(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導風ダクトは、前記排気口に接続され且つ前記走行風を車体下方に導くように延設された内壁を含み、前記熱交換器は、該内壁の延設方向と平行な方向で見たときに前記排気口と重なって位置している
ことを特徴とする請求項7記載の鞍乗型電動車両。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、各図は、実施形態の構造ないし構成を示す模式図であり、図示された各部材の寸法は必ずしも現実のものを反映するものではない。また、各図において同一の要素には同一の参照番号を付しており、本明細書において重複する内容については説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る鞍乗型電動車両1の左側面図である。また、
図2は、鞍乗型電動車両1の内部構造を外形と共に示す。図中には、構造の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す(後述の他の図においても同様とする。)。X方向は車体前後方向に対応し、Y方向は車幅方向ないし車体左右方向に対応し、また、Z方向は車体上下方向に対応する。本明細書において、前/後、左/右(側方)、上/下等の表現は、車体を基準とした相対的な位置関係を示す。例えば、「前」、「前方」等の表現は+X方向に対応し、「後」、「後方」等の表現は−X方向に対応する。同様に、車幅方向内側(車内側)/車幅方向外側(車外側)等の表現についても車体を基準とする相対的な位置関係を示す。
【0011】
鞍乗型電動車両1は、本実施形態では、ライダー(運転者)が車体100を跨いで乗車可能な自動二輪車であり、前輪101および後輪102を備える。車体100上には、ライダーが着座可能なシート103が設けられる。また、鞍乗型電動車両1は、車体100内において、ヘッドパイプ104、メインフレーム105、ダウンフレーム106、シートレール107、ピボットフレーム108、及び、スイングアーム109を更に備える。
図1及び
図2は左側面図であるため示されていないが、メインフレーム105、ダウンフレーム106、シートレール107、ピボットフレーム108、及び、スイングアーム109は、それぞれ左右一対設けられる。尚、上記フレーム105〜108は、まとめて車体フレーム等と表現されてもよい。
【0012】
ヘッドパイプ104は、車体100前方においてハンドルバーを回動可能に支持して配置され、ライダーは、このハンドルバーを回動させることでフロントフォークを介して前輪101の向きを変えて操舵操作を行うことができる。
【0013】
左右一対のメインフレーム105は、ヘッドパイプ104から互いに左右に離間しながら車体前後方向に延設される。本実施形態では、メインフレーム105は、上側フレーム部1051および下側フレーム部1052を含む。上側フレーム部1051と下側フレーム部1052との間にはトラスフレーム等の不図示の補強材が架設されていてもよく、それによりメインフレーム105の強度を向上可能となる。本実施形態では、下側フレーム部1052の前方部からダウンフレーム106が下後方に向かって延設される。
【0014】
シートレール107は、メインフレーム105の後方部から後方に向かって延設され、シート103に加わる荷重を支持する。本実施形態では、シートレール107は、上側フレーム部1071および下側フレーム部1072を含む。上側フレーム部1071と下側フレーム部1072との間にはトラスフレーム等の不図示の補強材が架設されていてもよく、それによりシートレール107の強度を向上可能となる。
【0015】
ピボットフレーム108は、メインフレーム105の後方部から下方に向かって延設され、スイングアーム109は、このピボットフレーム108に支持されると共に後輪102を揺動可能に支持する。
【0016】
鞍乗型電動車両1は、バッテリ110、パワーユニット111、及び、制御装置112を更に備える。バッテリ110には、充電可能な二次電池が用いられ、その例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等が挙げられる。パワーユニット111は、バッテリ110の電力に基づいて動力(回転)を発生する。パワーユニット111には、三相誘導モータ等の電動モータが用いられる。尚、パワーユニット111は、モータユニット等と表現されてもよい。
【0017】
制御装置112は、直流電圧を交流電圧に変換する機能を備えてPDU(パワードライブユニット)等とも称され、或いは、交流電圧を直流電圧に変換する機能、電圧レベルを変換する機能等を更に備えてPCU(パワーコントロールユニット)等とも称される。例えば、制御装置112は、バッテリ110の電力を所定の態様に変換してパワーユニット111に供給し、パワーユニット111を制御する。また、制御装置112は、パワーユニット111の回生制動により発生した電力を用いてバッテリ110を充電することも可能である。
【0018】
バッテリ110は、平面視において(−Z方向での視点において)左右一対のメインフレーム105の間の空間に配置され、また、側面視において(±Y方向での視点において)はメインフレーム105と重なって配置される。バッテリ110は、メインフレーム105に対して直接的あるいは間接的に支持され、本実施形態では、左右一対のメインフレーム105の間において、ダウンフレーム106の下方部でハンガ113により固定される。
【0019】
パワーユニット111は、平面視において左右一対のメインフレーム105の間の空間に配置され、本実施形態では、車体100下方においてピボットフレーム108に対して所定のマウント部114を介して固定される。これにより、パワーユニット111は、動力を後輪102に適切に伝達可能な位置に固定され、該動力は例えばチェーンを介して後輪102に伝達される。
【0020】
制御装置112は、シートレール107に対して固定され、本実施形態では下側フレーム部1072と上側フレーム部1071との間に配置され、これにより、制御装置112を外部衝撃から保護可能にしている。また、制御装置112は、バッテリ110の後方かつパワーユニット111の上方に位置するため、バッテリ110の電力をパワーユニット111に供給するのに用いられる配線部(ワイヤハーネス)を比較的短くすることが可能である。
【0021】
図3は、車体100の一部についての正面図である。また、
図4は、車体100の一部について上面図である。車体100上面には充電用端子部116が設けられ、この端子部116に充電用プラグを接続することでバッテリ110を充電することができる。また、鞍乗型電動車両1は左右一対の吸気口117を更に備え、車体100はヘッドパイプ104の両側方において該左右一対の吸気口117を形成するように前方に延出して形成される。この吸気口117により走行風が後述の導風ダクト118に取り込まれる。吸気口117には、異物(例えば雨水、飛石など)が入り込むのを防ぐようにメッシュシート等が設けられてもよい。
【0022】
図5は、
図4の線d1−d1における断面図である。鞍乗型電動車両1は、車体100内において導風ダクト118を更に備える。導風ダクト118は、吸気口117から取り込まれた走行風を所定方向に導く。本実施形態では、吸気口117は、平面視において、メインフレーム105より車幅方向外側に設けられる。これにより、走行風の取込量を大きくすることが可能となる。また、導風ダクト118は、平面視において、バッテリ110の上方から左右一対のメインフレーム105より車幅方向外側に亘って設けられる。これにより、バッテリ110の車幅方向のサイズを大きくしてバッテリ110を大容量化することが可能となる。但し、車体100内における車両構成部品の配置の変更に伴い、メインフレーム105に対する吸気口117および導風ダクト118の相対位置は変更されてもよい。尚、理解の容易化のため、走行風は図中において矢印で示される。
【0023】
ここで、導風ダクト118を形成する内壁のうち車幅方向内側の部分(以下、内側内壁)1181は、吸気口117からバッテリ110の前方面まで延設される。内側内壁1181には、メインフレーム105を挿通させるように挿通孔1181OPが設けられる。図中において、内側内壁1181のうち、挿通孔1181OPより前方側の部分を内側内壁前方部1181aとし、挿通孔1181OPより後方側の部分を内側内壁後方部1181bとする。内側内壁前方部1181aは、メインフレーム105から離間するように車体外側に向かって反るように湾曲している。内側内壁後方部1181bは、メインフレーム105から離間するように車体内側に向かって反るように湾曲している。尚、内側内壁1181は、2以上の部材を組み付けて形成されてもよい。
【0024】
図6は、導風ダクト118を説明するための鞍乗型電動車両1の左側面図である。導風ダクト118は、吸気口117から取り込まれて車体後方に向かって流れた走行風を車体下方に導くように、車体下方に向かって湾曲して延設されたガイド部1182を含む。このような構成により、走行風は、メインフレーム105を通過してバッテリ110の上方または側方を通過した後、バッテリ110の後方においてガイド部1182により車体下方に導かれる。
【0025】
導風ダクト118は、ガイド部1182から車体後方に向かって陥凹した陥凹部1183を更に含む。陥凹部1183は側面視においてシートレール107(
図2参照)と重なる位置に設けられ、前述の制御装置112は、この陥凹部1183に配置される。換言すると、陥凹部1183は、走行風の少なくとも一部が制御装置112に導かれるように、導風ダクト118の内壁が車体後方に向かって陥凹して成る。
【0026】
本実施形態では、制御装置112の上面には放熱用フィン112fが設けられ、陥凹部1183に導かれた走行風により制御装置112を冷却可能となっている。ここでは不図示とするが、制御装置112の下面にも他の放熱用フィンが設けられてもよく、該フィンは、車体100外側まで、例えばリアフェンダに近接するように、延出していてもよい。
【0027】
鞍乗型電動車両1は、走行風を排気するための排気口119を更に備える。排気口119は、本実施形態では車体下部に設けられ、パワーユニット111とピボットフレーム108との間において走行風を車体下方に排気可能に設けられる。即ち、
図6において一点鎖線の矢印で示されるように、吸気口117から取り込まれた走行風は、導風ダクト118に導かれてメインフレーム105を通過してバッテリ110の上方または側方を通過した後、上記ガイド部1182により車体下方に向かって導かれ、そして、この排気口119から排気される。鞍乗型電動車両1の走行時においては、
図6において二点鎖線の矢印で示されるように、車体下方には他の走行風が通過して、道路等の走行面と車体100との間には負圧が発生する。そのため、上記走行風は、導風ダクト118内に滞留することなく適切に車体下方に排気される。
【0028】
ここで、導風ダクト118において、上述の陥凹部1183の下方には、内壁(内壁後方部)1184が、走行風を車体下方に導くように排気口119に向かって延設される。そのため、陥凹部1183内の空気も陥凹部1183内に滞留することなく上記負圧によって車体下方に適切に排気される。尚、
図1に示されるように車体側方部はサイドカバー130で覆われており、上記走行風は導風ダクト118から漏れることなく車体下方に導かれる。
【0029】
図7は、鞍乗型電動車両1の車体下部構造、主に排気口119を形成する構造、を示す左側面図である。左右一対のピボットフレーム108には、それらの後方縁部に沿って背面板108Aが跨設され、よって、左右一対のピボットフレーム108および背面板108Aは平面視でU字状を形成する。排気口119は、前方にパワーユニット111が位置し、側方にはピボットフレーム108が位置し、かつ、後方に背面板108Aが位置することで、それらに取り囲まれて形成されている。尚、背面板108Aは、上述の内壁1184の下端部を形成する。このような構成により、本実施形態では、排気口119は、鞍乗型電動車両1の車体下面にパワーユニット111と略同じ高さに設けられ、走行風を車体下部から車体下方に排気可能となっている。
【0030】
また、本実施形態によれば、パワーユニット111のハウジングそのものが排気口119の一部を形成する。そのため、上記排気される走行風はパワーユニット111にダイレクトに当たることとなり、これにより、パワーユニット111のハウジングを冷却し、それに伴ってパワーユニット111内部を冷却することが可能となる。
【0031】
再び
図6を参照すると、鞍乗型電動車両1は熱交換器120を更に備える。熱交換器120は、例えばメインフレーム105に対して固定ないし設置される。本実施形態では、パワーユニット111は、その内部を冷却媒体が循環して冷却可能に構成され、熱交換器120は、冷却媒体の流路を形成する配管P
1を介して、パワーユニット111と接続される。本実施形態では、パワーユニット111の下部には、冷却媒体を貯留する冷却媒体貯留部1111が設けられ、熱交換器120は配管P
1を介して冷却媒体貯留部1111と接続される。
【0032】
上記冷却媒体としては水、オイル等の液体が用いられる。冷却媒体として水を用いる場合(いわゆる水冷の場合)、例えば、熱交換器120および配管P
1としてヒートシンクおよびヒートパイプがそれぞれ用いられてもよい。他の例として、熱交換器120としてラジエータが用いられ、付随的にウォータポンプ、リザーバタンク等が更に用いられてもよい。この場合、配管P
1はウォータジャケット等とも称される。また、冷却媒体としてオイルを用いる場合(いわゆる油冷の場合)、熱交換器120にはオイルクーラが用いられ、付随的にオイルポンプ等が更に用いられてもよい。この場合、配管P
1はオイル路等とも称され、冷却媒体貯留部1111はオイルパン等とも称される。
【0033】
本実施形態では、熱交換器120は、導風ダクト118内において内壁1184の前方かつパワーユニット111の上方に位置し、鞍乗型電動車両1の走行時においては、熱交換器120は、ガイド部1182及び内壁1184により導かれた走行風に当てられる。パワーユニット111において熱を帯びた冷却媒体は、配管P
1を介して熱交換器120に到達した後、この熱交換器120において上記走行風により冷却(熱交換)された後、冷却媒体貯留部1111に戻ることとなる。これにより、パワーユニット111は適切に冷却される。
【0034】
熱交換器120は、少なくとも、導風ダクト118内における走行風の排気口119までの経路上、特に導風ダクト118内での風量が比較的大きい位置、に配置されればよい。好適には、熱交換器120は、内壁1184(或いは背面板108A)の延設方向と平行な方向で見たときに排気口119と重なって位置するとよい。これにより、走行風を熱交換器120に当てて冷却媒体を適切に冷却可能となる。
【0035】
熱交換器120の固定姿勢は、冷却媒体の熱交換の態様に基づいて決められればよい。例えば熱交換器120がラジエータあるいはオイルクーラの場合、熱交換器120は、その面方向と走行風の向きとが交差するように、内壁1184の延設方向と交差した姿勢で固定されるとよい。また、例えば熱交換器120がヒートシンクの場合、熱交換器120は、走行風が通過し易い姿勢となるように、内壁1184の延設方向と平行な姿勢で固定されるとよい。これらの態様によれば、熱交換器120の熱交換効率を向上させて冷却媒体を適切に冷却可能となる。
【0036】
再び
図5を参照すると、本実施形態では、バッテリ110は、その上面に走行風が当たるように支持される。そして、
図6に示されるように、バッテリ110にはヒートパイプP
2が設けられ、また、バッテリ110の上面にはヒートシンク110fが設けられる。ヒートパイプP
2は、車体上下方向に延設されてバッテリ110に接続され、本実施形態ではバッテリ110内に設けられる。ヒートシンク110fは複数のフィンで形成され、各フィンは車体前後方向に延設されると共にヒートパイプP
2に接続される。このような構成により、走行風がバッテリ110の上方を通過する際、バッテリ110を冷却可能となっている。
【0037】
本実施形態では走行風はバッテリ110の側方面も通過するため、該側方面には付随的に放熱用フィンが設けられてもよい。バッテリ110の上方および側方を通過した走行風は、バッテリ110の後方において合流し、ガイド部1182により車体下方に導かれることとなる。
【0038】
再び
図3を参照すると、鞍乗型電動車両1は左右一対の送風用ファン121を更に備える。送風用ファン121は、車体100前方において吸気口117と並設される。鞍乗型電動車両1の走行時においては、走行風が吸気口117により導風ダクト118に取り込まれる。一方、非走行時(例えば渋滞等により停車している間)には走行風が発生しないため、送風用ファン121を駆動して送風することで導風ダクト118内に気流を発生させる。これにより、非走行時においてもバッテリ110、パワーユニット111および制御装置112を適切に冷却可能となる。
【0039】
上記左右一対の送風用ファン121はヘッドパイプ104より車幅方向外側にそれぞれ設けられる。ここで、送風用ファン121は、吸気口117より車幅方向内側に設けられる。走行時の導風ダクト118内の風量は吸気口117による走行風の取込量に従うのに対して、非走行時の送風量は送風用ファン121の駆動力に従う。そのため、吸気口117は送風用ファン121より車幅方向外側に位置するとよい。尚、送風用ファン121は、走行時および非走行時の何れにおいても駆動されるとよく、それにより走行時においては空気抵抗を低減することも可能となる。
【0040】
本実施形態によれば、平面視においてバッテリ110およびパワーユニット111が配置された左右一対のメインフレーム105の間の空間に導風ダクト118により走行風を導くように構成され、該走行風は車体下部に設けられた排気口119から排気される。本実施形態では、排気口119は、パワーユニット111とピボットフレーム108との間において走行風を車体下方に排気可能に設けられる。前述のとおり、鞍乗型電動車両1の走行時においては、道路等の走行面と車体100との間には負圧が発生する。そのため、導風ダクト118内で熱を帯びた空気は導風ダクト118内に滞留することなく適切に車体下方に排気され、これにより走行風による冷却性能を高めることが可能となる。
【0041】
排気口119は、導風ダクト118内の走行風を車体下部から車体下方に排気可能に設けられればよく、上述の実施形態の例に限られるものではない。例えば他の実施形態として、排気口119に代替して/排気口119に加えて、他の排気口が設けられてもよい。
【0042】
図8Aは、他の実施形態として、排気口119に加えて他の排気口119’が更に設けられた車体下部構造の左側面図である。また、
図8Bは、該車体下部構造の正面図である。排気口119’は、左右一対のピボットフレーム108に跨設された背面板108A(
図7参照)に、開口を設けることで形成される。
【0043】
鞍乗型電動車両1の走行時においては、走行面と車体100との間に負圧が発生すると共に、車体100後方にも負圧が発生する。そのため、上記構造によれば、導風ダクト118内を通った走行風の一部は、パワーユニット111に当たった後、排気口119’から車体下後方に排気されることとなる。よって、上記構造によっても、導風ダクト118内で熱を帯びた空気は導風ダクト118内に滞留することなく適切に車体下方に排気され、走行風による冷却性能を高めることが可能となる。
【0044】
以上では幾つかの好適な態様を例示したが、本発明はこれらの例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その一部が変更されてもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。
【0045】
例えば、鞍乗型車両は運転者が車体を跨いで乗車する型のものを指し、その概念には、自動二輪車(スクータ型車両を含む。)の他、三輪(前一輪且つ後二輪、又は、前二輪且つ後一輪の車両)の車両等も含まれる。
【0046】
上述の実施形態の特徴を以下にまとめる:
第1の態様は鞍乗型電動車両(例えば1)に係り、前記鞍乗型電動車両は、車体前後方向に延設された左右一対のメインフレーム(例えば105)と、前記左右一対のメインフレームの其々の後方部から後方に向かって延設されたシートレール(例えば107)と、前記左右一対のメインフレームの其々の後方部から下方に向かって延設されたピボットフレーム(例えば108)と、前記ピボットフレームに支持され、後輪(例えば102)を揺動可能に支持するスイングアーム(例えば109)と、平面視における前記左右一対のメインフレームの間の空間に配置されたバッテリ(例えば110)と、平面視における前記空間に配置され、前記バッテリの電力に基づいて動力を発生するパワーユニット(例えば111)と、前記空間に走行風を導くための導風ダクト(例えば118)と、前記走行風を排気するための排気口(例えば119)と、を備え、前記排気口は、前記導風ダクト内の前記走行風を車体下部より車体下方に排気可能に設けられている。
【0047】
第1の態様によれば、熱を帯びた空気は、導風ダクト内に滞留することなく、車体下方の負圧によって適切に排気され、これにより走行風による冷却性能を高めることが可能となる。
【0048】
第2の態様では、前記パワーユニットは前記ピボットフレームの前方において支持されており、前記排気口は、前記パワーユニットと前記ピボットフレームとの間に設けられている。
【0049】
第2の態様によれば、比較的簡素な構成で車体下方に排気可能な排気口を形成可能となる。
【0050】
第3の態様では、前記パワーユニットは、平面視における前記空間において、前記ピボットフレームに対して固定されている。
【0051】
第3の態様によれば、車輪に動力を適切に伝達可能な位置にパワーユニットを固定可能となる。
【0052】
第4の態様では、前記導風ダクトは、前記走行風が車体下方に導かれるように車体上下方向に延設されたガイド部(例えば1182)を含む。
【0053】
第4の態様によれば、車体上部で取り込まれた走行風を車体下方に配されたパワーユニットに適切に導くことが可能となる。
【0054】
第5の態様では、前記バッテリの電力を前記パワーユニットに供給して前記パワーユニットを制御する制御装置(例えば112)を更に備え、前記制御装置は、前記シートレールに対して固定されている。
【0055】
第5の態様によれば、制御装置(PCU、PDU)を外部からの衝撃等から適切に保護可能な位置に配置することができる。
【0056】
第6の態様では、前記導風ダクトは、前記走行風の少なくとも一部が前記制御装置に導かれるように車体後方に陥凹した陥凹部(例えば1183)を含む。
【0057】
第6の態様によれば、制御装置を適切に冷却することが可能となる。
【0058】
第7の態様では、前記パワーユニットは、その内部を冷却媒体が循環して冷却可能に構成され、前記鞍乗型電動車両は、前記冷却媒体の流路を形成する配管(例えばP
1)を介して前記パワーユニットと接続された熱交換器(例えば120)を更に備えており、前記熱交換器は、前記導風ダクト内における前記走行風の前記排気口までの経路上に位置している。
【0059】
第7の態様によれば、導風ダクトにより導かれた走行風を熱交換器に当てることが可能となり、これによりパワーユニットを適切に冷却可能となる。
【0060】
第8の態様では、前記導風ダクトは、前記排気口に接続され且つ前記走行風を車体下方に導くように延設された内壁(例えば1184)を含み、前記熱交換器は、該内壁の延設方向と平行な方向で見たときに前記排気口と重なって位置している。
【0061】
第8の態様によれば、走行風を適切に熱交換器に当てることが可能となる。
【0062】
第9の態様では、前記熱交換器はラジエータであり、前記導風ダクトは、前記排気口に接続され且つ前記走行風を車体下方に導くように延設された内壁(例えば1184)を含み、前記熱交換器は、該内壁の延設方向と交差した姿勢で固定されている。
【0063】
第9の態様によれば、熱交換器での放熱効果を向上させることができる。
【0064】
第10の態様では、前記熱交換器はオイルクーラであり、前記導風ダクトは、前記排気口に接続され且つ前記走行風を車体下方に導くように延設された内壁(例えば1184)を含み、前記熱交換器は、該内壁の延設方向と交差した姿勢で固定されている。
【0065】
第10の態様によれば、熱交換器での放熱効果を向上させることができる。
【0066】
第11の態様では、前記熱交換器はヒートシンクであり、前記導風ダクトは、前記排気口に接続され且つ前記走行風を車体下方に導くように延設された内壁(例えば1184)を含み、前記熱交換器は、該内壁の延設方向と平行な姿勢で固定されている。
【0067】
第11の態様によれば、熱交換器での放熱効果を向上させることができる。
【0068】
第12の態様では、車体上下方向に延在して前記バッテリに接続された第2のヒートパイプ(例えばP
2)と、前記バッテリの上面に設けられ、前記第2のヒートパイプに接続された第2のヒートシンク(例えば110f)と、を更に備え、前記導風ダクトは、前記走行風を前記第2のヒートシンクに導くように設けられている。
【0069】
第12の態様によれば、バッテリを適切に冷却可能となる。
【0070】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。