(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トップコート層がスピンコーティングによって形成され、前記スピンコーティングの間に前記表面活性ポリマーが前記トップコート層の上部表面に移動し、前記トップコート層の上部表面が本質的に前記表面活性ポリマーからなる、請求項5〜8のいずれか一項 に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
トップコート組成物
本発明のトップコート組成物は、マトリックスポリマー、表面活性ポリマーおよび溶媒混合物を含み、1つ以上の追加の、任意選択の成分を含有することができる。フォトレジスト層の上に適用される本発明の好ましいトップコート組成物は、液浸リソグラフィ方法において使用される液浸流体中へのフォトレジストの成分層の移動を最小化または防止することができる。本発明の好ましいトップコート組成物において、表面活性ポリマーは自己分離性である。本明細書中で用いられるとき、用語「液浸流体」は、液浸リソグラフィを行なうために露光ツールのレンズとフォトレジストがコートされた基材との間に挟まれた流体、典型的に水を意味する。
【0017】
また本明細書中で用いられるとき、トップコート層は、同じ方法において、しかしトップコート組成物層を使用せずに加工される同じフォトレジストシステムに対してトップコート組成物を使用した時に減少量の酸または有機材料が液浸流体中に検出される場合、液浸流体中へのフォトレジスト材料の移動を抑制すると考えられる。液浸流体中のフォトレジスト材料の検出は、(オーバーコートされたトップコート組成物層を有するおよび有さない)フォトレジストの露光前におよび次に液浸流体を通しての露光によって(オーバーコートされたトップコート組成物層を有するおよび有さない)フォトレジスト層をリソグラフィ加工した後に液浸流体の質量分光分析によって行なうことができる。好ましくは、トップコート組成物は、一切のトップコート層を使用しない(すなわち、液浸流体がフォトレジスト層と直接に接触する)同じフォトレジストに対して液浸流体中に存在するフォトレジスト材料(例えば、質量分光分析によって検出される酸または有機化合物)の少なくとも10パーセントの低減をもたらし、より好ましくはトップコート組成物は、トップコート層を使用しない同じフォトレジストに対して液浸流体中に存在するフォトレジスト材料の少なくとも20、50、または100パーセントの低減をもたらす。
【0018】
本発明の好ましいトップコート組成物は、欠陥特性、例えば、コーティング欠陥および/またはパターンの欠陥の改良を可能にすることができる。さらに、本発明のトップコート組成物は、好ましい接触角特性、例えば、より大きいプロセス処理量に解釈できる高い走査速度を可能にする際に液浸リソグラフィ方法において重要である液浸流体境界面での特性である、後退接触角(RCA)を示すことができる。トップコート組成物は、例えば、水性塩基現像剤中で、層の露光領域および非露光領域の両方についてすぐれた現像剤溶解性を有するトップコート層を提供する。乾燥リソグラフィにおいてまたはより典型的に液浸リソグラフィ方法においてこの組成物を使用することができる。露光波長は、フォトレジスト組成物によっての場合を除いて特に限定されないが、300nm未満、例えば、248nm、193nmの波長またはEUV波長(例えば、13.4nm)が典型的である。193nmの液浸リソグラフィ方法においての組成物の使用が特に好ましい。
【0019】
本発明において有用なポリマーは水性アルカリに可溶性であり、水性アルカリ現像剤、例えば、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、典型的に0.26NのTMAH水溶液を使用するレジスト現像工程において、組成物から形成されるトップコート層を除去できるようにする。異なったポリマーが好適には、様々な相対量で存在していてもよい。
【0020】
重合アクリレート基、ポリエステル、または、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、重合芳香族(メタ)アクリレート、および重合ビニル芳香族モノマーによって提供されるような他の繰り返し単位および/またはポリマー主鎖構造を含むポリマーなどの様々なポリマーを本発明のトップコート組成物において使用してもよい。典型的に、ポリマーは少なくとも2つの異なった繰り返し単位を含有する。異なったポリマーが好適には、様々な相対量で存在していてもよい。
【0021】
本発明のトップコート組成物のポリマーは、例えば、1つ以上の、疎水基;弱酸基;強酸基;分岐状の場合により置換されたアルキルまたはシクロアルキル基;フルオロアルキル基;または例えばエステル、エーテル、カルボキシ、またはスルホニル基などの極性基など、様々な繰り返し単位を含有してもよい。ポリマーの繰り返し単位上の特定の官能基の存在は、例えば、ポリマーの所期の官能価に左右される。
【0022】
特定の好ましい態様において、コーティング組成物の1つ以上のポリマーが、リソグラフィ加工の間に反応性である1つ以上の基、例えば、酸および熱の存在下で開裂反応を受けることができる1つ以上の光酸−酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基(例えば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート、アダマンチルアクリレートの重合によって提供されるようなt−ブチルエステル基)および/またはビニルエーテル化合物の重合によって提供されるようなアセタール基を含む。このような基の存在によって、関連ポリマーを現像剤溶液中により可溶性にすることができ、それによって現像プロセスの間の現像性およびトップコート層の除去を促進する。
【0023】
ポリマーは有利には、トップコート層の特性を調整するように選択することができ、それぞれ一般的に1つ以上の目的または機能の役割を果たす。このような機能には、例えば、フォトレジストプロファイル調整、トップコート表面調整、欠陥の低減およびトップコートとフォトレジスト層との間の界面混合の低減のうちの1つ以上が含まれる。
【0024】
ポリマーは有利には、トップコート層の特性を調整するように選択することができ、それぞれ一般的に1つ以上の目的または機能の役割を果たす。このような機能には、例えば、フォトレジストプロファイル調整、トップコート表面調整、欠陥の低減およびトップコートとフォトレジスト層との間の界面混合の低減のうちの1つ以上が含まれる。
【0025】
トップコート組成物は、1つ以上の異なったタイプの繰り返し単位を含有してもよい(2つまたは3つの異なった繰り返し単位が典型的である)1つ以上の、好ましくは2つ以上の(2つが典型的である)、マトリックスポリマーを含有する。マトリックスポリマーは、例えば、マイクロブリッジングによる、全欠陥を低減するための十分に高い現像剤溶解速度を提供するのがよい。マトリックスポリマーは、ポリマー現像剤溶解速度を高めるために例えば、スルホンアミド含有モノマーを含有してもよい。マトリックスポリマーのための典型的な現像剤溶解速度は、300nm/秒より大きく、好ましくは500nm/秒より大きい。マトリックスポリマーは、フッ素化されていてもフッ素化されていなくてもよい。いくつかのフォトレジスト材料について、フッ素化されたトップコートマトリックスポリマーは、トップコート層と下にあるフォトレジスト層との間の界面混合を低減するかまたは最小にすることができる。したがって、マトリックスポリマーの1つ以上の繰り返し単位は、例えば、C1〜C4フルオロアルキル基、典型的にフルオロメチルなどのフルオロアルキル基でフッ素化されることができ、例えば、スルホンアミド基(例えば、−NHSO
2CF
3)またはフルオロアルコール基(例えば、−C(CF
3)
2OH)として存在していてもよい。
【0026】
マトリックスポリマーは、表面活性ポリマーの表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有し、表面活性ポリマーと好ましくは不混和性であり、表面活性ポリマーがマトリックスポリマーから相分離して、トップコートフォトレジスト境界面から離れてトップコート層の上部表面に移動することを可能にする。マトリックスポリマーの表面エネルギーは典型的に30〜60mN/mである。
【0027】
本発明による典型的なマトリックスポリマーには、以下のものが含まれる:
【0030】
1つ以上のマトリックスポリマーが典型的に、トップコート組成物の全固形分に基づいて70〜99.9重量%、より典型的に85〜95重量%の組合せ量で組成物中に存在している。マトリックスポリマーの重量平均分子量は典型的に、400,000未満、例えば、5000〜50,000、5000〜15,000または5000〜25,000ダルトンである。
【0031】
表面活性ポリマーをトップコート組成物中に提供して、トップコート/液浸流体境界面の有益な表面特性をもたらす。特に、表面活性ポリマーは、水に対して望ましい表面特性、例えば、トップコート/液浸流体境界面での改良された静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)または滑落角(SA)の1つ以上を有益に提供することができる。特に、表面活性ポリマーはより高いRCAを可能にすることができ、それは、より速い走査速度および増加したプロセス処理量を可能にすることができる。乾燥された状態のトップコート組成物の層は典型的に、60〜90°、典型的に70〜90°、75〜85°または75〜80°の水後退接触角を有する。「乾燥された状態の」という語句は、全組成物に基づいて溶媒8重量%以下を含有することを意味する。
【0032】
表面活性ポリマーは好ましくは水性アルカリに可溶性である。表面活性ポリマーは好ましくは、マトリックスポリマーよりも低い表面エネルギーを有する。好ましくは、表面活性ポリマーは、マトリックスポリマー、ならびにトップコート組成物中に存在している任意の他のポリマーよりも著しく低い表面エネルギーを有し、それらと実質的に不混和性である。このようにして、トップコート組成物は自己分離性であることができ、そこで表面活性ポリマーは、コーティングの間に他のポリマーから離れてトップコート層の上部表面に移動する。それによって、得られたトップコート層は、液浸リソグラフィ方法の場合にトップコート//液浸流体境界面である、トップコート層の上部表面において表面活性ポリマーが豊富である。表面活性ポリマーの所望の表面エネルギーは特定のマトリックスポリマーおよびその表面エネルギーに依存するが、表面活性ポリマーの表面エネルギーは典型的に25〜35mN/m、好ましくは25〜30mN/mである。表面活性ポリマーの表面エネルギーは典型的に、マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも5〜25mN/m少なく、好ましくはマトリックスポリマーの表面エネルギーよりも5〜15mN/m少ない。
【0033】
表面活性ポリマーは、以下の一般式(I)の重合単位:
【0035】
[式中、R
1が水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、またはC1−C4ハロアルキル基を表し、水素原子またはメチルが典型的であり;R
2が独立に、水素原子または場合により置換されたアルキル基、例えば、C1−C10直鎖、C3−C10分岐またはC3−C10環状(単環式または多環式、例えば、アダマンチルまたはノルボルニル)アルキルを表し、C3−10分岐またはC3−C10環状が好ましく、少なくとも1つのR
2が水素原子ではなく、全体としてR
2基が環状構造を場合により形成し、および全体としてR
2基の炭素原子の総数が2〜20であり;R
3が、場合により置換されたC1−C4アルキレン基を表し、R
2が、R
3と環状構造を場合により形成し;およびR
4が独立に、C1−C4フルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチルが典型的である]を含む。R
2基の1つが水素原子である場合、他のR
2基は好ましくは場合により置換されたC3−C10アルキルであり、分岐または環状構造が好ましい。
【0036】
一般式(I)の適した重合単位には、例えば、以下の重合単位が含まれる:
【0040】
表面活性ポリマーは典型的にホモポリマーであるが、一般式(I)の2つ以上の異なった重合単位を含むコポリマーであり得る。表面活性ポリマーは場合により、一般式(I)の単位以外の1つ、2つ以上の追加の単位のタイプを含有することができる。一般式(I)の全重合単位は、表面活性ポリマーの全重合単位に基づいて95重量%以上、典型的に98重量%以上、または100重量%の量で表面活性ポリマー中に存在している。一般式(I)の重合単位の他に表面活性ポリマーのための適した重合単位には、例えば、酸不安定、塩基不安定、スルホンアミド、アルキルおよびエステル基から選択される1つ以上の基を含有する重合単位が含まれる。好ましくは、このような酸不安定、塩基不安定、スルホンアミド、アルキルおよびエステル基はフッ素化される。
【0041】
本発明による表面活性ポリマーにおいて使用するための典型的な追加の単位のタイプには、1つ以上の以下のモノマーの重合単位が含まれる:
【0044】
表面活性ポリマーとして有用な典型的なポリマーには例えば、一般式(I)の上述の重合単位のホモポリマーおよびコポリマー、ならびに以下のポリマー:
【0048】
[式中、xが95〜99重量%であり、yが1〜5重量%であり、aが95〜98重量%であり、bおよびcが各々1〜4重量%であり、xおよびyの合計が100重量%であり、a、bおよびcの合計が100重量%である]が含まれる。
【0049】
液浸リソグラフィのための表面活性ポリマーの下限は一般的に、フォトレジスト成分の浸出を防止する必要によって決められる。表面活性ポリマーは、トップコート組成物の全固形分に基づいて0.1〜30重量%、より典型的に3〜20重量%または5〜15重量%の量で組成物中に存在している。液浸リソグラフィのための表面活性ポリマーの下限は一般的に、フォトレジスト成分の浸出を防止する必要によって決められる。付加的ポリマーの重量平均分子量Mwは典型的に400,000未満、好ましくは5000〜50,000、より好ましくは5000〜25,000ダルトンである。
【0050】
任意選択の追加のポリマーがトップコート組成物中に存在し得る。例えば、レジストの特徴プロファイルを調節する目的のためにおよび/またはレジストのトップロスを制御するためにマトリックスポリマーおよび表面活性ポリマーの他に付加的ポリマーを提供することができる。追加のポリマーは典型的に、マトリックスポリマーと混和性であり、表面活性ポリマーと実質的に不混和性であり、表面活性ポリマーはトップコート/フォトレジスト境界面から離れて他のポリマーからトップコート表面に自己分離することができる。
【0051】
トップコート組成物を調合および流延する典型的な溶媒材料は、トップコート組成物の成分を溶解または分散させるが下にあるフォトレジスト層を感知できる程度に溶解しない任意の材料である。好ましくは全溶媒は有機系であり(すなわち、50重量%超の有機溶媒)、典型的に90〜100重量%、より典型的に99〜100重量%、または100重量%有機溶媒であり、全溶媒に基づいて例えば0.05〜1重量%の量で存在していてもよい残留水または他の汚染物質を含めない。好ましくは、異なった溶媒、例えば、2つ、3つ以上の溶媒の混合物を使用して、組成物中の分離性の表面活性ポリマーの、他のポリマーからの有効な相分離を達成することができる。また、溶媒混合物は、分配体積の低減を可能にする調合物の粘度を低減するために有効であり得る。
【0052】
典型的な態様において、二溶媒系または三溶媒系を本発明のトップコート組成物において使用することができる。好ましい溶媒系は、一次溶媒と付加的溶媒とを含有し、より薄い溶媒を含有してもよい。一次溶媒は典型的に、トップコート組成物の非溶媒成分に対してすぐれた溶解性を示す。一次溶媒の所望の沸点は溶媒系の他の成分に依存するが、沸点は典型的に付加的溶媒の沸点よりも低く、約130℃などの120〜140℃の沸点が典型的である。適した一次溶媒には、例えば、C4〜C10一価アルコール、例えばn−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソヘキサノール、イソヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノールおよび1−デカノール、ならびにそれらの混合物が含まれる。一次溶媒は典型的に、溶媒系に基づいて30〜80重量%の量で存在している。
【0053】
付加的溶媒は、トップコート組成物中の表面活性ポリマーとその他のポリマーとの間の相分離を促進して、自己分離トップコート構造を促進することができる。さらに、より高沸点の付加的溶媒はコーティングの間の先端乾燥効果を低減することができる。付加的溶媒が溶媒系の他の成分よりも高沸点を有することは典型的である。付加的溶媒の所望の沸点は溶媒系の他の成分に依存するが、例えば約190℃などの170〜200℃の沸点が典型的である。適した付加的溶媒には、例えば、以下の一般式(II)のヒドロキシアルキルエーテル:
R
5−O−R
6−O−R
7−OH (II)
【0054】
[式中、R
5が、場合により置換されたC1〜C2アルキル基であり、R
6およびR
7が独立に、場合により置換されたC2〜C4アルキル基、および異性体混合物を含むこのようなヒドロキシアルキルエーテルの混合物から選択される]などのヒドロキシアルキルエーテルが含まれる。典型的なヒドロキシアルキルエーテルには、ジアルキルグリコールモノ−アルキルエーテルおよびそれらの異性体、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、それらの異性体およびそれらの混合物が含まれる。付加的溶媒は典型的に、溶媒系に基づいて3〜15重量%の量で存在している。
【0055】
より薄い溶媒を使用して、粘度を低下すると共により低い分配体積でのコーティング被覆面積を改良することができる。より薄い溶媒は典型的に、一次溶媒に対して組成物の非溶媒成分のためにそれほど十分とはいえない溶媒である。より薄い溶媒の所望の沸点は溶媒系の他の成分に依存するが、例えば約170℃などの140〜180℃の沸点が典型的である。適したより薄い溶媒には、例えば、C8〜C12n−アルカンなどのアルカン、例えば、n−オクタン、n−デカンおよびドデカン、それらの異性体およびそれらの異性体の混合物;および/または式R
14−O−R
15[式中、R
14およびR
15が独立に、C2〜C8アルキル、C2〜C6アルキルおよびC2〜C4アルキルから選択される]のアルキルエーテルなどのアルキルエーテルが含まれる。アルキルエーテル基は、直鎖または分岐、および対称および非対称であり得る。特に適したアルキルエーテルには、例えば、イソブチルエーテル、イソペンチルエーテル、イソブチルイソヘキシルエーテル、およびそれらの混合物が含まれる。他の適したより薄い溶媒には、エステル溶媒、例えば、一般式(III):
【0057】
[式中、R
8およびR
9が独立に、C3〜C8アルキルから選択され、全体としてR
8およびR
9の炭素原子の総数が6超である]によって表されるエステル溶媒が含まれる。適したこのようなエステル溶媒には、例えば、プロピルペンタノエート、イソプロピルペンタノエート、イソプロピル3−メチルブタノエート、イソプロピル2−メチルブタノエート、イソプロピルピバレート、イソブチルイソブチレート、2−メチルブチルイソブチレート、2−メチルブチル2−メチルブタノエート、2−メチルブチル2−メチルヘキサノエート、2−メチルブチルへプタノエート、ヘキシルへプタノエート、n−ブチルn−ブチラート、イソアミルn−ブチラートおよびイソアミルイソバレレートが含まれる。使用される場合、より薄い溶媒は典型的に、溶媒系に基づいて10〜70重量%の量で存在している。
【0058】
特に好ましい溶媒系には、4−メチル−2−ペンタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテルおよびイソブチルイソブチレートが含まれる。二成分系および三成分系に対して典型的な溶媒系が説明されるが、追加の溶媒を用いてもよいことは明らかであるはずである。例えば、1つ以上の追加の一次溶媒、より薄い溶媒、付加的溶媒および/または他の溶媒を使用してもよい。
【0059】
トップコート組成物は、1つ以上の他の任意選択の成分を含んでもよい。例えば、組成物は、反射防止性質を強化するためのアクチニックおよびコントラスト染料、ストリエーション防止剤等の1つ以上を含有することができる。使用される場合このような任意選択の添加剤は典型的に、トップコート組成物の全固形分に基づいて0.1〜10重量%などの少量で組成物中に存在している。
【0060】
光酸発生剤(PAG)および/または熱酸発生剤(TAG)化合物などの酸発生剤化合物をトップコート組成物中に含有することが有益である場合がある。適した光酸発生剤は化学増幅型フォトレジストの技術分野に公知であり、例えば:オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;およびハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが含まれる。このようなPAGの1つ以上を使用することができる。
【0061】
適した熱酸発生剤には、例えば、ニトロベンジルトシレート、例えば2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレート;ベンゼンスルホネート、例えば2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネート;フェノールスルホネートエステル、例えばフェニル,4−メトキシベンゼンスルホネート;有機酸のアルキルアンモニウム塩、例えば10−ショウノウスルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩;および特定のオニウム塩が含まれる。(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)に開示されているものなどの様々な芳香族(アントラセン、ナフタレン、ナフタリンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして使用することができる。TAGの例には、King Industries,Norwalk,Conn.USAによってNACURE(商標)、CDX(商標)およびK−PURE(商標)の名称、例えば、NACURE5225、CDX−2168E、K−PURE(商標)2678およびK−PURE(商標)2700として販売されているTAGが含まれる。このようなTAGの1つ以上を使用することができる。
【0062】
使用される場合、1つ以上の酸発生剤がトップコート組成物中で比較的少量で、例えば、組成物の全固形分に基づいて0.1重量%〜8重量%で利用されてもよい。1つ以上の酸発生剤化合物のこのような使用は、下にあるレジスト層においてパターン化される現像画像のリソグラフィ性能、特に解像度に有利に影響を与える場合がある。
【0063】
組成物から形成されるトップコート層は典型的に、193nmにおいて1.4以上、好ましくは193nmにおいて1.47以上の屈折率を有する。屈折率は、オーバーコート組成物のマトリックスポリマー、表面活性ポリマー、付加的ポリマーまたは他の成分の組成を変化させることによって調節することができる。例えば、オーバーコート組成物中の有機物含量の相対量を増加させることによって、層の増加した屈折率を提供してもよい。好ましいオーバーコート組成物層は、目標露光波長において液浸流体とフォトレジストとの屈折率の間の屈折率を有する。
【0064】
フォトレジストトップコート組成物は、公知の手順に従って調製することができる。例えば、組成物は、組成物の固体成分を溶媒成分中に溶解することによって調製することができる。組成物の所望の全固形分は、組成物中の特定のポリマーおよび所望の最終層厚さなどの要因に依存する。好ましくは、オーバーコート組成物の固形分は、組成物の全重量に基づいて1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。全組成物の粘度は典型的に1.5〜2センチポアズ(cp)である。
【0065】
フォトレジスト組成物
本発明の方法において有用なフォトレジスト組成物には、酸感受性であるマトリックスポリマーを含む化学増幅型フォトレジスト組成物が含まれるが、それは、フォトレジスト組成物の層の一部として、ポリマーおよび組成物層が、ソフトベーク、活性化放射線への露光および露光後ベークの後に光酸発生剤によって発生した酸との反応の結果として現像剤への溶解性の変化を受けることを意味する。レジスト調合物は、ポジとして作用することもネガとして作用することもあり得るが、典型的にポジとして作用する。ポジ型フォトレジストにおいて、マトリックスポリマー中の光酸不安定エステルまたはアセタール基などの酸不安定基が活性化放射線への露光および熱処理時に光酸促進脱保護反応を受ける際に溶解性の変化が典型的に引き起こされる。本発明のために有用な、適するフォトレジスト組成物は市販されている。
【0066】
例えば193nmの波長で画像化するために、マトリックスポリマーは典型的に、フェニル、ベンジルまたは他の芳香族基を実質的に含有しないか(例えば、15モル%未満)または完全に含有せず、このような基は放射線を高度に吸収性である。芳香族基を実質的にまたは完全に含有しない、適するポリマーは、全てShipley Companyの(特許文献7)および(特許文献8)および(特許文献9)に開示されている。好ましい酸不安定基には、例えば、アセタール基、またはマトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合している第三非環状アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含有するエステル基が含まれる。
【0067】
適したマトリックスポリマーには、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレート等、ならびにその他の非環状アルキルおよび脂環式(アルキル)アクリレートなどの酸不安定(アルキル)アクリレート単位を好ましくは含む、(アルキル)アクリレート単位を含有するポリマーがさらに含まれる。このようなポリマーは、例えば、(特許文献10)、(特許文献11)および(特許文献7)、および(特許文献12)に記載されている。他の適したマトリックスポリマーには、例えば、場合により置換されたノルボルネンなどの非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含有するマトリックスポリマー、例えば、(特許文献13)および(特許文献14)に記載されたポリマーが含まれる。さらに他の適したマトリックスポリマーには、(特許文献11)および(特許文献15)に開示されているような、重合無水物単位、特に重合無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含有するポリマーが含まれる。
【0068】
また、マトリックスポリマーとして適しているのは、ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含有する繰り返し単位(しかし無水物以外、すなわち、単位はケト環原子を含有しない)を含有する樹脂である。ヘテロ脂環式単位はポリマーの主鎖に縮合することができ、ノルボルネン基の重合によって提供されるような縮合炭素脂環式単位および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合によって提供されるような無水物単位を含むことができる。このようなポリマーは、(特許文献16)および(特許文献17)に開示されている。他の適したヘテロ原子基含有マトリックスポリマーには、(特許文献18)に開示されているような、1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素または硫黄)含有基、例えば、ヒドロキシナフチル基で置換された重合炭素環アリール単位を含有するポリマーが含まれる。
【0069】
2つ以上の上述のマトリックスポリマーのブレンドを好適にはフォトレジスト組成物において使用することができる。
【0070】
フォトレジスト組成物において使用するための適したマトリックスポリマーは市販されており、当業者によって容易に製造され得る。マトリックスポリマーは、レジストの露光されたコーティング層を適した現像剤溶液中で現像可能にするために十分な量でレジスト組成物中に存在している。典型的に、マトリックスポリマーは、レジスト組成物の全固形分に基づいて50〜95重量%の量で組成物中に存在している。マトリックスポリマーの重量平均分子量M
wは典型的に、100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的に5000〜15,000である。
【0071】
フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光時に組成物のコーティング層に潜像を生じるために十分な量で使用される光酸発生剤(PAG)などの光活性成分をさらに含む。例えば、光酸発生剤は好適には、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて約1〜20重量%の量で存在している。典型的に、非化学増幅型材料と比較して化学増幅型レジストのためにPAGのより少ない量が適している。適したPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野に公知であり、例えば、トップコート組成物に対して上に記載されたPAGが含まれる。
【0072】
フォトレジスト組成物のための適した溶媒には、例えば:グリコールエーテル、例えば2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;ラクテート、例えばメチルラクテートおよびエチルラクテート;プロピオネート、例えばメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、エチルエトキシプロピオネートおよびメチル−2−ヒドロキシイソブチレート;セロソルブエステル、例えばメチルセロソルブアセテート;芳香族炭化水素、例えばトルエンおよびキシレン;およびケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが含まれる。溶媒のブレンド、例えば上に記載された溶媒の2つ、3つ以上のブレンドもまた適している。溶媒は典型的に、フォトレジスト組成物の全重量に基づいて90〜99重量%、より典型的に95〜98重量%の量で組成物中に存在している。
【0073】
また、フォトレジスト組成物は他の任意選択の材料を含有することができる。例えば、組成物は、アクチニックおよびコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤等の1つ以上を含有することができる。使用される場合このような任意選択の添加剤は典型的に、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて0.1〜10重量%などの少量で組成物中に存在している。
【0074】
レジスト組成物の好ましい任意選択の添加剤は付加的な塩基である。適した塩基は当技術分野に公知であり、例えば、直鎖および環状アミドおよびそれらの誘導体、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オンおよびtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル−)プロパン−2−イルカルバメート;芳香族アミン、例えばピリジン、およびジ−tert−ブチルピリジン;脂肪族アミン、例えばトリイソプロパノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、および2−(ジブチルアミノ)エタノール、2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール;環状脂肪族アミン、例えば1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシレート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレートおよびN(2−アセトキシ−エチル)モルホリンなどが含まれる。付加的な塩基は好適には、比較的少量において、例えば、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%において使用される。
【0075】
フォトレジストは公知の手順に従って調製することができる。例えば、レジストは、フォトレジストの固体成分を溶媒成分中に溶解することによってコーティング組成物として調製することができる。フォトレジストの所望の全固形分は、組成物中の特定のポリマー、最終層厚さおよび露光波長などの要因に依存する。典型的にフォトレジストの固形分は、フォトレジスト組成物の全重量に基づいて1〜10重量%、より典型的に2〜5重量%変化する。
【0076】
リソグラフィ加工
スピンコーティング、浸漬、ローラー−コーティングまたは他の従来のコーティング技術などによって液体フォトレジスト組成物を基材に適用することができ、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分を調節して、利用される特定のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングのために考慮される時間量に基づいて所望のフィルムの厚さを提供することができる。
【0077】
本発明の方法において使用されるフォトレジスト組成物は好適には、フォトレジストを適用するための従来の方法で基材に適用される。例えば、マイクロプロセッサーまたは他の集積回路部品の製造のために表面上に特徴を有するシリコンウエハーまたは1つ以上の層でコートされたシリコンウエハーの上に組成物を適用してもよい。また、アルミニウム−酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英、銅、ガラス基材等を好適には使用してもよい。フォトレジスト組成物は典型的に、反射防止層、例えば、有機反射防止層の上に適用される。
【0078】
本発明のトップコート組成物をフォトレジスト組成物に関して上に記載されたような任意の適した方法によってフォトレジスト組成物の上に適用することができ、スピンコーティングが典型的である。
【0079】
フォトレジストを表面上にコートした後、それを加熱して(ソフトベークして)、典型的にフォトレジストコーティングが不粘着性になるまで溶媒を除去してもよく、またはトップコート組成物が適用された後にフォトレジスト層が乾燥されてもよく、フォトレジスト組成物およびトップコート組成物層の両方の溶媒が単一熱処理工程において実質的に除去されてもよい。
【0080】
次に、オーバーコートされたトップコート層を有するフォトレジスト層は、フォトレジストの光活性成分のために活性化する放射線にパターン化フォトマスクを通して露光される。露光は典型的には、液浸スキャナーを使用して行われるが、代わりに乾燥(非液浸)露光ツールを使用して行なうことができる。
【0081】
露光工程の間、フォトレジスト組成物層は、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的に約1〜100mJ/cm
2の範囲の露光エネルギーを有するパターン化された活性化放射線に露光される。フォトレジストのために活性化している放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線が、例えば光活性成分の反応を引き起こすことによって、例えば、光酸を光酸発生剤化合物から製造することによって潜像をフォトレジストに形成することができることを示す。
【0082】
フォトレジスト組成物(および感光性である場合トップコート組成物)は典型的に、短い露光波長、例えば、300nm未満、例えば248nm、193nmなどの波長および例えば13.5nmなどのEUV波長を有する放射線によって光活性化される。露光後に、組成物の層は典型的に、約70℃〜約160℃の範囲の温度で焼成される。
【0083】
その後、フィルムは典型的に、例えば:水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液、典型的に0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム;アミン溶液、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、またはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;および環状アミン、例えばピロールまたはピリジンから選択される水性塩基現像剤による処理によって現像される。一般的には、現像は当技術分野において認識されている手順による。
【0084】
フォトレジスト層の現像後に、現像された基材は、例えば、当技術分野に公知の手順に従ってレジストの露出された基材領域を化学的にエッチングまたはめっきすることによって、レジストの露出されたそれらの領域上で選択的に加工されてもよい。このような加工後に、基材上に残っているレジストは、公知のストリッピング手順を使用して基材から除去することができる。
【0085】
以下の非限定的な例は、本発明の例示である。
【実施例】
【0086】
分子量測定:
ポリマーの数平均および重量平均分子量、MnおよびMw、および多分散度(PDI)値(Mw/Mn)は、屈折率検出器を備えたWaters alliance systemでのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定された。試料を約1mg/mLの濃度のHPLC銘柄THF中に溶解し、4つのShodexカラム(KF805、KF804、KF803およびKF802)中に注入した。1mL/分の流量および35℃の温度を維持した。カラムを狭い分子量PS標準(EasiCal PS−2、Polymer Laboratories,Inc.)を使用して較正した。
【0087】
接触角の測定
トップコート組成物をEPIC(商標)2096ポジ型フォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materials)上に1100Åの厚さにコートし、次に90℃で60秒間ベークした。DI水に対する静的接触角(CA)、後退CA、前進CAおよび滑落角を各々の試料について測定した。KRUSS液滴形状分析器モデル100を使用して静的および動的接触角を測定した。動的接触角の測定のために、DI水の液体粒子サイズは50μl(マイクロリットル)であり、ウエハーステージ傾斜速度は1単位/secであった。水の液体粒子が試験ウエハー表面上に置かれると、ウエハーステージはすぐに傾斜し始めた。ウエハーステージが傾斜する間、液体粒子がその元の位置から滑落するまで20フレーム/秒の速度で液体粒子のビデオが撮られた。次に、ビデオの各々のフレームを分析し、液体粒子がちょうど滑り始めた時にフレーム上の液体粒子の画像を使用して、それらの相当する接線によって動的接触角(後退および前進)を測定した。滑落角は、液体粒子がちょうど滑り始めた時のフレームに相当するウエハーステージ傾斜角である。静的接触角の測定において、水の液体粒子は2.5μlであり、傾斜せずに試験ウエハー表面上に置かれた。接触角は、液体粒子の両面の接線によって測定された。記録された静的接触角は、液体粒子の左側および右側の面からの接触角の平均であった。
【0088】
樹脂の調製:
以下のモノマーを使用して、以下に説明されるマトリックスポリマーまたは表面活性ポリマーを調製した。実施例におけるモノマー比は、ポリマーの重量パーセント(重量%)ベースで提供される。
【0089】
【化14】
【0090】
実施例1−マトリックスポリマー(MP1)の合成
以下に説明される方法に一般的に従う方法によってマトリックスポリマー(MP1)を調製した。反応器に55.0gの4−メチル−2−ペンタノールを入れ、90℃に加熱する。20.75gの4−メチル−2−ペンタノール、81.0gのモノマーA1、および9.0gのモノマーA2を組み合わせることによってモノマー供給溶液を調製する。30.82gの4−メチル−2−ペンタノールおよび3.42gのVazo−67開始剤を組み合わせることによって開始剤供給材料を調製する。次に、モノマー供給溶液および開始剤供給溶液を反応器に導入し、それぞれ、2時間および3時間にわたって供給する。反応器を撹拌しながらさらに7時間の間90℃に維持し、次に、室温に冷却させてマトリックスポリマー(MP1)を生じる。[Mw=10.76kDa,PDI=2.3]。
【0091】
実施例2−マトリックスポリマー(MP2)の合成
以下に説明される方法に一般的に従う方法によってマトリックスポリマー(MP2)を調製した。反応器に32.53gのプロピレングリコールメチルエーテルを入れ、97℃に加熱する。28.10gのプロピレングリコールメチルエーテル、31.17gのモノマーA2、および3.28gのモノマーA3を組み合わせることによってモノマー供給溶液を調製する。4.43gのプロピレングリコールメチルエーテルおよび0.49gのVazo−67開始剤を組み合わせることによって開始剤供給材料を調製する。次に、モノマー供給溶液および開始剤供給溶液を反応器に導入し、それぞれ、2時間および3時間にわたって供給する。反応器を撹拌しながらさらに4時間の間97℃に維持し、次に、室温に冷却させてマトリックスポリマー(MP2)を生じる。[Mw=17.06kDa,PDI=2.42]。
【0092】
実施例3−マトリックスポリマー(MP3)の合成
以下に説明される方法に一般的に従う方法によってマトリックスポリマー(MP3)を調製した。反応器に103.0gの4−メチル−2−ペンタノールを入れ、90℃に加熱する。54.25gの4−メチル−2−ペンタノールおよび43.88gのモノマーA2を組み合わせることによってモノマー供給溶液を調製する。30.82gの4−メチル−2−ペンタノールおよび1.46gのVazo−67開始剤を組み合わせることによって開始剤供給材料を調製する。次に、モノマー供給溶液および開始剤供給溶液を反応器に導入し、それぞれ、2時間および3時間にわたって供給する。反応器を撹拌しながらさらに7時間の間90℃に維持し、次に、室温に冷却させてマトリックスポリマー(MP3)を生じる。[Mw=12.28kDa,PDI=2.36]。
【0093】
マトリックスポリマーについて
1H NMR(500MHz)によって決定される組成比、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値によって決定される重量平均分子量Mwおよび多分散度(PDI=Mw/Mn)が表1に示される。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例4−表面活性ポリマー(SAP1)の合成
反応器に30.0gのイソブチルイソブチレート(IBIB)を入れ、99℃に加熱した。28.57gのIBIB、40.0gのモノマーM1および1.44gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に2時間にわたって入れ、反応混合物をさらに5時間加熱した。次に、反応混合物を室温に冷却させて、表面活性ポリマー(SAP1)を生じた。[Mw=6.55kDa,PDI=1.6]。
【0096】
実施例5−表面活性ポリマー(SAP2)の合成
反応器に15.74gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を入れ、95℃に加熱した。15.33gのPGME、23.0gのモノマーM1および0.69gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に1時間にわたって入れ、反応混合物をさらに3.5時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷却させた。ポリマー溶液をメタノール/H
2Oの2:1溶媒ブレンド中に沈殿させて、白色固体として表面活性ポリマー(SAP2)を生じた。[Mw=8.52kDa,PDI=1.7]。
【0097】
実施例6−表面活性ポリマー(SAP3)の合成(比較用)
反応器に25.0gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を入れ、99℃に加熱した。23.2gのPGMEA、27.50gのモノマーM1、12.50gのモノマーM2、10.00gのモノマーM3、および1.80gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に2時間にわたって入れ、反応混合物をさらに2時間加熱した。次に、反応混合物を室温に冷却させて、表面活性ポリマー(SAP3)を生じた。[Mw=9.02kDa,PDI=1.82]。
【0098】
実施例7−表面活性ポリマー(SAP4)の合成(比較用)
反応器に12.54gのPGMEAを入れ、95℃に加熱した。15.32gのPGMEA、11.53gのモノマーM1、3.47gのモノマーM5、および0.315gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に1.5時間にわたって入れ、反応混合物をさらに3時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷却させた。ポリマー溶液をメタノール/H
2Oの4:1溶媒ブレンド中に沈殿させて、白色固体として表面活性ポリマー(SAP4)を生じた。[Mw=8.47kDa,PDI=1.96]。
【0099】
実施例8−表面活性ポリマー(SAP5)の合成(比較用)
反応器に7.0gのPGMEを入れ、90℃に加熱した。6.6gのPGME、6.46gのモノマーM1、3.54gのモノマーM4、および0.21gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に1.5時間にわたって入れ、反応混合物をさらに3時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷却させた。ポリマー溶液をメタノール/H
2Oの4:1溶媒ブレンド中に沈殿させて、白色固体として表面活性ポリマー(SAP5)を生じた。[Mw=14.06kDa,PDI=1.79]。
【0100】
実施例9−表面活性ポリマー(SAP6)の合成(比較用)
反応器に8.0gのPGMEを入れ、90℃に加熱した。5.6gのPGME、4.04gのモノマーM1、2.43gのモノマーM5、3.53gのモノマーM6および0.21gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に1時間にわたって入れ、反応混合物をさらに4時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷却させた。ポリマー溶液をメタノール/H
2Oの2:1溶媒ブレンド中に沈殿させて、白色固体として表面活性ポリマー(SAP6)を生じた。[Mw=12.62kDa,PDI=1.5]。
【0101】
実施例10−表面活性ポリマー(SAP7)の合成(比較用)
反応器に7.0gのPGMEを入れ、90℃に加熱した。6.6gのPGME、4.26gのモノマーM1、2.0gのモノマーM4、3.73gのモノマーM6、および0.21gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に1.5時間にわたって入れ、反応混合物をさらに3時間加熱した。この反応混合物を室温へ冷却させた。ポリマー溶液をメタノール/H
2Oの2:1溶媒ブレンド中に沈殿させて、白色固体として表面活性ポリマー(SAP7)を生じた。[Mw=12.95kDa,PDI=1.9]。
【0102】
実施例11−表面活性ポリマー(SAP8)の合成(比較用)
反応器に25.0gのPGMEAを入れ、99℃に加熱する。23.7gのPGMEA、40.0gのモノマーM1、10.0gのモノマーM3、および1.30gのWako V−601開始剤を組み合わせることによって供給溶液を調製した。供給溶液を反応器に2時間にわたって入れ、反応混合物をさらに2時間加熱した。次に、反応混合物を室温に冷却させて、白色固体として表面活性ポリマーSAP8を生じた。[Mw=10.87kDa,PDI=2.08]。
【0103】
表面活性ポリマーについて
1H NMR(500MHz)によって決定される組成比、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値によって決定される重量平均分子量Mwおよび多分散度(PDI=Mw/Mn)が表2に示される。
【0104】
【表2】
【0105】
トップコート組成物の調製:
固体成分を表3に示される量で溶媒系に添加することによってトップコート組成物を調合した。各々の混合物を0.2μmのPTFEディスクを通して濾過した。
【0106】
【表3】
【0107】
【化15】
【0108】
コーティングの欠陥試験手順:
トップコート組成物を300mm無被覆シリコンウエハー上のTEL Lithiusウエハートラックでコートすることによってコーティングの欠陥試験を実施した。2.6秒のディスペンス時間および90℃で60秒間のソフトベークを使用して組成物を385Åの厚さにコートした。コートされたトップコート層を60nm以上の粒子の検出のためにKLA−Tencor Surfscan SP2ウエハー表面検査ツールで検査した。結果を表4に示す。
【0109】
パターンの欠陥試験:
300mm無被覆シリコンウエハーをTEL Lithius 300mmウエハートラック上でAR(商標)40A下部反射防止コーティング(BARC)材料(The Dow Chemical Company)でコートし、205℃で60秒間硬化して、800Åの第1のBARC層を形成した。AR(商標)104BARC材料(The Dow Chemical Company)を第1のBARC層上にコートし、205℃で60秒間硬化して400Åの第2のBARC層を形成した。EPIC(商標)2099フォトレジストをBARC層積層体上にコートし、95℃で60秒間ソフトベークして、950Åフォトレジスト層を形成した。表4に示されるトップコート組成物をフォトレジスト層上にコートし、90℃で60秒間ソフトベークして、385Åトップコート層を形成した。ウエハーをASML1900i液浸スキャナー上で1.35NA、0.85/0.75インナー/アウターシグマ、X−偏光のダイポール35Y照明で、フォトマスクを通して露光して、45nmの1:1ライン/スペースパターンを形成した。ウエハーを露光後に95℃で60秒間ベークした(PEB)。ウエハーを0.26N水性TMAH現像剤で現像し、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥させてフォトレジストパターンを形成した。パターン化されたウエハーをパターンの欠陥についてKLA−Tencor2800欠陥検査ツールで検査した。欠陥の分析の結果を表4に提供する。
【0110】
【表4】
本発明の好ましい形態及び態様を以下に示す。
(1)マトリックスポリマーと表面活性ポリマーとを含むフォトレジストトップコート組成物
であって、表面活性ポリマーが、以下の一般式(I)の重合単位:
【化16】
[式中、R1が水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、またはC1−C4ハロアルキル基を表し; R2が独立に、水素原子または場合により置換されたアルキル基を表し、少なくとも1つのR2が水素原子ではなく、全体としてR2基が、環状構造を場合により形成し、および全体として前記R2 基の炭素原子の総数が2〜20であり;R3が、場合により置換されたC1−C4アルキレン基を表し、R2基が、R3と環状構造を場合により形成し;およびR4が独立に、C1−C4フルオロアルキル基を表し;
一般式(I)の全重合単位が、前記表面活性ポリマーの全重合単位に基づいて95重量% 以上の量で前記表面活性ポリマー中に存在しており; および前記表面活性ポリマーが、組成物の全固形分に基づいて0.1〜30重量%の量で組成物中に存在しており; および有機溶媒系システムが複数の有機溶媒を含む]を含む、フォトレジストトップコート組成物。
(2)一般式(I)の全重合単位が、前記表面活性ポリマーの全重合単位に基づいて100 重量%の量で前記表面活性ポリマー中に存在している、(1)に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(3)前記表面活性ポリマーがホモポリマーである、(1)に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(4)少なくとも1つのR2が、場合により置換された分岐C3−C12アルキル基である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(5)全体として前記R2 基が環状構造を形成する、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(6)R4がトリフルオロメチル基である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(7)前記マトリックスポリマーおよび前記表面活性ポリマーと異なっている付加的ポリマーをさらに含む、(1)〜(6)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物。
(8)基材上のフォトレジスト層と、前記フォトレジスト層上の(1)〜(7)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物から形成されたトップコート層とを含む、コートされた基材。
(9)(a)フォトレジスト組成物を基材の上に適用してフォトレジスト層を形成する工程と、
(b)前記フォトレジスト層の上に(1)〜(7)のいずれか一項に記載のフォトレジストトップコート組成物を適用してトップコート層を形成する工程と、
(c)前記トップコート層および前記フォトレジスト層を活性化放射線に露光する工程と、
(d)露光されたトップコート層およびフォトレジスト層を現像剤と接触させてレジストパターンを形成する工程とを含む、フォトレジスト組成物を加工する方法。
(10)前記トップコート層がスピンコーティングによって形成され、前記スピンコーティングの間に前記表面活性ポリマーが前記トップコート層の上部表面に移動し、前記トップコー
ト層の上部表面が本質的に前記表面活性ポリマーからなる、(9)に記載の方法。