特許第6971276号(P6971276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971276クランプオリゴヌクレオチドを利用する核酸増幅方法
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  • 特許6971276-クランプオリゴヌクレオチドを利用する核酸増幅方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971276
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】クランプオリゴヌクレオチドを利用する核酸増幅方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6853 20180101AFI20211111BHJP
【FI】
   C12Q1/6853 Z
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-95836(P2019-95836)
(22)【出願日】2019年5月22日
(62)【分割の表示】特願2016-503235(P2016-503235)の分割
【原出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2019-176859(P2019-176859A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】61/789,685
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515256084
【氏名又は名称】アーノルド,ライル,ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】ARNOLD, Lyle, J.
(73)【特許権者】
【識別番号】515256109
【氏名又は名称】ネルソン,ノーマン,シー.
【氏名又は名称原語表記】NELSON, Norman, C.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,ライル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ノーマン,シー.
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0137484(US,A1)
【文献】 米国特許第06830884(US,B1)
【文献】 特表2000−512148(JP,A)
【文献】 特表2012−525147(JP,A)
【文献】 特表2007−503819(JP,A)
【文献】 DIEP D. et al.,Nature Methods,vol.9 no.3(2012),p.270-272
【文献】 SHEN P. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,vol.108 no.16(2011),p.6549-6554
【文献】 DOORN R. et al.,Applied and Environmental Microbiology,vol.75 no.12(2009),p.4185-4193
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68−1/6897
C12N 15/09−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸を増幅する方法であって、
A.クランプオリゴヌクレオチドおよび標的核酸を含む第一混合物において、第一および第二標的結合領域を標的核酸にアニールする工程であって、前記クランプオリゴヌクレオチドは3’−末端に前記第一標的結合領域を、かつ5’−末端に前記第二標的結合領域を、そして前記第一および第二標的結合領域の間にユーザー定義のテザー領域を含み、前記テザー領域が1つまたは複数の捕捉エレメントを含み、前記クランプオリゴヌクレオチドを前記標的核酸に沿って伸長し、前記クランプオリゴヌクレオチドの伸長反応によって生成される第一核酸と前記標的核酸を含む第一二本鎖を生成する工程;
B.前記第一核酸の末端をライゲーションし環状核酸を生成し、前記環状核酸を前記標的核酸から除去する工程;
C.前記テザー領域の少なくとも1つのプライマー結合部位に結合可能なプライマーを含む第二混合物において、前記環状核酸を前記テザー領域の前記捕捉エレメントを結合する捕捉手段を含む固体支持体上に捕捉し、そして前記プライマーを伸長して、前記第一核酸を鋳型として、前記テザー領域の少なくとも1つのプライマー結合部位に結合可能なプライマーを用いて伸長反応によって生成される第二核酸と前記第一核酸を含む第二二本鎖核酸を生成する工程;および
D.前記第二核酸を前記第一核酸から解離し、それによって前記標的核酸を増幅する工程を含み、
前記クランプオリゴヌクレオチドは1つまたは複数のバーコード部位、1つまたは複数のアダプター部位、1つまたはそれ以上の検出部位、1つまたはそれ以上の配列決定プライマー結合部位、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記環状核酸を前記標的核酸から除去する工程は、非環状核酸の酵素による分解を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2013年3月15日提出された仮特許出願シリアル61/789,685号の非仮特許出願であり、その全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、核酸の増幅方法に関する。特に、クランプオリゴヌクレオチドを使用する核酸増幅に関する。
【背景技術】
【0003】
核酸増幅のための様々な方法が当業者に知られている。試料中の標的核酸を選択的に捕捉する方法を提供することは、その特定の標的を精製、増幅および/または検出するために有用である。本発明は、増幅および配列決定などのさらなる操作のために特定の核酸標的を捕捉する方法を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、標的核酸を固定及び増幅する方法を提供する。1つの方法では、クランプオリゴヌクレオチドが、標的核酸と混合される。クランプオリゴヌクレオチドは、3'−末端に第一標的結合領域を、また5'−末端に第二標的結合領域を、そして第一および第二標的結合領域の間にユーザー定義のテザー領域を含む。テザー領域は、多種多様なユーザー定義の配列またはエレメントを含むことができる。例えば、テザー領域は、以下の1つまたはそれ以上のプライマー部位、アンカー部位および/またはバーコードならびにそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。好ましくは、テザーの領域は、少なくとも1つの捕捉エレメントおよび少なくとも1つのプライマー結合部位を含む。
【0005】
クランプオリゴヌクレオチドの第一および第二標的結合領域は標的核酸にアニールされる。クランプオリゴヌクレオチドは、その3'−末端から5'−末端へとポリメラーゼにより伸長され、第一二本鎖核酸を生成する。第一二本鎖は、第一核酸と標的核酸とを含む。第一核酸の両端は、リガーゼによって結合され、環状核酸を生成します。環状核酸は、標的核酸から外され、その後固体支持体上に設けられた捕捉手段によって捕捉される。捕捉は本技術分野で公知の種々の方法によって達成することができる。好ましくは、捕捉手段はテザー領域の捕捉エレメントを結合する。代替的には、環状第一核酸/標的複合体が固体支持体上に捕捉され、その後、第一の核酸は標的核酸から分離されてもよい。
【0006】
テザー領域の少なくとも1つのプライマー結合部位に結合することができるプライマーは、環状核酸と混合され、ポリメラーゼを用いて伸長され、第二核酸と第一核酸とを含む第二核酸二本鎖を生成する。第二核酸、すなわち増幅された標的核酸は、第一核酸から外され、今度は、PCRを用いた増幅、捕捉、検出および/または次世代配列決定を含む配列決定などのさらなる操作を受けることができる。
【0007】
本発明の他の態様は、本明細書を通して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語は、一般的に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本開示全体を通して参照されるすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体が本明細書中に参照により組み入れられる。本明細書中の用語の定義が複数ある場合には、本項の定義が優先する。
【0010】
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかであるヌクレオチドの多量体型を意味し、少なくとも2、または通常約5〜約200、またはより一般的には約100までの長さの、天然および非天然ヌクレオチドを包含する。したがって、この用語は、二本鎖および一本鎖DNAおよびRNAを含む。また、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性とすることができ、2'−O−メチルリボヌクレオチド、ホスホロチオエートヌクレオチド、ホスホロジチオエートヌクレオチド、ホスホルアミデートヌクレオチド、およびメチルホスホネートヌクレオチドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本明細書で使用される用語「標的」、「標的配列」または「標的核酸」は、精製、単離、捕捉、固定化、増幅、同定、検出、定量、質量決定および/または配列決定などが望まれる、目的のポリヌクレオチド配列を含む核酸を意味する。標的配列は、その実際の配列の点では、既知であっても未知であってもよい。
【0012】
本明細書で使用される用語「プライマー」または「プライマー配列」は、増幅すべき各特定の配列に実質的に相補的であるように選択された配列を含む核酸である。より具体的には、プライマーはそれらのそれぞれの標的にハイブリダイズするために十分に相補的である。したがって、プライマー配列は、標的の正確な配列を反映する必要はない。非相補的な塩基またはより長い配列を、プライマー中に散在させることができるが、プライマー配列が標的核酸の配列に十分に相補的であり、ハイブリダイゼーションおよび伸長が可能であることが条件である。
【0013】
さらに、プライマーは、ヌクレアーゼ耐性とすることができ、エキソヌクレアーゼによる分解を防止するために修飾されたプライマーを含む。いくつかの実施形態において、プライマーは、3'または5'エキソヌクレアーゼ活性から保護するために修飾されている。そのような修飾には、2'−O−メチルリボヌクレオチドの修飾、ホスホロチオエート骨格修飾、ホスホロジチオエート骨格修飾、ホスホロアミデート骨格修飾、メチルホスホネート骨格修飾、3'−末端リン酸修飾および3'アルキル置換が挙げられるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、増幅反応において使用されるプライマーおよび/またはプローブは、1つまたは複数の修飾により、3'および/または5'エキソヌクレアーゼ活性から保護される。
【0014】
当業者は、標的配列の伸長のために適切であるプライマーを設計し、製造することができる。本明細書で提供される方法および組成物における使用のためのプライマーの長さは、ヌクレオチド配列同一性や、これらの核酸がハイブリダイズされ、またはインビトロでの核酸伸長の間に使用される温度等のいくつかの要因に依存する。特定の配列同一性のプライマーの好ましい長さを決定するのに必要な検討事項は当業者に知られている。
【0015】
用語「支持体」または「固体支持体」とは、マイクロタイターウェル、ビーズ、粒子または繊維等のポリマー、および、スライドガラスまたはチューブなどのシランまたはケイ酸塩支持体等の従来の支持体を意味し、そこに捕捉分子が共有結合または非共有結合される。
【0016】
本明細書で使用される用語「試料」は、限定されるものではないが、生物の任意の部分から得られた血液、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、涙または唾液、尿、精液、糞便、喀痰、嘔吐物、胃吸引液、気管支吸引液、スワブ(鼻咽頭、直腸、眼、尿生殖器等)、臓器、筋肉、骨髄、FFPE組織、皮膚、腫瘍および/または細胞などのヒトまたは動物から単離された組織または液体;植物材料、細胞、流体等;個々の細菌、細菌の群やその培養物;食品;化粧品;薬/医薬品;バイオプロセスを経由して調製された材料(完成品及び中間原料);水;限定されるものではないが、土壌、水、空気などの環境試料;上述された源由来の半精製または精製された核酸;限定されるものではないが、次世代配列決定、試料プロセッシング、ヌクレアーゼ消化、制限酵素消化、複製等の配列決定のためのテンプレート形成のようなプロセスの結果である核酸等、を含むが、これらに限定されるものではなく、本質的に所望の標的核酸を含むあらゆる試料を意味する。
【0017】
本明細書で使用される用語「増幅すること(amplifying)」または「増幅(amplification)」とは、完全な標的核酸配列またはその一部と同一または相補的である核酸鎖、または標的核酸配列の代用として機能するユニバーサル配列を生成するプロセスを意味する。
【0018】
本明細書で使用される用語「固定される(affixed)」とは、第一および第二オリゴヌクレオチドなどの固体支持体への(各)分子の結合を意味する。本技術分野で一般に知られている多種多様な方法を結合のために使用することができる。1つの好ましい方法は共有結合である。
【0019】
本明細書で使用される用語「核酸」は、標準的なホスホジエステル結合または他の結合によって共有結合された含窒素複素環式塩基または塩基類似体を有するヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含むオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチド化合物を意味する。核酸としては、RNA、DNA、キメラDNA−RNAポリマー又はそれらの類似体などが挙げられる。核酸では、骨格は、1つ以上の糖−ホスホジエステル結合、ぺプチド−核酸(PNA)結合(国際公開第95/32305号)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、またはそれらの組み合わせなどの種々の結合から構成される。核酸中の糖部分は、リボース、デオキシリボース、または2'メトキシおよび2'ハロゲン化物(2'−F等)置換等の置換を有する類似化合物である。
【0020】
窒素含有塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、u)、イソシトシンおよびイソグアニンなどの非天然ヌクレオチド、それらの類似体(例えばイノシン;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36, Adams et al., ed., 11th ed., 1992)、プリンまたはピリミジン塩基の誘導体(例えば、N4−メチルデオキシグアノシン、デアザ−またはアザ−プリン、デアザ−またはアザ−ピリミジン、様々な化学的な位置のいずれかで変更されたまたは交換された置換基を有するピリミジンまたはプリン、例えば、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O6−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン、4−アミノピリミジン、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン、およびO4−アルキルピリミジン、または非置換または3−置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンなどのピラゾロ化合物(例えば、米国特許第5,378,825号明細書、同第6,949,367号明細書および国際公開第93/13121号))であればよい。
【0021】
核酸は、骨格が1つ以上の位置で窒素含有塩基を有さない「脱塩基」位を含むことができる(米国特許第5,585,481号明細書)。例えば、1つまたは複数の脱塩基位が、独立したオリゴヌクレオチド配列を一緒につなげるリンカー領域を形成することができる。核酸は、従来のRNAおよびDNAに見られるように従来の糖、塩基、および結合のみを含んでいてもよく、従来の構成要素および置換を含むこともできる(例えば、2'メトキシ骨格で連結された通常の塩基、または従来の塩基および1つまたは複数の類似体の混合物を含むポリマー)。この用語は、「ロックド核酸」(LNA)を含み、RNA模倣糖コンフォメーションにおいてロックされた二環式フラノースを有する1つまたは複数のLNAヌクレオチドモノマーを含み、一本鎖RNA、一本鎖DNA、または二本鎖DNA中の相補的な配列のためのハイブリダイゼーション親和性を強化させる(Vester et al., 2004, Biochemistry 43(42):13233-41)。
【0022】
本明細書で使用される用語「放出すること(releasing)」または「放出された(released)」は、2つの別個のオリゴヌクレオチド鎖を形成する核酸の二本鎖を変性させる温度まで加熱することにより、そのテンプレートから所望の増幅された核酸を分離することを意味する。
【0023】
本明細書で使用される用語「除去すること(removing)」は、二本鎖の1つの核酸鎖をもう一方から単離、さもなければ除去および分離するために使用される種々の方法を意味し、例えば二本鎖の鎖の一方の酵素的、熱的および/または化学的消化、分解および/または開裂、または熱、音響エネルギー、化学物質、酵素またはそれらの組み合わせによる鎖の変性/解離等である。
【0024】
用語「タグ領域」または「タグ配列」は、オリゴヌクレオチドまたはプライマーなどの他の核酸構造中に1つ以上の所望の機能を与えるために組み込まれるユーザーにより定義された1つまたは複数の核酸配列を意味する。そのようなエレメントの例としては、例えば、アダプタ、配列決定プライマー、増幅プライマー、捕捉及び/又はアンカーエレメント、ハイブリダイゼーション部位、プロモーターエレメント、制限エンドヌクレアーゼ部位、検出エレメント、質量タグ、バーコード、結合エレメント、および/または非天然ヌクレオチドなどが挙げられる。他のエレメントとしては、混合物中で他の核酸または核酸断片から、タグ配列が組み込まれている1つあるいはそれ以上の核酸または核酸断片を明確に区別するおよび/または同定するもの、交差反応性などを最小限に抑えるため核酸の混合物中において他に存在しないエレメント、および配列方向の決定を補助するためのエレメントなどを含む。タグ配列内のいくつかまたはすべてのエレメントは、増幅産物中に組み込むことができる。
【0025】
本明細書中で使用される用語「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする(hybridize)」、「アニール(anneal)」または「アニーリング(annealing)」は、適切な条件下で、実質的に相補的な配列を有する核酸がワトソン・クリック塩基対合によって互いに結合するための能力を意味する。核酸のアニーリングまたはハイブリダイゼーション技術は本技術分野で周知である。参照:Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y. (1989); Ausubel, F.M., et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Secaucus, N.J.(1994)。本明細書で使用される用語「実質的に相補的」は、結合核酸の完全な相補性、(いくつかの場合においては同一の配列を意味する)、ならびに核酸の所望の結合を達成するのに十分な相補性の両方を意味する。同様に、用語「相補的なハイブリッド」は、実質的に相補的なハイブリッドを包含する。
【0026】
本明細書で使用される用語「アンカー配列」または「アンカー」は、多くの場合タグ配列を介した組み込みにより、核酸標的配列に付加されるユーザー定義の配列を意味する。アンカーは、配列決定などの後のプロセッシングを容易にするために、例えば、アンカーを有する標的核酸を精製、捕捉、固定化またはそうでなければ単離するために使用することができる。
【0027】
核酸配列を増幅する一般的な方法は、本技術分野において、十分に説明され、周知である。そのような方法はいずれも、本発明の方法で用いることができる。一部の実施形態において、増幅は、例えば、VogelsteinおよびKinzler("Digital PCR," PNAS, 96:9236-9241(1999)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたもののようなデジタルPCR法を使用する。そのような方法は、標的領域の増幅に先立ち、標的領域を含む試料を希釈することを含む。希釈は、従来のプレート、マルチウェルプレート、ナノウェルへの希釈、及びマイクロパッド上への希釈または微小液滴などを含むことができる。(参照:Beer NR, et al., "On-chip, real time, single copy polymerase chain reaction in picoliter droplets," Anal. Chem. 79(22):8471-8475(2007); Vogelstein and Kinzler, "Digital PCR," PNAS, 96:9236-9241(1999);およびPohl and Shih, "Principle and applications of digital PCR," Expert Review of Molecular Diagnostics, 4(1):41-47 (2004);これらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)いくつかの実施形態において、増幅はデジタルPCRによるものである。
【0028】
いくつかの場合において、標的領域の増幅のために、本発明の方法で使用される酵素には、3'-5'エキソヌクレアーゼプルーフリーディング能力を有するDNAポリメラーゼなどの高忠実度DNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この方法で使用することができる酵素の例としては、AmpliTaq、Phusion HS II、Deep Vent、およびKapa HiFiDNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
高忠実度酵素は、標的配列の高忠実度(高精度)増幅を可能にする。いくつかの実施形態において、用いられる酵素は、3'−5'エキソヌクレアーゼプルーフリーディング能力を有するDNAポリメラーゼ等の高忠実度DNAポリメラーゼを含む。この方法で使用することができる酵素としては、AmpliTaq、Phusion HS II、Deep Vent、およびKapa HiFiDNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
増幅産物は、当業者に公知の多くの方法、例えばこれらに限定されるものではないが、経口、電気化学検出、ゲル分析および配列決定などを用いて分析/検出することができる。さらに、産物は、リアルタイム増幅等の当業者に公知の多くの方法を用いて定量することができる。定量は、アクチンまたはGAPDHなどのいわゆる「ハウスキーピング遺伝子」と、または既知の量で反応に添加できる内部標準と比較することによって標準化することができる。そのような方法は周知であり、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3nd Ed.)(2001)に記載されている。
【0031】
本明細書に記載の方法を実行するための機器類は容易に入手可能である。このような機器には、リアルタイムおよびエンドポイントPCRアッセイ、エマルジョンPCR、固相PCR、融解曲線分析、および配列決定分析のための機器が挙げられる。このような機器には、7500 Fast Dxリアルタイム機器(高解像度融解曲線分析も可能)(ライフ・テクノロジーズ社、カリフォルニア州カールスバッド)および3500x1キャピラリーゲル機器が含まれる。本発明の方法において有用である本技術分野で公知の他の機器も、本発明の方法を実施する際に当業者の使用のために考慮される。
【0032】
本発明は、クランプオリゴヌクレオチドを用い、さらなる操作のために、目的の核酸を選択的に捕捉し、標的テンプレートを準備する方法を提供する。例えば、標的核酸と複合化されたクランプオリゴヌクレオチドを環状テンプレートを作製するために利用することができる。このテンプレートは、その後、例えば、増幅、検出、定量および次世代配列決定などの配列決定等のさらなる操作のために単離することができる。
【0033】
一実施形態では、クランプオリゴヌクレオチドは、2つの標的核酸結合領域を含み、テザー領域によって両端に1つづつ分離されている。このテザー領域は、1つまたは複数のプライマー部位(例えば、プライマー部位がテザー領域の両端に位置し、標的結合領域の内側に位置する)、1つまたは複数のアンカー部位、1つまたは複数のアダプター部位、1つまたは複数の検出部位、1つまたは複数の配列決定プライマー結合部位および/または1つまたは複数のバーコードなどを含む多種多様な機能性配列を含むことができる。テザー領域は、ターゲット上の所望の位置で2つの標的結合領域の結合を可能にするために必要な長さを提供する。
【0034】
別の実施形態では、テザーの領域はさらに、特に所望の機能のために他の化学分子を含むことができる。例えば、標的捕捉を行うために利用することができる分子は、テザーの領域に沿って1つまたは複数の位置に配置することができる。例えば、クランプオリゴヌクレオチド中の1つまたは複数の位置に組み込まれたビオチンは、ストレプトアビジン修飾固体支持体上へのクランプオリゴヌクレオチド/標的核酸複合体の固定化を容易にする。同様に、クランプオリゴヌクレオチド中の1つまたは複数の位置に組み込まれたジゴキシゲニンは、抗ジゴキシゲニン抗体修飾固体支持体上へのクランプオリゴヌクレオチド/標的核酸複合体の固定化を容易にする。あるいは、クランプオリゴヌクレオチドのテザー領域に含まれた特定のユーザ定義の捕捉配列は、特定の捕捉配列に対する相補体が結合されている固体支持体上へのクランプオリゴヌクレオチド/標的核酸複合体の固定化を容易にする。
【0035】
1つの実施態様において、標的結合領域は目的の標的核酸に相補的な配列を含み、それにより特異的な結合を容易にする。本発明の1つの方法において、クランプオリゴヌクレオチドおよび目的の標的を含有する試料は合わせられ、または混合される。この例では、クランプオリゴヌクレオチドはテザーの領域に沿ってビオチンを含むように修飾される。クランプオリゴヌクレオチドの2つの標的結合領域は標的核酸にアニールされる。これらの領域は、標的核酸配列内で互いから所望の距離になるように選択される。クランプオリゴヌクレオチドは3'−末端から5'−末端に伸長され、端部がリガーゼによって接合され、標的配列のセグメントの相補体とクランプオリゴヌクレオチドとを含む環状核酸を生成する。環状核酸は、標的核酸から外され、例えば、ビオチン化クランプオリゴヌクレオチドを強固に結合するストレプトアビジン化(または他の適切な結合パートナー)固体支持体など用いて溶液から捕捉される。
【0036】
捕捉された環状核酸は、ここでさらなる操作を受けることができる。例えば、環状核酸は、PCRおよびローリングサークル増幅等の本技術分野で公知の方法を用いて増幅することができる。プライマー部位は、元の標的核酸と関連付けられる配列内、またはユーザー定義のテザー領域の配列内、あるいはこれら2つの組み合わせで選択することができる。プライマーがテザー領域内にある場合は、同じプライマーを複数の標的核酸から生成された種々のクランプオリゴヌクレオチドに使用することができ、多重形式で汎用増幅を可能とする。また、例えば、アダプタ、バーコードおよび配列決定プライマー部位は、次世代配列決定などの配列決定のためのテンプレートの生成を容易にするために利用することができる。更に、クランプオリゴヌクレオチド生成環状テンプレートにおける標的核酸は、直接配列決定することができる。当業者に知られている他の機能も同様に実行されてもよい。
【0037】
この実施形態の別の態様では、クランプオリゴヌクレオチドの標的結合領域はランダムとすることができ、全ゲノムまたは全トランスクリプトームの増幅などの増幅に用いるゲノムまたはトランスクリプトーム内のすべての配列への結合が可能となる。あるいは、標的結合領域は、ゲノムの特定の領域など標的核酸のいくつかの特異的な配列、ならびに標的領域内の多くの異なる潜在的配列への結合を可能とするためのいくつかのランダム領域を含むように設計されたセミランダムであってもよい。標的結合領域はまた、例えば、非リボゾームRNA転写物などの特定の種類の核酸に結合するように設計された、よりランダムでないものとすることもできる。
【0038】
上述した情報は、装置及び方法の実施形態を製造および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に与えるために設けられており、発明者が自分の発明で考慮する範囲を限定することを意図するものではない。(当業者に明らかである発明を実施するための)上記の態様の改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本明細書において引用した全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、種々の方法で引用された洗浄工程の多くは任意であり、2つの核酸鎖をお互いに除去および/または分離するいくつかの工程も同様である。洗浄および/または分離工程の少なくとも一部を実施しないことにより、所望の結果を達成しながら、より速く、より簡単でより経済的なワークフローをもたらす。別の例では、例示の方法における特定のオリゴヌクレオチドおよび/または標的核酸の段階的な添加および/または結合は、併合してもよい。さらに、多種多様なポリメラーゼ、伸長条件及び当業者に公知の他の増幅プロトコルは、上述の方法における様々な工程または、工程の組み合わせにおいて使用することができる。当業者に明白である開示された方法への他の自明な変更も本発明に包含される。
図1