特許第6971265号(P6971265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971265N個のカラムを直列で使用する擬似移動床分離方法のための新規周辺分配又は収集システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971265
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】N個のカラムを直列で使用する擬似移動床分離方法のための新規周辺分配又は収集システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20211111BHJP
   C07C 9/22 20060101ALI20211111BHJP
   C07C 7/12 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 30/60 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B01D15/00 101A
   B01D15/00 K
   C07C9/22
   C07C7/12
   G01N30/46 A
   G01N30/60 B
   G01N30/88 M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-562047(P2018-562047)
(86)(22)【出願日】2017年5月5日
(65)【公表番号】特表2019-519365(P2019-519365A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2017060835
(87)【国際公開番号】WO2017207217
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2020年4月8日
(31)【優先権主張番号】1654864
(32)【優先日】2016年5月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】オージエ フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ロヨン−ルボー オード
(72)【発明者】
【氏名】ラインクーゲル ル コック ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォナー アレクサンドル
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−296946(JP,A)
【文献】 特開平04−281804(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0149565(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102036729(CN,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02794663(FR,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02740052(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00 − 15/42
G01N 30/46
G01N 30/60
G01N 30/88
C07C 9/22
C07C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤粒状固体床を備えたカラムであって、前記カラムは直列に配置された一連のN個のカラムの一部を形成するように適合され、前記Nは4〜24の範囲であり、
前記カラムは、単一の実質的に中心にある供給導管(1)に接続された、前記カラムの周辺に均一に分布されている複数の周辺導管(2)を含み、各周辺導管(2)が前記カラムの分配チャネル(3)に流体を供給し、スクリーン(4)の後流に流し、前記カラムから排出された前記流体が、前記カラムの垂直軸を実質的に中心とする単一の導管(11)によって収集チャネル(7)から収集され、前記周辺導管(2)に入る前記流体の処理速度は、1〜6m/sの範囲であり、前記カラム内の流体の流れは、軸方向または半径方向であり、前記周辺導管(2)の数が、4〜20である、カラム、または、
前記カラムは、単一の実質的に中心にある供給導管(1)に接続された、前記カラムの垂直軸を実質的に中心とする中央導管(2)を含み、前記中央導管(2)が前記カラムの分配チャネル(3)に流体を供給し、スクリーン(4)の後流に流し、前記カラムから排出された前記流体が、前記カラムの周辺に均一に分布されている複数の周辺導管(8)によって収集チャネル(7)から収集され、前記流体の流れ全体が前記カラムの垂直軸を実質的に中心とする単一の排出導管(9)に収集され、前記周辺導管 (8)を出る前記流体の処理速度は1〜6m/sの範囲であり、前記カラム内の流体の流れは軸方向または半径方向であり、前記周辺導管(8)の数が4〜20の範囲である、カラム。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムであって、前記カラムの内側において流体の流れが軸方向である場合の、前記カラムの主な寸法が、
−直径1〜15mの範囲
−前記粒状固体床の高さ0.2〜1.5mの範囲である、カラム
【請求項3】
請求項に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムであって、前記カラムの内側において流体の流れが半径方向である場合の、前記カラムの主な寸法が、
−3〜15mの直径、
−1〜200m範囲のセクションを生じさせ得る高さであって、前記セクションは、前記粒状固体床の高さである高さと、流入コレクタの半径と中央コレクタの半径との間に含まれる任意の半径である半径と、を有する円筒のものとして計算され、
−前記粒状固体床の厚さは0.2〜1.5mである、カラム
【請求項4】
分離させる供給物が、7〜9個の炭素原子を含む芳香族化合物の任意の混合物である、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムを用いる擬似移動床分離方法。
【請求項5】
分離させる供給物が、ノルマルパラフィン及びイソパラフィンの混合物である、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムを用いる擬似移動床分離方法。
【請求項6】
分離される供給物が、ノルマルオレフィンとイソオレフィンとの混合物である、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムを用いる擬似移動床分離方法。
【請求項7】
前記カラムを通過する一次流体が600〜950kg/mの範囲の密度及び0.1〜0.6cPoの範囲の粘度を有する、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の吸着剤粒状固体床を備えたカラムを用いる擬似移動床分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状媒体として公知である固体粒子の媒体中における流体の流れを使用する、直列のN個のカラムを有するシステム内の流体の分配及び収集のための新規装置に関する。
【0002】
直列のN個のカラムのシステムは、N個の個別のカラム又はスタックカラム(すなわち、共通エンベロープ(外囲容器)内に配置されている)の連結として知られている。各カラムには、一次流体が流れる粒状媒体の床が収容されている。N個のカラムは、二次流体の注入/混合又は回収に適切なように使用され得る導管ネットワークを介して一緒に接続され、これらの可能な注入及び取り出しがカラム間で行われる。N個のカラムは、1つのカラムから流出した流体が、次のカラムに入るという意味において、直列で動作する。
【0003】
本発明は、直列のカラム内に入る流体を分配するための装置に関するものであって、粒状床のセクションの全体にわたって流体を分配するようになされている。
【0004】
本発明はまた、カラムの全セクションにおいて、床の底部で一次流体を収集し、カラム間導管に供給するために使用され得る装置に関するものであって、前記カラム間導管は前記流体を次のカラムに移すために使用され得るものである。
【0005】
本発明は、本質的に、カラムの頭部に位置付けられた分配領域又はカラムの底部に位置付けられた収集領域の配置からなる。
【0006】
本発明は、床の頭部における分配領域及び床の底部における収集領域の構成の如何に関わらず、非選択的と称される領域の容積を実質的に最小限に抑えながら、非選択的であると言われる2つの領域の間の、すなわち粒状媒体の外側の、カラム内の流体の滞留時間の分布を一定にするために、有利な様式で使用することができる。
【0007】
実際に、本発明は、擬似移動床(SMB)分離方法に関する。この方法では、これに必要な高いレベルの純度及び収率を確保するために、床内及び注入/収集ネットワーク内における流体の全粒子の同期性が特に重要である。以下、これを「流体の同期性」と略記する。
【0008】
用語「流体の同期性」は、カラムのセクションが観念的に、並列に移動する多数の流体チャネルに分割されている場合、各流体チャネルは可能な限りそのカラムへの入口からその放出まで、同じ滞留時間を有することを意味する。
【0009】
さらに、同じ性能レベルの場合、非選択領域の容積が増えることで、ユニット内の「ポンプ周り」での流速の望ましくない増加が誘発される。
【背景技術】
【0010】
従来技術は、多段カラム、(すなわち実質的に垂直である軸に沿って配置された多数のプレートによって構成されるカラムであって、各プレートが粒状固体床を支持しているカラム)のための分配器に使用される寸法に関するノウハウを提供している。
【0011】
特許文献1(欧州特許EP0074815)及び特許文献2(米国特許2006/0108274A1)には、特に、多段カラムの模擬移動床吸着の場合において使用される分配/混合装置の例を提供している。これらの装置は、上流床から来る一次流体の収集、一次流体と二次流体の混合、及び下流床への混合物の再分配の連続的機能を行う。
【0012】
これらの特許には、カラムのセクションを放射状のセクタ又はパネルに分割することが記載されている。
【0013】
先行技術はまた、分離に関して必要な性能を得るために、分配システムにおいて良好な同期性を確保することの重要性を教示している。
【0014】
特に、特許文献3(フランス特許明細書2933000)は、滞留時間補償要素、すなわちバッフルを、カラムへの入口において分配プレートの直前又は直後の非選択領域に追加することを提唱している。
【0015】
非特許文献1(Silva M、Rodrigues AとMota Jによる論文“Effect of dead volumes on the performance of an industrial-scale simulated moving bed parex unit or p-Xylene purification”, published in the AIChE Journal in Jan 2016, vol 62, n° 1)には、非選択的容積が増加することで、純度の低下が生じ、脱着剤の消費が増えることから、非選択的容積を低下させることの重要性が強調されている。
【0016】
直列にあるN個のカラムのシステムを備えた擬似移動床の操作では、注入及び収集並びに混合が確実に、導管ネットワーク内の2つのカラム間の単一の点で生じる。従って、当業者は、この様式でフラッシングの問題を克服することができることを知っており、これにより、ポンプ周辺の流れによるフラッシングが行われない容積を最小にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許EP0074815
【特許文献2】米国特許2006/0108274A1
【特許文献3】フランス特許明細書2933000
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Silva M、Rodrigues AとMota Jによる論文“Effect of dead volumes on the performance of an industrial-scale simulated moving bed parex unit or p-Xylene purification”, published in the AIChE Journal in Jan 2016, vol 62, n° 1
【発明の概要】
【0019】
本発明は、粒状固体床を含むカラム内の流体を分配するための装置として定義することができ、この固体は吸着固体であり、このカラムは直列で動作するN個のカラムのアセンブリの一部を形成する。Nの値は、一般に4〜24の範囲内、好ましくは6〜15の範囲内である。
【0020】
この装置は、本出願の一部を形成する比較例に例解されるように、非選択的であると称される容積を実質的に減少させるために使用することができるので、擬似移動床分離方法に特に好適である。
本明細書の他の部分では、用語「流入流体」は、カラムに入る流体を示すために使用され、用語「流出流体」は、カラムから排出される流体を示すために使用される。
【0021】
本装置を使用する方法は、一般に、直列の複数のカラムを利用しており、各カラムは、流入流体を導入するための手段として、又は流出流体を収集するための手段として、本発明による装置を使用する。この理由から、本明細書は、流入流体を分配するための装置又は流出流体を収集するための装置を指し、より簡単には、分配装置又は収集装置を指す。
【0022】
一連のN個のカラムを構成するカラムは、粒状床内で流体の軸方向又は半径方向の流れを有してもよい。
【0023】
各カラムに流入流体を導入するための手段として、又は流出流体を収集するための手段として本発明による装置を備えている、一連のN個のカラムはいずれも、本発明の範囲に含まれる。
【0024】
より正確には、当該装置は、カラム内において流入流体を分配するため又は流出流体を収集するためのものであって、当該カラムは吸着粒状固体床を備え、かつ直列に配置された一連のN個のカラムの一部を形成し、当該装置は、カラムのレベルで入る流体の分配が、単一の実質的に中央にある供給導管から開始し、複数の均一に分布されている周辺導管(2)によって行われるか、又は実際には、流出流体の収集が、カラムのセクションで均一に分布されかつ単一の実質的に中央にある導管に合流している周辺導管(8)によって行われる、装置として定義され得る。流入流体を注入するため又は流出流体を収集するためのチャネルにおける処理速度は、1〜6m/sの範囲内であり、周辺導管(2)又は(8)の数は、4〜20個、好ましくは6〜12個である。
【0025】
一連の各カラムでの流体の流れが軸方向である変化形態では、各カラムの主な寸法は以下のとおりである:
−直径1〜15mの範囲、好ましくは7〜12mの範囲、
−粒状床の高さ0.2〜1.5mの範囲、好ましくは0.4〜1mの範囲。
【0026】
各カラム内の流体の流れが周辺から中心に向かう半径方向である変化形態では、各カラムの主な寸法は以下の通りである:
−直径3〜15m、
−1〜200m、好ましくは20〜80mの範囲のセクションを生じさせ得る高さ。このセクションは、粒状床の高さである高さ、及び流入コレクタの半径と中央コレクタの半径との間に含まれる任意の半径である半径を有する円筒のものとして計算される。
−粒状床の厚さ0.2〜1.5m、好ましくは0.4〜1m。
【0027】
従って、より正確には、本発明は、粒状固体床を備えた1つ以上のカラムにおいて、流入流体を分配するための、又は流出流体を収集するための装置として定義することができる。本装置では、
−流体は、単一の実質的に中央にある供給導管の周りに均一に分布されている複数の周辺導管によって分配され、周辺導管の数が4〜20、好ましくは6〜12であるか、
−又は、実際には、流出流体は、カラムのセクションに均一に分布されており、単一の実質的に中央にある導管に合流する周辺導管によって収集され、周辺導管の数が4〜20、好ましくは6〜12である。
【0028】
本装置は、直列に配置された複数のカラムを使用する擬似移動床分離方法に特に適用される。直列のカラムの数Nは4〜24、好ましくは6〜15である。
【0029】
一連の図は下降流モードを示しているが、以下に説明するように、上向流モードの場合もまた本発明に包含され、流れに関しては厳密に対称的となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】流体分配装置が頭部にあり、収集装置が底部にある、流体の軸流を伴う全カラム概略を示す図である。
図1a】収集導管(8)の配置を見ることができる上面図である。
図1-2】床への注入が、周辺導管ネットワークによって行われ、分配チャネルに供給される本発明によるカラムの変化形態を表す図である。
図2】本発明による収集ネットワークを有する半径方向の流体の流れの変化形態におけるカラムの概略図を表す図である。
図2a】収集導管(8)の配置を示す上面図である。
図2-2】本発明による供給ネットワークを用いた半径方向の流体の流れの変化形態におけるカラムを表す概略図である。
図3】本発明のカラムの底部のより詳細な図を表し、1つのカラムを次のカラムに接続する導管の寸法パラメータHsup、Hfond及び直径Dを示す。
図4】先行技術による図4は、バッフル(9)を使用して非選択領域の滞留時間を平坦化するために使用できる構成のカラム全体の概略図を表している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び図1aに示す第1の変化形態によれば、本発明による収集装置を用いた擬似移動床方法は、以下のように説明することができる:
粒状固体床の内部での流体の移動は軸方向であり、床への注入が、カラムの垂直軸を実質的に中心とする導管(2)により行われ、流体は、水平分配チャネル(3)に供給され、次いで分配チャネル(3)からスクリーン(4)を通って粒状固体床(5)に供給され、粒状床(5)を通って実質的に垂直方向に流れ、次いでスクリーン(6)の下で収集チャネル(7)から開始して周辺導管(8)から収集され、流れの全体がカラムの垂直軸を実質的に中心とする単一の排出導管(9)に収集され、周辺導管(8)に排出される流体の処理速度は1〜6m/sの範囲である。
【0032】
図1―2に示す第2の変化形態によれば、本発明による分配装置を用いた擬似移動床方法は以下のように説明することができる:粒状固体床の内部での流体の移動は軸方向であり、流体は、周辺導管(2)ネットワークによって床に導入され、分配チャネル(3)に供給され、次にスクリーン(4)を通り、実質的に垂直方向に粒状床(5)内を流れ、流出流体が、収集チャネル(7)から、カラムの垂直軸を実質的に中心とする単一の導管(11)によって収集され、周辺導管(2)に入る流体の処理速度は、1〜6m/sの範囲内である。
【0033】
軸流の方向は、上部から垂直に、又は下部から垂直にすることができる。下降流モードの収集装置は、上向流モードの分配装置と同一である。
【0034】
図2及び図2aに示す第3の変化形態によれば、本発明による分配装置を使用する方法を以下のように説明することができる:粒状固体床の内部の流体の移動は半径方向であり、流体は、中央チャネル(2)からカラムの中心に導入され、次いで粒状床(5)を通って中心から周辺に向かわせ、これらが周辺領域(7)で収集され、また、周辺導管(8)から、カラムの軸を実質的に中心とする排出導管(9)に液体を向かわせる。周辺導管(8)において排出される流体の処理速度は、1〜6m/sの範囲である。
【0035】
図2―2に示す第4の変化形態によれば、本発明による分配装置を使用する方法は以下のように説明され得る:
粒状固体床の内部の流体の移動は半径方向であり、流体は、粒状床(5)に供給するために複数の周辺導管(2)に分割されている中央導管(1)から粒状床に導入され、次いで床を通って周辺から中心に向けられ、中央チャネル(7)で収集され、次いで、カラムの垂直軸を実質的に中心とする導管(11)から排出される。周辺導管(2)に入る流体の処理速度は、1〜6m/sの範囲である。
【0036】
本発明による装置を用いた擬似移動床分離方法は、分離させる供給物が7〜9個の炭素原子を含む芳香族化合物の任意の混合物であるようなものであってもよい。
【0037】
本発明による装置を用いた擬似移動床分離方法は、分離させる供給物がノルマルパラフィン及びイソパラフィンの混合物であるようなものであってもよい。
【0038】
本発明による装置を用いた擬似移動床分離方法は、分離される供給物がノルマルオレフィン及びイソオレフィンの混合物であるようなものであってもよい。
【0039】
本発明による装置を用いた擬似移動床分離方法は、装置を通過する一次流体が600〜950kg/mの範囲の密度及び0.1〜0.6cPoの範囲の粘度を有するようなものであってもよい。
【0040】
本発明によって解決される問題は、直列で動作するN個のカラムのシステムの非選択領域における滞留時間の差を制限させることであり、このような差は分離性能に有害な影響を有する。同時に、非選択的領域を有さないシステムと同じ性能レベルのユニットの「ポンプ周り」の流速の望ましくない増加を引き起こす前記非選択領域の容積(簡潔にするために、以下、「非選択容積」と称する)を最小限に抑えることである。
【0041】
本発明は、分配/収集システムにおいてカラムの全セクションのスケールで良好な流体同期性を確保するために使用することができるシステムであって、生成される非選択的容積を抑えながらも、十分にある様式で分配及び収集の導管ネットワークを利用するシステムに関する。用語「同期性」は、各流入流体要素が、他の流入要素とほぼ同じ滞留時間をカラム内で有することを意味する。これは、滞留時間の分布は、標準偏差が可能な限り低減されているガウス曲線であることを意味する。実際には、滞留時間の分散が中央値に対してプラス又はマイナス10%であれば、同期性は正確であると仮定される。
【0042】
本発明によるカラムは、以下の2つのフローモードに従って構成することができる:
−軸方向モード。粒状床内部の流れが、本質的に、カラムの垂直軸に沿って、上から下へ、又は下から上へと生じる。
−半径方向モード。粒状床内部の流れが、本質的に、カラムの周辺から中心に向かって、又はカラムの中心から周辺に向かって生じる。
【0043】
フローモードに応じて、カラムのサイズは以下のとおりである:
−軸方向モードでは、直径は1〜15m、好ましくは7〜12mである。粒状床の高さは、0.2〜1.5m、好ましくは0.4〜1mである。
−半径方向モードでは、直径は3〜15mであり、高さは、1〜200mの範囲のセクションを生じさせ得る高さであり、好ましくは20〜80mの範囲である。粒状床のセクションは、粒状床の高さである高さを有し、及び、流入コレクタに対応する円筒の半径と中央コレクタに対応する円筒の半径との間の範囲の任意の半径である半径を有する円筒の一部分として境界区分される。従って、粒状床のセクションは、流入コレクタから排出コレクタまでの半径に対応して変化する。粒状床の厚さは0.2〜1.5m、好ましくは0.4〜1mである。
【0044】
注入及び収集並びに混合は、導管ネットワーク(1)内の2つのカラムの間の単一の点で実施される。
【0045】
図1に示す第1の実施形態によれば、床は軸方向モードにあり、床への注入は、カラムの垂直軸を実質的に中心とする導管(2)によって実施され、ジェットにより水平分配チャネル(3)に送る。
【0046】
次いで、分配チャネル(3)からスクリーン(4)を通って粒状床(5)が流体供給される。
【0047】
流体は、実質的に垂直方向に粒状床(5)を通って流れる。
【0048】
次に、流体は、スクリーン(6)の下の収集チャネル(7)で収集される。
【0049】
流れの全体は、周辺収集導管(8)ネットワークによって収集される。
【0050】
収集チャネル(7)から排出される流体を回収するための点(8)は、図1aの上面図に示されるように、チャネルの周辺にあることから、収集は周辺でなされる。
【0051】
図1―2に示す第2の実施形態によれば、床は軸方向モードにあり、床への注入は、周辺導管ネットワークによって行われ、分配チャネル(3)に供給される。収集は、収集チャネルからの流れを収集するカラムを中心とする単一の導管(11)によって行われる。
【0052】
カラムは2つの方法で連結され得る:
いずれのカラムも、本発明による分配システムを有するか、又はそれらは全て本発明による収集システムを有する。また、代替様式、すなわち、1つのカラムは、本発明による収集システムを有し、次のカラムが、本発明による分配システムを有する様式でカラムを連結することも可能である。本発明の文脈では、本発明による分配又は収集システムを備えた連結カラムを全て包含する。
【0053】
注入及び収集チャネルの高さは、処理速度が任意の点で1〜8m/sの範囲の寸法速度を超えないように寸法が決められる。
【0054】
導管の数は4〜20、好ましくは6〜12である。導管のセクションは、1〜8m/sの範囲の流体速度を確保するように寸法が決められる。
【0055】
図2に示す第3の実施形態によれば、床は半径方向モードで作動され、床への注入は、カラムの中心に実質的に位置付けられた垂直導管(2)を用いて、又は環状管を用いて行われる。液体は、床の中心から床の周辺に向かって床(5)内を半径方向に流れ、周辺領域(7)で収集される。全ての流れが、周辺に配置された導管(8)ネットワークによって収集され、流出流体を排出導管(9)に向かわせる。
【0056】
図2―2に示す第4の実施形態によれば、床は半径方向モードで操作され、床への注入は周辺導管ネットワークによって行われる。液体は、床(5)内でカラムの周辺から中心に半径方向に流れ、中央チャネル(7)で収集される。流れの全体は、実質的にカラムの中心に位置付けられた中空導管から、又は環状管(11)から収集され、中央チャネル(7)から出る流出流体が収集される。
先行技術による実施例及び本発明による実施例
この比較例の目的は、3つの場合における非選択的容積及び分散容積の値を提供することである。
a)滞留時間を補償しない従来技術、
b)図4に見られ得るようなバッフル(9)を用いた従来技術に対して補償を伴う従来技術、
c)本発明
高さ1mの粒状床を含む直径2mのカラムを考慮する。密度725kg/m及び粘度0.2cPを有する流体の流れが、表面速度2cm/sのカラム内で生じる。この表面速度は、空であると想定されているカラムのセクションで計算される。
【0057】
図4(従来技術の解決法に対応する)のバッフル(9)を有さない、図4のレイアウトによる、滞留時間の補償のないカラムの寸法を決めるために、当業者は、分配チャネル及び収集チャネル、並びに分配導管及び収集導管における最高速度を定める。この速度がチャネル及び導管の寸法を決定するのに役立つ。この例では、最高速度5m/sを使用した。これにより得られたチャネルの高さは3.2cmであり、導管直径は12.6cmである。
a)滞留時間を補償せずに寸法を決定する場合、結果として非選択的容積0.21m(分配及び収集)、分散9.4sである。
【0058】
特許文献3(フランス特許明細書2933000号)に示されている従来技術は、滞留時間の分布を平坦化するためにバッフルの寸法を決定するための方法について説明している。環状セクション(バッフルの縁部とカラムの壁との間の液体の通路)とカラムの全セクションとの比は、本明細書の実施例の比と同じ、すなわち8.3%となるように選択される。したがって、バッフル(9)は直径L1.91mを有する。図4に見られ得るように、バッフルを有する場合、上部収集チャネル(7)及び下部チャネル(10)が存在する。必要とされる高さは、上部チャネルは0.21cm、下部チャネルは3.2cmである。
b)先行技術によるバッフル(9)を用いた、滞留時間の補償を伴う場合の寸法を決定する場合、非選択的容積(分配及び収集)は0.22mであり、分散は3.1sである。
c)本発明では、上部チャネルについて、従来技術と同じ寸法基準を使用した。5m/sの最大速度基準を用いて寸法を決定した8つの周辺収集導管(8)の直径は、4.5cmである。
【0059】
本発明による寸法決めの場合、結果として、非選択的容積(分布及び収集)0.13m及び分散3.2sとなる。
【0060】
このように、本発明は、滞留時間の分散に関して実質的な利得を維持しながら、非選択的容積の40%の減少が確保され得る。同等の分散に対して非選択的容積が減少することは、擬似移動床分離方法の性能を維持するための必須要素であることに留意されたい。
【0061】
【表1】
図1
図1-2】
図1a
図2
図2-2】
図2a
図3
図4