特許第6971310号(P6971310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971310
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】磁気結合デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16H 49/00 20060101AFI20211111BHJP
   H02K 49/10 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F16H49/00 A
   H02K49/10 A
【請求項の数】26
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-517992(P2019-517992)
(86)(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公表番号】特表2020-513508(P2020-513508A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2017078035
(87)【国際公開番号】WO2018083163
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】16196963.9
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16196961.3
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16196965.4
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16196962.1
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518031790
【氏名又は名称】トーンジェット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ジョン ロートン
(72)【発明者】
【氏名】インガム,イアン フィリップ バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,ジェフリー マーク
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,サイモン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クリッピングデール,アンドルー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホールズ,ジョナサン ジェームス マイケル
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公告第01075903(DE,B)
【文献】 国際公開第2013/123464(WO,A1)
【文献】 特開2015−229377(JP,A)
【文献】 特開平07−308060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 49/00
H02K 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックのそばの静止位置に配設された駆動要素と、印刷対象の物体を搬送するように及び前記トラックに沿って移動するように構成された従動要素と、を備える印刷システムにおいて、
前記駆動要素は、前記駆動要素を駆動軸まわりに回転させるトルク入力に結合され、第1の磁気要素を備えており、
前記従動要素は、従動軸まわりに回転するように構成され、第2の磁気要素を備えており、
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素は、いずれも磁場に影響されやすく、
前記第1及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、磁場を生成し、
前記駆動要素及び前記従動要素は、前記駆動軸が前記従動軸と整列されている駆動位置にあるとき、前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素との間の磁気的相互作用が前記駆動要素の回転運動と前記従動要素の回転運動とを結合するように構成されている、印刷システム。
【請求項2】
記記駆動要素と前記従動要素との間の前記結合は、前記駆動要素と前記従動要素とを互いに対して所定の回転配向で結合させる、請求項1の印刷システム。
【請求項3】
前記所定の回転配向は、前記従動要素に対する前記駆動要素の独特の回転配向であり、この回転配向では前記第1及び第2の磁気要素が前記駆動軸及び前記従動軸と平行な軸に沿って整列される、請求項印刷システム。
【請求項4】
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、永久磁石である、請求項2又は3印刷システム。
【請求項5】
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、強磁性材料を備える、請求項から4のいずれか一項の印刷システム。
【請求項6】
前記第1の磁気要素は、前記駆動軸から半径方向距離rを置いて前記駆動要素に配設され、
前記第2の磁気要素は、前記従動軸から同じ半径方向距離rを置いて前記従動要素に配設される、請求項から5のいずれか一項の印刷システム。
【請求項7】
前記第1の磁気要素又は前記第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、それぞれ前記駆動要素又は前記従動要素の空洞内に配設される、請求項から6のいずれか一項の印刷システム。
【請求項8】
前記第2の磁気要素は、前記第2の磁気要素が前記従動軸に平行な方向で移動することを可能にする保持要素によって前記空洞内に保持され、それによって前記第2の磁気要素は、前記駆動位置にあるとき、前記駆動要素の表面に接触するように移動することが可能になる、請求項7の印刷システム。
【請求項9】
前記第1の磁気要素は、前記第1の磁気要素が前記駆動軸に平行な方向で移動することを可能にする保持要素によって前記空洞内に保持され、それによって前記第1の磁気要素は、前記駆動位置にあるとき、前記従動要素の表面に接触するように移動することが可能になる、請求項8の印刷システム。
【請求項10】
前記駆動要素及び前記従動要素はそれぞれ複数の磁気要素を備えており、
前記磁気要素は、前記磁気要素の位置及び/又は磁気極性が前記駆動軸及び前記従動軸のそれぞれを中心として非対称になるように配置され、それによって1つの所定の回転配向がもたらされる、請求項2から9のいずれか一項の印刷システム。
【請求項11】
前記駆動要素と前記従動要素とが前記1つの所定の回転配向で整列されるとき、前記駆動要素の各磁気要素の位置は、前記従動要素の対応する磁気要素の位置と整列する、請求項10の印刷システム。
【請求項12】
少なくとも1つの更なる磁気要素が、前記駆動要素又は前記従動要素のうち少なくとも一方に配置され、
前記駆動要素又は前記従動要素の他方には、対応する更なる磁気要素が配置されない、請求項11印刷システム。
【請求項13】
前記従動要素は、複数の従動要素のうちの1つであり、
前記複数の従動要素は、各従動要素が前記駆動要素と順次結合及び結合解除するように移動可能である、請求項2から12のいずれか一項の印刷システム。
【請求項14】
前記駆動要素は、複数の駆動要素のうちの1つであり、
前記従動要素は、前記駆動要素と前記従動要素との間の前記回転運動が前記各駆動位置において結合されるように、前記駆動要素の各々に関連した駆動位置へとそれぞれ順次移動してもよい、請求項2から13のいずれか一項の印刷システム。
【請求項15】
前記駆動要素は、前記第1の磁気要素が配設された駆動ディスクを備え、
前記従動要素は、前記第2の磁気要素が配設された従動ディスクを備える、請求項2から14のいずれか一項の印刷システム。
【請求項16】
前記駆動要素は、実質的に前記駆動軸に垂直な平面内にある第1の面を備え、
前記従動要素は、実質的に前記従動軸に垂直な平面内にある第2の面を備え、
前記駆動位置では、前記第1の面と前記第2の面とが、略平行であるとともに対向関係で配向される、請求項2から15のいずれか一項の印刷システム。
【請求項17】
前記第1の磁気要素及び/又は前記第2の磁気要素は、前記駆動要素及び前記従動要素が前記駆動位置にあるときに、前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素とが互いに引き付け合うように磁化される、請求項16印刷システム。
【請求項18】
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、電磁石である、請求項2から17のいずれか一項の印刷システム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の印刷システムの前記駆動要素及び前記従動要素を運転する方法であって、
前記トルク入力を用いて前記駆動軸まわりに前記駆動要素を回転させることと、
前記従動要素を前記駆動軸に垂直な方向で前記駆動位置へと移動させ、それによって前記従動要素の前記回転運動を前記駆動要素の前記回転運動と結合させることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記従動要素の前記回転運動は、少なくとも印刷動作の間、前記駆動要素の前記回転運動と結合される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記従動要素を前記駆動軸に垂直な方向で前記駆動位置から外に移動させ、それによって前記従動要素の前記回転運動を前記駆動要素の前記回転運動から結合解除することと、
前記トルク入力を用いて第2の駆動軸まわりに第2の駆動要素を回転させることと、
前記従動要素を前記従動軸が前記第2の駆動軸と整列される第2の駆動位置に移動させ、それによって前記従動要素の前記回転運動を前記第2の駆動要素の回転運動に結合することと、
を更に含む、請求項19又は20の方法。
【請求項22】
前記従動要素を前記駆動軸に垂直な方向で前記駆動位置から外に移動させることは、前記従動要素を前記駆動位置から外に移動させる行為が前記従動要素に角加速度を与えるように、前記駆動要素の前記回転運動と同期される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記従動要素を前記駆動位置の外に移動させる前に、前記従動要素に角加速度を与えるために前記駆動要素の前記回転が加速される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記従動要素に与えられた前記角加速度は、抗力及び摩擦に起因する駆動位置間での減速を補償する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記従動要素には、前記駆動要素と結合する前に、回転運動が与えられる、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記回転運動は、静止したパッド又はレールとの前記従動要素の転がり接触によって与えられる、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気結合を用いて受動的な従動要素の角度回転を動力付き駆動要素と同期するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動回転システムから従動回転システムへ角運動量が選択的に伝達される装置には多くの例がある。
【0003】
ある単純な例においては、結合機構の要件が必要とするのは、2つのシステムが互いに選択的に係合及び離脱可能であるということのみである。そのようなシステムには自動車のクラッチシステムが含まれ、これは、従動シャフトがエンジンを動力とする駆動シャフトに選択的に係合及び離脱されることを必要とする。
【0004】
他の装置においては、駆動システムと従動システムとの関係はもっと複雑であり、例えば、従動システムが駆動システムの付近から移動可能であること、あるいは、2つのシステムの相対的な回転の程度がある所定の位置で固定されることを必要とするであろう。
【0005】
そのような複雑なシステムの一例が、トラックに沿ってステーションからステーションへと移動される複数の保持具を備えた印刷装置である。保持具は受動的な回転可能部を備えており、これらの回転可能部は、トラックに沿った様々なステーションに配置された駆動デバイスによって回転駆動される。この印刷装置のいくつかの例においては、従動システムの配向(すなわち回転の程度)を駆動システムの配向から求めることができるのが有利である。これは、従動システムの回転制御が完全に駆動システムの制御を通じて実施されることを可能にする。
【0006】
角度回転が駆動システムから受動的な従動システムへと伝達されることを可能にする既知の装置は多数存在する。
【0007】
既知の装置のタイプの一例が、クラッチシステムのタイプである(例えば摩擦クラッチ、ドッグクラッチ、油圧クラッチ、遠心クラッチ、及び電磁クラッチ)。そのようなシステムにおいては、概して、従動回転要素及び駆動回転要素が、回転要素の軸方向でのいくらかの移動を可能にすることは別として、互いに対して固定された位置に提供される。一般に、これらのシステムでは、受動的要素の軸と駆動要素の軸とをずらすように移動させることは不可能である。これらのシステムの別の不都合な点は、従動要素及び駆動要素が、概して、他方に対してどんな回転配向でも係合し得るように設計されており、部分的に係合されたときにはスリップするように設計されてもよいということである。したがって、駆動要素の配向と従動要素の配向との間には必然の関係が存在しない。
【0008】
結合システムの他の例(例えば、オルダムカップリング、自在継手、及びジョーカップリング)は、駆動要素と従動要素との間のある程度の角度ずれ及び/又は並進ずれは許すが、これらの要素が互いに完全に離脱することは許容しない。したがって、そのようなシステムは、従動要素を駆動要素の付近から遠ざかるように移動させる装置における使用には適していない。
【0009】
結合システムの更なる例は、1つのシャフトの別のシャフトに対する並進移動が歯車を噛み合わせる歯車システム、及び、複数の南北磁石対が従動要素と駆動要素とを付勢して整列させる磁気シャフト結合である。しかしながら、そのようなシステムは独特の係合位置を有してはおらず、よって、従動システムの配向を駆動システムの配向から求めることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、回転駆動要素から受動的な従動要素へと角運動を伝達することができ、且つ上述した既知の装置の制約を克服する結合システムの需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様においては、駆動要素と従動要素との間で回転運動を伝達するシステムが提供され、このシステムは、駆動軸まわりに駆動要素を回転させるトルク入力に結合された駆動要素であって、第1の磁気要素を備える駆動要素と、従動軸まわりに回転するように構成された従動要素であって、第2の磁気要素を備える従動要素と、を備えており、第1の磁気要素及び第2の磁気要素はいずれも磁場に影響されやすく、第1及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は磁場を生成し、駆動要素及び従動要素は、駆動軸が従動軸と整列されている駆動位置にあるとき、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気的相互作用が駆動要素の回転運動と従動要素の回転運動とを結合するように構成されている。
【0012】
上述の特徴を備えるシステムは、駆動要素と従動要素とが互いに完全に分離可能であるとともに従動要素の配向を駆動要素の配向から求めることができる結合システムを可能にする。
【0013】
好適には、所定の回転配向は、従動要素に対する駆動要素の独特の回転配向であり、この回転配向では第1及び第2の磁気要素が駆動軸及び従動軸と平行な軸に沿って整列される。
【0014】
好適には、従動要素は経路に沿って運搬可能な搬送具に取り付けられ、経路は、搬送具が従動要素を駆動装置の駆動軸に略垂直な方向で駆動位置に出し入れすることを必要とする。
【0015】
好適には、第1の磁気要素及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は永久磁石である。
【0016】
好適には、第1の磁気要素及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は強磁性材料を備える。
【0017】
好適には、第1の磁気要素は、駆動軸から半径方向距離rを置いて駆動要素に配設され、第2の磁気要素は、従動軸から同じ半径方向距離rを置いて従動要素に配設される。
【0018】
好適には、第1の磁気要素又は第2の磁気要素のうち少なくとも一方は、それぞれ駆動要素又は従動要素の空洞内に配設され、好適には、第2の磁気要素は、第2の磁気要素が従動軸に平行な方向で移動することを可能にする保持要素によって空洞内に保持され、それによって第2の磁気要素は、駆動位置にあるとき、駆動要素の表面に接触するように移動することが可能になり、より好適には、第1の磁気要素は、第1の磁気要素が駆動軸に平行な方向で移動することを可能にする保持要素によって空洞内に保持され、それによって第1の磁気要素は、駆動位置にあるとき、従動要素の表面に接触するように移動することが可能になる。
【0019】
好適には、駆動要素及び従動要素はそれぞれ複数の磁気要素を備えており、磁気要素は、磁気要素の位置及び/又は磁気極性が駆動軸及び従動軸のそれぞれを中心として非対称になるように配置され、それによって1つの所定の回転配向がもたらされる。
【0020】
好適には、駆動要素と従動要素とが1つの所定の回転配向で整列されるとき、駆動要素の各磁気要素の位置は、従動要素の対応する磁気要素の位置と整列する。
【0021】
好適には、少なくとも1つの更なる磁気要素が駆動要素又は従動要素のうち少なくとも一方に配置され、駆動要素又は従動要素の他方には対応する更なる磁気要素が配置されない。
【0022】
好適には、従動要素は複数の従動要素のうちの1つであり、その複数の従動要素は、各従動要素が駆動要素と順次結合及び結合解除するように移動可能である。
【0023】
好適には、駆動要素は複数の駆動要素のうちの1つであり、従動要素は、駆動要素と従動要素との間の回転運動が各駆動位置において結合されるように、駆動要素の各々に関連した駆動位置へとそれぞれ順次移動してもよい。
【0024】
好適には、駆動要素は第1の磁気要素が配設された駆動ディスクを備え、従動要素は第2の磁気要素が配設された従動ディスクを備える。
【0025】
いくつかの実施形態においては、駆動位置は固定される。
【0026】
他の実施形態においては、従動要素が経路に沿った移動の一部の期間、駆動要素に結合されたままであることを可能にするように、駆動位置は、搬送具の経路に平行な方向で移動可能である。
【0027】
好適には、駆動要素は実質的に駆動軸に垂直な平面内にある第1の面を備え、従動要素は実質的に従動軸に垂直な平面内にある第2の面を備え、駆動位置では、第1の面と第2の面とが、略平行であるとともに対向関係で配向される。
【0028】
好適には、第1の磁気要素及び/又は第2の磁気要素は、駆動要素及び従動要素が駆動位置にあるときに、第1の磁気要素と第2の磁気要素とが互いに引き付け合うように磁化される。
【0029】
好適には、第1の磁気要素及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は電磁石である。
【0030】
本発明の第2の態様においては、印刷ヘッドを含む少なくとも1つの印刷ステーションと、少なくとも1つの本発明の第1の態様によるシステムと、を備える印刷装置が提供される。
【0031】
本発明の第3の態様においては、第1の態様による装置を運転する方法が提供され、この方法は、トルク入力を用いて駆動軸まわりに駆動要素を回転させることと、従動要素を駆動軸に垂直な方向で駆動位置へと移動させ、それによって従動要素の回転運動を駆動要素の回転運動と結合させることと、を備える。
【0032】
上記の方法は、駆動要素と従動要素とがそれらの回転軸に垂直な方向で互いに近接される第1の態様のシステムを結合する方法を提供する。これは、2つの装置の磁気要素間の力が回転軸まわりの大きなトルクを発生させ、それによって結合プロセスの信頼性が高められることを可能にする。
【0033】
駆動位置は、固定位置であってもよいし、又は移動可能であってもよい。駆動位置は、従動要素が駆動軸に垂直な移動の一部の期間、駆動要素に結合されたままであるように、例えば、移動の一定範囲にわたって駆動軸に垂直な方向で従動要素の運動を追跡してもよい。
【0034】
好適には、方法は、従動要素を駆動軸に垂直な方向で駆動位置から外に移動させ、それによって従動要素の回転運動を駆動要素の回転運動から結合解除することと、トルク入力を用いて第2の駆動要素を第2の駆動軸まわりに回転させることと、従動要素を従動軸が第2の駆動軸と整列される第2の駆動位置に移動させ、それによって従動要素の回転運動を第2の駆動要素の回転運動に結合することと、を備える。
【0035】
好適には、従動要素を駆動軸に垂直な方向で駆動位置から外に移動させることは、従動要素を駆動位置から外に移動させる行為が従動要素に角加速度を与えるように、駆動要素の回転運動と同期される。
【0036】
好適には、従動要素を駆動位置の外に移動させる前に、従動要素に角加速度を与えるために駆動要素の回転が加速される。
【0037】
好適には、従動要素に与えられた角加速度は、抗力及び摩擦に起因する駆動位置間での減速を補償する。
【0038】
好適には、従動要素には、駆動要素と結合する前に、回転運動が与えられる。
【0039】
好適には、回転運動は、静止したパッド又はレールとの従動要素の転がり接触によって与えられる。
【0040】
本発明の第4の態様においては、トラックのそばの静止位置に配設された駆動要素と、印刷対象の物体を搬送するように及びトラックに沿って移動するように構成された従動要素と、を備える印刷システムが提供され、駆動要素は、駆動要素を駆動軸まわりに回転させるトルク入力に結合され、第1の磁気要素を備えており、従動要素は、従動軸まわりに回転するように構成され、第2の磁気要素を備えており、第1の磁気要素及び第2の磁気要素はいずれも磁場に影響されやすく、第1及び第2の磁気要素のうち少なくとも一方は磁場を生成し、駆動要素及び従動要素は、駆動軸が従動軸と整列されている駆動位置にあるとき、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気的相互作用が駆動要素の回転運動と従動要素の回転運動とを結合するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】本発明の一実施形態の概略的なブロック図を、結合直前の構成で示す。
図1B図1Aの実施形態の概略的なブロック図を、結合された構成で示す。
図2A図1A及び1Bの実施形態における磁気要素の位置の概略的な図式表現を示す。
図2B】第2の実施形態における磁気要素の配置の概略的な図式表現を示す。
図2C】第3の実施形態における磁気要素の配置の概略的な図式表現を示す。
図3】第4の実施形態における磁気要素の配置の概略的な図式表現を示す。
図4】第5の実施形態における磁気要素の配置の概略的な図式表現を示す。
図5A】本発明のいくつかの実施形態における駆動ディスクの図を示す。
図5B】本発明のいくつかの実施形態における駆動ディスクの断面である。
図5C】本発明のいくつかの実施形態における駆動ディスクの断面であり、磁気要素は駆動ディスクの表面の上方に浮いている。
図6A】本発明のいくつかの実施形態における従動ディスクの、第1の観点からの図を示す。
図6B】本発明のいくつかの実施形態における従動ディスクの断面を示す。
図7】本発明の実施形態による複数の結合システムを備えた印刷システムの概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、従動要素と駆動要素との軸が整列されると効果を発揮する各要素間の結合力によって従動要素の回転が駆動要素の回転と同期される装置を提供する。
【0043】
図1Aは、駆動要素110と従動要素120とが互いに結合されていない位置にある、本発明による回転結合システム100の一例を示す。図1Bは、駆動要素110と従動要素120とが結合された駆動位置にある、図1Aの回転結合システムの一例を示す。駆動位置では、駆動要素110の回転は従動要素120の回転に結合されており、2つの要素を同じ角速度で回転させる。
【0044】
駆動要素110は長手方向駆動軸112を有する駆動シャフト111を備えており、駆動要素110はこの長手方向駆動軸まわりに回転することができる。駆動シャフト111は、一端では駆動ディスク113で終端している。駆動ディスク113は、好適には円筒形であり、駆動軸112に垂直な平面内に位置する面114を有する。
【0045】
駆動ディスク113は非磁性材料を備える。駆動ディスク113の面114内には空洞116が形成されている。空洞116はある距離にわたって駆動ディスク113内に延在し、駆動ディスク113の面114と平行な凹面118で終端している。
【0046】
駆動軸112から半径方向変位117、rのところに位置決めされた駆動ディスク113の空洞116内には、磁気要素115が配設される。好適には、磁気要素115に対して作用する力によって生み出されるトルクを最大化するために、磁気要素115は駆動ディスク113の縁部の近くに配設される。
【0047】
本発明での使用に適した磁気要素の例は、次のものを含む。
1.永久磁場を生成する永久磁石、
2.通電時に磁場を生成する電磁石、
3.磁石への吸引力を受ける一片の強磁性材料。
【0048】
3つのタイプの磁気要素はいずれも、磁場に影響されやすい。つまり、印加される磁場に応じて磁化する。永久磁石及び電磁石は、磁場を生成するため及び強磁性材料の磁化を誘発するために用いることができる。システムは、これら3つのうち、永久磁石のみ、電磁石のみ、又は永久磁石と電磁石との両方を備え得る。システムは更に、一方又は両方のタイプの磁石と関連した強磁性材料の要素を備え得る。
【0049】
図示される実施形態においては、磁気要素115は略円筒形であり、その円筒形の軸に沿って磁化されている。磁気要素115は、磁気要素115のS極が駆動ディスク113の表面に向けて配置され、磁気要素115のN極が空洞116の凹面118に向けて配置された状態で空洞116内に配設されていてもよいし、又は、代替的には、N極が空洞116の表面向き、S極が凹面118向きの状態であってもよい。もっとも、当業者であれば、本発明の実施形態においては、N極及びS極の両方が駆動ディスク113の表面に位置する磁気要素を含め、他のタイプの磁気要素が用いられてもよいことを理解するであろう。また、当業者であれば、任意の実施形態において磁気極性が特定される場合にはいつでも、本発明は、その実施形態のすべての磁気要素の磁気極性を逆転することによっては変更されないであろうことも理解するであろう。
【0050】
磁気要素115は、(図5Cを参照してより詳細に説明するように)磁気要素115が駆動ディスク113の面114から突出して軸方向の短い距離を移動することを可能にする保持要素(図示しない)を用いて、空洞116内に保持される。
【0051】
この実施形態での使用に適した磁気要素115の一例が、幅広い用途で市販されているネオジム磁石である。結合のための磁気要素115の選択は、主に用途のトルク要求によって決まる。そのような磁石は、直径が5mmから50mmを超える範囲、厚さが2mmから25mmを超える範囲のものが利用可能である。こうした磁石のうち、最も小さいものは約10Nの軸力を発現させるが、より大きな磁石は最大で1kNの軸力を発生させることができる。互いに対向する2つの磁石間の力は、磁石間の距離への強い依存性を示し、逆べき乗則に近似する。単一の皿頭ねじを用いた取り付けのために片面がザグリ加工された中央固定穴を備えるバージョンが利用可能である。
【0052】
これらの磁石の重要な特徴は、こうした磁石の反対向きの対(opposite-sense pair)が互いに対向するときに生み出す強力な半径方向の吸引力であり、これは軸を整列させるように作用する。逆に、こうした磁石の同じ向きの対(same-sense pair)は、互いに対向するとき、強力な半径方向の反発力を示す。
【0053】
駆動要素110の駆動シャフト111は、駆動軸112まわりに駆動シャフト111及び駆動ディスクを回転させるために駆動シャフト111に制御可能なトルクを提供するように構成された、電動モータなどのトルク入力(図示しない)に結合されている。
【0054】
従動要素120の形は、実質的に、駆動要素110の駆動軸112に垂直な平面に映った駆動要素110の鏡像である。従動要素120は、トルク入力に直接結合されていない点、及び、この実施形態においては磁気要素125が空洞126から外に浮くことができない点で、駆動要素110と異なっている。従動要素120については、以下でより詳細に説明する。
【0055】
従動要素120は長手方向従動軸122を有する従動シャフト121を備えており、従動要素120はこの長手方向従動軸まわりに回転自在である。従動シャフト121は、例えば、軸受を有する搬送具(図示しない)に取り付けられていてもよく、軸受は従動シャフトが搬送具に対して自由に回転することを可能にする。
【0056】
従動シャフト121は、一端では従動ディスク123で終端している。従動ディスク123は、好適には円筒形であり、従動軸122に垂直な平面内に位置する面124を有する。従動軸122から半径方向変位127、rのところにある従動ディスク123の空洞126内には、更なる磁気要素125が配設されている。更なる磁気要素125は、この更なる磁気要素125が従動ディスク125の面124を越えて空洞126から外へ出ることを防止する保持要素(図示しない)を用いて、空洞126内に保持される。
【0057】
代替的な一実施形態においては、駆動ディスク113の磁気要素115は、空洞116から外へ移動できないように保持され、その一方で、従動ディスク123の磁気要素125は、空洞126から外に短い軸方向距離を移動して従動ディスク123の面124から突出できるように保持される。別の代替的な一実施形態においては、磁気要素115及び125はいずれも、各空洞116及び126から外に軸方向で移動できるように保持される。
【0058】
磁気要素115及び125が互いに接触することができない場合には、これらの磁気要素間の軸方向の吸引力は、駆動要素110及び従動要素120の取り付けに対してかなりの負担をかけ得る。磁気要素115及び125のうち少なくとも一方が空洞から外に軸方向で移動することを可能にする抑制要素を設けることの1つの利点は、磁気要素が、互いの付近にあるときに、互いに接触できるということである。これにより、両磁気要素115及び125が移動せずに抑制される場合に存在するであろう軸力が除去され、ひいては装置における応力が低減される。別の重要な利点は、互いに接触可能となったとき、磁石の間には可能な最大の磁力が存在し、これが結合が伝達することのできるトルクを最大化するということである。
【0059】
更なる磁気要素125は駆動ディスク113の磁気要素115とは反対の極性を有しており、これにより磁気要素115及び125は、互いの付近に配置されたとき、互いの方に引き寄せられる。したがって、駆動ディスク113の磁気要素115がその表面114においてN極を有するときには、従動ディスク123の磁気要素125はその表面124においてS極を有する(また、駆動ディスク113の磁気要素115がその表面114においてS極を有するときには、従動ディスク123の磁気要素125はその表面124においてN極を有する)。
【0060】
駆動軸112からの磁気要素115の半径方向変位117は、従動軸122からの更なる磁気要素125の半径方向変位127と略等しく、したがって、磁気要素112と従動軸122とが整列しているときには、磁気要素115及び125は、シャフト111及び121のうち一方をその軸まわりに回転させることによって、互いに近接させることができる。
【0061】
駆動ディスク113又は従動ディスク123の磁気要素115及び125のうち一方が強磁性材料で形成されているときには、他方のディスクの対応する磁気要素は、永久磁石又は電磁石のいずれかである。ディスクが互いに整列に近づけられるとき、強磁性材料は永久磁石又は電磁石によって生成される磁場によって磁化され、2つのディスクの磁気要素に吸引結合力を受けさせる。
【0062】
図1Aに示される位置においては、駆動要素115と従動要素125とは結合されていない。結合の直前又は直後の駆動要素115と従動要素125との相対位置に対応するこの位置では、駆動要素110の駆動軸112は、従動要素120の従動軸112と平行であるが、垂直距離132、dだけ変位されている。駆動要素110及び従動要素120の面114と124とは、dと比較すると小さい軸方向の間隔130、aによって分離されている。また、軸方向の間隔130、aは、典型的には、磁気要素115と125との間の力が従動要素120の回転運動に影響を及ぼすのに要する最小距離、つまり、駆動要素110及び従動要素120の面114と124との間隔よりも小さい。
【0063】
この位置では、駆動要素110及び従動要素120の磁気要素115と125とは、互いに対し、磁気要素115及び125の間の相互作用が弱く、且つ従動要素120と駆動要素110との間で作用する他の有意な力が存在しないような距離にある。したがって、駆動要素110と従動要素120とは、実際上、互いに結合解除されている。
【0064】
駆動要素110と従動要素120との上記の相対位置は、結合の直前及び直後の相対位置に対応することが理解されなければならない。概して、駆動要素110及び従動要素120は、それらが使用される具体的な実施形態によって決定される様々な手法で、互いに対して移動され得る。例えば、駆動要素110と従動要素120との間隔がより大きいときには、駆動軸112と従動軸122とは互いに平行でなくてもよく、面114と124との間の軸方向距離は任意に大きくてもよい。
【0065】
図1Bに示される位置においては、駆動要素110及び従動要素120は、駆動要素110の駆動軸112が従動要素120の従動軸121と整列された駆動位置に移動されている。駆動位置では、駆動要素110の回転運動が、磁気要素115と125との間の吸引力を通じて、従動要素120の回転運動に結合される。
【0066】
駆動位置に到達するためには、従動要素120が、図1Aに示される位置から、軸112及び122に対して略垂直な方向131で、これらの軸が整列されるまで移動される。いくつかの実施形態においては、従動要素は、固定トラックに沿って移動できる搬送具に取り付けられている。そのような実施形態では、従動要素120は、搬送具をトラックに沿って従動要素120の軸が駆動要素110の軸と整列される位置へと移動させることによって、駆動位置に出し入れされる。
【0067】
駆動要素110から従動要素120への回転運動の結合は、面113及び123が短い軸方向の距離130、aを置いて分離された状態で軸112及び122が互いに略整列されるとき、自然に(すなわち能動的な制御なしに)且つ自動的に生じる。このプロセスを以下で説明する。
【0068】
従動要素120が、軸112及び122に垂直な方向で駆動要素110に接近するにつれて、磁気要素115と125との間の距離は減少し、その結果、磁気要素間の吸引力は増大する。駆動要素110は、このとき、回転するように制御されてもよいし、されなくてもよい。駆動要素110が回転している場合、駆動ディスク113の磁気要素115は、従動ディスク123の磁気要素125が配置されている位置に接近するまで半径rの環状の領域をスイープする(sweep)ことによって、従動ディスク123の磁気要素125の付近に接近する。好適には、駆動要素110の回転及び従動要素120の接近のタイミングは、従動要素120が駆動位置に到着する時点で従動ディスク123の磁気要素125と駆動ディスク113の磁気要素とが互いに接近するように設定される。これは、結合プロセスの効率を高め、結合時間を最小化し、その間に駆動要素110は従動要素120の磁気要素125を探す。従動要素120が駆動位置に接近する際に駆動要素110が回転していない場合には、要素110,120は、当初は結合してもよいし、しなくてもよい。従動要素120が回転している場合、例えば前の駆動装置との結合を解いたばかりで従動要素がフリーホイールしている(free-wheeling)場合には、従動ディスク123の磁気要素125は、駆動ディスク113の磁気要素115が配置されている位置に接近するまで半径rの環状の領域をスイープし、すると、2つのディスク113,123は結合されるであろう。
【0069】
従動要素120と駆動要素110との両方が当初回転していない場合には、従動要素120が駆動要素110に接近し、従動ディスク123を引き付けて駆動ディスク113と整列させるのに十分なほど磁気要素115,125が接近するかどうかについて、2つのディスク113,123が結合されるかどうかは、それらの相対的な配向と、磁気要素の吸引力の強さと、によって決まる。一旦駆動ディスク113が回転するように制御されると、結合の成功は、駆動ディスク113と従動ディスク123とが互いに接近したときのそれらの当初の相対的な配向によっては決まらない。図1A及び1Bは特定の配向を示しているが、当初がどんな配向であっても、最終的には同じ結合位置となる。もっとも、従動ディスクによってキャプチャされる際の従動ディスクの角運動の詳細は、当初の相対位置、回転の速度及び2つのディスクの接近の速度に応じて変化するであろう。
【0070】
磁気要素間の軸方向の距離aは垂直距離dと比較して小さいので、磁気要素間の吸引力が有意なものになると、各磁気要素に対する吸引力は、従動要素120及び駆動要素110の回転の軸に略垂直になる(すなわち、磁気要素115と125との間の吸引力の実質的な成分は、ディスク113及び123の面114及び124の面内にある)。駆動ディスク及び従動ディスクの回転軸が略整列され、磁気要素115と125との間の距離がこれらの磁気要素が配置される各回転軸からの半径rに比べて小さいとき、磁気要素間の間隔は回転軸112及び122に対して略正接する。したがって、この時点で、磁気要素間の磁気吸引力は各ディスクにその各々の回転軸まわりの大きなトルクを発生させ、このトルクが従動ディスク123を磁気要素が整列される位置に向かって回転させる。
【0071】
2つの磁気要素115及び125が整列されるにつれて、磁気要素間の距離は、軸方向距離a程度まで縮小する。この時点で、磁気要素115と125との吸引力は有意な軸方向の成分を有しており、これが駆動ディスク113の磁気要素115を、磁気要素115が駆動ディスク113の面114を越えて延在するように、空洞116の外に浮き上がらせる。保持要素が許す磁気要素115の軸方向運動の程度は、磁気要素115の表面が従動ディスクの表面124に接触することを可能にするのに十分である。これにより、駆動要素110と従動要素120との間には、磁気要素115と125との間の吸引によって提供される磁気結合力に加えて、摩擦結合力がもたらされる。摩擦結合力と磁気結合力との組み合わせは、従動要素120の磁気要素125が駆動要素110の磁気要素115と整列した状態で、従動要素120を、駆動要素110に同期して回転させる。
【0072】
駆動ディスク113は1つの磁気要素115しか備えておらず、従動ディスク123は1つの磁気要素125しか備えていないので、磁気要素が互いに結合することのできる各ディスク間の整列は1つしかなく、これは、両ディスクの磁気要素が、駆動軸112及び従動軸122に平行な線内にあるときに起こる。この相対配向は、駆動ディスク113及び従動ディスク123が同じ方向に同じ角度だけ共回りするときには維持される。駆動ディスク113及び従動ディスク123の絶対配向は、任意の開始位置によって定義され得る。例えば、各ディスクの0度配向は、磁気要素が、垂直方向では回転軸の上にあり水平方向では回転軸と整列している配向(「12時」の位置)と定義されてもよい。他のディスク角度は、回転軸を中心とした0度配向からの回転の度合いによって定義されてもよい。2つのディスクの回転の方向は、両ディスクの同量の正の回転変位が磁気要素の相対配向を維持するように定義されなければならない。したがって、駆動ディスク113の従動ディスク123への結合は、2つのディスクの間での略一定の角変位を維持する。両ディスクの回転配向が、両ディスクが結合位置で等しい角変位を有するように定義される場合には、結合は、およそ0度のディスク間の角変位を維持する。
【0073】
従動ディスク123に有意な負荷トルクが存在しないときには、ディスク間の角変位はおよそ0度になるであろう。角変位は、従動ディスク123が、駆動ディスク113の磁気要素と従動ディスク123の表面との間の静止摩擦力によって決定される第1の閾値を超える負荷トルクに曝される場合に、発生するであろう。この閾値を上回る負荷トルクでは、ディスクは結合されたままであるが、ディスク間の小さな角変位が、負荷トルクに伴って、磁気要素間の磁気吸引力の半径方向成分を超える第2の閾値まで増大する。この第2の閾値は、結合が伝達することのできる最大トルクを決定する。最大トルクを超えなければ、2つのディスクは、ディスクが結合されたままである角変位の範囲を含む所定の回転配向で整列されたままであろう。
【0074】
2つのディスクの磁気要素115及び125は整列されているので、(例えば磁気要素115の配向に関して定義された)駆動ディスク113の配向がわかっている制御システムは、従動ディスク125の配向を推定することができる。従動要素120の配向が重要な用途においては、これは、制御システムが、従動要素を別個に測定することを要さずに、駆動要素110の制御を通じて従動要素120の配向を推定することを可能にする。有意な負荷トルクが存在していて従動要素の配向を非常に正確に知る必要がある用途においては、従動要素には、角度エンコーダシステムが有利に採用されてもよい。
【0075】
駆動要素110からの従動要素120の離脱は、駆動ディスク113と従動ディスク123との間に、これらのディスクの整列を保つ磁力と摩擦力との組み合わせよりも大きいせん断力を印加することによって、行われる。典型的な用途においては、これは、従動要素110をディスクの軸に垂直な平面内で運搬するアクチュエータ又は直線運動ステージ又は類似のものによって提供される。
【0076】
ディスク上での磁気要素の配置及び離脱の瞬間の結合の角度に応じて、離脱の作用はディスクに追加的なトルクを誘発し得る。磁気要素の所与の配置に関しては、従動要素120の離脱運動は、離脱につれて従動ディスク123を加速又は減速するように構成可能であるとともに、抗力及び摩擦ならびにその結果生じる駆動ステーション間での角度位置のずれに起因する従動ディスクの減速を補償するべく役立つように用いられることができる。
【0077】
代替的又は追加的には、駆動ステーション間での従動ディスク123の減速は、従動要素120の離脱前に駆動要素110の回転を加速して従動要素120に角加速度を与えることによって補償されてもよい。駆動ステーションにおける回転の速度と比較した従動ディスク123の追加的な角速度は、摩擦及び空気抵抗に起因する駆動ステーション間での駆動ディスク123の角速度の予測される損失に一致するように選択される。
【0078】
いくつかの実施形態においては、駆動ディスク113及び従動ディスク123は2つ以上の磁気要素115を備える。追加的な磁気要素115は、結合が伝達することのできるトルクを増大させるために用いられることが可能であり、結合のキャプチャレンジ及びキャプチャ速度を高めることもできる。図2A〜Dは、1つ以上の磁気要素115を備える一連の結合ディスクを示す。簡略化のため、図2A〜Dに示されるディスクは、駆動ディスク113として標示及び説明される。しかしながら、対応する従動ディスク123が図示される特徴をディスク113の面と平行な平面に反射された鏡像で備えることは理解されなければならない。もっとも、駆動ディスク113において磁気要素115が表面がN極115aを向いた状態で示されている場合、これは従動ディスク123においてはS極115bを向いた表面に置き換えられなければならない(逆も同様である)。
【0079】
図2Aは、ディスク113の周囲近くにディスク113の面114内に配設された1つの磁気要素115aを備える駆動ディスク113を示している。この駆動ディスク113は、図1の実施形態において示された駆動ディスク113と同じである。
【0080】
図2Bは、2つの磁気要素を備える駆動ディスク113を示す。第1の磁気要素115aは、ディスクの縁部近くで、図1及び2Aにおける磁気要素115aの位置に配設されている。第2の磁気要素215aは、第1の磁気要素115aの半径方向内側に配設されている。両磁気要素は同じ極性を有する。2つのそのような磁気要素を設けることは、駆動ディスク113と従動ディスク123との間の磁気結合を高め、ひいてはディスク間で伝達されるトルクを増大するとともにディスクの回転整列が行われる速度を高める。
【0081】
図2Cは、2つの磁気要素を備える駆動ディスク113を示す。磁気要素の配置は、2つの磁気要素115a及び215bの磁気極性が互いに反対である点を除き、図2Bに示される実施形態のものと同様である。この二重極配置によって生じる磁場は、図2Bの配置のときよりも高くなる及び局所化される傾向があり、このことは、係合されたときの結合力を減少させることなくディスクが分離され互いに結合解除された状態になるのに必要な距離を短縮するであろう。
【0082】
図2Dは、4つの磁気要素を備える駆動ディスク113を示す。2Bの実施形態のように、同じ極性の2つの磁気要素115a及び215aが半径方向で互いに変位されている。反対の極性の更に2つの磁気要素115b及び215bが、ディスク113の、第1の2つの磁気要素とは反対の側に設けられている。4つの磁気要素は、駆動ディスク113の軸を通る直径上にある。
【0083】
4つの磁気要素を設けることは、同じ強度のより少ない磁気要素を備える実施形態よりも強い結合力をもたらす。この配置の追加的な利点は、駆動ディスク113及び従動ディスク123の軸は整列されているがディスクは互いに対して180度回転変位しているときに生じる。この場合、2つのディスク上の相互に引き付け合う磁気要素は、ディスクの軸112及び122が整列された状態で、互いに可能な限り離れて位置決めされている。この間隔によって磁気要素間の結合力が最小になるばかりでなく、結合力の方向がディスク113及び123の軸112及び122を通るので、回転トルクは生み出されない。第1の2つの磁気要素とは径方向で反対に位置決めされた反対の極性の追加的な磁気要素を設けることによって、ディスクの間では、ディスクが互いに対して180度回転しているときであっても、2つのディスク上の同じ極性の磁気要素間の不安定な反発力によって、強い回転結合が得られる。
【0084】
図2A〜Dに示される実施形態の各々は、有利なことには、(整数回の完全回転による以外に)回転対称性を有さない磁気要素の配置を備える。磁気要素が回転対称性を有する配置で提供される場合には、例えば、ディスク113の径方向で対向する側に同じ極性の2つの磁気要素を提供することによって、駆動ディスク113と従動ディスク123とが2つ以上の配向で結合することが可能になるであろう。可能な配向の数は、磁気要素の配置に存在する回転対称性の程度に等しい。駆動ディスク110と従動ディスク120とが互いに結合することのできる配向が2つ以上ある場合には、従動ディスク120の配向を駆動ディスク110の配向から求めることはできない。回転対称性を有さない磁気要素配置を提供することによって、図2A〜Dに示される実施形態はそれぞれ、従動ディスク123の配向を駆動ディスク113の配向から求めることのできる結合システムを可能にしている。
【0085】
図3及び4は、磁気要素が有利なパターンで配置されている駆動ディスク313及び従動ディスク323を備える、本発明の更なる実施形態を示す。
【0086】
出願人は、結合のキャプチャレンジ(すなわち、磁力が同期することのできる駆動ディスクと従動ディスクとの間の回転オフセット)及び結合のセトリングタイム(駆動位置にあるときに駆動ディスクと従動ディスクとが同期を達成するのにかかる時間)はディスクの磁気要素の配置に大きく影響されることを見出した。図3に示されるような、回転非対称且つ反射非対称な磁気要素の配置は、従動ディスク323の位置が遅れた位置で駆動ディスク313に接近するとき、つまり、従動ディスク323の回転の配向が回転方向で駆動ディスク313の回転の配向に遅れている状態のときに、結合を回転整列させるのに有益であることが見出された。
【0087】
図3では、駆動ディスク313は、径方向線に沿って位置決めされた同じ極性の第1の磁気要素115a及び第2の磁気要素215aを備えている。第1及び第2の磁気要素の(駆動時のディスクの回転の方向で)前方の位置には、反対の極性の第3の磁気要素315bが配設されている。従動ディスク323における磁気要素の配置はディスクの面に平行な平面での駆動ディスク313の反射であり、磁気要素の極性は逆転される。
【0088】
この実施形態において、従動ディスク323が遅れた位置で駆動ディスク313に接近すると、従動ディスク323の第3の磁気要素325bは、駆動ディスク313の第1の磁気要素115a及び第2の磁気要素215aからの反発力を受ける。この反発力は、他の配置と比較して、回転方向の追加的な回転トルクを提供することができ、ひいては従動ディスク323が駆動ディスク313に追いつくことを可能にする。
【0089】
図4には類似の配置が示されており、第4の磁気要素335bが、従動ディスク上で第3の磁気要素325bの前方に位置決めされていて、第3の磁気要素325bと同じ極性を有している。この配置は、図7を参照して後述する印刷装置において有益であることがわかっている。この配置は、従動ディスクの位置の行き過ぎを阻止するとともにこの特定の動作方法におけるセトリングタイムを短縮する、駆動ディスクの磁気要素315bから従動ディスクの335bへの吸引力を提供する。
【0090】
図5A〜Cは、図1の駆動ディスク113の一例を様々な視点から示す。
【0091】
図5Aは、駆動ディスク113を平面図として示す。
【0092】
この実施形態においては、駆動ディスク113は、円形の断面を有し、直径wが57mmで厚さtが10mmの機械加工されたアルミニウムディスクを備えている。ディスクは、一体形成され中央に直径10mmの貫通孔511を穿設されたハブと、駆動ディスク113をシャフト111に固定するためのグラブねじと、を有する。
【0093】
他の実施形態においては、駆動ディスク113は、楕円形の断面又は長方形の断面など、非円形の断面を有していてもよい。いくつかの実施形態においては、駆動ディスク113はアルミニウム以外の材料から形成されていてもよい。好適には、駆動ディスク113は非磁性材料から形成される。当業者であれば、駆動ディスク113の寸法は、本発明が使用される用途の要件に従って選択され得ることを理解するであろう。
【0094】
図5B及び5Cは、図5Aの駆動ディスク113を、磁気要素115の位置がより明確にわかる横から見た断面で示している。
【0095】
磁気要素115は、駆動ディスク113の面114に設けられた空洞116内に配設されている。この例では、磁気要素115は10mmの直径及び5mmの厚さを有する。いくつかの例では、磁気要素は20mmの直径を有する。磁気要素115は、抑制要素119を用いた空洞116内での磁気要素115の取り付けを提供するために、中央の皿穴を備えている。この例では、抑制要素は単一のねじ119である。
【0096】
空洞116は、駆動ディスク113の面114内に延在し隙間嵌めによって磁気要素115を収容するように寸法決めされている。空洞116は磁気要素115の厚さと概ね等しい深さを有しており、したがって、磁気要素115の外面は、(図5Bに示されるように)空洞116内に完全に挿入されたときには、駆動ディスク113の面114と略同一平面となる。
【0097】
抑制ねじ119は、磁気要素115を空洞内に固定するように適合されているが、磁気要素がおよそ1mm空洞116の外に軸方向で移動して(図5Cに示されるように)ディスク面114から最大で1mm突出することを可能にする。
【0098】
他の実施形態においては、磁気要素115は、異なる軸方向距離だけ空洞116から外に移動することができるように拘束されてもよい。好適には、磁気要素115は、駆動位置で整列されたときに従動ディスクの磁気要素125に接触するのに十分な距離だけ移動することができる。
【0099】
磁気要素115と空洞の後面との間には、磁気要素115を空洞の内側に、磁気要素の前面がディスクの表面114から突出しない休止位置にバイアスするために、1つ以上のばね(図示しない)が配設されていてもよい。これは、互いに接近する際に磁気要素115が従動ディスクと衝突しないことを保証する。
【0100】
当業者は、上述の駆動ディスク113が、図2B〜D,図3及び図4に示されるもののように、2つ以上の磁気要素115を備えるように適合され得ることを理解しなければならない。
【0101】
図5に示される駆動ディスク113の1つの変形においては、3つの磁気要素が、駆動ディスク113に、他の2つの磁気要素から等しく120°間隔を空けて配設される。各磁気要素は独立して浮いており且つ跳ね上げられる。(1つの磁気要素を有する)標準的な従動ディスクはこの磁気要素と、駆動ディスク113の磁気要素の各々と整列された従動ディスクの磁気要素にそれぞれ対応する3つの位置のうち1つで係合し得る。この例において、この独特の整列位置は、より速い係合のために必至である。この実施形態は、図7を参照して後述する印刷装置において、有利である。独特の整列位置が不要な特定の処理ステーションでは、駆動速度は印刷ステーションにおけるよりも遅く、従動ディスクは、カメラ検査ステーション又はニス引きステーションなどに、配向を制御されない状態で接近する。
【0102】
図6A及び6Bは、図1の従動ディスク123の一例を様々な視点から示す。
【0103】
従動ディスク123は、実質的に、ディスク113の面114に平行な面に反射された駆動ディスク113の鏡像である。従動ディスク123は、磁気要素125が、表面の上方に浮くことができないように軸方向の位置が固定された状態で空洞126内に保持されるという点で、駆動と異なっている。磁気要素125の極性は、駆動ディスク121の対応する磁気要素115の極性と反対になるように選択される。
【0104】
従動ディスク123の磁気要素125は、ディスク面124と同一平面又は略同一平面(just sub-flush)に設定されるとともに、空洞126内で浮くことができないようにねじ129で固定される。空洞126内の磁気要素125の上及び周囲には、間隙又は空隙を埋めるようにポッティング化合物が追加され、ディスク123の表面は滑らかな仕上がりとなるようにラッピングされて平坦な表面124を形成する。
【0105】
当業者は、上述の駆動ディスク123が、図2B〜D及び図3に示されるもののように、2つ以上の磁気要素125を備えるように適合され得ることを理解しなければならない。また、従動ディスク123は、図4に示される例におけるように、駆動ディスク113とは異なる数の磁気要素125を備えていてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態においては、従動ディスク123は、駆動ディスク113に対向する従動ディスクの面124を覆う材料の表層を備える。この材料は、フリクション・テクノロジー社によって供給されるFTL175のような、ブレーキパッド材料であってもよい。この材料は従動ディスク123と駆動ディスク113の磁気要素との間の摩擦を高め、これが結合安定性を向上させるとともに、表面の摩耗を減少させもする。
【0107】
当業者は、駆動要素及び従動要素の形状が円形のディスクに限定されないことも理解しなければならない。この例においてはディスクを説明してきたが、駆動要素及び従動要素の一方又は両方に関しては、他の可能性も本発明の範囲内に該当する。これは、磁気要素を所望の配置で支持することのできるどんな形状をも含むとともに、1つ以上の径方向アーム、三角形、四角形若しくは他の多角形、長円形、楕円形、又はより複雑な形状を含む。駆動要素及び従動要素は、例えば穴若しくは空隙など材料の無い領域を含んでいてもよく、及び/又はその厚さは、例えば質量を減らすために、選択的に減少されてもよい。駆動要素と従動要素とは、異なる形状であってもよい。駆動要素及び従動要素の作製には、非磁性金属、ポリマ、複合材料などを含む幅広い材料が用いられ得る。
【0108】
図7は、本発明の磁気結合装置100を4つ備える、円筒形容器用の印刷システム700の一例を示す。
【0109】
この印刷システムにおいて、受動的な従動要素120は、印刷対象の容器708を保持するように適合されている。従動要素120は、トラック702に沿って、容器108の表面上に印刷を行うように構成された印刷ヘッド703の付近へと搬送される。トラック703に沿って配設されているのは、印刷ヘッド703の付近で従動要素120に結合する一連の駆動要素110であり、容器108が印刷される間に回転されることを可能にしている。
【0110】
各従動要素120は、容器708の長手軸が従動要素120の従動軸と平行になるように容器708を運搬するように適合されている。各従動要素120は軸受705を介して各移動キャリッジ704装置に取り付けられており、軸受は従動要素120がその中心軸まわりにキャリッジ704に対して自由に回転することを可能にしている。これによって、従動要素120の回転は、装着された容器708を中心軸まわりに回転させる。
【0111】
各移動キャリッジ装置704は、直動軸受システム(図示しない)を介してトラック702に搭載されている。トラック702は、キャリッジ704が自由に動き回ることのできる閉じた経路を形成し、この経路が各キャリッジ704の運動を高い精度で誘導する。
【0112】
キャリッジ704は、磁気リニアモータシステムによって、トラック702に沿って駆動される。キャリッジ704は、トラック702の周りに間隔を置いて配置された電磁石のシステムに磁気的に結合する永久磁石(図示しない)を担持する。トラック702の電磁石は、キャリッジ704をトラック702に沿って進ませるように電気的に駆動される。位置検知システムがトラック702上の各キャリッジ704の位置を測定し、制御デバイスを用いてトラック702上の各キャリッジ704の位置、速さ、及び加速が独立して制御される。そのようなトラック702の一例が、ロックウェル・オートメーション社によって商業的に生産されているiTRAKである。
【0113】
キャリッジ704及び駆動要素710は、容器708が印刷ヘッド703によって印刷され得る位置へキャリッジ704が移動されるとキャリッジ704の従動要素120の従動軸122が回転する駆動要素110の駆動軸112と整列されるように構成されている。駆動要素110は、明細書の上述の項において説明したように従動要素120に回転結合し、したがって容器708の回転位置が駆動要素120によって制御されることを可能にする。
【0114】
印刷装置700は4つの印刷ステーションを備えており、その各々が少なくとも1つの印刷ヘッド703を備え、そこで画像の個々の色分離が容器708の表面上に印刷される。各印刷ステーションでの印刷プロセスは容器708の1回以上の完全回転を伴い、その間、容器708は駆動要素110によって磁気結合を介して一定の角速度で回転される。複数の容器708が平行して印刷されてもよい。いくつかの実施形態においては、印刷時には各印刷ステーションに1つの容器708が位置している。各印刷ステーションにおける各容器708の回転は、印刷プロセスの開始時刻が各印刷ステーションで略同じになるように、同期される。同様に、印刷プロセスの終了時刻(すなわち容器が1回以上の回転を終える時刻)は、各印刷ステーションで略同じである。印刷ステーションでの回転駆動は、各印刷ステーションでベルト709を介して各回転結合100の駆動要素110に接続された単一のモータ710から提供される。
【0115】
キャリッジ704が印刷ステーションにある間に、容器の角度位置が、従動要素に装着された高解像度の光学エンコーダリングから、印刷ステーションに取り付けられた別個の非接触光学読み取りヘッドによって、測定される。これにより、印刷ステーションに位置している印刷ヘッドの取り外しタイミングを制御するためのタイミング信号が提供される。
【0116】
1回以上の回転印刷プロセスの終わりに、各キャリッジ704は、次の色分離が印刷される次の印刷ステーションへ並進移動され、前の分離と同じ位置でオーバーレイが行われる。この並進移動の際に、各結合の駆動ディスク113と結合ディスク123とがディスクの軸に垂直なキャリッジ704の移動によって分離されるので、回転結合100は離脱する。回転駆動710は引き続き同じ一定の角速度で回転するが、容器708の回転は結合を離脱すると減速し始める。
【0117】
印刷装置700のスループットを最大化するためには、ステーション間の並進移動が駆動要素110の1回転のうちに完了し、容器708が第2のステーションに到達するとすぐに、駆動要素110に対する回転を失うことなく、駆動要素110に再同期されるのが好適である。これには、第2のステーションに接近する際の駆動ディスク113に対する従動ディスク123の回転角度が結合のキャプチャレンジ内にあること、位置のスリップが回復可能であること、及び第2のステーションでの印刷の開始時までに速度が安定化すること、が必要である。
【0118】
容器708の減速によって生じる駆動要素110間での位置のスリップは、ディスクの回転位置の同期及びキャリッジ704の線形並進移動を、結合が離脱するにつれていくらかの角加速度をもたらすように制御することによって、補償することができる。そのような角加速度は、離脱時にディスク113,123が回転しているのと同じ方向で線形並進移動が従動ディスク123にトルクを発生させる場合に生じる。このトルクは、2つのディスク113,123の磁気要素間の組み合わせられた吸引力が、離脱時の線形並進移動の方向に垂直な成分をもって、ディスク113,123の回転の中心軸112,122に対してオフセットされた位置で作用する場合に発生する。これは、組み合わせられた吸引力が作用する点が中心軸112,122のどちら側にあるかに応じて、従動ディスク123を加速又は減速するトルクを発生させる。また、トルクの大きさ(ならびにその方向)は、前述の垂直の成分の大きさに影響を及ぼすであろうから、結合されたディスク113,123の離脱時の配向によって決まる。駆動ディスク113の回転は、離脱時の配向が常に、ステーション間でキャリッジ704を移動させる間に発生する容器708の減速を実質的に埋め合わせる量だけ従動ディスク123を加速するようなものであるように、キャリッジ704の並進移動と同期され得ることがわかっている。
【0119】
代替的又は追加的には、駆動ステーション間での従動ディスクの減速は、従動要素に角加速度を与えるように従動要素の離脱前に駆動要素の回転を加速することによって補償されてもよい。
【0120】
従動要素は、第1の駆動ステーションの前に、第1の駆動ステーションに接近するにつれて必要な方向で回転するように、事前に回転されてもよい。これは、駆動ステーションの第1の駆動要素への従動要素の結合プロセスをスピードアップする。事前回転は、キャリッジがトラックに沿って駆動ステーションの方へ移動するにつれて従動ディスクの周面を固定されたレール又はパッドと接線方向で係合させ、従動要素をその軸まわりに回転させることによって行われてもよい。
【0121】
駆動ディスク113及び従動ディスク123の磁気要素の具体的な配置は、図4に示されたものと同じである。この配置は、プロトタイプの印刷装置の試験において、静止状態から及び125mm間隔の隣り合う駆動要素110間を移動するときのいずれにおいても、200ms未満で300rpmの駆動回転速度(印刷装置の定格速度)にロックオンする(locking on)のに良好な性能を提供することがわかっている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7