(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
免疫グロブリンIgGに結合可能なブドウ球菌プロテインA(SpA)ポリペプチドを用いて官能化されている充填媒体を含む、充填クロマトグラフィーカラムのための酸性または中性の保護液であって、
水中またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の2%ベンジルアルコールを含み、
前記充填クロマトグラフィーカラムに、前記保護液の存在下で、8kGy以上約40kGyまでの線量のガンマ線を照射するときに、前記充填クロマトグラフィーカラムが滅菌され、前記SpAポリペプチドはそれらの動的結合容量の実質的にすべてを保ち、
前記SpAポリペプチドは、全長野生型SpA、組換えSpA、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたSpAドメインを含む単量体SpAポリペプチド、または、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたいずれか2つ、3つ、4つ、または5つ以上のSpAドメインを任意に組合わせたものを含む多量体SpAポリペプチドを含む、保護液。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
プラスチッククロマトグラフィーカラムに、特定範囲、たとえば8.0〜35または40kGyのガンマ線を照射した場合に、これらのクロマトグラフィーカラムが、異なる無菌性保証レベル(SAL)に滅菌される一方で、非常に有益な機能を維持しているという発見に、本発明は少なくとも一部基づいている。たとえば、最大35または40kGyという高レベルの照射でも、プラスチックカラムは、照射後、それぞれの最初のガンマ線照射前定格圧力と機械的特性を維持している。加えて、共有結合した親和性リガンド、たとえば固定プロテインAを含有した充填媒体を含むカラムは、本明細書に記載の滅菌方法による処理後、適切な性能を維持している。本明細書に記載の方法は、照射中の充填媒体を保護するためにカラムに充填された保護液に特定の添加剤を含めることにより、一般的に照射によって発生し得る、充填媒体を変性させるために使用される結合剤たとえばプロテインAの親和性捕捉性の低下を、阻止または回避する。
【0006】
ある局面において、本開示は、クロマトグラフィーカラムを作製して充填し、次に、本
明細書に記載の特定の技術とパラメータを用いてこれらのカラムを滅菌する方法に注目する。これらの方法は、(a)たとえば所望の量の充填媒体を収容するのに適切な内径と長さを有する、プラスチック材料または別の適切な弾性材料からなるカラム管を選択するステップと、(b)たとえば、プロテインA、たとえば全長野生型ブドウ球菌プロテインA(SpA)または組換え形態のプロテインA等の、官能化もしくは結合剤に共有結合された、充填媒体、たとえばアガロースもしくはシリカビーズまたは他の適切なクロマトグラフィー充填媒体を加えるステップと、(c)たとえば、管内に「プレス嵌め」または「締り嵌め」されたものとして与えることができるキャップまたはシールで管を閉じることにより、充填された媒体を管内に充填ベッドとして封入して、媒体の封止充填ベッドを得るステップと、(d)任意で、気密防水容器たとえばプラスチックバッグ、シリンダ、またはボックス内に、充填カラムを封入するまたは封じ込めるステップと、(e)上記容器内のカラムに、8kGy以上約35または40kGyまでの線量、たとえば、10、15、20、25、30、33、35、または40kGyの線量のガンマ線を照射するステップとを含む。
【0007】
次に、任意でまだ気密容器内にあるカラムを、放射源から外し、このカラムを、密閉容器内で移動させることにより、カラムの内外の無菌状態を維持してもよい。気密防水容器は、カラムの外面の無菌性を保つ必要がある場合のみ、必要である。このような容器がなくても、滅菌されたカラムの内部および充填媒体は、カラムの入口と出口が密閉されたままであれば、無菌状態を保つであろう。
【0008】
このレベルの照射によって、無菌性保証レベル(SAL)という観点から説明できる滅菌充填カラムが得られる。SALは、1つの単位、たとえば1つの充填カラムの滅菌後の非無菌性の確率であり、SALは、放射線量と、照射前の材料の固有バイオバーデンとによって決まる。本明細書に記載のカラム構成要素等、バイオバーデンが低いアイテムは、線量25kGyを用いたとき、10
−6微生物数/単位という無菌性保証レベルに達するであろう。これは、比較的高い無菌レベルである(滅菌された100万個の単位のうち1単位のみ、たとえば1つのカラムのみが非無菌状態)。照射前の充填カラムの初期バイオバーデンがより高い場合は、より高いレベル、たとえば30〜40kGyのガンマ線を用いて、これと同一のSALを得ることができる。別の、幾分低いがそれでも有用な無菌レベルは、線量8kGyを用いたときに得られる10
−3微生物数/単位である(Guide to
Irradiation and Sterilization validation of Single-Use Systems, Bioprocess International, 2008およびこの中の引用文献参照)。他のレベルは、10
−4微生物数/単
位および10
−5微生物数/単位を含む。
【0009】
これらの方法のさまざまな実装例において、プラスチック材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、アセタール、ガラス充填プラスチック、炭素充填プラスチック、ガラス繊維プラスチック、または炭素繊維プラスチック、または炭素繊維プラスチックを含み得る。充填媒体は、アガロース、シリカ、セラミック、またはアクリル酸エステルもしくはセルロース系材料の重合体を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、充填媒体は、イオン交換基、疎水性および帯電性を有するマルチモーダル基、金属キレート基、疎水基、または、免疫グロブリンIgGに結合可能なブドウ球菌プロテインA(SpA)ポリペプチドのうちの1つ以上を用いて官能化されていてもよい。たとえば、イオン交換基は、第四級アミン、硫酸塩、およびカルボン酸塩のうちの1つ以上を含み得る。また、疎水基は、プロピル、オクチル、およびフェニル基のうちの1つ以上を含み得る。
【0011】
加えて、さまざまな実装例において、SpAポリペプチドは、全長野生型SpA、組換えSpA、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたSpAドメイ
ンを含む単量体SpAポリペプチド、または、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたいずれか2つ、3つ、4つ、または5つ以上のSpAドメインを任意に組合わせたものを含む多量体SpAポリペプチド、または、その機能的等価物を含み得る。たとえば、SpAポリペプチドは多量体SpAポリペプチドであってもよく、たとえば、多量体SpAポリペプチドは、SpAドメインB、C、およびZから選択された4つまたは5つのSpAドメインを含み得る。たとえば、SpAドメインすべてが同一であってもよく、3つ、4つまたは5つのSpAドメインすべてがCドメインであってもよい。
【0012】
さまざまな実施形態において、本明細書に記載の滅菌カラム製造方法はさらに、適切な大きさを有する第1および第2のフローディストリビュータを選択するステップを含み、少なくとも第2のフローディストリビュータ(または第1および第2のフローディストリビュータ双方)は、管の内径よりも大きい直径、たとえば、管の内径よりも約0.25〜5.0%大きい直径を有する。上記方法はまた、第1のフローディストリビュータを管の第1の端部に永続的に固定するステップと、カラム管内に充填媒体を加えた後に、第2のフローディストリビュータを管の第2の端部に挿入するステップとを含み得る。このとき、軸方向力を加えることによって第2のフローディストリビュータをカラム管内に押込んで締り嵌めし、たとえばそうすることによって、第1および第2のフローディストリビュータの間において管内に密閉たとえば静水圧密閉チャンバを形成するのに十分有効なフープ応力を誘起する。上記方法はまた、管内における第2のフローディストリビュータの長手方向位置を、(i)カラム管内の所望の位置に第2のフローディストリビュータが達するまでさらに軸方向力を第2のフローディストリビュータに加えることにより、または、(ii)液体をチャンバ内に押込んで水圧力を加えて第2のフローディストリビュータを管の第2の端部に向けて戻すように移動させることにより、または、(i)と(ii)の組合わせにより、調整するステップと、第2のフローディストリビュータが適切に位置決めされたときに、第2のフローディストリビュータを管内に永続的に固定するステップとを含み得る。
【0013】
特定の実装例において、充填媒体は、適切な緩衝液中に約40%〜約70%の固体を含むスラリーであってもよい。充填媒体がカラム内に充填された後に、保護液を加えてもよい。この保護液は、充填された媒体の官能性に影響を与え得る緩衝剤またはそれ以外の添加剤を含み得る。たとえば、本明細書に記載のように、芳香族アルコールを低いパーセンテージ(V/V)で保護液に加えることによって、プロテインA等の結合剤で官能化された、ガンマ線滅菌充填媒体の親和性捕捉性を保つことができる。
【0014】
さまざまな実装例において、カラム内の充填媒体に加えられる保護液は、0.1〜25.0パーセント(体積/体積)のアルコールを含み得る。たとえば、いくつかの実施形態において、保護液は、0.1〜5.0パーセント(体積/体積)のアルコールを含み、このアルコールは、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを含む。他の実施形態において、保護溶液は、2.0〜25.0パーセント(体積/体積)のアルコールを含み、このアルコールは、エタノール等の脂肪族第一級アルコールを含む。
【0015】
別の局面において、本開示は、滅菌クロマトグラフィーカラムそのものに注目する。これらの滅菌充填クロマトグラフィーカラムは、(a)2つの端部を有する滅菌中空管と、(b)この管内の滅菌充填クロマトグラフィー媒体とを含み、この管の両端が閉じられることにより、充填カラムが作製され、充填カラムの無菌性保証レベル(SAL)は10
−3微生物数/カラムである。いくつかの実装例において、SALは10
−6微生物数/カラムである。
【0016】
これらの滅菌充填クロマトグラフィーカラムについて、クロマトグラフィーカラムは、
管と、第1のフローディストリビュータと、第2のフローディストリビュータとを含み、これらの構成要素は各々、同一のまたは異なるプラスチック材料からなるものであってもよい。プラスチック材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、アセタール、ガラス充填プラスチック、炭素充填プラスチック、ガラス繊維プラスチック、または炭素繊維プラスチック、または炭素繊維プラスチックのうちの1つ以上を含み得る。
【0017】
さまざまな実施形態において、カラム内の充填媒体は、アガロース、シリカ、セラミック、またはアクリル酸エステルもしくはセルロース系材料の重合体を含み得る。特定の実装例において、充填媒体は、イオン交換基、疎水性および帯電性を有するマルチモーダル基、金属キレート基、疎水基、または、免疫グロブリンIgGに結合可能なブドウ球菌プロテインA(SpA)ポリペプチドのうちの1つ以上で官能化されていてもよい。たとえば、イオン交換基は、第四級アミン、硫酸塩、およびカルボン酸塩のうちの1つ以上を含み得る。また、疎水基は、プロピル、オクチル、およびフェニル基のうちの1つ以上を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、SpAポリペプチドは、全長野生型SpA、組換えSpA、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたSpAドメインを含む単量体SpAポリペプチド、または、SpAドメインA、B、C、D、E、もしくはZから選択されたいずれか2つ、3つ、4つ、または5つ以上のSpAドメインを任意に組合わせたものを含む多量体SpAポリペプチド、または、その機能的等価物を含み得る。たとえば、SpAポリペプチドは、たとえば、SpAドメインB、C、およびZから選択された4つまたは5つのSpAドメインを含む多量体SpAポリペプチドであってもよい。たとえば、SpAドメインすべてが同一であってもよく、たとえば、多量体SpAポリペプチドは、3つ、4つまたは5つのSpAドメインCを含み得る。
【0019】
特定の実施形態において、管の2つの端部は、管の内径よりもわずかに大きい外径を有して締り嵌めをなすフローディストリビュータによって閉じられる。加えて、本明細書に記載の実施形態および実装例のうちのいずれかにおいて、カラムは、本明細書に記載のように照射前に気密防水容器内に封じ込められてもよい。加えて、カラムはさらに、ガンマ線照射前に第2の気密防水容器内に封じ込められて二重層の囲いが与えられてもよい。したがって、最終製品は、気密防水容器内に封じ込められた、滅菌され予め充填されたプラスチッククロマトグラフィーカラムである。これらの機能性および経済性が高いカラムは、使い捨て可能とみなすことができるが、複数回再利用されるための機能的完全性を有する。
【0020】
いくつかの実装例において、本開示は滅菌充填クロマトグラフィーカラムに注目し、このカラムは、第1の端部および第2の端部を有する滅菌中空管と、管の第1の端部に固定された第1の滅菌フローディストリビュータと、管の内径よりも大きい外径を有する第2の滅菌フローディストリビュータと、第1のフローディストリビュータと第2のフローディストリビュータとの間において管に充填された滅菌充填媒体とを含む。第2のフローディストリビュータは、管の第2の端部内に固定されて、第1のフローディストリビュータと第2のフローディストリビュータとの間において中空管の中に、充填媒体が充填されるチャンバを形成する。充填クロマトグラフィーカラムの無菌性保証レベルは、10
−3または10
−6微生物数/カラムである。
【0021】
これらの滅菌クロマトグラフィーカラム内の充填媒体は、ガンマ線が照射されていないカラム内の同種の充填媒体の特異吸着レベルの少なくとも60%の特異吸着レベルを有し得る。加えて、さまざまな実施形態において、充填媒体は、0.5〜5.0パーセント(体積/体積)の芳香族アルコール、または、2.0〜25パーセント(体積/体積)の脂肪族第一級アルコールを含み得る。たとえば、充填媒体は、0.5〜3.0パーセント(
体積/体積)のベンジルアルコールまたは2.0〜20%のエタノールを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、プラスチック管はさらに、第1の端部において増大した端部直径D
Teを有してチャンバを形成し、第1のフローディストリビュータはD
Tiよりも大きい外径D
fdを有し、第1のフローディストリビュータは、管の第1の端部内に直接締り嵌めによって固定されて十分なフープ応力を誘起する。特定の実施形態において、第1のフローディストリビュータは管に永続的に結合される、または、第1および第2のフローディストリビュータ双方が溶接接合等の永続結合によって管の内壁に固定されてもよい。
【0023】
特定の実施形態において、カラムまたは管内のチャンバの中に充填媒体を含む新たなクロマトグラフィーカラムは、静水圧で密閉されていてもよい。特定の実施形態において、チャンバは、1平方インチ当たり少なくとも50ポンドの内圧に耐えるように構成される。いくつかの実施形態において、これらの3つの特徴すべてが存在する。いくつかの実施形態において、プラスチック管および第2のフローディストリビュータは同一種類のプラスチックからなり、第1のフローディストリビュータは管に一体化された機能である。
【0024】
本明細書で使用する「プラスチック」という用語は、さまざまな高分子材料から作られたクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィーカラムの構成要素を指し、上記高分子材料は、熱可塑性物質、たとえばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリル樹脂、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリオレフィン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTTE)、ポリカーボネート、および、2種類以上のプラスチックおよび/または高分子材料からなるさまざまなプラスチック複合材料、ならびに、熱硬化性プラスチック、たとえばエポキシ樹脂および繊維(たとえばガラス、金属(たとえばステンレス鋼)、または炭素繊維)強化プラスチック等である。
【0025】
本明細書で使用する「ベッド高さ」という用語は、完成したクロマトグラフィーカラム内に含まれる充填媒体のベッドの直線状の高さを指す。
【0026】
本明細書で使用する「充填媒体」は、後にカラム内に「充填ベッド」を形成する、不規則な形状または球形の粒子の形態の固体材料のスラリーまたは懸濁液である。充填媒体は、シリカ、セラミック、アガロース、アクリルまたはセルロースポリマー等のさまざまな材料から作ることができる。固体材料は、イオン性、疎水性、または特異親和性という特徴を与える分子構造で(たとえば抗体またはプロテインA等の結合剤で)官能化されていてもよい。
【0027】
本明細書で使用する「充填ベッド」は、クロマトグラフィーカラム内のクロマトグラフィー充填媒体の最終状態を指す。この最終状態はさまざまなやり方で得られる。たとえば、1つの方法は、ベッドの軸方向の圧縮を生じさせる流体の流れをフローディストリビュータのうちの一方または双方と組合わせることである。当該技術で周知の他の方法は、粒子の重力沈降、振動による沈降、および/または機械的な軸方向の圧縮のみを含む。充填後、充填ベッドは、一般的に抗菌性添加剤を含む保護液内において水和した状態のままである。本明細書に記載のこの保護液は、さらにまたは代わりに、ガンマ線照射の有害な影響から、官能化された固体サポートの完全性または性能を保護するのに役立ち得る、1つ以上の緩衝剤またはその他の添加材を含み得る。たとえば、保護液は、照射後の媒体のクロマトグラフィー性能の保全性を高める、低いパーセント(V/V)の、エタノールもしくはベンジルアルコール等の脂肪族もしくは芳香族アルコール、または、糖アルコール等のポリオールを含み得る。
【0028】
本明細書で使用する「ベッドサポート」は、さまざまな液体を通しつつも、充填ベッドを含む充填媒体の小さな粒子は保持する、ネット、スクリーン、メッシュ、またはフリットである。これらのベッドサポートは、フローディストリビュータに直接接続されていてもよい。
【0029】
本明細書で使用する「永続結合」および「永続的に結合される」という用語は、2つの構成要素間のこのような結合が、結合をまたは結合された構成要素(たとえば管とフローディストリビュータ)のうちの一方または双方を破断する以外に、分離できないことを示すために用いている。
【0030】
本明細書に記載の新たな方法およびシステムは、数多くの利点と利益を提供する。たとえば、この新たな方法によって、ベッドの高さと直径が十分にカスタマイズ可能で可変であり、かつ所望のSALを有しつつも、十分に官能性がある充填媒体を有する、予め充填され使い捨て可能なカラムを調製することができる。驚くべきことに、本明細書に記載のガンマ線照射方法は、充填媒体または結合剤の性能を大幅に低下させることはなく、かつ、汚染物質を生じさせるもしくは取込むこともなく、または、このような汚染物質を、標準水性緩衝剤内での使用後にクロマトグラフィーカラムを組立てるのに使用される材料から浸出させることもなかった。
【0031】
特に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術の当業者が一般に理解するのと同一の意味を有する。本発明の実施または試験において、本明細書に記載のものと同様または均等の方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載されている。本明細書に記載のすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の引用文献は、その全体を本明細書に引用により援用する。コンフリクトに備えて、本明細書が定義を含み管理する。加えて、材料、方法、および実施例は専ら例示のためであり限定を意図したものではない。
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面と以下の説明に記載されている。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、以下の説明および図面、ならびに請求項から明らかになるであろう。
【0033】
異なる図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
本明細書に記載の滅菌されたクロマトグラフィーカラムは、比較的安価なプラスチック材料で作ることができ、したがって、使い捨て可能とみなすことができるが、特に、複数
回の使用にも耐えるよう十分に頑強に設計されている。本明細書に記載の新たな滅菌方法は、所望の無菌性保証レベル(SAL)を与えることにより、このクロマトグラフィーカラムを、現在入手できるクロマトグラフィーカラムよりも遥かに有用性が高いものにしつつ、充填された媒体の適切な機能性を維持するとともに求められる定格圧力と機械的特性を維持する。よって、この新たな滅菌され予め充填された使い捨て可能なカラムは、無菌または滅菌製造プロセス、たとえばタンパク質精製プロセスに使用できるようになっている。イオン化放射線は、ヒドロキシラジカルまたは一重項酸素等の活性酸素種によって、ポリペプチドを含む材料を劣化させる可能性があることは一般的に知られているので、結果として得られるこれらの性能は驚くべきものである。
【0036】
本発明の実施形態は、無菌であり精製プロセスに使用できるタンパク質精製システムで用いるための、カラム内のクロマトグラフィー媒体の充填ベッドを含む組成物と適切な接続部とを含む。実施例は、ガンマ線照射による滅菌後でもクロマトグラフィー性能を保つクロマトグラフィーカラム用の材料を明らかにする。実施例はさらに、たとえば親和性に基づく分離のために官能化され、無菌性を得るのに十分なガンマ線照射の後に適切な分離性能を維持している、シリカおよびアガロース等の複数の固体サポートタイプのカラム充填媒体を明らかにする。他の実施例は、構成のカラム材料が、カラム材料から抽出または浸出可能な汚染物質を増やすガンマ線照射からの悪影響を受けないことを明らかにする。実施例はまた、バイオ医薬品精製プロセスで一般的に用いられている生物学的分離に用いるのに適した形態の滅菌された組成物を得るための手段を提供する。
【0037】
クロマトグラフィーカラムの滅菌
新たな滅菌クロマトグラフィーカラムは、本明細書で定義するプラスチックからなり、したがって、その全体を、広範に利用されているプラスチック/熱可塑性物質および/または組成物(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(多様なナイロン等)、アセタール、またはガラス充填、金属充填、もしくは炭素充填プラスチック、たとえばガラス繊維、鋼繊維、および炭素繊維プラスチック等)、またはエラストマー成分から作ることができ、所望のSALになるようガンマ線で滅菌される。当然、これらの材料は潜在的に、過剰に高い線量のガンマ線によってダメージを受ける可能性がある。加えて、充填媒体および官能化材料、たとえば結合剤も、不適切なレベルの放射線によってダメージを受ける可能性がある。このため、SALガイドラインを満たすように十分滅菌されていながら、カラム充填媒体の十分な機能特性、カラムの機械的特性、および定格圧力を維持する、予め充填された使い捨て可能なクロマトグラフィーカラムを作製できたことは、驚くべきことであった。さらに、照射しても、目立った汚染物質が、一般的に使用される有機溶媒から抽出されることも、標準の水性緩衝剤における使用後に材料から浸出することもないことは、驚くべきことであった。
【0038】
一般的に、カラムは、たとえば一種類以上の親和性リガンドまたは結合剤(例として、プロテインAリガンド、たとえば組換え天然構造、または作り変えられた機能ドメイン)、イオン性相互作用リガンド、混合モードリガンド、および疎水性リガンドで官能化できる、シリカ、アガロース、セラミック、またはその他の高分子バックボーン等、さまざまな充填媒体のうちのいずれかで、充填される。一般的に、プロテインAリガンドは、全長野生型ブドウ球菌プロテインA(SpA)、組換え形態のプロテインA(たとえばPeyser他の米国特許第7,691,608号に記載)、または、たとえばドメインA、B、C、D,Eのうちのいずれか1つまたはこれらを組合わせたものから選択された、SpAのいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のドメインを含む単量体もしくは多量体リガンド、またはプロテインZ(たとえば、Spectorの米国特許第8,592,555号
およびHall他の米国特許第8,329,860号に記載)を、含み得る。たとえば、多量体ポリペプチドは、3つ、4つ、または5つ以上のドメインからなるものであってもよく、これらのドメインはすべて同一でも異なっていてもよい。たとえば、多量体プロテイン
は、5つのSpA Cドメインを含んでペンタCポリペプチドを形成し得る。
【0039】
カラムおよび充填媒体、ならびにクロマトグラフィーカラムの特定の実施形態の組立方法のその他の詳細は、以下に示される。
【0040】
カラムの充填後、充填媒体は、保護液による保護のために水和状態に保たれる。本明細書に記載のこの保護液は、たとえば、チオール基(たとえばシステイン)および脂肪族炭素上のヒドロキシル基(たとえばエタノール)等の化学基を含む特定の成分を含むように設計されている。加えて、保護液は、ポリビニルピロリドン(PVP)等の化合物を含む他のアルコールを含み得る。
【0041】
芳香族化合物は、放射線増感剤であり放射線ダメージを増すものであることが見出されることがあるが、芳香族アルコール、ベンジルアルコールを用いる本方法は、クロマトグラフィー媒体上に固定されたプロテインAポリペプチドに対する保護性が高いことがわかった。このため、充填媒体と、官能化剤、たとえばプロテインA等の本明細書に記載の結合剤またはリガンドの、機能特性は、低いパーセンテージ(V/V)たとえば1〜25%、たとえば1、2、3、5、7、8、10、12、15、18、20、23、または25%の、脂肪族アルコール(たとえばエチルおよびイソプロピル)、芳香族アルコール(たとえばベンジル、トリプトフォール、チロソール、およびフェネチルアルコール(フェニルエタノール))または、糖アルコール(たとえばソルビトールおよびマンニトール)等のポリオールといった、アルコール含む、保護液の中で照射したときに、保護することができる。
【0042】
充填媒体と保護液でカラムを充填し、フローディストリビュータをカラム管内に固定した後に、任意で、予め充填されたカラム全体を、気密防水容器に封入する。この容器は、たとえば、可撓性もしくは剛性を有し得るものでありかつ内側にある滅菌されたカラムとともに簡単に運ぶことができる、プラスチック、ゴム、またはその他の材料からなるバッグ、シリンダ、またはボックスである。この容器は、破裂させずに運ぶことができかつ容器内の滅菌条件の下で滅菌され予め充填されたカラムを維持するのに十分な頑強性を有するように設計される。場合によっては、カラムは容器を追加しなくても滅菌された状態を保つ。
【0043】
容器への封入後、容器全体とその内部の予め充填されたカラムに、所望のSALが得られる線量のガンマ線を照射する。SALの一般的な概念は、たとえば、全体を本明細書に引用により援用する「Guide to Irradiation and Sterilization Validation of Single-Use Bioprocess Systems,” BioProcess Int’l, 10-22 (May 2008)」に記載されている
。ガンマ線の線量の測定単位は、吸収された放射線エネルギを定量化するキログレイ(kGy)である。1グレイは、1キログラムの物質による1ジュールの放射線エネルギの吸収である(1kGy=1ジュール/グラム)。8kGy以上の線量は一般的に、低いバイオバーデンレベルを取除くのに十分であり、滅菌レベルとして10
−3微生物数/単位をもたらす。10
−6微生物数/単位というレベルは一般的に、25kGy以上の線量を用いると得ることができる。しかしながら、ガンマ線の線量が高すぎると、カラム充填媒体の機能が失われ、カラムそのものの機能でさえも失われる可能性がある。したがって、予め充填されたカラムに対するガンマ線のレベルは、8.0kGy以上でなければならず、上限は約35kGy以上であってもよい。たとえば、照射レベルは、線量約8kGyと40kGyの間から、たとえば、8、12、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、32.5、33、35、38、および40kGyから選択される。
【0044】
このような放射線量は、たとえば、照射された製品全体にイオン化(電子の乱れ)を生じさせるアイソトープ源(たとえばコバルト60)から放出された高エネルギの光子を用
いることで、得ることができる。たとえば、充填されたカラムが封入された容器をチャンバに入れ、このチャンバ内で、所望のSALを得るのに十分な長さの時間、カラムを放射源に暴露してもよい。その後、また気密容器内にあるカラムを、放射源から外し、封入容器内で移動させることで、カラムの無菌性を維持することができる。カラム流路の無菌性は、製造プロセスで使用される、他の機器への滅菌接続ポートを提供する封止された配管と流路を用いることによって、ボックスまたはバッグ容器の外側で、維持することができる。カラム内の無菌性は、長時間の使用、たとえば滅菌されたカラムを収容するのに用いられる容器の性質に一部応じて一カ月、または二か月以上の使用にわたり、維持される。以下の実施例は、さまざまなレベルでガンマ線を照射すると、カラムの物理的特性の変化は最小であり、機械的および構造的特性は、照射されていないカラムのものと同様である。他の実施例は、ガンマ線照射後、クロマトグラフィー媒体の機能的特性の変化はごくわずかであり、クロマトグラフィー媒体はなおも生物学的製造に使用するのに適した態様で機能することを、明らかにしている。
【0045】
クロマトグラフィーカラムおよび充填媒体
本明細書に記載のクロマトグラフィーカラムは主として、カラム管と一対のフローディストリビュータ(または1つのフローディストリビュータと1つの端部キャップ)で構成される。フローディストリビュータは、円筒ディスクと、液体がディスクに流れ込んでディスクを通過することを可能にする1つ以上の入口/出口パイプとを含む。加えて、フローディストリビュータは、フローディストリビュータのディスクの充填媒体側に装着された、ベッドサポート、スクリーン、および/またはフィルタを含み得る。
【0046】
フローディストリビュータの流路は、標準的な技法と周知の設計に従って設計すればよく、フローディストリビュータ自体は、たとえば、管と同一または同様のプラスチック材料で作ればよいが、カラムの中に流す液体および試薬に対して不活性の金属、セラミック、またはその他の材料で作ってもよい。
【0047】
管は、流体(たとえば液体)を第1の端部(たとえば上端)から第2の端部(たとえば下端)に流すことができる、中空で、典型的は丸い、円筒である。管の内径は、流体を管に流すとともに流体を管から出すためのフローディストリビュータを収容するように大きさが定められて構成される。クロマトグラフィーカラムのさまざまな性能仕様に基づいて、管を多様なサイズと構成で作製することができる。いくつかの実施形態において、管は、システムに生じた内部動作圧の下で構造上の完全性を維持しつつ、最大約185psi(たとえば約20、30、40、50、または60psi)もの内圧に耐えることができるように大きさが定められて構成される。いくつかの実施形態において、管は、典型的には円筒形であり、内径が約5cm〜約100cm、長さが約5〜約90cmである。
【0048】
一般的に、さまざまな要因に基づく管の全誘起フープ応力は、クロマトグラフィーカラムが受けるであろう予測内圧等の、エンドユーザの仕様に応じて変化し得る。カラムの組立および充填方法の詳細は、その全体を本明細書に引用により援用するUS2013/0193052(WO2013/116367に対応)に記載されている。
【0049】
図4a〜
図4cは、いくつかの実装例において、フローディストリビュータ24が、第1面28に沿って中央領域に形成された取付孔26と、第2面32に沿って形成された複数の溝およびチャネル30のシステムとを有する、ディスク状部材であることを示す。取付孔26は、取付具を収容するように大きさが定められて構成されたブラインドホールである。取付孔26は、取付具を収容するために1つ以上の特徴を有する。特定の実装例において、取付孔26は、ねじ山が形成された取付具(たとえばM30×3.5のねじ山が形成された取付具)を収容するためにねじ山が形成されている。いくつかの実施形態において、取付具は、接着剤、溶接、差込みピン、もしくはルアー(luer)接続、または、そ
の他の十分な接続技術等の、他のさまざまなやり方で、フローディストリビュータ24に接続される。いくつかの実施形態において、取付具は、フローディストリビュータ24に一体化された構成要素として製造される。フローディストリビュータ24はまた、流路34を含み、この流路は、取付孔26をフローディストリビュータ24の第2面32に液圧接続することにより、フローディストリビュータ24の第2面32と取付孔26に挿入された取付具との間に流体を通すことができるようにしている。
【0050】
フローディストリビュータ24は、成形、鋳造、機械加工、またはその他の方法等の、さまざまな製造技術によって形成することができ、市場で入手できる。いくつかの実施形態において、フローディストリビュータ24の全体形状が、鋳造または成形によって作られ、溝およびチャネル30が、この全体形状の機械加工によって作られる。いくつかの実施形態において、管の内径と密に係合するよう、フローディストリビュータの外径を、旋盤を用いて形成することで確実に外縁を丸くし耐性を持たせる。
【0051】
取付具は機械的装着具であり、これをフローディストリビュータに固定または取付けることにより、流体を、フローディストリビュータおよびフローディストリビュータが中に配置された管に送るまたはそこから出すことができる。流体を送るために、取付具は、その中心軸に沿って貫通するように形成された流体送り孔を有する。取付具はまた、取付具を保持するためのフローディストリビュータの取付孔に収容されるための1つ以上の特徴を含む。
図1、
図2a、および
図2bに示されるように、この例において、取付孔26と係合するために、取付具38はねじ山が形成された端部40(たとえばM30×3.5のねじ山が形成された端部)を有する。取付具38はまた、取付孔26の中で取付具38を回転させて固定するための工具(たとえばトルクレンチ)で把持できるナット部42を有する。いくつかの実施形態において、取付具28は、接着剤、溶接、差込みピン、もしくはルアー(luer)接続、または、その他の十分な接続技術等の、他の種類の接続機構を含む。
【0052】
取付具38は、設置される場所に応じて他の特徴をさらに有し得る。たとえば、上部フローディストリビュータ24aに設置される入口取付具38aは、この取付具のねじ山が形成された端部の反対側の端部において、接続特徴を有していてもよい。ホース接続等の接続特徴により、ホースまたは管を取付具に簡単に接続できる。この例において、入口取付具24aは、衛星器具(たとえばトリクランプまたはカムロック)形式のホース取付具等のホース取付具に収容されるように大きさが定められて構成されたリセス44を定める。
【0053】
代わりに、下部フローディストリビュータ24bに接続される出口取付具38bが、入口取付具と異なる方式の接続部を有していてもよい。この例において、出口取付具38bはホース46に固定され、それにより、出口取付具38bは、遠隔急速取外し出口取付具48に液圧接続される。遠隔急速取外し出口取付具48は、ユーザにとって出口取付具38bよりも簡単にアクセスできる領域に搭載または配置することができる。
【0054】
クロマトグラフィーカラムの構成要素(たとえば、管20、フローディストリビュータ24a、24b、取付具38a、38b、およびその他の構成要素)は、構造的にかつ化学的に適切なさまざまなプラスチック材料のうちのいずれかから作ることができる。たとえば、これらの構成要素は、1つ以上の熱可塑性物質(たとえばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリル樹脂(たとえばPMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、他の熱可塑性材料、または複合材料)、および熱硬化性プラスチック(たとえばエポキシ樹脂、および繊維(たとえばガラスまたは炭素)強化プラスチック)からなるものであってもよい。材料を選択する際に考慮することは、材料特有の機械的特性、および、システムの誘起
内部動作圧に材料が耐えるか否かを含む。
【0055】
上部および下部フローディストリビュータ24aおよび24bは、カラムの製造および充填中に管20の上部と底部に設置される(たとえば圧入される)。いくつかの実施形態において、管20と、フローディストリビュータ24a、24bのうちの一方または双方は、上部フローディストリビュータ24aの挿入と媒体材料による管20の充填の前に、永続的に結合される。カラムの十分な試験の後に、第2の、たとえば上部フローディストリビュータ24aが適所で永続的に結合される。
【0056】
このような永続的な結合は、結合を、または結合された構成要素(たとえば管20とフローディストリビュータ24a、24b)を破断する以外に、簡単に外すことはできない。上端に、任意で追加のキャップ(たとえば上端キャップ)54を管20の上に載せて固定し位置合わせすることにより、カラムの上端のフローディストリビュータ24a上に設置された入口取付具38aが、追加の上端キャップ54の入口取付孔56を通るようにする。主として見た目に美しい機能である、このような任意の上端キャップ54は、固定具、接着剤、管と上端キャップの間の摩擦、またはその他のメカニズム等の、さまざまな固定メカニズムを利用して、管20に固定することができる。
【0057】
本明細書に記載のクロマトグラフィーカラムの管には、エンドユーザによって指定されるカラムクロマトグラフィーで使用される固相カラム充填媒体を充填すればよい。可能な充填媒体のこの多様性は、ベース粒子の組成にもこれらの粒子の機能的な化学的性質(たとえば親和性、イオン交換、および疎水性相互作用)にも及ぶ。カラム充填媒体は、溶離溶媒に加えられた固相粒子のスラリーを含み得る。固相粒子は、さまざまなメッシュサイズの、アガロース、シリカゲル(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、セルロース、および他の適切な材料を含み得る。溶離剤は、脱イオン化水、エタノール、またはアセトン等のさまざまな溶媒のうちの1つ以上を含み得る。
【0058】
充填媒体の例は、アガロース(たとえば、GE Health Care社のSepharose(登録商標)Fast FlowおよびCapto(商標))、制御多孔質ガラス(Millipore社のProSep(登録商標))、セラミックハイドロキシアパタイト、ポリメタクリレート(たとえばTosoh Bioscience社のToyoPearl(登録商標))、およびその他の合成高分子樹脂(たとえばLife Technologies社のPoros(商標)媒体およびEMD社のFractogel(商標)媒体)を含むが、これらに限定されない。
【0059】
充填クロマトグラフィーカラムの製造方法
特定のプラスチック/熱可塑性物質の1つの周知の特徴は、それらに固有のたわみ性、すなわち力が加えられたときに砕けずに変形する能力である。新たなクロマトグラフィーカラムは、カラム管20を作製するために使用される、誘起されたフープ応力によって定められるプラスチックの「流動能力」、たとえば弾性を利用する組立プロセスを用いて作製される。カラム管20は、指定された内側寸法と外側寸法を有する、押出成形、鋳造、成形(射出成形、ロトモールド、もしくはその他)、または機械加工されたプラスチック/熱可塑性物質もしくはテープ布設複合材料から作られる。フローディストリビュータ24に関する本明細書に記載の設計および方法は、カラム管20の公称内径よりも大きい外径を含み、以下ではこれを締り嵌めとして説明する。
【0060】
フローディストリビュータ24が円筒カラム管20とともに用いられる場合は、フローディストリビュータ24の外面を、不均一性ができる限り少ない(たとえば無い)丸い形状にして、フローディストリビュータ24が管20に圧入されたときに、確実に、均一なフープ応力が誘起されるとともに、フローディストリビュータ24が管20の内壁の表面に対して十分に液密噛合し封止されるようにもしなければならない。十分な程度の均一な
丸みまたは真円度は、フローディストリビュータ24を旋盤上で旋削することによって容易に得られるが、この程度の均一な丸みを得る他の方法は当業者には周知である。
【0061】
許容できる締り嵌めの程度は、管20およびフローディストリビュータ24を囲む特定のプラスチック/熱可塑性物質または複合構成要素の機械的特性、すなわち弾性または流動能力によって、したがってポリプロピレンの場合は管20の壁の厚みによって決定されるが、すべての場合において、フローディストリビュータ24の外径は管20の公称内径よりも大きく、フローディストリビュータ24が管20に押込まれたときに十分な誘起フープ応力を保証するのに必要な締り嵌めを生じさせる。
【0062】
この組立プロセスは、特有の利点を新たなクロマトグラフィーカラムに提供する。寸法がより安定している材料(鋼、ガラス等)で構成された従来のカラムは、フローディストリビュータ24がカラム管よりもやや小さくなるように設計されており、これは、組立時にこの構成要素を容易にカラム管に挿入しカラム管の中の所望の位置まで動かすことができるようにするのに必要である。Oリングまたは同様の封止機構をフローディストリビュータ24の周りに用いて、フローディストリビュータ24と管20の壁との間の液密シールを得る。これらの従来の設計では、管内径よりも小さい外径を有するフローディストリビュータと、Oリングを含める必要性との組合わせによって、「デッドスペース」と呼ばれる領域が、フローディストリビュータ24と管20の壁との間においてOリングが着座している点まで生じる。これらの「デッドスペース」はカラムの流れに晒すのが困難であるため、カラムの清掃性とその結果として得られる清浄度にとってリスクとなる。締り嵌め設計は、従来のカラムの「デッドスペース」を無くすか大幅に減少させることによって、カラムの使用と使用の間で汚染物質を持越すリスクが最小になる。また、いくつかの実施形態では、締り嵌めにより、Oリングを完全に無くすことによって、カラムの複雑度、コスト、および封止不全のために完全性を損なうリスクを最小にすることができる。この特徴の別の利点は、カラムクロマトグラフィーによって精製中の貴重な製品を、そのようなOリング(典型的にエラストマー製)から放出され得る汚染物質に晒すことを、減じる点にある。汚染物質に晒されると、抽出物および浸出物の調査という形態の、コストと時間を要するリスク評価が必要になる。
【0063】
図8に示されるように、新たなクロマトグラフィーカラム50の作製方法はいくつかのステップを含む。
【0064】
第1に、本明細書中の他の箇所で説明されるように、最終的なカラムに望まれる媒体材料の体積を収容するのに適切な直径および長さと、適切な弾性とを有するプラスチックカラム管20を指定する(802)。管の長さは、最終的なカラムの中の媒体材料の長さ、すなわち「ベッド高さ」の約2倍であるべきである。管20の最終的な長さは内径とほぼ同じであってもよく、たとえば、200および/または199.90mmの内径の管20の最終的な長さは、約150〜250mm、たとえば約200mmであってもよい。管の各端の内面に沿って形成される面取部も選択される。この面取部は、カラム管20の中に押込まれるフローディストリビュータ24を位置合わせし、挿入するのを助けるために必要である。
【0065】
第2に、適切に大きさが定められるフローディストリビュータ24は、管の内径(「ID」)よりもやや大きい、たとえば約0.25%、0.5〜約1.0、1.5、2.0、
2.5、3.0または3.5%大きい外径を有するように指定される必要がある(804)。たとえば、内径がおよび/または199.90mmのポリプロピレン管については、フローディストリビュータ24の外径(「OD」)は201.90mmよりも大きく、たとえば202と204の間、202.5、203、203.5、204、204.5、205、205.5mm)でなければならない。フローディストリビュータ24は、管20
の壁の内部に十分なフープ応力を誘起するよう、特定の公称ODを有するように設計される。適切な公称ODを選択する際、考慮すべき要因は、カラム管のIDおよびその壁厚の両方の公差とフローディストリビュータ24のODの公差とを含む形状と組合わされた、構成材料の物理的特性(たとえば摩擦係数、ヤング率、弾性率、および降伏伸び)を含む。組立品を一緒にプレス嵌めするのに必要な力は(たとえば有限要素解析などの高度な分析ツールによって)理論的に求めることができ、代替案として、この評価は特定の構成材料を用いた実証的研究によって行なわれてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、フローディストリビュータは、使用時の適合性を保証するため、かつ、たとえば溶接時にフローディストリビュータを管の内壁に固定することを単純化するために、管と同じ材料で作られてもよい。
【0067】
第3に、
図5に示されるように、第1の、たとえば下部フローディストリビュータ24bを、管20の第1の端、たとえば下端に固定する(806)。これは任意の周知の手段によって行なわれてもよいし、または、第1のフローディストリビュータと関連付けられるすべてのデッドスペースを回避するか減少させるのに役立つように、本明細書中に記載される締り嵌め法を用いてもよい。たとえば、第1のフローディストリビュータ24bは、金属クランプ、管20(内壁または外壁のいずれか)およびフローディストリビュータ周壁へのねじ切り、接着剤、およびさまざまな種類の溶接を用いて固定することができる。要点は、この第1のフローディストリビュータ24bを管20の第1の端に一旦固定すると動かさなくてもよいことである。いくつかの実施形態では、第1のフローディストリビュータ24bは管20の一体部分として形成される。たとえば、第1のフローディストリビュータは周知の技術を用いて管20の特徴として成形されてもよい。
【0068】
第1の、たとえば下部フローディストリビュータに締り嵌め法を用いる場合、当該フローディストリビュータは最初、必要な圧力で効果的な液圧封止をなすための誘起フープ応力によって所望の場所に保持され、次いで、溶接、ねじ、または接着剤を含む任意の周知の手段を用いてその場所に永続的に固定されてもよい。特に、適切な締り嵌めを確立するために、フローディストリビュータ24は管の面取りされた下端と位置合わせされ、次いで、約1000lbf〜10,000lbf(たとえば1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000または10,000lbf)の軸方向力がフローディストリビュータ24に加えられてフローディストリビュータ24をカラム管20に押込むことによって、管の内径が広がる。たとえば、フローディストリビュータ24が管20に挿入される間、管20およびフローディストリビュータ24の両方が塑性変形して互いに嵌合し、管20の変形の大きさはフローディストリビュータ24の変形の大きさよりも大きい。
【0069】
フローディストリビュータを管に押込むのに必要な力は、数ある要因の中でも、管内に形成される面取部の角度と、(上述の)構成材料の形状寸法と組合わされた当該材料に特有の他の物理的特性とに依存する。たとえば、第2のフローディストリビュータを管に押込んで管の内部に締り嵌めを確立するための軸方向力は、締り嵌めと、管壁の厚みと、管およびフローディストリビュータの材料の特定の機械的特性との関数である。フローディストリビュータを管のいずれかの端に押込むのに必要な力は、ロードセル、または同様の張力試験計器によって測定することができ、フローディストリビュータと管壁との間の適正な締り嵌めを保証するために、組立のたびに検査されるべきである。フローディストリビュータを管に押込むのに必要な軸方向力は、管壁とフローディストリビュータ外周縁との間の接着および変形摩擦力によって生じる対抗力よりも大きく、かつ反対方向でなければならない。
【0070】
以下の式1は、挿入力をさらに説明する。
【0072】
式中、F
appliedはフローディストリビュータの管への挿入に対抗する摩擦力を克服す
るのに必要な軸方向力であり、F
friction,insertionはフローディストリビュータおよび管壁の材料同士の接着による摩擦力であり、F
friction,deformationはフローディストリビュータおよび/または管壁の変形による摩擦力であり、F
friction,netは正味の摩擦力である。必要であれば、潤滑油を塗布して接着摩擦力を除去し、その結果として得られる、フローディストリビュータを挿入するのに必要な軸方向力を、潤滑油を用いずにフローディストリビュータを挿入するのに必要な全軸方向力から減じることによって、2つの対抗摩擦力を区別することができる。
【0073】
または、フローディストリビュータを管に押込んで、その結果として得られる十分な誘起フープ応力を生じさせるための、最少軸方向力を決定することができる。この誘起フープ応力は、フローディストリビュータを管の内部の指定場所に保持する径方向力として作用する。周知の締り嵌めの式を考慮して、すべての管およびフローディストリビュータのサイズについての誘起フープ応力を表す式を導出した。
【0074】
誘起フープ応力は、誘起フープ応力に、管壁と接触しているフローディストリビュータの周方向面積を乗じることによって、管壁がフローディストリビュータの壁に及ぼす全径方向力と、関連付けることができる。以下の式2は、これをさらに説明する。
【0076】
式中、F
radialは、フローディストリビュータの壁に向かって径方向内向きに作用する、管壁の回りに等しく分散する径方向力であり、A
contact,fdは、管壁と接触しているフローディストリビュータの面積である。さらに、この径方向力は、フローディストリビュータと管の内壁との間の垂直方向の摩擦力F
friction,netと直接関連することもわかる。ゆえに、摩擦力を克服してフローディストリビュータを管に押込むのに必要な力F
appliedを、フローディストリビュータを管の内部の所望の場所に保持する誘起フープ応力σ
hoop tensionと関連付けることができる。以下の式4、5および6は、この関係をさらに説
明する。
【0078】
式中、μ
frictionはフローディストリビュータ材料と管壁材料との間の摩擦係数である。
【0079】
この相関の結果、所与の誘起フープ応力が、推奨される最大操作圧力よりも高い、たとえば2倍、3倍、または4倍の適正な安全係数まで漏れ止めシールを提供することが経験的試験によって保証される限り、カラムの適正な操作圧力を保証し、ロードセルまたは同様の計器を用いて組立時に確認することができる。ほこり、湿度、酸化膜、表面仕上げ、摺動速度、温度、振動、ならびにカラムおよびフローディストリビュータ壁の汚染程度は、摩擦係数μ
frictionの値の変動に寄与することによって、記録された挿入力に影響を及ぼし得ることに留意することが重要である。この誤差を減らすために、必要な誘起フープ応力を得るための正確な摩擦係数(μ
friction)および後で加えられる荷重(F
applied
)を決定するすべての初期試験は、安定した、繰返し可能な製造/実験環境、すなわちクリーンルームで行なわれることが推奨される。究極的に、設備はほこりをほとんど有さず、低湿度、最少の紫外線(材料の機械的特性に影響を及ぼし得る)、最少の振動、一定温度(室温状態に近い)、低い汚染程度、および一定の挿入速度を有することが好ましい。
【0080】
また、以下の式を用いて、結果として得られる締り嵌めに対する表面仕上げの大きさを求め、(我々の場合は材料についての)表面仕上げは全体の締り嵌めに対して無視できることが示された。
【0082】
式中、δ
effは事実上の締め代であり、Δδは管内壁およびフローディストリビュータ
の周囲面の表面仕上げを考慮した、測定締め代に対する補正である。
【0084】
式中、R
z,tubeは、管の内壁の表面仕上げであり、R
z,fdは、フローディストリビュータの外壁の表面仕上げである。
【0085】
この圧力を包含するのに十分な誘起フープ応力を保証するため、ある一定の圧力まで漏れを防止するためにフローディストリビュータと管壁との間の締め代の量の関係を展開させるための実験をまず行なってもよい。式(1)は、誘起フープ応力がフローディストリビュータと管壁との間の漏れ止めシールを作り出すのに直接関与していることを示す。管およびフローディストリビュータの材料が一定であることを考慮すると、3つの主な変数、すなわち締り嵌めδ
int、管の外径D
tube,oおよびフローディストリビュータの外径D
fdが誘起フープ応力の大きさに寄与する。これらの値のうちの2つが選択されると、3番
目の変数を変えることによって、漏れに対する内圧に対する、フローディストリビュータを挿入するために加える力F
appliedのいくつかのケースを試験することができる。フロ
ーディストリビュータを越えた漏れがまったくない状態で適正な内圧が得られると、加えた力の値を用いて、所望の圧力を包含するのに必要な誘起フープ応力を逆計算することができる。ある一定のクロマトグラフィーカラムサイズ(管内径)について必要な誘起フープ応力が見つかると、誘起フープ応力に寄与する3つの主な変数を再び変更して、それらが同じ最終の誘起フープ応力値を最終的に得るする限り、設計を最適化することができる
。
【0086】
図9aおよび
図9bは、フローディストリビュータ24が管20に最初に押込まれて面取部22に達する前に生じる力の概略自由物体図を示す。最初にフローディストリビュータ24が管20に入ったとき、管20はまだ膨張していない。フローディストリビュータ24と管20の壁との間の干渉によって、強制的に管20が拡大され、フローディストリビュータ24が圧縮される。管20の壁厚はフローディストリビュータ24の直径および厚みよりも小さいため、全体的な正味の力によって管壁が膨張する(なお、フローディストリビュータ24はそれに応じて少量の圧縮を受ける)。これが起こるためには、軸方向の力は、誘起フープ応力によって生じる力を克服するのに十分大きい必要がある。軸方向力は線形アクチュエータからのものであり、水平方向または径方向力は誘起フープ応力からのものである。軸方向力は単に摩擦力を克服している。摩擦力は、誘起フープからの力の値に直接関連する。
【0087】
図10aおよび
図10bは、フローディストリビュータ24が管20の軸長に沿って押込まれて面取部22を通過した後に生じる力の概略自由物体図を示す。軸方向力のいくつかの成分は管20を膨張させるのに寄与しているが、応力はフローディストリビュータ24と管20との最初の接触点から3〜5の特性寸法だけ離れて分散しており、管20はフローディストリビュータ24の前ですでに膨張している。ゆえに、フローディストリビュータ24が管20の長さに沿ってさらに軸方向に挿入されると、フローディストリビュータ24を押圧する軸方向力はさらに大きくなり、フローディストリビュータ24との接触点だけでなく、フローディストリビュータ24の前の3〜5の特性寸法でも生じるより高い誘起フープ応力を克服する。いくつかの実施形態では、面取部は管壁の端で始まり、たとえば管の全長に沿って延在してもよい。
【0088】
図11は、一実施形態における、フローディストリビュータ24が管20内に進む際にフローディストリビュータ24を管20に圧入するのに必要な軸方向力を示すグラフである。示されるように、力は最初、フローディストリビュータ24の第1の部分が入って管面取部22の最初の部分を通過する間、ピークまで増加する。最初は、フローディストリビュータ24および管壁は静摩擦を受けており、静摩擦を克服するための力は最大である。フローディストリビュータ24および管20の壁の変形が、フローディストリビュータ24の管20内への摺動に取って代わられると、フローディストリビュータ24を管に圧入し続けるのに必要な力は、動摩擦を受けているため低下する。動摩擦は、克服すべき静摩擦よりもはるかに小さい。このグラフには、2つのさらなるピークも存在する。約21mmにおける第1のピークは、面取部22の下部がフローディストリビュータ24のOリング溝26内にあるとき(
図12に示す)に対応する。第2のピークは、フローディストリビュータ24全体が面取部を越えて管20の領域内に係合している点に対応する。示されるように、この例では、最大軸方向力は約1200〜1300lbfである。
【0089】
ある実施形態については、フローディストリビュータ24の外壁のOリング溝26内に配置されたOリングを用いることによってシールを向上させることができる。ある実施形態では、フローディストリビュータを所定の位置に保持するのにプレス嵌めまたは締り嵌めで十分であるが、他の実施形態ではより永続的な接着部が望ましい。
【0090】
フローディストリビュータ24が管の第1の端、たとえば下端に約1〜10cm、たとえば6.0、6.5、7.0、7.5、8.0または8.5cm押込まれると、フローディストリビュータ24は、たとえばフローディストリビュータ24および管が同一のまたは実質的に同様の材料からなる場合、たとえば溶接によって所定の位置に永続的に固定されてもよい。フローディストリビュータとカラム管との間の溶接を形成するために、熱ジグ溶接、(たとえば420℃での)熱ガス溶接、超音波、押出成形、レーザ、導電、高周
波等を含むがこれらに限定されないさまざまな溶接技術を用いてもよい。これら2つの部分が異なる材料からなる場合、それらは、外部に取付けられて管を圧縮し、かつフローディストリビュータを管の内部のその場所にアンカー固定する力を加える金属ホースクランプなどの機械クランプを用いることによって、または接着剤もしくは管壁を通過してフローディストリビュータに入る機械ファスナによって、接続されてもよい。
【0091】
第4に、入口および出口取付具38a、38bを第1の(たとえば下部)および第2の(たとえば上部)フローディストリビュータ24a、24bに装着する(808)。入口および出口取付具38a、38bはねじ山領域40を有し、これらは上部および下部フローディストリビュータ24a、24bのねじ取付孔26に螺合される。各取付具の下端(すなわちフローディストリビュータと噛合う端)またはフローディストリビュータのねじ取付孔26の末端に、凹部(たとえばOリンググランド)が形成されてもよい。この例では、取付具38とフローディストリビュータ24との間にOリングが配置されて、取付具38とフローディストリビュータとが互いにねじ止めされるとそれらの間にシール(たとえば液密シール)が形成される。この境界面に十分なシールを作るためのOリングの適正な圧縮を保証するためにトルクレンチを用いてもよい。
【0092】
次に、液体スラリーの形態の充填媒体を、カラム管20の内部の、下部フローディストリビュータ24bの上方の空間(チャンバ)に装填する(810)。
【0093】
次に、
図6および
図7に示されるように、第2の、たとえば上部フローディストリビュータ24aを管類で配管すると(かつ随意に液体源にすでに接続すると)、第1のフローディストリビュータ24bを締り嵌め法を用いて挿入するのとほぼ同じやり方でフローディストリビュータ24aを管20に挿入する(812)。第2のフローディストリビュータに締り嵌め法を用いることが重要である。なぜなら、この第2の(たとえば上部)フローディストリビュータ24aが管20に押込まれる最初の場所は、第2のフローディストリビュータの最初の位置を試験後に再調整することが望ましい場合があるため、すぐに確定すべきでないからである。ゆえに、第2の、たとえば上部フローディストリビュータ24aを管20の内部で動かして最終調整を行なうことができるように、締り嵌め法が用いられる。また、締り嵌めは、カラムの試験時に用いられる圧力で液密シールを保証するように設計および実施されることも重要である。
【0094】
この時点で、充填媒体を、特定の媒体に好適な方法、たとえば、適切に調合された溶液(「移動相」もしくは「充填バッファ」)もしくはカラム出口取付具38bから適用される吸引を用いたフロー、または任意の他の好適な周知の技術もしくは方法を用いて、充填ベッドの内部に積極的に沈降させることができる。第2の、たとえば上部フローディストリビュータは、当該フローディストリビュータが充填媒体に接触して充填媒体を圧縮して所望の位置に達し得るまで当該フローディストリビュータにさらなる軸方向力を加えることによって、管にさらに押込まれ得る。そのような圧縮は、充填媒体の性質に依存して、充填ベッド高さのまったくのゼロ〜30%以上に及び得る。HETP(理論段相当高さ)試験および非対称性分析によって測定されるカラムの性能は、一部、ベッドの圧縮の関数である。適宜、挿入したフローディストリビュータ24aを管の端に向けて出してベッドの圧縮を減少させることも可能である。これは、第1および第2のフローディストリビュータ同士の間に形成されるチャンバの内部の液体に力を加えることによって、静水圧を用いて行なわれる。第1のフローディストリビュータ24Bは永続的に固定されるため、プレス嵌めを用いて固定される第2のフローディストリビュータ24Aは、プレス嵌めを克服するのに十分な力がカラム管の内部の液体によって自身に及ぼされると移動する。
【0095】
次に、保持されておらず、かつ容易に検出可能な試験品(たとえばUVモニタリングによるアセトンまたは導電率モニタリングによる塩化ナトリウム)のパルス注入によって、
カラム充填媒体の適合性を試験してもよい(818)。充填試験の結果に基づいて、上部フローディストリビュータ24aは充填ベッド内にさらに進む(たとえば押込まれる)ことができ、充填試験を繰返すことができる。上部フローディストリビュータが管の中に入り過ぎて充填ベッドの過剰圧縮を引起こす可能性がある場合、出口取付具を密封した状態で入口取付具からチャンバに液体を押入れることによって、水圧力を用いて上部フローディストリビュータ24aを管の上端に向けて戻し、充填ベッドの圧縮を減少させることができる。カラム充填の適合性が判定されると、カラムは次いで、エンドユーザの仕様に従って、静菌性保存溶液で衛生化され、および/または洗い流され得る。
【0096】
第2の、たとえば上部フローディストリビュータ24aを適切に位置決めすると、第1のフローディストリビュータを固定するための溶接または上述の他の手段などによってフローディストリビュータ24aを永続的に固定してもよい(818)。いくつかの実施形態では、上部(または第2の)フローディストリビュータ24aを管20の内壁に固定するのに締り嵌めが十分であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、装填された最終的なクロマトグラフィーカラムは、次いでトップキャップ、基部、および/またはサイドガードが取付けられてもよい。クロマトグラフィーカラムは次に最後の消毒を受け、使用されてもよいし出荷用に包装されてもよい。
【0098】
使用方法
本明細書に記載のシステムおよび方法は、典型的には多大な資本支出を必要とする耐久ハードウェア設備に存在する他のクロマトグラフィーカラムに匹敵する性能を有する、使い捨て可能で、予め充填され、予め認定された(pre-qualified)滅菌クロマトグラフィ
ーカラムを、エンドユーザに提供する。この新たな滅菌されたカラムは、他の周知のクロマトグラフィーカラムと同じやり方で使用されるが、使い捨て可能でありかつ無菌性であるので、この新たなカラムは、毒性の、そうでなければ有害な試薬、たとえばウィルス、病原体、および毒素を分離し精製するのに特に役立つ。さらに、これらの滅菌カラムは、カラムを再利用し効果のない洗浄をするときに発生することが多い汚染の恐れを伴うことなく使用できる。たとえば、これらの滅菌されたカラムは、滅菌連続プロセス、および、高レベルの微生物管理が必要な多製品設備において使用できる。
【0099】
この新たな滅菌カラムは、使い捨て可能なシステムにおいて、および、多重カラムクロマトグラフィーシステムにおいて使用できる。この新たな滅菌カラムはまた、滅菌接続を介して滅菌システムに接続できる。
【0100】
いくつかの用途において、カラムは、2種類以上のSpA分子とともにさまざまなアフィニティ捕捉媒体で予め充填できる。
【0101】
実施例
本発明を以下の実施例においてさらに説明する。これらの実施例は、請求項に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0102】
実施例1−圧力耐性に対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、本明細書に記載の新たな滅菌方法が、プラスチッククロマトグラフィーカラムおよびその部品に及ぼす影響を判定することであった。この試験は、各構成要素の圧力耐性に対するガンマ線の影響を試験するために、充填媒体を含まない、組立てられたクロマトグラフィーカラムを照射することと、クロマトグラフィーカラムの部品を照射することを含んでいた。
【0103】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmのフローディストリビュータ
・14cmのベッドサポート−ポリプロピレンメッシュ
・14cmのフローディストリビュータOリング
・ポートOリング(小型Oリング)
・入口ポート
・ポートクランプ
・ポートプラグ
・14cmの押出成形ポリプロピレン管
方法
クロマトグラフィーカラムの構成要素に、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線を照射した。この照射は、契約滅菌サービスをIsomedix Services Business(Northborough、マサチューセッツ州)を通して提供する滅菌の請負企業であるSteris Corporationによって行なわれた。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。Steris社は、アイソトープ源(コバルト60)から放出される高エネルギのフォトンを用いて、予め充填されたカラム全体にイオン化(電子の乱れ)を生じさせる。生体細胞では、この乱れが、結果としてDNAおよびその他の細胞組織にダメージを生じさせる。フォトンによって誘起される、分子レベルでのこれらの変化により、生物体が死滅する、または、生物体の繁殖が不可能になる。このようにして所望の滅菌が提供される。
【0104】
照射後の試験のために、水を充填した圧力タンクにカラムを装着した。圧力タンクには、最大100psi(7バール)の外部不活性ガスタンクを用いて圧力をかけることができる。カラムに、先ず水を充填し、次に増大する圧力を加えた。圧力計をカラムの入口に装着し、試験中の圧力上昇をモニタリングした。
【0105】
結果
照射されていない新たなクロマトグラフィーカラムの定格最大圧力は4バールである。照射されたカラムは、上部アダプタが溶接されていなかったため、耐えられる最大圧力は4バール未満と予測された。
【0106】
上部フローアダプタは、圧力が5.5バールに達するまで動かなかった。5.5バールで、上部フローアダプタは、ゆっくりと動き始め、最終的にはカラムから完全に取外すことができた。この試験は、照射されたカラムが、照射されていないカラムと同等の圧力耐性を有することを立証している。
【0107】
実施例2−浸出物および抽出物に対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、ガンマ線で滅菌されたクロマトグラフィーカラムの材料の適合性を判定することであった。この実施例では、カラムの部品からの浸出物および抽出物に対するガンマ線の影響を判定する。
【0108】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmのフローディストリビュータ−機械加工され成形されたポリプロピレン
・14cmのベッドサポート−ポリプロピレンメッシュ
・14cmのフローディストリビュータOリング‐白金硬化シリコーン
・ポートOリング(小形Oリング)‐白金硬化シリコーン
・入口ポート−機械加工ポリプロピレン
・14cmの押出成形ポリプロピレンチューブ
方法
実施例1で先に述べたSteris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)によっ
て、OPUS(商標)クロマトグラフィーカラムの構成要素に、15〜40kGyの間の
線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0109】
照射されたカラム材料も照射されていないカラム材料も、72時間37℃の20%エタノールと水それぞれに浸漬させた。インキュベーション時間の最後に上澄み液を逆相HPLCによって分析した。
【0110】
浸出物および抽出物の検出に用いられるHPLC方法
・HPLCカラム YMC C18−3μm、12nm
・緩衝液A:0.1%TFA水溶液
・緩衝液B:0.1%TFAアセトニトリル溶液
・流量 1mL/分
【0112】
結果
図14A〜
図14Jを参照して、照射されていないカラム部品も照射されたカラム部品も、20%エタノール中の浸出物と抽出物のレベルは水中のものよりもわずかに高い。これらのグラフは、プラスチックの照射後に、目立った浸出物および抽出物は現れないことを示している。サンプル間に見られるばらつきは、統計上重要なものではない。
【0113】
20%エタノール中において、試験したすべてのカラム部品は、照射後の抽出物のレベルが、照射前の部品よりも低いことを示した。水中において、カラム本体は、照射後の抽出物のレベルがわずかに高かったが、相違は統計上重要なものではなかった。ベッドサポートは、水中における抽出物のレベルが、照射後の方が高かった。しかしながら、全体的な変化は小さかった。照射されたサンプルにおいて、いくつかの化合物ピークは減少または完全に消失した。これはおそらく、ガンマ線照射による架橋が原因である。
【0114】
実施例3−物理的外観に対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、組立てられたクロマトグラフィーカラムの物理的外観に対するガンマ線の影響を試験することであった。
【0115】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmのフローディストリビュータ−機械加工され成形されたポリプロピレン
・14cmのベッドサポート−ポリプロピレンメッシュ
・14cmのフローディストリビュータOリング−白金硬化シリコーン
・ポートOリング(小形Oリング)−白金硬化シリコーン
・入口ポート−機械加工されたポリプロピレン
・ポートクランプ
・ポートプラグ
・14cmの押出成形ポリプロピレン管
方法
実施例1で先に述べたSteris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)によっ
て、OPUS(商標)クロマトグラフィーカラムに、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0116】
結果
図13に示されるように、照射されたポリプロピレンカラムは、照射されなかったカラムと比較して、オフホワイト/黄色の色合いを有していたが、それ以外は元のままであった。
【0117】
実施例4−機械的特性に対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、クロマトグラフィーカラム管の機械的特性に対するガンマ線の影響を試験することであった。具体的に、目的は、応力対歪み曲線を導出することであった。この曲線から、降伏引張強度、降伏伸び、破断引張応力、破断伸び、および弾性率すべてがわかった。
【0118】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmの押出成形ポリプロピレン管
方法
Steris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)によって、OPUS(商標)
クロマトグラフィーカラム管に、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0119】
照射後、Intertek PTL(Pittsfield、マサチューセッツ州)が、ASTM D638‐10に従って引張試験を行なった。照射されていない純粋な押出成形PP管の5つのサンプルと、照射押出成形PP管の5つのサンプルが調製され(カラム管から切出され)、試験された。具体的なパラメータは次の通りである。
【0120】
サンプルの調製
Intertek PTLによる機械加工
サンプルの種類
ASTM Type1引張試験片
サンプルの寸法
0.500インチ×0.125インチ(平均)
クロスヘッドスピード
50mm/分
伸縮計
50mmゲージ長ベースで160%。実践最小要件を満たす。
【0121】
E83:弾性率(クラスB−2)/伸び(クラスC)
調整
23℃±2℃/50%±10%RHで40+時間
試験条件
23℃±2℃/50%±10%RH
結果
表2は、この一連の実験から得られたデータをまとめたものである。
図15および
図1
6は、純粋な押出成形PP管と照射された押出成形PP管の間のごくわずかな違いを示している。実験したすべてのサンプルの、最初の最小値から最大値までによって表わされている弾性変形領域は非常に良く似ているように見える。照射されたサンプルは、降伏後の応力の各増分変化が少しだけさらに延びる傾向があり、これは、より強靭な材料の特徴であろう(破断までの曲線下の領域)が、曲線の弾性領域に含まれているのは関連のある材料のみである。なぜなら、組立てにおいてプラスチック永続的な変形が生じる訳ではないからである。すべての干渉は、如何なる塑性変形も材料に生じないように設計された。張力または圧縮を受けた結果として、時間の経過に伴い、材料にわずかなクリープが発生することに注目することは、有意義である。これは、プラスチックの通常の物理的特性である。
【0122】
表2では、
図16の分析の結果得られた、純粋な押出成形PP管と照射された押出成形PP管の工学特性を比較している。どちらのサンプルも、降伏伸びは同じであったが、照射されたサンプルの伸びはわずかに大きく、降伏引張雇用度は140PSIよりもわずかに高かった。これは、総降伏引張強度の3%未満であり、特に、純粋なサンプルと照射されたサンプルの標準偏差がそれぞれ35%と49%であったことを考慮すると、これは最小ファクタとみなすことができる。弾性変形領域内の応力対歪み曲線の傾斜によって表わされる弾性率は、照射されたサンプルの方が、純粋なサンプルよりも、20,000PSI高い。弾性率が高いということは、材料の弾力がより高いことを表わしており、このため、材料はより大きな大きさのエネルギを吸収することができ、それでもなお元の形状に戻ることができる。材料の弾性は以下の式で表わされる。
【0124】
式中、U
rは弾性エネルギ係数、σは応力、εは歪み、εyは降伏歪みの値である。
結論として、材料はいずれも非常に良く似た弾性変形を示したが、照射されたサンプルは、照射されていない純粋なサンプルよりも弾性が大きいとみなされるであろう。このことは、照射されたサンプルが、照射されていない純粋なサンプルと比較して、降伏点に至る歪みの大きさに達するはより多くの圧力が必要であることを意味する。
【0126】
実施例5−機械的性質に対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、クロマトグラフィーカラム管の機械的特性に対するガンマ線の影響を試験することであった。具体的に、目的は、応力対歪み曲線を導出することであった。曲げ応力および5%の歪みと曲げ率はいずれもこの曲線から見出された。
【0127】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmの押出成形ポリプロピレン管
方法
実施例1で先に述べたSteris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)によっ
て、OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム管に、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0128】
照射後、Intertek PTL(Pittsfield、マサチューセッツ州)が、ASTM D790‐10に従って曲げ試験を行なった。純粋な押出成形ポリプロピレン管の5つのサンプルと、照射押出成形PP管の5つのサンプルが調製され(カラム管から切出され)、試験された。具体的なパラメータは次の通りである。
【0129】
サンプルの調製
Intertek PTLによる機械加工
サンプルの種類
ASTM 引張試験片
サンプルの寸法
0.500インチ×0.125インチ×5インチ(平均)
クロスヘッドスピード
0.054インチ/分
スパン長
2.016インチ
伸縮計
50mmゲージ長ベースで160%。実践最小要件を満たす。
【0130】
E83:弾性率(クラスB−2)/伸び(クラスC)
スパンと深さの比率
16±1:1
サポートの半径
0.197インチ
ローディングノーズの半径
0.197インチ
調整
23℃±2℃/50%±10%RHで40+時間
試験条件
23℃±2℃/50%±10%RH
結果
図17は、純粋な押出成形PP管と照射された押出成形PP管の間のごくわずかな違いを示している。すべてのサンプルに対して3点曲げ試験を6%の歪みになるまで実施し、照射されたサンプルは、純粋なサンプルと同じ距離だけ延ばすのに、少しだけ大きな圧力を要した。
【0131】
表3は、
図17の分析の結果得られた、純粋な押出成形PP管と照射された押出成形PP管の工学特性を比較している。ここでもまた、予測通り、照射されたサンプルの曲げ率は純粋なサンプルよりもわずかに高く、これは、押出成形されたPP管が、照射されると、少しだけ弾性が増すことを示している。
【0132】
結論として、
図17に示されているように、純粋なサンプルと照射されたサンプルの間の違いは、極めて小さかった。照射されたサンプルは、照射後に少しだけ弾性が増した。表3は、先に述べた仮定を裏付けている。
【0134】
実施例6−機械的特性に対するガンマ線の影響−フローディストリビュータOリング
この実施例の目的は、クロマトグラフィーカラムのシリコーンOリングの機械的特性に対するガンマ線の影響を試験することであった。具体的に、目的は、材料ごとに応力対歪み曲線を導出することであった。破断引張強度および破断伸びはすべてこの曲線から見出された。
【0135】
カラム材料
・14cmのフローディストリビュータOリング
・14cmの押出成形ポリプロピレン管
方法
Steris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)によって、フローディストリ
ビュータおよびOリングとともに組立てられたOPUS(商標)クロマトグラフィーカラム管に、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0136】
照射後、Intertek PTL(Pittsfield、マサチューセッツ州)が、ASTM D412‐06aに従って引張試験を行なった。純粋なシリコーンOリングの2つのサンプルと、照射されたシリコーンOリングの2つのサンプルが調製され試験された。試験したOリングは、照射プロセスを経た組立てられたカラムから取り出された。このため、Oリングは、長時間張力と圧縮双方が加えられ、かつ、照射プロセス中も張力と圧縮が加えられていたことになる。同じく試験のために、純粋なOリングが在庫から出された。具体的なパラメータは次の通りである。
【0137】
サンプルの調製
Intertek PTLによる切断
サンプルの種類
複数のOリング
クロスヘッドスピード
20インチ/分
伸縮計
1.0インチゲージ長ベースで1000%
調整
23℃±2℃/50%±10%RHで40+時間
試験条件
23℃±2℃/50%±10%RH
結果
図18は、照射されていない純粋なシリコーンOリングと照射されたシリコーンOリングの応力対歪み曲線を示す。照射された組立てられたカラムから取り出された照射されたサンプルと異なり、照射されていない純粋なOリングは、在庫から取り出されたものである。言い換えると、照射されたサンプルは、管の壁とフローディストリビュータとの間で圧縮(およぼ20%の圧縮)を受けるとともに張力を受けており(フローディストリビュータ内でOリンググランドに嵌めるために伸張される)、このことが、材料の何らかの内部クリープに寄与している可能性がある。内部クリープによって、サンプルはわずかに長くなり、降伏まで伸びることはない。このことは、
図17から明らかである。照射されたサンプルにも、より急峻な弾性領域(弾性率)、より高い降伏および破断応力、およびより低い歪み−破断ポイントがある。これらはすべて、材料が少しだけより頑強でより弾力性があることから明らかである。照射と最初の圧縮/張力が組み合わさったことで、照射されたサンプルは、純粋なシリコーンOリングよりも少しだけより弾力性がありより頑強になった。表4は、先に述べた仮定を裏付けている。
【0139】
実施例7−機械的特性に対するガンマ線の影響−フローディストリビュータOリング
この実施例の目的は、クロマトグラフィーカラムのシリコーンOリングの機械的特性に対するガンマ線の影響を試験することであった。具体的に、目的は、Oリングサンプルの
硬度値を導出することであった。
【0140】
カラム材料−OPUS(商標)クロマトグラフィーカラム(Repligen Corporation)
・14cmのフローディストリビュータOリング
方法
実施例1で述べたように、Steris Isomedix(Northborough、マサチューセッツ州)に
よって、OPUS(商標)クロマトグラフィーカラムのフローディストリビュータOリングに、15〜40kGyの間の線量、所望の目標として25kGyの線量で、ガンマ線が照射された。実際の線量は21.3〜25.3kGyの間であった。
【0141】
照射後、Intertek PTL(Pittsfield、マサチューセッツ州)が、ASTM D2240‐05(2010)に従って硬度試験を行なった。照射されていない純粋なシリコーンOリングの5つのサンプルと、照射されたシリコーンOリングの5つのサンプルが調製され試験された。具体的なパラメータは次の通りである。
【0142】
サンプルの調製
Intertek PTLによりOリングから薄片を切出す
圧子貫入時間間隔
1秒
使用した圧子
A
調整
23℃±2℃/50%±10%RHで40+時間
試験条件
23℃±2℃/50%±10%RH
結果
表5では、純粋なシリコーンOリングと照射されたOリングの定格硬度を比較している。材料の硬度は、力が一定であるという条件で、指定器具が材料の中に押込まれる距離を表わす単位であるデュロメータによって説明される。たとえば、これらの試験は、切頭された35°の円錐形を有する直径1.1〜1.5mmの硬化鋼ロッドを指定するASTM
D2240 タイプAスケールに従って実行された。円錐部分の先端を、Oリングから切出したサンプルに、8.064Nの力で押込む。円錐部の先端は、材料の硬度に応じて、0〜2.54mmの範囲のうちのいずれかの距離延ばすことができる。この先端が2.54mm移動した場合、材料のショアA硬度は0であろう。逆に、先端の移動が0mmの場合、材料のショアA硬度は100であろう。
【0143】
照射されたサンプルのショアA硬度は73、照射されていない純粋なシリコーンOリングのショアA硬度は77であった。供給業者によると、シリコーンOリングのショアA硬度は75なので、照射されたサンプルも照射されていない純粋なサンプルも、平均値からの標準偏差が2であるが、これは、この試験にの誤差が±5であるので、ごくわずかであるとみなすことができる。
【0145】
実施例8 アガロース媒体が充填されたOPUS(商標)カラムに対するガンマ線の影響
この実施例の目的は、充填ベッドの流動特性がガンマ線照射後に変化するか否か判断することであった。
【0146】
材料および方法
OPUS(商標)カラム(Repligen Corporation)に、Sepharose 6 Fast Flow媒体(GE Healthcare)を、寸法が内径(id)20cm×ベッド高さ(BH)20cmになるまで充填した。最初の試験の実行後、Steris(Northborough、マサチューセッツ州)で、36.3kGyと39.9kGyの間の線量でガンマ線をカラムに照射し、再試験した。
【0147】
試験では、理論段、非対称性、および圧力を、100cm/時間(hr)で求めた。カラムを、3カラム体積の100mMのNaCl中で平衡状態にし、その後、1%カラム体積の10%アセトン溶液をカラム上にパルス噴射した。
【0149】
結果
ガンマ線照射カラムの充填ベッドの理論段数、非対称性、および圧力降下の変化は、各々20%未満であった。結果は、Sepharose 6FF等のアガロース媒体を充填したID20
cm×BH20cmのOPUSカラムの完全性は、滅菌線量のガンマ線照射後も損なわれないままであることを示している。
【0150】
実施例9−結合容量に対するガンマ線の影響
この試験の目的は、ガンマ線照射後のさまざまな充填媒体の官能性のレベルを求めることであった。プロテインAを用いて官能化したシリカおよびアガロース媒体を試験した。静的結合容量(SBC)モードおよび動的結合容量(DBC)モード双方におけるヒトの多クローン性IgG(hIgG)の能力を、用いて、これらのアフィニティ充填媒体に対するガンマ線照射の機能的影響を評価した。
【0151】
方法
シリカ媒体、Davisil(登録商標)(W.R. Grace)およびSepharose(商標)4 Fast Flowという成分を、還元アミノ化という化学作用を利用して、組換えプロテインA、rSP
A(Repligen Corporation)で固定した。また、同じ媒体を、異なるプロテインAリガンド、MB4(Repligen)で固定した。MB4は、各々がG29A変位体を有する4つのBドメインを含む多量体組換えプロテインAリガンドである。rSPAで固定されたSepharose 4FFは、CaptivA(商標)PriMab(商標)という商品名で、Repligen社から販売されている。すべての媒体サンプルを、20%エタノール溶液において保管した。固定されたサンプルのうちの半分は比較対照のために取っておき、残りの半分をガンマ線照射(28.6〜33.5kGy)のためにSteris(Northborough、マサチューセッツ州)に送った。
【0152】
体積100μlの各媒体を計量して1.5ml遠心分離管に入れ、1mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄して媒体を平衡状態にした。1.0mlの10g/LのIgG(SeraCare)を媒体に加え、30分間回転混合した。インキュベーション後に、媒体を1.0mlのPBSで5回洗浄した。次に、pH2.8の、10mlの100mMのリン酸緩衝生理食塩水を加えてhIgGを溶離した。溶離液中のhIgGの量は、280nmの紫外線測定によって求めた。結合容量(グラムIgG/L媒体)を、UV280結果を100で乗算し、次に吸光係数1.3で除すことによって、計算した。
【0153】
IgGの動的結合容量
量が約3.42mlの各媒体をカラムに充填して、ベッド高さ10cmのカラムを作製した(オムニフィット、ID0.66cm)。各カラムに、AKTAエクスプローラFPLC(GE Healthcare)を用い、流量2.0ml/分でPBSを充填した。IgG(SeraCare)を、2.2mg/mlになるようにPBSで希釈した後、滞留時間が3.0分とな
る流速でカラムに入れた。5%のhIgGブレークスルー(breakthrough)における結合容量を求めた。
【0156】
これらの結果は、ガンマ線照射後の充填媒体官能基の割合が、照射されてない対照サンプルの66.0%と90.0%の間であったことを示す。この結果は、高レベルのガンマ線照射(28.6〜33.5kGy)からすると、予想外に高かった。これらのデータはまた、試験したすべての媒体において、初期容量の65%を上回る容量が維持され、80%を超える容量が維持された場合もあったことを明らかにしている。この性能により、照射されたプロテインA媒体1リットル当たり20g〜42gの抗体製品を精製して、タンパク質精製プロセスを支援するであろう。
【0157】
実施例10−結合容量との関連における、ガンマ線照射中の媒体保護液組成物の影響
この試験の目的は、ガンマ線照射中の充填媒体保護液の組成物が、暴露後の官能能力(functional capacity)に影響するか否か判断することであった。プロテインAを用いて
官能化したアガロース媒体に、複数の異なる溶液中でガンマ線を照射した。動的(DBC)モードにおけるヒトの多クローン性IgG(hIgG)についての能力を用いて、動的結合アッセイにおけるこれらのアフィニティ充填媒体の性能に対するガンマ線の影響を評価した。
【0158】
方法
CaptivA(商標)PriMab(商標)(rSPAで固定したSepharose 4FF、Repligen Corporation)プロテインA媒体の、13×20mlのサンプルを、13種類の溶液に流し込んだ。50%のスラリー濃度で各々20mlのサンプルを調製した。13のサンプル各々を、目標ガンマ線照射線量40kGyのためにSteris(Northborough、マサチューセッツ州)に送った。実際の線量は、36.3kGyと39.9kGyの間であった。ガンマ線照射に続いて、各々のDBCを求めた。
【0159】
IgGの動的結合容量
量が約1mlの各媒体を、カラム(XK5、ID0.5cm)に充填した。各カラムに、AKTAエクスプローラFPLC(GE Healthcare)を用い、流量1ml/分でPBS
を充填した。hIgG(SeraCare)を、2.2mg/mlになるようにPBSで希釈した後、滞留時間が6分となる流速でカラムに入れた。10%のhIgGブレークスルーにおける結合容量を求めた。
【0162】
この結果は、その中でプロテインA媒体にガンマ線を照射した溶液が、官能能力に対して重要な影響を及ぼすとを示している。脱イオン水のみの中では、官能能力は元の<10%に低下する。前の実施例は、20%エタノール中で28.6〜33.5kGyの間の線量で照射した後の、結合容量が、比較対照の>65%であったことを示した。このことは、脂肪族第一級アルコールが、プロテインA分子を含有するアフィニティ媒体の性能の維持に有益であることを示す。この実験において、20%エタノール溶液中の200mMのアスコルビン酸を用いたときに、同様の結果が得られた。
【0163】
意外にも、アセテートまたはエタノールを含まない2%ベンジルアルコールを用いた溶液中で照射した媒体は、官能結合すべてを保持していた。このことは、ガンマ線に対する暴露中の芳香族アルコールの存在が、保護という利点をもたらすことを明らかにしている。アセテートが存在するサンプルは、pH5のときよりもpH6のときの方が安定性が低いが、各々、水単独のときと比較して高い能力を保持していた。アセテートサンプル中のアスコルビン酸の存在は、濃度の増加に対して適度な保護硬化をもたらした。
【0164】
他の実施形態
本発明について、その詳細な説明に関連付けて述べてきたが、上記説明は、例示を意図したものであって、添付の請求項の範囲によって定められる発明の範囲を限定することを意図したものではないことが、理解されるはずである。他の側面、利点、実施形態、および変形は、以下の請求項の範囲に含まれる。