(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971250
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】器具、圧力容器、及び、圧力容器を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/12 20060101AFI20211111BHJP
F17C 1/00 20060101ALI20211111BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
F17C13/12 301A
F17C1/00 Z
F16J12/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-548841(P2018-548841)
(86)(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公表番号】特表2019-512650(P2019-512650A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017022655
(87)【国際公開番号】WO2017161085
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】62/308,945
(32)【優先日】2016年3月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イェギー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バイアリー ドゥエイン ヴィー.
【審査官】
武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0341235(US,A1)
【文献】
特開2014−81014(JP,A)
【文献】
特開平10−141594(JP,A)
【文献】
特開2009−174700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
F16J 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器のボスとシェルとの間に配置されるように構成され、前記ボスはボスを貫通する穿孔を含み、前記穿孔は長手方向軸を有し、前記ボスは、ボス首部及びボスフランジを有し、前記ボスフランジは、前記ボス首部に関して前記長手方向軸から離れるように延在する、器具であって、
環状体であって、前記ボス首部及び前記ボスフランジに接触且つ当接するように構成された内側表面と、前記シェルに当接するように構成された外側表面と、前記長手方向軸に関して対向する第1端部と第2端部と、前記第1端部に隣接するボディ首部と、前記第2端部に隣接し、前記ボディ首部に関して前記長手方向軸から離れるように延在するボディフランジと、を含み、前記ボディフランジは、前記ボスフランジを少なくとも部分的に囲むように構成され、前記第2端部は前記圧力容器のライナに当接するよう構成された環状体と、
前記内側表面に設けられ、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する気体透過性の要素と、
を備える器具。
【請求項2】
前記気体透過性の要素は、複数の導管を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記複数の導管の少なくとも1つは、前記長手方向軸と実質的に沿っている、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記複数の導管の少なくともいくつかは、前記内側表面にて、実質的に均等に、周方向に離間する、請求項2又は請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記複数の導管の少なくとも1つは、実質的に長方形の断面形状を有する、請求項2から請求項4のうちのいずれか1項に記載の器具。
【請求項6】
圧力容器であって、
シェルと、
ボスであって、前記ボスを貫通し、長手方向軸を有する穿孔と、ボス首部と、前記ボス首部に関して前記長手方向軸から離れるように延在するボスフランジと、を含むボスと、
前記ボスと前記シェルとの間に配置される器具であって、
前記器具は、
前記ボス首部及び前記ボスフランジに接触且つ当接するように構成された内側表面と、前記シェルに当接するように構成された外側表面と、前記長手方向軸に関して対向する第1端部と第2端部と、前記第1端部に隣接するボディ首部と、前記第2端部に隣接し、前記ボディ首部に関して前記長手方向軸から離れるように延在するボディフランジと、を含み、前記ボディフランジは、前記ボスフランジを少なくとも部分的に囲み、前記第2端部は、前記シェルの内部に配置されたライナに当接する環状体と、
前記内側表面に設けられ、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する、気体透過性の要素と、を備える器具と、
を備える圧力容器。
【請求項7】
前記圧力容器は、前記シェル内に設けられ、前記環状体に当接する前記ライナを含み、前記ライナと前記シェルとの間においてインタフェースを形成し、
前記気体透過性の要素は、前記第2端部において、前記インタフェースと流体連通した状態にあり、前記第1端部において、前記容器の外部と流体連通した状態にある、請求項6に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記気体透過性の要素は、複数の導管を含む、請求項6又は請求項7に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記複数の導管の少なくとも1つは、実質的に前記長手方向軸に沿っている、請求項8に記載の圧力容器。
【請求項10】
前記複数の導管の少なくともいくつかは、前記内側表面にて、実質的に均等に、周方向に離隔する、請求項8又は請求項9に記載の圧力容器。
【請求項11】
圧力容器を形成するための方法であって、該方法は、
ボスであって、長手方向軸を有する穿孔を有するボス首部を有すると共に、前記ボス首部に関して前記長手方向軸から離れるように延在するボスフランジを有するボスを、マンドレルに取付けることと、
前記長手方向軸に関して対向する第1端部と第2端部と、前記第1端部に隣接する継手首部と、前記第2端部に隣接し、前記長手方向軸から離れるように延在すると共に、前記ボスフランジを少なくとも部分的に囲む継手フランジと、を含む環状の継手を、前記ボス首部に配置すると共に、前記ボス首部及び前記ボスフランジに接触させることと、
前記ボスに接触すると共に、前記第2端部に当接する前記圧力容器のライナを形成することと、
前記ライナと、前記環状の継手と、を包囲する、外側シェルを形成することと、を含み、
気体透過性の要素は、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する、圧力容器を形成するための方法。
【請求項12】
前記ライナを形成する前に、前記ボス首部に前記環状の継手を配置する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ライナを形成した後に、前記ボス首部に前記環状の継手を配置する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ライナを形成することは、非金属材料を、前記マンドレルの周囲と、前記ボスフランジの少なくとも一部とに設けることを含む、請求項11から請求項13のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ボス首部に前記環状の継手を配置する前に、前記気体透過性の要素を前記ライナに配置することをさらに含む、請求項11から請求項14のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
圧力容器は、通常、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び他の燃料等の、様々な流体を加圧された状態で収容するために用いられる。通常、圧力容器は、任意の寸法又は形状をとり得る。容器は、例えば、重くても軽くてもよく、1回限りの使用(すなわち、使い捨て)でも再利用可能であってもよく、高圧(例えば、50psiより高い)や低圧(例えば、50psiより低い)にさらされてもよく、昇温下又は低温下で流体を貯蔵するために使用されてもよい。
【0002】
好適な圧力容器のシェル材料は、鋼又は複合材等の金属を含む。複合材は、巻回されて熱硬化性又は熱可塑性の樹脂により互いに接着される、ガラス繊維フィラメント又はその他の合成フィラメントの積層体等を含んでいてもよい。繊維は、ガラス繊維、アラミド、炭素、グラファイト、又はあらゆる他の一般的に周知の繊維強化材であってもよい。使用される樹脂材料は、エポキシ、ポリエステル、ビニル・エステル、熱可塑性材料、又は、繊維と繊維との接着、繊維の層と層との接着、及びこの容器が用いられる特定の用途に必要とされる破砕耐性をもたらすことが可能な、あらゆる他の好適な樹脂材料であってもよい。容器の複合材構造は、重量の軽さ、並びに腐食、疲労、及び破局的な破損に対する耐性を含む、多数の利点をもたらす。これらの特性は、少なくとも一部において、強化繊維又はフィラメントの高い比強度によるものである。
【0003】
ポリマー又は他の非金属の弾力性のあるライナ又は嚢が、多くの場合、複合材シェル内に設けられて容器を密閉し、且つ、内部流体が複合材料に接触することを防止する。ライナは、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、又はあらゆる他の一般的に周知の技術により製造されてもよい。或いは、ライナは、鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、金、銀、ステンレス鋼、及びそれらのあらゆる合金を含む、他の材料により製造されてもよい。このような材料は、一般的に、高い弾性率を有することを特徴とし得る。1つの実施形態において、ライナ20は、ブロー成形された高密度ポリエチレン(HDPE)にて形成される。
【0004】
図1は、参照により本願明細書に援用される、“Pressure vessel with damage mitigating system”と題された、米国特許第5,476,189号明細書に開示された圧力容器のような、長尺状の圧力容器10を図示する。容器10は、本体部12と、実質的に半球状又はドーム型の端部14と、を備える。一般的にアルミニウムにて構成されたボス16は、容器10の一方の端部又は両端部に設けられて、容器10の内部と連通するためのポートを提供する。
図2に示されるように、容器10には、外側複合材シェル18に覆われた内側ポリマーライナ20が形成されている。この複合材シェル18は、容器10にかかる構造的荷重を解決する。
【0005】
図2は、参照により本願明細書に援用される、“Boss for a filament wound pressure vessel”と題された、米国特許第5,429,845号明細書に開示されたボスのような、ボス16を含む典型的な端部14が、
図1の線分2−2に沿って切断された、部分的断面図を示す。ボス16は、通常、首部22と、流体が容器10の内部と連通するのを可能にするポート26と、ポート26から放射状に延在する環状フランジ24と、を備える。ボス16は、ポート26が圧力容器10の内部と外部との間に延在するように、外側シェル18とライナ20とに嵌合される。通常、シェル18は首部22に当接する。一般的には、フランジ24は、ライナ20の一部の間に収容される、及び/又は、ライナ20とシェル18との間に挟まれる。特定の実施形態において、フランジ24は、ライナ20に設けられた対応する環状のタブ34を受容するように形成された、少なくとも1つの環状溝32を備えてもよい。このような構造により、ボス16は容器10に固定されると共に、ボス16と、シェル18と、ライナ20との間のインタフェースにおける封止がもたらされる。
【0006】
圧力容器10の形成方法は、ボスをマンドレルに取付けることと、ライナ20のための流体ポリマー材料を、フランジ24の周囲とボス16の溝32内とに流入させることと、を含む。その後、ライナ材料が凝固することにより、フランジ24と隣合うライナ20の一部と、溝32内に受容されるタブ34と、が形成される。これにより、ライナ20は、ボス16と機械的に連結される。したがって、超高圧条件下であっても、ライナ20のボス16からの分離が防止される。
【0007】
例示的実施形態において、外側シェル18は巻回繊維にて形成され、ライナ20と、ボス16のフランジ24の少なくとも一部と、を包囲する。例示的な方法において,
繊維のための分配ヘッドは、所望のパターンで、ライナ20に繊維を巻き付けるように移動する。容器10が、球状というよりもむしろ円筒状である場合には、繊維の巻回は、通常、実質的に長手方向(螺旋)及び円周方向(輪)の両方の巻付パターンが適用される。この巻回プロセスは、例えば、樹脂含有量、繊維構造、巻回張力、及びライナ20の軸に相関する巻付パターン等、多数の要素により規定される。例示的な圧力容器の構成に関連する詳細は、参照により本願明細書に援用される、“Filament Winding Process and Apparatus”と題された、米国特許第4,838,971号明細書にて開示されている。
【0008】
ライナ20は、一般的な作用条件下では、気体の遮断をもたらす。しかしながら、この類の圧力容器10の設計により、容器10を加圧している最中に、気体がライナ20内に拡散する現象が発生する。容器10の減圧が起こると、この気体は、ライナ20の外部に、また、場合によっては、ライナ20とシェル18との間の空隙に、拡散する。気体ポケットが形成されるおそれがあり、それによりライナ20が内側へ向かってやや膨張し、また、伸張する可能性がある。また、ライナ20とシェル18との間のインタフェースにおける気体は、ライナ20とシェル18との好ましくない分離を促進し得る。さらに、再加圧すると、ライナ20とシェル18との間に閉じ込められた気体が、高圧状態で生じるシェル18における微視亀裂から、突然放出されるおそれがある。比較的急激な気体の圧出により、漏出検知器は、実際には圧力容器10が一定の漏出を示していないとき、始動し得る。
【発明の概要】
【0009】
1つの局面において、器具は、圧力容器のボスとシェルとの間に配置されるように構成される。ボスは、ボスを貫通する穿孔を含み、ボアは、長手方向軸を有する。器具は、環状体と気体透過性の要素とを備える。環状体は、ボスに当接するように構成された内側表面と、シェルに当接するように構成された外側表面と、を含む。環状体は、長手方向軸に関して対向する、第1端部と第2端部とを有する。気体透過性の要素は、内側表面に設けられ、少なくとも第1端部から第2端部まで延在する。
【0010】
別の局面において、圧力容器は、シェルと、ボスと、ボスとシェルとの間に配置された器具と、を備える。ボスは、ボスを貫通する穿孔を含み、穿孔は、長手方向軸を有する。器具は、環状体と気体透過性の要素とを備える。環状体は、ボスに当接するように構成された内側表面と、シェルに当接するように構成された外側表面と、を含む。環状体は、長手方向軸に関して対向する、第1端部と第2端部とを有する。気体透過性の要素は、内側表面に設けられ、第1端部から第2端部まで延在する。
【0011】
別の局面において、圧力容器を形成するための方法は、ボスをマンドレルに取付けることを含む。ボスは、首部を有し、首部は、長手方向軸を有する穿孔を有する。ボスは、穿孔から放射状に外側へ延在するフランジを有する。上記の方法は、環状の継手を、ボスの首部に配置することを含む。継手は、長手方向軸に関して対向する、第1端部と第2端部とを含む。上記の方法は、圧力容器のライナを、フランジの少なくとも一部に形成することを含む。外側シェルは、ライナと、フランジと、継手とを包囲するように形成される。上記の方法は、気体透過性の要素が、少なくとも第1端部から第2端部まで延在するように、行われる。
【0012】
本開示は、その多様な組合せにおいて、器具又は方法の形態で、次の項目のリストにより特徴づけられてもよい。
1.圧力容器のボスとシェルとの間に配置されるように構成され、前記ボスはボスを貫通する穿孔を含み、前記穿孔は長手方向軸を有する、器具であって、
環状体であって、前記ボスに当接するように構成された内側表面と、前記シェルに当接するように構成された外側表面と、を含み、前記環状体は前記長手方向軸に関して対向する、第1端部と第2端部とを有する、環状体と、
前記内側表面に設けられ、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する気体透過性の要素と、
を備える器具。
【0013】
2.前記気体透過性の要素は、複数の導管を含む、項目1に記載の器具。
3.前記複数の導管の少なくとも1つは、前記長手方向軸と実質的に沿っている、項目2に記載の器具。
【0014】
4.前記複数の導管の少なくともいくつかは、前記内側表面にて、実質的に均等に、周方向に離間する、項目2又は3に記載の器具。
5.前記複数の導管の少なくとも1つは、実質的に長方形の断面形状を有する、項目2から4のいずれか1項目に記載の器具。
【0015】
6.前記環状体は、首部と、前記首部から放射状に延在するフランジと、を備える、項目1から5のいずれか1項目に記載の器具。
7.圧力容器であって、
シェルと、
自身を貫通する穿孔を含むボスであって、前記穿孔は長手方向軸を有する、ボスと、
前記ボスと前記シェルとの間に配置される器具であって、前記器具は、前記ボスに当接するように構成された内側表面と、前記シェルに当接するように構成された外側表面と、を含む環状体であって、前記環状体は前記長手方向軸に関して対向する第1端部と第2端部とを有する、環状体と、前記内側表面に設けられ、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する、気体透過性の要素と、を備える器具と、
を備える圧力容器。
【0016】
8.前記圧力容器は、前記シェル内に設けられたライナを含み、前記ライナと前記シェルとの間においてインタフェースを形成し、
前記気体透過性の要素は、前記第1端部において、前記インタフェースと流体連通した状態にあり、前記第2端部において、前記容器の外部と流体連通した状態にある、項目7に記載の圧力容器。
【0017】
9.前記気体透過性の要素は、複数の導管を含む、項目7又は8に記載の圧力容器。
10.前記複数の導管の少なくとも1つは、実質的に前記長手方向軸に沿っている、項目9に記載の圧力容器。
【0018】
11.前記複数の導管の少なくともいくつかは、前記内側表面にて、実質的に均等に、周方向に離隔する、項目9又は10に記載の圧力容器。
12.前記環状体は、首部と、前記首部から放射状に延在するフランジと、を備える、項目7から11のいずれか1項目に記載の圧力容器。
【0019】
13.圧力容器を形成するための方法であって、該方法は、
ボスであって、長手方向軸を有する穿孔を有する首部を有すると共に、前記穿孔から放射状に外側へ延在するフランジを有するボスを、マンドレルに取付けることと、
前記長手方向軸に関して対向する第1端部と第2端部とを含む環状の継手を、前記ボスの前記首部に配置することと、
前記圧力容器のライナを、前記フランジの少なくとも一部に形成することと、
前記ライナと、前記フランジと、前記継手とを包囲する、外側シェルを形成することと、を含み、
気体透過性の要素は、少なくとも前記第1端部から前記第2端部まで延在する、圧力容器を形成するための方法。
【0020】
14.前記ライナを形成する前に、前記ボスの前記首部に前記環状の継手を配置する、項目13に記載の方法。
15.前記ライナを形成した後に、前記ボスの前記首部に前記環状の継手を配置する、項目13又は14に記載の方法。
【0021】
16.前記ライナを形成することは、非金属材料を、前記マンドレルの周囲と、前記フランジの前記少なくとも一部とに設けることを含む、項目13から15のいずれか1項目に記載の方法。
【0022】
17.前記ボスの前記首部に前記環状の継手を配置する前に、前記気体透過性の要素を、前記ライナに配置することをさらに含む、項目13から16のいずれか1項目に記載の方法。
【0023】
本概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念を、単純化された形態で紹介するために提供される。本概要は、開示されるか、または、請求項に挙げられる主題の、重要な特徴、または、本質的な特徴を特定することを意図しておらず、さらに、開示されるか、または、請求項に挙げられる主題の、開示されたそれぞれの実施形態、または、全ての実施を説明することを意図していない。具体的には、1つの実施形態に関してここで開示された特徴は、他にも同様に適用され得る。さらに、本概要は、請求項に挙げられる主題の範囲を特定するための補助として用いられることを意図していない。多くの他の新たな有利な点、特徴、及び、関連性は、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。以下に続く図及び説明は、具体的な実施形態をより詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
開示される主題が、添付された図面を参照してさらに説明され、これらの図において、同様の構造又はシステム要素は、いくつかの図を通して同様の参照符号により参照される。全ての説明が、記載される要素や、同様に符号付けされる類似の要素に対して適用される。
【
図2】
図1の線分2−2に沿って切断され、典型的なボス及びライナを示す、
図1の圧力容器の一方の端部の部分断面図である。
【
図3】本開示のボス及び例示的な通気継手の、半径方向の分解断面図である。
【
図4】
図3の通気継手及びボスの例示的アセンブリの、半径方向の断面図である。
【
図5】圧力容器のシェル内に少なくとも部分的に配置された
図4の例示的アセンブリと、それとともに形成された圧力容器のライナと、を有する圧力容器の端部の、半径方向の部分的斜視断面図である。
【
図6】強調した気体ポケットからの気体の通気路を示す、
図5の端部の半径方向の部分的断面図である。
【
図7】通気継手の第2の例示的実施形態の半径方向の断面図である。
【
図8】強調した気体ポケットからの気体の通気路を示す、通気継手の第3の例示的実施形態を含む圧力容器の端部の、半径方向の部分的断面図である。
【0025】
上で特定された図は、開示された主題の1つ又は複数の実施形態を示す一方で、本開示で述べたように、他の実施形態もまた想定される。全て場合において、本開示は、開示された主題を、限定ではなく代表として提示する。本開示の原理の範囲に該当する多数の他の変形及び実施形態が、当業者により考案され得ることが理解されるべきである。
【0026】
図は、一定の縮尺で描かれていない場合がある。具体的には、明確にするために、いくつかの特徴は、他の特徴に対して拡大され得る。さらに、上方(above)、下方(below)、上方(over)、下方(under)、上部(top)、下部(bottom)、側部(side)、右、左等の用語が用いられる場合、それらの用語は、説明の理解を容易にするためにのみ用いられることを理解すべきである。構造が、他の方向に配向される場合もあることが想定される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、加圧下におけるライナとシェルとの分離を防止する圧力容器用の、流体の通気構造を説明する。開示された器具により、ライナとシェルとの間に閉じ込められた気体の放出が可能となる。1つの局面において、この開示は、例示的実施形態においてスリーブの形状をなして提供される継手28に関するものであり、継手28は、圧力容器10のボス16の複数の部分に覆設される。継手28は、ライナ20とシェル18との間で蓄積された気体を、圧力容器10の外部の大気中へ放出させる特徴を有する。例えば、
図3及び6に示されるように、継手28における導管30は、通路であって、気体が、シェル18とライナ20との間のインタフェース56から、圧力容器10の外部の環境へ通気され得る通路を提供している。それゆえ、ライナ20の潜在的な損傷や、シェル18を介した不要な通気を、抑制又は防止することができる。
【0028】
図3は、ボス16及び環状の継手28の例示的実施形態を示す。ボス16は、圧力容器10’の内部Iと圧力容器10’の外部の環境Eとの間で、流体連通を可能にする、ポート又は穿孔26を有する首部22を含む(
図5参照)。ポート26は、長手方向軸36を有する。ボス16は、通常、ポート26から放射状に外側へ延在し、ライナ20に固着されるように構成された環状フランジ24を有する。例示的実施形態では、
図5において示されるように、フランジ24は、ライナ20における相補的な環状タブ34を受容するための、環状溝32を有する。機械的な連結(すなわち、構造的に分離が抑制された要素)が示されているものの、機械的な、摩擦による、又は、(例えば、接着剤の使用による)化学的な、ライナ20をボス16へ固定する他の方法が用いられ得ることが想定される。但し、例示的実施形態において、ライナ20の一部35は、フランジ24の外面上に延在し、ライナ20とボス16とを接合する際に補助する。
【0029】
例示的実施形態において、継手28は、概して環状体を有する。この説明において、「環状」という用語は、厳密には円環形状ではなく、両端部42及び44の間に貫通路40を有する継手の本体について、より広義に説明する。継手の本体は、概して、長手方向軸36に関して放射状に対称形状であってもよい。継手の本体は、下層にあるボス16及び/又はライナ20の外形に倣ってもよい。図示した実施形態では、内側表面38における(すなわち、内側表面38上、内側表面38内、又は内側表面38と隣り合う)気体透過性の要素が、1つ又は複数の導管(内部通気管30等)の形状をなして、継手28に設けられている、又は貫設されており、シェル20とライナ18との間のインタフェース56を、
図6及び8の例示的実施形態において示される通気路54を介し、容器10’の外部の環境へ流体接続する。これにより、継手28は、ライナ20を透過し、インタフェース56内に充満した気体が閉じ込められるのを防止する。継手28は、金属材料又は非金属材料にて形成してもよい。例えば、アルミニウム又は鋼等の金属材料の場合、機械加工による継手28の形成がとりわけ好適である。例えば、ポリマー又は複合材料等の非金属材料の場合には、射出成形による継手28の形成がとりわけ好適である。しかしながら、部品形成の他の周知の方法もまた利用され得る。
【0030】
例示的実施形態において、継手28は、首部29と首部29から放射状に外側へ延在するフランジ31とを有する、スリーブとして構成される。継手28の半分のみが示されているが、そのもう半分は、図示された半分と対称であってもよいことを、理解すべきである。継手28の湾曲した内側表面38は、開口部40を画定し、フランジ31の端部42から首部29の端部44まで延在する、通気管30を含む。例示的実施形態において、気体透過性の要素は、複数の導管30を含む。これらは、開口部40の周囲に均等に離隔しており、実質的に長方形の断面形状を有し、端部42と端部44との間の湾曲した内側表面38における、実質的に直線の通路(例えば、実質的に長手方向軸36に沿っている)に沿う。しかしながら、異なる導管構成、通気構造、又は機構を備える他の気体透過性の要素が想定される。例えば、内側表面38は、数を増減した導管、及び/又は、多様な奥行き、幅、又は形状の導管(例えば、湾曲した導管、及び/又は、概ね半球状、楕円状、又は円状の断面形状を有する導管)を含んでもよい。さらに、内側表面38は、気体透過性材料により、少なくとも部分的に形成又は被覆され、及び/又は、気体が端部42から端部44まで流通し得る中間部に、隆起部又は衝突を設けてもよい。さらに別の実施形態において、気体透過性の要素は、内側表面38上、及び/又は、内側表面38とボス16の外側表面との間に設けられた気体透過性材料の層を備えてもよい。
【0031】
さらに別の実施形態において、気体透過性の要素は、ライナ20及び/又はボス16の外側表面に設けられた長手方向の通気孔を含んでもよく、その通気孔とは、例えば、参照により本願明細書にその全容を援用される、“Pressure Vessel Longitudinal Vents”と題された、米国特許出願公開第2012/0048865号明細書に記載された長手方向の通気孔である。気体透過性の要素が長手方向の通気孔である場合、通気孔の画定要素のストリップ(strip)が、ライナ20の外面に施される。好適な通気孔の画定要素としては、例えば、ワイヤ、繊維ガラスストランド、粗織りの繊維ガラステープ、ポリエチレン、ナイロン剥離布、又は他の織物又はフィルムの、折曲げ又は非折曲げストリップ等が挙げられる。例示的実施形態における継手28は、通気孔の画定要素に覆設されて該画定要素を覆うので、気体透過性の要素は、継手28の内側表面38に接する(すなわち、隣り合う)。通気孔の画定要素が「芯」の特性を有する織物材料(例えば、ガラス布材等)である場合、それにより、気体透過性の要素は、その後の、樹脂とフィラメントの巻回とによる複合材シェル18の形成の際に、継手28によって樹脂注入から保護される。それゆえ、継手28は、気体透過性の要素の多孔質特性が妨げられるのを防止する。気体透過性の要素は、導管及び気体透過性材料のいずれか一方又はその組合せを、継手28の内側表面38の内部、内側表面38の上、又は、内側表面38に隣接して有していても良い。さらに、気体透過性の要素は、継手28の端部42及び44のいずれか一方を越えて延在してもよい。
【0032】
特定の実施形態において、継手28は、完全に環状ではなく、首部22の全体を包囲する代わりに、該首部22の周囲の一部又は複数の部分に、覆うように嵌合してもよい。いくつかの実施形態において、継手28は、端部42がボス16のフランジ24を越えて延在するように、図示されているよりも長くてもよい。このような場合、継手28は、ライナ20がボス16上に形成された後、ボス16の周りとライナ20の一部の周りとに嵌合されてもよい。継手28は、圧力容器10のドーム型端部14を越えて、本体部12に至るまでさらに延在してもよい。さらに、端部42は、その厚さが先細りしていても良い。通気メカニズムは、継手28が、ライナ20とシェル18との間のインタフェース56の少なくとも一部から、圧力容器10’の外部の環境Eまでの気体流通路を可能にしさえすれば、所望の適用事例に依拠してもよい。
【0033】
図4に示されるように、アセンブリ48は、継手28とボス16とを備える。ボス16の首部22は、継手28の首部29が、ボス16の首部22の少なくとも一部を覆って嵌合するように、継手28の開口部40に挿入される。継手28のフランジ31は、ボス16のフランジ24の少なくとも一部と、任意でライナ20の一部と、を覆うように嵌合する。内側表面38は、首部22及びフランジ24の少なくとも一部と、任意でライナ20の一部と、を含むボス16の外形を、実質的に補完するように輪郭付けられている。締り嵌め、相補的なスナップ(snap)式係合要素、テープ又は他の形式の接着剤、又は他の方法が、継手28及びボス16、及び/又はライナ20に施され、意図しない分離を防止する。
【0034】
図5及び6は、圧力容器10’の端部14におけるアセンブリ48の例示的実施形態を示す。例示的実施形態において、圧力容器10’を形成するには、ボス16は、継手28に挿入され、圧力容器10’の形状を画定するように構成されたマンドレルに取付けられる。流体ポリマー(又はその他の非金属)のライナ材料を、ライナ材料20が溝32を充填し、継手28の端部42に当接するように、マンドレルを覆うように、また、フランジ24の一部に流入可能となる。
図7に示されるように、継手28’の例示的実施形態において、導管30’は、端部42に至るまで延在し、ライナ材料は、導管30’に進入又は導管30’を充塞しないように、フランジ31を覆うように流し入れられる。ポリマー材料は、凝固してライナ20を形成する。
【0035】
圧力容器の形成の別の方法において、ライナ20は、継手28なしで、マンドレルが取り付けられたボス16に形成される。長手方向の通気孔の画定要素等の気体透過性の要素は、ライナ20に配置される。その後、継手28は、ボス16と、気体透過性の要素の少なくとも一部と、任意でライナ20の一部とに装着される。これにより、気体透過性の要素は、ボス16の外側表面と、継手28の内側表面38との間に挟まれる。
【0036】
シェル18は、継手28とライナ20の一部35とが、シェル18とボス16のフランジ24との間に挟まれるように、フィラメントの巻回により、アセンブリ48及びライナ20の上に形成される。シェル18は、継手28の外側表面46に接合するので、シェル18とライナ20との間に閉じ込められた気体が、シェル18と継手28との間のインタフェース60に進入するのを防止する。継手28は、外側表面46ではなく、内側表面38に導管30を有するので、シェル材料は、圧力容器10’の形成の際に導管30を充填しない。
【0037】
図6に示されるように、例示的実施形態において、継手28の内側表面38は、気体が、ライナ20とシェル18との間のインタフェース56と流体連通状態にある導管30を介して通気できるように、ボス16に当接する。例示的実施形態において、継手28の首部29は、端部44から放射状に(58において)内側へ先細り、アセンブリ48に対する、(例えば、長手方向軸36に沿った)シェル18の軸方向の移動を防止する、シェル18のための凹部を提供する。図示された実施形態において、継手28の端部44と、隣合う気体透過性の要素(例えば、導管30の端部)とは、圧力容器10’の外部の大気環境に曝露される(例えば、
図5、6、及び8のE)。
【0038】
図6に示された例示的実施形態において、気体50のポケットは、シェル18とライナ20との間のインタフェース56において閉じ込められる、ライナ20の歪み52を引き起こす。通路54により示されるように、最小の抵抗の通路をたどるとき、気体50は、ライナ20とシェル18との間のインタフェース56に沿い、歪み52から継手28の端部42まで、移動する。気体は、端部42にて導管30に進入し、該導管30を介して端部44まで移動し、そこで気体50は、導管30から圧力容器10’の外部の環境Eまで放出される。歪み52は、端部14’付近における、ライナ20の膨張又は気泡であることが示されている。しかしながら、これは、単に説明のためにこのように示したに過ぎない。異なる量の気体50が、ライナ20とシェル18との間のインタフェース56の任意の場所に存在し得る。さらに、歪み52の寸法は、図示するために大いに強調されており、実際には、継手28をボス16に設けることで、このような歪み52の形成を防止する通気が可能であることは、理解すべきところである。
【0039】
図8は、通気継手28”の第3の例示的実施形態を含む、圧力容器10”の端部の、半径方向の部分断面図である。この実施形態において、継手28”のフランジ31”の半径方向の範囲は、ボス16のフランジ24の半径方向の範囲と、実質的に同一である。さらに、継手28”の端部42”は先細りであるので、歪み52と、圧力容器10”の外部の大気に曝露された継手28”の端部44と、の間の、より円滑な通気路54”を提供する。
【0040】
本開示の主題が、いくつかの実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ると認識するであろう。また、1つの実施形態に関して開示されたあらゆる特徴は、他の実施形態に組み込まれてもよいし、その逆であってもよい。