(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971283
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】アンテナ構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
H01Q13/08
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-167264(P2019-167264)
(22)【出願日】2019年9月13日
(65)【公開番号】特開2020-88849(P2020-88849A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】107141917
(32)【優先日】2018年11月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508226687
【氏名又は名称】和碩聯合科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PEGATRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉安錫
(72)【発明者】
【氏名】呉嘉峰
(72)【発明者】
【氏名】鄭詠仁
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−209743(JP,A)
【文献】
特開2006−025035(JP,A)
【文献】
特開平09−116311(JP,A)
【文献】
特表2004−530325(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101931122(CN,A)
【文献】
特開2018−082277(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0162663(US,A1)
【文献】
特開2001−284951(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2002−0062396(KR,A)
【文献】
特開2008−048090(JP,A)
【文献】
特表2006−500835(JP,A)
【文献】
特表2018−507657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
H01P 5/00− 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形であり、順に繋がる第一辺、第二辺、第三辺及び第四辺を含む第一部分及び前記第一辺と前記第二辺からなる1つの角から外に延びて突出する第二部分を含むアンテナパターンと、
前記アンテナパターンの下方に配置され、前記アンテナパターンに対する投影がそれぞれ前記第三辺と前記第四辺に近い2つのスロットを含む接地層と、
前記接地層の下方に配置され、前記アンテナパターンに対する投影が前記第三辺と前記第四辺に垂直であり、前記接地層に対する投影が前記2つのスロットを横切る2つのマイクロストリップラインと、を含み、
各前記マイクロストリップラインは、延伸方向に沿って第一段と第二段に分けられ、前記第二段の前記アンテナパターンに対する投影は、前記第一段の前記アンテナパターンに対する投影より前記第一部分の中心に近く、前記第一段の幅は、前記第二段の幅より大きい、
アンテナ構造。
【請求項2】
第一の回路基板と、前記第一の回路基板の下方に配置される第二の回路基板と、を更に含み、
前記アンテナパターンは、前記第一の回路基板の上表面に配置され、前記接地層は、前記第二の回路基板の上表面に配置され、前記2つのマイクロストリップラインは、前記第二の回路基板の下表面に配置される、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項3】
前記第一の回路基板と前記第二の回路基板との間に配置されるスペーサを更に含む、
請求項2に記載のアンテナ構造。
【請求項4】
前記アンテナ構造は、周波数帯を共振するのに適し、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板との間の間隔は、前記周波数帯の0.1倍の波長である、
請求項2に記載のアンテナ構造。
【請求項5】
前記第二部分は、L形を示す、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項6】
前記第二部分が前記第一辺に突出する長さは、前記第四辺の長さの0.05倍〜0.1倍の間にあり、前記第二辺に突出する長さは、前記第三辺の長さの0.05倍〜0.1倍の間にある、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項7】
前記アンテナ構造は、周波数帯を共振するのに適し、各前記マイクロストリップラインの長さは、前記周波数帯の0.2倍の波長〜0.3倍の波長の間にある、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項8】
各前記マイクロストリップラインの前記第一段の幅は、前記第二段の幅の1.1倍〜2倍の間にある、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項9】
各前記スロットの延伸方向は、対応する前記マイクロストリップラインの延伸方向に垂直である、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項10】
前記マイクロストリップラインの一方の延伸方向は、前記マイクロストリップラインの他方の延伸方向に垂直である、
請求項1に記載のアンテナ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造に関し、特に、広帯域で良好な反射損失を有するアンテナ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスロット結合マイクロストリップラインパッチアンテナは、計3層の金属層を有し、中間の金属層は、接地面(ground plane)であり、上層の金属層は、パッチ(Patch)アンテナであり、下層の金属層は、フィードマイクロストリップラインであり、金属層の間は、メディアボードにより分離する。中間の金属層は、1つのスロットを開け、下方に位置するマイクロストリップラインが入力信号をスロットによって電界結合をパッチアンテナにフィードする。
【0003】
従来のスロット結合マイクロストリップラインパッチアンテナは、インピーダンス整合(impedance matching)の調整は容易ではなく、広帯域も上層のパッチアンテナのサイズが励起するモーダルに制限される。したがって、従来のパッチアンテナ設計は、広帯域の欠点を有し、例えば、RFIDの米国規格(0.902GHz−0.928GHz)周波数帯のような広帯域の設計上、20dBのような高い反射損失の要求を達成するのは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、広帯域で良好な反射損失を有するアンテナ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のアンテナ構造は、アンテナパターン、接地層及び2つのマイクロストリップラインを含む。アンテナパターンは、第一部分及び第二部分を含み、第一部分は矩形であり、順に繋がる第一辺、第二辺、第三辺及び第四辺を含み、第二部分は、第一辺と第二辺からなる1つの角から外に延びて突出する。接地層は、アンテナパターンの下方に配置され、2つのスロットを含み、2つのスロットのアンテナパターンに対する投影は、それぞれ第三辺と第四辺に近い。2つのマイクロストリップラインは、接地層の下方に配置され、2つのマイクロストリップラインのアンテナパターンに対する投影は、第三辺と第四辺に垂直であり、接地層に対する投影は、2つのスロットを横切り、各マイクロストリップラインは、延伸方向に沿って第一段と第二段に分けられ、第二段のアンテナパターンに対する投影は、第一段のアンテナパターンに対する投影より第一部分の中心に近く、第一段の幅は、第二段の幅より大きい。
【0006】
本発明の実施形態において、上記アンテナ構造は、第一の回路基板及び第二の回路基板を更に含む。アンテナパターンは、第一の回路基板の上表面に配置される。第二の回路基板は、第一の回路基板の下方に配置され、接地層は、第二の回路基板の上表面に配置され、2つのマイクロストリップラインは、第二の回路基板の下表面に配置される。
【0007】
本発明の実施形態において、上記アンテナ構造は、第一の回路基板と第二の回路基板との間に配置されるスペーサを更に含む。
【0008】
本発明の実施形態において、上記アンテナ構造は、周波数帯を共振するのに適し、第一の回路基板と第二の回路基板との間の間隔は、周波数帯の0.1倍の波長である。
【0009】
本発明の実施形態において、上記第二部分は、L形を示す。
【0010】
本発明の実施形態において、上記第二部分が第一辺に突出する長さは、第四辺の長さの0.05倍〜0.1倍の間にあり、第二辺に突出する長さは、第三辺の長さの0.05倍〜0.1倍の間にある。
【0011】
本発明の実施形態において、上記アンテナ構造は、周波数帯を共振するのに適し、各マイクロストリップラインの長さは、周波数帯の0.2倍の波長〜0.3倍の波長の間にある。
【0012】
本発明の実施形態において、上記各マイクロストリップラインの第一段の幅は、第二段の幅の1.1倍〜2倍の間にある。
【0013】
本発明の実施形態において、上記各スロットの延伸方向は、対応するマイクロストリップラインの延伸方向に垂直である。
【0014】
本発明の実施形態において、上記マイクロストリップラインの一方の延伸方向は、マイクロストリップラインの他方の延伸方向に垂直である。
【発明の効果】
【0015】
上記より、本発明のアンテナ構造は、マイクロストリップラインの第一段の幅を第二段の幅より大きい設計によってインピーダンス整合を調整でき、本発明のアンテナ構造のアンテナパターンと組み合わせて、第二部分を第一辺と第二辺からなる1つの角から外に延びて突出することで、本発明のアンテナ構造を、広帯域で高い反射損失のアンテナとする。
【0016】
本発明の上述した特徴と利点を更に明確化するために、以下に、実施例を挙げて図面と共に詳細な内容を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるアンテナ構造の上面概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のアンテナ構造の第一の回路基板の上面概略図である。
【
図4】
図4は、
図1のアンテナ構造の第二の回路基板の上面概略図である。
【
図5】
図5は、
図1のアンテナ構造の第二の回路基板の底面概略図である。
【
図6】
図6は、
図1のアンテナ構造の周波数−反射損失(Return Loss)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるアンテナ構造の上面概略図である。
図2は、
図1のアンテナ構造の断面概略図である。説明することとして、
図1では、接地層120とマイクロストリップライン130はいずれもアンテナパターン110の下方に位置しているため、破線で表している。また、
図2の断面は、
図1の折れ曲がった破線に沿った断面の概略図である。
【0019】
図1と
図2を参照すると、本実施形態のアンテナ構造100は、二重スロット結合給電マイクロストリップラインパッチアンテナを例としているが、アンテナ構造100の種類はこれに限定しない。本実施形態において、アンテナ構造100は、広帯域で高い反射損失の効果を有しており、様々な異なる形式のRFIDリーダの使用に適用される。アンテナ構造100の使用周波数帯は、例えば、0.902GHz〜0.928GHzである。当然ながら、アンテナ構造100の使用及び周波数帯は、これに限定しない。
【0020】
図2からわかるように、本実施形態のアンテナ構造100は、上から下に、アンテナパターン110、接地層120及び2つのマイクロストリップライン130を含む。
図3は、
図1のアンテナ構造100の第一の回路基板の上面概略図である。
図1と
図3を合わせると、本実施形態において、アンテナパターン110は、例えば、パッチアンテナである。
図1に示すように、アンテナパターン110は、第一部分112及び第二部分118を含み、第一部分112は矩形であり、例えば、長方形や正方形である。第一部分112は、順に繋がる第一辺113、第二辺114、第三辺115及び第四辺116を含み、第二部分118は、第一辺113と第二辺114からなる1つの角から外に延びて突出する。
【0021】
アンテナパターン110の第二部分118は、第一部分112が共振する周波数帯を低周波に少し偏らせて、周波数帯全体を広げるのに用いてもよい。本実施形態において、第二部分118は、例えば、L形を示す。当然ながら、第二部分118の形状はこれに限定せず、その他の実施形態において、第二部分118は、四分の三の円形、鋸歯形、弧形又は不規則形であってもよい。
図3に示すように、本実施形態において、第二部分118が第一辺113に突出する長さL2は、第四辺116の長さL1の0.05倍〜0.1倍の間にあり、第二部分118が第二辺114に突出する長さL4は、第三辺115の長さL3の0.05倍〜0.1倍の間にある。実験を経て、上記長さの関係により、アンテナ構造100がより良いインピーダンス整合を有することができる。当然ながら、長さL1、L2の関係は、これに限定しない。
【0022】
図4は、
図1のアンテナ構造の第二の回路基板の上面概略図である。
図1と
図4を合わせると、接地層120は、アンテナパターン110の下方に配置される。接地層120は、金属層であり、2つのスロット122を含む。
図1からわかるように、2つのスロット122のアンテナパターン110に対する投影は、それぞれ第三辺115と第四辺116に近い。
【0023】
図2に示すように、2つのマイクロストリップライン130は、接地層120の下方に配置される。
図5は、
図1のアンテナ構造の第二の回路基板の底面概略図である。
図1と
図5を合わせると、2つのマイクロストリップライン130のアンテナパターン110に対する投影は、第三辺115と第四辺116に垂直であり、2つのマイクロストリップライン130の接地層120に対する投影は、2つのスロット122を横切る。本実施形態において、各マイクロストリップライン130は、延伸方向に沿って第一段132と第二段134に分けられ、第二段134のアンテナパターン110に対する投影は、第一段132のアンテナパターン110に対する投影より第一部分112の中心に近く、第一段132の幅は、第二段134の幅より大きい。
【0024】
本実施形態のアンテナ構造100は、マイクロストリップライン130のアンテナパターン110に対する投影が第三辺115と第四辺116を横切る位置に配置され、マイクロストリップライン130の第一段132の幅が第二段134の幅より大きい設計であることによって、インピーダンス整合を調整できる。上記設計は、アンテナパターン110と組み合わせて、第二部分118を第一辺113と第二辺114からなる1つの角から外に延びて突出することで、アンテナ構造100を広帯域で高い反射損失のアンテナとする。
【0025】
本実施形態において、マイクロストリップライン130の一方の延伸方向は、もう1つのマイクロストリップライン130の他方の延伸方向に垂直であり、各スロット122の延伸方向は、対応するマイクロストリップライン130の延伸方向に垂直である。当然ながら、その他の実施形態において、2つのマイクロストリップライン130の延伸方向は、これに限定せず、各スロット122の延伸方向と対応するマイクロストリップライン130の延伸方向の間の関係は、これに限定しない。
【0026】
図2に戻ると、本実施形態において、アンテナ構造100は、第一の回路基板140、第二の回路基板150及びスペーサ160を更に含む。アンテナパターン110は、第一の回路基板140の上表面142に配置される。第二の回路基板150は、第一の回路基板140の下方に配置される。接地層120は、第二の回路基板150の上表面152に配置され、2つのマイクロストリップライン130は、第二の回路基板150の下表面154に配置される。スペーサ160は、第一の回路基板140と第二の回路基板150との間に配置されて、第一の回路基板140と第二の回路基板150を隔てて、アンテナパターン110と接地層120に特定の距離を保持させる。本実施形態において、スペーサ160は、例えば、プラスチックコラムであるが、スペーサ160の種類はこれに限定しない。
【0027】
本実施形態において、アンテナ構造100は、ある周波数帯(例えば、0.902GHz〜0.928GHz)を共振するのに適しており、第一の回路基板140と第二の回路基板150との間の間隔は、およそこの周波数帯の0.1倍の波長であり、約5mm〜10mmである。
【0028】
言及すべきこととして、その他の実施形態において、アンテナ構造100は、1つの回路基板の設計であってもよい。即ち、アンテナパターン110、接地層120及び2つのマイクロストリップライン130は、それぞれ同じ回路基板にある異なる層であり、アンテナパターン110と接地層120との間及び接地層120と2つのマイクロストリップライン130との間は、2つの誘電体層によって隔てている。アンテナパターン110と接地層120との間の誘電体層の厚さは、およそアンテナ構造100が共振する周波数帯の0.1倍の波長であってもよい。
【0029】
また、
図5からわかるように、本実施形態において、各マイクロストリップライン130の長さは、周波数帯の0.2倍の波長〜0.3倍の波長の間にあり、例えば、0.25倍の波長であり、各マイクロストリップライン130の第一段132の幅は、第二段134の幅の1.1倍〜2倍の間にある。測定を経て、マイクロストリップライン130は、上記範囲にある時、アンテナ構造100は、好適な反射損失を有する。
【0030】
図6は、
図1のアンテナ構造の周波数−反射損失(Return Loss)の概略図である。
図6を参照すると、本実施形態において、アンテナ構造100は、マイクロストリップライン130によって第二の回路基板150の辺縁の部位にフィードし、2本のマイクロストリップライン130を有することから、アンテナ構造100は、2つのフィード端を有する。
図1の下方に位置するフィード端(即ち、下方のマイクロストリップライン130から第二の回路基板150の辺縁の部位)が得る共振モーダルは太線で表示し、アンテナ構造100の
図1の左方に位置するフィード端(即ち、左方のマイクロストリップライン130から第二の回路基板150の辺縁の部位)が得る共振モーダルは細線で表示する。
図6からわかるように、0.902GHz〜0.928GHzの区間の2つのフィード端が得る共振モーダルの反射損失は、20dB以上であり、良好である。
【0031】
以上より、本発明のアンテナ構造は、マイクロストリップラインの第一段の幅を第二段の幅より大きい設計によってインピーダンス整合を調整でき、本発明のアンテナ構造のアンテナパターンと組み合わせて、第二部分を第一辺と第二辺からなる1つの角から外に延びて突出することで、本発明のアンテナ構造を、広帯域で高い反射損失のアンテナとする。
【0032】
本文は以上の実施例のように示したが、本発明を限定するためのものではなく、当業者が本発明の精神の範囲から逸脱しない範囲において、変更又は修正することが可能であるが故に、本発明の保護範囲は後続の特許請求の範囲に定義しているものを基準とする。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、広帯域で良好な反射損失を有するアンテナ構造を提供する。
【符号の説明】
【0034】
I:間隔
L1、L2、L3、L4、L5:長さ
W1、W2:幅
100:アンテナ構造
110:アンテナパターン
112:第一部分
113:第一辺
114:第二辺
115:第三辺
116:第四辺
118:第二部分
120:接地層
122:スロット
130:マイクロストリップライン
132:第一段
134:第二段
140:第一の回路基板
142:上表面
150:第二の回路基板
152:上表面
154:下表面
160:スペーサ