【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は以下の特徴を有するものとして構成される。
【0008】
即ち、本発明は、基板の表面に向かう方向を挿入方向として接続対象物を挿入する挿入口と、前記挿入口から前記接続対象物を挿入する嵌合室とを有するハウジングと、前記嵌合室の内部で前記接続対象物と導通接続する端子とを備えるコネクタについて、前記ハウジングは、前記挿入口に対する前記接続対象物の挿入を誘導する挿入誘導面を有し、前記挿入誘導面は、前記挿入口の口縁から前記嵌合室の内部に向かう内側誘導面と、前記内側誘導面の外側に設けた中間誘導面と、前記中間誘導面の外側に設けた外側誘導面とを有し、且つ前記内側誘導面と前記中間誘導面の形状が異なるとともに前記中間誘導面と前記外側誘導面の形状が異なることを特徴とする。
【0009】
本発明のコネクタは、挿入口に対する接続対象物の挿入を誘導する挿入誘導面を有するため、挿入口に対する接続対象物の挿入位置がずれていても、挿入誘導面によって位置ずれを解消しながら接続対象物を挿入口に誘導することができ、これにより接続対象物を挿入口から嵌合室へと正しく挿入することができる。
【0010】
前記挿入誘導面は、具体的には、挿入口の口縁から嵌合室の内部に向かう内側誘導面と、内側誘導面の外側に設けた中間誘導面と、中間誘導面の外側に設けた外側誘導面とを有するように構成できる。そして前記内側誘導面と前記中間誘導面は前記形状が互いに異なり、前記中間誘導面と前記外側誘導面は前記形状が互いに異なるように構成できる。これによれば、連続する2つの面の形状が異なるため、挿入誘導面に接続対象物を載置して移動させると、形状が異なる一方の面から他方の面に移動するときに、作業者が手元の感覚で接続対象物の姿勢の変化を把握しながら、接続対象物を挿入口に誘導させることができる。また、挿入誘導面は、挿入口の口縁に設ける内側誘導面のみならず、内側誘導面の外側に位置する中間誘導面と、さらに中間誘導面の外側に外側誘導面とを有するため、ハウジングの挿入口周辺の広い範囲で接続対象物の挿入を誘導することができる。よって本発明のコネクタならばコネクタ全体を小型化しても接続対象物の嵌合作業を容易に行うことができる。
【0011】
内側誘導面の形状と中間誘導面の形状とが異なり、中間誘導面の形状と外側誘導面の形状とは異なるが、ここでいう「形状が異なる」とは、少なくともそれらの各面の「表面形状」が異なる場合、また接続対象物の挿入方向と直交する基準線に対するそれらの各面の「角度」や基板の実装面と平行な基準線に対するそれらの各面の「角度」が異なる場合を含む。したがって、内側誘導面、中間誘導面、外側誘導面は、何れかの前記基準線に対する角度が異なる傾斜面または水平面等として構成することができ、また表面形状が異なる平坦面、湾曲面(凸状の湾曲面、凹状の湾曲面)または段付き面等として構成することができる。
【0012】
前記本発明については、前記内側誘導面の前記形状と、前記中間誘導面の前記形状と、前記外側誘導面の前記形状がすべて異なるように構成できる。
【0013】
本発明によれば、内側誘導面と中間誘導面と外側誘導面の前記形状がすべて異なるので、各面と接触した接続対象物の姿勢を前記形状の違いによって異ならせることができる。したがって、接続対象物を外側誘導面と挿入口との間で移動させることで生じる接続対象物の姿勢の変化を把握しながら、接続対象物を挿入口に誘導することができる。
【0014】
前記本発明については、前記内側誘導面の前記形状と前記中間誘導面の前記形状との相違および前記中間誘導面の前記形状と前記外側誘導面の前記形状との相違が、前記挿入方向と直交する基準線に対する角度であるように構成できる。
【0015】
本発明によれば、内側誘導面と中間誘導面との形状における相違が前記基準線に対する角度であり、中間誘導面と外側誘導面との形状における相違が前記基準線に対する角度であるため、二面角の違いにより接続対象物の姿勢の変化を容易に把握することができる。
【0016】
前記本発明については、前記中間誘導面の前記角度が、前記内側誘導面の前記角度および前記外側誘導面の前記角度に対して小さくなるように構成できる。
【0017】
例えば、中間誘導面の前記角度が外側誘導面の前記角度より大きいと、接続対象物を外側誘導面から中間誘導面に移動したときに、接続対象物の姿勢が大きく傾いてしまい、挿入口に近づくにつれて徐々に姿勢を矯正していくことができず、接続対象物を挿入口に円滑に誘導することが難しくなってしまう。また、中間誘導面の前記角度が内側誘導面の前記角度より大きいと、中間誘導面と内側誘導面との境界に内角が鈍角の凹みができてしまい、そこに接続対象物が移動する際に引っかかり、接続対象物を円滑に挿入口に誘導するのが難しくなる。これに対して本発明によれば、外側誘導面の前記角度が中間誘導面の前記角度よりも大きいため、外側誘導面よりも挿入口に近い内側に接続対象物を容易に誘導することができる。また、中間誘導面の前記角度よりも内側誘導面の前記角度が大きいため、接続対象物を中間誘導面から挿入口に直結する内側誘導面へと円滑に誘導することができる。よって本発明のコネクタによれば、外側誘導面から挿入口へと接続対象物を円滑に誘導することができる。
【0018】
前記本発明については、前記中間誘導面が前記基板と平行な平坦面であるように構成できる。
【0019】
本発明によれば、中間誘導面が基板と平行な平坦面であるため、中間誘導面を基板と平行な基準線に対して傾斜する傾斜面とした場合と比べて、基板と平行な水平方向で接続対象物の移動可能な距離を大きくすることができ、中間誘導面における挿入口に対する接続対象物の位置のずれの許容範囲(誘導領域)を広げることができる。また、中間誘導面は基板面に対して平行な平坦面であるため、接続対象物を傾斜のない姿勢に矯正してから、正しい姿勢で円滑に挿入口に誘導することができる。さらに、例えば中間誘導面を基板に対して傾斜する傾斜面とした場合には、中間誘導面に高さが生じるためハウジングについても高さ方向で大型化してしまう。しかしながら本発明では、中間誘導面が基板と平行であり、基板からの高さが一定になるため、高さ方向でのハウジングの大型化を抑制できる。なお、本発明における「基板と平行な平坦面」とは、基板面と接続対象物の挿入方向と直交する基準線とが平行である場合には、「前記挿入方向と直交する基準線に沿う平坦面」として把握することができる。
【0020】
前記本発明については、前記外側誘導面と前記内側誘導面が、前記角度が異なる傾斜面として形成されており、前記外側誘導面の前記角度は、前記内側誘導面の前記角度よりも小さく構成できる。
【0021】
例えば、外側誘導面を傾斜面とし、外側誘導面の外縁から内縁(中間誘導面との境界側)にかけての接続対象物の水平方向への移動距離を一定の長さに設定した場合、外側誘導面の前記角度を大きくすればするほど、外側誘導面の内縁側に対して外縁側が高くなり、ハウジングが高さ方向で大型化してしまう。これに対して本発明によれば、外側誘導面の前記角度が内側誘導面の前記角度よりも小さいため、外側誘導面の外縁側から内縁側にかけて接続対象物の移動距離を確保しながらも、外側誘導面によってハウジングが高さ方向で大型化するのを抑制することができる。また、本発明によれば、外側誘導面の前記角度が内側誘導面の前記角度よりも小さいため、接続対象物を傾斜の緩やかな外側誘導面の上を移動させることで先ず大まかに挿入口側へ誘導してから、外側誘導面よりも傾斜角の大きい内側誘導面では速やかに接続対象物を挿入口から嵌合室へと落とし込むように挿入することができる。
【0022】
前記本発明については、前記ハウジングが周壁と、前記周壁から外向きに突出する突出部とを有し、前記突出部の上面に前記外側誘導面を有するように構成できる。
【0023】
例えば、周壁の上端面に外側誘導面を形成すると、接続対象物の挿入方向に対する直交方向に沿う周壁の厚みを厚くすることで外側誘導面を形成しなければならないが、そうするとハウジングが当該直交方向で大型化してしまう。しかしながら本発明では、外側誘導面を周壁から突出する突出部の上面に設けるため、周壁の厚みを増大することなく挿入口から離れる方向に外側誘導面を拡張することができ、接続対象物の位置ずれの許容範囲を広げることができる。
【0024】
前記本発明については、前記周壁の上面に前記中間誘導面を有するように構成できる。
【0025】
一般的にコネクタのハウジングを構成する周壁の上面は特段の機能を有するものではないが、本発明によれば周壁の上面を中間誘導面として有効活用することができるので、周壁の厚みを増大したり周壁からの突出部を設けたりするハウジングの大型化に依存しなくても中間誘導面を設けることができる。
【0026】
前記本発明については、前記基板に固定する固定ハウジングをさらに備えており、前記ハウジングは、前記固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングであり、前記端子は、前記固定ハウジングに対する固定部と、前記可動ハウジングに対する固定部と、前記固定ハウジングに対して前記可動ハウジングを移動可能に支持するばね部とを有するように構成できる。
【0027】
固定ハウジングと可動ハウジングとを有し、端子のばね部によって可動ハウジングを固定ハウジングに対して移動可能に支持する従来技術のコネクタ(フローティングコネクタ)では、可動ハウジングの挿入口に対して接続対象物が位置ずれしている場合、接続対象物を挿入口に挿入しなければ、端子のばね部の弾性変形によって可動ハウジングを移動させて接続対象物の位置ずれを吸収することができない。つまり、接続対象物が挿入口に進入するまでは、ばね部による可動ハウジングの移動(変位)に頼らずに接続対象物を挿入口に誘導しなければならない。そのため可動ハウジングの挿入口にはその口縁に嵌合室に通じる誘導傾斜面が設けられるが、接続対象物を誘導傾斜面まで誘導することはできない。したがってコネクタを小型化すればするほど、接続対象物の挿入口に対する位置合わせは困難となり、嵌合作業は非効率となり、嵌合作業を無理に行おうとするとばね部が塑性変形してしまうおそれがある。これに対して本発明によれば、挿入誘導面によって可動ハウジングの挿入口まで接続対象物を無理なく容易に誘導できるため、コネクタを小型化しても接続対象物の挿入口に対する位置合わせを容易に行うことができ、嵌合作業を効率的に行うことができる。
【0028】
前記本発明については、前記ばね部が前記可動ハウジングと前記固定ハウジングの間に位置しており、前記突出部が前記ばね部の上方を覆う形状に構成できる。
【0029】
本発明によれば、突出部が可動ハウジングと固定ハウジングの間に配置されているばね部の上方を覆う形状であるため、ばね部に対する外部からの異物の接触を防ぎ、ばね部を保護することができる。
【0030】
前記本発明については、前記可動ハウジングが前記嵌合室と連通する溝状の端子収容部を有しており、前記端子収容部が前記溝状の底面を形成する底面壁を有し、前記底面壁の前記底面は、前記端子収容部の前記嵌合室からの溝深さが前記嵌合室の奥側よりも前記挿入口側で深くなるように傾斜する形状であり、前記底面壁と前記嵌合室の間には前記端子の接点部との当接を回避する退避空間部を有するように構成できる。
【0031】
例えば、溝状の端子収容部の底面壁を鉛直方向に沿って形成した場合には、接続対象物の押圧接触を受けて端子収容部の内部に変位する端子の接点部が底面壁に対して接触しないように、底面壁の底面全体をできるだけ嵌合室から離して深く形成しなければならず、そうすると可動ハウジングが接続対象物の挿入方向に対する直交方向で大型化してしまう。これに対して前記本発明によれば、端子収容部の底面壁の底面が傾斜しており、底面壁と嵌合室との間に退避空間部が形成されているため、前述のように可動ハウジングを大型化しなくても底面壁に対して端子の接点部が接触しないようにすることができる。
【0032】
前記本発明については、前記底面壁の外面が前記基板側から外方に向けて傾斜する外側傾斜面を有しており、前記ばね部が前記外側傾斜面に沿って伸長する傾斜片部を有するように構成できる。
【0033】
フローティングコネクタの端子に設けるばね部として、例えば鉛直方向に沿って平行に伸長する一対の縦片と、縦片の端部間を繋ぐ円弧状の屈曲部とを有する逆U字状のばね部が知られている。そのばね部は、ばね長が短いと、ばねが硬くなり可動ハウジングを柔軟に支持することが困難になる。そのため一対の縦片をそのまま長さ方向に沿って伸ばしてばね長を長くすると、コネクタが特に高さ方向で大型化してしまう問題がある。これに対して本発明によれば、ばね部が、可動ハウジングの底面壁の外面の傾斜面に沿って斜めに伸長する傾斜片部を有するので、高さ方向にばね部を伸ばすことなくばね長を長くすることができ、可動ハウジングも柔軟に支持することができる。
【0034】
前記本発明については、前記基板に対して前記固定ハウジングを固定する固定金具をさらに備えており、前記固定金具は、少なくとも前記挿入口を覆う保護キャップの装着部を有するように構成できる。
【0035】
例えば、固定ハウジング自体に保護キャップの装着部を設けると、固定ハウジングが大型化し、また保護キャップの着脱によって固定ハウジングの装着部が損傷するおそれがある。これに対して本発明によれば、固定ハウジングに装着部を設ける必要がなく、固定金具が金属製の剛体であるため、保護キャップを確実に装着することができ、保護キャップを着脱しても固定金具が破損することもない。
【0036】
前記本発明については、前記可動ハウジングが外周面から外方に突出する変位規制突起を有しており、前記固定金具が前記変位規制突起と当接して前記可動ハウジングの移動を止める当接部を有するように構成できる。
【0037】
本発明によれば、固定金具に可動ハウジングの移動を規制する当接部を設けるので、固定ハウジングにそうした当接部を設けなくてもよく、固定金具を可動ハウジングの変位規制に有効利用できる。
【0038】
前記本発明については、前記固定金具に取付ける前記保護キャップをさらに備えるように構成できる。
【0039】
本発明によれば、保護キャップを備えるので、搬送時や実装時等に、異物が嵌合室に侵入して付着したり、端子が損傷したりするのを防止できる。
【0040】
さらに、前記目的を達成する他の本発明は以下の特徴を有するものとして構成される。
【0041】
即ち、本発明は、接続対象物を挿入する嵌合室を有する可動ハウジングと、前記可動ハウジングを配置する収容室を有する枠状の固定ハウジングと、前記可動ハウジングを前記固定ハウジングに対して移動可能に支持するばね部を有する端子とを備えるコネクタについて、前記可動ハウジングは、前記固定ハウジングの上面の少なくとも一部を覆うように外向きに突出する突出部を有し、前記突出部は、前記固定ハウジングの前記上面を覆う位置から前記嵌合室側に向けて下り、前記接続対象物の前記嵌合室側に向かう移動を誘導する傾斜面を有する。
【0042】
前記傾斜面は、前記可動ハウジングを挿入する前記収容室の内縁を跨ぐように形成されている。また、前記傾斜面は、前記接続対象物の前記嵌合室への挿入を誘導する挿入誘導面として形成されている。さらに、前記ばね部は、前記可動ハウジングと前記固定ハウジングの間に位置しており、前記突出部は、前記ばね部の上方を覆う形状である。