(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の好ましい実施の形態の一例を具体的に説明する。本開示に係る導電性接着剤組成物は、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分を含有し、(A)導電性粉末を100質量部としたときに(B)硬化性成分の含有量が20質量部以上となるように、相対的に(A)導電性粉末の含有量を減少させたものである。さらに本開示に係る導電性接着剤組成物は、(A)導電性粉末よりも平均粒径(メジアン径)が大きい(C)スペーサー粒子を含有する。この(C)スペーサー粒子は、その平均粒径(メジアン径)が10〜60μmの範囲内であるとともに、そのCV値(Coefficient of Variation)が30%以下であり、さらに、この(C)スペーサー粒子の含有量は、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分の合計量を100質量部としたときに0.01質量部以上30質量部以下の範囲内にある。
【0018】
[(A)導電性粉末]
本開示に係る導電性接着剤組成物が含有する(A)導電性粉末は、導電性を有する粉末(粒子)であれば特に限定されない。その材質も特に限定されないが、良好な導電性を実現する観点から相対的に低抵抗の導電性材料を挙げることができる。具体的には、例えば、金、銀、銅、およびこれらの合金を好ましく用いることができる。これらの中でも特に銀を含有する粉末を好適に用いることができる。
【0019】
(A)導電性粉末の具体的な材料構成も特に限定されず、実質的に1種類の金属(または導電性材料)から構成される粉末、複数種類の金属で構成される合金粉末、金属と非金属とで構成される複合材料粉末等が挙げられる。複合材料粉末としては、例えば、非金属粉末または相対的に抵抗が高い金属粉末の表面に、相対的に低抵抗の金属をコートする構成のコート粉末を挙げることができる。
【0020】
(A)導電性粉末の材質として銀を採用する場合には、例えば、銀粉、銀合金粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、または銀コートガラス粉等を挙げることができる。すなわち、本開示においては、(A)導電性粉末の好ましい一例として、銀粉末、銀合金粉末、銀コート粉末の少なくともいずれかを挙げることができる。
【0021】
(A)導電性粉末の形状も特に限定されず、さまざまな形状を選択して用いることが可能である。代表的には、実質的に球状を有する粉末(球状粉)、フレーク状の粉末(フレーク状粉)、樹状の粉末等を挙げることができる。導電性接着剤組成物の具体的な組成、具体的な用途または具体的な物性等の諸条件にもよるが、球状粉とフレーク状粉とを組み合わせて用いることが好ましい。このように異なる形状の粉末を組み合わせて用いることで、(B)硬化性成分の硬化後に(A)導電性粉末を良好に充填することができる。
【0022】
なお、本開示におけるフレーク状粉とは、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、平板または厚みの薄い直方体に近い形状の粉末であればよい。なお、フレーク状とは、薄片状または鱗片状と言い換えることができる。また、本開示における球状粉とは、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、直方体よりは立方体に近い立体形状の粉末であればよい。なお、球状とは、粒状と言い換えることができる。
【0023】
(A)導電性粉末の具体的な物性も特に限定されず、その平均粒径、比表面積、タップ密度等については公知の範囲内であればよい。このうち平均粒径(メジアン径)については、例えば0.1〜10μmの範囲内を挙げることができる。(A)導電性粉末がフレーク状粉である場合には、平均粒径は2〜20μmの範囲内であってもよい。
【0024】
本開示に係る導電性接着剤組成物においては、基本成分である(A)導電性粉末および(B)硬化性成分に加えて(C)スペーサー粒子を含有している。(A)導電性粉末の平均粒径は、(C)スペーサー粒子の平均粒径よりも相対的に小さければよい。なお、(A)導電性粉末の平均粒径の測定方法は特に限定されず、本開示においては後述する実施例で説明するように粒度分布測定装置を用いて測定する方法を採用している。
【0025】
(A)導電性粉末がコート粉末である場合には、コートされる導電性材料(金、銀、銅等の金属)のコート量についても特に限定されない。導電性材料がコートされていない元の粉末の質量を100質量%としたときに、導電性材料のコート量は、例えば、5〜30質量%の範囲内であればよく、6〜25質量%の範囲内であってもよいし、7.5〜20質量%の範囲内であってもよい。後述する実施例では、銀コート銅粉(銀粉3、略号A3)における銀のコート量は10質量%である(表1参照)。
【0026】
本開示に係る導電性接着剤組成物においては、(A)導電性粉末として1種類の粉末のみが用いられてもよいし、2種類以上の粉末が適宜組み合わせられて用いられてもよい。ここでいう(A)導電性粉末の種類とは、材質の違い、形状(球状またはフレーク状)の違いだけでなく、平均粒径の違い等も含まれる。後述する実施例では、(A)導電性粉末として、球状の銀粉(銀粉1、略号A1)とフレーク状の銀粉(銀粉2、略号A2)とを組み合わせた例、もしくは、球状の銀粉(銀粉1、略号A1)と球状の銀コート銅粉(銀粉3、略号A3)とを組み合わせた例を挙げている(表1参照)。
【0027】
なお、本開示に係る導電性接着剤組成物においては、金、銀、銅等の相対的に低抵抗の金属材料以外の材質で構成される「他の導電性粉末」を(A)導電性粉末として併用してもよい。このような「他の導電性粉末」としては、例えば、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、鉛粉末、およびカーボン粉末等を挙げることができる。
【0028】
(A)導電性粉末の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、球状粉であれば、湿式還元法により製造した粉末、電解法やアトマイズ法等、公知の他の方法により製造した球状粉末等を挙げることができるが、特に限定されない。あるいは、フレーク状粉であれば、公知の方法で製造された球状粉を元粉として、当該元粉に公知の機械的処理を施すことによりフレーク状粉を製造することができる。元粉の粒径や凝集度等の物性は、導電性接着剤組成物の使用目的(電極や配線等の種類、あるいはこれら電極や配線等を備える電子部品または電子装置等の種類)に応じて適宜選択することができる。
【0029】
[(B)硬化性成分]
本開示に係る導電性接着剤組成物が含有する(B)硬化性成分は、硬化によって(A)導電性粉末同士を電気的に接続可能にするとともに被着体に接着する硬化性バインダーとして機能するものであればよい。代表的には、熱硬化性の樹脂を挙げることができる。一般的な熱硬化性の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂のいずれかの樹脂を挙げることができる。なお、樹脂の種類によっては、硬化前の(B)硬化性成分は、ポリマーではなくモノマーまたはプレポリマーである場合もある。そのため、本開示においては、(B)硬化性成分は、硬化性の樹脂だけでなく、硬化することで樹脂となる硬化性組成物も含む。
【0030】
本開示において(B)硬化性成分として好適に用いられるアクリル樹脂の具体的な種類は特に限定されない。後述する実施例では、3種類のアクリル化合物を組み合わせて(B)硬化性成分として用いているが、1種類または2種類のアクリル化合物を用いてもよいし、4種類以上のアクリル化合物を用いてもよいし、アクリル化合物に重合可能な他のモノマーまたはプレポリマー等を併用してもよい。
【0031】
代表的なアクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリルレート(アクリレートまたはメタクリレート)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート(イソペンチル(メタ)アクリレート)、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、ステアリル(メタ)アクリレート(オクタデシル(メタ)アクリレート)等の鎖状アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等の(メタ)アクリレート系ウレタンプレポリマー;ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートエポキシエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらアクリル化合物は1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が適宜組み合わせられて用いられてもよい。
【0032】
後述する実施例では、(B)硬化性成分として、3種類のアクリル化合物を併用している。これらのうち化合物1(略号B1)がイソアミルアクリレートであり、化合物2(略号B2)がフェノキシエチルアクリレートであり、化合物3(略号B3)がフェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアンートウレタンプレポリマーである(表2参照)。したがって、本開示においては、(B)硬化性成分がアクリル樹脂(または硬化することでアクリル樹脂となる硬化性組成物)である場合には、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート系ウレタンプレポリマーの組合せを好適な一例として挙げることができる。(B)硬化性成分として複数種類のアクリル化合物を併用する場合に、それぞれのアクリル系化合物の混合比(配合比)は特に限定されない。
【0033】
(B)硬化性成分がアクリル樹脂(または硬化することでアクリル樹脂となる硬化性組成物)である場合には、重合開始剤が用いられる。具体的な重合開始剤としては特に限定されないが、代表的には、有機過酸化物またはアゾ系開始剤を挙げることができる。
【0034】
代表的な有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル;メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の字アルキルパーオキサイド;等を挙げることができる。
【0035】
また、代表的なアゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等を挙げることができる。
【0036】
これら重合開始剤は1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、重合開始剤の使用量または使用条件等も特に限定されず、公知の使用量または使用条件で用いればよい。後述する実施例では、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを用いている(表2参照)。
【0037】
本開示においては、(B)硬化性成分として、前述したアクリル樹脂以外に、エポキシ樹脂を好適に用いることができる。具体的なエポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する多価エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0038】
例えば、エピクロルヒドリンと、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン等の多価フェノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールと、を反応させて得られるグリシジルエテールタイプ;エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物と、を反応させて得られるグリシジルアミンタイプ;アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシル化合物と、を反応させて得られるグリシジルエステルタイプ、オレフィンの酸化等から合成される脂環式タイプ等を挙げることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0039】
(B)硬化性成分がエポキシ樹脂であれば、硬化に際して硬化剤が用いられる。本開示において用いられる硬化剤は特に限定されず、前述したエポキシ樹脂を硬化させるものであればよい。
【0040】
具体的な硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水物類;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノエチルアミン、メチルジデシルアミン、メチルジオレイルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第三級アミン類;三フッ化ホウ素エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化ホウ素ピペリジン、酢酸三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン等のフッ化ホウ素を含むルイス酸あるいはその化合物;味の素ファインテクノ株式会社から市販されているアミキュアシリーズPN−23またはMY−24等、富士化成工業株式会社から市販されているフジキュアシリーズFXR−1020またはFXR−1030等のアミンアダクト類;ジシアンジアミド;等が挙げられる。
【0041】
これら硬化剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤の使用量または使用条件等も特に限定されず、公知の使用量または使用条件で用いればよい。
【0042】
本開示においては、(B)硬化性成分として、前述したアクリル樹脂またはエポキシ樹脂以外に、シリコーン樹脂を好適に用いることができる。具体的なシリコーン樹脂は、公知の熱硬化性シリコーン樹脂を挙げることができる。
【0043】
代表的な熱硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、シラン、シリコーンオリゴマー、シリコーン樹脂、オルガノシロキサン、ジオルガノシロキサン、オルガノポリシロキサン、ジオルガノポリシロキサン等の骨格構造を有し、当該骨格構造が一つ以上の反応性官能基を有する構成を挙げることができる。前記骨格構造は直鎖構造であってもよいし分岐鎖を有してもよい。
【0044】
また、反応性官能基としては、前記骨格構造に含まれるケイ素原子に結合する、ヒドロキシ基、アルケニル基、ハイドロジェンシリル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルビノール基、メルカプト基、カルボキシ基、フェノール基等が挙げられるが特に限定されない。また、前記骨格構造には、前記反応性官能基以外に、アルキル基、アルケニル基、芳香族基等の官能基を有してもよい。
【0045】
本開示において(B)硬化性成分として用いられる熱硬化性シリコーン樹脂は、単一種の骨格構造および単一種の反応性官能基を有するものであってもよいし、複数種の骨格構造および複数種の反応性官能基を有するものであってもよい。また、反応性官能基は、前記の通り、一つの骨格構造に一つ以上含まれていればよいが、言い換えれば、1分子のシリコーン樹脂(任意の骨格構造を有する)が少なくとも一つの反応性官能基を有していればよい。なお、反応性官能基は、骨格構造の末端にあってもよいし、側鎖にあってもよいし、末端および側鎖のいずれにあってもよい。
【0046】
なお、本開示においては、(B)硬化性成分として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン樹脂を適宜組み合わせて用いてもよいし、これら以外の熱硬化性樹脂(硬化することで樹脂となる硬化性組成物)を組み合わせて用いてもよい。組合せに際しての混合比(配合比)も特に限定されない。
【0047】
[(C)スペーサー粒子]
本開示に係る導電性接着剤組成物は、前述した(A)導電性粉末および(B)硬化性成分を基本成分として含有し、さらに(C)スペーサー粒子を含有する。この(C)スペーサー粒子は、(A)導電性粉末よりも平均粒径(メジアン径)が大きいものである。
【0048】
(C)スペーサー粒子の平均粒径(メジアン径)は特に限定されないものの、前記の通り、(A)導電性粉末が球状粉であるときの好ましい平均粒径が0.1〜10μmの範囲内であるので、(C)スペーサー粒子の平均粒径は10〜60μmの範囲内であればよい(あるいは10μm超60μm以下であってもよい)。また、(A)導電性粉末がフレーク状粉であるときの好ましい平均粒径が2〜20μmの範囲内であるので、(C)スペーサー粒子の平均粒径は20〜60μmの範囲内であればよい(あるいは20μm超6μm以下であってもよい)。
【0049】
導電性接着剤組成物が硬化して、被着体同士を導電可能に接着する硬化接着層が形成されたときに、当該硬化接着層に求められる具体的な厚みにもよるが、(C)スペーサー粒子の平均粒径の下限は30μm以上であってもよい。したがって、(C)スペーサー粒子の平均粒径の下限は、併用される(A)導電性粉末の平均粒径に応じて適宜設定することができる。
【0050】
一方、(C)スペーサー粒子の平均粒径の上限は60μm以下であることが好ましい。(C)スペーサー粒子の平均粒径が60μmを超えると、導電性接着剤組成物の硬化物である硬化接着層において接着強度が低下する傾向にある。なお、(C)スペーサー粒子の平均粒径の測定方法は特に限定されず、本開示においては、(A)導電性粉末の平均粒径と同様に、後述する実施例で説明するように粒度分布測定装置を用いて測定する方法を採用している。
【0051】
(C)スペーサー粒子の材質は特に限定されず、導電性接着剤組成物が硬化した後にも、硬化接着層が十分な厚みを実現できるような形状安定性を有する材質であればよい。代表的な材質としては、ガラス;ジルコニア(ZrO
2 )、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2 )、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si
3N
4)等のセラミック類;アクリル樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂類;等を挙げることができる。
【0052】
なお、(C)スペーサー粒子として金属を用いることもできるが、(C)スペーサー粒子が金属製である場合、(A)導電性粉末として機能し得ることになる。本開示においては、相対的に(A)導電性粉末の含有量を減少させる組成を実現する必要があるため、(C)スペーサー粒子としては、金属製の粒子ではなく、前記のガラス、セラミック類、樹脂類のような非導電性材料を用いることが好ましい。
【0053】
ただし、導電性接着剤組成物における前記のような諸条件に応じて、硬化接着層の導電性をより良好なものとするために、(C)スペーサー粒子の表面に金属材料を被覆してもよい。このような金属材料としては、(A)導電性粉末の材質で例示したものと同様の金、銀、銅、あるいはこれらの合金等が挙げられる。(C)スペーサー粒子の表面に被覆される金属材料の被覆量(コート量)は特に限定されず、硬化接着層(硬化物)に求められる導電性、被覆に伴うコスト、(C)スペーサー粒子の形状安定性への影響等といった諸条件に応じて適宜設定することができる。
【0054】
後述する実施例では、(C)スペーサー粒子として合計10種類の粒子を用いている。これらのうちスペーサー1(略号C01)、スペーサー7(略号C07)およびスペーサー10(略号C10)がアクリル樹脂製の粒子(アクリル粒子)であり、スペーサー4(略号C04)、スペーサー6(略号C06)、スペーサー8(略号C08)、およびスペーサー9(略号C09)がガラス製の粒子(ガラス粒子)であり、スペーサー5(略号C05)がジルコニア製の粒子(ジルコニア粒子)である。また、スペーサー2(略号C02)およびスペーサー3(略号C03)はいずれも銀コート粒子であり、核となる粒子は、スペーサー2がガラス粒子、スペーサー3がアクリル粒子である。
【0055】
(C)スペーサー粒子の形状は球状であればよい。球状以外の形状を採用することも可能であるが、硬化接着層の厚みをより安定的に実現する観点では球状であることが好ましい。球状以外の形状であれば、(C)スペーサー粒子に長手方向が生じて、硬化接着層内での(C)スペーサー粒子の方向によっては、層の厚みにばらつきが生じるおそれがある。
【0056】
(C)スペーサー粒子のその他の物性も特に限定されないが、(C)スペーサー粒子のCV値(Coefficient of Variation)は30%以下であることが好ましい。CV値は、粒子の粒径分布のばらつきを示す指標であり、数値が小さいほど粒径分布のばらつきが少なく均一性が高いと判断することができる。(C)スペーサー粒子のCV値が30%を超えると、当該(C)スペーサー粒子の粒径分布のばらつきが大きくなり、導電性接着剤組成物の形状保持性が低下する可能性がある。この場合、硬化接着層が想定以上に広がったり硬化接着層の厚みが十分に確保できなかったりするおそれがある。なお、CV値の評価方法も特に限定されず、本開示においては後述する実施例で説明する方法によって評価している。
【0057】
[導電性接着剤組成物の製造および使用]
本開示に係る導電性接着剤組成物の製造方法は特に限定されず、導電性接着剤組成物の分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合(質量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
【0058】
本開示に係る導電性接着剤組成物においては、前記の通り、(A)導電性粉末の配合量(含有量)は、相対的に少ないことが好ましい。具体的には、本開示に係る導電性接着剤組成物は(A)導電性粉末および(B)硬化性成分を基本成分としているが、この基本成分である2成分のうち(A)導電性粉末を基準の100質量部としたときに(B)硬化性成分の含有量の下限値が20質量部以上であればよく、25質量部以上であってもよいし、30質量部以上であってもよいし、35質量部以上であってもよい。
【0059】
(B)硬化性成分の含有量が20質量部未満であると、導電性接着剤組成物において(A)導電性粉末の含有量が相対的に多くなり、言い換えれば(A)導電性粉末の含有量を相対的に減少させたとは言えなくなる。一方、(B)硬化性成分の含有量の上限値は特に限定されず、導電性接着剤組成物における前記のような諸条件に応じて、求められる導電性を実現できる程度に(B)硬化性成分の含有量を多めに設定することができる。
【0060】
本開示に係る導電性接着剤組成物においては、基本成分に対する(C)スペーサー粒子の含有量(配合量)は、基本成分の総量((A)導電性粉末および(B)硬化性成分の総量)を100質量部としたときに、0.01質量部以上30質量部以下(0.01〜30質量部)の範囲内であればよい。
【0061】
(C)スペーサー粒子の含有量が0.01質量部未満であると、(C)スペーサー粒子を配合することによる作用効果(硬化接着層における良好な形状保持性および良好な接着強度の実現)が十分に得られない可能性がある。また、(C)スペーサー粒子の含有量が30質量部を超えると、配合量に見合った作用効果が得られないだけでなく、(C)スペーサー粒子が多くなりすぎて硬化接着層の接着強度が低下する可能性がある。
【0062】
なお、本開示に係る導電性接着剤組成物においては、必要に応じて、前述した各成分((A)導電性粉末、(B)硬化性成分、(C)スペーサー粒子以外に、導電性接着剤組成物の分野で公知の各種添加剤を含有してもよい。当該添加剤としては特に限定されないが、具体的には、例えば、溶剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、粘度調整剤等を挙げることができる。これら添加剤は本開示の作用効果を妨げない範囲において添加することができる。
【0063】
また、本開示に係る導電性接着剤組成物により硬化接着層となるパターンを形成する方法は特に限定されず、公知の種々の形成方法を好適に用いることができる。代表的には、後述する実施例に示すように、スクリーン印刷法が挙げられ、グラビア印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ディスペンサー法、ディップ法等の印刷法も適用することができる。したがって、本開示に係る導電性接着剤組成物は、基材上に印刷機またはディスペンサーにより塗布して用いることができるものであればよい。
【0064】
本開示に係る導電性接着剤組成物は、高精細な電極や配線等の形成または電子部品の接着等に広く利用することができる。具体的には、例えば、太陽電池セルの集電電極;チップ型電子部品の内部電極または外部電極;RFID(Radio Frequency IDentification)、電磁波シールド、振動子接着、メンブレンスイッチ、タッチパネル、またはエレクトロルミネセンス等に用いられる部品の電極または配線または接着;等の用途に好適に用いることができる。
【0065】
本開示に係る導電性接着剤組成物は、前述した用途の中でも、特に太陽電池の分野に好適に適用することができる。具体的には、本開示に係る導電性接着剤組成物は、例えば、太陽電池モジュールの接着に好適に用いることができる。
【0066】
図3(B)に示すように、従来では、太陽電池モジュール30は、複数の太陽電池セル31の間をインターコネクタ32と呼ばれるリボン状の配線部材で接続する構成が一般的である。これに対して、近年では、
図3(A)に示すように、任意の太陽電池セル21の長辺下面が他の太陽電池セル21の長辺上面に重なるように、複数の太陽電池セル21を部分的に順次重ねて傾斜配置する構成の太陽電池モジュール20も提案されている。このような太陽電池モジュール20では、太陽電池セル21の同士の接続に、インターコネクタ32の代わりに導電性接着剤を用いる。
【0067】
ここで、太陽電池セル21の長辺同士を接着するときに、導電性接着剤が接着領域から広がってはみ出すと、太陽電池モジュール20に短絡等の不具合が生じるおそれがある。また、導電性接着剤の硬化物(硬化接着層22)の厚みが十分に確保されないと、太陽電池セル21を貼り合わせる際にその傾斜角が適切に調整できないおそれがある。
【0068】
本開示に係る導電性接着剤組成物は、前記の通り、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分に加えて(C)スペーサー粒子を含有している。これにより、硬化後の硬化接着層において良好な厚みを確保できるだけでなく、硬化接着層22が接着領域から広がってはみ出す可能性を有効に抑制することができる。
【0069】
硬化接着層22の厚みが維持できずに大幅に広がると、被着体から硬化接着層22がはみ出すため外観不良を招く。さらに、硬化接着層22のはみ出しを防止するために導電性接着剤の量を減少させると硬化接着層22に十分な特性(接着強度、導電性、信頼性等)が得られないおそれがある。本開示によれば、(C)スペーサー粒子が適切な量で配合されることによって、硬化接着層22は、良好な厚みを実現できるだけでなくはみ出しを抑制できるという、良好な形状保持性を実現することができる。そのため、外観不良を抑制するとともに硬化接着層が良好な特性を実現することもできる。
【0070】
しかも、本開示に係る導電性接着剤組成物では、(C)スペーサー粒子を適切に含有することで、硬化接着層22は、良好な導電性を確保しつつ良好な接着強度も実現することができる。したがって、本開示に係る導電性接着剤組成物は、特に
図3(A)に示すような太陽電池モジュール20の製造に良好に適用することができる。
【実施例】
【0071】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における物性等の測定・評価は次に示すようにして実施した。
【0072】
[導電性粉末およびスペーサー粒子の評価方法]
(1)メジアン径
(A)導電性状粉末または(C)スペーサー粒子のメジアン径はレーザー回折法により評価した。(A)導電性状粉末または(C)スペーサー粒子の試料0.3gを50mlビーカーに秤量し、イソプロピルアルコール30mlを加えた後、超音波洗浄器(アズワン株式会社製USM−1)により5分間処理することで分散させ、粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300EXII)を用いて、メジアン径を測定して評価した。
【0073】
(2)CV値
前記の方法で得られた(C)スペーサー粒子のメジアン径を用いて、当該(C)スペーサー粒子の粒径の標準偏差をメジアン径で除算することにより、CV値(Coefficient of Variation)を算出した。
【0074】
[導電性接着剤組成物の貼り付け後の形状評価]
実施例または比較例の導電性接着剤組成物を、直径60μm、高さ200μmになるようにディスペンサーを用いてアルミナ基板上に塗布し、この上から重さ5gのガラス基板を積層した。この基板積層体を、ホットプレートを用いて150℃で30秒間加熱し、導電性接着剤組成物を硬化させた(硬化接着層の形成)。これにより、貼り付け後の形状評価用の試験片を得た。
【0075】
この試験片のガラス基板側の面から硬化接着層の広がりを光学式の測定顕微鏡で測定した。硬化接着層の直径が900μm未満の場合を「○」、900μm以上の場合を「×」として評価した。また、硬化接着層の厚みを光学式の測定顕微鏡で測定した。硬化接着層の厚みが50μm以上の場合を「〇」、30μm以上50μm未満の場合を「△」、30μm未満の場合を「×」として評価した。
【0076】
[導電性接着剤組成物の導電性および接着強度の評価]
実施例または比較例の導電性接着剤組成物を、
図1に示すように、印刷機を用いてアルミナ基板12上に印刷パターン11を印刷した。この印刷パターン11は、1つの配線パターン11aと5つのパッドパターン11dとで構成されている。配線パターン11aは、両端にそれぞれ矩形状の端子11bを有し配線部11cがつづら折り状となっており、配線部11cのアスペクト比は75である。5つのパッドパターン11dは、この配線パターン11aに隣接して一列に並んで配置され、それぞれが2mm×2mmの正方形状となっている。
【0077】
次に、
図2に示すように、アルミナ基板12上のパッドパターン11d(2mm×2mm)の上に直径4mmの円形の固定面を有するアルミニウム製のリベット13を載置した。リベット13を載置したアルミナ基板12を、ホットプレートを用いて150℃で30秒間加熱することにより、導電性接着剤組成物(印刷パターン11)を硬化させた(硬化接着層の形成)、導電性および接着強度評価用の試験片を得た。
【0078】
硬化接着層の導電性は配線パターン11aの体積抵抗率により評価した。具体的には、配線パターン11aの膜厚を表面粗さ計(株式会社東京精密製サーフコム480A)で、電気抵抗をデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製R6551)で測定し、それら膜厚と電気抵抗と配線部11cのアスペクト比に基づいて、配線パターン11aの体積抵抗率(Ω・cm)を算出し、この体積抵抗率を硬化接着層の抵抗値として評価した。
【0079】
硬化接着層の接着強度はパッドパターン11dに対するリベット13の接着性により評価した。具体的には、パッドパターン11d上に実装したリベット13に対して水平方向に剪断力を加え、パッドパターン11dからリベット13が脱離するときの強度を測定した。強度が15MPaの場合を「〇」、5MPa以上15MPa未満の場合を「△」、5MPa未満の場合を「×」として、硬化接着層の接着強度を評価した。
【0080】
[(A)導電性粉末、(B)硬化性成分および(C)スペーサー粒子]
以下の実施例または比較例では、(A)導電性粉末として、下記表1に示す3種類のうち2種の粉末を用いた。なお、下記表1並びに表2および表3の略号は、実施例または比較例の成分を表4〜表8において示すために用いている。
【0081】
【表1】
また、以下の実施例または比較例では、(B)硬化性成分として、下記表2に示す3種類のアクリル系化合物を組み合わせて用いた。なお、(B)硬化性成分の重合開始剤としては、下記表3に示すものを用いた。
【0082】
【表2】
また、以下の実施例または比較例では、(C)スペーサー粒子として、下記表3に示す10種類のいずれかを用いた。
【0083】
【表3】
(実施例1)
表4に示すように、(A)導電性粉末として、表1に示す球状の銀粉1(略号A1)およびフレーク状の銀粉2(略号A2)を用い、(B)硬化性成分として、表2に示す樹脂1(略号B1)、樹脂2(略号B2)および樹脂3(略号B3)を用い、これらを表4に示す配合量(質量部)となるよう配合し、これら各成分を3本ロールミルで混練した。混練後、(C)スペーサー粒子として、表3に示すスペーサー1(略号C01)を用い、このスペーサー1を表4に示す配合量(質量部)で配合し、自転公転式撹拌機で混合した。これにより、実施例1の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0084】
得られた導電性接着剤組成物について、前記の通り、貼り付け後の形状評価用の試験片と、導電性および接着強度評価用の試験片とを作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表4に示す。なお、表4(並びに表5〜表8)では、硬化接着層の広がりを「接着層広がり」と記載し、硬化接着層の厚みを「接着層厚み」と記載し、体積抵抗率を「抵抗値」と記載している。
【0085】
(実施例2〜4)
表4に示すように、(C)スペーサー粒子の種類(表3参照)または配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0086】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表4に示す。
【0087】
【表4】
(実施例5〜8)
表5に示すように、(C)スペーサー粒子の種類(表3参照)または配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5〜8の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0088】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表5に示す。
【0089】
【表5】
(実施例9〜13)
表6に示すように、(A)導電性粉末の種類(表1参照)または配合量、(B)硬化性成分の配合量、並びに(C)スペーサー粒子の種類(表3参照)または配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜13の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0090】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表6に示す。
【0091】
【表6】
(比較例1,2)
表7に示すように、(C)スペーサー粒子の配合量を過剰(比較例1)または過少(比較例2)となるように変更した以外は、実施例2((C)スペーサー粒子がスペーサー2(略号C02)の実施例)と同様にして、比較例1または比較例2の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0092】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表7に示す。
【0093】
(比較例3,4)
表7に示すように、(C)スペーサー粒子として、表3に示すスペーサー7(略号C07)を用いて表7に示す配合量で配合するか(比較例3)、表3に示すスペーサー8(略号C08)を用いて表7に示す配合量で配合した(比較例4)以外は、実施例1と同様にして、比較例3または比較例4の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0094】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表4に示す。
【0095】
【表7】
(比較例5,6)
表8に示すように、(C)スペーサー粒子として、表3に示すスペーサー9(略号C09)を用いて表8に示す配合量で配合するか(比較例5)、表3に示すスペーサー10(略号C10)を用いて表8に示す配合量で配合した(比較例6)以外は、実施例1と同様にして、比較例5または比較例6の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0096】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表8に示す。
【0097】
(比較例7,8)
表8に示すように、(C)スペーサー粒子を用いないで(A)導電性粉末の配合量および(B)硬化性成分の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例7または比較例8の導電性接着剤組成物を調製(製造)した。
【0098】
得られたそれぞれの導電性接着剤組成物について、前記の通り、2種類の試験片を作製し、これら試験片により硬化接着層(導電性接着剤組成物)の広がり、厚み、接着強度、および体積抵抗率を評価した。その結果を表8に示す。
【0099】
【表8】
(実施例および比較例の対比)
実施例1〜13の結果と比較例7,8の結果の対比から明らかなように、本開示に係る導電性接着剤組成物であれば、(C)スペーサー粒子を適切に含有することにより、導電性を良好に保持しつつ良好な形状保持性(広がりにくく良好な厚みを実現できる)と良好な接着強度を実現することができる。
【0100】
比較例7のように、(A)導電性粉末の含有量を大幅に増加させると、形状保持性のうち硬化接着層の広がりについては良好に抑制できるが、硬化接着層の厚みについては、(C)スペーサー粒子を適切に含有する場合と比較すれば不十分となる可能性がある。さらに、比較例8のように、(A)導電性粉末の含有量を少しでも減少させると、良好な接着強度は実現できるものの形状保持性が(硬化接着層の広がりおよび厚みのいずれも)大幅に低下する。本開示に係る導電性接着剤組成物においては、(C)スペーサー粒子の適切な含有によって、(A)導電性粉末を増加させた場合(比較例7)と同程度がそれ以上に良好な形状保持性を実現することができる。
【0101】
これに対して、比較例1,2の結果から明らかなように、(C)スペーサー粒子の含有量が多くなりすぎると、形状保持性は実現可能であるものの適切な接着強度を実現できなくなる。(C)スペーサー粒子の含有量が少なすぎると、良好な接着強度を実現できるものの適切な形状保持性を実現できなくなる。
【0102】
また、比較例3〜6の結果から明らかなように、(C)スペーサー粒子のCV値が大き過ぎる場合、(C)スペーサー粒子の平均粒径が小さすぎるか大きすぎる場合には、形状保持性および接着強度の両立を図ることができなくなる。
【0103】
このように、本開示に係る導電性接着剤組成物は、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分を含有し、(A)導電性粉末を100質量部としたときに(B)硬化性成分の含有量が20質量部以上であり、さらに、(A)導電性粉末よりも平均粒径(メジアン径)が大きい(C)スペーサー粒子を含有し、(C)スペーサー粒子の平均粒径(メジアン径)が10〜60μmの範囲内であるとともに、(C)スペーサー粒子のCV値が30%以下であり、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分の合計量を100質量部としたときに、(C)スペーサー粒子の含有量が0.01質量部以上30質量部以下である構成である。
【0104】
このような構成によれば、導電性接着剤組成物における(A)導電性粉末の含有量を相対的に減少させたときに、(A)導電性粉末とは別に当該(A)導電性粉末よりも平均粒径が大きい(C)スペーサー粒子を所定範囲内で含有させている。これにより、(A)導電性粉末の減少に由来して導電性接着剤組成物の粘度特性等が変化しても、(C)スペーサー粒子により当該導電性接着剤組成物を硬化させたときに硬化接着層が良好な厚みを実現することができる。
【0105】
しかも、このような構成によれば、導電性接着剤組成物を塗布したときに、硬化接着層が良好な厚みを実現できることに加え硬化接着層が大幅に広がることを抑制することができる。これにより、硬化接着層が良好な形状保持性を実現することができる。それゆえ、(A)導電性粉末の配合量を相対的に減少させても、良好な形状保持性を実現しながら良好な接着強度を実現することができるので、外観不良を抑制するとともに硬化接着層が良好な特性を実現することもできる。
【0106】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【課題】 導電性粉末の配合量を相対的に減少させたときに、被着体の間で良好な厚みを実現しながら良好な接着強度を実現することが可能な、導電性接着剤組成物を提供する。
【解決手段】 導電性接着剤組成物は、(A)導電性粉末および(B)硬化性成分を含有し、(A)導電性粉末を100質量部としたときに(B)硬化性成分の含有量が20質量部以上であり、さらに(A)導電性粉末よりも平均粒径(メジアン径)が大きい(C)スペーサー粒子を含有する。(C)スペーサー粒子の平均粒径(メジアン径)が10〜60μmの範囲内であるとともに、前記(C)スペーサー粒子のCV値が30%以下である。(A)導電性粉末および(B)硬化性成分の合計量を100質量部としたときに、(C)スペーサー粒子の含有量が0.01質量部以上30質量部以下である。