタデシル)シラン、メチルクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、トリクロロ(オクチル)シラン、並びにトリクロロフェニルシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
式(I)の他の実施形態において、R
1は、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールであり、各R
2は、アルコキシ又はハロであり、各R
3は、独立して水素又はアルキルであり、xは、1又は2に等しい。多くの場合、アルコキシR
2基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有し、ハロR
2基は、クロロである。更に、アルキルR
3基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有する。
【0067】
R
1がアルキル又はアリールであり、R
2がハロ又はアルコキシであり、各R
3が独立して水素又はメチルである式(I)の例には、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、メチルジエトキシシラン、ジエトキシ(メチル)フェニルシラン、ジメトキシ(メチル)オクチルシラン及びクロロフェニルシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
式(II)の表面処理剤を、式(I)の表面処理剤の代わりに又は式(I)の表面処理剤と組み合わせて使用することができる。式(II)において、各R
4基は炭化水素基である。適切な炭化水素基は一価であり、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルカリール基が挙げられる。これらの基は、上記の記載と同じである。
【0069】
式(II)の表面処理剤の多くの実施形態において、各R
4基はアルキルである。いくつかの特定の実施形態において、各R
4基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有する。例えば、式(II)の化合物はヘキサメチルシラザンであり、ここでR
4はメチルである。
【0070】
多くの実施形態において、使用される唯一の表面処理剤は、式(I)及び/又は式(II)のものである。表面処理剤のうち、式(I)におけるR
1及び式(II)におけるR
4などの疎水性基を欠いているものはない。すなわち、使用される表面処理剤のうち、R
1又はR
4が親水性基又はアルキルなどの反応性官能基に置き換えられている、すなわち、第一級アミノ基で置換されているものはない。
【0071】
表面処理剤は、任意の既知の方法を使用して多孔性ケイ酸質材料に添加することができる。いくつかの方法において、多孔性ケイ酸質材料は水溶液に分散される。表面処理剤は、水と混和性である有機溶媒中に溶解され、次に分散体にゆっくりと添加される。表面処理剤と多孔性ケイ酸質材料との反応は、酸性条件下(例えば、1〜5のpH範囲)又は塩基性条件下(例えば、9〜12のpH範囲)で実施され得る。表面処理剤の加水分解は、多孔性ケイ酸質材料の表面のヒドロキシル基との反応を可能にする。この反応は、多孔性ケイ酸質材料の表面と表面処理剤との間に−O−Si−O−連鎖の形成をもたらす。すなわち、表面処理剤は、多孔性ケイ酸質材料の表面と共有結合する。得られた材料は、前駆体材料と呼ばれ、表面処理剤と反応する前の多孔性ケイ酸質材料よりも疎水性のある表面を有する傾向がある。言い換えると、表面処理剤は、前駆体に疎水性の特徴を付与するため又は前駆体の疎水性の特徴を増強するため、典型的に添加される。
【0072】
表面処理剤は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1〜4.5mmoleの範囲の量により、典型的に添加される。表面処理剤の量が多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1mmole未満である場合、前駆体は、十分に疎水性にならないことがある。疎水性は、塩基性窒素含有化合物を収着する収着剤材料の能力を増加する傾向がある。いくつかの実施形態において、表面処理剤の量は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり少なくとも0.2mmole、1グラムあたり少なくとも0.3mmole、1グラムあたり少なくとも0.5mmole又は1グラムあたり少なくとも1mmoleに等しい量で添加される。表面処理剤(縮合反応において生じた基を差し引いた表面処理剤)の量は、多孔性ケイ酸質材料の表面に単層以下を提供するように典型的に選択される。塩基性窒素含有化合物を収着する収着剤材料の能力は、単層を超えた表面処理剤が添加されると減少する傾向がある。いくつかの実施形態において、添加された表面処理剤の量は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり4.5mmoleまで、1グラムあたり4.0mmoleまで、1グラムあたり3.5mmoleまで、1グラムあたり3.0mmoleまで、1グラムあたり2.5mmoleまで又は1グラムあたり2mmoleまでであり得る。
【0073】
前駆体材料を形成する反応は、室温又は高温(すなわち、室温を超えた温度)で生じ得る。いくつかの実施形態において、反応温度は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃又は少なくとも70℃である。この温度は、通常、混合物に含まれた水及び有機溶媒が反応時間にわたる沸騰によって除去されないように選択される。反応時間は、前駆体材料を形成するのに十分な任意の時間であり得る。いくつかの実施形態において、反応温度は、24時間まで、20時間まで、16時間まで、8時間まで、4時間まで、2時間まで又は1時間まで75℃に保持される。
【0074】
前駆体が形成された後、二価の金属が前駆体に組み込まれて、金属含有収着剤材料を形成する。二価の金属は、前駆体を金属塩で処理することによって、典型的に組み込まれる。二価の金属を前駆体に添加するために、任意の既知の手順を使用することができる。多くの実施形態において、金属塩又は金属塩の溶液(例えば、水に溶解した金属塩)は、表面改質過程(すなわち、表面処理剤が多孔性ケイ酸質材料と反応する過程)の際に存在する有機溶媒及び/又は水を除去する前に、前駆体に添加される。この混合物は、多くの場合、二価の金属を前駆体に含浸させるのに十分な時間を許容するため数時間にわたって撹拌される。金属塩と前駆体材料との混合時間は、多くの場合、1時間まで、2時間まで、4時間まで、8時間まで、16時間まで、24時間まで又は48時間までである。混合温度は、室温であり得る又はそれを上回ることがあり得る。次に、得られた収着剤材料を、濾過によって有機溶媒及び/又は水から分離することができる。収着剤を、任意の残留水及び/又は有機溶媒を除去するのに十分な温度で乾燥することができる。例えば、収着剤を80℃〜150℃の範囲の温度で乾燥することができる。
【0075】
前駆体材料に組み込まれた金属塩は、二価の金属(すなわち、酸化状態+2の金属)である陽イオン及び1つ以上の陰イオンを含有して、電荷を平衡にしている。適切な金属イオン(二価の金属)は、典型的には、周期表の2族又は6〜12族からのものである。二価の金属の例には、クロム、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、マンガン、カドミウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、バリウム又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、二価の金属は、例えば、クロム、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄又はそれらの混合物などの6〜12族金属である。いくつかの特定の実施形態では、二価の金属は、銅、コバルト、亜鉛又はニッケルである。いくつかの更により特定の実施形態では、二価の金属は、亜鉛又は銅である。
【0076】
金属塩は、水及び/又は水と混和性の有機溶媒に可溶性であるものから、典型的に選択される。金属塩の陰イオンは、多くの場合、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、ギ酸イオン及びプロパン酸イオン)又はハロゲン置換カルボン酸イオン(例えば、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン及びクロロ置換プロパン酸イオン)である。多くの実施形態において、陰イオンは、塩化物イオン、酢酸イオン又は硝酸イオンである。
【0077】
特定の金属塩の例には、酢酸亜鉛、酢酸銅、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉄、酢酸マンガン、酢酸クロム、酢酸カドミウム、ギ酸亜鉛、ギ酸銅、ギ酸ニッケル、ギ酸コバルト、ギ酸鉄、ギ酸マンガン、ギ酸カドミウム、プロパン酸亜鉛、プロパン酸銅、プロパン酸ニッケル、プロパン酸コバルト、プロパン酸鉄、プロパン酸マンガン、プロパン酸カドミウム、クロロ酢酸亜鉛、クロロ酢酸銅、クロロ酢酸ニッケル、クロロ酢酸コバルト、クロロ酢酸鉄、クロロ酢酸マンガン、クロロ酢酸カドミウム、ジクロロ酢酸亜鉛、ジクロロ酢酸銅、ジクロロ酢酸ニッケル、ジクロロ酢酸コバルト、ジクロロ酢酸鉄、ジクロロ酢酸マンガン、ジクロロ酢酸カドミウム、塩化亜鉛、塩化銅、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄、塩化マンガン、塩化カドミウム、塩化クロム、塩化マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸マンガン、硫酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸鉄などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
前駆体に添加される二価の金属の量は、収着剤材料の重量に基づいて典型的には少なくとも1重量パーセントである。量が1重量パーセントより低い場合、得られた収着剤材料は、窒素含有化合物を収着するのに望ましくないほど低い容量を有することがある。二価の金属の量は、収着剤材料の総重量に基づいて、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント又は少なくとも5重量パーセントであり得る。二価の金属は、50重量パーセントまでの量で含まれ得る。量が約50重量パーセントを超える場合、得られた収着剤材料は、窒素含有化合物を収着するのに望ましくないほど低い容量を有することがある。例えば、この量は、収着剤材料の総重量に基づいて、45重量パーセントまで、40重量パーセントまで、35重量パーセントまで、30重量パーセントまで、25重量パーセントまで又は20重量パーセントまでであり得る。例えば、この量は、多くの場合、収着剤材料の重量に基づいて、1〜50重量パーセント、1〜40重量パーセント、1〜30重量パーセント、1〜20重量パーセント、5〜50重量パーセント、5〜40重量パーセント、5〜30重量パーセント、5〜25重量パーセント、5〜20重量パーセント、10〜50重量パーセント、10〜40重量パーセント、10〜30重量パーセント、10〜25重量パーセント、10〜20重量パーセント、15〜50重量パーセント、15〜40重量パーセント、15〜30重量パーセント又は15〜25重量パーセントの範囲である。
【0079】
亜鉛含有、コバルト含有、ニッケル含有及びマグネシウム含有収着剤材料などのいくつかの実施形態において、二価の金属はイオン種として存在し得る。イオン性の二価の金属では、金属種を含む結晶相は、通常、X線回折を使用して金属含有収着剤材料を分析した場合に検出することができない。銅含有収着剤材料などの他の実施形態において、二価の金属は酸化物として存在し得る。金属酸化物では、結晶相は、X線回折を使用して金属含有収着剤材料を分析した場合に検出されることがある。
【0080】
収着剤(すなわち、金属含有収着剤)を提供することに加えて、金属含有収着剤の調製方法が、上記に記載されているように提供される。より詳細に、この方法は、メソ細孔を有する多孔性ケイ酸質材料を準備することを含む。この方法は、多孔性ケイ酸質材料を表面処理剤により処理して、前駆体を形成することを更に含み、処理は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1〜4.5mmoleの表面処理剤を添加することを含む。表面処理剤は、式(I)のシラン、式(II)のジシラザン又は式(I)のシランと式(II)のジシラザンとの混合物である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。式(II)において、各R
4は炭化水素基である。この方法は、二価の金属を収着剤の総重量に基づいて少なくとも1重量パーセントに等しい量で前駆体に組み込むことによって、金属含有収着剤を形成することをなお更に含む。
【0081】
金属含有収着剤材料を使用して、塩基性窒素含有化合物の蒸気を捕捉することができる。このように、別の態様では、式Qの塩基性窒素含有化合物の捕捉方法が提供される。この方法は、上記に記載された金属含有収着剤を準備すること、次いで金属含有収着剤を塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露することを含む。金属錯体が形成される。金属錯体は、上記に定義された二価の金属と少なくとも1つの式Qの窒素含有化合物との反応生成物を含む。
【0082】
二価の金属と反応して金属錯体を形成する式Qの塩基性窒素含有化合物は、ルイス塩基、ブレンステッド−ローリー塩基又はその両方に分類され得る。適切な塩基性窒素含有化合物は、多くの場合、低分子量(例えば、150グラム/モル以下)を有する。すなわち、塩基性窒素含有化合物は、室温若しくは室温付近で揮発性であり得る又は使用条件下で揮発性であり得る。塩基性窒素含有化合物の例には、アンモニア、ヒドラジン化合物、アミン化合物(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルカノールアミン、アルキレンジアミン、アリールアミン)及び窒素含有複素環式(飽和及び不飽和)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の塩基性窒素含有化合物には、例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピリジン、ベンジルアミン、フェニルヒドラジン、エチレンジアミン及び1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
【0083】
塩基性窒素含有化合物の蒸気に曝露した後、金属含有収着剤材料は金属錯体含有複合材料に変換される。すなわち、別の態様では、金属錯体含有複合材料の形成方法が提供される。金属錯体含有複合材料は、金属含有収着剤材料と式Qの塩基性窒素含有化合物との反応生成物である。あるいは、金属錯体含有複合材料は、a)前駆体材料、及びb)前駆体材料に組み込まれた金属錯体を含有すると考えることができる。金属錯体は、二価の金属と少なくとも1つ式Qの塩基性窒素含有化合物との反応生成物を含む。
【0084】
金属錯体含有複合材料の多くの実施形態において、前駆体材料に組み込まれている二価の金属は、金属錯体に変換されない状態である。言い換えると、収着剤材料中の一部の二価の金属のみが塩基性窒素含有化合物と反応して、金属錯体を形成する。金属錯体含有複合材料は、塩基性窒素含有化合物と錯体を形成していない二価の金属及び少なくとも1つの塩基性窒素含有化合物と錯体を形成している二価の金属の混合物を含む。複合材料中の二価の金属の総量(塩基性窒素含有化合物と錯体を形成しているかいないかにかかわらず)は、複合材料の総重量に基づいて少なくとも1重量パーセントである。
【0085】
複合材料中の二価の金属の総量は、複合材料の総重量に基づいて、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント又は少なくとも5重量パーセントであり得る。全ての二価の金属は、50重量パーセントまでの量で含まれ得る。例えば、この量は、複合材料の総重量に基づいて、45重量パーセントまで、40重量パーセントまで、35重量パーセントまで、30重量パーセントまで、25重量パーセントまで又は20重量パーセントまでであり得る。例えば、この量は、多くの場合、複合材料の総重量に基づいて、1〜50重量パーセント、1〜40重量パーセント、1〜30重量パーセント、1〜20重量パーセント、5〜50重量パーセント、5〜40重量パーセント、5〜30重量パーセント、5〜25重量パーセント、5〜20重量パーセント、10〜50重量パーセント、10〜40重量パーセント、10〜30重量パーセント、10〜25重量パーセント、10〜20重量パーセント、15〜50重量パーセント、15〜40重量パーセント、15〜30重量パーセント又は15〜25重量パーセントの範囲である。
【0086】
複合材料中の全ての二価の金属のうちの任意の部分が、金属錯体の形態であり得る。例えば、全ての二価の金属の少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント又は少なくとも20重量パーセント、100重量パーセントまで、90重量パーセントまで、80重量パーセントまで、70重量パーセントまで、60重量パーセントまで又は50重量パーセントまでが、複合材料中に金属錯体として存在してもよい。
【0087】
金属含有収着剤材料によって収着される(例えば、錯体を形成する)塩基性窒素含有化合物の最大量は、収着剤材料に組み込まれている二価の金属の量に関連する。収着される塩基性窒素含有化合物の最大量は、多くの場合、金属含有収着剤材料1グラムあたり少なくとも1.5mmole(すなわち、金属含有収着剤材料1グラムあたり1.5mmoleの収着塩基性窒素含有化合物)であり、1グラムあたり10mmoleまで又はそれ以上であり得る。多くの実施形態において、収着される最大量は、1グラムあたり少なくとも2mmole、1グラムあたり2.5mmole又は1グラムあたり少なくとも3mmoleである。収着量は、例えば、1グラムあたり9mmoleまで、1グラムあたり8mmoleまで、1グラムあたり7mmoleまで、1グラムあたり6mmoleまで又は1グラムあたり5mmoleまでであり得る。
【0088】
収着剤材料の多孔度(前駆体を形成するために使用される多孔性ケイ酸質材料の多孔度によって主に制御される)も、塩基性窒素含有化合物を収着する金属含有収着剤材料の容量に影響を与える。典型的には、多孔度が高い収着剤材料ほど、官能基部位への到達可能性が大きい。多孔度が高い収着剤材料ほど、おそらく収着剤材料中にメソ細孔及び/又はマイクロ細孔が存在するため、多くの二価の金属の組み込みを典型的にもたらす。二価の金属の組み込みが多いほど(少なくとも、クラスター形成及び/又は層形成が生じる点まで)、塩基性窒素含有化合物の収着に利用可能な多くの配位部位をもたらす。収着剤材料の多孔度及びBET比表面積は、多孔性ケイ酸質材料又は多孔性ケイ酸質材料の調製に使用される方法の選択によって変わり得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、色変化は、塩基性窒素含有化合物への曝露によって生じる。この色変化は、例えば、二価の金属が銅若しくはニッケルである場合、及び/又は酸塩基指示薬染料が収着剤に含まれている場合に生じ得る。銅を含有する収着剤は、黒ずんだ灰色から青緑色に変化する可能性があり、ニッケルは、黄褐色から薄緑色(olive green color)に変化する可能性がある。酸塩基指示薬染料を含有する収着剤も、収着剤が収着容量に達した又は達しそうになったときに、色を変化させる可能性がある。
【0090】
金属含有収着剤材料、金属錯体含有収着剤材料の調製方法、塩基性窒素含有化合物を収着剤材料に捕捉する方法及び金属錯体含有複合材料である、様々な実施形態が提供される。
【0091】
実施形態1Aは、金属含有収着剤である。金属含有収着剤は、a)前駆体、及びb)収着剤の総重量に基づいて少なくとも1重量パーセントに等しい量で前駆体に組み込まれている二価の金属を含む。前駆体は、1)多孔性ケイ酸質材料及び2)表面処理剤を含有する混合物の反応生成物を含む。多孔性ケイ酸質材料はメソ細孔を有する。表面処理剤は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1〜4.5mmoleの範囲の量で添加される。表面処理剤は、式(I)のシラン、式(II)のジシラザン又は式(I)のシランと式(II)のジシラザンとの混合物である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。式(II)において、各R
4は炭化水素基である。
【0092】
実施形態2Aは、前駆体に組み込まれている二価の金属の量が、収着剤の総重量に基づいて1〜50重量パーセントの範囲である、実施形態1Aの金属含有収着剤である。
【0093】
実施形態3Aは、前駆体に組み込まれている二価の金属の量が、収着剤の総重量に基づいて5〜50重量パーセントの範囲である、実施形態1A又は2Aの金属含有収着剤である。
【0094】
実施形態4Aは、二価の金属が、IUPAC元素周期表の2族金属又は6〜12族金属からのものである、実施形態1A〜3Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0095】
実施形態5Aは、二価の金属が、二価亜鉛又は銅である、実施形態1A〜4Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0096】
実施形態6Aは、収着剤が、前駆体に組み込まれている酸塩基指示薬を更に含む、実施形態1A〜5Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0097】
実施形態7Aは、多孔性ケイ酸質材料が、1グラムあたり少なくとも0.5cm
3に等しい細孔容積を有する、実施形態1A〜6Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0098】
実施形態8Aは、多孔性ケイ酸質材料の細孔容積が、1グラムあたり0.5〜1.0cm
3の範囲である、実施形態1A〜7Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0099】
実施形態9Aは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、少なくとも50m
2/グラムである、実施形態1A〜8Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0100】
実施形態10Aは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、50〜1000m
2/グラムの範囲である、実施形態1A〜9Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0101】
実施形態11Aは、多孔性ケイ酸質材料が、有機溶媒の存在下におけるテトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物の加水分解によって形成される、実施形態1A〜10Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0102】
実施形態12Aは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物が式(III)のものである、実施形態11Aの金属含有収着剤である。
(R
5)
ySi(R
6)
4−y
(III)
式(III)において、R
5は、アルキル基又は水素であり、R
6は、アルコキシ又はハロ基である。変数yは、0又は1に等しい整数である。
【0103】
実施形態13Aは、表面処理剤が式(I)のものである、実施形態1A〜12Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。
【0104】
実施形態14Aは、R
1が、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールである、実施形態13Aの金属含有収着剤である。
【0105】
実施形態15Aは、R
2が、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリールオキシ、アラルコキシ、アシルオキシ又はハロである、実施形態13A又は14Aの金属含有収着剤である。
【0106】
実施形態16Aは、R
2が、アルコキシ又はハロである、実施形態15Aの金属含有収着剤である。
【0107】
実施形態17Aは、R
2が、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はクロロである、実施形態16Aの金属含有収着剤である。
【0108】
実施形態18Aは、R
3が、水素、アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキルである、実施形態13A〜16Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0109】
実施形態19Aは、R
3が、水素又はアルキルである、実施形態18Aの金属含有収着剤である。
【0110】
実施形態20Aは、表面処理剤が式(II)のものである、実施形態1A〜12Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(II)において、R
4は炭化水素である。
【0111】
実施形態21Aは、R
4がアルキルである、実施形態20Aの金属含有収着剤である。
【0112】
実施形態22Aは、R
4がメチルである、実施形態21Aの金属含有収着剤である。
【0113】
実施形態23Aは、多孔性ケイ酸質材料が細孔を有し、細孔の少なくとも50体積パーセントがメソ細孔である、実施形態1A〜22Aのいずれか1つの金属含有収着剤である。
【0114】
実施形態24Aは、多孔性ケイ酸質材料の細孔の少なくとも60体積パーセント、少なくとも70体積パーセント、少なくとも80体積パーセント又は少なくとも90体積パーセントがメソ細孔である、実施形態23Aの金属含有収着剤である。
【0115】
実施形態1Bは、金属含有収着剤の調製方法である。この方法は、メソ細孔を有する多孔性ケイ酸質材料を準備することを含む。この方法は、多孔性ケイ酸質材料を表面処理剤により処理して、前駆体を形成することを更に含み、処理は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1〜4.5mmoleの表面処理剤を添加することを含む。表面処理剤は、式(I)のシラン、式(II)のジシラザン又は式(I)のシランと式(II)のジシラザンとの混合物である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。式(II)において、各R
4は炭化水素基である。この方法は、二価の金属を収着剤の総重量に基づいて少なくとも1重量パーセントに等しい量で前駆体に組み込むことを、なお更に含む。
【0116】
実施形態2Bは、組み込みが、収着剤の総重量に基づいて1〜50重量パーセントの二価の金属を添加することを含む、実施形態1Bの方法である。
【0117】
実施形態3Bは、組み込みが、収着剤の総重量に基づいて5〜50重量パーセントの二価の金属を添加することを含む、実施形態1B又は2Bの方法である。
【0118】
実施形態4Bは、二価の金属が、IUPAC元素周期表の2族金属又は6〜12族金属からのものである、実施形態1B〜3Bのいずれか1つの方法である。
【0119】
実施形態5Bは、二価の金属が、二価亜鉛又は銅である、実施形態1B〜4Bのいずれか1つの方法である。
【0120】
実施形態6Bは、酸塩基指示薬を前駆体に組み込むことを更に含む、実施形態1B〜5Bのいずれか1つの方法である。
【0121】
実施形態7Bは、多孔性ケイ酸質材料が、1グラムあたり少なくとも0.5cm
3に等しい細孔容積を有する、実施形態1B〜6Bのいずれか1つの方法である。
【0122】
実施形態8Bは、多孔性ケイ酸質材料の細孔容積が、1グラムあたり0.5〜1.0cm
3の範囲である、実施形態1B〜7Bのいずれか1つの方法である。
【0123】
実施形態9Bは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、少なくとも50m
2/グラムである、実施形態1B〜8Bのいずれか1つの方法である。
【0124】
実施形態10Bは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、50〜1000m
2/グラムの範囲である、実施形態1B〜9Bのいずれか1つの方法である。
【0125】
実施形態11Bは、多孔性ケイ酸質材料が、有機溶媒の存在下におけるテトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物の加水分解によって形成される、実施形態1B〜10Bのいずれか1つの方法である。
【0126】
実施形態12Bは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物が式(III)のものである、実施形態11Bの方法である。
(R
5)
ySi(R
6)
4−y
(III)
式(III)において、R
5は、アルキル基又は水素であり、R
6は、アルコキシ又はハロ基である。変数yは、0又は1に等しい整数である。
【0127】
実施形態13Bは、表面処理剤が式(I)のものである、実施形態1B〜12Bのいずれか1つの方法である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。
【0128】
実施形態14Bは、R
1が、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールである、実施形態13Bの方法である。
【0129】
実施形態15Bは、R
2が、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリールオキシ、アラルコキシ、アシルオキシ又はハロである、実施形態13B又は14Bの方法である。
【0130】
実施形態16Bは、R
2が、アルコキシ又はハロである、実施形態15Bの方法である。
【0131】
実施形態17Bは、R
2が、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はクロロである、実施形態16Bの方法である。
【0132】
実施形態18Bは、R
3が、水素、アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキルである、実施形態13B〜16Bのいずれか1つの方法である。
【0133】
実施形態19Bは、R
3が、水素又はアルキルである、実施形態18Bの方法である。
【0134】
実施形態20Bは、表面処理剤が式(II)のものである、実施形態1B〜12Bのいずれか1つの方法である。
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(II)において、R
4は炭化水素である。
【0135】
実施形態21Bは、R
4がアルキルである、実施形態20Bの方法である。
【0136】
実施形態22Bは、R
4がメチルである、実施形態21Bの方法である。
【0137】
実施形態23Bは、多孔性ケイ酸質材料が細孔を有し、細孔の少なくとも50体積パーセントがメソ細孔である、実施形態1B〜22Bのいずれか1つの方法である。
【0138】
実施形態24Bは、多孔性ケイ酸質材料の細孔の少なくとも60体積パーセント、少なくとも70体積パーセント、少なくとも80体積パーセント又は少なくとも90体積パーセントがメソ細孔である、実施形態23Bの方法である。
【0139】
実施形態1Cは、複合材料である。複合材料は、a)前駆体と、b)1)二価の金属及び2)少なくとも1つの塩基性窒素含有化合物の反応生成物を含有する、この前駆体に組み込まれた金属錯体と、を含む。前駆体は、1)多孔性ケイ酸質材料及び2)表面処理剤を含有する混合物の反応生成物を含む。多孔性ケイ酸質材料はメソ細孔を有する。表面処理剤は、多孔性ケイ酸質材料1グラムあたり0.1〜4.5mmoleの表面処理剤の範囲の量で添加される。表面処理剤は、式(I)のシラン、式(II)のジシラザン又は式(I)のシランと式(II)のジシラザンとの混合物である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。式(II)において、各R
4は炭化水素基である。
【0140】
実施形態2Cは、複合体が、金属錯体の形態ではない二価の金属を更に含む、実施形態1Cの複合体である。
【0141】
実施形態3Cは、二価の金属の総量が、複合体の総重量に基づいて1〜50重量パーセントの範囲である、実施形態1C又は2Cの複合体である。
【0142】
実施形態4Cは、二価の金属の総量が、収着剤の総重量に基づいて5〜50重量パーセントの範囲である、実施形態1C〜3Cのいずれか1つの複合体である。
【0143】
実施形態5Cは、塩基性窒素含有化合物が、150グラム/モル以下の分子量を有する、実施形態1C〜4Cのいずれか1つの複合体である。
【0144】
実施形態6Cは、塩基性窒素含有化合物が、アンモニア、ヒドラジン化合物、アミン化合物又は窒素含有複素環式化合物である、実施形態1C〜5Cのいずれか1つの複合体である。
【0145】
実施形態7Cは、二価の金属が、IUPAC元素周期表の2族金属又は6〜12族金属からのものである、実施形態1C〜6Cのいずれか1つの複合体である。
【0146】
実施形態8Cは、二価の金属が、二価亜鉛又は銅である、実施形態1C〜7Cのいずれか1つの複合体である。
【0147】
実施形態9Cは、複合体が、酸塩基指示薬を更に含む、実施形態1C〜8Cのいずれか1つの複合体である。
【0148】
実施形態10Cは、多孔性ケイ酸質材料が、1グラムあたり少なくとも0.5cm
3に等しい細孔容積を有する、実施形態1C〜9Cのいずれか1つの複合体である。
【0149】
実施形態11Cは、多孔性ケイ酸質材料の細孔容積が、1グラムあたり0.5〜1.0cm
3の範囲である、実施形態1C〜10Cのいずれか1つの複合体である。
【0150】
実施形態12Cは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、少なくとも50m
2/グラムである、実施形態1C〜11Cのいずれか1つの複合体である。
【0151】
実施形態13Cは、多孔性ケイ酸質材料のBET比表面積が、50〜1000m
2/グラムの範囲である、実施形態1C〜12Cのいずれか1つの複合体である。
【0152】
実施形態14Cは、多孔性ケイ酸質材料が、有機溶媒の存在下におけるテトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物の加水分解によって形成される、実施形態1C〜13Cのいずれか1つの複合体である。
【0153】
実施形態15Cは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン又はこれらの混合物が式(III)のものである、実施形態14Cの複合体である。
(R
5)
ySi(R
6)
4−y
(III)
式(III)において、R
5は、アルキル基又は水素であり、R
6は、アルコキシ又はハロ基である。変数yは、0又は1に等しい整数である。
【0154】
実施形態16Cは、表面処理剤が式(I)のものである、実施形態1C〜15Cのいずれか1つの複合体である。
R
1−Si(R
2)
3−x(R
3)
x
(I)
式(I)において、R
1は、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基であり、R
2は、加水分解性基であり、R
3は、非加水分解性基であり、xは、0、1又は2に等しい整数である。
【0155】
実施形態17Cは、R
1が、アルキル、フッ素化アルキル、アリール、フッ素化アリール、アラルキル、フッ素化アラルキル、アルカリール又はフッ素化アルカリールである、実施形態16Cの複合体である。
【0156】
実施形態18Cは、R
2が、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリールオキシ、アラルコキシ、アシルオキシ又はハロである、実施形態16C又は17Cの複合体である。
【0157】
実施形態19Cは、R
2が、アルコキシ又はハロである、実施形態18Cの複合体である。
【0158】
実施形態20Cは、R
2が、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はクロロである、実施形態19Cの複合体である。
【0159】
実施形態21Cは、R
3が、水素、アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキルである、実施形態16C〜19Cのいずれか1つの複合体である。
【0160】
実施形態22Cは、R
3が、水素又はアルキルである、実施形態21Cの複合体である。
【0161】
実施形態23Cは、表面処理剤が式(II)のものである、実施形態1C〜15Cのいずれか1つの複合体である。
(R
4)
3−Si−NH−Si(R
4)
3
(II)
式(II)において、R
4は炭化水素である。
【0162】
実施形態24Cは、R
4がアルキルである、実施形態23Cの複合体である。
【0163】
実施形態25Cは、R
4がメチルである、実施形態24Cの複合体である。
【0164】
実施形態26Cは、多孔性ケイ酸質材料が細孔を有し、細孔の少なくとも50体積パーセントがメソ細孔である、実施形態1C〜25Cのいずれか1つの複合体である。
【0165】
実施形態27Cは、多孔性ケイ酸質材料の細孔の少なくとも60体積パーセント、少なくとも70体積パーセント、少なくとも80体積パーセント又は少なくとも90体積パーセントがメソ細孔である、実施形態26Cの複合体である。
【0166】
実施形態1Dは、塩基性窒素含有化合物の捕捉方法である。この方法は、実施形態1A〜24Aのいずれか1つに従って金属含有収着剤を準備することを含む。この方法は、金属含有収着剤を塩基性窒素含有化合物に曝露して、金属錯体含有複合体を形成することを更に含む。
【実施例】
【0167】
【表1】
【0168】
アンモニア容量試験
簡便なフロースルー型の特注の送達システムを使用して、既知の濃度のアンモニアを測定用試料に送達した。送達システム全体にわたってステンレス鋼管を使用した。アンモニアは、窒素加圧ガスボンベ(Oxygen Service Company,St.Paul,MN)中の無水1%(10,000ppm)検査済みアンモニアからシステムに送達した。このアンモニア/窒素流を、一連のデジタルマスフローコントローラ(Aalborg,Orangeburg,NYから名称DFC26で入手可能)の使用により追加の窒素で更に希釈することによって、1000ppmのアンモニア流を試験管に50mL/分の流動で供給した。Gilibrator−2 Primary Airflow Calibrator(Sensidyne,St.Petersburg,FL)を各コントローラの出力口に設置することによって、デジタルマスフローコントローラを校正した。このGilibrator流量計を使用して、各流量コントローラからの流れの範囲を測定し、これを用いて校正曲線を生成した。これらの校正曲線を使用して、マスフローコントローラを、所望のアンモニア濃度を所望のガス流速で送達するように設定した。
【0169】
アンモニア除去容量は、試験管内の床深さが突き固めた後で0.5cmとなるまで、風袋を有する試験管(内径7mm)に、合成した試料の粉末粒子を加えることによって決定した。次に、試験管内の試料を計量することによって、試料の質量を決定した。次に、試験管をシステムと直列に接続して、1000ppmのアンモニアガス流が試料を通じて流れるようにした。試験管の下流側に、ガスクロマトグラフ装置(SRI 8610C,SRI Instruments,Torrance,CA,)に通じる管を接続した。アンモニアガス流が試験材料を通過し始めた時点で、タイマーを開始させた。次に、SRIガスクロマトグラフによりガス流から周期的に試料採取し、試料を6’×1/8”×0.085”のAT steel Alltech Chromosorb 103 80/100カラム(Alltech Associates,Grace Davidson Discovery Sciences,Bannockburn,IL)に通した。ガスクロマトグラフ装置は、流出物中のアンモニアを検出するための10.6eVランプ光イオン化検出器を備えていた。ガスクロマトグラフがガス流を20秒間試料採取し、試料をカラムに280秒かけて通過させ、次にガスクロマトグラフが次の分析試料を引き込む前に、60秒かけて試料を流し出すと、アンモニア蒸気が良好に検出されることが観察された。
【0170】
試験する前に、窒素加圧ガスボンベ(Oxygen Services Company,St.Paul,MN)中の検査済みの57ppmアンモニアを使用して、ガスクロマトグラフソフトウェアを校正した。この流出液によって生成された信号を使用して、ソフトウェアを50ppmアンモニアに設定した。アンモニア蒸気試験の終点、したがって有効寿命は、コポリマー床を通過するアンモニア流出液が、50ppmに校正された信号を上回る信号をPID検出器で生じた時点と定義した。各試験材料の性能は、上記に記載された試験を実施しながら50ppmの漏出(breakthrough)が観察されるまでの分数(number of minutes)によって報告した。加えて、50ppmの漏出までの漏出プロット曲線下面積を、この一定容積試験において使用された試験材料の既知の質量とともに使用して、最小二乗式の和を用いて各試験材料についてmmole/グラムで容量を計算した。
【0171】
ガス収着分析
多孔度及びガス収着実験を、超高純度窒素の吸着質を使用するQuantachrome Autosorb iQ Automated Surface Area and Pore Size Analyzerを用いて実施した。ソフトウェアASiQWinをデータ取得及び分析に使用した。以下の方法は、例示材料の多孔度及び表面積の特徴決定に従った。試料の試験管の中で、150〜300ミリグラムの材料を<7mTorrの超高真空下において室温で脱ガスして、残留溶媒及び他の吸着質を除去し、漏れ試験を実施して、漏れ速度が2mTorr/分より遅いことを確認した。材料の脱ガス手順は、室温で24時間を超えた。77°Kでの窒素収着等高線は、プログラム許容差及び平衡設定を用いて、吸着では0.001から0.995の範囲、脱着では0.995から0.05に戻る範囲の相対圧力(p/p°)を使用して得た。ヘリウムを、周囲温度及び77°Kの両方における空隙体積測定に使用した。BET比表面積(SA
BET)を、多点Brunauer−Emmett−Teller(BET)分析による窒素吸着データから計算した。平均細孔径及び総細孔容積(典型的には、およそ200〜300nmまでの孔径)を、およそ0.995に等しいp/p°で等高線の最後の吸着点によって計算した。密度関数理論(DFT)を細孔径分布分析に使用した。
【0172】
細孔径分布を、
図2に示されているように記載することができる。この図は2つのプロットを示している。第1のプロットは累積細孔容積であり、第2のプロットは累積細孔容積の微分である。これら両方のプロットにおいて、x軸は細孔の直径である。
【0173】
メソ細孔径の範囲の入る(2ナノメートルから50ナノメートルの範囲の直径を有する)細孔の体積パーセントを計算するため、累積細孔容積プロットが使用される。まず最初に、最大累積細孔容積(Max CPV)が決定される。これは、細孔径の上限でプロットが平坦になる地点に相当する。次に、累積細孔容積が、2ナノメートル以下のサイズを有する細孔(2nmでのCPV)及び50ナノメートル以下のサイズを有する細孔について決定される。次にメソ細孔範囲にある細孔容積のパーセントが、以下の式を使用して計算される。
100[(50nmでのCPV)−(2nmでのCPV)]÷(Max CPV)=メソ細孔の体積パーセント
【0174】
平均細孔径を計算するため、最大細孔容積(Max CPV)が決定され、次に2で割られる。これは、最大細孔容積の50パーセント(50%Max CPV)に相当する。50%Max CPVに関連する細孔径は、累積細孔容積プロットから決定される。
【0175】
細孔径分布を計算するため、細孔径に対する累積細孔容積の微分が使用される。細孔径分布は、基線を越える微分曲線の部分に関連するサイズ範囲である。
【0176】
比較例1〜4及び実施例1〜5
以下の手順を使用して、多孔性ケイ酸質材料を合成し、これを比較例1(CE1)とした。用語「多孔性シリカ」、「多孔性ケイ酸質材料」、「ケイ酸質材料」及び「シリカ」は、交換可能に使用される。CE1のケイ酸質材料を、本明細書に含まれる実施例及び他の比較例の多くにおいて基本材料として使用した。磁気式撹拌バーを備えた1.0Lのボトルの中で、360mLのエタノール(EtOH)、180mLのオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び30mLの0.01M HCl水溶液を混合した。この混合物を室温で18時間撹拌した。45mLの脱イオン水で希釈した水酸化アンモニウムの5mLを混合物に加えて、混合物のpHを7超にした。ゲルが数分以内に形成された。このゲルを、溶媒オーブン(solvent oven)により90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。この多孔性シリカは、窒素吸着により決定して、970m
2/グラムのSA
BET(すなわち、BET比表面積)、4.1nmの平均細孔径及び0.99cm
3/グラムの総細孔容積を有した。更なる化学修飾を行うことなく、多孔性シリカを乳鉢と乳棒で粉砕して、粉末材料を形成し、これをCE1とした。粉末試料をアンモニア容量について試験した。アンモニアの漏出の分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表3に示す。
【0177】
図1は、多孔性ケイ酸質材料CE1の77°K及び0.98±0.01までの相対圧力による窒素の吸着及び脱着等温線のプロットである。試料の吸着等温線は、0.1よりも低い相対圧力において相当量の吸着があることを示しており、これはマイクロ細孔が存在することを示唆している。0.1〜約0.95の相対圧力で吸着は徐々に増加している。この増加は、メソ細孔の広いサイズ分布があることを示している。加えて、窒素吸着等温線と比較した窒素脱着等温線におけるヒステリシスは、メソ細孔の存在を更に示している。
図2は、多孔性ケイ酸質収着剤材料CE1の累積細孔容積及び細孔径分布を示すプロットである。
図2の細孔径は、非局在的密度汎関数理論により計算した。細孔は、2.3nm〜10nmの範囲の直径を有し、メソ細孔の存在を示している。メソ細孔径の範囲にある細孔の体積パーセントは、ほぼ100パーセントである。
【0178】
比較例2〜4及び実施例1〜5は、様々な量の表面処理剤(イソオクチルトリメトキシシラン(IOS))を使用した追加的な処理及び/又は二価の金属の塩(塩化亜鉛(II)(ZnCl
2))の組み込み(すなわち、含浸)を伴って、CE1に記載されたものと同じ多孔性シリカを使用して調製した。表2は、比較例1〜4及び実施例1〜5の調製に使用された、含浸浴中のZnCl
2のモル濃度及びIOSの量(シリカ1グラムあたりのシランのmmoleと、シリカの表面積(m
2)あたりのシランのμmoleの単位)を示す。比較例2〜4及び実施例1〜5の調製は、更に下記に記載されている。
【表2】
【0179】
比較例2は、多孔性シリカ(CE1)をシラン表面処理剤IOSで処理することによって調製した。より詳細には、3.0グラムの多孔性シリカ(CE1)を25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.32グラムのIOSを5mLのエタノールに溶解することによって、IOSのエタノール溶液を調製した。IOSエタノール溶液を、CE1の多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間撹拌した。得られた材料を、追加的なすすぎを行うことなく濾紙により濾過して単離し、溶媒オーブンによって90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。乾燥した後、粉末試料を得て、アンモニア容量について試験した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表3に示す。
【0180】
比較例3を、金属塩の含浸を用いるが、シラン表面処理剤を用いることなく、以下の手順を使用して調製した。100mLのガラスボトルの中で、40.8グラムのZnCl
2を50mLの脱イオン水に溶解した。この溶液に、5.0グラムの多孔性シリカ(上記のCE1を参照すること)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。固体を真空濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。乾燥した後、粉末試料を得た。試料を、上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表3に示す。
【0181】
実施例1〜5及び比較例4は、最初に多孔性シリカ(上記のCE1を参照すること)の水性懸濁液を様々な濃度のIOSのエタノール溶液で処理し、続いてZnCl
2を添加することによって調製した。より詳細には、別々の6個の100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性ケイ酸質材料を25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、実施例1〜5及び比較例4のために、0.32グラム、0.80グラム、1.28グラム、1.92グラム、2.56グラム又は3.20グラムのIOSをそれぞれ5mLのエタノールに溶解して、IOSのエタノール溶液を調製した。IOSエタノール溶液を、多孔性ケイ酸質材料を含有する各水性懸濁液に加えた。各混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。各混合物を75℃で16時間撹拌した。各混合物に24.5グラムのZnCl
2を急速に加え、続いて室温で24時間撹拌した。得られた材料を、追加的なすすぎを行うことなく濾紙により濾過して単離し、溶媒オーブンによって90℃で1時間、続いて130℃で2時間乾燥した。乾燥した後、粉末試料を得た。各粉末試料を、上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0182】
亜鉛の濃度を、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により、CE1、CE3及び実施例1の試料を測定した。これらの試料中の全収着剤材料に対する亜鉛の重量パーセントは、CE1、CE3及び実施例1では、それぞれ、0.0wt%、16.7wt%及び16.7wt%であった。
【0183】
実施例6〜7
実施例6及び7は、上記に記載された多孔性シリカ(CE1)の水性懸濁液を、最初にトリメトキシフェニルシラン(TMPS)及びヘキサメチルジシラザン(HMDS)それぞれのエタノール溶液で処理することによって調製した。次に、各試料にZnCl
2を含浸させた。
【0184】
以下の手順を使用して、実施例6を調製した。100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性シリカを25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.27グラムのTMPSを5mLのエタノールに溶解することによって、TMPSのエタノール溶液を調製した。TMPSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間撹拌した。この混合物に24.5グラムのZnCl
2を急速に加え、続いて室温で24時間撹拌した。固体を濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。
【0185】
以下の手順を使用して、実施例7を調製した。100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性シリカ(CE1)を25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.11グラムのHMDSを5mLのエタノールに溶解することによって、HMDSのエタノール溶液を調製した。HMDSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間攪拌した。この混合物に24.5グラムのZnCl
2を急速に加え、室温で24時間撹拌した。固体を真空濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。
【0186】
実施例6及び7の調製に使用されたZnCl
2の濃度、表面処理剤の種類及び表面処理剤の量(シリカ1グラムあたりのシランのmmoleの単位及びシリカの表面積(m
2)あたりのシランのμmolの単位)を表4に示す。
【0187】
上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して、実施例6及び7の粉末試料を評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0188】
実施例8〜9
実施例8及び9は、上記に記載された多孔性シリカ(CE1)の水性懸濁液を、最初にIOSのエタノール溶液で処理することによって調製した。次に、試料にZnCl
2を、それぞれ1.0M及び10.0Mの濃度で含浸した。
【0189】
以下の手順を使用して、実施例8を調製した。100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性シリカを25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.32グラムのIOSを5mLのエタノールに溶解することによって、IOSのエタノール溶液を調製した。IOSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間攪拌した。この混合物に4.1グラムのZnCl
2を加え、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。固体を真空濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。
【0190】
以下の手順を使用して、実施例9を調製した。100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性シリカを25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.32グラムのIOSを5mLのエタノールに溶解することによって、IOSのエタノール溶液を調製した。IOSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間攪拌した。この混合物に40.8グラムのZnCl
2を急速に加え、続いて室温で24時間撹拌した。固体を真空濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。
【0191】
実施例8及び9の調製に使用された、ZnCl
2の濃度、表面処理剤の種類及び表面処理剤の量(シリカ1グラムあたりのシランのmmolの単位及びシリカの表面積(m
2)あたりのシランのμmolの単位)を表6に示す。
【0192】
上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して、実施例8及び9の粉末試料を評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表7に示す。
【表6】
【表7】
【0193】
実施例10〜11
実施例10及び11に、メチルレッド及びブロモキシレノールブルーをそれぞれ含浸させた。以下の手順を使用して、実施例10及び11を調製した。
【0194】
100mLのボトルの中で、30mgの染料を25mLの脱イオンH
2Oに加えた。各溶液を0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、3グラムの多孔性シリカ(CE1)をH
2O染料に加えた。1.28グラムのIOSを5mLのエタノールに溶解することによって、IOSのエタノール溶液を別個に調製した。IOSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する水性懸濁液に加えた。この混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間攪拌した。この混合物に、40.8グラムのZnCl
2を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。固体を真空濾過により単離し、溶媒オーブンにより90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。
【0195】
実施例10及び11の染料含浸材料は、合成されると目立つ色を示した。少量(およそ0.1グラム)の各染料含浸材料をワックスペーパーに塗り付け、一滴のアンモニア水を適用した。両方の材料は、表8に示されているように、目立つ色変化の反応を示した。
【表8】
【0196】
比較例5〜6及び実施例12〜13
3.4nm及び25nmの平均細孔径を有する2つの市販の多孔性シリカ試料を、疎水性シラン(IOS)で処理し、ZnCl
2を含浸させた。これらの多孔性シリカ試料は、W.R.Grace and Companyの商標名DAVISIL LC35A及びDavisil LC250Aを有する。DAVISIL LC35Aの技術データシートは、表面積が700m
2/gであり、平均細孔径が3.5nmであることを記載している。DAVISIL LC250Aの技術データシートは、表面積が285m
2/gであり、平均細孔径が25nmであることを記載している。
【0197】
CE5及びCE6は、使用された多孔性シリカがそれぞれDAVISIL LC35A及びDAVISIL LC250Aであったことを除いて、CE3と同じ方法で(すなわち、任意のシランを添加することなく)調製した。実施例12及び実施例13は、使用された多孔性シリカがDAVISIL LC35A及びDAVISIL LC250Aであり、シランの量が技術データシートに記載されている粒子の表面積に対応したことを除いて、実施例1と同じ手順に従った。
【0198】
比較例5〜6及び実施例12〜13の調製に使用された、多孔性シリカ、ZnCl
2の濃度、表面処理剤の種類及び表面処理剤の量(シリカ1グラムあたりのシランのmmoleの単位及びシリカの表面積(m
2)あたりのシランのμmolの単位)を表9に示す。
【0199】
上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して、比較例5〜6及び実施例12〜13の粉末試料を評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表10に示す。
【表9】
【表10】
【0200】
実施例14〜16
実施例14〜16は、上記に記載された多孔性シリカ(CE1)の水性懸濁液を、最初に様々な濃度のイソオクチルトリメトキシシラン(IOS)で処理し、続いて二価の金属の塩化物を添加することによって調製した。
【0201】
別個の3つの100mLのボトルの中で、3.0グラムの多孔性シリカを25mLの脱イオン水に懸濁した。別個に、0.32グラムのIOSを5mLのエタノールに溶解することによって、IOSのエタノール溶液を調製した。IOSエタノール溶液を、多孔性シリカを含有する各水性懸濁液に加えた。各混合物に、0.2mLの水酸化アンモニウムを加えた。混合物を75℃で16時間攪拌した。各混合物に、CuCl
2(24.5g)、MgCl
2(17.3g)又は及びNiCl
2(23.6g)を加えて、実施例14〜16をそれぞれ形成した。次に各混合物を室温で24時間撹拌した。得られた材料を、追加的なすすぎを行うことなく濾紙により濾過して単離し、溶媒オーブンによって90℃で1時間、次に130℃で2時間乾燥した。乾燥した後、粉末試料を得た。実施例14〜16の調製条件を表11に示す。
【0202】
上記に記載されたアンモニア容量試験を使用して、実施例14〜16の粉末試料を評価した。アンモニア漏出までの分数及び試料1グラムあたりの吸着されたアンモニアのmmoleで計算された容量(50ppmのアンモニア漏出)を決定した。結果を表12に示す。
【表11】
【表12】