(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電極は、複数の第二電極部を含み、前記第1の方向において隣り合う前記第二電極部は、前記幅方向において異なる位置に配置されている、請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
前記第1の配線部材の前記幅方向の第2の方向における一方端側の一部、および前記第1の配線部材の前記幅方向の前記第2の方向と反対の第3の方向における一方端側の一部は、前記第2の半導体層上に配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の光電変換装置。
前記第1の方向において隣接する前記第一配線部の接触幅は、キャリアの集電方向に向かうに従って広くなっている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
前記第1の配線部材は、複数の第二配線部を有し、前記第1の方向において隣接する前記第二配線部は、前記幅方向において異なる位置に配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光電変換装置の平面図である。なお、
図1は、光入射側と反対側から見た光電変換装置の平面図である。
図2は、
図1に示す線II−II間における光電変換装置の断面図である。
図1および
図2においては、x軸、y軸およびz軸を規定する。
【0020】
図1および
図2を参照して、実施の形態1による光電変換装置10は、半導体基板1と、反射防止膜2と、パッシベーション膜3と、電極4,5とを備える。
【0021】
半導体基板1は、例えば、n型単結晶シリコン基板からなり、100〜200μmの厚さを有する。また、半導体基板1は、例えば、(100)の面方位を有し、1〜10Ωcmの比抵抗を有する。そして、半導体基板1は、光入射側の表面にテクスチャ構造を有し、光入射側と反対側にp型拡散層11と、n型拡散層12とを含む。
【0022】
p型拡散層11およびn型拡散層12は、x軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の幅方向)において交互に配置される。
【0023】
p型拡散層11は、例えば、ドーパントとしてボロン(B)を含み、n型拡散層12は、例えば、ドーパントとしてリン(P)を含む。p型拡散層11のボロン濃度は、例えば、1×10
19cm
−3〜1×10
20cm
−3であり、n型拡散層12のリン濃度は、例えば、1×10
19cm
−3〜1×10
20cm
−3である。p型拡散層11の幅(x軸方向の長さ)は、例えば、1mmであり、n型拡散層12の幅(x軸方向の長さ)は、例えば、0.2mmである。
【0024】
反射防止膜2は、半導体基板1の光入射側の表面に半導体基板1に接して配置される。反射防止膜2は、例えば、酸化シリコンおよび窒化シリコンの積層構造からなる。この場合、酸化シリコンが半導体基板1に接して配置され、窒化シリコンは、酸化シリコンに接して酸化シリコン上に配置される。反射防止膜2の膜厚は、例えば、50〜100nmである。
【0025】
パッシベーション膜3は、半導体基板1の光入射側の表面と反対側の表面に半導体基板1に接して配置される。
【0026】
パッシベーション膜3は、例えば、窒化シリコンからなり、100〜1000nmの膜厚を有する。
【0027】
電極4は、複数の島状電極41と、複数の島状電極42とを含む。複数の島状電極41および複数の島状電極42は、x軸方向(p型拡散層11の幅方向)において所定の間隔で配置される。x軸方向における複数の島状電極41と複数の島状電極42との間隔は、正孔のライフタイムをτ
hとした場合、例えば、τ
h以上2×τ
h以下に設定される。
【0028】
複数の島状電極41は、p型拡散層11の幅方向の一方側においてp型拡散層11の長さ方向に所定の間隔でp型拡散層11上に配置される。複数の島状電極42は、p型拡散層11の幅方向の他方側においてp型拡散層11の長さ方向に所定の間隔でp型拡散層11上に配置される。所定の間隔は、例えば、τ
h以上2×τ
h以下に設定される。
【0029】
そして、複数の島状電極41と複数の島状電極42とをp型拡散層11の長さ方向(y軸方向)に一列に配列した場合、複数の島状電極41は、複数の島状電極42と交互に配置される。
【0030】
その結果、複数の島状電極41および複数の島状電極42は、全体としては、p型拡散層11の長さ方向(y軸方向)にジグザグ状に配置される。
【0031】
電極5は、複数の島状電極51と、複数の島状電極52とを含む。複数の島状電極51および複数の島状電極52は、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)において所定の間隔で配置される。x軸方向における複数の島状電極51と複数の島状電極52との間隔は、電子のライフタイムをτ
eとした場合、例えば、τ
e以上2×τ
e以下に設定される。
【0032】
複数の島状電極51は、n型拡散層12の幅方向の一方側においてn型拡散層12の長さ方向に所定の間隔で配置される。複数の島状電極52は、n型拡散層12の幅方向の他方側においてn型拡散層12の長さ方向に所定の間隔で配置される。所定の間隔は、例えば、τ
e以上2×τ
e以下に設定される。
【0033】
そして、複数の島状電極51と複数の島状電極52とをn型拡散層12の長さ方向(y軸方向)に一列に配列した場合、複数の島状電極51は、複数の島状電極52と交互に配置される。
【0034】
その結果、複数の島状電極51および複数の島状電極52は、全体としては、n型拡散層12の長さ方向(y軸方向)にジグザグ状に配置される。
【0035】
複数の島状電極41,42の各々は、パッシベーション膜3を貫通してp型拡散層11に接するように配置される。その結果、複数の島状電極41,42の各々は、p型拡散層11に電気的に接続される。
【0036】
複数の島状電極51,52の各々は、パッシベーション膜3を貫通してn型拡散層12に接するように配置される。その結果、複数の島状電極51,52の各々は、n型拡散層12に電気的に接続される。
【0037】
複数の島状電極41,42および複数の島状電極51,52の各々は、例えば、銀、銅または銀と銅の合金からなる。
【0038】
複数の島状電極41,42のx軸方向およびy軸方向における配置間隔をτ
h以上2×τ
h以下に設定することによって、電極4は、効率良く正孔を集電でき、複数の島状電極51,52のx軸方向およびy軸方向における配置間隔をτ
e以上2×τ
e以下に設定することによって、電極5は、効率良く電子を集電できる。その結果、光電変換装置10の特性を向上できる。
【0039】
図3は、配線基板の平面図である。
図3を参照して、配線基板20は、絶縁性基板6と、配線パターン7,8とを備える。
【0040】
配線パターン7,8は、絶縁性基板6上に配置される。配線パターン7は、p型拡散層11の領域に対向するように配置される配線パターンであり、配線パターン8は、n型拡散層12の領域に対向するように配置される配線パターンである。
【0041】
配線パターン7は、複数の配線部材71と複数の配線部材72とを含む。複数の配線部材71は、y軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材72は、配線部材71の配置位置をx軸方向にずらせた位置において、y軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材71は、y軸方向の両端において配線部材72に接する。その結果、複数の配線部材71および複数の配線部材72は、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン7は、複数の配線部材71および複数の配線部材72をy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材71,72は、本発明の第一配線部に相当する。
【0042】
配線パターン8は、複数の配線部材81と複数の配線部材82とを含む。複数の配線部材81は、y軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材82は、配線部材81の配置位置をx軸方向にずらせた位置において、y軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材81は、y軸方向の両端において配線部材82に接する。その結果、複数の配線部材81および複数の配線部材82は、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン8は、複数の配線部材81および複数の配線部材82をy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材81,82は、本発明の第二配線部に相当する。
【0043】
図4は、
図3に示す配線基板20上に
図1に示す光電変換装置10を配置した配線基板付き光電変換装置30における電極4,5と配線部材71,81との配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0044】
図4を参照して、電極4の島状電極41は、x軸方向(p型拡散層11の幅方向)において配線部材72の中央部に配置され、島状電極42は、x軸方向(p型拡散層11の幅方向)において配線部材71の中央部に配置される。
【0045】
電極5の島状電極51は、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)において配線部材82の中央部に配置され、島状電極52は、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)において配線部材81の中央部に配置される。
【0046】
複数の配線部材71および複数の配線部材72は、p型拡散層11上に配置される。複数の配線部材81および複数の配線部材82は、n型拡散層12上に配置される。そして、配線部材81のx軸の正方向の一方端側の一部分は、p型拡散層11上に配置され、配線部材82のx軸の負方向の一方端側の一部分は、p型拡散層11上に配置される。
【0047】
配線部材71,72は、それぞれ、島状電極41,42に半田付け等により電気的に接続され、配線部材81,82は、それぞれ、島状電極51,52に半田付け等により電気的に接続される。光電変換装置10と配線基板20は、半田付けされた部分以外で絶縁性樹脂接着剤により接着される。
【0048】
図5は、
図3および
図4に示す配線部材71,72,81,82の各部の寸法を示す図である。
図5を参照して、配線部材71,72,81,82の各々は、y軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の長さ方向)において、長さAを有する。長さAは、例えば、50〜500μmである。そして、長さAは、典型的には、100μmである。
【0049】
x軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の幅方向)における2つの配線部材71,72(または2つの配線部材81,82)の配置領域の幅Bは、例えば、300〜1000μmである。そして、幅Bは、典型的には、500μmである。幅Bを大きくすることによって、配線における抵抗損失を小さくすることができる。
【0050】
y軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の長さ方向)において隣接する2つの配線部材71,72において、一方の配線部材71の他方の配線部材72からのx軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の幅方向)におけるずれ量Cは、例えば、5〜200μmである。そして、ずれ量Cは、典型的には、50μmである。y軸方向(p型拡散層11またはn型拡散層12の長さ方向)において隣接する2つの配線部材81,82についても同様である。
【0051】
隣接する配線部材72と配線部材82との間隔Dは、例えば、50μm以上である。そして、間隔Dは、典型的には、100μmである。
【0052】
絶縁性基板6は、例えば、ポリエステルやポリエチレンナフタレートからなり、100μm程度の膜厚を有する。配線部材71,72,81,82の各々は、例えば、銅またはその酸化物または化合物からなり、例えば、30μm程度の膜厚を有する。
【0053】
長さA、幅B、ずれ量Cおよび間隔Dの設計について説明する。長さAの最小設計値は、電極と配線基板の形成精度に律則される。幅Bの最小設計値は、電極と配線基板とのアライメント精度に律則される。つまり、電極が配線基板からはみ出さないようにする必要がある。ずれ量Cの最大設計値は、電極が拡散層からはみ出さないようにする必要がある。つまり、ずれ量Cの最大設計値は、細線の拡散層に依存する。間隔Dの最小設計値は、配線基板の形成精度に律則される。
【0054】
図6および
図7は、それぞれ、
図1および
図2に示す光電変換装置10の製造工程を示す第1および第2の工程図である。
【0055】
図6を参照して、光電変換装置10の製造が開始されると、半導体基板1’を準備する(
図6の工程(a))。なお、半導体基板1’は、半導体基板1と同じ面方位、比抵抗、導電型および厚さを有する。
【0056】
そして、半導体基板1’の一方の面に保護膜30を形成する(
図6の工程(b))。保護膜30は、例えば、酸化シリコンおよび窒化シリコンからなり、例えば、スパッタリングによって形成される。
【0057】
その後、保護膜30が形成された半導体基板1’をNaOHおよびKOH等のアルカリ溶液(例えば、KOH:1〜5wt%、イソプロピルアルコール:1〜10wt%の水溶液)を用いてエッチングする。これによって、保護膜30が形成された半導体基板1’の面と反対側の表面が異方性エッチングされ、ピラミッド形状のテクスチャ構造が形成される。そして、保護膜30を除去することによって半導体基板1が得られる(
図6の工程(c)参照)。
【0058】
引き続いて、半導体基板1のテクスチャ構造が形成された表面に反射防止膜2を形成する(
図6の工程(d))。より具体的には、例えば、スパッタリング法によって、酸化シリコンおよび窒化シリコンを半導体基板1上に順次堆積することによって反射防止膜2を形成する。
【0059】
そして、半導体基板1のテクスチャ構造が形成された面と反対側の表面に、BSG(Boron Silicate Glass)膜31およびPSG(Phosphorus Silicate Glass)膜32を形成する(
図6の工程(e))。この場合、BSG膜31およびPSG膜32の膜厚は、例えば、300〜1000nmである。
【0060】
その後、BSG膜31およびPSG膜32を850〜900℃で熱処理することによって、BSG膜31およびPSG膜32からそれぞれボロン(B)およびリン(P)を半導体基板1へ拡散させ、残ったBSG膜31およびPSG膜32をフッ化水素水溶液によって除去する。これによって、p型拡散層11およびn型拡散層12が半導体基板1の裏面側に形成される(
図7の工程(f))。
【0061】
引き続いて、例えば、スパッタリング法によって、窒化シリコンを半導体基板1の裏面に形成することによってパッシベーション膜3を形成する(
図7の工程(g))。
【0062】
そして、フォトリソグラフィによってパッシベーション膜3上にレジストパターンを形成し、その形成したレジストパターンをマスクとしてパッシベーション膜3をエッチングし、貫通孔33,34を形成する(
図7の工程(h))。
【0063】
その後、半導体基板1の裏面の全体に銀を形成し、その形成した銀の一部を、フォトリソグラフィを用いて形成したレジストパターンをマスクとしてエッチングし、島状電極41,42,51,52を形成する。これによって、光電変換装置10が完成する(
図7の工程(i))。
【0064】
図8は、別の配線基板の平面図である。
図8を参照して、配線基板20Aは、絶縁性基板6と、配線パターン7A,8Aとを備える。
【0065】
配線パターン7A,8Aは、絶縁性基板6上に配置される。
【0066】
配線パターン7Aは、複数の配線部材71Aおよび複数の配線部材72Aを含む。複数の配線部材71Aおよび複数の配線部材72Aの各々は、長方形の平面形状を有する。複数の配線部材71Aは、y軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材72Aは、配線部材71Aの配置位置をx軸方向にずらせた位置において、y軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材71Aは、y軸方向の両端において配線部材72Aに接する。その結果、複数の配線部材71Aおよび複数の配線部材72Aは、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン7Aは、複数の配線部材71Aおよび複数の配線部材72Aをy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材71A,72Aは、本発明の第一配線部に相当する。
【0067】
配線パターン8Aは、複数の配線部材81Aと複数の配線部材82Aとを含む。複数の配線部材81Aおよび複数の配線部材82Aの各々は、長方形の平面形状を有する。複数の配線部材81Aは、y軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材82Aは、配線部材81Aの配置位置をx軸方向にずらせた位置において、y軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材81Aは、y軸方向の両端において配線部材82Aに接する。その結果、複数の配線部材81Aおよび複数の配線部材82Aは、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン8Aは、複数の配線部材81Aおよび複数の配線部材82Aをy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材81A,82Aは、本発明の第二配線部に相当する。
【0068】
配線部材71A,72A,81A,82Aの各々は、配線部材71,72,81,82と同じ材料からなり、配線部材71,72,81,82と同じ膜厚を有する。
【0069】
図9は、
図8に示す配線基板20A上に
図1に示す光電変換装置10を配置した配線基板付き光電変換装置30Aにおける電極4,5と配線部材7A,8Aとの配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0070】
図9を参照して、電極4の島状電極41は、x軸方向における配線部材72Aの中央部よりもx軸の負方向にずれた位置に配置される。そして、島状電極41のx軸の負方向の端部がp型拡散層11の端部に一致する。電極4の島状電極42は、x軸方向における配線部材71Aの中央部よりもx軸の負方向にずれた位置に配置される。そして、島状電極42のx軸の正方向の端部がp型拡散層11の端部に一致する。島状電極41は、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向)において隣接する島状電極42に接しておらず、x軸方向(p型拡散層11の幅方向)において島状電極42と所定の間隔を隔てて配置される。
【0071】
電極5の島状電極51は、x軸方向における配線部材82Aの中央部よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。電極5の島状電極52は、x軸方向における配線部材81Aの中央部よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。島状電極51は、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)において隣接する島状電極52に接しておらず、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)において島状電極52と所定の間隔を隔てて配置される。
【0072】
複数の配線部材81Aは、x軸の正方向の一方端側の一部分がp型拡散層11上に配置される。複数の配線部材82Aは、x軸の負方向の一方端側の一部分がp型拡散層11上に配置される。
【0073】
配線部材71A,72Aは、それぞれ、島状電極41,42に電気的に接続され、配線部材81A,82Aは、それぞれ、島状電極51,52に電気的に接続される。
【0074】
図10は、実施の形態1による別の光電変換装置10Bの平面図である。なお、
図10は、光入射側と反対側から見た光電変換装置10Bの平面図である。
【0075】
実施の形態1による光電変換装置は、
図10に示す光電変換装置10Bであってもよい。
図10を参照して、光電変換装置10Bは、
図1および
図2に示す光電変換装置10の電極5を電極5Aに代えたものであり、その他は、光電変換装置10と同じである。
【0076】
電極5Aは、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)に沿って配置された帯状の平面形状を有し、n型拡散層12上に配置される。電極5Aは、上述した島状電極41,42および島状電極51,52と同じ材料からなる。
【0077】
このように、光電変換装置10Bは、多数キャリア(電子)を収集するための電極5Aが帯状の平面形状を有する構造からなる。
【0078】
光電変換装置10Bに用いられる配線基板は、
図3に示す配線基板20と同じである。
【0079】
図11は、
図3に示す配線基板20上に
図10に示す光電変換装置10Bを配置した配線基板付き光電変換装置30Bにおける電極4,5Aと配線部材71,72;81,82との配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0080】
電極4と配線部材71,72との配置位置の関係は、
図4において説明したとおりである。
【0081】
電極5Aは、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)における配線部材81の中央部よりもx軸の負方向にずれた位置、およびx軸方向(n型拡散層12の幅方向)における配線部材82の中央部よりもx軸の正方向にずれた位置において、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)に沿って配置される。その結果、電極5Aは、n型拡散層12の幅方向(x軸方向)の中央部においてn型拡散層12の長さ方向(y軸方向)に沿って配置される。
【0082】
そして、配線部材71,72は、それぞれ、島状電極41,42に電気的に接続され、配線部材81,82は、電極5Aに電気的に接続される。
【0083】
図12は、実施の形態1による更に別の光電変換装置10Cの平面図である。なお、
図12は、光入射側と反対側から見た光電変換装置10Cの平面図である。
【0084】
実施の形態1による光電変換装置は、
図12に示す光電変換装置10Cであってもよい。
【0085】
図12を参照して、光電変換装置10Cは、
図1および
図2に示す光電変換装置10の電極4,5をそれぞれ電極4A,5Bに代えたものであり、その他は、光電変換装置10と同じである。
【0086】
電極4A,5Bは、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向またはn型拡散装置12の長さ方向)においてジグザグ状の平面形状を有し、それぞれ、p型拡散層11上およびn型拡散装置12上に配置される。電極4A,5Bの各々は、上述した島状電極41,42および島状電極51,52と同じ材料からなる。電極4Aの幅(x軸方向に沿った長さ)は、例えば、300μmであり、電極5Bの幅(x軸方向に沿った長さ)は、例えば、100μmである。
【0087】
電極4Aは、電極部4A−1,4A−2,4A−3,4A−4を有する。電極部4A−1,4A−4は、電極4Aのy軸方向(p型拡散層11の長さ方向)の両端部に配置される。電極部4A−2および4A−4は、電極部4A−1および4A−3よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。そして、電極部4A−2,4A−3は、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向)において交互に配置される。電極4Aは、上述した電極4と同じ材料からなる。電極4A(電極部4A−1,4A−2,4A−3,4A−4)は、本発明の第一電極部に相当する。
【0088】
電極5Bは、電極部5B−1,5B−2,5B−3,5B−4を有する。電極部5B−1,5B−4は、電極5Bのy軸方向(n型拡散層12の長さ方向)の両端部に配置される。電極部5B−2および5B−4は、電極部5B−1および5B−3よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。そして、電極部5B−2,5B−3は、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)において交互に配置される。電極5Bは、上述した電極5と同じ材料からなる。電極5B(電極部5B−1,5B−2,5B−3,5B−4)は、本発明の第二電極部に相当する。
【0089】
図13は、
図12に示す光電変換装置10Cに用いられる配線基板の平面図である。
図13を参照して、配線基板20Cは、
図3に示す配線基板20の配線パターン7,8を配線パターン7B,8Bに代えたものであり、その他は、配線基板20と同じである。
【0090】
配線パターン7Bは、配線部材71Bを含む。配線部材71Bは、一定の幅(x軸方向の長さ)を有し、y軸方向においてジグザグ状の平面形状を有する。
【0091】
配線部材71Bは、配線部71B−1,71B−2,71B−3,71B−4を有する。配線部71B−1,71B−4は、配線部材71Bのy軸方向の両端部に配置される。配線部71B−1および71B−3は、配線部71B−2および71B−4よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。そして、配線部71B−2,71B−3は、y軸方向において交互に配置される。配線部材71Bは、上述した配線部材71と同じ材料からなる。配線部材71B(配線部71B−1,71B−2,71B−3,71B−4)は、本発明の第一配線部に相当する。
【0092】
配線パターン8Bは、配線部材81Bを含む。配線部材81Bは、一定の幅(x軸方向の長さ)を有し、y軸方向においてジグザグ状の平面形状を有する。
【0093】
配線部材81Bは、配線部81B−1,81B−2,81B−3,81B−4を有する。配線部81B−1,81B−4は、配線部材81Bのy軸方向の両端部に配置される。配線部81B−1および81B−3は、配線部81B−2および81B−4よりもx軸の正方向にずれた位置に配置される。そして、配線部81B−2,81B−3は、y軸方向において交互に配置される。配線部材81Bは、上述した配線部材81と同じ材料からなる。配線部材81B(配線部81B−1,81B−2,81B−3,81B−4)は、本発明の第二配線部に相当する。
【0094】
図14は、
図13に示す配線基板20C上に
図12に示す光電変換装置10Cを配置した配線基板付き光電変換装置30Cにおける電極4A,5Bと配線部材71B,81Bとの配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0095】
図14を参照して、配線部材71Bは、p型拡散層11上に配置され、配線部材81Bは、n型拡散層12上に配置される。そして、配線部材81Bのx軸方向の両側の一部分は、p型拡散層11上に配置される。電極4Aは、配線部材71Bの幅方向(p型拡散層11の幅方向)の中央部に配置される。電極5Bは、配線部材81Bの幅方向(n型拡散層12の幅方向)の中央部に配置される。
【0096】
配線部材71Bは、電極4Aに電気的に接続され、配線部材81Bは、電極5Bに電気的に接続される。
【0097】
図15は、
図10に示す光電変換装置10Bに用いられる別の配線基板の平面図である。
【0098】
図15を参照して、配線基板20Dは、
図3に示す配線基板20の配線パターン7,8を配線パターン7C,8Cに代えたものであり、その他は、配線基板20と同じである。
【0099】
配線パターン7Cは、配線部材71Cを含む。配線部材71Cは、長方形の平面形状を有する。そして、配線部材71Cは、上述した配線部材71と同じ材料からなる。
【0100】
配線パターン8Cは、配線部材81Cを含む。配線部材81Cは、長方形の平面形状を有する。配線部材81Cは、配線部材71Cよりも小さい幅を有する。そして、配線部材81Cは、上述した配線部材81と同じ材料からなる。
【0101】
図16は、
図15に示す配線基板20D上に
図10に示す光電変換装置10Bを配置した配線基板付き光電変換装置30Dにおける電極4,5Aと配線部材71C,81Cとの配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0102】
図16を参照して、配線部材71Cは、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向)に沿ってp型拡散層11上に配置され、配線部材81Cは、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)に沿ってn型拡散層12上に配置される。そして、配線部材81Cのx軸方向の両側の一部分は、p型拡散層11上に配置される。電極4の島状電極41,42は、配線部材71Cのx軸方向(p型拡散層11の幅方向)の中央部において、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向)に沿ってジグザグ状に配置される。
【0103】
電極5Aは、配線部材81Cのx軸方向(n型拡散層12の幅方向)の中央部において、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)に沿って直線状に配置される。
【0104】
なお、配線基板20Cが用いられる場合、電極4の島状電極41,42の各々は、例えば、100μmの幅(x軸方向の長さ)を有し、電極5Aは、例えば、100μmの幅(x軸方向の長さ)を有する。
【0105】
配線部材71Cは、島状電極41,42に電気的に接続され、配線部材81Cは、電極5Aに電気的に接続される。
【0106】
図17は、実施の形態1による更に別の光電変換装置10Eの平面図である。なお、
図17は、光入射側と反対側から見た光電変換装置10Eの平面図である。
【0107】
実施の形態1による光電変換装置は、
図17に示す光電変換装置10Eであってもよい。
図17を参照して、光電変換装置10Eは、
図1および
図2に示す光電変換装置10の電極4,5をそれぞれ電極4E,5Eに代えたものであり、その他は、光電変換装置10と同じである。
【0108】
電極4Eは、複数の島状電極41Eと、複数の島状電極42Eとを含む。複数の島状電極41Eおよび複数の島状電極42Eは、島状電極41Eと島状電極42Eとのx軸方向の間隔が島状電極41と島状電極42とのx軸方向の間隔よりも広くなるように配置される。この場合、島状電極41Eと島状電極42Eとのx軸方向の間隔は、例えば、τ
h以上2×τ
h以下に設定される。
【0109】
電極5Eは、複数の島状電極51Eと、複数の島状電極52Eとを含む。複数の島状電極51Eおよび複数の島状電極52Eは、島状電極51Eと島状電極52Eとのx軸方向の間隔が島状電極51と島状電極52とのx軸方向の間隔よりも広くなるように配置される。この場合、島状電極51Eと島状電極52Eとのx軸方向の間隔は、例えば、τ
h以上2×τ
h以下に設定される。
【0110】
複数の島状電極41Eおよび複数の島状電極42Eについてのその他の説明は、複数の島状電極41および複数の島状電極42についての説明と同じであり、複数の島状電極51Eおよび複数の島状電極52Eについてのその他の説明は、複数の島状電極51および複数の島状電極52についての説明と同じである。
【0111】
図18は、
図17に示す光電変換装置10Eに用いられる配線基板の平面図である。
図18を参照して、配線基板20Eは、
図3に示す配線基板20の配線パターン7,8をそれぞれ配線パターン7E,8Eに代えたものであり、その他は、配線基板20と同じである。
【0112】
配線パターン7E,8Eは、絶縁性基板6上に配置される。
【0113】
配線パターン7Eは、複数の配線部材71Eおよび複数の配線部材72Eを含む。複数の配線部材71Eおよび複数の配線部材72Eの各々は、長方形の平面形状を有する。複数の配線部材71Eは、配置位置をx軸の正方向に所定量ずつずらせながらy軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材72Eは、配置位置をx軸の負方向に所定量ずつずらせながらy軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材71Eは、y軸方向の両端において配線部材72Eに接する。その結果、複数の配線部材71Eおよび複数の配線部材72Eは、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン7Eは、複数の配線部材71Eおよび複数の配線部材72Eをy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材71E,72Eは、本発明の第一配線部に相当する。
【0114】
y軸方向に配置した配線部材71E,72Eにおいては、配線部材71E,72Eのy軸方向の一方端側(
図18の紙面上、最上部側)における配線部材71Eと配線部材72Eとの接触領域の接触幅b1は、配線部材71E,72Eのy軸方向の他方端側(
図18の紙面上、最下部側)における配線部材71Eと配線部材72Eとの接触領域の接触幅a1よりも広い。より詳細には、隣接する配線部材71E,72E間の接触幅は、キャリア(正孔)の集電方向に向かって徐々に広くなっている。従って、キャリア(正孔)を集電するときの配線の抵抗損失を小さくできる。
【0115】
配線パターン8Eは、複数の配線部材81Eおよび複数の配線部材82Eを含む。複数の配線部材81Eおよび複数の配線部材82Eの各々は、長方形の平面形状を有する。複数の配線部材81Eは、配置位置をx軸の負方向に所定量ずつずらせながらy軸方向に所定の間隔で配置される。複数の配線部材82Eは、配置位置をx軸の正方向に所定量ずつずらせながらy軸方向に所定の間隔で配置される。配線部材81Eは、y軸方向の両端において配線部材82Eに接する。その結果、複数の配線部材81Eおよび複数の配線部材82Eは、y軸方向において交互に配置される。従って、配線パターン8Eは、複数の配線部材81Eおよび複数の配線部材82Eをy軸方向においてジグザグ状に配置した構造からなる。ここで、配線部材81E,82Eは、本発明の第二配線部に相当する。
【0116】
y軸方向に配置した配線部材81E,82Eにおいては、配線部材81E,82Eのy軸方向の一方端側(
図18の紙面上、最下部側)における配線部材81Eと配線部材82Eとの接触領域の接触幅b2は、配線部材81E,72Eのy軸方向の他方端側(
図18の紙面上、最上部側)における配線部材81Eと配線部材82Eとの接触領域の接触幅a2よりも広い。より詳細には、隣接する配線部材81E,82E間の接触幅は、キャリア(電子)の集電方向に向かって徐々に広くなっている。従って、キャリア(電子)を集電するときの配線の抵抗損失を小さくできる。
【0117】
配線部材71E,72E,81E,82Eの各々は、配線部材71,72,81,82と同じ材料からなり、配線部材71,72,81,82と同じ膜厚を有する。
【0118】
図19は、
図18に示す配線基板20E上に
図17に示す光電変換装置10Eを配置した配線基板付き光電変換装置30Eにおける電極4E,5Eと配線部材7E,8Eとの配置位置の関係を説明するための平面図である。
【0119】
図19を参照して、電極4Eの島状電極41Eは、y軸の負方向において、配線部材71Eに対してx軸の負方向にずれた位置に配置される。電極4Eの島状電極42Eは、y軸の負方向において、配線部材72Eに対してx軸の正方向にずれた位置に配置される。島状電極41Eは、y軸方向(p型拡散層11の長さ方向)において隣接する島状電極42Eに接しておらず、x軸方向(p型拡散層11の幅方向)において島状電極42Eと所定の間隔を隔てて配置される。
【0120】
電極5Eの島状電極51Eは、y軸の負方向において、配線部材81Eに対してx軸の正方向にずれた位置に配置される。電極5Eの島状電極52Eは、y軸の負方向において、配線部材82Eに対してx軸の負方向にずれた位置に配置される。島状電極51Eは、y軸方向(n型拡散層12の長さ方向)において隣接する島状電極52Eに接しておらず、x軸方向(n型拡散層12の幅方向)において島状電極52Eと所定の間隔を隔てて配置される。
【0121】
配線部材71E,72Eは、それぞれ、島状電極41E,42Eに電気的に接続され、配線部材81E,82Eは、それぞれ、島状電極51E,52Eに電気的に接続される。
【0122】
実施の形態1による光電変換装置は、上述した光電変換装置10,10B,10C,10E単体であってもよく、光電変換装置10,10B,10C,10Eと、上述した配線基板20,20A,20C,20D,20Eのいずれかとを備えていてもよい。
【0123】
上記においては、各種の配線基板20,20A,20C,20D,20Eについて説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、この発明の実施の形態における配線基板は、p型拡散層11の領域に配置される配線部材と、n型拡散層12の領域に配置される配線部材とのうち、少なくとも、p型拡散層11の領域に配置される配線部材がp型拡散層11の長さ方向にジグザグ状に配置されていればよい。
【0124】
光電変換装置10においては、電極4が島状電極41,42からなり、電極5が島状電極51,52からなる。島状電極41,42と島状電極51,52は、x軸方向に異なる位置に配置されている。その結果、p型拡散層11の領域およびn型拡散層12の領域において発生したキャリアを電極に収集できる確率が向上し、集電効率が向上する。
【0125】
また、光電変換装置10Bにおいては、電極4が島状電極41,42からなる。島状電極41,42は、x軸方向に異なる位置に配置されている。その結果、少なくともp型拡散層11の領域において発生したキャリアを電極に収集できる確率が向上し、集電効率が向上する。
【0126】
また、光電変換装置10Cにおいては、電極4Aが、p型拡散層11の長さ方向にジグザグ状に配置され、電極5Bが、n型拡散層12の長さ方向にジグザグ状に配置される。その結果、p型拡散層11の領域およびn型拡散層12の領域において発生したキャリアを電極に収集できる確率が向上し、集電効率が向上する。
【0127】
更に、配線基板付き光電変換装置30Cにおいては、p型拡散層11の領域に配置される配線(配線パターン7B)とn型拡散層12の領域に配置される配線(配線パターン8B)とが共に、電極4A,5Bと同様にy軸方向においてジグザグ状に配置されている。その結果、配線7Bと配線8Bとの間隔を狭めることなく、集電効率が向上する。従って、配線(配線パターン7B)と配線(配線パターン8B)との短絡を防止して配線基板付き光電変換装置30Cの特性を向上できる。
【0128】
更に、配線基板付き光電変換装置30Eにおいては、隣接する配線部材71E,72Eの接触幅および隣接する配線部材81E,82Eの接触幅がキャリアの集電方向に向かって徐々に広くなっているので、キャリアを集電するときの抵抗損失を小さくでき、集電効率が向上する。その結果、配線基板付き光電変換装置30Eの出力を向上できる。
【0129】
集電効率を上昇させるためには、p型拡散層11およびn型拡散層12に接する電極の幅を広くすればよいが、電極の幅を広くすると、それに伴って配線の幅も広くする必要があり、p型拡散層11の領域に配置される配線とn型拡散層12の領域に配置される配線との間隔が狭くなり、2つの配線間に導電性のゴミが付着すると、短絡が生じ易くなる。
【0130】
しかし、配線基板付き光電変換装置30Cにおいては、上述したように、y軸方向においてジグザグ状に配置された電極4A,5Bを設けることによって、配線(配線パターン7B)と配線(配線パターン8B)との間隔を狭めることなく、集電効率を向上させ、配線基板付き光電変換装置30Cの特性を向上させている。
【0131】
従って、配線基板を用いて集電する従来の光電変換装置における問題を配線の短絡防止と光電変換装置の特性向上とを両立させるという観点から解決したものである。
【0132】
上記においては、半導体基板1は、n型単結晶シリコン基板からなると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、半導体基板1は、n型多結晶シリコン基板であってよく、p型単結晶シリコン基板またはp型多結晶シリコン基板であってもよい。
【0133】
半導体基板1がp型単結晶シリコン基板またはp型多結晶シリコン基板からなる場合、n型拡散層12の幅は、p型拡散層11の幅よりも広くなるように設定される。それに伴って、上述した配線基板20,20A,20C,20D,20Eの配線パターン7,8;7A,8A;7B,8B;7C,8C;7E,8Eにおいて、配線パターン7,7A,7B,7C,7Eと配線パターン8,8A,8B,8C,8Eとを入れ替えればよい。
【0134】
また、上記において説明した実施の形態1に限らず、電極4,5のうち、電極4が島状電極41,42からなり、電極5が直線形状からなっていてもよく、一般的には、電極4,5のうち、少なくとも電極4がp型拡散層11の長さ方向にジグザグ状に配置された島状電極からなっていればよい。
【0135】
[実施の形態2]
図20は、実施の形態2による光電変換装置の平面図である。
図21は、
図20に示す線XXI−XXI間における光電変換装置の断面図である。なお、
図20は、光入射側と反対側から見た光電変換装置の平面図である。また、
図20および
図21においては、x軸、y軸およびz軸を規定する。
【0136】
図20および
図21を参照して、実施の形態2による光電変換装置100は、半導体基板101と、反射防止膜102と、パッシベーション膜103と、p型非晶質半導体層104と、n型非晶質半導体層105と、保護膜106と、電極107,108とを備える。
【0137】
半導体基板101は、例えば、n型単結晶シリコン基板からなり、100〜200μmの厚さを有する。また、半導体基板101は、例えば、(100)の面方位を有し、1〜10Ωcmの比抵抗を有する。そして、半導体基板101は、光入射側の表面にテクスチャ構造を有する。
【0138】
反射防止膜102は、半導体基板101の光入射側の表面に半導体基板101に接して配置される。反射防止膜102は、例えば、酸化シリコンおよび窒化シリコンの積層構造からなる。この場合、酸化シリコンが半導体基板101に接して配置され、窒化シリコンは、酸化シリコンに接して酸化シリコン上に配置される。反射防止膜102の膜厚は、例えば、50〜100nmである。
【0139】
パッシベーション膜103は、半導体基板101の光入射側の表面と反対側の表面に接して配置される。パッシベーション膜103は、例えば、i型アモルファスシリコン、i型アモルファスシリコンカーバイド、i型アモルファスシリコンナイトライド、i型アモルファスシリコンオキシナイトライドおよびi型アモルファスシリコンオキサイドのいずれかからなる。そして、パッシベーション膜103は、例えば、10〜30nmの膜厚を有する。
【0140】
p型非晶質半導体層104は、パッシベーション膜103に接してパッシベーション膜103上に配置される。p型非晶質半導体層104は、例えば、p型アモルファスシリコン、p型アモルファスシリコンカーバイド、p型アモルファスシリコンナイトライド、p型アモルファスシリコンオキシナイトライドおよびp型アモルファスシリコンオキサイドのいずれかからなる。そして、p型非晶質半導体層104は、例えば、10〜30nmの膜厚を有する。
【0141】
n型非晶質半導体層105は、パッシベーション膜103に接してパッシベーション膜103上に配置される。この場合、n型非晶質半導体層105は、n型非晶質半導体層105の幅方向(x軸方向)において、p型非晶質半導体層104に接していてもよく、p型非晶質半導体層104と所定の距離を隔てて配置されてもよい。
【0142】
n型非晶質半導体層105は、例えば、n型アモルファスシリコン、n型アモルファスシリコンカーバイド、n型アモルファスシリコンナイトライド、n型アモルファスシリコンオキシナイトライドおよびn型アモルファスシリコンオキサイドのいずれかからなる。そして、n型非晶質半導体層105は、例えば、10〜30nmの膜厚を有する。
【0143】
保護膜106は、p型非晶質半導体層104およびn型非晶質半導体層105を覆うように配置される。p型非晶質半導体層104がn型非晶質半導体層105と所定の距離を隔てて配置される場合、保護膜106は、パッシベーション膜103にも接する。
【0144】
保護膜106は、例えば、窒化シリコンからなり、50〜200nmの膜厚を有する。
【0145】
電極107は、複数の島状電極1071と、複数の島状電極1072とを含む。複数の島状電極1071および複数の島状電極1072は、それぞれ、上述した複数の島状電極41および複数の島状電極42と同じように配置される。
【0146】
電極108は、複数の島状電極1081と、複数の島状電極1082とを含む。複数の島状電極1081および複数の島状電極1082は、それぞれ、上述した複数の島状電極51および複数の島状電極52と同じように配置される。
【0147】
複数の島状電極1071,1072の各々は、保護膜106を貫通してp型非晶質半導体層104に接するように配置される。その結果、複数の島状電極1071,1072の各々は、p型非晶質半導体層104に電気的に接続される。
【0148】
複数の島状電極1081,1082の各々は、保護膜106を貫通してn型非晶質半導体層105に接するように配置される。その結果、複数の島状電極1081,1082の各々は、n型非晶質半導体層105に電気的に接続される。
【0149】
複数の島状電極1071,1072および複数の島状電極1081,1082の各々は、上述した島状電極41,42,51,52と同じ材料からなり、島状電極41,42,51,52と同じ厚さを有する。
【0150】
図22から
図24は、それぞれ、
図20および
図21に示す光電変換装置100の製造工程を示す第1から第3の工程図である。
【0151】
図22を参照して、光電変換装置100の製造が開始されると、
図6の工程(a)〜工程(d)と同じ工程を順次実行する(
図22の工程(a)〜工程(d))。
【0152】
図22の工程(d)の後、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってi型アモルファスシリコンを半導体基板101の光入射側の表面と反対側の表面上に堆積することによってパッシベーション膜3を形成する(
図22の工程(e))。
【0153】
より具体的には、シラン(SiH
4)ガスを材料ガスとし、13.56MHzの高周波電力を平行平板型の電極に印加し、減圧下でi型アモルファスシリコンを堆積する。
【0154】
図23を参照して、
図22の工程(e)の後、マスク40をパッシベーション膜103上に配置する(
図23の工程(f))。そして、プラズマCVD法によってp型アモルファスシリコンをパッシベーション膜103上に堆積することによってp型非晶質半導体層104をパッシベーション膜103上に形成する(
図23の工程(g))。より具体的には、SiH
4ガスおよびジボラン(B
2H
6)ガスを材料ガスとし、13.56MHzの高周波電力を平行平板型の電極に印加し、減圧下でp型アモルファスシリコンを堆積する。
【0155】
そして、マスク50をp型非晶質半導体層104上に配置する(
図23の工程(h))。
【0156】
その後、プラズマCVD法によってn型アモルファスシリコンをパッシベーション膜103上に堆積することによってn型非晶質半導体層105をパッシベーション膜103上に形成する(
図23の工程(i))。より具体的には、SiH
4ガスおよびフォスフィン(PH
3)ガスを材料ガスとし、13.56MHzの高周波電力を平行平板型の電極に印加し、減圧下でn型アモルファスシリコンを堆積する。
【0157】
図24を参照して、
図23の工程(i)の後、プラズマCVD法によって窒化シリコンをp型非晶質半導体層104およびn型非晶質半導体層105上に堆積することによって保護膜106を形成する(
図24の工程(j))。より具体的には、SiH
4ガスおよびアンモニア(NH
3)ガスを材料ガスとし、13.56MHzの高周波電力を平行平板型の電極に印加し、減圧下で窒化シリコンを堆積する。
【0158】
図24の工程(j)の後、フォトリソグラフィによって保護膜106上にレジストパターンを形成し、その形成したレジストパターンをマスクとして保護膜106をエッチングし、貫通孔35,36を形成する(
図24の工程(k))。
【0159】
その後、半導体基板101の裏面の全体に銀を形成し、その形成した銀の一部を、フォトリソグラフィを用いて形成したレジストパターンをマスクとしてエッチングし、島状電極1071,1072,1081,1082を形成する。これによって、光電変換装置100が完成する(
図24の工程(l))。
【0160】
光電変換装置100においては、上述した配線基板20,20A,20B,20C,20D,20Eのいずれかが用いられる。そして、配線基板20,20A,20B,20C,20D,20Eの配線パターン7,7A,7B,7C,7D,7Eが電極107に電気的に接続され、配線パターン8,8A,8B,8C,8D,8Eが電極108に電気的に接続される。
【0161】
その結果、裏面ヘテロ接合型の光電変換装置100においても、光電変換装置10と同じ効果を得ることができる。
【0162】
上記においては、半導体基板101は、n型単結晶シリコン基板からなると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、半導体基板101は、n型多結晶シリコン基板であってよく、p型単結晶シリコン基板またはp型多結晶シリコン基板であってもよい。
【0163】
半導体基板101がp型単結晶シリコン基板またはp型多結晶シリコン基板からなる場合、n型非晶質半導体層105の幅は、p型非晶質半導体層104の幅よりも広くなるように設定される。それに伴って、上述した配線基板20,20A,20C,20D,20Eの配線パターン7,8;7A,8A;7B,8B;7C,8C;7E,8Eにおいて、配線パターン7,7A,7B,7C,7Eと配線パターン8,8A,8B,8C,8Eとを入れ替えればよい。
【0164】
また、上記においては、電極107が島状電極1071,1072からなり、電極108が島状電極1081,1082からなると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、電極107,108のうち、電極107が島状電極1071,1072からなり、電極108が直線形状からなっていてもよく、一般的には、電極107,108のうち、少なくとも電極107がp型非晶質半導体層104の長さ方向にジグザグ状に配置された島状電極からなっていればよい。
【0165】
実施の形態2による光電変換装置は、上述した光電変換装置100単体であってもよく、光電変換装置100と、上述した配線基板20,20A,20C,20D,20Eのいずれかとを備えていてもよい。
【0166】
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0167】
この発明の実施の形態においては、n型拡散層12およびn型非晶質半導体層105は、「第1の半導体層」を構成する。
【0168】
また、この発明の実施の形態においては、p型拡散層11およびp型非晶質半導体層104は、「第2の半導体層」を構成する。
【0169】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。