(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Laが、ナフチレン、アントラセニレン、トリフェニレニレン、ジメチルベンゾフルオレニレン、またはフェナントレニレンを表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイスの中でも、電界発光デバイス(ELデバイス)は、より広い視角、より高いコントラスト比、及びより速い応答時間を提供する利点を有する自己発光ディスプレイデバイスである。最初の有機ELデバイスは、発光層を形成するための材料として芳香族ジアミン小分子及びアルミニウム錯体を使用することにより、1987年にEastman Kodakによって開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機電界発光デバイスにおける発光効率を決定する最も重要な因子は、発光材料である。これまでは蛍光材料が発光材料として広く使用されている。しかし、電界発光機構を考慮して、リン光発光材料は蛍光発光材料と比較して理論的に発光効率を4倍高めることから、リン光発光材料が広く研究されている。イリジウム(III)錯体はリン光発光材料として広く知られており、例えば、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C−3’)イリジウム(アセチルアセトネート)((acac)Ir(btp)
2)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)
3)、及びビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジナト−N,C2)ピコリナトイリジウム(Firpic)がそれぞれ、赤色、緑色、及び青色発光材料として挙げられる。
【0004】
従来技術では、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)が最も広く知られているリン光ホスト材料である。近年、Pioneer(日本)等は、正孔ブロック材料として既知のバソクプロイン(BCP)及びアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリネート)(4−フェニルフェノレート)(BAlq)等をホスト材料として使用する高性能有機電界発光デバイスを開発した。
【0005】
これらの材料は、良好な発光特性を提供するが、以下の欠点を有する。(1)それらの低いガラス転移温度及び不良な熱安定性に起因して、真空中での高温蒸着プロセス中にそれらの劣化が生じる場合があり、デバイスの寿命が短くなることがある。(2)有機電界発光デバイスの電力効率は[(π/電圧)×電流効率]によって得られ、その電力効率は電圧に反比例する。リン光ホスト材料を含む有機電界発光デバイスは蛍光材料を含むものよりも高い電流効率(cd/A)を提供するが、顕著に高い駆動電圧が必要である。したがって、電力効率(lm/W)に関しては利点がない。(3)また、有機電界発光デバイスの動作寿命は短く、発光効率は依然として改善する必要がある。したがって、デバイスにおける有機層を構成する材料、特に、発光材料を構成するホストまたはドーパントは、有機ELデバイスの優れた特性を実現するためには適宜選択すべきである。
【0006】
韓国特許第1313730号には、置換インドロカルバゾール化合物をホスト材料として使用する有機電界発光デバイスが開示されている。
【0007】
韓国特許第1529164号は、化合物を使用する有機電界発デバイスを開示しており、そこでは、リン光緑色ホスト材料としてのみ、フェニルで置換されたピリジン、ピリミジン、もしくはトリアジンが、リンカーとして2つの連続したナフチレンを介してベンゾインドロカルバゾールに連結され、またはフェニルで置換されたピリジン、ピリミジン、もしくはトリアジンがリンカーとしてのナフチレンを介してインドロカルバゾールに連結される。
【0008】
韓国特許出願公開第2015−0077513号は、インドロカルバゾール誘導体が、リンカーとしてのアリーレンを介してキナゾリンまたはキノキサリンに連結される化合物を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示が詳細に記載される。しかしながら、以下の説明は本開示を説明することを意図したものであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【0015】
本開示における「有機電界発光化合物」という用語は、有機電界発光デバイスで用いることができる化合物を意味し、必要に応じて有機電界発光デバイスを構成する任意の層に含まれ得る。
【0016】
本開示における「有機電界発光材料」という用語は、有機電界発光デバイスで用いることができ、少なくとも1つの化合物を含むことができる材料を意味する。必要であれば、有機電界発光材料は、有機電界発光デバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機電界発光材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子ブロック材料、発光材料、電子バッファ材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、電子注入材料などであり得る。
【0017】
式1において、Laは、置換または非置換の二価(C10−C30)芳香環を表し、これは1つの縮合環であり、好ましくは置換または非置換の二価(C10−C25)芳香環、より好ましくは非置換の二価(C10−C18)芳香環を表す。具体的には、Laは、ナフチレン、アントラセニレン、トリフェニレニレン、ジメチルベンゾフルオレニレン、またはフェナントレニレンであってもよく、ナフチレンは、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、もしくは2,6−ナフチレンであってもよい。本開示の一実施形態によれば、置換二価(C10−C30)芳香環の置換基は、縮合芳香環でなくてもよい。
【0018】
式1において、A環及びC環は各々独立して、置換もしくは非置換ベンゼン環、または置換もしくは非置換ナフタレン環を表すが、但し、A環及びC環のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換ナフタレン環を表す。好ましくは、A環及びC環の一方は置換または非置換ナフタレン環を表し、他方は置換または非置換ベンゼン環を表す。
【0019】
式1において、B環は置換もしくは非置換ベンゼン環を表し、好ましくは非置換ベンゼン環を表す。
【0020】
式1において、Ar
1、Ar
2、及びAr
3は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルコキシ、置換もしくは非置換トリ(C1−C30)アルキルシリル、置換もしくは非置換ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換トリ(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換のモノ−もしくはジ−(C1−C30)アルキルアミノ、置換もしくは非置換モノ−もしくはジ−(C6−C30)アリールアミノ、または置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノを表し、好ましくは、置換もしくは非置換(C6−C25)アリール、または置換もしくは非置換(5〜25員)ヘテロアリールを表し、より好ましくは、置換もしくは非置換(C6−C18)アリール、または置換もしくは非置換(5〜18員)ヘテロアリールを表す。また、Ar
1、Ar
2、及びAr
3は各々独立して、非置換(C6−C15)アリール、または非置換(5〜15員)ヘテロアリール、例えば非置換フェニル、非置換ナフチル、非置換ビフェニル、または非置換ピリジルを表すことができる。
【0021】
式1において、ヘテロアリールは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは、N、O、及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、より好ましくは、少なくとも1個のNを含有する。
【0022】
本開示の一実施形態によれば、式1は、以下の式2〜5のうちのいずれか1つによって表すことができる。
【0024】
本開示の別の実施形態によれば、式1は、以下の式6〜17のうちのいずれか1つによって表すことができる。
【0027】
式2〜17において、X
1、X
2、La、Ar
1、Ar
2、及びAr
3は式(1)で定義されているとおりである。
【0028】
式2〜17において、R
1及びR
2は各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、置換もしくは非置換(3〜30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルコキシ、置換もしくは非置換トリ(C1−C30)アルキルシリル、置換もしくは非置換ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換トリ(C6−C30)アリールシリル、置換もしくは非置換のモノ−もしくはジ−(C1−C30)アルキルアミノ、置換もしくは非置換のモノ−もしくはジ−(C6−C30)アリールアミノ、または置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノを表すか、または隣接するR
1及びR
2に連結して、置換もしくは非置換の単環もしくは多環(C3−C30)の脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせを形成し、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよく、好ましくは、置換もしくは非置換(C1−C20)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C25)アリール、または置換もしくは非置換(5〜25員)ヘテロアリールを表し、より好ましくは、置換もしくは非置換(C6−C18)アリール、または置換もしくは非置換(5〜18員)ヘテロアリールを表し、さらにより好ましくは、非置換(C6−C15)アリールを表し、例えば非置換フェニルであってもよい。ヘテロアリールは、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。
【0029】
式2〜17において、aは0〜4の整数を表し、bは0〜6の整数を表し、a及びbが各々独立して、2以上の整数を表す場合、R
1及びR
2は各々同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、a及びbが各々独立して、0または1を表す。
【0030】
本明細書において、「(C1−C30)アルキル」という用語は、鎖を構成する1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個である。上記アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。「(C2−C30)アルケニル」という用語は、鎖を構成する2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルケニルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個である。上記アルケニルとしては、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルブト−2−エニル等を挙げることができる。「(C2−C30)アルキニル」という用語は、鎖を構成する2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキニルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個である。上記アルキニルとしては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチルペント−2−イニル等を挙げることができる。「(C3−C30)シクロアルキル」という用語は、3〜30個の環骨格炭素原子を有する単環または多環炭化水素であり、炭素原子数は、好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜7個である。上記シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。「(3〜7員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜7個、好ましくは5〜7個の環骨格原子を有するシクロアルキルである。上記ヘテロシクロアルキルとしては、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等を挙げることができる。「(C6−C30)アリール」という用語は、6〜30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導された単環または縮合環ラジカルであり、その環骨格炭素原子の数は、好ましくは6〜20個、より好ましくは6〜15個であり、部分的に飽和していてもよく、またスピロ構造を含んでいてもよい。上記アリールとしては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル等を挙げることができる。「(3〜30員)ヘテロアリール」という用語は、B、N、O、S、Si、及びPからなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含む3〜30個の環骨格原子を有するアリールである。上記ヘテロアリールは、単環であってもよく、または少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であってもよく、部分的に飽和していてもよく、少なくとも1つのヘテロアリールまたはアリール基を、単結合(複数可)を介してヘテロアリール基に連結させることによって形成されたものであってもよく、そしてスピロ構造を含んでいてもよい。上記ヘテロアリールとしては、単環型ヘテロアリール、例えばフリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニル等、及び縮合環型ヘテロアリール、例えばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、及びジヒドロアクリジニル等を挙げることができる。「縮合環」という用語は、2個以上の環が2個以上の原子を共有することによって結合されている環であり、縮合環の炭素原子(複数可)はB、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよい。上記縮合環としては、ナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、ベンゾフルオレン、フェナントレン等を挙げることができ、ナフタレンは、1,2−ナフタレン、1,3−ナフタレン、1,4−ナフタレン、1,5−ナフタレン、1,6−ナフタレン、1,7−ナフタレン、1,8−ナフタレン、2,3−ナフタレン、2,6−ナフタレン、または2,7−ナフタレンであってもよい。さらに、「ハロゲン」にはF、Cl、Br、及びIが含まれる。
【0031】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という表現における「置換」とは、ある特定の官能基中の水素原子が別の原子または別の官能基で、すなわち置換基で置き換えられることを意味する。La、Ar
1、Ar
2、Ar
3、A環、B環、C環、R
1、及びR
2において、置換(C1−C30)アルキル、置換(C6−C30)アリール、置換(3〜30員)ヘテロアリール、置換(C3−C30)シクロアルキル、置換(C1−C30)アルコキシ、置換トリ(C1−C30)アルキルシリル、置換ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、置換(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、置換トリ(C6−C30)アリールシリル、置換モノ−もしくはジ−(C1−C30)アルキルアミノ、置換モノ−もしくはジ−(C6−C30)アリールアミノ、置換(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ、置換二価(C10−C30)芳香環、置換ベンゼン環、置換ナフタレン環、及び置換された単環もしくは多環の(C3−C30)脂環式環もしくは芳香環、の置換基、またはそれらの組み合わせは各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1−C30)アルキル、ハロ(C1−C30)アルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、(C1−C30)アルコキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C3−C30)シクロアルキル、(C3−C30)シクロアルケニル、(3〜7員)ヘテロシクロアルキル、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、非置換もしくは(C6−C30)アリールで置換された(5〜30員)ヘテロアリール、非置換もしくは(5〜30員)ヘテロアリールで置換された(C6〜C30)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1−C30)アルキルアミノ、非置換もしくは(C1−C30)アルキルで置換されたモノ−もしくはジ−(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、ジ(C6−C30)アリールボロニル、ジ(C1−C30)アルキルボロニル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールボロニル、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、及び(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくは、(C1−C20)アルキル及び(C6−C25)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、より好ましくは、(C1−C10)アルキル及び(C6−C18)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、例えば、メチル及びフェニルからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0032】
式1で表示される有機電界発光化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
本開示による式1の有機電界発光化合物は、以下の反応スキーム1を参照して、当業者に既知の合成法によって製造することができるが、それらに限定されない。
【0051】
La、X
1、X
2、Ar
1、Ar
2、Ar
3、A環、B環、及びC環は式1で定義されているとおりである。
【0052】
本開示は、式1の有機電界発光化合物を含む有機電界発光材料、及びその材料を含む有機電界発光デバイスを提供することができる。
【0053】
有機電界発光材料は、唯一の化合物としての本開示の有機電界発光化合物からなり得るか、または有機電界発光材料において一般的に使用される従来の材料をさらに含むことができる。
【0054】
一方、本開示の有機電界発光デバイスは、第1の電極、第2の電極、及び第1の電極と第2の電極との間に少なくとも1つの有機層を備えることができる。この有機層は、少なくとも1つの式1の有機電界発光化合物を含み得る。有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含むことができる。有機層はまた、周期表における、第1族金属、第2族金属、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、ランタノイド、及びd遷移元素の有機金属からなる群から選択される少なくとも1つの金属、またはその金属を含む少なくとも1つの錯体化合物をさらに含むこともできる。
【0055】
第1の電極及び第2の電極のうちの一方がアノードであり得、他方がカソードであり得る。有機層は発光層を備えることができ、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔ブロック層、電子ブロック層、及び電子バッファ層から選択される少なくとも1つの層をさらに備えることができる。
【0056】
正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、またはこれらの組み合わせは、アノードと発光層との間で使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層または電子ブロック層への正孔注入バリア(または正孔注入電圧)を低下させるために多層であってもよく、多層の各々は、同時に2つの化合物を使用することができる。電子ブロック層は、正孔輸送層(または正孔注入層)と発光層との間に配設することができ、発光漏れを防ぐために、発光層からの電子のオーバーフローを遮断することによって発光層内の励起子を制限することができる。正孔輸送層または電子ブロック層はまた、多層であることもでき、各層は、複数の化合物を使用することができる。
【0057】
電子バッファ層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、またはこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間で使用することができる。電子バッファ層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために、多層であってもよく、多層の各々は、同時に2つの化合物を使用することができる。正孔ブロック層または電子輸送層はまた、多層であることもでき、各層は、複数の化合物を使用することができる。
【0058】
発光補助層は、アノードと発光層との間、またはカソードと発光層との間に配設することができる。発光補助層が、アノードと発光層との間に配設されるとき、正孔注入及び/または正孔輸送を促進する、または電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層が、カソードと発光層との間に配設されるとき、電子注入及び/または電子輸送を促進する、または正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。また、正孔補助層は、正孔輸送層(または正孔注入層)と発光層との間に配設することができ、正孔の輸送速度(または正孔の注入速度)を促進または遮断するのに有効であり得、それによって電荷平衡を制御することができる。有機電界発光デバイスは、2つ以上の正孔輸送層を含むとき、さらに含まれる正孔輸送層は、正孔補助層または電子ブロック層として使用することができる。発光補助層、正孔補助層、または電子ブロック層は、有機電界発光デバイスの効率及び/または寿命を改善する効果を有することができる。
【0059】
本開示の有機電界発光デバイスにおいて、好ましくは、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下、「表面層」)が、一方の電極の内面(複数可)または両方の電極(複数可)の内面(複数可)に配設され得る。具体的には、シリコンまたはアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)層が、好ましくは、電界発光媒体層のアノード表面に配設され、金属ハロゲン化物層または金属酸化物層が、好ましくは、電界発光媒体層のカソード表面に配設される。有機電界発光デバイスの動作安定性は、表面層によって得ることができる。好ましくは、カルコゲニドはSiO
X(1≦X≦2)、AlO
X(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等を含み、金属ハロゲン化物はLiF、MgF
2、CaF
2、希土類金属フッ化物等を含み、金属酸化物はCs
2O、Li
2O、MgO、SrO、BaO、CaO等を含む。
【0060】
本開示の有機電界発光デバイスにおいて、電子輸送化合物及び還元性ドーパントの混合領域、または正孔輸送化合物及び酸化性ドーパントの混合領域は、一対の電極の少なくとも1つの表面上に配設され得る。この場合、電子輸送性化合物はアニオンに還元され、したがって、混合領域から電界発光媒体へと電子を注入かつ輸送することがより容易になる。さらに、正孔輸送性化合物はカチオンに酸化され、したがって、混合領域から電界発光媒体へと正孔を注入かつ輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントとしては、様々なルイス酸及び受容体化合物が挙げられ、還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの混合物が挙げられる。還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、かつ白色光を放出する有機電界発光デバイスを調製することができる。
【0061】
式1で表される有機電界発光化合物は、発光層に含まれ得る。発光層で使用される場合、式1の有機電界発光化合物は、ホスト材料として含まれ得る。好ましくは、発光層は少なくとも1つのドーパントをさらに含むことができる。必要であれば、式1の有機電界発光化合物以外の別の化合物を第2のホスト材料としてさらに含むことができる。本明細書では、第1のホスト材料対第2のホスト材料の重量比は、1:99〜99:1の範囲である。
【0062】
第2のホスト材料は、既知のリン光ホストのいずれかを使用することができる。好ましくは、第2のホスト材料は、以下の式18〜23で表される化合物からなる群から選択される化合物を含むことができ、
H−(Cz−L
4)
h−M −−−(18)
H−(Cz)
i−L
4−M −−−(19)
【0066】
Aは、−O−または−S−を表し、
R
21〜R
24は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリール、または−SiR
25R
26R
27を表し、式中、R
25〜R
27は各々独立して、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリールを表し、L
4は、単結合、置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレン、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリーレンを表し、Mは、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリールを表し、Y
1及びY
2は各々独立して、−O−、−S−、−NR
31−、または−CR
32R
33−を表すが、但しY
1及びY
2は同時に存在せず、R
31〜R
33は各々独立して、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリールを表し、R
32及びR
33は、同じであっても異なっていてもよく、h及びiは各々独立して、1〜3の整数を表し、j、k、l、及びmは各々独立して、0〜4の整数を表し、qは0〜3の整数を表し、h、i、j、k、l、m、またはqが、2以上の整数を表す場合、各(Cz−L
4)、各(Cz)、各R
21、各R
22、各R
23、または各R
24は同じであっても異なっていてもよく、
【0068】
式中、
Y
3〜Y
5は各々独立して、CR
34またはNを表し、式中、R
34は水素、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリールを表し、
B
1及びB
2は各々独立して、水素、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリールを表し、
B
3は、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリールを表し、そして
L
5は、単結合、置換もしくは非置換(C6−C30)アリーレン、または置換もしくは非置換(5〜30員)ヘテロアリーレンを表す。
【0069】
具体的には、第2のホスト材料の好ましい例は以下のとおりである。
【0076】
本開示の有機電界発光デバイスに含まれるドーパントは、好ましくは少なくとも1つのリン光ドーパントである。本開示の有機電界発光デバイスに適用されるリン光ドーパント材料は、特に限定されるものではないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)の金属化錯体化合物から選択することができ、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)のオルト金属化錯体化合物から選択することができ、さらにより好ましくは、オルト金属化イリジウム錯体化合物から選択することができる。
【0077】
本開示の有機電界発光デバイスに含まれるドーパントは、以下の式101〜104で表される化合物からなる群から選択される化合物を含むことができ、
【0079】
式中、Lは、以下の構造から選択され、
【0081】
R
100、R
134、及びR
135は各々独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、または置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキルを表し、
R
101〜R
109及びR
111〜R
123は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくはハロゲンで置換された(C1−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C6−C30)アリール、シアノ、または置換もしくは非置換(C1−C30)アルコキシを表し、R
106〜R
109は、隣接するR
106〜R
109それぞれに連結して、置換もしくは非置換縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル置換されたフルオレン、非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾフランを形成することができ、R
120〜R
123は、隣接するR
120〜R
123にそれぞれ連結して、置換または非置換縮合環、例えば、非置換またはアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリールのうちの少なくとも1つで置換されたキノリンを形成することができ、
R
124〜R
133及びR
136〜R
139は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1−C30)アルキル、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリールを表し、そして、R
124〜R
127は、隣接するR
124〜R
127それぞれに連結して、置換もしくは非置換縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル置換されたフルオレン、非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾフランを形成することができ、
XはCR
11R
12、O、またはSを表し、
R
11及びR
12は各々独立して、置換もしくは非置換(C1−C10)アルキル、または置換もしくは非置換(C6−C30)アリールを表し、
R
201〜R
211は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくは重水素あるいはハロゲンで置換された(C1−C30)アルキル、置換もしくは非置換(C3−C30)シクロアルキル、または非置換もしくはアルキルあるいは重水素で置換された(C6−C30)アリールを表し、R
208〜R
211は、隣接するR
208〜R
211それぞれに連結して、置換もしくは非置換縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル置換されたフルオレン、非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキルで置換されたジベンゾフランを形成することができ、
f及びgは各々独立して、1〜3の整数を表し、fまたはgが2以上の整数である場合、各R
100は同じであっても異なっていてもよく、
sは1〜3の整数を表す。
【0082】
ドーパントとして用いられる化合物の具体例は以下のとおりである。
【0088】
本開示の有機電界発光デバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマめっき、及びイオンめっき法等の乾式膜形成法、またはインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、浸漬コーティング、フローコーティング法等の湿式膜形成法を使用することができる。本開示の第1及び第2のホスト化合物は、共蒸発プロセスまたは混合−蒸発プロセスによって薄膜形成することができる。
【0089】
湿式薄膜形成法を使用するとき、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の任意の適当な溶媒中に溶解または拡散させることによって、薄膜を形成することができる。溶媒は、各層を形成する材料を溶解または拡散させることができ、成膜性に問題がない任意の溶媒であることができる。
【0090】
本開示の有機電界発光デバイスはまた、表示デバイスまたは照明デバイスの製造に使用することができる。
【0091】
以下、本開示の有機電界発光化合物の調製方法、及びその化合物を含むデバイスの特性を、本開示の代表的な化合物に関して詳細に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0094】
3gの化合物1−1(0.8mmol)、4.1gの化合物F(0.9mmol)、88mgの酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)(0.392mmol)、322mgの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−phos)(0.784mmol)、1.9gのナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(2mmol)、及び80mLのo−キシレンをフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で5時間撹拌した。反応が完了した後、反応生成物を、EA(酢酸エチル)/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して1.5gの化合物C−5(収率25.8%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3,δ)9.429(s,1H),9.236−9.222(d,J=8.4Hz,1H),9.130−9.117(d,J=7.8Hz,1H),8.834−8.820(d,J=7.8Hz,4H),8.661−8.649(d,J=7.2Hz,1H),8.485−8.473(d,J=7.2HZ,1H),8.055−8.042(d,J=7.8Hz,1H),7.879−7.864(m,2H),7.823−7.808(d,J=9Hz,1H),7.691−7.653(m,3H),7.634−7.608(m,4H),7.560−7.547(m,2H),7.505−7.490(m,5H),7.422−7.361(m,4H),7.055(s,1H),7.025−7.012(d,J=7.8Hz,1H)
【0098】
4gの化合物2−1(9.25mmol)、4.5gの化合物F(10.17mmol)、104mgの酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)(0.46mmol)、380mgの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−phos)(0.92mmol)、2.3gのナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(23.57mmol)、及び46mLのo−キシレンをフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して4.0gの化合物C−6(収率56%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3,δ)9.443(s,1H),9.18−9.17(d,J=6Hz,1H),9.141−9.127(d,J=9.3Hz,1H),8.778−8.764(d,J=8.1Hz,4H),8.602−8.589(d,J=7.5Hz,1H),8.487−8.474(d,J=7.74Hz,1H),8.050−8.037(d,J=7.9Hz,1H),7.96(s,2H),7.865−7.837(m,3H),7.814−7.800(d,J=8.76Hz,1H),7.665−7.624(m,3H),7.597−7.475(m,10H),7.433−7.387(m,4H),7.06(s,1H),7.050−7.001(m,1H)
【0102】
化合物Gの調製
10gの化合物G−1(31mmol)、4.47gの(4−ブロモナフタレン−1−イル)ボロン酸(37mmol)、1.82gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)(1.6mmol)、10gの炭酸カルシウム(K
2CO
3)(94mmol)、141mLのトルエン、47mLのエタノール、及び47mLの水をフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、その反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して10.6gの化合物G(収率64%)を得た。
【0103】
化合物C−9の調製
7gの化合物3−1(18.3mmol)、10.7gの化合物F(21.9mmol)、200mgの酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)(0.9mmol)、0.75gの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−phos)(1.8mmol)、4.4gのナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(45.7mmol)、及び183mLのo−キシレンをフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、その反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して5.5gの化合物C−9(収率38%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)9.427(s,1H),9.379(s,1H),9.254−9.239(d,J=9HZ,1H),9.126−9.112(d,J=8.4Hz,1H),8.874−8.846(m,3H),8.690−8.677(d,J=7.8HZ,1H),8.482−8.470(d,J=7.2Hz,1H),8.117−8.104(d,J=7.8Hz,1H),8.063−8.036(m,2H),7.965−7.952(d,J=7.8Hz,1H),7.899−7.887(d,J=7.2Hz,1H),7.86−7.827(m,1H),7.817−7.802(d,J=9Hz,1H),7.689−7.593(m,6H),7.568−7.485(m,7H),7.441−7.361(m,4H),7.061(s,1H),7.034−7.020(d,J=8,4Hz,1H)
【0107】
4.0gの化合物4−1(10mmol)、5gの化合物F(12mmol)、479mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)(0.523mmol)、429mgの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−phos)(1mmol)、2.5gのナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(26mmol)、及び87mLのo−キシレンをフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、その反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して1.3gの化合物C−61(収率16%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)9.206−9.192(d,J=8.4Hz,1H),8.974(s,1H),8.824−8.807(m,4H),8.630−8.618(d,J=7.2Hz,1H),8.413−8.398(d,J=9Hz,2H),7.999−7.985(d,J=8.4Hz,1H),7.827−7.815(d,J=7.2Hz,1H)7.781−7.767(d,J=8.4Hz,1H),7.664−7.600(m,8H),7.501−7.474(m,4H),7.384−7.313(m,5H),7.233−7.218(d,J=9Hz,1H),6.947−6.934(d,1H),6.752(s,2H)
【0111】
化合物Hの調製
13.3gの化合物H−1(50mmol)、15gの(2−ブロモナフタレン−6−イル)ボロン酸(60mmol)、3.4gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)(3mmol)、25gの炭酸カルシウム(K
2CO
3)(179mmol)、150mLのトルエン、73mLのエタノール、及び73mLの水をフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、その反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して4gの化合物H(収率15%)を得た。
【0112】
化合物C−50の調製
2.4gの化合物3−1(6mmol)、3gの化合物H(7mmol)、114mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)(0.126mmol)、103mgの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−phos)(0.25mmol)、1.5gのナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(16mmol)、及び53mLのo−キシレンをフラスコに注ぎ、溶解させ、次いで還流下で3時間撹拌した。反応が完了した後、その反応生成物を、EA/H
2Oで抽出した。有機抽出物をカラムクロマトグラフィーによって精製して2gの化合物C−50(収率43%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)9.418(s,1H),9.353(s,1H),9.087−9.073(d,J=8.4Hz,1H),8.915−8.901(d,J=8.4Hz,1H),8.850−8.834(sd,J=6Hz,4H),8.414−8.000(d,J=8.4Hz,1H),8.291−8.277(d,J=8.4Hz,1H),8.165(s,1H),8.046−8.031(d,J=9Hz,2H),7.825−7.808(m,3H),7.646−7.530(m,13H),7.460−7.397(m,4H)
【0114】
以下、本開示の化合物を含む有機発光ダイオード(OLED)デバイスの発光特性を詳細に説明する。
【0115】
デバイス例1:本開示の化合物をホストとして蒸発させることによるOLEDデバイスの製造
本開示による有機電界発光化合物を使用することによってOLEDデバイスを製造した。OLEDデバイス(GEOMATEC CO.,LTD.、日本)用のガラス基板上の透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、アセトン、エタノール、及び蒸留水での連続超音波洗浄に供し、次いでイソプロパノール中で保管した。次いで、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダ上に載置した。化合物HI−1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10
−6トルに制御した。その後、セルに電流を印加して上記材料を蒸発させることにより、ITO基板上に80nmの厚さを有する第1の正孔注入層を形成した。次に、化合物HI−2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加することにより蒸発させ、それにより5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層の上に形成した。次いで、化合物HT−1を真空蒸着装置の1つのセルに導入し、電流をそのセルに印加することによって蒸発させ、それにより10nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を第2の正孔注入層の上に形成した。次いで、化合物HT−3を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加することによって蒸発させ、それにより60nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層の上に形成した。正孔注入層及び正孔輸送層の形成後、その上に発光層を以下のようにして形成した。化合物C−5をホスト材料として真空蒸着装置の1つのセルに導入し、化合物D−71をドーパントとして別のセルに導入した。ホスト及びドーパントの総量に基づいて3重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、40nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層の上に形成した。次いで、化合物ET−1及び化合物EI−1を他の2つのセルに導入し、それぞれ1:1の比率で蒸発させて、発光層の上に厚さ30nmを有する電子輸送層を形成した。化合物EI−1を、2nmの厚さを有する電子注入層として堆積させた後、80nmの厚さを有するAlカソードを別の真空蒸着装置によって、電子注入層の上に堆積させた。このようにしてOLEDデバイスを製造した。
【0117】
寿命(T97)は、5,000ニット及び一定電流において、輝度が100%から97%まで減少するのにかかった時間として測定した。
【0118】
デバイス例2:本開示の化合物をホストとして蒸発させることによるOLEDデバイスの製造
化合物C−6をホストとして使用した以外は、デバイス例1と同じ仕方でOLEDデバイスを製造した。
【0119】
デバイス例3:本開示の化合物をホストとして蒸発させることによるOLEDデバイスの製造
化合物C−9をホストとして使用し、厚さ35nmを有する電子輸送層を形成した以外は、デバイス例1と同じ仕方でOLEDデバイスを製造した。
【0120】
デバイス例4:本開示の化合物をホストとして蒸発させることによるOLEDデバイスの製造
化合物C−61をホストとして使用した以外は、デバイス例1と同じ仕方でOLEDデバイスを製造した。
【0121】
デバイス例5:本開示の化合物をホストとして蒸発させることによるOLEDデバイスの製造
化合物C−50をホストとして使用した以外は、デバイス例1と同じ仕方でOLEDデバイスを製造した。
【0122】
比較例1−1〜1−5:従来のホストを使用してのOLEDデバイスの製造
以下の表6に示した比較例1−1〜1−5の化合物をホストとして使用した以外は、デバイス例1と同じ仕方でOLEDデバイスを製造した。
【0125】
上記のデバイス例及び比較例から、本開示の有機電界発光化合物を含むOLEDデバイスは、従来の有機電界発光化合物を含むOLEDデバイスと比較して、改善された寿命特性を有することが認められる。