特許第6971300号(P6971300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971300車両制御装置、車両制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971300
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20211111BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20211111BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20211111BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20211111BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G08G1/16 A
   B60Q1/00 G
   B60Q1/50 Z
   B60W50/14
   B60R1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-238613(P2019-238613)
(22)【出願日】2019年12月27日
(65)【公開番号】特開2021-107975(P2021-107975A)
(43)【公開日】2021年7月29日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚克
(72)【発明者】
【氏名】味村 嘉崇
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−287033(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/163816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60Q 1/00
B60Q 1/50
B60W 50/14
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記周辺状況に基づいて前記自車両の操舵及び加速度のうち少なくとも一方を制御する走行制御部と、
前記走行制御部による制御に基づく前記自車両の動作を、前記認識部により認識された交通参加者に対して報知する外部報知部と、
前記外部報知部によって前記交通参加者に対して行った報知の内容を前記自車両のドライバに対しても報知する内部報知部と、
前記自車両が特定シーンである交差点の所定領域内に位置しているときは前記内部報知部による報知を行い、前記自車両が前記特定シーンに位置していないときは前記内部報知部による報知を中止する報知制御部とを備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記報知制御部は、前記自車両が前記特定シーンに位置しているか否かを地図情報を参照して判断することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記自車両の走行地域の周辺情報を表示するナビゲーション表示部を備え、
前記報知制御部は、前記ナビゲーション表示部が周辺情報を表示するディスプレイに所定の周辺情報を表示しているときは、前記自車両のドライバに対して行う報知を実施しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記報知制御部は、前記自車両が交差点の所定領域外にいるときでも前記走行制御部が前記交通参加者に配慮して減速制御を行っているときは、前記内部報知部による前記報知を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかの一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
自車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記周辺状況に基づいて前記自車両の操舵及び加速度のうち少なくとも一方を制御する走行制御部と、
前記走行制御部による制御に基づく前記自車両の動作を、前記認識部により認識された交通参加者に対して報知する外部報知部と、
前記外部報知部によって前記交通参加者に対して行った報知の内容を前記自車両のドライバに対しても報知する内部報知部と、
前記自車両が特定シーンである交差点の所定領域内に位置しているときは前記内部報知部による報知を行い、前記自車両が前記特定シーンに位置していないときは前記内部報知部による報知を中止する報知制御部とを実行することを特徴とする車両制御方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至請求項の何れかの一項に記載の車両制御装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、近年開発が進んでいる自動運転車両においては、走行中にドライバが運転を行っていないので、車内のドライバが外部の状況に注意を払っているようには外側からは見えないことが多い。これだと、当該自動運転車両の周囲の歩行者等の交通参加者からは当該車両が自己を認識してくれていて注意して運転しているのか否かに対して不安を感じる場合がある。
そこで、特許文献1の技術では、車両に可動デバイスを設け、当該車両が歩行者を検知したら当該歩行者の方に可動デバイスを向けて、当該車両が当該歩行者に注意を払って運転していることを知らせる技術について開示されている。
【0003】
また、特許文献2の技術では、自動運転車両において当該車両の周辺にいる人物を認識して、当該人物の方向に指向性をもつ情報を出力する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−174541号公報
【特許文献2】特開2017−199317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の技術によれば、自動運転車両の周囲の歩行者等にとっては、当該車両が自己に対して注意を向けて運転していることを知ることができるため、安心感を得ることができる。
しかしながら、特許文献1,2の技術では、自動運転車両のドライバにとっては、自己の乗車している自動運転車両が周囲の歩行者等の交通参加者に注意を向けて運転していることを確かに報知しているのか、さらにはどのような報知を行っているかがわかりにくい。そのため、自動運転車両のドライバにとっては、不安感を与えてしまうという不具合がある。
【0006】
そこで、自動運転車両が周囲の交通参加者に対し当該交通参加者に注意を払って運転していることを報知していることを当該自動運転車両のドライバに報知するようにすれば、当該ドライバの不安感を軽減することができる。
しかし、自動運転車両が交通参加者に対し当該報知を行う必要性があるのは、交差点内に当該車両が位置している場合など当該車両が特定シーンに位置している場合に限られることが多い。このような特定シーンに位置していないときも含め常に他の交通参加者に前記の報知を行い続けることは当該他の交通参加者に混乱を生じかねない。そのため、このような交通参加者への報知を常時続けていることを自動運転車両のドライバに報知すると、他の交通参加者に混乱を生じさせているのではないかと当該ドライバに不安を誘発させやすい。
【0007】
また、特定シーンに位置していない場合まで常にドライバに前記の報知を行い続けることは運転者にとって煩雑である。また、当該ドライバへの報知を車内のディスプレイを通じで行う場合は、常に当該ドライバへの報知を行い続けると、車内のディスプレイで他の情報を報知することが阻害されてしまう。
そこで、本発明は、車両が周囲の交通参加者に対し当該交通参加者に注意を払って運転していることを報知していることを当該車両のドライバ(搭乗者)に報知するに際して、当該ドライバ(搭乗者)に対して安心感を与えやすく等することができる運転制御装置、車両制御方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、自車両の周辺状況を認識する認識部と、前記認識部により認識された前記周辺状況に基づいて前記自車両の操舵及び加速度のうち少なくとも一方を制御する走行制御部と、前記走行制御部による制御に基づく前記自車両の動作を、前記認識部により認識された交通参加者に対して報知する外部報知部と、前記外部報知部によって前記交通参加者に対して行った報知の内容を前記自車両のドライバに対しても報知する内部報知部と、前記自車両が特定シーンである交差点の所定領域内に位置しているときは前記内部報知部による報知を行い、前記自車両が前記特定シーンに位置していないときは前記内部報知部による報知を中止する報知制御部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両が周囲の交通参加者に対し当該交通参加者に注意を払って運転していることを報知していることを当該車両のドライバ(搭乗者)に報知するに際して、車両のドライバ(搭乗者)に対して安心感を与えやすく等することができる運転制御装置、車両制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両制御装置を備える車両の全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両制御装置及びその周辺部構成を表す機能ブロック構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両制御装置に接続されるHMIの概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両制御装置を備える車両の車室前部構造を表す図である。
図5A】本発明の実施形態に係る車両制御装置を備える車両の前部構造を表す外観図である。
図5B】本発明の実施形態に係る車両制御装置を備える車両の後部構造を表す外観図である。
図5C】車両に備わる右前部灯火部の概略構成を表す正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両制御装置の表示制御部の詳細について説明する機能ブロック図である。
図7A】本発明の実施形態に係る車両制御装置によって右前部灯火部及び左前部灯火部で行う報知のパターンについて説明する平面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る車両制御装置によって右前部灯火部及び左前部灯火部で行う報知のパターンについて説明する平面図である。
図7C】本発明の実施形態に係る車両制御装置によって右前部灯火部及び左前部灯火部で行う報知のパターンについて説明する平面図である。
図7D】本発明の実施形態に係る車両制御装置によって右前部灯火部及び左前部灯火部で行う報知のパターンについて説明する平面図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両制御装置によるマルチインフォメーションパネルの画像表示例を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態に係る車両制御装置による案内に係る報知情報を表示しているときのマルチインフォメーションパネルの平面図である。
図10A】本発明の実施形態に係る車両制御装置による外部報知表示領域に表示する報知表示の画像表示例の平面図である。
図10B】本発明の実施形態に係る車両制御装置による外部報知表示領域に表示する非報知表示の画像表示例の平面図である。
図11】本発明の実施形態に係る車両制御装置の報知制御部等が実行する処理の内容を説明するフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る車両制御装置の制御を説明する自車両の交差点への進入を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る車両制御装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、共通の機能を有する部材には共通の参照符号を付するものとする。また、部材のサイズ及び形状は、説明の便宜のため、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
本発明の実施形態に係る車両制御装置の説明において、自車両Mについて左右の表現を用いる場合、自車両Mの進行方向前方を基準とする。具体的には、例えば、自車両Mが右ハンドル仕様のケースに置いて、運転席側を右側、助手席側を左側と呼ぶことにする。
【0012】
〔自車両Mの構成〕
はじめに、本発明の実施形態に係る車両制御装置100を備える車両(以下、「自車両M」と称する。)の構成について、図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置100を備える車両の全体構成図である。
本発明の実施形態に係る車両制御装置100が搭載される自車両Mは、図1に示すように、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車である。
自車両Mとしては、ディーゼルエンジン・ガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関及び電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。このうち、電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
【0014】
自車両Mには、図1に示すように、自車両Mの周囲に存する物体や標識を含む物標に関する外界情報を検知する機能を有する外界センサ10、自車両Mの現在位置を地図上にマッピングすると共に目的地までの経路案内等を行う機能を有するナビゲーション装置20、及び、自車両Mの操舵・加減速を含む自車両Mの自律走行制御等を行う機能を有する車両制御装置100が搭載されている。
これらの装置や機器は、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信媒体を介して相互にデータ通信可能に接続して構成されている。
【0015】
なお、本発明に係る「車両制御装置」は、本実施形態に係る「車両制御装置100」の構成に加えて、その他の構成(外界センサ10やHMI35など)を含んでいても構わない。
【0016】
[外界センサ10]
外界センサ10は、カメラ11、レーダ13、及びライダ15を含んで構成されている。
カメラ11は、自車両前方の斜め下方に傾斜した光軸を有し、自車両Mの進行方向画像を撮像する機能を有する。カメラ11としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラやCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を適宜用いることができる。カメラ11は、自車両Mの車室内におけるバックミラー(不図示)近傍、及び自車両Mの車室外における右側ドア前部・左側ドア前部などに設けられる。
【0017】
カメラ11は、例えば、自車両Mにおける進行方向前方・右後側方・左後側方の様子を周期的に繰り返し撮像する。本実施形態において、バックミラー近傍に設けたカメラ11は、一対の単眼カメラを並設してなる。カメラ11はステレオカメラであってもよい。
カメラ11により撮像された自車両Mの進行方向前方・右後側方・左後側方の画像情報は、通信媒体を介して車両制御装置100へ送られる。
レーダ13は、自車両Mの前方を走行する追従対象となる先行車を含む物標にレーダ波を照射する一方、物標で反射されたレーダ波を受信することにより、物標までの距離や物標の方位を含む物標の分布情報を取得する機能を有する。レーダ波としては、レーザ、マイクロ波、ミリ波、超音波などを適宜用いることができる。
【0018】
レーダ13は、本実施形態において、図1に示すように、フロント側に3つ、リア側に2つの都合5つ設けられている。レーダ13による物標の分布情報は、通信媒体を介して車両制御装置100へ送られる。
ライダ15(LIDAR:Light Detection and Ranging)は、例えば、照射光に対する散乱光の検出に要する時間を計測することにより、物標の有無、及び物標までの距離を検知する機能を有する。ライダ15は、本実施形態において、図1に示すように、フロント側に2つ、リア側に3つの都合5つ設けられている。ライダ15による物標の分布情報は、通信媒体を介して車両制御装置100へ送られる。
【0019】
[ナビゲーション装置20]
ナビゲーション装置20は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、地図情報(ナビ地図)、ヒューマンマシンインターフェースとして機能するタッチパネル式の内部表示装置61、スピーカ63(いずれも図3参照)、マイク等を備えて構成される。ナビゲーション装置20は、GNSS受信機によって自車両Mの現在位置を割り出すと共に、現在位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導き出す役割を果たす。
【0020】
ナビゲーション装置20により導出された経路は、車両制御装置100の目標車線決定部110(後記)に提供される。自車両Mの現在位置は、車両センサ30の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定又は補完されてもよい。また、ナビゲーション装置20は、目的地に至る経路について音声や地図表示によって案内を行う。
なお、自車両Mの現在位置を割り出すための機能は、ナビゲーション装置20とは独立して設けられてもよい。また、ナビゲーション装置20は、例えば、ユーザの担持するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御装置100との間で、無線又は有線による通信によって情報の送受信が行われる。
【0021】
〔車両制御装置100及びその周辺部構成〕
次に、自車両Mに搭載される、本発明の実施形態に係る車両制御装置100及びその周辺部構成について、図2を参照して説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る車両制御装置100及びその周辺部構成を表す機能ブロック構成図である。
自車両Mには、前記した外界センサ10、ナビゲーション装置20、及び車両制御装置100の他に、図2に示すように、通信装置25、車両センサ30、HMI(Human Machine Interface)35、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、ブレーキ装置220、が搭載されている。
【0023】
通信装置25、車両センサ30、HMI35、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、及びブレーキ装置220は、車両制御装置100との間で通信媒体を介して相互にデータ通信可能に接続して構成されている。
【0024】
[通信装置25]
通信装置25は、例えば、セルラー網、Wi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の無線通信媒体を介して通信を行う機能を有する。
通信装置25は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)などの道路の交通状況を監視するシステムの情報提供用サーバと無線通信を行い、自車両Mが走行中の道路や走行予定の道路の交通状況を示す交通情報を取得する。交通情報には、前方の渋滞情報、渋滞地点を通過するための所要時間情報、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、駐車場の位置情報、駐車場・サービスエリア・パーキングエリアの満車・空車情報などの情報が含まれる。
【0025】
通信装置25は、道路の側帯などに設けられた無線ビーコンと通信を行ったり、自車両Mの周囲を走行する他車両と車車間通信を行ったりすることで、前記交通情報を取得してもよい。
また、通信装置25は、例えば、信号情報活用運転支援システム(TSPS:Traffic Signal Prediction Systems)の情報提供用サーバと無線通信を行い、自車両Mが走行中又は走行予定の道路に設けられた信号機に係る信号情報を取得する。TSPSは、信号機の信号情報を用いて信号交差点を円滑に通行するための運転を支援する役割を果たす。
【0026】
通信装置25は、道路の側帯などに設けられた光ビーコンと通信を行ったり、自車両Mの周囲を走行する他車両と車車間通信を行ったりすることで、前記信号情報を取得してもよい。
【0027】
[車両センサ30]
車両センサ30は、自車両Mに関する各種情報を検出する機能を有する。車両センサ30は、自車両Mの車速を検出する車速センサ、自車両Mの加速度を検出する加速度センサ、自車両Mの鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ、自車両Mの傾斜角度を検出する傾斜角センサ、自車両Mの存する場所の照度を検出する照度センサ、自車両Mの存する場所の照度を検出する照度センサ、自車両Mの存する場所の雨滴の量を検出する雨滴センサ等を含む。
【0028】
[HMI35の構成]
次に、HMI35について、図3図4図5A、及び図5Bを参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る車両制御装置100に接続されるHMI35の概略構成図である。図4は、車両制御装置100を備える自車両Mの車室前部構造を表す図である。図5A図5Bは、車両制御装置100を備える自車両Mの前部構造・後部構造をそれぞれ表す外観図である。
【0029】
HMI35は、図3に示すように、運転操作系の構成部材と、非運転操作系の構成部材と、を備える。これらの境界は明確なものではなく、運転操作系の構成部材が非運転操作系の機能を備える構成(又はその逆)を採用しても構わない。
HMI35は、運転操作系の構成部材として、図3に示すように、アクセルペダル41、アクセル開度センサ43、及びアクセルペダル反力出力装置45と、ブレーキペダル47及びブレーキ踏量センサ49と、シフトレバー51及びシフト位置センサ53と、ステアリングホイール55、ステアリング操舵角センサ57及びステアリングトルクセンサ58と、その他運転操作デバイス59とを含む。
【0030】
アクセルペダル41は、ドライバによる加速指示(又は戻し操作による減速指示)を受け付けるための加速操作子である。アクセル開度センサ43は、アクセルペダル41の踏み込み量を検出し、踏み込み量を示すアクセル開度信号を車両制御装置100に出力する。
なお、アクセル開度信号を車両制御装置100に出力するのに代えて、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、又はブレーキ装置220に直接出力する構成を採用してもよい。以下に説明する他の運転操作系の構成についても同様である。アクセルペダル反力出力装置45は、例えば車両制御装置100からの指示に応じて、アクセルペダル41に対して操作方向と反対向きの力(操作反力)を出力する。
【0031】
ブレーキペダル47は、ドライバによる減速指示を受け付けるための減速操作子である。ブレーキ踏量センサ49は、ブレーキペダル47の踏み込み量(又は踏み込み力)を検出し、検出結果を示すブレーキ信号を車両制御装置100に出力する。
シフトレバー51は、ドライバによるシフト段の変更指示を受け付けるための変速操作子である。シフト位置センサ53は、ドライバにより指示されたシフト段を検出し、検出結果を示すシフト位置信号を車両制御装置100に出力する。
【0032】
ステアリングホイール55は、ドライバによる旋回指示を受け付けるための操舵操作子である。ステアリング操舵角センサ57は、ステアリングホイール55の操作角を検出し、検出結果を示すステアリング操舵角信号を車両制御装置100に出力する。ステアリングトルクセンサ58は、ステアリングホイール55に加えられたトルクを検出し、検出結果を示すステアリングトルク信号を車両制御装置100に出力する。
その他運転操作デバイス59は、例えば、ジョイスティック、ボタン、ダイヤルスイッチ、GUI(Graphical User Interface)スイッチなどである。その他運転操作デバイス59は、加速指示、減速指示、旋回指示などを受け付け、車両制御装置100に出力する。
【0033】
HMI35は、非運転操作系の構成部材として、図3に示すように、例えば、内部表示装置61、スピーカ63、接触操作検出装置65及びコンテンツ再生装置67と、各種操作スイッチ69と、シート73及びシート駆動装置75と、ウインドウガラス77及びウインドウ駆動装置79と、車室内カメラ81と、外部表示装置83と、を含む。
内部表示装置61は、車室内の乗員宛に各種情報を表示する機能を有する、好ましくはタッチパネル式の表示装置である。内部表示装置61は、図4に示すように、インストルメントパネル60のうち、運転席に正対する位置に設けられるメータパネル85と、運転席及び助手席にわたって対向するように設けられる、車幅方向に横長のマルチインフォメーションパネル87と、車幅方向の運転席側に設けられる右側パネル89aと、車幅方向の助手席側に設けられる左側パネル89bと、を含む。なお、内部表示装置61を、後部座席に対向する位置(全部座席の背面側)に追加的に設けても構わない。
【0034】
メータパネル85には、例えば、スピードメータ、タコメータ、オドメータ、シフト位置情報、灯火類の点灯状況情報等が表示される。
マルチインフォメーションパネル87には、例えば、自車両M周辺の地図情報、地図上における自車両Mの現在位置情報、自車両Mの現在の走行路・予定経路に関する交通情報(信号情報を含む)、自車両Mの周囲に存する交通参加者(歩行者・自転車・オートバイ・他車両等を含む)に関する交通参加者情報、交通参加者に向けて発するメッセージ等の各種情報等が表示される。
【0035】
右側パネル89aには、自車両Mの右側に設けたカメラ11により撮像した自車両Mの右側における後方及び下方の画像情報が表示される。
左側パネル89bには、自車両Mの左側に設けたカメラ11により撮像した自車両Mの左側における後方及び下方の画像情報が表示される。
内部表示装置61は、特に限定されないが、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)などによって構成される。内部表示装置61は、ウインドウガラス77に所要の画像を投影するHUD(Head Up Display)によって構成しても構わない。
【0036】
スピーカ63は、音声を出力する機能を有する。スピーカ63は、例えば、車室内のインストルメントパネル60、ドアパネル、リアパーセルシェルフ(いずれも不図示)等の適宜の位置に適宜の数だけ設けられる。
接触操作検出装置65は、内部表示装置61がタッチパネル式である場合に、内部表示装置61の表示画面におけるタッチ位置を検出し、検出したタッチ位置の情報を車両制御装置100に出力する機能を有する。なお、内部表示装置61がタッチパネル式ではない場合、接触操作検出装置65はこれを省略することができる。
【0037】
コンテンツ再生装置67は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)再生装置、CD(Compact Disc)再生装置、テレビジョン受信機、各種案内画像の生成装置などを含む。内部表示装置61、スピーカ63、接触操作検出装置65及びコンテンツ再生装置67は、一部又は全部がナビゲーション装置20と共通する構成であってもよい。
各種操作スイッチ69は、車室内における適宜の位置に配設される。各種操作スイッチ69には、自動運転の即時開始(又は将来の開始)及び停止を指示する自動運転切替スイッチ71を含む。自動運転切替スイッチ71は、GUI(Graphical User Interface)スイッチ、機械式スイッチのいずれであってもよい。また、各種操作スイッチ69は、シート駆動装置75やウインドウ駆動装置79を駆動するためのスイッチを含んでもよい。
【0038】
シート73は、自車両Mの乗員が着座する座席である。シート駆動装置75は、シート73のリクライニング角、前後方向位置、ヨー角などを自在に駆動する。ウインドウガラス77は、例えば各ドアに設けられる。ウインドウ駆動装置79は、ウインドウガラス77を開閉駆動する。
車室内カメラ81は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車室内カメラ81は、バックミラーやステアリングボス部(いずれも不図示)、インストルメントパネル60など、運転席に着座しているドライバの少なくとも頭部を撮像可能な位置に設けられる。車室内カメラ81は、例えば、ドライバを含む車室内の様子を周期的に繰り返し撮像する。
【0039】
外部表示装置83は、自車両Mの周囲に存する交通参加者(歩行者・自転車・オートバイ・他車両等を含む)宛に各種情報を表示する機能を有する。外部表示装置83は、図5Aに示すように、自車両Mにおけるフロントグリル90のうち、車幅方向に離間して設けられる右前部灯火部91A及び左前部灯火部91B、並びに、左右の前部灯火部91A,91Bの間に設けられる前部表示部93を備える。
また、外部表示装置83は、図5Bに示すように、自車両Mにおけるリアグリル94のうち車幅方向に離間して設けられる右後部灯火部95A及び左後部灯火部95B、自車両Mの車室内であってリアウインドウ96の中央下部を通して外方から臨み得る位置に設けられる後部表示部97を備える。後部表示部97は、例えば、リアウインドウ96の開口下端部(不図示)等に設けられる。
【0040】
ここで、外部表示装置83のうち、左右の前部灯火部91A,91Bの構成について、図5Cを参照して説明する。図5Cは、自車両Mに備わる右前部灯火部91Aの概略構成を表す正面図である。なお、左右の前部灯火部91A,91Bはその構成が共通のため、右前部灯火部91Aの概略構成を説明することで、左右の前部灯火部91A,91Bについての構成の説明に代えることとする。
右前部灯火部91Aは、正面視で円形状に形成されている。右前部灯火部91Aは、その外径寸法と比べて小径の寸法を呈する正面視で円形状に形成されたヘッドランプ91Aaを中心に、それぞれが円環状に形成された方向指示器91Ab、灯火表示部91Ac、ポジションランプ91Adを、径方向の外方に向かって順次同心円状に配設して構成されている。
【0041】
ヘッドランプ91Aaは、自車両Mが暗所を走行中に、その進行方向前方に光を照射して乗員の前方視界を補助する役割を果たす。方向指示器91Abは、自車両Mが右左折する際に、その意図を自車両Mの周囲に存する交通参加者宛に伝える役割を果たす。灯火表示部91Acは、前部表示部93の表示内容と相まって、自車両Mの停車を含む走行意図(これについて、詳しくは後記する)を自車両Mの周囲に存する交通参加者宛に伝える役割を果たす。ポジションランプ91Adは、自車両Mが暗所を走行中に、自車両Mの車幅を周囲に存する交通参加者宛に伝える役割を果たす。
【0042】
〔車両制御装置100の構成〕
次に、図2に戻って、車両制御装置100の構成について説明する。
車両制御装置100は、例えば、一以上のプロセッサ又は同等の機能を有するハードウェアにより実現される。車両制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、記憶装置、及び通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU(Electronic Control Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)などが組み合わされた構成であってよい。
【0043】
車両制御装置100は、目標車線決定部110と、運転支援制御部120と、走行制御部160と、HMI制御部170と、記憶部180と、を備える。
目標車線決定部110、運転支援制御部120の各部の機能、及び走行制御部160のうち一部又は全部の機能は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0044】
以降の説明において、「○○部は」と主体を記した場合、運転支援制御部120が必要に応じROM・EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)から各プログラムを読み出した上でRAMにロードし、各機能(後記)を実行するものとする。各プログラムは、予め記憶部180に記憶されていてもよいし、他の記憶媒体又は通信媒体を介して、必要に応じて車両制御装置100に取り込まれてもよい。
【0045】
[目標車線決定部110]
目標車線決定部110は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)により実現される。目標車線決定部110は、ナビゲーション装置20から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、高精度地図情報181を参照してブロックごとに目標車線を決定する。目標車線決定部110は、例えば、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。目標車線決定部110は、例えば、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、目標車線を決定する。目標車線決定部110により決定された目標車線は、目標車線情報182として記憶部180に記憶される。
【0046】
[運転支援制御部120]
運転支援制御部120は、運転支援モード制御部130と、認識部140と、切替制御部150と、を備える。
【0047】
<運転支援モード制御部130>
運転支援モード制御部130は、HMI35に対するドライバの操作、行動計画生成部144により決定されたイベント、軌道生成部147により決定された走行態様などに基づいて、運転支援制御部120が実行する自動運転モード(自動運転支援状態)を決定する。自動運転モードは、HMI制御部170に通知される。
何れの自動運転モードにおいても、HMI35における運転操作系の構成要素に対する操作によって、下位の自動運転モードに切替える(オーバーライドする)ことができる。
【0048】
オーバーライドは、例えば、自車両MのドライバによるHMI35の運転操作系の構成要素に対する操作が、所定時間を超えて継続した場合、所定の操作変化量(例えばアクセルペダル41によるアクセル開度、ブレーキペダル47によるブレーキ踏量、ステアリングホイール55によるステアリング操舵角)を超える場合、又は、運転操作系の構成要素に対する操作を所定の回数を超えて行った場合などに開始される。
【0049】
<認識部140>
認識部140は、自車位置認識部141と、外界認識部142と、エリア特定部143と、行動計画生成部144と、軌道生成部147と、を備える。
【0050】
<自車位置認識部141>
自車位置認識部141は、記憶部180に格納された高精度地図情報181と、カメラ11、レーダ13、ライダ15、ナビゲーション装置20、又は車両センサ30から入力される情報とに基づいて、自車両Mが走行している走行車線、及び、走行車線に対する自車両Mの相対位置を認識する。
自車位置認識部141は、高精度地図情報181から認識される道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ11によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。この認識において、ナビゲーション装置20から取得される自車両Mの現在位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
【0051】
<外界認識部142>
外界認識部142は、図2に示すように、カメラ11、レーダ13、ライダ15を含む外界センサ10から入力される外界情報に基づいて、例えば、周辺車両の位置・車速・加速度を含む外界状態を認識する。周辺車両とは、例えば、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。
周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の状態とは、上記各種機器の情報に基づいて把握される、周辺車両の加速度、車線変更をしているか否か(あるいは車線変更をしようとしているか否か)を含んでもよい。また、外界認識部142は、周辺車両に加えて、ガードレール、電柱、駐車車両、歩行者、交通標識を含む物標の位置を認識する構成を採用してもよい。
本発明の実施形態では、周辺車両のうち自車両Mの直前を走行する車両であって、追従走行制御において追従対象となる車両を「先行車」と呼ぶ。
【0052】
<エリア特定部143>
エリア特定部143は、自車両Mの周辺に存する特定エリア(インターチェンジ:IC/ジャンクション:JCT/車線の増加・減少地点)に係る情報を地図情報に基づき取得する。これにより、エリア特定部143は、先行車を含む前方車両に隠れて進行方向画像を、外界センサ10を介して取得できない場合でも、自車両Mの円滑な進行を補助する特定エリアに係る情報を取得することができる。
【0053】
なお、エリア特定部143は、地図情報に基づく特定エリアに係る情報の取得に代えて、外界センサ10を介して取得した進行方向画像に基づく画像処理によって物標を同定することにより、又は、外界認識部142の内部処理によって進行方向画像の輪郭に基づいて物標を認識することにより、前記特定エリアに係る情報を取得しても構わない。
また、後記するように、通信装置25が入手したVICS情報を用いて、エリア特定部143が取得した特定エリアに係る情報の精度を高める構成を採用しても構わない。
【0054】
<行動計画生成部144>
行動計画生成部144は、自動運転のスタート地点、及び/又は自動運転の目的地を設定する。自動運転のスタート地点は、自車両Mの現在位置であってもよいし、自動運転を指示する操作がなされた地点であってもよい。行動計画生成部144は、そのスタート地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。なお、これに限らず、行動計画生成部144は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。
【0055】
行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。複数のイベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに先行車を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、走行車線を変更させる合流イベント、自動運転の開始地点で手動運転モードから自動運転モード(自動運転支援状態)に移行させたり、自動運転の終了予定地点で自動運転モードから手動運転モードに移行させたりするハンドオーバイベント等が含まれる。
【0056】
行動計画生成部144は、目標車線決定部110により決定された目標車線が切替わる箇所において、車線変更イベント、分岐イベント、又は合流イベントを設定する。行動計画生成部144によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報183として記憶部180に格納される。
行動計画生成部144は、モード変更部145と、報知制御部146とを備える。
【0057】
<モード変更部145>
モード変更部145は、例えば、外界認識部142による自車両Mの進行方向に存する物標の認識結果に基づいて、予め設定される複数段階の自動運転モード及び手動運転モードを含む運転モードの中から、前記認識結果に相応しい運転モードを選択し、当該選択した運転モードを用いて自車両Mの運転動作を行わせる。
【0058】
<報知制御部146>
報知制御部146は、モード変更部145によって自車両Mの運転モードが遷移された場合、自車両Mの運転モードが遷移した旨を報知する。報知制御部146は、例えば、記憶部180に予め記憶される音声情報をスピーカ63に出力させることにより、自車両Mの運転モードが遷移した旨を報知する。
なお、自車両Mの運転モードの遷移をドライバに報知することが可能であれば、音声による報知に限らず、表示、発光、振動、又はこれらの組合わせによって前記報知を行っても構わない。
【0059】
<軌道生成部147>
軌道生成部147は、行動計画生成部144で生成された行動計画に基づいて、自車両Mの走行すべき軌道を生成する。
【0060】
<切替制御部150>
切替制御部150は、図2に示すように、自動運転切替スイッチ71(図3参照)から入力される信号、その他に基づいて自動運転モード及び手動運転モードを相互に切替える。また、切替制御部150は、HMI35における運転操作系の構成要素に対する加速、減速又は操舵を指示する操作に基づいて、その時の自動運転モードを下位の運転モードに切替える。例えば、切替制御部150は、HMI35における運転操作系の構成要素から入力された信号の示す操作量が閾値を超えた状態が、基準時間以上継続した場合に、その時の自動運転モードを下位の運転モードに切替える(オーバーライド)。
【0061】
また、切替制御部150は、オーバーライドによる下位の運転モードへの切替えの後、所定時間の間、HMI35における運転操作系の構成要素に対する操作が検出されなかった場合に、元の自動運転モードに復帰させる切替え制御を行ってもよい。
【0062】
<走行制御部160>
走行制御部160は、軌道生成部147によって生成された自車両Mの走行すべき軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、及びブレーキ装置220の制御を行うことにより、自車両Mの走行制御を行う。
【0063】
<HMI制御部170>
HMI制御部170は、運転支援制御部120により自車両Mの自動運転モードに係る設定情報が通知されると、モード別操作可否情報184(図2)を参照して、自動運転モードの設定内容に応じてHMI35を制御する。モード別操作可否情報184は、各運転モード毎に使用が許可される装置(ナビゲーション装置20及びHMI35の一部又は全部)と、使用が許可されない装置とを示す情報である。
【0064】
HMI制御部170は、図2に示すように、運転支援制御部120から取得した自車両Mの運転モードの情報に基づき、また、モード別操作可否情報184を参照することで、使用が許可される装置(ナビゲーション装置20及びHMI35の一部又は全部)と、使用が許可されない装置とを判別する。また、HMI制御部170は、前記判別結果に基づいて、運転操作系のHMI35又はナビゲーション装置20に関するドライバ操作の受け付け可否を制御する。
【0065】
例えば、車両制御装置100の実行する運転モードが手動運転モードである場合、HMI制御部170は、運転操作系のHMI35(例えば、アクセルペダル41、ブレーキペダル47、シフトレバー51、及びステアリングホイール55等;図3参照)に関するドライバ操作を受け付ける。
HMI制御部170は、表示制御部171を備える。
【0066】
<表示制御部171>
表示制御部171は、内部表示装置61及び外部表示装置83に関する表示制御を行う。具体的には、例えば、表示制御部171は、車両制御装置100の実行する運転モードが自動化度の高い自動運転モードである場合に、自車両Mの周囲に存する交通参加者に対する注意喚起・警告・運転補助等の情報を内部表示装置61及び/又は外部表示装置83に表示させる制御を行う。これについて、詳しくは後記する。
【0067】
<記憶部180>
記憶部180には、例えば、高精度地図情報181、目標車線情報182、行動計画情報183、モード別操作可否情報184などの情報が格納される。記憶部180は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部180に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部180にインストールされてもよい。
【0068】
高精度地図情報181は、ナビゲーション装置20に通常備わる地図情報と比べて高精度な地図情報である。高精度地図情報181は、例えば、車線の中央の情報、車線の境界の情報等を含んでいる。前記車線の境界には、レーンマークの種別・色・長さ・路幅・路肩幅・本線幅・車線幅・境界位置・境界種別(ガードレール・植栽・縁石)・ゼブラゾーンなどがあり、これらの境界が高精度地図内に含まれている。
また、高精度地図情報181には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブ曲率、車線の合流及び分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。交通規制情報には、工事や交通事故、渋滞等によって車線が封鎖されているといった情報が含まれる。
【0069】
[走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、及びブレーキ装置220]
車両制御装置100は、図2に示すように、走行制御部160による走行制御指令に従って、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、及びブレーキ装置220の駆動を制御する。
【0070】
<走行駆動力出力装置200>
走行駆動力出力装置200は、自車両Mが走行するための駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、自車両Mが内燃機関エンジンを動力源とした自動車である場合、内燃機関エンジン、変速機、及び内燃機関エンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit:いずれも不図示)を備える。
【0071】
また、走行駆動力出力装置200は、自車両Mが電動機を動力源とした電気自動車である場合、走行用モータ及び走行用モータを制御するモータECU(いずれも不図示)を備える。
さらに、走行駆動力出力装置200は、自車両Mがハイブリッド自動車である場合、内燃機関エンジン、変速機、エンジンECU、走行用モータ、及びモータECU(いずれも不図示)を備える。
【0072】
走行駆動力出力装置200が内燃機関エンジンのみを含む場合、エンジンECUは、後述する走行制御部160から入力される情報に従って、内燃機関エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整する。
走行駆動力出力装置200が走行用モータのみを含む場合、モータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整する。
【0073】
走行駆動力出力装置200が内燃機関エンジン及び走行用モータを含む場合、エンジンECU及びモータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、互いに協調して走行駆動力を制御する。
【0074】
<ステアリング装置210>
ステアリング装置210は、例えば、ステアリングECUと、電動モータ(いずれも不図示)とを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車両制御装置100から入力される情報、又は入力されるステアリング操舵角又はステアリングトルクの情報に従って電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0075】
<ブレーキ装置220>
ブレーキ装置220は、例えば、ブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置(いずれも不図示)である。電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、走行制御部160から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。電動サーボブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてもよい。
【0076】
なお、ブレーキ装置220は、上記説明した電動サーボブレーキ装置に限らず、電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。電子制御式油圧ブレーキ装置は、走行制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する。また、ブレーキ装置220は、走行駆動力出力装置200に含まれ得る走行用モータによる回生ブレーキを含んでもよい。
【0077】
[表示制御部171の詳細]
図6は、表示制御部171の詳細について説明する機能ブロック図である。図6に示すように、表示制御部171は、外部報知部172と、内部報知部173と、報知制御部174とを備えている。表示制御部171は、後述する処理である車両制御方法により本発明の車両制御方法を実施する。この処理は所定のプログラムに基づいて実行され、この所定のプログラムによって本発明のプログラムを実施する。
前記のとおり、認識部140(外界認識部142)、外界センサ10の検知結果に基づいて、自車両Mの周辺情報を認識することができる。そして、自動運転モードでは、本発明の走行制御部となる運転支援制御部120、走行制御部160が、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、ブレーキ装置220を制御して自動運転を行う。ここでの自動運転は、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、ブレーキ装置220のすべてを制御して行う。しかし、これらのうちステアリング装置210のみを制御して自車両Mの操舵のみを自動化制御しても、走行駆動力出力装置200及びブレーキ装置220のみを制御して自車両Mの加速度のみを自動化制御してもよい。
【0078】
<外部報知部172>
外部報知部172は、このような自動運転モードによる制御に基づく自車両Mの動作を、認識部140(外界認識部142)により認識された歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して報知する。具体的には、外部表示装置83を制御して係る報知を行う。
【0079】
<内部報知部173>
内部報知部173は、外部報知部172によって歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して行った報知の内容を自車両Mのドライバに対しても報知する。具体的には、内部表示装置61を制御して当該報知を行う。また、かかる報知はスピーカ63からの音声メッセージによっても行うことが好ましい。さらに、図示しないインジケータの点灯のような手段を用いることも好ましい。
内部報知部173は、外部報知部172によって歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して行った報知の内容をドライバに報知する報知表示310(第1報知)(図10A)と、当該交通参加者に対して行った報知の内容とは異なる内容をドライバに報知する非報知表示320(第2報知)(図10B)とが可能である。第1の報知310、非報知表示320に用いる画像は、例えば記憶部180に報知画像情報185(図2)として記憶されている。
【0080】
<報知制御部174>
報知制御部174(報知制御部)は、認識部140(の外界認識部142)によって自車両Mの周辺(例えば前方側)に歩行者、自転車運転者等の交通参加者を検知した場合は、外部報知部172によって当該交通参加者に対して自車両Mの動作を報知する。また、この場合に、報知制御部174は、ドライバに対しては外部報知部172の報知の内容を内部報知部173によって報知する。
【0081】
そして、その後、報知制御部174は、前記の交通参加者を自車両Mの周辺(例えば前方側)から検出しなくなったことを認識部140(の外界認識部142)によって検出した場合は、当該交通参加者に対する外部報知部172による報知を中止する。また、この場合に、報知制御部174は、内部報知部173によるドライバに対する外部報知部172による報知の内容の報知も中止する。
報知制御部174は、この場合に、歩行者、自転車運転者等の交通参加者を自車両Mの前方側から検出しなくなったことを認識部140(の外界認識部142)によって検出した場合は、内部報知部173によって前記報知表示310に代えて前記非報知表示320を行う。報知表示310は、外部報知部172によって歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して所定の報知を行っていることを運転者に報知するものである。非報知表示320は、このような交通参加者に対して所定の報知を行っていることを運転者に報知することとは無関係の報知(交通参加者に対して所定の報知を行っていないことを示す報知)である。
【0082】
この場合に、報知制御部174は、自車両Mが特定シーンに位置しているときは外部報知部172による報知並びに内部報知部173による前記報知表示310、非報知表示320を行い、当該特定シーンに位置していないときは内部報知部173による報知を中止する。
「特定シーン」とは、例えば、自車両Mが「交差点の所定領域内」に位置していることである。前記のとおり、自車位置認識部141(取得部)によって、自車両Mの位置情報を取得することができる。この位置情報の取得は、高精度地図情報181等から行うことができる。よって、自車両Mが特定シーンに位置しているか否かは高精度地図情報181等の参照によって判断することができる。そして、報知制御部174は、自車位置認識部141によって自車両Mが交差点の所定領域内に位置していることを検知しているときに外部報知部172による報知並びに内部報知部173による前記報知表示310、非報知表示320を行う。「交差点の所定領域内」が各交差点の具体的にどの範囲内を示すのかは、高精度地図情報181に含まれている。報知制御部174は、外部報知部172の報知に応じて内部報知部173による報知の内容を変更する。
【0083】
外部報知部172の報知に応じた内部報知部173による報知を開始したときは、自車位置認識部141の認識結果によって「交差点の所定領域内」から自車両Mが出るまで内部報知部173による報知表示310又は非報知表示320を継続する。自車両Mの位置が「交差点の所定領域内」から当該領域外に変化した場合は、自車両Mの走行制御が所定の制御を行っているときは、内部報知部173は報知表示310を行い、そうでないときは内部報知部173による報知は行わない。「所定の制御」とは、前方の道路を歩行者が渡ろうとしているので自車両Mを停止する等の制御である。
報知制御部174は、外部報知部172によって自車両Mの前方側に存在する歩行者、自転車運転者等の交通参加者の方向へ情報を出力するように情報の報知を行う。
【0084】
報知制御部174は自車両Mの存在する走行車線とは反対側(対向側)の車線側の領域(その対向車線に隣接する歩道上等)に存在すると判断した歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対しては、原則として外部報知部172による報知を行わない。
前記のとおり、ナビゲーション装置20(ナビゲーション表示部)は、目的地に至る経路について音声や地図表示によって案内を行うことができる。ナビゲーション装置20による案内画面はマルチインフォメーションパネル87(ディスプレイ)に表示することができる。また、案内音声はスピーカ63から出音することができる。報知制御部174によって内部報知部173は、ナビゲーション装置20によってマルチインフォメーションパネル87が、前記の案内に係る報知情報(周辺情報)を表示しているときは、内部報知部173による報知は行わない。
【0085】
[外部報知部172、内部報知部173、報知制御部174の具体的処理]
次に、前記した外部報知部172、内部報知部173、報知制御部174が実行する具体的処理の内容について説明する。外部報知部172、内部報知部173、報知制御部174が下記の処理を実行するのは、モード変更部145で、運転モードが、SAE(Society of Automotive Engineers) Internationalが定める自動運転レベル4に設定されている場合である。自動運転レベル4への設定は自動運転切替スイッチ71の操作で行える。自動運転レベル4は、特定の場所で自車両Mの前記したシステムが全てを操作する。なお、前記の自車両Mでは自動運転レベル5には対応していないが、自車両Mが自動運転レベル5の自動運転も可能である場合は、自動運転レベル4又は自動運転レベル5に運転モードが設定されている場合に、外部報知部172、内部報知部173、報知制御部174が下記の処理を実行する。
【0086】
外部報知部172で可能な報知の内容について説明する。まず、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる報知のパターンについて図7A図7Dを参照して説明する。右前部灯火部91Aと左前部灯火部91Bとでは、報知の内容が同じであるため、以下では右前部灯火部91Aで代表して説明する。右前部灯火部91Aの灯火表示部91Acは、例えば多数のLED(Light Emitting Diode)を集積して構成されている。そして、この集積されたLEDを部分的に点灯して(残りの他の部分は消灯して)、報知を行う。
【0087】
具体的には、右前部灯火部91Aは円形のヘッドランプ91Aaの周囲に円環状に配置されている。そして、フロントグリル90の左右に右前部灯火部91Aと左前部灯火部91Bとが配置されているので、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bは、擬人化された両目のように外部からは見える。そこで、図7Aに示すように、右前部灯火部91A(以下、左前部灯火部91Bについても同様)の灯火表示部91Acの右半分を消灯し、左半分を点灯すると(消灯部分は斜線で示している。以下の図面でも同様。)、消灯した暗い部分は黒目のように、点灯した明るい部分は白目のように見える(そのため、灯火表示部91Acの発光色は白色か白色に近い淡い色が好ましい)。すると、黒目に見える暗い部分は円環状の灯火表示部91Ac右側にあるので、擬人化された両目が右側を見ているように表現することができる。
【0088】
同様に、図7Bに示すように、右前部灯火部91Aの灯火表示部91Acの右半分を点灯し、左半分を消灯すると、両目が左側を見ているように表現することができる。図7Cに示すように、右前部灯火部91Aの灯火表示部91Acの上半分を点灯し、下半分を消灯すると、両目が下側を見ているように表現することができる。図7Dに示すように、右前部灯火部91Aの灯火表示部91Acの下半分を点灯し、上半分を消灯すると、両目が上側を見ているように表現することができる。なお、灯火表示部91Acの点灯、消灯する領域の割合は半々でなくともよく、例えば一方を25%、他方を75%にする等、様々に設定してよい。しかし、右前部灯火部91Aと左前部灯火部91Bとで両目を表現し、その両目の視線の方向をわかりやすくするためには、おおむね灯火表示部91Acの点灯、消灯する領域の割合を半々程度にするのが好ましい。
【0089】
外部報知部172で可能な報知としては、前部表示部93に文字等のメッセージの表示も実行する。
次に、内部報知部173で可能な報知の内容について説明する。内部報知部173が実行する報知は、マルチインフォメーションパネル87への画像表示によって行う。図8は、マルチインフォメーションパネル87の画像表示例を示す平面図である。図4のようにインストルメンントパネル60にマルチインフォメーションパネル87が備わっているが、図8のように表示領域87aには、前記のように、自車両M周辺の地図情報、地図上における自車両Mの現在位置情報、自車両Mの現在の走行路・予定経路に関する交通情報等(画像87d)も表示される。画像87dは、ナビゲーション装置20の地図情報(ナビ地図)等に基づいてナビゲーション装置20により表示される。マルチインフォメーションパネル87の表示領域87aの一部、図8の例で画面の右寄りの位置には、必要に応じて外部報知表示領域87bを表示することができる。外部報知表示領域87bでは、外部報知部172で、現在、右前部灯火部91A(左前部灯火部91B)の灯火表示部91Ac及び前部表示部93で、歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対してどのような報知を行っているかを示す画像を表示する。具体的には、外部報知表示領域87bには自車両Mの前部を模した画像が表示され、当該画像では右前部灯火部91A、左前部灯火部91B、前部表示部93が明確に表示されている。
【0090】
図9は、前記の案内に係る報知情報87cを表示しているときのマルチインフォメーションパネル87の平面図である。この案内に係る報知情報87cとは、自車両Mの将来の移動経路上に存在するランドマーク、レストラン、各種ショップ等の情報を案内するものであり、マルチインフォメーションパネル87中の画像表示の他に、スピーカ63の音声案内によっても行われる。図9の例では、自車両Mの前方に位置するイタリアンレストランの案内が吹き出しで表示されている。案内に係る報知情報87cは、ナビゲーション装置20の地図情報(ナビ地図)等に基づいてナビゲーション装置20により表示される。この案内に係る報知情報87cを表示しているときは、外部報知表示領域87b(図8)はマルチインフォメーションパネル87に表示されない。マルチインフォメーションパネル87の表示領域87aには、前記のように、自車両M周辺の地図情報、地図上における自車両Mの現在位置情報、自車両Mの現在の走行路・予定経路に関する交通情報等(画像87d)は表示される。案内に係る報知情報87cは、この画像87dに重ねて表示される。
【0091】
図10Aは、外部報知表示領域87bに表示する報知表示310の画像表示例の平面図であり、報知表示310は、外部報知部172で歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して報知を行っている際に当該報知の内容をドライバに報知する画像を表示するものである。図10Aの例では、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91B(図5A)による擬人化した両目は進行方向右側を見ているように表示されている場合である。そのため、報知表示310においても自車両Mを模した画像である自車両M311中の右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bに対応する画像である右前部灯火部312及び左前部灯火部313の擬人化した両目は同様に進行方向右側を見ているように表示されている。また、図10Aの例では、前部表示部93には、「渡って下さい」というメッセージが表示されている場合であり、自車両Mを模した画像である自車両M311における前部表示部93に対応した画像である前部表示部314には、同様に「渡って下さい」というメッセージが表示されている。
【0092】
図10Bは、外部報知表示領域87bに表示する非報知表示320の画像表示例の平面図である。非報知表示320は、外部報知部172で歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して報知を行っていない際に当該報知を行っていないことをドライバに報知する画像を表示するものである。非報知表示320では、右前部灯火部312及び左前部灯火部313は全灯状態又は全消灯状態であり、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は真っすぐ見ていることを示している。また、前部表示部93を模した画像である前部表示部314には、何のメッセージも表示されない。
【0093】
次に、実際に自動運転を行っている際に実行される外部報知部172、内部報知部173、報知制御部174の処理について説明する。
図11は、報知制御部174等が実行する処理の内容を説明するフローチャートである。まず、報知制御部174は、自車両Mが交差点の所定領域内にあるか否かを判断する(S1)。前記のとおり報知制御部174は、自車位置認識部141、高精度地図情報181によって自車両Mが交差点の所定領域内にあるか否かを判断することができる。報知制御部174は、自車両Mが交差点の所定領域外にあると判断したときは(S1のNo)、前記した外部報知部172及び内部報知部173による報知を不実施とする(ステップS2)。この場合、マルチインフォメーションパネル87には外部報知表示領域87bが表示されず、自車両M周辺の地図情報、地図上における自車両Mの現在位置情報、自車両Mの現在の走行路・予定経路に関する交通情報等(画像87d)のみが表示される(図8参照)。
【0094】
自車両Mが交差点の所定領域内に入ったときは(S1のYes)、報知制御部174は、自車両Mの周辺(本例で前方側)に交通参加者を検知したか否かを判断する(S3)。ここで、「前方側」の範囲は、例えば自車両Mの前方側180°の範囲内であり、車道のみならず歩道も含む。前方側に交通参加者を検知したときは(S3のYes)、報知制御部174は、当該交通参加者が所定の交通参加者か否かを判断する。
「所定の交通参加者」とは、まず、原則として交差点で横断歩道を渡るのは歩行者や自転車運転者などであるので、所定の交通参加者とは歩行者や自転車運転者等である。自車両Mの前方を撮像するカメラ11の撮影画像に所定の画像処理を施して、前方に歩行者や自転車運転者が存在することを確認したら、その位置を確認して所定の交通参加者の候補とする。
【0095】
次に、交通参加者の当該候補の位置と向き(横断歩道の近くに存在して、当該横断歩道を渡る方向を向いているか、あるいは、横断歩道を渡っているか等を判断)から当該候補の交通参加者を所定の交通参加者と認定する。まず、前方の交差点を渡ろうとしている又は現在渡っている歩行者や自転車運転者であると判断したときは、その歩行者や自転車運転者は所定の交通参加者と認定する。自車両Mの前方の横断歩道のみならず、右左折側のそれぞれの横断歩道を渡ろうとしている又は渡っている歩行者や自転車運転者も所定の交通参加者と認定してよい。
【0096】
対向車線側(歩道も含む)の交通参加者は原則として所定の交通参加者に含めなくてよいが、前方の交差点を渡ろうとしている又は渡っている歩行者や自転車運転者は所定の交通参加者と認定する。
自車両Mが走行している側の車線に隣接している歩道を移動中の歩行者や自転車運転者であっても、交差点の横断歩道(その位置も高精度地図情報181から判明する)から遠い位置に存在する場合は、所定の交通参加者と認定しなくてよい。
【0097】
なお、交差点の図示しない信号が赤であった場合や、前方の交差点を歩行者や自転車運転者が渡っている又は渡ろうとしている場合は、自車両Mは、その手前の所定位置で自動停止する。
例えば、前記のように判断して、前方側の交通参加者が所定の交通参加者であったときは(S4のYes)、報知制御部174は、案内に係る報知情報87c(周辺情報)(図9)をマルチインフォメーションパネル87に表示しているか否かを判断する(S5)。
【0098】
案内に係る報知情報87cをマルチインフォメーションパネル87に表示しているときは(S5のYes)、報知制御部174はS6の処理を実行する。すなわち、まず、報知制御部174は、外部報知部172による報知を実施する。具体的には、例えば進行方向の左側に歩行者等が存在する、あるいは左側から歩行者等が前方の横断歩道を渡ってきたときは、報知制御部174は、外部報知部172によって、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は進行方向の左側を向いているように表示を変える(図5A図7A)。つまり、歩行者等の交通参加者の方を両目で注視しているかのような表示を行う。同時に、報知制御部174は、外部報知部172によって、前部表示部93に「渡るのを待ちます」等のメッセージの表示も行う(図5A)。なお、S6の処理は、外部報知部172の報知の対象となる所定の交通参加者に自車両Mがある程度接近したときに実施する。
【0099】
この場合、右側に歩行者等が存在する、あるいは右側から歩行者等が前方の横断歩道を渡ってきたときであれば、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は進行方向の右側を向いているように表示を変える(図7B)。前部表示部93の表示は前記と同様である。
また、左右両側に歩行者等が存在するときは、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は左右を交互に見るようにしてもよい。また、先に右側の歩行者等が横断歩道を渡り始めて、次に左側の歩行者等が横断歩道を渡り始めたときは、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は先に右側を見て、次に左側を見るようにしてもよい。また、すでに歩行者等が前方の横断歩道を渡っている最中であるときは、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は上下に視線を移動させるようにしてもよい(図7C図7D)。
【0100】
また、S6では、報知制御部174は、外部報知部172の前記の報知処理と並行して、内部報知部173による報知表示310(図10A)も実施する。報知表示310中では、自車両M311の右前部灯火部312及び左前部灯火部313の擬人化した両目は、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bの表示と同様の表示になる(図10A)。すなわち、例えば右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bが左側を視ているような表示をすれば、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bも左側を視ているような表示となる。前部表示部314の表示も前部表示部93と同じになる。そして、右前部灯火部312及び左前部灯火部313並びに前部表示部314の表示は、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91B並びに前部表示部93の表示の変動に対応して変化し、両者は常に同じ表示となる。
【0101】
一方、前方側に交通参加者が存在しない場合(S3のNo)、所定の交通参加者でない場合(S4のNo)、報知制御部174は、内部報知部173によって非報知表示320(図10B)を実施する(S7)。この場合は、非報知表示320中で自車両M311の右前部灯火部312及び左前部灯火部313並びに前部表示部314の表示は常に変化することなく何のメッセージも報知しない。
また、案内に係る報知情報87cをマルチインフォメーションパネル87に表示しているときは(図9)(S5のYes)、報知制御部174は、外部報知部172による交通参加者に対する報知は前記と同様に実施するが、内部報知部173による報知は実施しない(S8)。この場合は、マルチインフォメーションパネル87には、自車両M周辺の地図情報、地図上における自車両Mの現在位置情報、自車両Mの現在の走行路・予定経路に関する交通情報等(画像87d)に重ねて案内に係る報知情報87cが表示される。なお、S8の処理は、外部報知部172の報知の対象となる所定の交通参加者に自車両Mがある程度接近したときに実施する。
【0102】
自車両Mが交差点の所定領域内に侵入後に当該所定領域外に出た後は(S1のNo)、報知制御部174は、自車両Mの走行制御が所定の制御を行っているか否かを判断する(S9)。所定の制御とは、自車両Mの前方を横断しようとしている歩行者を待つために自車両Mを停止等している制御である。自車両Mの走行制御が所定の制御を行っているときは(S9のYes)、報知制御部174は、前記S6の処理に進む。そうでないときは(S9のNo)、報知制御部174は、外部報知部172及び内部報知部173による前記の報知は中止(不実施と)する(S2)。
【0103】
また、自車両Mが交差点の所定領域内に侵入中であっても、自車両Mの周辺(本例では前方側)に交通参加者を検出しなくなったり(S3のNo)、所定の交通参加者がいなくなったり(S4のNo)した場合(所定の交通参加者の横を通り過ぎた場合が含まれる)は、外部報知部172による前記の報知や、報知表示310は中止して、非報知表示320を行う(図10B)(S7)。
【0104】
次に、図11の処理を更に具体例で説明する。図12は、自車両Mの交差点への進入を模式的に示す平面図である。図11において、左右に伸びる道路401と上下に伸びる道路402とは接続していて、T字路である交差点403を形成している。そして、道路401の左側の車線411を自車両Mは道路401を左側から右側に走行して交差点403に進入する。
【0105】
S1で判断する交差点の所定領域412は図12に示すとおりに破線で示されている。交差点403には横断歩道421〜423が設けられている。自車両Mが前方の物体を外界センサ10、特にカメラ11で検出する。外界認識部142は、カメラ11の画像を画像処理して自車両Mの前方で車線411に隣接した歩道411aにおける横断歩道421の近傍に歩行者m1を捉える。これにより報知制御部174は、前方側に交通参加者である歩行者m1を認識する(S3)。画像処理の結果、報知制御部174は、この歩行者m1は横断歩道421の近傍にいて横断歩道321を渡ろうとしている可能性がある、S4の所定の交通参加者であることを認識する。自車両Mは、歩行者m1が横断歩道421を渡る可能性がある場合は、横断歩道421の手前で自動停車する。または、自車両Mは、交差点403に設けられた信号(図示せず)が赤になったことによって、横断歩道の手前で自動停車する。
【0106】
この停止中において、歩行者m1が横断歩道421を渡る場合、報知制御部174は、外部報知部172による報知と報知表示310を実施する。このとき、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91B(図5A)による擬人化した両目は、矢印431に示すように、歩行者m1が存在する方向である左側に視線を移したような表示となる。報知表示310(図10A)中では、自車両M311の右前部灯火部312及び左前部灯火部313の擬人化した両目も同様である。また、前部表示部93(図5A)及び報知表示310中の前部表示部314(図10A)には、「渡るのを待ちます」の文字が表示される。これにより、歩行者m1は、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bの擬人化した両目の視線や前部表示部93の表示によって、自らが自車両Mに注視されていることを知ることができる。また、自車両Mが歩行者m1に注意を向けていることを報知する表示を歩行者m1に実施していることを、自車両Mのドライバは内部報知部173による報知によって知ることができる。
【0107】
一方、歩行者m1が歩道411aを歩行しているだけの場合も、報知制御部174は、外部報知部172による報知と報知表示310を実施する。このとき、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91B(図5A)による擬人化した両目は、矢印431に示すように、歩行者m1が存在する方向である左側に視線を移したような表示となる。報知表示310(図10A)中では、自車両M311の右前部灯火部312及び左前部灯火部313の擬人化した両目も同様である。しかし、前部表示部93(図5A)及び報知表示310中の前部表示部314(図10A)には、「渡るのを待ちます」の文字は表示されない。これにより、歩行者m1は、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bの擬人化した両目の視線の表示によって、自らが自車両Mに注視されていることを知ることができる。また、自車両Mが歩行者m1に注意を向けていることを報知する表示を歩行者m1に実施していることを、自車両Mのドライバは内部報知部173による報知によって知ることができる。
【0108】
その後、歩行者m1等の歩行者の横断歩道421の歩行が途絶えたことにより自車両Mが自動発車し、あるいは交差点303の信号が青になったことを検知して(歩行者等が横断歩道421に存在しないのを確認の上で)自車両Mが自動発車する。そして、歩行者m1が自車両Mの前方側に存在しなくなると(歩行者m1が横断歩道421を渡り切った場合や、交差点403の信号が青になって自車両Mが発車して歩行者m1が自車両Mの後方になった場合等)、外部報知部172、内部報知部173による報知を中止する。
【0109】
その後、自車両Mが交差点403内を前進し、外界認識部142は、カメラ11の画像を画像処理して自車両Mの前方で車線411に隣接した歩道411bにおける横断歩道422の近傍に歩行者m2を捉える。これにより報知制御部174は、前方側に交通参加者である歩行者m2を認識する(S3)。画像処理の結果、報知制御部174は、この歩行者m2は横断歩道422の方を向いていて横断歩道422を渡ろうとしている可能性がある、S4の所定の交通参加者であることを認識する。
【0110】
自車両Mは横断歩道423を渡る歩行者が存在せず(信号がない場合)、あるいは交差点403の信号が青であれば、横断歩道423の手前で自動停止しない。しかし、歩行者m2にある程度接近した段階で、報知制御部174は、外部報知部172による報知と報知表示310を実施する。このとき、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目は(図5A)、矢印432に示すように、歩行者m2が存在する方向である左側に視線を移したような表示となる。報知表示310(図10A)中では、自車両M311の右前部灯火部312及び左前部灯火部313の擬人化した両目も同様である。また、前部表示部93(図5A)及び報知表示310中の前部表示部314(図10A)には、「渡るのを待ちます」の文字が表示される。これにより、歩行者m2は右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bの擬人化した両目の視線や前部表示部93の表示によって、自らが自車両Mに注視されていることを知ることができる。また、自車両Mが歩行者m2に注意を向けていることを歩行者m2に報知する表示を実施していることを、自車両Mのドライバは内部報知部173による報知によって知ることができる。
【0111】
その後、自車両Mが歩行者m2の側方を通過し、歩行者m2が自車両Mの前方側に存在しなくなると、外部報知部172、内部報知部173による報知を中止する。
また、自車両Mが走行する車線311の反対側車線451に隣接している歩道451aには歩行者m3が存在する。しかし、歩行者m3は交差点の所定領域412内に存在していない。また、自車両Mが走行する車線311の反対側車線451側の交通参加者は原則としてS4の所定の交通参加者には該当しない。そのため、歩行者m3に対しては外部報知部172による報知は行われず、よって内部報知部173による報知も行われない。しかし、道路401の横断歩道もない場所を歩行者m3が横断している又は横断しようとしていることを検知したときは、自車両Mは歩行者m3を避けるように自動停車し、歩行者m3に対して外部報知部172による報知を行い、ドライバに対して内部報知部173による報知を行う。
【0112】
[本実施形態の作用効果]
自車両Mは自動運転レベル4の自動運転を行っている。そのため、自車両Mの運転者は外界に注意しているとは限らず、わき見をしていたり、書類や携帯電話等に目を通していたり、横を向いて同乗者とおしゃべりしていたり等する場合もある。これは、他の交通参加者に対して自車両Mの運転者が自己に注視していないと思わせ、不安感を与えかねない。
【0113】
しかし、本実施形態の自車両Mの車両制御装置100によれば、自車両Mの周辺に存在する歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対して自車両Mが当該交通参加者を注視していることを外部報知部172によって報知することができる。そのため、自車両Mは他の交通参加者に対して不安感を与えることを抑制することができる。
また、外部報知部172によって他の交通参加者に対して報知を行っていることは、内部報知部173によって自車両Mのドライバに対しても報知される。よって、当該ドライバは、他の交通参加者に対しても自車両Mが注視していることを的確に知ることができ、安心感を得やすい。
【0114】
また、自車両Mの車両制御装置100によれば、歩行者、自転車運転者等の交通参加者を自車両Mの前方側から検出しなくなった場合は、外部報知部172による交通参加者に対する報知を中止する。これにより、内部報知部173によって報知表示310に代えて交通参加者に対して外部報知部172による報知を行っていないことを示す非報知表示320を行う。そのため、無差別に他の交通参加者に対して外部報知部172による報知を行わないので、外部報知部172による無差別な報知で交通参加者をかえって混乱させる事態を抑制することができる。また、非報知表示320によって無差別に外部報知部172による報知を行っていないことをドライバに知らせ、安心感を与えやすい。
【0115】
また、自車両Mの車両制御装置100によれば、自車両Mが特定シーンに位置していることを条件に外部報知部172及び内部報知部173による報知を行う。よって、特に自車両Mの走行ルートの中でも他の交通参加者に対する外部報知部172による報知が必要な特定シーンに位置しているときだけ外部報知部172による報知を行う。よって、外部報知部172による報知を他の交通参加者に対して無差別に行わないので、他の交通参加者を混乱させないようにすることができる。また、自車両Mが特定シーンに位置していないときは内部報知部173による報知も行わないので、外部報知部172による報知を他の交通参加者に対して無差別に行なっていないことをドライバに報知して、安心感を与えるやすくなる。
【0116】
また、内部報知部173による報知が自動運転中に常時行われるわけではなく、自車両Mが特定シーンに位置している場合等に限定して行われるので、ドライバ(搭乗者)にとって内部報知部173による報知(報知表示310、非報知表示320)を煩わしく感じること抑制することができる。
さらに、内部報知部173による報知が自車両Mが特定シーンに位置している場合等に限定して行われるので、マルチインフォメーションパネル87に画像87dや報知情報87c(図9)等の他の情報を表示されるのが阻害されにくくなる。
【0117】
特定シーンとしては様々な状況を設定することができるが、前記の実施形態では、特定シーンは自車両Mが「交差点の所定領域内」に位置していることとしている。交差点は歩行者、自転車運転者等の横断が多い交通領域なので、外部報知部172による報知を的確に行うことで、他の交通参加者に対しては自車両Mが自己に注意を払っていることを知らせる効果が大きい。また、外部報知部172による報知を行う必要のある交差点で内部報知部173による報知を行うので、ドライバに安心感を与えるやすくなる。
【0118】
そして、自車両Mの車両制御装置100によれば、外部報知部172の報知に応じた内部報知部173による報知を開始したときは、交差点の所定領域内のような特定シーンに位置している状況から脱するまで内部報知部173による報知表示310又は非報知表示320(図10A図10B)を継続する。よって、交差点等の外部報知部172の報知が必要な交通領域で必要な外部報知部172の報知は的確に行われていることをドライバに知らせて安心感を与えやすくなる。
しかし、交差点の所定領域外に自車両Mが存在しても、所定制御、例えば、前方を歩行者が横断しているため停止するような制御を自車両Mが行っているときは、当該歩行者に対して外部報知部172の報知を行い、そのことを内部報知部173の報知により搭乗者に知らせて、当該歩行者にも自車両Mの搭乗者にも安心感を与えやすくすることができる。
【0119】
また、自車両Mの車両制御装置100によれば、外部報知部172の報知は、右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目の視線を自車両Mの前方側に存在する歩行者、自転車運転者等の交通参加者の方向へ向けることで行われる。すなわち、自車両Mの前方側に存在する歩行者、自転車運転者等の交通参加者の方向へ情報を出力するように、報知表示310(図10A)を行う。そのため、対象となる交通参加者にとっては、自車両Mから注視されていると知ることができ、安心感を得やすくなる。また、対象となる交通参加者の方向に右前部灯火部91A及び左前部灯火部91Bによる擬人化した両目の視線を向けていることを、ドライバは内部報知部173により知ることができるので、安心感を得やすくなる。
【0120】
また、自車両Mの車両制御装置100によれば、原則として、自車両Mの進行方向の領域とは反対側の領域(反対車線側の歩道上等)に存在すると判断した歩行者、自転車運転者等の交通参加者に対しては、外部報知部172による報知を行わない。そのため、無差別の交通参加者に外部報知部172による報知を行わないので、交通参加者を混乱させることを抑制することができる。また、そのことをドライバは内部報知部173による報知を行わない又は非報知表示320(図10B)を行うことで知ることができ、交通参加者を混乱させていないと知ることができて安心感を得やすくなる。
【0121】
また、自車両Mの車両制御装置100によれば、ナビゲーション装置20によって自車両Mの搭乗者に案内に係る報知情報87c(図9)を報知しているときは、内部報知部173による報知を行わない。すなわち、自車両Mの搭乗者に案内に係る報知情報87cを報知しているときは、当該報知を内部報知部173による報知よりも優先することができる。
【符号の説明】
【0122】
20 ナビゲーション装置(ナビゲーション表示部)
87c 案内に係る報知情報(周辺情報)
120 運転支援制御部(走行制御部)
160 走行制御部(走行制御部)
140 認識部
141 自車位置認識部(取得部)
142 外界認識部(認識部)
172 外部報知部
173 内部報知部
174 報知制御部(報知制御部)
310 報知表示(第1報知)
320 府報知表示(第2報知)
M 自車両
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12