(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至12のいずれかのアンテナ装置と、前記アンテナ装置で送信、受信又は送受信される信号を処理する無線信号処理部と、を備えることを特徴とする無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置10の一例を示す斜視図である。
図2及び
図3はそれぞれ、
図1のアンテナ装置10の中央部分の拡大斜視図及び拡大側面図である。本実施形態のアンテナ装置10は、厚さ方向のサイズを小さくして小型化が容易な板形状やシート形状など全体形状を有し、アンテナ素子を有する主面に垂直な方向(天頂方向)に指向性の主ビームを有するアンテナ装置である。
【0011】
アンテナ装置10は、自動車などの移動体、RFタグ、IoT機器など取り付けることができる。アンテナ装置10を取り付け可能な移動体は、一般の自動車、のほかバス、トラック等の車両、線路上を走行する鉄道車両、航空機又は船舶であってもよい。例えば、アンテナ装置10は、V2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)、V2P(Vehicle-to-Pedestrian)、V2X(Vehicle-to-Everything)などの通信用のアンテナ装置、パス、鉄道車両などの無線LANに使用されるモバイルルータ用外部アンテナ装置などに用いることができる。
【0012】
特に、本実施形態のアンテナ装置10は、小型化が容易であるため、移動体等の取付対象の外観を損なわないように且つ内部スペースを犠牲にすることなく取付対象の絶縁体(誘電体)からなる外壁部に埋め込んで設置することができる。このように外壁部に埋め込んで設置した場合でも、良好なアンテナ特性(例えば、周波数帯域、指向性及び最大利得)を発揮することができる。
【0013】
図1〜3において、アンテナ装置10は、有限のサイズを有する導電性の地板110と、地板110の主面110sから離間した位置に配置したアンテナ素子120とを備える。地板110は、例えば平面寸法がLx
BP[mm]×Ly
BP[mm]の四角形の外形状を有し、金属等の導電性材料で形成される。また、地板110は、その主面110sに沿った方向におけるアンテナ素子120から離間した互いに異なる複数の位置(図示の例では4箇所)に、厚さ方向に貫通した複数の長尺の四角形からなる開口部としてのスロット150(1)〜150(4)を有する。
【0014】
本実施形態において、アンテナ素子120が給電型の第1放射素子として機能するとともに、その周囲に位置する複数のスロット150(1)〜150(4)がそれぞれ無給電型の第2放射素子として機能することにより、アンテナ素子120から背面側に反射器を設置することなく、アンテナ素子120に垂直な方向(天頂方向)の指向性ビームの利得を改善することができる。
【0015】
アンテナ素子120は、例えば金属等の導電性材料からなり、平板形状又はシート形状を有する。図示の例では、アンテナ素子120は、所定の比誘電率を有する樹脂などからなる所定の厚さ(Hd[mm])のブロック形状の誘電体部材130の上面に形成されている。
【0016】
アンテナ素子120は、支持基板としての誘電体基板140により、地板110の上面から所定の高さ(Ha[mm])を有するように支持されている。誘電体基板140は、例えば、所定の比誘電率を有する樹脂などからなる基材の表面に銅などの導電性材料からなる導電性膜が形成された基板である。誘電体基板140の導電成膜が形成された表面は絶縁性材料の膜でコーティングしてもよい。誘電体基板140は例えば導電性のネジで地板110に固定され、誘電体基板140の導電性膜と地板110が導通した状態になっている。アンテナ素子120の高さ(Ha[mm])は、従来のアンテナ素子と反射器との距離(λ
0/2)(λ
0:放射する電波の自由空間波長)よりも短くすることができるため、厚さ方向の小サイズ化を図りつつ指向性ビームの利得改善が可能になる。
【0017】
誘電体基板140は、アンテナ素子120を支持する支持面140a(高さ:Hsub1[mm])と、地板110側に開口した開口部140b(内壁の高さ:Hsub2[mm])とを有する。図示の例では、アンテナ素子120が形成された誘電体部材130が、誘電体基板140の支持面140a上に固定されている。また、誘電体基板140の開口部140bの内部には、誘電体部材130の内部を貫通するように又は誘電体部材130の表面に沿って迂回するようにアンテナ素子120に接続される接続線を配線することができる。
【0018】
アンテナ素子120は、複数の辺を有する平板形状又はシート形状を有する。図示のアンテナ素子120は、四角形の対角方向に位置する2組の角部のうち一方の1組の角部を面取りするように切り欠いた外形を有し、アンテナ素子120の中心からずれた所定位置の接続点(給電点の接続ポート)に、無線通信装置からの接続線を接続することにより、円偏波の電波を送受信できる。
【0019】
アンテナ素子120の長辺の長さは、例えば0.5×λ
0(λ
0:放射する電波の自由空間波長)である。また、アンテナ装置10の指向性ビームの上方への利得を高めるために、スロット150(1)〜150(4)に関する寸法を次のように設定してもよい。例えば、放射する電波の自由空間波長をλ
0としたとき、スロット150(1)〜150(4)の長手方向の長さLsを0.5×λ
0以上及び0.77×λ
0以下にし、スロット150(1)〜150(4)の短手方向の幅Wsを0.03×λ
0以上及び0.156×λ
0以下にし、スロット150(1)〜150(4)の中央とアンテナ素子120の中央との間の距離Dsを0.5×λ
0以上及び0.77×λ
0以下にする。また、後述のように、アンテナ装置10の指向性ビームの上方への利得を更に改善するために、スロット150(1)〜150(4)を形成した構成と組み合わせて、アンテナ素子120の上方に天頂板を設けてもよい。
【0020】
図4(a)〜(c)はそれぞれ、本実施形態のアンテナ装置10における地板110の外形状の変形例を示す平面図である。地板110の外形状は特定の形状に限定されない。例えば、地板110の外形状は、
図1及び
図4(a)に示すような四角形のほか、
図4(b)に示す円形でもよいし、三角形又は
図4(c)に示すような八角形などの五角形以上の多角形であってもよい。
【0021】
図5(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態のアンテナ装置10における円偏波の電波を送受信可能なアンテナ素子120及びその接続部(接続ポート)121,の配置の一例を示す平面図である。
図5(a)は、アンテナ素子120が図中の四角形の右上及び左下の角を切り欠いた(面取りした)素子形状を有し、図中の右回転方向の円偏波を送受信可能なアンテナ素子(右旋偏波アンテナ)120の例である。
図5(b)は、アンテナ素子120が図中の四角形の左上及び右下の角を切り欠いた(面取りした)素子形状を有し、図中の左回転方向の円偏波を送受信可能なアンテナ素子(左旋偏波アンテナ)120の例である。
図5(a)及び(b)それぞれのアンテナ素子120では、図中の接続部121が設けられ、その接続部121に外部回路が接続される。外部回路は、例えば無線通信装置の高周波信号の出力部、入力部、又は、アンテナ共用器(DUP)である。
【0022】
図6(a)〜(c)はそれぞれ、本実施形態のアンテナ装置10における直線偏波の電波を送受信可能なアンテナ素子120およびその接続部(接続ポート)121,122の配置の一例例を示す平面図である。
図6(a)は図中の上下方向(鉛直方向)の直線偏波を送受信可能なアンテナ素子120の例であり、アンテナ素子120の中心から上方向(他の例では下方向)にずれた位置にある接続部121に外部回路が接続される。
図6(b)は図中の左右方向(水平方向)の直線偏波を送受信可能なアンテナ素子120の例であり、アンテナ素子120の中心から右側(他の例では左方向)にずれた位置にある接続部122に外部回路が接続される。
【0023】
図6(c)は図中の鉛直方向から右側に45度傾いた斜め方向の直線偏波を送受信可能なアンテナ素子120の例である。
図6(c)の例では、アンテナ素子120の中心から上方向(他の例では下方向)にずれた位置にある接続部121及び右側(他の例では左方向)にずれた位置にある接続部122のそれぞれに外部回路が接続され、例えば送信の場合は同位相の同一送信信号が供給される。また、受信の場合は接続部121及び122から互いに同位相の同一受信信号が出力される。
【0024】
図7(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態のアンテナ装置における複数のスロット150(1)〜150(4)の配置の一例を示す上面図である。アンテナ素子120に対するスロット150(1)〜150(4)の相対的な配置は特定の配置に限定されない。例えば、
図1及び
図7(a)の構成例では、アンテナ素子120の上辺及び下辺に対して上下の1組のスロット150(1)及び150(3)それぞれの長辺が平行になり、アンテナ素子120の右辺及び左辺に対して他の1組のスロット150(2)及び150(4)それぞれの長辺が平行になるように、スロット150(1)〜150(4)を配置している。
【0025】
図7(b)の構成例では、アンテナ素子120の長辺(上辺、下辺、右辺、左辺)の方向に対して各スロット150(1)〜150(4)の長辺の方向が45度だけ傾くように、スロット150(1)〜150(4)を配置している。すなわち、
図7(b)の構成例のスロット150(1)〜150(4)は、アンテナ素子120を中心に
図1及び
図7(a)の構成例のスロット150(1)〜150(4)を45度だけ回転させた配置になっている。
図7(b)のようにアンテナ素子120の長辺に対してスロット150(1)〜150(4)を傾けて配置することにより、アンテナ装置10の指向性ビームのバックロブ領域(後述の天頂角θが−180度〜−90度の角度領域及び90度〜180度の角度領域)の利得を低減することができる。
【0026】
また、スロット150(1)〜150(4)の外形状及びスロット150の個数は特定の形状及び個数に限定されない。
【0027】
図8は、本実施形態のアンテナ装置10における複数のスロット150(1)〜150(4)の他の構成例を示す平面図であり、
図9(a)、(b)、(c)及び(d)はそれぞれ、本実施形態のアンテナ装置10におけるスロット150の長手方向端縁150eの構成例を示す部分平面図である。例えば、スロット150(1)〜150(4)の長辺の形状は、
図1及び2に示すように直線形状でもよいし、
図8に示すように円弧状に形成してもよい。また、スロット150の長手方向端縁150eの形状は、
図9(a)に示すように四角形状でもよいし、多角形状でもよいし、
図9(b)に示すように円形状であってもよい。また、スロット150の長手方向端縁150eの形状は、
図9(c)に示すように外向きの凸状に形成されたくさび形状であってもよいし、
図9(d)に示すように内向きの凹状に形成されたくさび形状であってもよい。
【0028】
図10及び
図11はそれぞれ、実施形態に係るアンテナ装置の中央部分の他の構成例の拡大側面図である。前述の
図1〜3の構成例ではアンテナ素子120が形成された誘電体部材130の下面と地板110との間に誘電体基板140を備えているが、
図10に示すように誘電体基板140を設けずに誘電体部材130の下面が地板110に接するように構成してもよい。また、
図11に示すようにアンテナ素子120から電波放射方向に離間した位置に天頂板160を備えてもよい。
【0029】
図12は、実施形態に係るアンテナ装置10の他の例を示す斜視図である。
図13は、
図12のアンテナ装置の側方から見た部分断面図である。
図12及び
図13の構成例は、落とし込み形態の例である。地板110は、アンテナ素子120が位置する主面110sの中央部110aに対して所定の傾斜角(
図13中のPSI:ψ)で傾斜した複数の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)を有する。この複数の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)にスロット150(1)〜150(4)が設けられている。なお、スロット150(1)〜150(4)は、地板110の主面110sの中央部110aに位置してもよい。
図12及び
図13の例のように地板110が複数の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)を有する構成では、後述のように指向性の主ビームの中央部の利得低下を抑制しつつ所定の閾値以上の利得が得られる仰角θ’(=90度−天頂角θ)の角度範囲を広くすることができる。
【0030】
図14は、実施形態に係るアンテナ装置10の指向性ビームBmの方向を定義する角度の一例を示す説明図である。
図14のx,y,z座標系において、アンテナ装置10のアンテナ素子120の中央部が原点に位置し、z軸のプラス方向(天頂方向)を基準にした指向性ビームBmの方向の角度(図中下向きの角度がプラス)が天頂角θ[度]である。また、指向性ビームBmをx−y面に投影したビーム投影方向Bm’を基準にした指向性ビームBmの方向の角度(図中上向きの角度がプラス)が仰角θ’[度](=90[度]−θ)である。
【0031】
また、x−y面(水平面)においてx軸のプラス方向を基準にした上記ビーム投影方向Bm’の方向の角度(図中左回転方向の角度がプラス)が方位角φ(「水平偏角」ともいう。)[度]である。図示の例では、+x軸の方向の方位角φが0[度]であり、+y軸の方向の方位角φが90[度]である。
【0032】
次に、本実施形態のアンテナ装置10の特性(利得特性、指向性)のコンピュータシミュレーション結果について説明する。コンピュータシミュレーションは、電磁界シミュレータ(株式会社エーイーティー製の「CST MWSTUDIO」)を用い、表1のパラメータの値を設定して行った。表1中のλ
0は、電磁波の自由空間波長である。
【表1】
【0033】
図15(a)及び(b)はそれぞれ、
図1〜
図3のアンテナ装置10の方位角φ=0[度]及び90[度]における利得(ゲイン)の天頂角(θ)依存性(指向性プロファイル)のコンピュータシミュレーション結果の一例を示すグラフである。本シミュレーションでは、
図5(a)に示すアンテナ素子120の接続部(接続ポート)に送信信号を供給している(下記のシミュレーションでも同様)。
図15(a)及び(b)において、曲線C101は、実施形態に係るアンテナ装置10の利得(ゲイン)[dBi]のシミュレーション結果である。曲線C102は、
図1のアンテナ装置でスロットがなく且つ天頂板を備えた構成の比較例1の利得のシミュレーション結果である。曲線C103は、
図1のアンテナ装置でスロットがない比較例2のシミュレーション結果である。
【0034】
表2は、
図15(a)及び(b)の指向性プロファイルの天頂方向(+z軸方向)における利得(ゲイン)[dBi]の値である。この結果に示すように、本実施形態のアンテナ装置10では、スロット150(1)〜150(4)を設けることで天頂方向(+z軸方向)における利得を改善できる。
【表2】
【0035】
図15(a)及び(b)のシミュレーションにおいて、本実施形態のアンテナ装置10のスロット150(1)〜150(4)の長さLs[mm]、幅Ws[mm]及びアンテナ素子120との距離Ds[mm]を変えて天頂方向(+z軸方向)における利得[dBi]を計算したところ、次の表3に示す範囲で、上記比較例1のアンテナ装置よりも高い天頂方向の利得[dBi]が得られた。なお、表3中のλ
0は動作周波数の電波の自由空間での波長[mm]である。
【表3】
【0036】
図16(a)及び(b)はそれぞれ、
図7(a)及び(b)のアンテナ装置10の方位角φ=0[度]及び90[度]における利得の天頂角(θ)依存性(指向性プロファイル)のコンピュータシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図16(a)及び(b)において、曲線C201は、
図7(a)のアンテナ装置10の利得(ゲイン)[dBi]のシミュレーション結果である。曲線C202は、
図7(a)のアンテナ素子120を中心にしてスロット150(1)〜150(4)を45度回転させた
図7(b)のアンテナ装置10で利得(ゲイン)[dBi]のシミュレーション結果である。この結果に示すように、本実施形態のアンテナ装置10では、スロット150(1)〜150(4)の長手方向がアンテナ素子120の長辺の方向に対して傾くようにスロット150(1)〜150(4)を45度回転することにより、天頂方向(+z軸方向)における利得を維持しつつ、図中Aで示すバックロブ領域における利得を低減するように改善できる。特に、
図16(a)に示すアンテナ装置10の方位角φ=0[度]における利得特性では、バックロブ改善(バックロブ領域Aにおける利得低減)の効果が高い。
【0037】
図17は、本実施形態に係る
図12の落とし込み地板型のアンテナ装置10の方位角φ=0[度]における利得の天頂角(θ)依存性(指向性プロファイル)のコンピュータシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図18は、
図12の落とし込み地板型のアンテナ装置からスロットをなくした比較例に係るアンテナ装置の斜視図である。本シミュレーションにおいて、
図12及び
図18の地板110の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)の傾斜角ψを50[度]に設定した。
図19は、単一平板型の地板を有する比較例に係るアンテナ装置の斜視図である。
図17において、曲線C301(実線)は、
図12に示す落とし込み地板型のアンテナ装置10の利得[dBi]のシミュレーション結果である。曲線C302(破線)は、
図18に示す比較例に係るアンテナ装置10の利得[dBi]のシミュレーション結果である。曲線C303は、
図19に示す比較例に係るアンテナ装置10の利得[dBi]のシミュレーション結果である。
図17のシミュレーション結果に示すように、地板110の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)にスロット150(1)〜150(4)を設けることにより、利得が所定の閾値(例えば
図17の例では0[dBi])以上となる天頂角θの範囲が広くなり、仰角利得特性を改善することができる。
【0038】
図20(a)〜(f)はそれぞれ、
図12の落とし込み地板型のアンテナ装置の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)の傾斜角ψを0、10、20、30、40及び50[度]それぞれに設定したときの方位角φ=0[度]における利得の天頂角(θ)依存性(指向性プロファイル)のコンピュータシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図20(a)〜(f)のそれぞれにおいて、曲線C401(破線)は、
図12に示す落とし込み地板型のアンテナ装置10の利得[dBi]のシミュレーション結果である。曲線C402(実線)は、前述の
図18に示す比較例に係るアンテナ装置10の利得[dBi]のシミュレーション結果である。
図20(a)〜(f)のシミュレーション結果に示すように、地板110の傾斜壁部110b(1)〜110b(4)にスロット150(1)〜150(4)を設けることにより、傾斜壁部110b(1)〜110b(4)の傾斜角ψを大きくしていったときの傾斜角ψの影響による狭ビーム化を抑制することができる。
【0039】
図21は、実施形態に係る複数のアンテナ装置10(1),10(2)を有する無線通信装置400の構成例を示すブロック図である。例えば、第1のアンテナ装置10(1)は円偏波の電波を送受信するアンテナ装置であり、第2のアンテナ装置10(2)は直線偏波の電波を送受信するアンテナ装置である。無線通信装置400は、例えば、GPS受信装置、ムービングセル基地局の基地局装置、車車間通信装置などである。また、無線通信装置400はドップラーダイバーシチ機能を有してもよい。また、無線通信装置400は、ドップラーシフト補正機能を有してもよい。
【0040】
図21において、無線通信装置400は、アンテナ切替部410と無線通信処理部420とデータ処理部430と制御部440と記憶部450とを備えている。第1のアンテナ装置10(1)及び第2のアンテナ装置10(2)は、アンテナ切替部410を介して無線通信処理部420と接続されている。アンテナ切替部410は、例えば無線通信の用途又は各アンテナ装置の受信強度に基づいて、第1のアンテナ装置10(1)及び第2のアンテナ装置10(2)の少なくとも一つを無線通信処理部420に接続するようにスイッチを切り替える。
【0041】
無線通信処理部420は、送受共用器、ローノイズ高周波増幅器、送信電力増幅器、周波数変換器などを有し、複数のアンテナ装置10(1),10(2)の少なくとも一つを介して無線信号の送信及び受信を行う。
【0042】
データ処理部430は、無線通信処理部420から受けた受信信号の復調及び復号化の処理を行って受信データを復元したり、送信データの符号化及び変調を行って送信信号を生成して無線通信処理部420に渡したりする。
【0043】
制御部440は、予め組み込まれた制御プログラムを実行することにより、制御情報に基づいて、アンテナ切替部410、無線通信処理部420及びデータ処理部430を制御する。記憶部450は、受信データ、送信データ、制御プログラム、制御情報などを記憶する。
【0044】
なお、
図21の無線通信装置400において、アンテナ装置10は単数であってもよいし、3以上の複数のアンテナ装置10を備えてもよい。
【0045】
図22は、実施形態に係るアンテナ装置10の自動車40への取り付け例を示す説明図である。
図22の例は、自動車40の筐体(ボディ)を構成している屋根の一部をプラスティック等の絶縁体で形成し、その絶縁体で形成された屋根部分の内側に、GNSS人工衛星50からの電波を受信可能なGNSS用のアンテナ装置10を設け、そのアンテナ装置10のアンテナ素子と車載の無線通信装置400とを接続した例である。本実施形態のアンテナ装置10は厚さが薄く小型であるため、自動車40の筐体の内側及び外側それぞれへの突出した部分がなくなり、広い室内空間を確保することができるとともに外観の美観を損なうこともない。また、自動車40の筐体の設計の自由度も高くなる。
【0046】
特に、
図22の自動車40において、前述の
図12及び
図13に示したような所定の傾斜角ψの傾斜壁部110b(1)〜110b(4)を有する落とし込み地板型のアンテナ装置10を設けた場合、指向性の主ビームの中央部の利得低下を抑制しつつ所定の閾値以上の利得が得られる仰角θ’(=90度−天頂角θ)の角度範囲を広くすることができる。例えば、仰角θ’(=90度−天頂角θ)が下限(Limit)の20度から90度までの角度範囲で所定の閾値以上の利得が得られる。このようにアンテナ装置10を自動車40に内蔵することによる広い仰角θ’の範囲における利得の劣化を回避し、GNSS人工衛星50からの電波を受信感度が劣化しにくくなるので、精度の高いGNSS位置情報を安定して取得できる。
【0047】
以上、本実施形態によれば、導電性の地板110とアンテナ素子120との距離を電波の波長の1/2よりも短くすることにより厚さ方向のサイズを抑制することができる。更に、アンテナ素子120を給電型の第1放射素子として機能させ、地板110に有する複数のスロット150(1)〜150(4)を無給電型の複数の第2放射素子として機能させることができるため、アンテナ素子120に垂直な厚さ方向(天頂方向)の指向性の利得を改善することができる。よって、アンテナ素子120の主ビーム方向とは反対側に反射部材を設けた構成に比して厚さ方向のサイズを抑制することができるとともにアンテナ素子120の主ビームBmの指向性の利得を改善することができる。また、導波器や反射器などの追加部材を設けることなく、アンテナ装置10の利得性能を低下させることなく、アンテナ装置10の厚さ方向のサイズを抑制することができるので、アンテナ装置の大型化及び製造コストの上昇を回避することができる。
【0048】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線通信装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0049】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0050】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0051】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0052】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。