(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のマルチビーム要素のマルチビーム要素と前記マルチビューディスプレイの対応するマルチビューピクセルとの間の関係が、1対1の関係である、請求項1に記載のマルチビューバックライト。
前記複数のマルチビーム要素のうちのマルチビーム要素(multibeam elements of the plurality of multibeam elements)の対の間の要素間距離が、対応するマルチビューピクセルの対の間のピクセル間距離と等しい、請求項1または2に記載のマルチビューバックライト。
前記マルチビーム要素(the multibeam element)のサイズが、前記サブピクセルのサイズの50パーセントから200パーセントの間である、請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチビューバックライト。
前記マルチビーム要素(the multibeam element)が、マイクロ反射要素およびマイクロ屈折要素のうちの一方または両方をさらに含み、前記マイクロ反射要素が、前記誘導光の一部分を反射的に外部結合するように構成され、前記マイクロ屈折要素が、前記誘導光の一部分を屈折的に外部結合するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビューバックライト。
前記マルチビーム要素(the multibeam element)が、前記光導波路の第1の表面および第2の表面の一方に位置し、前記マルチビーム要素が、前記第1の表面を通して前記誘導光の位一部分を外部結合するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のマルチビューバックライト。
前記光導波路の入力に光学的に結合される光源をさらに含み、前記光源が、非ゼロ伝搬角を有し、かつ/または所定のコリメーション因子に従ってコリメートされた誘導光を提供するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチビューバックライト。
前記光導波路と前記複数のマルチビーム要素の組合せが、前記誘導光の前記伝搬方向に対して直交する方向に、前記光導波路を通して実質的に光学的に透明になるように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のマルチビューバックライト。
請求項1から8のいずれか一項に記載のマルチビューバックライトを含むマルチビューディスプレイであって、前記外部結合光線のうちの光線を変調するように構成された光弁のアレイをさらに含み、前記アレイの光弁(a light valve of the array)が、サブピクセルに対応し、前記アレイの光弁のセット(a set of light valves of the array)が、前記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルに対応する、マルチビューディスプレイ。
前記マルチビーム要素が、前記光導波路に光学的に接続されて前記誘導光の前記一部分を外部結合するマイクロ反射要素、およびマイクロ屈折要素のうちの1つをさらに含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
前記光を前記光導波路に提供するように構成された光源をさらに含み、前記誘導光が、非ゼロ伝搬角を有し、コリメーション因子に従ってコリメートされて、前記光導波路内で前記誘導光の所定の角度の拡散を提供する、請求項10から13のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
前記マルチビューピクセルのアレイの前記マルチビューピクセル(the multiview pixel of the multiview pixel array)が、光弁のセットを含み、前記マルチビューピクセルのサブピクセルが、前記セットの光弁を含む、請求項10から14のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
光源を使用して前記光導波路に光を提供するステップをさらに含み、前記提供される光が、前記光導波路内で非ゼロ伝搬角を有する、またはコリメーション因子に従ってコリメートされて前記誘導光の所定の角度の拡散を提供する、あるいはその両方である、誘導光である、請求項16に記載のマルチビューバックライトの動作方法。
前記マルチビューピクセルとして構成された複数の光弁を使用して、前記外部結合光線を変調するステップをさらに含み、前記複数の光弁のうちの光弁(a light valve of the light valve plurality)が、前記マルチビューピクセルの前記サブピクセルに対応する、請求項16または17に記載のマルチビューバックライトの動作方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特定の実施例および実施形態は、上述の図面に示す特徴に加えて、またはそれらの代わりに、他の特徴を有する。以下、それらの特徴およびその他の特徴について、上記の図面を参照して説明する。
【0007】
本明細書に記載する原理による実施例および実施形態は、マルチビューまたは3次元(3D)ディスプレイと、マルチビューディスプレイに応用されるマルチビューバックライトとを提供する。特に、本明細書に記載する原理による実施形態は、複数の異なる
主角度方向を有する光線を提供するように構成されたマルチビーム要素を利用するマルチビューバックライトを提供する。さらに、様々な実施形態によれば、マルチビーム要素は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルのサブピクセルを基準としたサイズとされ、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの間隔に対応するように互いに離間していることもある。様々な実施形態によれば、マルチビューバックライトのマルチビーム要素によって提供される光線の異なる
主角度方向は、マルチビューディスプレイの様々な異なるビューの異なる方向に対応している。
【0008】
本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、マルチビュー画像の様々なビューを様々な視野方向で提供するように構成された電子ディスプレイまたはディスプレイシステムとして定義される。
図1Aは、本明細書に記載する原理による実施形態による、1実施例のマルチビューディスプレイ10を示す斜視図である。
図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、見る対象のマルチビュー画像を表示するスクリーン12を含む。マルチビューディスプレイ10は、このマルチビュー画像の様々なビュー14を、スクリーン12に対する様々な視野方向16に提供する。視野方向16は、スクリーン12から様々な異なる
主角度方向に延びる矢印として示してあり、様々なビュー14は、それらの矢印(すなわち視野方向16を示す矢印)の終端に網掛けした多角形として示してあり、また、4つのビュー14と4つの視野方向16しか示していないが、全て例示を目的としてものであり、限定を目的としたものではない。なお、
図1Aでは様々なビュー14がスクリーンの上方にあるものとして示してあるが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されたとき、これらのビュー14は、実際にはスクリーン12上、またはスクリーン12の近傍に見えることに留意されたい。ビュー14をスクリーン12の上方に示しているのは、単に説明を簡略にするためであり、これらの視野方向16のうち特定のビュー14に対応する各視野方向からマルチビューディスプレイ10を見ていることを表すためのものである。
【0009】
マルチビューディスプレイの視野方向、すなわち視野方向に対応する方向を有する光線は、一般に、本明細書の定義では角度成分{θ、φ}で与えられる
主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では、光線の「高度成分」または「仰角」と呼ぶ。角度成分φは、光線の「方位成分」または「方位角」と呼ぶ。定義では、仰角θは、垂直平面(例えばマルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して直交する面)内の角度であり、方位角φは、水平面(例えばマルチビューディスプレイスクリーン平面に対して平行な面)内の角度である。
図1Bは、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例におけるマルチビューディスプレイの視野方向(例えば
図1Aの視野方向16)に対応する特定の
主角度方向を有する光線20の角度成分{θ、φ}の図示である。さらに、光線20は、本明細書の定義では、特定の点から発出される、または放射する。すなわち、定義では、光線20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心放射線を有する。
図1Bは、光線(または視野方向)の原点Oも示している。
【0010】
さらに、本明細書では、「マルチビュー画像」および「マルチビューディスプレイ」という用語で使用する「マルチビュー」という用語は、様々な視点を表す、またはその複数のビューのうちのビュー間で角度のばらつきを含む複数のビューとして定義される。さらに、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義では、2つを超える異なるビュー(すなわち最低で3つのビューであり、一般的には3つを超えるビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で利用する「マルチビューディスプレイ」は、シーンまたは画像を表すために異なるビューを2つしか含まない立体視ディスプレイとは明示的に区別される。ただし、マルチビュー画像およびマルチビューディスプレイは本明細書の定義では2つを超えるビューを含むが、マルチビュー画像は、それらのマルチビュービューのうちの2つのみ(例えば各眼あたり1つのビュー)を一度に見るように選択することにより、画像の立体視対として見る(例えばマルチビューディスプレイ上で)ことができる。
【0011】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの同様の複数の異なるビューのそれぞれの「ビュー」ピクセルを表すサブピクセルのセットとして定義される。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の様々なビューのそれぞれのビューピクセルに対応する、またはマルチビュー画像の様々なビューのそれぞれのビューピクセルを表す、個々のサブピクセルを有することができる。さらに、マルチビューピクセルのサブピクセルは、本明細書の定義では、各サブピクセルが様々なビューのうちの対応するビューの所定の視野方向と関連付けられるので、いわゆる「方向ピクセル」である。さらに、様々な実施例および実施形態によれば、マルチビューピクセルのサブピクセルによって表される様々なビューピクセルは、様々なビューのそれぞれにおいて、等価な、または少なくとも実質的には同様の位置または座標を有することができる。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の様々なビューのそれぞれにおいて{x
1、y
1}に位置するビューピクセルに対応する個々のサブピクセルを有することがあり、第2のマルチビューピクセルは、様々なビューのそれぞれにおいて{x
2、y
2}に位置するビューピクセルに対応する個々のサブピクセルを有することがある、などである。
【0012】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル中のサブピクセルの数が、マルチビューディスプレイのビューの数と等しいことがある。例えば、マルチビューピクセルは、64個の異なるビューを有するマルチビューディスプレイと関連付けられた64個のサブピクセルを提供することがある。別の例では、マルチビューディスプレイがビューの8×4アレイ(すなわち32個のビュー)を提供し、マルチビューピクセルが、32個のサブピクセル(すなわち各ビュー当たり1つ)を含むこともある。さらに、それぞれの異なるサブピクセルは、例えば64個の異なるビューに対応する視野方向のうちの異なる1つに対応する関連する方向(例えば光線の
主角度方向)を有することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイのビュー中の「ビュー」ピクセル(すなわち選択されたビューを構成するピクセル)の数と実質的に等しいことがある。例えば、ビューが640×480個のビューピクセル(すなわち640×480ビュー解像度)を含む場合には、マルチビューディスプレイは、307200個のマルチビューピクセルを有することができる。別の例では、ビューが100×100個のピクセルを含む場合には、マルチビューディスプレイは、総数で10000(すなわち100×100=10000)個のマルチビューピクセルを含むことができる。
【0013】
本明細書では、「光導波路」は、全反射を用いてその内部で光を誘導する構造として定義される。特に、光導波路は、光導波路の動作波長で実質的に透明なコアを含むことができる。様々な実施例では、「光導波路」という用語は、一般に、全反射を利用して光導波路の誘電体材料とその光導波路を取り囲む材料または媒質との間の界面で光を誘導する、誘電体光学導波路を指す。定義では、全反射のための条件は、光導波路の屈折率が光導波路材料の表面に隣接する周囲の媒質の屈折率より大きいことである。いくつかの実施形態では、全反射をさらに促進するために、光導波路は、上述の屈折率の差に加えて、またはその代わりに、コーティングを含むこともできる。このコーティングは、例えば反射性コーティングとすることができる。光導波路は、これらに限定されるわけではないが、平板導波路またはスラブ導波路、およびストリップ導波路のうちの一方または両方を含むいくつかの光導波路のうちの任意のものにすることができる。
【0014】
さらに、本明細書では、「平板光導波路」など光導波路に用いられるときの「平板」という用語は、「スラブ」導波路と呼ばれることもある、区分的または微分的に平面状の層またはシートとして定義される。特に、平板光導波路は、その光導波路の頂面および底面(すなわち対向する表面)によって画定される2つの実質的に直交する方向に光を誘導するように構成された光導波路として定義される。さらに、本明細書の定義では、頂面および底面は互いに分離されており、少なくとも微分的な意味では実質的に互いに平行であることがある。すなわち、平板光導波路の任意の微分小区画内では、頂面と底面は実質的に平行である、または同一平面状にある。
【0015】
いくつかの実施形態では、平板光導波路は、実質的に平坦であり(すなわち平面に制限され)、したがって、平板光導波路は、平面光導波路である。他の実施形態では、平板光導波路は、1つの次元、または2つの直交する次元に湾曲していてもよい。例えば、平板光導波路を1つの次元に湾曲させて、円筒形の平板光導波路を形成することもできる。ただし、いかなる湾曲も、平板光導波路内で全反射が維持されて光を誘導することを保証するのに十分に大きな曲率半径を有する。
【0016】
本明細書では、「回折格子」は、一般に、その回折格子に入射する光の回折をもたらすように配置された複数のフィーチャ(すなわち回折フィーチャ)として定義される。いくつかの実施例では、複数のフィーチャは、周期的または準周期的に配置されることがある。例えば、回折格子は、1次元(1D)アレイに配置された複数のフィーチャ(例えば材料表面の複数の溝またはリッジ)を含むことがある。他の例では、回折格子は、フィーチャの2次元(2D)アレイとすることもできる。回折格子は、例えば材料表面のバンプまたは穴の2Dアレイとすることもできる。
【0017】
したがって、本明細書の定義では、「回折格子」は、その回折格子に入射する光の回折をもたらす構造である。光が光導波路から回折格子に入射すると、それによりもたらされる回折または回折的散乱は、回折格子が光導波路から出る光を回折によって結合することができるという「回折結合」を生じることがあるので、この回折または回折的散乱は、「回折結合」と呼ばれることもある。回折格子は、また、回折によって(すなわち回折角で)、光を方向変更する、または光の角度を変化させる。特に、回折の結果として、回折格子を出る光は、一般に、回折格子に入射した光(すなわち入射光)の伝搬方向とは異なる伝搬方向を有する。回折による光の伝搬方向の変化を、本明細書では、「回折的方向変更」と呼ぶ。したがって、回折格子は、回折格子に入射した光を回折的に方向変更する回折フィーチャを含む構造であると理解することができ、光が光導波路から入射した場合に、回折格子は、光導波路からの光を回折的に外部結合することもできる。
【0018】
さらに、本明細書の定義では、回折格子のフィーチャは、「回折フィーチャ」と呼ばれ、材料表面(すなわち2つの材料の間の境界)にある、材料表面内にある、材料表面上にある、のうちの1つまたは複数である可能性がある。この表面は、例えば光導波路の表面であることもある。回折フィーチャは、これらに限定されるわけではないが、表面の、表面中の、または表面上の、溝、リッジ、穴、およびバンプのうちの1つまたは複数など、光を回折させる様々な構造のうちのいずれを含むこともできる。例えば、回折格子は、材料表面中の複数の実質的に平行な溝を含むこともある。別の例では、回折格子は、材料表面から隆起する複数の平行なリッジを含むこともある。回折フィーチャ(例えば溝、リッジ、穴、バンプなど)は、これらに限定されるわけではないが、正弦波形プロフィル、方形プロフィル(例えばバイナリ型回折格子)、3角形プロフィル、および鋸歯形プロフィル(例えばブレーズド回折格子)のうちの1つまたは複数を含む、回折をもたらす様々な断面形状またはプロフィルのうちのいずれを有することもできる。
【0019】
本明細書に記載する様々な実施例によれば、回折格子(例えば、以下で述べるようにマルチビーム要素の回折格子)を利用して、光を光線として光導波路(例えば平板光導波路)から回折的に散乱させる、または結合することができる。特に、局所的に周期的な回折格子の、または局所的に周期的な回折格子によって提供される、回折角θ
mは、数式(1)で与えることができる。
【0020】
【数1】
ここで、λは、光の波長であり、mは、回折次数であり、nは、光導波路の屈折率であり、dは、回折格子のフィーチャ間の距離または間隔であり、θ
1は、回折格子への光の入射角である。簡潔にするために、数式(1)は、回折格子が光導波路の表面に隣接しており、光導波路の外部の材料の屈折率が1に等しい(すなわちn
out=1である)ものと仮定している。一般に、回折次数mは、整数で与えられる。回折格子によって生成される光線の回折角θ
mは、回折次数が正である(例えばm>0である)場合には、数式(1)で与えることができる。例えば、回折次数mが1に等しい(すなわちm=1である)ときには、1次の回折がもたらされる。
【0021】
図2は、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例における回折格子30を示す断面図である。例えば、回折格子30は、光導波路40の表面上に位置することがある。さらに、
図2は、入射角θ
1で回折格子30に入射する光線20を示している。光線20は、光導波路40内の誘導光線である。また、
図2には、入射光線20の回折の結果として回折格子30によって回折的に生成されて外部に結合される外部結合光線50も示されている。外部結合光線50は、数式(1)で与えられる回折角θm(または本明細書では「
主角度方向」)を有する。外部結合光線50は、例えば回折格子30の回折次数「m」に対応することがある。
【0022】
本明細書の定義では、「マルチビーム要素」は、複数の光線を含む光を生成するバックライトまたはディスプレイの構造または要素である。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、バックライトの光導波路に光学的に結合されて、光導波路内を誘導される光の一部分を外部結合することによって光線を提供することができる。他の実施形態では、マルチビーム要素は、これらの光線として発出される光を生成することができる(例えば光源を含むことがある)。さらに、マルチビーム要素によって生成される複数の光線の光線は、本明細書の定義では、互いに異なる
主角度方向を有する。特に、定義では、複数の光線のうちの1つは、その複数の光線のうちの別の光線とは異なる所定の
主角度方向を有する。さらに、この複数の光線は、ライトフィールドを表すことができる。例えば、複数の光線は、実質的に円錐形の空間領域に制限されることがある、またはその複数の光線の様々な
主角度方向を含む所定の角度幅を有することがある。したがって、これらの光線の合計の所定の角度幅(すなわち複数の光線)が、ライトフィールドを表すことができる。様々な実施形態によれば、この様々な光線の様々な
主角度方向は、これに限定されるわけではないが、マルチビーム要素のサイズ(例えば長さ、幅、面積など)などの特徴によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、本明細書の定義では、「拡張された点光源」、すなわちマルチビーム要素の範囲にわたって分布した複数の点光源と考えることができる。さらに、マルチビーム要素によって生成される光線は、本明細書の定義では、
図1Bを参照して上述したように、角度成分{θ、φ}で与えられる
主角度方向を有する。
【0023】
本明細書では、「コリメータ」は、光を
コリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイスまたは装置として定義される。例えば、コリメータは、これらに限定されるわけではないが、コリメートミラーまたは反射器、コリメートレンズ、およびそれらの様々な組合せを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、コリメート反射器を含むコリメータは、放物曲線または放物形を特徴とする反射表面を有することがある。別の例では、コリメート反射器は、成形放物線状反射器を含むことがある。「成形放物線状」とは、その成形放物線状反射器の湾曲した反射表面が、所定の反射特性(例えば
コリメーション度)を実現するように決定されるように「真の」放物曲線から逸脱していることを意味する。同様にコリメートレンズは、球形表面(例えば両凸球面レンズ)を含むことがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、コリメータは、連続反射器または連続レンズ(すなわち実質的に平滑な連続表面を有する反射器またはレンズ)とすることができる。他の実施形態では、コリメート反射器またはコリメートレンズは、限定されるわけではないが、光の
コリメーションを提供するフレネル反射器またはフレネルレンズなど、実質的に不連続な表面を含むこともある。様々な実施形態によれば、コリメータによって提供される
コリメーション量は、実施形態によって所定の程度または量において変化することがある。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば垂直方向および水平方向)の一方または両方に
コリメーションを提供するように構成することができる。すなわち、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、光の
コリメーションを提供する2つの直交する方向のうちの一方または両方の形状を含むことがある。
【0025】
本明細書では、「
コリメーション因子」は、光が
コリメートされる程度として定義される。特に、
コリメーション因子は、本明細書の定義では、
コリメートされた光線内の光放射線の角度幅を定義する。例えば、
コリメーション因子σは、
コリメートされた光線内の光放射線の大部分が特定の角度幅(例えば
コリメート光線の中心または主角度方向の周りの±σ度)内にあるように指定することができる。
コリメートされた光線の光放射線は、角度についてガウス分布を有することがあり、角度幅は、いくつかの実施例によれば、
コリメートされた光線のピーク強度の2分の1によって決まる角度であることがある。
【0026】
本明細書では、「光源」は、光の源(例えば光を生成して発出するように構成された発光体)として定義される。例えば、光源は、起動時またはオン時に光を発出する発光ダイオード(LED)などの発光体を含むことがある。特に、本明細書では、光源は、これらに限定されるわけではないが、発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマ型発光体、蛍光灯、白熱灯、および実質的に任意のその他の光源などのうちの1つまたは複数を含む、実質的に任意の発光体である、またはそうした実質的に任意の発光体を含むことができる。光源によって生成される光は、色を有することもある(すなわち特定の波長の光を含むこともある)し、あるいはある範囲の波長(例えば白色光)を含むこともある。いくつかの実施形態では、光源は、複数の発光体を含むことがある。例えば、光源は、そのうちの少なくとも1つの発光体が、そのうちの少なくとも1つの他の発光体が生成する光の色または波長とは異なる色すなわち波長を有する光を生成する、複数の発光体のセットまたはグループを含むことがある。これらの異なる色は、例えば原色(例えば赤、緑、青)を含むことがある。
【0027】
さらに、本明細書で使用する冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つまたは複数」の意味を有するものと意図されている。例えば、「マルチビーム要素」は、1つまたは複数のマルチビーム要素を意味し、したがって「このマルチビーム要素」も、本明細書では「この(1つまたは複数の)マルチビーム要素」を意味している。また、本明細書で「頂」、「底」、「上側」、「下側」、「上」、「下」、「前」、「後」、「第1」、「第2」、「左」、または「右」について言及している場合、それらはいずれも、本明細書では限定を意図しているわけではない。本明細書では、値に対して用いられるときの「約」という用語は、一般に、その値を生じるために使用される機器の許容範囲内を意味するか、あるいは、特に明示的に指定がない限り、プラスマイナス10%、プラスマイナス5%、またはプラスマイナス1%を意味する可能性がある。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、ほぼ全て、全て、または約51%から約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書における実施例は、例示のみを目的としたものであり、限定のためではなく、説明のために示したものである。
【0028】
本明細書に記載する原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューバックライトが提供される。
図3Aは、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例におけるマルチビューバックライト100を示す断面図である。
図3Bは、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例におけるマルチビューバックライト100を示す平面図である。
図3Cは、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施形態におけるマルチビューバックライト100を示す斜視図である。
図3Cの斜視図は、本明細書における説明を容易にするためのみに、部分的に切り欠いて示してある。
【0029】
図3Aから
図3Cに示すマルチビューバックライト100は、互いに異なる
主角度方向を有する複数の外部結合光線102を(例えばライトフィールドとして)提供するように構成される。特に、提供される複数の外部結合光線102は、様々な実施形態によれば、マルチビューバックライト100から離れるように、マルチビューディスプレイのそれぞれの視野方向に対応する様々な
主角度方向に向けられる。いくつかの実施形態では、外部結合光線102を(例えば以下で述べるように光弁を使用して)変調して、3Dコンテンツを有する情報の表示を容易にすることができる。
【0030】
図3Aから
図3Cに示すように、マルチビューバックライト100は、光導波路110を含む。光導波路110は、いくつかの実施形態によれば、平板光導波路110とすることができる。光導波路110は、光を、その光導波路110の長さに沿って、誘導光104として誘導するように構成される。例えば光導波路110は、光学導波路として構成される誘電体材料を含むことができる。誘電体材料は、誘電体光学導波路を取り囲む媒質の第2の屈折率より大きい第1の屈折率を有することができる。この屈折率の差は、例えば光導波路110の1つまたは複数の導波モードに応じて誘導光104の全反射を促進するように設定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、光導波路110は、光学的に透明な誘電体材料の延展された実質的に平面状のシートを含むスラブまたは平板光学導波路とすることができる。誘電体材料の実質的に平面状のシートは、全反射を用いて誘導光線104を誘導するように構成される。様々な実施例によれば、光導波路110の光学的に透明な材料は、これらに限定されるわけではないが、様々な種類のガラス(例えばシリカガラス、アルミノケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸ガラスなど)のうちの1つまたは複数、および実質的に光学的に透明なプラスチックまたはポリマー(例えばポリメタクリル酸メチルまたは「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)など、様々な誘電体材料のうちのいずれかを含む、またはいずれかで構成することができる。いくつかの実施例では、光導波路110は、光導波路110の表面(例えば頂面および底面の一方または両方)の少なくとも一部分の上にクラッディング層(図示せず)をさらに含むことがある。いくつかの実施例によれば、クラッディング層を使用して、全反射をさらに促進することができる。
【0032】
さらに、いくつかの実施形態によれば、光導波路110は、光導波路110の第1の表面110’(例えば「前」面または側)と第2の表面114’’(例えば「後」面または側)の間で非ゼロ伝搬角で全反射によって誘導光線104を誘導するように構成される。特に、誘導光線104は、光導波路110の第1の表面110’と第2の表面110’’の間で非ゼロ伝搬角で反射または「バウンド」することによって伝搬する。いくつかの実施形態では、様々な色の光を含む複数の誘導光線104を、様々な色に固有の非ゼロ伝搬角のそれぞれ対応する角度で、光導波路110によって誘導することができる。なお、図示を簡潔にするために、非ゼロ伝搬角は、
図3Aから
図3Cには示していないことに留意されたい。ただし、伝搬方向103を示す太矢印は、
図3Aの光導波路の全長に沿った誘導光104の大凡の伝搬方向を示すものである。
【0033】
本明細書で定義する「非ゼロ伝搬角」は、光導波路110の表面(例えば第1の表面110’または第2の表面110’’)に対する相対的な角度である。さらに、非ゼロ伝搬角は、様々な実施形態によれば、ゼロより大きく、かつ光導波路110内の全反射の臨界角未満である。例えば、誘導光線104の非ゼロ伝搬角は、約10度から約50度の間とすることができ、いくつかの例では約20度から約40度の間とすることができ、あるいは約25度から約35度の間とすることができる。例えば、非ゼロ伝搬角は、約30度とすることができる。他の例では、非ゼロ伝搬角は、約20度、または約25度、または約35度とすることができる。さらに、特定の実施態様では、その非ゼロ伝搬角が光導波路110内の全反射の臨界角未満になるように選択されている限り、特定の非ゼロ伝搬角を(例えば任意に)選択することができる。
【0034】
光導波路110内の誘導光線104は、非ゼロ伝搬角(例えば約30〜35度)で光導波路110に導入または結合することができる。レンズ、ミラーまたはそれに類する反射器(例えば傾斜コリメート反射器)、およびプリズム(図示せず)のうちの1つまたは複数によって、例えば非ゼロ伝搬角で光を誘導光線104として光導波路110の入力端部に結合するのを容易にすることができる。誘導光線104は、光導波路110に結合されると、一般に入力端部から離れることができる方向(例えば
図3Aのx軸に沿った向きの太字矢印で示す方向)に光導波路110に沿って伝搬する。
【0035】
さらに、光を光導波路110に結合することによって生成される誘導光104すなわち誘導光線104は、様々な実施形態によれば、
コリメート光線である。本明細書では、「
コリメート光」または「
コリメート光線」は、一般に、その放射線がその光線(例えば誘導光線104)内で互いに実質的に平行である光線として定義される。さらに、
コリメート光線から発散または散乱する光放射線は、本明細書の定義では、
コリメート光線の一部とはみなされない。いくつかの実施形態では、マルチビューバックライト100は、上述のようにレンズ、反射器またはミラーなどのコリメータ(例えば傾斜コリメート反射器)を含んで、例えば光源からの光を
コリメートすることができる。いくつかの実施形態では、光源がコリメータを含む。光導波路110に供給される
コリメート光は、誘導される
コリメート誘導光線104である。誘導光線104は、様々な実施形態では、上述のように
コリメーション因子に従って、または
コリメーション因子を有するように
コリメートすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、光導波路110は、誘導光104を「リサイクル」するように構成されることがある。特に、光導波路の全長に沿って誘導された誘導光104は、その長さに沿って伝搬方向103とは異なる別の伝搬方向103’に方向変更されることがある。例えば、光導波路110は、光源に隣接する入力端部の反対側の光導波路110の端部に反射器(図示せず)を含むことがある。反射器は、誘導光104をリサイクル誘導光として入力端部に向かって反射して戻すように構成することができる。このように誘導光104をリサイクルすることによって、誘導光を以下で述べるようにマルチビーム要素が複数回利用できるようにすることにより、マルチビューバックライト100の輝度(例えば外部結合光線102の強度)を高めることができる。
【0037】
図3Aでは、リサイクル誘導光の伝搬方向103’を示す太字矢印(例えば負のx方向に向く)は、光導波路110内のリサイクル誘導光の全体としての伝搬方向を示している。あるいは(例えばリサイクル誘導光に対して)、(例えば伝搬方向103を有する誘導光104に加えて)他の伝搬方向103’で光導波路110に光を導入することによって、他の伝搬方向103’に伝搬する誘導光104を提供することもできる。
【0038】
図3Aから
図3Cに示すように、マルチビューバックライト100は、光導波路の全長に沿って互いに離間した複数のマルチビーム要素120をさらに含む。特に、この複数のマルチビーム要素120は、有限の間隔で互いに分離されており、光導波路の全長に沿って個々の別個の要素を表している。すなわち、本明細書の定義では、この複数のマルチビーム要素120は、有限(すなわち非ゼロ)の要素間距離(例えば有限の中心間距離)に従って互いに離間している。さらに、この複数のマルチビーム要素120は、いくつかの実施形態によれば、一般に交差したり重なり合ったりするなどして互いに接触しない。すなわち、この複数の各マルチビーム要素120は、一般に、別個のものであり、他のマルチビーム要素120から分離している。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、この複数の要素のマルチビーム要素120は、1次元(1D)アレイまたは2次元(2D)アレイのいずれかで配置されることがある。例えば、この複数のマルチビーム要素120は、線形の1Dアレイとして配置することができる。別の例では、この複数のマルチビーム要素120は、長方形の2Dアレイまたは円形の2Dアレイとして配置することができる。さらに、このアレイ(すなわち1Dまたは2Dアレイ)は、いくつかの例では、一定または一様なアレイとすることができる。特に、マルチビーム要素120間の要素間距離(例えば中心間距離または間隔)は、アレイ全体にわたって実質的に一様または一定にすることができる。他の例では、マルチビーム要素120間の要素間距離は、アレイを横切る方向および光導波路110の全長に沿った方向の一方または両方で変化することもある。
【0040】
様々な実施形態によれば、複数のマルチビーム要素120は、誘導光104の一部分を複数の外部結合光線102として外部結合するように構成される。特に、
図3Aおよび
図3Cは、外部結合光線102を、光導波路110の第1の表面(または前面)110’から離れる向きに示す複数の発散する矢印として示している。さらに、マルチビーム要素120のサイズは、様々な実施形態によれば、マルチビューディスプレイの上記で定義したマルチビューピクセル中のサブピクセル106’のサイズと同等である。マルチビューピクセル106は、
図3Aから
図3Cでは、説明を容易にするために、マルチビューバックライト100とともに示してある。本明細書では、「サイズ」は、これらに限定されるわけではないが、長さ、幅、または面積などを含む様々なかたちのいずれかで定義することができる。例えば、サブピクセル106’のサイズは、その長さであることがあり、マルチビーム要素120のそれと同等であるサイズも、マルチビーム要素120の長さであることがある。別の例では、マルチビーム要素120の面積がサブピクセル106’の面積と同等であることができるように、「サイズ」が面積を指すこともある。
【0041】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素120のサイズがサブピクセルのサイズの約50%と約200%の間になるように、マルチビーム要素のサイズがサブピクセルのサイズと同等である。例えば、マルチビーム要素のサイズを「s」で表し、サブピクセルのサイズを「S」で表した場合(例えば
図3Aに示す)に、マルチビーム要素のサイズsは、数式(1)で与えることができる。
【0042】
【数2】
他の例では、マルチビーム要素のサイズは、サブピクセルのサイズの約60%より大きい、サブピクセルのサイズの約70%、サブピクセルのサイズの約80%より大きい、またはサブピクセルのサイズの約90%より大きい、ならびにマルチビーム要素は、サブピクセルのサイズの約180%未満、サブピクセルのサイズの約160%未満、サブピクセルのサイズの約140%未満、またはサブピクセルのサイズの約120%未満である。例えば、「同等であるサイズ」により、マルチビーム要素のサイズは、サブピクセルのサイズの約75%より大きく、約150%未満とすることができる。別の例では、マルチビーム要素のサイズがサブピクセルのサイズの約125%未満、約85%より大きい場合に、マルチビーム要素120のサイズがサブピクセルと同等であるとすることができる。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム要素120およびサブピクセル106’の同等であるサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間の重複を低減する、またはいくつかの例では最小限に抑えながら、それと同時にマルチビューディスプレイのビュー間の暗領域を低減する、またはいくつかの例では最小限に抑えるように選択されることがある。
【0043】
図3Aから
図3Cは、複数の外部結合光線のうちの外部結合光線102を変調するように構成された光弁108のアレイもさらに示している。光弁アレイは、例えばマルチビューバックライトを利用するマルチビューディスプレイの一部とすることができ、
図3Aから
図3Cでは、本明細書の説明を容易にするためにマルチビューバックライト100とともに示してある。
図3Cでは、光弁108のアレイは、光弁アレイの下にある光導波路110およびマルチビーム要素120が見えるように、部分的に切り欠いてある。
【0044】
図3Aから
図3Cに示すように、様々な
主角度方向を有する外部結合光線102の異なるそれぞれは、光弁アレイ中の異なる光弁108を通過し、それによって変調することができる。さらに、図示のようにアレイの光弁108は、サブピクセル106’に対応し、これらの光弁108のセットが、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル106に対応する。特に、光弁アレイの光弁108の異なるセットは、マルチビーム要素120の異なるそれぞれから外部結合光線102を受光してそれを変調する、すなわち、図示のように、各マルチビーム要素120ごとに、1つの一意的な光弁108のセットがある。様々な実施形態では、これらに限定されるわけではないが、液晶光弁、電気泳動光弁、およびエレクトロウェッティングに基づく光弁のうち1つまたは複数を含む、様々な異なるタイプの光弁を、光弁アレイの光弁108として利用することができる。
【0045】
図3Aに示すように、第2の光弁セット108bは、第2のマルチビーム要素120bから外部結合光線102を受光して変調するように構成されるが、第1の光弁セット108aは、第1のマルチビーム要素120aから外部結合光線102を受光して変調するように構成される。したがって、光弁アレイ中の各光弁セット(例えば第1の光弁セット108aおよび第2の光弁セット108b)は、それぞれ異なるマルチビューピクセル106に対応し、光弁セットの個々の光弁108は、
図3Aに示すようにそれぞれのマルチビューピクセル106のサブピクセル106’に対応している。
【0046】
なお、
図3Aに示すように、サブピクセル106’のサイズは、光弁アレイ中の光弁108のサイズに対応することがある。他の実施例では、サブピクセルのサイズは、光弁アレイの隣接する光弁108間の距離(例えば中心間距離)として定義されることもある。例えば、光弁108は、光弁アレイ中の光弁108間の中心間距離より小さいこともある。サブピクセルのサイズは、例えば、光弁108のサイズ、または光弁108間の中心間距離に対応するサイズのいずれとして定義することもできる。
【0047】
いくつかの実施形態では、複数のマルチビーム要素120と対応するマルチビューピクセル106(例えば光弁108のセット)の間の関係は、1対1の関係であることがある。すなわち、マルチビューピクセル106とマルチビーム要素120とが同数ずつ存在することがある。
図3Bは、例示を目的として1対1の関係を明示的に示すが、ここでは、異なる光弁108のセットを含む各マルチビューピクセル106を破線で囲んで示してある。他の実施形態(図示せず)では、マルチビューピクセル106およびマルチビーム要素120の数が、互いに異なることもある。
【0048】
いくつかの実施形態では、一対の隣接する複数のマルチビーム要素120間の要素間距離(例えば中心間距離)は、例えば光弁セットで表される、対応する隣接する一対のマルチビューピクセル106間のピクセル間距離(例えば中心間距離)に等しいことがある。例えば、
図3Aに示すように、第1のマルチビーム要素120aと第2のマルチビーム要素120bの間の中心間距離dは、第1の光弁セット108aと第2の光弁セット108bの間の中心間距離Dと実質的に等しい。他の実施形態(図示せず)では、マルチビーム要素120と対応する光弁セットの複数の対の相対中心間距離が異なることがあり、例えば、マルチビーム要素120が、マルチビューピクセル106を表す光弁セット間の間隔(すなわち中心間距離D)より大きい、または小さい要素間間隔(すなわち中心間距離d)を有することがある。
【0049】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素120の形状は、マルチビューピクセル106の形状に類似している、すなわちマルチビューピクセル106に対応する光弁108のセット(または「サブアレイ」)の形状に類似している。例えば、マルチビーム要素120は、正方形の形状を有することがあり、マルチビューピクセル106(または対応する光弁108のセットの配列)は、実質的に正方形であることがある。別の例では、マルチビーム要素120は、長方形の形状を有することがある、すなわち、幅または横方向寸法より大きな長さまたは長手方向寸法を有することがある。この実施例では、マルチビーム要素120に対応するマルチビューピクセル106(すなわち光弁108のセットの配列)は、類似した長方形の形状を有することがある。
図3Bは、正方形のマルチビーム要素120と、光弁108の正方形のセットを含むそれに対応する正方形のマルチビューピクセル106とを示す上面図または平面図である。さらに他の例(図示せず)では、マルチビーム要素120および対応するマルチビューピクセル106は、これらに限定されるわけではないが、三角形、六角形、および円形を含む、または少なくともこれらによって近似される、様々な形状を有する。
【0050】
さらに(例えば
図3Aに示すように)、各マルチビーム要素120は、いくつかの実施形態によれば、外部結合光線102をただ1つのマルチビューピクセル106のみに提供するように構成される。特に、マルチビーム要素120のうちの所与の1つについて、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる
主角度方向を有する外部結合光線102は、
図3Aに示すように、実質的に、単一の対応するマルチビューピクセル106およびそのサブピクセル106’に、すなわちそのマルチビーム要素120に対応する単一の光弁108のセットに制限される。したがって、マルチビューバックライト100の各マルチビーム要素120は、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる
主角度方向のセットを有する対応する外部結合光線102のセットを提供する(すなわち、この外部結合光線102のセットは、異なる視野方向のそれぞれに対応する方向を有する光線を含む)。
【0051】
様々な実施形態によれば、マルチビーム要素120は、誘導光104の一部分を外部結合するように構成されたいくつかの異なる構造のうちのいずれかを含むことができる。例えば、これらの異なる構造は、これらに限定されるわけではないが、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、またはそれらの様々な組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、回折格子を含むマルチビーム要素120は、誘導光の一部分を、様々な
主角度方向を有する複数の外部結合光線102として回折的に外部結合するように構成される。他の実施形態では、マイクロ反射要素を含むマルチビーム要素120は、誘導光の一部分を、複数の外部結合光線102として反射的に外部結合するように構成され、またはマイクロ屈折要素を含むマルチビーム要素120は、誘導光の一部分を、複数の外部結合光線102として、屈折によって、または屈折を用いて外部結合する(すなわち誘導光の一部分を屈折的に外部結合する)ように構成される。
【0052】
図4Aは、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例におけるマルチビーム要素120を含むマルチビューバックライト100の一部分を示す断面図である。
図4Bは、本明細書に記載する原理による別の実施形態による、実施例におけるマルチビーム要素120を含むマルチビューバックライト100の一部分を示す断面図である。特に、
図4Aから
図4Bは、回折格子122を含むマルチビューバックライト100のマルチビーム要素120を示している。回折格子122は、誘導光104の一部分を、複数の外部結合光線102として回折的に外部結合するように構成される。回折格子122は、誘導光の一部分の回折的な外部結合を提供するように構成される、回折フィーチャ間隔あるいは回折フィーチャまたは格子ピッチだけ互いに離間した複数の回折フィーチャを含む。様々な実施形態によれば、回折格子122の回折フィーチャの間隔または格子ピッチは、波長未満である(すなわち誘導光の波長未満である)ことがある。
【0053】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素120の回折格子122は、光導波路110の表面に位置する、またはその表面に隣接して位置することがある。例えば、回折格子122は、
図4Aに示すように、光導波路110の第1の表面110’にある、または第1の表面110’に隣接していることがある。光導波路の第1の表面110’における回折格子122は、誘導光の一部分を第1の表面110’を通して外部結合光線102として回折的に外部結合するように構成された伝送モード回折格子とすることができる。別の例では、
図4Bに示すように、回折格子122は、光導波路110の第2の表面110’’に位置する、または第2の表面110’’に隣接して位置することがある。第2の表面110’’に位置するときには、回折格子122は、反射モード回折格子とすることができる。反射モード回折格子として、回折格子122は、誘導光の一部分を回折し、かつ回折した誘導光の一部分を第1の表面110’に向かって反射して、回折的に外部結合された光線102として第1の表面110’を通して発出するように構成される。他の実施形態(図示せず)では、回折格子は、例えば伝送モード回折格子および反射モード回折格子の一方または両方として、光導波路110の表面の間に位置することがある。なお、本明細書に記載するいくつかの実施形態では、外部結合光線102の
主角度方向は、光導波路の表面で光導波路110から出る外部結合光線102による屈折の影響を含むことがあることに留意されたい。例えば、
図4Bは、限定ではなく例示を目的として、外部結合光線102が第1の表面110’を交差するときの屈折率の変化による外部結合光線102の屈折(すなわち屈曲)を示している。また、以下で述べる
図5Aおよび
図5Bも参照されたい。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、回折格子122の回折フィーチャは、互いに離間した溝およびリッジの一方または両方を含むことがある。溝またはリッジは、光導波路110の材料を含み、例えば、光導波路110の表面に形成されることがある。別の例では、溝またはリッジは、例えば光導波路110の表面上の別の材料の膜または層など、光導波路の材料以外の材料で構成されることもある。
【0055】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素120の回折格子122は、回折フィーチャの間隔が回折格子122全体にわたって実質的に一定または不変である、一様な回折格子である。他の実施形態では、回折格子122は、チャープ回折格子である。定義では、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の幅または長さにわたって変化する回折フィーチャの回折間隔(すなわち格子ピッチ)を示す、または有する、回折格子である。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、距離と共に線形に変化する回折フィーチャの間隔のチャープを有する、または示すことがある。したがって、チャープ回折格子は、定義では、「線形チャープ」回折格子である。他の実施形態では、マルチビーム要素120のチャープ回折格子は、回折フィーチャ間隔の非線形チャープを示すことがある。これらに限定されるわけではないが、指数チャープ、対数チャープ、または別の実質的に不均一または無作為ではあるが単調に変化するチャープなど、様々な非線形チャープを使用することができる。これらに限定されるわけではないが、正弦波形チャープあるいは三角形または鋸歯形チャープなどの非単調チャープを利用することもできる。これらのタイプのチャープのいずれかの組合せを利用することもできる。
【0056】
図5Aは、本明細書に記載する原理による別の実施形態による、実施例におけるマルチビーム要素120を含むマルチビューバックライト100の一部分を示す断面図である。
図5Bは、本明細書に記載する原理による別の実施形態による、実施例におけるマルチビーム要素120を含むマルチビューバックライト100の一部分を示す断面図である。特に、
図5Aおよび
図5Bは、マイクロ反射要素を含むマルチビーム要素120の様々な実施形態を示す図である。マルチビーム要素120として使用される、またはマルチビーム要素120内で使用されるマイクロ反射要素は、これらに限定されるわけではないが、反射材料または反射材料層(例えば反射性金属)を利用する反射器、あるいは全反射(TIR)に基づく反射器を含み得る。いくつかの実施形態(例えば
図5Aから
図5Bに示す)によれば、マイクロ反射要素を含むマルチビーム要素120は、光導波路110の表面(例えば第2の表面110’’)に位置する、またはその表面に隣接して位置することがある。他の実施形態(図示せず)では、マイクロ反射要素は、光導波路110内で第1の表面110’と第2の表面110’’の間に位置することがある。
【0057】
例えば、
図5Aは、光導波路110の第2の表面110’’に隣接して位置する、反射ファセットを有するマイクロ反射要素124(例えば「プリズム状」マイクロ反射要素)を含むマルチビーム要素120を示している。図示のプリズム状マイクロ反射要素124のファセットは、誘導光104の一部分を光導波路110から出るように反射する(すなわち反射的に結合する)ように構成される。ファセットは、誘導光104の伝搬方向に対して斜めである、または傾斜していて(すなわち傾斜角を有する)、例えば誘導光の一部分を光導波路110から出るように反射することができる。ファセットは、様々な実施形態によれば、(例えば
図5Aに示すように)光導波路110内に反射性材料を使用して形成されることもあるし、あるいは第2の表面110’’のプリズム状空洞の表面であることもある。プリズム状空洞を利用するときには、いくつかの実施形態では、空洞の表面における屈折率の変化が反射(例えばTIR反射)をもたらすこともあるし、あるいはファセットを形成する空洞表面を反射性材料でコーティングして反射をもたらすこともある。
【0058】
別の例では、
図5Bは、これに限定されるわけではないが、半球状マイクロ反射要素124など、実質的に平滑な、湾曲表面を有するマイクロ反射要素124を含むマルチビーム要素120を示している。マイクロ反射要素124の特定の表面湾曲は、例えば誘導光104が接触する湾曲表面上の入射点に応じて様々な方向に誘導光の一部分を反射するように構成することができる。
図5Aおよび
図5Bに示すように、光導波路110から反射的に外部結合される誘導光の一部分は、限定ではなく例示を目的として、第1の表面110’から出る、または発出される。
図5Aのプリズム状マイクロ反射要素124と同様に、
図5Bのマイクロ反射要素124は、限定ではなく例示を目的として
図5Bに示すように、光導波路110内の反射性材料、または第2の表面110’’に形成された空洞(例えば半球状空洞)とすることができる。
図5Aおよび
図5Bは、限定ではなく例示を目的として、2つの伝搬方向103、103’(すなわち太矢印で示す)を有する誘導光104も示している。2つの伝搬方向103、103’を使用することにより、例えば、複数の外部結合光線102に対称な
主角度方向を与えることを容易にすることができる。
【0059】
図6は、本明細書に記載する原理による別の実施形態による、実施例におけるマルチビーム要素120を含むマルチビューバックライト100の一部分を示す断面図である。特に、
図6は、マイクロ屈折要素126を含むマルチビーム要素120を示している。様々な実施形態によれば、マイクロ屈折要素126は、光導波路110から誘導光104の一部分を屈折的に外部結合するように構成される。すなわち、マイクロ屈折要素126は、
図6に示すように、(例えば回折または反射に対して)屈折を利用して、誘導光の一部分を外部結合光線102として光導波路110から外部結合するように構成される。マイクロ屈折要素126は、これらに限定されるわけではないが、半球形、長方形、プリズム形(すなわち傾斜したファセットを有する形状)など、様々な形状を有することができる。様々な実施形態によれば、マイクロ屈折要素126は、図示のように光導波路110の表面(例えば第1の表面110’)から延びる、または突出することもあるし、あるいは表面の空洞(図示せず)であることもある。さらに、マイクロ屈折要素126は、いくつかの実施形態では、光導波路110の材料を含むこともある。他の実施形態では、マイクロ屈折要素126は、光導波路の表面に隣接する、またはいくつかの例では光導波路の表面と接触する、別の材料を含むこともある。
【0060】
図3Aを再度参照すると、マルチビューバックライト100は、光源130をさらに含むことがある。様々な実施形態によれば、光源130は、光導波路110内を誘導される光を提供するように構成される。特に、光源130は、光導波路110の入口表面または端部(入力端部)に隣接して位置することがある。様々な実施形態では、光源130は、これらに限定されるわけではないが、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)またはレーザ(例えばレーザダイオード)など、実質的に任意の光の源を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源130は、特定の色で表される狭帯域スペクトルを有する実質的に単色の光を生成するように構成された発光体を含むことができる。特に、単色光の色は、特定の色空間または色モデル(例えば赤/緑/青(RGB)色モデル)の原色とすることができる。他の例では、光源130は、実質的に広帯域または多色の光を提供するように構成された実質的に広帯域の光源であることもある。例えば、光源130は、白色光を提供することができる。いくつかの実施形態では、光源130は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる発光体を含むことがある。これらの異なる発光体は、その異なる色の光のそれぞれに対応する、誘導光の異なる色固有の非ゼロ伝搬角を有する光を提供するように構成することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、光源130は、コリメータをさらに含むことがある。コリメータは、光源130の発光体のうちの1つまたは複数から実質的に
コリメートされていない光を受光するように構成されることがある。コリメータは、この実質的に
コリメートされていない光を
コリメート光に変換するようにさらに構成される。特に、いくつかの実施形態では、コリメータは、非ゼロ伝搬角を有し、所定の
コリメーション因子に従って
コリメートされた
コリメート光を提供することができる。さらに、様々な色の発光体を利用するときには、コリメータは、様々な色固有の非ゼロ伝搬角のうちの1つまたは両方を有し、かつ様々な色固有の
コリメーション因子を有する
コリメート光を提供するように構成することができる。コリメータは、上述のように、
コリメート光線を光導波路110に伝達して誘導光104として伝搬するようにさらに構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、マルチビューバックライト100は、誘導光104の伝搬方向103、103’に対して直交する光導波路110を通る方向の光に対して実質的に透明になるように構成される。特に、いくつかの実施形態では、光導波路110および離間した複数のマルチビーム要素120が、光が光導波路110を、第1の表面110’および第2の表面110’’の両方を通過することを可能にする。透明度は、少なくとも部分的には、マルチビーム要素120の比較的小さなサイズ、およびマルチビーム要素120の比較的大きな要素間間隔(例えばマルチビューピクセル106と1対1の対応)の両方によって高めることができる。さらに、特にマルチビーム要素120が回折格子を含むときには、マルチビーム要素120は、いくつかの実施形態によれば、光導波路の表面110’、110’’に対して直交して伝搬する光に対して実質的に透明であることもある。
【0063】
本明細書に記載する原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイが提供される。このマルチビューディスプレイは、変調光線をマルチビューディスプレイのピクセルとして発出するように構成される。さらに、発出される変調光線は、マルチビューディスプレイの複数の視野方向に優先的に向けることができる。いくつかの実施例では、マルチビューディスプレイは、3Dまたはマルチビュー画像を提供する、または「表示する」ように構成される。様々な実施例によれば、変調された異なる向きの光線の異なるそれぞれは、マルチビュー画像に関連する異なる「ビュー」の個々のピクセルに対応することがある。この異なるビューが、例えば、マルチビューディスプレイにより表示されているマルチビュー画像中に情報の「裸眼」(例えば自動立体視)表現を提供することができる。
【0064】
図7は、本明細書に記載する原理による実施形態による、実施例におけるマルチビューディスプレイ200を示すブロック図である。様々な実施形態によれば、マルチビューディスプレイ200は、異なる視野方向の異なるビューに従ってマルチビュー画像を表示するように構成される。特に、マルチビューディスプレイ200から発出される変調光線202を使用して、マルチビュー画像を表示し、この光線は、異なるビューのピクセル(すなわち異なるビューピクセル)に対応することができる。変調光線202は、
図7では、マルチビューピクセル210から出る矢印として示してある。限定ではなく例示を目的として、それが変調されていることを強調するために、発出される変調光線202の矢印には破線を使用している。
【0065】
図7に示すマルチビューディスプレイ200は、マルチビューピクセル210のアレイを含む。このアレイのマルチビューピクセル210は、マルチビューディスプレイ200の複数の異なるビューを提供するように構成される。様々な実施形態によれば、このアレイのマルチビューピクセル210は、複数の光線204を変調して、発出される変調光線202を生成するように構成された複数のサブピクセルを含む。いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル210は、マルチビューバックライト100に関連して上述した光弁108のアレイのうちの光弁108のセットと実質的に同様である。特に、マルチビューピクセル210のサブピクセルは、上述した光弁108と実質的に同様であることがある。すなわち、マルチビューディスプレイ200のマルチビューピクセル210は、光弁のセット(例えば光弁108のセット)を含むことがあり、マルチビューピクセル210のサブピクセルは、そのセットの光弁(例えば単一の光弁108)を含むことがある。
【0066】
様々な実施形態によれば、
図7に示すマルチビューディスプレイ200は、マルチビーム要素220のアレイをさらに含む。このアレイの各マルチビーム要素220は、複数の光線204を、対応するマルチビューピクセル210に提供するように構成される。この複数の光線204のうちの光線204は、互いに異なる
主角度方向を有する。特に、光線204の異なる
主角度方向は、マルチビューディスプレイ200の異なるビューの異なる視野方向に対応する。
【0067】
様々な実施形態によれば、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素220のサイズは、複数のサブピクセルのうちのサブピクセルのサイズと同等である。例えば、マルチビーム要素220のサイズは、いくつかの実施形態では、サブピクセルのサイズの2分の1より大きく、サブピクセルのサイズの2倍より小さいことがある。さらに、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素220間の要素間距離は、いくつかの実施形態によれば、マルチビューピクセルアレイのマルチビューピクセル210間のピクセル間距離に対応することがある。例えば、マルチビーム要素220間の要素間距離は、マルチビューピクセル210間のピクセル間距離に実質的に等しいことがある。いくつかの実施例では、マルチビーム要素220間の要素間距離、およびこれに対応するマルチビューピクセル210間のピクセル間距離は、中心間距離、あるいはそれと等価な間隔または距離の測度として定義されることもある。
【0068】
さらに、マルチビューピクセルアレイのマルチビューピクセル210と、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素220との間に、1対1の対応があることがある。特に、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220間の要素間距離(例えば中心間)は、マルチビューピクセル210間のピクセル間距離(例えば中心間)と実質的に等しいことがある。したがって、マルチビューピクセル210中の各サブピクセルは、対応するマルチビーム要素220によって提供される複数の光線204のうちの異なる1つを変調するように構成されることがある。さらに、各マルチビューピクセル210は、様々な実施形態によれば、ただ1つのマルチビーム要素220だけから光線204を受光して、これを変調するように構成されることがある。
【0069】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素220は、上述したマルチビューバックライト100のマルチビーム要素120と実質的に同様であることがある。例えば、マルチビーム要素220は、マルチビーム要素120に関連して上述する、例えば
図4Aから
図4Bに示した回折格子122と実質的に同様の回折格子を含むことがある。別の実施例では、マルチビーム要素220は、マルチビーム要素120に関連して上述する、例えば
図5Aから
図5Bに示した、マイクロ反射要素124と実質的に同様であるマイクロ反射要素を含むことがある。さらに別の実施例では、マルチビーム要素220は、マイクロ屈折要素を含むことがある。マイクロ屈折要素は、マルチビーム要素120に関連して上述して、例えば
図6に示した、マイクロ屈折要素126と実質的に同様であることがある。
【0070】
回折格子、マイクロ反射要素、およびマイクロ屈折要素のうちの1つまたは複数を含むマルチビーム要素220を有する実施形態では、マルチビューディスプレイ200は、光を誘導するように構成された光導波路をさらに含むことがある。この要素アレイのマルチビーム要素220は、これらの実施形態によれば、誘導光の一部分を、ピクセルアレイの対応するマルチビューピクセル210に提供される複数の光線204として、光導波路から外部結合するように構成されることがある。特に、マルチビーム要素220を光導波路に光学的に結合して、誘導光の一部分を外部結合することができる。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200の光導波路は、マルチビューバックライト100に関連して上述した光導波路110と実質的に同様であることがある。なお、光導波路は、
図7には明示的に示していないことに留意されたい。
【0071】
さらに、これらの実施形態のうちのいくつか(
図7には図示せず)では、マルチビューディスプレイ200は、光源をさらに含むことがある。この光源は、非ゼロ伝搬角を有する光導波路に光を提供するように構成されることがあり、いくつかの実施形態では、
コリメーション因子に従って
コリメートされて、例えば光導波路内で誘導光の所定の角度の拡散をもたらす。いくつかの実施形態によれば、光源は、上述したマルチビューバックライト100の光源130と実質的に同様であることがある。
【0072】
他の実施形態では、アレイのマルチビーム要素220は、発光素子であることがある。すなわち、マルチビーム要素220は、例えば光導波路からの誘導光の一部分を外部結合するのではなく、それ自体の光を生成して発出することがある。特に、マルチビーム要素220は、これらに限定されるわけではないが、発光ダイオード(LED)または有機発光ダイオード(OLED)などの光源を含むことがある。マルチビーム要素220として働くLEDまたはOLEDなどは、いくつかの実施形態によれば、光線204を光線202として変調するためにマルチビューピクセル210に直接提供するように構成されることがある。さらに、LEDまたはOLEDなどは、マルチビーム要素220について上述したようなサイズおよび要素間間隔を有することがある。
【0073】
本明細書に記載する原理の他の実施形態によれば、マルチビューバックライトの動作方法が提供される。
図8は、本明細書に記載する原理による実施形態による実施例におけるマルチビューバックライトの動作方法300を示す流れ図である。
図8に示すように、マルチビューバックライトの動作方法300は、光導波路の長さに沿って光を誘導するステップ(310)を含む。いくつかの実施形態では、光は、非ゼロ伝搬角で誘導される(310)ことがある。さらに、誘導光は、所定の
コリメーション因子に従って
コリメートされることがある。いくつかの実施形態によれば、光導波路は、マルチビューバックライト100に関連して上述した光導波路110と実質的に同様であることがある。
【0074】
図8に示すように、マルチビューバックライトの動作方法300は、マルチビーム要素を使用して誘導光の一部分を光導波路から外部結合して(320)、互いに異なる
主角度方向を有する複数の外部結合光線を提供するステップをさらに含む。様々な実施形態では、外部結合光線の
主角度方向は、マルチビューディスプレイのそれぞれの視野方向に対応する。様々な実施形態によれば、マルチビーム要素のサイズは、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル中のサブピクセルのサイズと同等である。例えば、マルチビーム要素は、サブピクセルのサイズの2分の1より大きく、サブピクセルのサイズの2倍より小さいことがある。
【0075】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、上述したマルチビューバックライト100のマルチビーム要素120と実質的に同様である。例えば、マルチビーム要素は、複数のマルチビーム要素、またはマルチビーム要素のアレイの一部であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、回折格子、マイクロ反射要素、およびマイクロ屈折要素のうちの1つまたは複数を含むことがある。特に、いくつかの実施形態によれば、誘導光を外部結合する(320)際に使用されるマルチビーム要素は、光導波路に光学的に結合されて誘導光の一部分を回折的に外部結合する(320)回折格子を含むことがある。この回折格子は、例えば、マルチビーム要素120の回折格子122と実質的に同様であることがある。別の実施形態では、マルチビーム要素は、光導波路に光学的に結合されて誘導光の一部分を反射的に外部結合する(320)マイクロ反射要素を含むことがある。例えば、マイクロ反射要素は、マルチビーム要素120に関連して上述したマイクロ反射要素124と実質的に同様であることがある。さらに別の実施形態では、マルチビーム要素は、光導波路に光学的に結合されて誘導光の一部分を屈折的に外部結合する(320)マイクロ屈折要素を含むことがある。マイクロ屈折要素は、上述したマルチビーム要素120のマイクロ屈折要素126と実質的に同様であることがある。
【0076】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチビューバックライトの動作方法300は、光源を使用して光導波路に光を提供するステップをさらに含む。提供される光は、光導波路内で非ゼロ伝搬角を有する、または
コリメーション因子に従って光導波路内で
コリメートされて光導波路内で誘導光の所定の角度の拡散を提供する、あるいはその両方である、誘導光であることがある。いくつかの実施形態では、光源は、上述したマルチビューバックライト100の光源130と実質的に同様であることがある。
【0077】
いくつかの実施形態では、マルチビューバックライトの動作方法300は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルとして構成された光弁を使用して、外部結合光線を変調するステップ(330)をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、複数の光弁または光弁のアレイの光弁は、マルチビューピクセルのサブピクセルに対応する。すなわち、マルチビーム要素は、例えば、光弁のサイズ、または複数の光弁の光弁間の中心間間隔と同等のサイズを有することがある。いくつかの実施形態によれば、複数の光弁は、
図3Aから
図3Cを参照して上述した光弁108のアレイおよびマルチビューバックライト100と実質的に同様であることがある。特に、上述のように第1および第2の光弁セット108a、108bが異なるマルチビューピクセル106に対応するのと同様にして、光弁の異なるセットが異なるマルチビューピクセルに対応することがある。さらに、
図3Aから
図3Cの上述の説明において光弁108がサブピクセル106’に対応するのと同様に、光弁アレイの個々の光弁が、マルチビューピクセルのサブピクセルに対応することがある。
【0078】
以上、マルチビューバックライト、マルチビューバックライトの動作方法、およびサブピクセルを含むマルチビューピクセルを有するマルチビューディスプレイの実施例および実施形態について説明した。このマルチビューバックライト、方法、およびマルチビューディスプレイは、マルチビーム要素を利用して、マルチビュー画像の複数の異なるビューに対応する光線を提供する。マルチビーム要素は、ディスプレイのマルチビューピクセルのサブピクセルとサイズが同等である。上述の実施例は、単に本明細書に記載する原理を表現する多数の具体的な実施例のうちの一部の例示に過ぎないことを理解されたい。当業者なら、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲を逸脱することなく、多数のその他の構成を容易に考案することができることは明らかである。