特許第6971382号(P6971382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971382
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20211111BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F16F9/32 N
   B23K20/12 G
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-508960(P2020-508960)
(86)(22)【出願日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】JP2018034745
(87)【国際公開番号】WO2019187220
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2018-62474(P2018-62474)
(32)【優先日】2018年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小俣 靖久
(72)【発明者】
【氏名】久保 直也
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊文
(72)【発明者】
【氏名】赤井 育夫
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−127939(JP,U)
【文献】 特開2004−066336(JP,A)
【文献】 特開昭63−256287(JP,A)
【文献】 実開昭58−175886(JP,U)
【文献】 特開2000−161414(JP,A)
【文献】 特公昭50−004829(JP,B1)
【文献】 実開昭58−036644(JP,U)
【文献】 特表2010−525255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
F16B 7/20
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端側に開口部を有する筒状のシリンダ内を2室に分けるピストンと一方の端部が結合され、前記シリンダの開口部に設けられる摺接部材を通って他方の端部が突出するロッドの製造方法であって、
前記ロッドにおける前記摺接部材に摺接する部位となる中空の第1部材と、前記ロッドにおける前記摺接部材とは摺接しない部位となり、前記第1部材の外径寸法よりも小さい外径寸法の部分を有して形成される第2部材と、を準備する工程と、
前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくともいずれか一方を回転させながら前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とを接近させる工程と、
前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とが接触した後、前記第1部材および前記第2部材を軸方向に所定量押し込んで、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦による溶接接合により結合する工程と、
前記第2部材における前記第1部材との溶接部以外の部分にネジ加工を施すとともに前記溶接部のバリを除去する工程と、
を含むロッドの製造方法。
【請求項2】
少なくとも前記第1部材の内周部の端部は円錐孔状部となっていることを特徴とする請求項に記載のロッドの製造方法。
【請求項3】
前記円錐孔状部の前記第1部材の軸線に対する角度は、3°以上、8°以下となっていることを特徴とする請求項に記載のロッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドの製造方法に関する。
本願は、2018年3月28日に日本に出願された特願2018−062474号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
2部材を摩擦圧接してロッドを製造する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5873737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シリンダ装置において製造を容易化することが要望されている。
【0005】
したがって、本発明は、製造を容易化することができるロッドの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロッドの製造方法は、ロッドにおける摺接部材に摺接する部位となる中空の第1部材と、前記ロッドにおける前記摺接部材とは摺接しない部位となり、前記第1部材の外径寸法よりも小さい外径寸法の部分を有して形成される第2部材と、を準備する工程と、前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくともいずれか一方を回転させながら前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とを接近させる工程と、前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とが接触した後、前記第1部材および前記第2部材を軸方向に所定量押し込んで、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦による溶接接合により結合する工程と、を含む、構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロッドの製造を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態のシリンダ装置を示す断面図である。
図2】本発明に係る一実施形態のシリンダ装置のロッドの接合前の分解図である。
図3】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法を示す工程図である。
図4】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における取付軸部形成部材接近工程を示す断面図である。
図5】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における取付軸部形成部材接近工程を示す断面図である。
図6】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における取付軸部結合工程後の状態を示す断面図である。
図7】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における連結軸部形成部材接近工程を示す断面図である。
図8】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における連結軸部形成部材接近工程を示す断面図である。
図9】本発明に係る一実施形態のロッドの製造方法における連結軸部結合工程後の状態を示す断面図である。
図10】本発明に係る一実施形態のシリンダ装置のロッドを示す一端側の断面図である。
図11】本発明に係る一実施形態のシリンダ装置のロッドを示す他端側の断面図である。
図12】本発明に係る一実施形態のシリンダ装置のロッドの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る一実施形態のシリンダ装置およびロッドの製造方法について、図面を参照しつつ以下に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のシリンダ装置11を示すものである。このシリンダ装置11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器であり、具体的には自動車のストラット型サスペンションに用いられる緩衝器である。シリンダ装置11は、作動流体としての作動液体が封入される円筒状の内筒12と、内筒12よりも大径で内筒12の外周側に設けられ内筒12との間に作動流体としての作動液体および作動気体が封入されるリザーバ室13を形成する有底筒状の外筒14と、を有している。内筒12と外筒14とが二重筒状のシリンダ15を構成している。
【0012】
外筒14は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状の側壁部21と、側壁部21の軸方向の一端側を閉塞する底部22と、側壁部21の底部22とは反対側の開口部23とを有している。言い換えれば、外筒14は、一端側に開口部23を有しており、他端側に底部22を有している。外筒14の一端側の開口部23は、シリンダ15の一端側の開口部23となっている。内筒12は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状をなしている。
【0013】
シリンダ装置11は、内筒12の軸方向の一端部に嵌合される円板状のベース部材30と、内筒12の軸方向の他端部および外筒14の側壁部21の軸方向の開口部23側に嵌合される円環状のロッドガイド31(摺接部材)と、を有している。内筒12は、ベース部材30を介して外筒14の底部22に係合しており、ロッドガイド31を介して外筒14の側壁部21の開口部23側に係合している。この状態で、内筒12は、外筒14に対して径方向に位置決めされている。
【0014】
シリンダ装置11は、ロッドガイド31の底部22とは反対側に、円環状のシール部材33(摺接部材)を有している。このシール部材33も、ロッドガイド31と同様に側壁部21の開口部23側の内周部に嵌合されている。側壁部21の底部22とは反対の端部には、カール加工によって径方向内方に塑性変形させられた加締め部34が形成されており、シール部材33は、この加締め部34とロッドガイド31とに挟持されている。シール部材33は、外筒14の開口部23側、すなわちシリンダ15の開口部23側を封止するものである。
【0015】
シリンダ装置11は、シリンダ15内に設けられるピストン35を有している。ピストン35は、シリンダ15の内筒12に摺動可能に嵌装されている。ピストン35は、シリンダ15の内筒12内を摺動するとともに内筒12内を第1室38と第2室39との2室に分けている。第1室38は、内筒12内のピストン35とロッドガイド31との間に設けられ、第2室39は、内筒12内のピストン35とベース部材30との間に設けられている。内筒12内の第2室39は、内筒12の一端側に設けられたベース部材30によって、リザーバ室13と画成されている。第1室38および第2室39には作動液体である油液が充填されており、リザーバ室13には作動気体であるガスと作動液体である油液とが充填されている。
【0016】
シリンダ装置11は、一方の端部がシリンダ15内でピストン35と結合され、他方の端部がシリンダ15の開口部23から突出するロッド41を有している。ロッド41は、軸方向の中間の主軸部42(第1部材)と、軸方向の一端の取付軸部43(第2部材)と、軸方向の他端の連結軸部44(第2部材)とを有している。取付軸部43は、主軸部42の軸方向の一端から軸方向外側に突出しており、連結軸部44は、主軸部42の軸方向の他端から軸方向外側に突出している。シリンダ装置11は、例えば、ロッド41が取付軸部43において車体側に取り付けられ、シリンダ15の外筒14が車輪側に取り付けられる。
【0017】
主軸部42は、外周面が円筒面状の主外周部51を有している。主軸部42の外周部は、主外周部51を主体としており、軸方向の連結軸部44側の端部に、外周面がテーパ面からなるテーパ部52が形成されている。主軸部42には、軸方向の取付軸部43側の端部の一端部53が軸直交方向に広がる端面を有しており、軸方向の連結軸部44側の端部である他端部55が軸直交方向に広がる端面を有している。
【0018】
取付軸部43には外周部にオネジ57が形成されている。取付軸部43は、軸方向の主軸部42とは反対側の端部である先端部59が、軸直交方向に広がる平坦な先端面を有している。
【0019】
連結軸部44は、軸方向の主軸部42側の外周部が、外周面が一定径の円筒面状とされた嵌合外周部62となっており、軸方向の主軸部42とは反対側の外周部がオネジ65となっている。連結軸部44は、軸方向の主軸部42とは反対側の端部である先端部68が、軸直交方向に広がる平坦な先端面を有している。
【0020】
ロッド41には、上記したピストン35がナット71によって連結されている。すなわち、ロッド41の連結軸部44の嵌合外周部62にピストン35が嵌合され、連結軸部44のオネジ65にナット71が螺合されることによって、ピストン35がロッド41に取り付けられている。
【0021】
ロッド41は、シリンダ15の開口部23側に設けられたロッドガイド31およびシール部材33を通ってシリンダ15から外部へと延出している。ロッド41は、主軸部42が、主外周部51においてロッドガイド31およびシール部材33と摺接する。言い換えれば、シリンダ15の開口部23に設けられたロッドガイド31およびシール部材33がロッド41の主外周部51と摺接する。
【0022】
ここで、ロッド41は、主軸部42の主外周部51のみがロッドガイド31およびシール部材33と摺接することになる。よって、ロッド41の取付軸部43は、ロッドガイド31と摺接することはなく、シール部材33と摺接することもない。ロッド41の連結軸部44も、ロッドガイド31と摺接することはなく、シール部材33と摺接することもない。
【0023】
ロッド41は、ロッドガイド31に案内されて、シリンダ15に対して、ピストン35と一体に軸方向に移動する。シール部材33は、外筒14とロッド41との間を閉塞して、内筒12内の作動液体と、リザーバ室13内の作動気体および作動液体とが外部に漏出するのを規制する。よって、シール部材33は、シリンダ15の開口部23に設けられて、シリンダ15内に封入される作動流体をシールする。
【0024】
ピストン35には、軸方向に貫通する通路74および通路75が形成されている。通路74,75は、第1室38と第2室39とを連通可能となっている。シリンダ装置11は、ピストン35に当接することで通路74を閉塞可能な円環状のディスクバルブ76を、ピストン35の軸方向の底部22とは反対側に有している。また、シリンダ装置11は、ピストン35に当接することで通路75を閉塞可能な円環状のディスクバルブ77を、ピストン35の軸方向の底部22側に有している。
【0025】
ディスクバルブ76は、ロッド41がシリンダ15への進入量を増やす縮み側に移動しピストン35が第2室39を狭める方向に移動して第2室39の圧力が第1室38の圧力よりも所定値以上高くなると通路74を開くことになり、その際に減衰力を発生させる。ディスクバルブ77は、ロッド41がシリンダ15からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン35が第1室38を狭める方向に移動して第1室38の圧力が第2室39の圧力よりも所定値以上高くなると通路75を開くことになり、その際に減衰力を発生させる。
【0026】
ベース部材30には、軸方向に貫通する通路82および通路83が形成されている。通路82,83は第2室39とリザーバ室13とを連通可能となっている。シリンダ装置11は、ベース部材30の軸方向の底部22側に、ベース部材30に当接することで通路82を閉塞可能な円環状のディスクバルブ85を有しており、ベース部材30の軸方向の底部22とは反対側に、ベース部材30に当接することで通路83を閉塞可能な円環状のディスクバルブ86を有している。
【0027】
ディスクバルブ85は、ロッド41が縮み側に移動しピストン35が第2室39を狭める方向に移動して第2室39の圧力がリザーバ室13の圧力よりも所定値以上高くなると通路82を開くことになり、その際に減衰力を発生させる。ディスクバルブ86は、ロッド41が伸び側に移動しピストン35が第1室38側に移動して第2室39の圧力がリザーバ室13の圧力より低下すると通路83を開くことになるが、その際にリザーバ室13から第2室39内に実質的に減衰力を発生させずに作動液体を流すサクションバルブである。
【0028】
次に、本実施形態のシリンダ装置11に設けられるロッド41の製造方法について説明する。
【0029】
ロッド41は、その図1に示す主軸部42が、図2に示す主軸部形成部材42A(第1部材)で形成され、その図1に示す取付軸部43が、図2に示す取付軸部形成部材43A(第2部材)で形成され、その図1に示す連結軸部44が、図2に示す連結軸部形成部材44A(第2部材)で形成される。主軸部形成部材42A、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aは、別々の部品であり、これらが圧接で生じる摩擦による溶接接合で一体化される。なお、本実施形態では、取付軸部形成部材43A、連結軸部形成部材44Aの何れも摩擦による溶接接合で主軸部形成部材42Aに一体化する例を示すが、取付軸部形成部材43A、連結軸部形成部材44Aの何れか一方のみ本実施形態の技術を適用するようにしてもよい。
【0030】
主軸部形成部材42Aは、円筒管であり、軸方向の全長にわたって中空となっている。主軸部形成部材42Aは、内周部の軸方向の一端部に取付軸部形成部材43Aが接合されることになる。主軸部形成部材42Aは、内周部の軸方向の取付軸部形成部材43Aが接合される側となる一端部が一端円錐孔状部101(円錐孔状部)となっている。一端円錐孔状部101は、軸方向の外側ほど大径となるテーパ状の内周面を有している。言い換えると、主軸部形成部材42Aの長手方向に直角な断面において主軸部形成部材42Aの内周面の中心を通り、主軸部形成部材42Aの長手方向に対し並行な軸線を基準軸線としたとき、主軸部形成部材42Aの一対の端部である一端部53Aと他端部55Aのうち、一端部を含む基準軸線の方向における所定の領域の範囲内であって、かつ主軸部形成部材42Aの内周側に設けられており、基準軸線に関する半径の最大値が主外周部51Aにおける基準軸線に関する半径よりも大きい。さらに、一端円錐孔状部101の主軸部形成部材42Aの中心軸線に対する角度αは、3°以上、8°以下となっている。
【0031】
主軸部形成部材42Aは、内周部の軸方向の他端部に連結軸部形成部材44Aが接合されることになる。主軸部形成部材42Aは、内周部の軸方向の連結軸部形成部材44Aが接合される側となる他端部が他端円錐孔状部103(円錐孔状部)となっている。他端円錐孔状部103は、軸方向の外側ほど大径となるテーパ状の内周面を有している。他端円錐孔状部103の主軸部形成部材42Aの中心軸線に対する角度βは、3°以上、8°以下となっている。
【0032】
主軸部形成部材42Aは、一端円錐孔状部101と他端円錐孔状部103との間が一定径の円筒面状の内周面を有する中間孔状部105となっている。また、主軸部形成部材42Aは、軸方向の一端にある一端部53Aが軸直交方向に広がる平坦な端面を有しており、軸方向の他端にある他端部55Aが軸直交方向に広がる平坦な端面を有している。また、主軸部形成部材42Aは、その外周部である主外周部51Aが一定径の円筒面状の外周面を有している。
【0033】
主軸部形成部材42Aは、主外周部51Aが後に機械加工されて、図1に示すロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33に摺接する主軸部42の主外周部51となる。よって、主軸部形成部材42Aは、後にロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33に摺接する部位となる。また、主軸部形成部材42Aは、一端部53Aが後に機械加工されて、図1に示すロッド41の主軸部42における一端部53となり、他端部55Aが後に機械加工されて、主軸部42におけるテーパ部52および他端部55になる。
【0034】
取付軸部形成部材43Aは、円柱状の部材であり、軸方向の全長にわたって中実となっている。取付軸部形成部材43Aは、軸方向の主軸部形成部材42Aに接合される側となる一端の外周部が円錐状外周部111となっている。円錐状外周部111は、軸方向の外側ほど小径となるテーパ状の外周面を有している。円錐状外周部111の取付軸部形成部材43Aの中心軸線に対する角度γは、3°以上、8°以下となっている。
【0035】
また、取付軸部形成部材43Aは、円錐状外周部111以外の外周部が、一定径の円筒面状の外周面を有する円柱状外周部57Aとなっている。また、取付軸部形成部材43Aは、円錐状外周部111の円柱状外周部57Aとは反対側の端部115が軸直交方向に広がる平坦な端面を有しており、円柱状外周部57Aの円錐状外周部111とは反対側の端部59Aが軸直交方向に広がる平坦な端面を有している。
【0036】
取付軸部形成部材43Aは、円錐状外周部111の最小外径d1が、主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の最大内径d2より小径となっている。これにより、円錐状外周部111が一端円錐孔状部101に入り込み可能となっている。また、取付軸部形成部材43Aは、円錐状外周部111の最大外径d3、すなわち円柱状外周部57Aの外径d3が、主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の最小内径d4、すなわち中間孔状部105の内径d4よりも大径となっている。これにより、円錐状外周部111が一端円錐孔状部101への入り込み時に一端円錐孔状部101に当接してそれ以上の入り込みが規制されるようになっている。
【0037】
また、取付軸部形成部材43Aは、円錐状外周部111の最大外径d3、すなわち円柱状外周部57Aの外径d3が、主軸部形成部材42Aの外径d5、すなわち主外周部51Aの外径d5よりも小径となっている。このように、取付軸部形成部材43Aは、主軸部形成部材42Aの外径寸法d5よりも小さい外径寸法d3の円柱状外周部57Aと、主軸部形成部材42Aの外径寸法d5よりも小さい、d1以上d3以下の外径寸法である円錐状外周部111とを有して形成されている。
【0038】
取付軸部形成部材43Aは、円柱状外周部57Aが後に機械加工されて、図1に示すロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33に摺接しない取付軸部43のオネジ57となる。よって、取付軸部形成部材43Aは、後にロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33とは摺接しない部位となる。また、取付軸部形成部材43Aは、端部59Aが後に機械加工されて、ロッド41における取付軸部43の先端部59となる。
【0039】
ここで、円錐状外周部111の取付軸部形成部材43Aの中心軸線に対する角度γは、一端円錐孔状部101の主軸部形成部材42Aの中心軸線に対する角度αと同等であり、円錐状外周部111の軸線方向の長さは一端円錐孔状部101の軸線方向の長さと同等である。そして、円錐状外周部111の最大外径d3が一端円錐孔状部101の最大内径d2よりも所定量大径となっている。言い換えれば、円錐状外周部111が一端円錐孔状部101に当たって停止するまで、取付軸部形成部材43Aを主軸部形成部材42Aに挿入すると、円錐状外周部111は所定量(例えば1mm)、一端部53Aよりも外側に突出するように寸法関係が設定されている。
【0040】
連結軸部形成部材44Aは、円柱状の部材であり、軸方向の全長にわたって中実となっている。連結軸部形成部材44Aは、軸方向の主軸部形成部材42Aに接合される側となる一端の外周部が円錐状外周部121となっている。円錐状外周部121は、軸方向の外側ほど小径となるテーパ状の外周面を有している。円錐状外周部121の連結軸部形成部材44Aの中心軸線に対する角度δは、3°以上、8°以下となっている。
【0041】
また、連結軸部形成部材44Aは、円錐状外周部121以外の外周部が、一定径の円筒面状の外周面を有する円柱状外周部62Aとなっている。また、連結軸部形成部材44Aは、円錐状外周部121の円柱状外周部62Aとは反対側の端部125が軸直交方向に広がる平坦な端面を有しており、円柱状外周部62Aの円錐状外周部121とは反対側の端部68Aが軸直交方向に広がる平坦な端面を有している。
【0042】
連結軸部形成部材44Aは、円錐状外周部121の最小外径d6が、主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の最大内径d7より小径となっている。これにより、円錐状外周部121が他端円錐孔状部103に入り込み可能となっている。また、連結軸部形成部材44Aは、円錐状外周部121の最大外径d8、すなわち円柱状外周部62Aの外径d8が、主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の最小内径d4、すなわち中間孔状部105の内径d4よりも大径となっている。これにより、円錐状外周部121が他端円錐孔状部103への入り込み時に他端円錐孔状部103に当接してそれ以上の入り込みが規制されるようになっている。
【0043】
また、連結軸部形成部材44Aは、円錐状外周部121の最大外径d8、すなわち円柱状外周部62Aの外径d8が、主軸部形成部材42Aの外径d5、すなわち主外周部51Aの外径d5よりも小径となっている。このように、連結軸部形成部材44Aは、主軸部形成部材42Aの外径寸法d5よりも小さい外径寸法d8の円柱状外周部62Aと、主軸部形成部材42Aの外径寸法d5よりも小さい、d6以上d8以下の外径寸法の円錐状外周部121とを有して形成されている。
【0044】
連結軸部形成部材44Aは、円柱状外周部62Aが後に機械加工されて、図1に示すロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33に摺接しない連結軸部44の嵌合外周部62およびオネジ65となる。よって、連結軸部形成部材44Aは、後にロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33とは摺接しない部位となる。また、連結軸部形成部材44Aは、端部68Aが後に機械加工されて、ロッド41における連結軸部44の先端部68となる。
【0045】
ここで、円錐状外周部121の連結軸部形成部材44Aの中心軸線に対する角度δは、他端円錐孔状部103の主軸部形成部材42Aの中心軸線に対する角度βと同等であり、円錐状外周部121の軸線方向の長さは他端円錐孔状部103の軸線方向の長さと同等である。そして、円錐状外周部121の最大外径d8が他端円錐孔状部103の最大内径d7よりも所定量大径となっている。言い換えれば、円錐状外周部121が他端円錐孔状部103に当たって停止するまで、連結軸部形成部材44Aを主軸部形成部材42Aに挿入すると、円錐状外周部121は所定量(例えば1mm)、他端部55Aよりも外側に突出するように寸法関係が設定されている。
【0046】
本実施形態のロッド41の製造方法は、これら主軸部形成部材42A、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aを準備する図3に示す準備工程S1を含む。
【0047】
本実施形態の製造方法は、この準備工程S1の後、摩擦圧接機に主軸部形成部材42Aを固定し、摩擦圧接機で、図4に示すように取付軸部形成部材43Aを回転させながら、主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の内周面と、取付軸部形成部材43Aの円錐状外周部111の外周面とを接近させる図3に示す取付軸部形成部材接近工程S2を行う。なお、本実施形態では取付軸部形成部材43Aを回転させ、取付軸部形成部材43Aを主軸部形成部材42Aに接近させる方法を示したが、主軸部形成部材42Aを回転させ、主軸部形成部材42Aを取付軸部形成部材43Aに接近させるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態の製造方法は、摩擦圧接機により行われる取付軸部形成部材接近工程S2によって、図5に示すように主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の内周面と取付軸部形成部材43Aの円錐状外周部111の外周面とが接触した後、取付軸部形成部材43Aの回転状態を維持しながら、主軸部形成部材42Aおよび取付軸部形成部材43Aを相対的に軸方向に所定量押し込んで、主軸部形成部材42Aと取付軸部形成部材43Aとを圧接させ、その際に生じる摩擦熱による溶接接合により、主軸部形成部材42Aと取付軸部形成部材43Aとを結合する図3に示す取付軸部結合工程S3を行う。
【0049】
ここでは、摩擦圧接機が、固定された主軸部形成部材42Aに、取付軸部形成部材43Aを回転させながら押し込む。図5に示すように、円錐状外周部111が一端円錐孔状部101に接触すると、円錐状外周部111は所定量(例えば1mm)、一端部53Aよりも外側に突出することになり、取付軸部結合工程S3では、この所定量を押込量として、この押込量の分だけ、取付軸部形成部材43Aを主軸部形成部材42Aに軸方向に押し込む。この押込量を押し込んだ直後に、取付軸部形成部材43Aの回転を停止させて一定時間その状態を保持する。
【0050】
すると、主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の内周部と取付軸部形成部材43Aの円錐状外周部111の外周部とが、摩擦熱による材料の軟化および撹拌後に、固化し一体化して、図6に示すように溶接部131となる。溶接部131は、主軸部形成部材42Aの内周部と取付軸部形成部材43Aの外周部との間に形成される。溶接部131は、図5に示す一端円錐孔状部101および円錐状外周部111の形状にほぼ倣った形状となり、主軸部形成部材42Aの一端部53A側に向かって拡がる筒状をなす。溶接部131は、主軸部形成部材42Aの一端部53Aから軸方向外方に突出し、取付軸部形成部材43Aの円柱状外周部57Aから径方向外方に突出するバリ132を含んでいる。
【0051】
本実施形態の製造方法は、取付軸部結合工程S3の後、摩擦圧接機に主軸部形成部材42Aを固定し、摩擦圧接機で、図7に示すように連結軸部形成部材44Aを回転させながら、主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の内周面と、連結軸部形成部材44Aの円錐状外周部121の外周面とを接近させる図3に示す連結軸部形成部材接近工程S4を行う。
【0052】
本実施形態の製造方法は、摩擦圧接機により行われる連結軸部形成部材接近工程S4によって、図8に示すように主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の内周面と連結軸部形成部材44Aの円錐状外周部121の外周面とが接触した後、連結軸部形成部材44Aの回転状態を維持しながら、主軸部形成部材42Aおよび連結軸部形成部材44Aを相対的に軸方向に所定量押し込んで、主軸部形成部材42Aと連結軸部形成部材44Aとを圧接させ、その際に生じる摩擦熱による溶接接合により主軸部形成部材42Aと連結軸部形成部材44Aとを結合する図3に示す連結軸部結合工程S5を行う。
【0053】
ここでは、摩擦圧接機が、固定された主軸部形成部材42Aに、連結軸部形成部材44Aを回転させながら押し込む。図8に示すように、円錐状外周部121が他端円錐孔状部103に接触すると、円錐状外周部121は所定量(例えば1mm)、他端部55Aよりも外側に突出することになり、連結軸部結合工程S5では、この所定量を押込量として、この押込量の分だけ、連結軸部形成部材44Aを主軸部形成部材42Aに軸方向に押し込む。この押込量を押し込んだ直後に、連結軸部形成部材44Aの回転を停止させて一定時間その状態を保持する。
【0054】
すると、主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の内周部と連結軸部形成部材44Aの円錐状外周部121の外周部とが、摩擦熱による材料の軟化および撹拌後に、固化し一体化して、図9に示すように溶接部133となる。溶接部133は、主軸部形成部材42Aの内周部と連結軸部形成部材44Aの外周部との間に形成される。溶接部133は、図8に示す他端円錐孔状部103および円錐状外周部121の形状にほぼ倣った形状となり、主軸部形成部材42Aの他端部55A側に向かって拡がる筒状をなす。溶接部133は、主軸部形成部材42Aの他端部55Aから軸方向外方に突出し、連結軸部形成部材44Aの円柱状外周部62Aから径方向外方に突出するバリ134を含んでいる。
【0055】
本実施形態の製造方法は、図3に示すように、連結軸部結合工程S5の後、機械加工工程S6を行う。機械加工工程S6では、図6に示す取付軸部形成部材43Aの端部59Aを機械加工して、図10に示す取付軸部43の先端部59を形成する一側先端部形成工程を行う。また、機械加工工程S6では、図6に示す主軸部形成部材42Aの一端部53Aを機械加工して、図10に示す主軸部42の一端部53を形成する主軸部一端部形成工程を行う。また、機械加工工程S6では、図6に示す取付軸部形成部材43Aの円柱状外周部57Aを機械加工して、図10に示す取付軸部43のオネジ57を形成するオネジ形成工程を行う。
【0056】
ここで、取付軸部結合工程S3において、図6に示すように、主軸部形成部材42Aの一端部53Aと取付軸部形成部材43Aの円柱状外周部57Aとの間で溶融した金属が外側に突出して固化することによりバリ132が発生していたとしても、機械加工工程S6の上記した主軸部一端部形成工程およびオネジ形成工程によって、図10に示すように、このバリ132を切削して除去することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、取付軸部形成部材43Aにおいて、主軸部形成部材42Aとの溶接部131以外の部分にネジ加工を施すとともに、その際に溶接部131のバリ132を除去するオネジ形成工程を含む。なお、オネジ形成工程においては、オネジ57の下地部分を切削加工で形成し、オネジ57を転造で形成しても良い。その場合、オネジ57の下地部分の切削加工時にバリ132を除去することになる。
【0057】
また、機械加工工程S6では、図9に示す連結軸部形成部材44Aの端部68Aを機械加工して、図11に示す連結軸部44の先端部68を形成する他側先端部形成工程を行う。また、機械加工工程S6では、図9に示す主軸部形成部材42Aの他端部55Aを機械加工して、図11に示す主軸部42のテーパ部52および他端部55を形成する主軸部他端部形成工程を行う。また、機械加工工程S6では、図9に示す連結軸部形成部材44Aの円柱状外周部62Aを機械加工して、図11に示す連結軸部44の嵌合外周部62およびオネジ65を形成するオネジ等形成工程を行う。
【0058】
ここで、連結軸部結合工程S5において、図9に示すように、主軸部形成部材42Aの他端部55Aと連結軸部形成部材44Aの円柱状外周部62Aとの間で溶融した金属が外側に突出して固化することによりバリ134が発生していたとしても、機械加工工程S6の上記した主軸部他端部形成工程およびオネジ等形成工程によって、図11に示すように、このバリ134を切削して除去することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、連結軸部形成部材44Aにおいて、主軸部形成部材42Aとの溶接部133以外の部分にネジ加工を施すとともに、その際に溶接部133のバリ134を除去するオネジ等形成工程を含む。なお、オネジ等形成工程においては、嵌合外周部62およびオネジ65の下地部分を切削加工で形成し、オネジ65を転造で形成しても良い。その場合、嵌合外周部62およびオネジ65の下地部分の切削加工時にバリ134を除去することになる。
【0059】
以上の本実施形態の製造方法によって製造されたロッド41は、図1に示すように、ロッドガイド31およびシール部材33と摺接する主軸部42と、いずれもロッドガイド31およびシール部材33とは摺接しない取付軸部43および連結軸部44とを有している。主軸部42は、取付軸部43および連結軸部44が入り込んだ部分は中実となっており、それ以外の部分が中空となっている。取付軸部43および連結軸部44はいずれも中実となっている。ロッド41は、主軸部42の外径寸法に対し、取付軸部43および連結軸部44の両方の外径寸法が、全長にわたって小径になっている。
【0060】
そして、ロッド41は、図10に示すように、主軸部42の内周部と取付軸部43の外周部とが摩擦による溶接接合で接合されている。その際に形成された、主軸部42の内周部と取付軸部43の外周部との溶接部131は、主軸部42の一端部53側に向かって径が拡がる筒状をなしている。また、ロッド41は、図11に示すように、主軸部42の内周部と連結軸部44の外周部とが摩擦による溶接接合で接合されている。その際に形成された、主軸部42の内周部と連結軸部44の外周部との溶接部133は、主軸部42の他端部55側に向かって径が拡がる筒状をなしている。
【0061】
上記した特許文献1には、円筒状部材と、円筒状の部位および円柱状の部位を有する混合部材とを摩擦圧接してロッドを製造する製造方法が記載されている。この製造方法では、円筒状部材を固定し、混合部材を回転させながら、円筒状部材の端面と混合部材の円筒状の部位の端面とを接触させ、これらに圧力をかけて、円筒状部材と混合部材とを接合するようになっている。そして、接合時に接合部に生じたバリを切削加工により除去するようになっている。ところで、このような接合部において、ロッドが摺接部材に対し摺接する場合には、ロッドを最終形状にするための機械加工工程の前に、丁寧なバリ除去が必要となる。例えば、ロッドを最終形状にするための機械加工工程の前に、バリを切削除去する専用の工程と、バリを切削除去した後の部分を含んで外周部全体を研磨する捨研工程とを行う必要がある。
【0062】
これに対して、本実施形態のシリンダ装置11のロッド41は、ロッドガイド31およびシール部材33と摺接する中空の主軸部42と、ロッドガイド31およびシール部材33とは摺接しない取付軸部43および連結軸部44とを有している。これらは、主軸部42の内周部と、取付軸部43の外周部および連結軸部44の外周部とが、摩擦による溶接接合で接合されている。このとき、主軸部42の外径寸法に対し、取付軸部43および連結軸部44の外径寸法が小径となっている。このため、摩擦による溶接接合でバリ132,134が発生しても、ロッドガイド31およびシール部材33と摺接する主軸部42の主外周部51には達しない位置に発生させることができる。したがって、ロッド41を最終形状にするための機械加工工程S6の前にバリ除去を行わなくて済み、行うとしても短時間で行うことができる。したがって、シリンダ装置11のロッド41の製造を容易化することができ、作業工数を低減することができる。
【0063】
すなわち、上記ロッド41の製造方法は、ロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33に摺接する部位となる中空の主軸部形成部材42Aと、ロッド41におけるロッドガイド31およびシール部材33とは摺接しない部位となり、主軸部形成部材42Aの外径寸法よりも小さい外径寸法の部分を有して形成される取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aと、を準備する準備工程S1を含んでいる。また、取付軸部形成部材43Aを回転させながら主軸部形成部材42Aの内周面と取付軸部形成部材43Aの外周面とを接近させる取付軸部形成部材接近工程S2と、主軸部形成部材42Aの内周面と取付軸部形成部材43Aの外周面とが接触した後、主軸部形成部材42Aおよび取付軸部形成部材43Aを軸方向に所定量押し込んで、主軸部形成部材42Aと取付軸部形成部材43Aとを摩擦による溶接接合により結合する取付軸部結合工程S3と、を含んでいる。また、連結軸部形成部材44Aを回転させながら主軸部形成部材42Aの内周面と連結軸部形成部材44Aの外周面とを接近させる連結軸部形成部材接近工程S4と、主軸部形成部材42Aの内周面と連結軸部形成部材44Aの外周面とが接触した後、主軸部形成部材42Aおよび連結軸部形成部材44Aを軸方向に所定量押し込んで、主軸部形成部材42Aと連結軸部形成部材44Aとを摩擦による溶接接合により結合する連結軸部結合工程S5と、を含んでいる。これにより、上記したロッド41を容易に製造することができ、ロッド41の製造を容易化することができる。
【0064】
また、ロッド41の製造方法は、取付軸部形成部材43Aにおける主軸部形成部材42Aとの溶接部131以外の部分にネジ加工を施すとともに溶接部131のバリ132を除去するオネジ形成工程を含むため、取付軸部形成部材43Aのネジ加工と一緒にバリ132を切削加工により除去することができる。よって、専用の工程を行うことなくバリ132を除去することができる。同様に、ロッド41の製造方法は、連結軸部形成部材44Aにおける主軸部形成部材42Aとの溶接部133以外の部分にネジ加工を施すとともに溶接部133のバリ134を除去するオネジ等形成工程を含むため、連結軸部形成部材44Aのネジ加工と一緒にバリ134を切削加工により除去することができる。よって、専用の工程を行うことなくバリ134を除去することができる。したがって、設備コストおよび作業工数を低減することができる。
【0065】
また、主軸部形成部材42Aの内周部の端部は、一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103となっているため、主軸部形成部材42Aの内周部と、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aの外周部とを、摩擦による溶接接合により良好に結合することができる。
【0066】
また、主軸部形成部材42Aの内周部の端部は一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103となっており、取付軸部形成部材43Aの接合側の端部が円錐状外周部111となっていて、連結軸部形成部材44Aの接合側の端部も円錐状外周部121となっている。このため、主軸部形成部材42Aの内周部と、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aの外周部とを、摩擦による溶接接合により一層良好に結合することができる。ここで、このようにして、主軸部形成部材42Aの内周部と、取付軸部形成部材43Aの内周部および連結軸部形成部材44Aの内周部とが、摩擦による溶接接合で接合されると、溶接部131,133が、主軸部42の端部側に向かって拡がる筒状をなすことになる。
【0067】
ここで、一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103の主軸部形成部材42Aの軸線に対する角度は、3°以上、8°以下となっている。このため、主軸部形成部材42Aの内周部と取付軸部形成部材43Aの外周部とを摩擦による溶接接合により一層良好に結合することができる。また、主軸部形成部材42Aの内周部と連結軸部形成部材44Aの外周部とを摩擦による溶接接合により一層良好に結合することができる。すなわち、一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103の主軸部形成部材42Aの軸線に対する角度が3°より小さいと、主軸部形成部材42Aと、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aとの接触が安定しなくなり、条件を振っても2〜5mm程度しか接合できず、押込量などを増やしてもバリのみが成長してしまう。また、8°より大きいと、接合面積が大きくなり、主軸部形成部材42Aに対し、取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aを回転させる摩擦圧接機のトルクが増大してしまう。また、8°より大きいと、ワークが滑り易くなったり、摩擦圧接機のモータが過負荷となってしまう。また、8°より大きいと、主軸部形成部材42Aの端部側の肉厚が少なくなるため、主軸部42が変形する可能性がある。3°以上、8°以下とすることで、これらの不具合を回避できる。
【0068】
以上の実施形態においては 取付軸部結合工程S3の後に、連結軸部形成部材接近工程S4を行うようにした。これに対し、取付軸部形成部材接近工程S2および取付軸部結合工程S3の前に、連結軸部形成部材接近工程S4および連結軸部結合工程S5を行うようにしても良い。また、取付軸部形成部材接近工程S2および取付軸部結合工程S3と、連結軸部形成部材接近工程S4および連結軸部結合工程S5とを並行して行うようにしても良い。
【0069】
また、実施形態の取付軸部形成部材接近工程S2および取付軸部結合工程S3において、主軸部形成部材42Aを固定し、取付軸部形成部材43Aを回転させる場合を例にとり説明した。これに対し、取付軸部形成部材43Aを固定し、主軸部形成部材42Aを回転させても良く、主軸部形成部材42Aおよび取付軸部形成部材43Aの両方を回転させても良い。すなわち、主軸部形成部材42Aおよび取付軸部形成部材43Aのうちの少なくともいずれか一方を回転させながら、主軸部形成部材42Aの一端円錐孔状部101の内周面と、取付軸部形成部材43Aの円錐状外周部111の外周面とを接近させて圧接させれば良い。
【0070】
同様に、実施形態の連結軸部形成部材接近工程S4および連結軸部結合工程S5において、主軸部形成部材42Aを固定し、連結軸部形成部材44Aを回転させる場合を例にとり説明した。これに対し、連結軸部形成部材44Aを固定し、主軸部形成部材42Aを回転させても良く、主軸部形成部材42Aおよび連結軸部形成部材44Aの両方を回転させても良い。すなわち、主軸部形成部材42Aおよび連結軸部形成部材44Aのうちの少なくともいずれか一方を回転させながら、主軸部形成部材42Aの他端円錐孔状部103の内周面と、連結軸部形成部材44Aの円錐状外周部121の外周面とを接近させて圧接させれば良い。
【0071】
また、実施形態においては 主軸部形成部材42Aの内周部の端部は一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103となっており、取付軸部形成部材43Aの主軸部形成部材42Aへの接合側の端部が円錐状外周部111となっていて、連結軸部形成部材44Aの主軸部形成部材42Aへの接合側の端部も円錐状外周部121となっている場合を例にとり説明した。これに対し、取付軸部形成部材43Aの接合側の端部が円柱状であっても良く、連結軸部形成部材44Aの接合側の端部が円柱状であっても良い。すなわち、少なくとも主軸部形成部材42Aの内周部の端部について、一端円錐孔状部101および他端円錐孔状部103が形成されていれば良い。
【0072】
また、実施形態においては 取付軸部結合工程S3および連結軸部結合工程S5の後に行われる機械加工工程S6が、取付軸部43のオネジ57を形成するオネジ形成工程と、連結軸部44の嵌合外周部62およびオネジ65を形成するオネジ等形成工程とを行う場合を例にとり説明した。これに対し、取付軸部形成部材43Aに予め取付軸部43のオネジ57を形成しておき、連結軸部形成部材44Aに予め連結軸部44の嵌合外周部62およびオネジ65を形成しておいても良い。そして、その後、取付軸部形成部材接近工程S2および取付軸部結合工程S3を行い、連結軸部形成部材接近工程S4および連結軸部結合工程S5を行うようにしても良い。すなわち、主軸部形成部材42Aと取付軸部形成部材43Aとを結合する工程の前に、取付軸部形成部材43Aの取付軸部43に予めネジ加工を施す工程を含んでいても良い。また、主軸部形成部材42Aと連結軸部形成部材44Aとを結合する工程の前に、連結軸部形成部材44Aの連結軸部44に予めネジ加工を施す工程を含んでいても良い。上記のように、摩擦による溶接接合でバリ132,134が発生しても、ロッドガイド31およびシール部材33と摺接する主軸部42の主外周部51には達しない位置に発生させることができることから、予めネジ加工を行うことにより、取付軸部結合工程S3および連結軸部結合工程S5の後工程の機械加工工程S6をなくすことも可能となる。
【0073】
また、実施形態において 取付軸部43および連結軸部44は、それぞれ全体の外径寸法が主軸部42の外径寸法に対し小径になっているが、主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部のみの外径寸法が主軸部42の外径寸法に対し小径になっていても良い。すなわち、取付軸部43および連結軸部44は、少なくとも主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部の外径寸法が、主軸部42の外径寸法に対し小径になっていれば良い。例えば、図12に取付軸部43を示すように、取付軸部43が、主軸部42とは軸方向に離れた位置に、主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部の小径部141よりも外径寸法が大径であって主軸部42の外径寸法と同径以上の大径部142を有していても良い。この場合、取付軸部43は、大径部142が主軸部42との間に軸方向の空間143を有することになる。連結軸部44についても同様である。
【0074】
また、実施形態において 主軸部42は、全体の外径寸法が、取付軸部43および連結軸部44の外径寸法に対し大径となっているが、ロッドガイド31およびシール部材33に摺接しない部分については、摺接する部分に対して小径としても良い。すなわち、主軸部42は、ロッドガイド31およびシール部材33に組み立て時を含んで摺接する部分の外径が、取付軸部43および連結軸部44のそれぞれの主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部の外径寸法よりも大径であれば良い。主軸部42は、その内周部に取付軸部43の外周部を摩擦による溶接接合で接合させるため、少なくとも取付軸部43側の端部の外径寸法が、取付軸部43の主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部の外径寸法に対し大径になっている。主軸部42は、その内周部に連結軸部44の外周部を摩擦による溶接接合で接合させるため、少なくとも連結軸部44側の端部の外径寸法が、連結軸部44の主軸部42から突出する部分の主軸部42側の端部の外径寸法に対し大径になっている。
【0075】
また、実施形態においては、主軸部形成部材42Aが軸方向の全長にわたって中空の場合を例にとり説明した。これに対し、少なくとも取付軸部形成部材43Aおよび連結軸部形成部材44Aを接合させる部分が中空であれば良い。
【0076】
また、実施形態においては、シリンダ15が一端側のみに開口部23を有するシリンダ装置11を例にとり説明した。これに対し、シリンダ15が両端側に開口部を有するシリンダ装置にも本発明を適用可能である。すなわち、少なくとも一端側に開口部を有する筒状のシリンダを有するシリンダ装置に本発明を適用することができる。
【0077】
以上に述べた実施形態の第1の態様は、少なくとも一端側に開口部を有する筒状のシリンダと、前記シリンダ内を摺動するとともに該シリンダ内を2室に分けるピストンと、一方の端部が前記シリンダ内で前記ピストンと結合され、他方の端部が前記シリンダの開口部から突出するロッドと、前記シリンダの開口部に設けられ前記ロッドと摺接する摺接部材と、を備え、前記ロッドは、前記摺接部材と摺接する中空の円筒状部材である第1部材と、前記摺接部材とは摺接しない第2部材と、を有し、前記第1部材の外径寸法に対し前記第2部材の少なくとも前記第1部材側の端部の外径寸法が小径になっており、前記第1部材の内周部と前記第2部材の外周部とが摩擦による溶接接合で接合されている。これにより、ロッドすなわちロッドを含むシリンダ装置の製造を容易化することができる。
【0078】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1部材の内周部と前記第2部材の外周部との溶接部は、前記第1部材の端部側に向かって拡がる筒状をなしている。
【0079】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記第1部材と前記第2部材との間に空間を有する。
【0080】
第4の態様は、少なくとも一端側に開口部を有する筒状のシリンダ内を2室に分けるピストンと一方の端部が結合され、前記シリンダの開口部に設けられる摺接部材を通って他方の端部が突出するロッドの製造方法であって、前記ロッドにおける前記摺接部材に摺接する部位となる中空の第1部材と、前記ロッドにおける前記摺接部材とは摺接しない部位となり、前記第1部材の外径寸法よりも小さい外径寸法の部分を有して形成される第2部材と、を準備する工程と、前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくともいずれか一方を回転させながら前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とを接近させる工程と、前記第1部材の内周面と前記第2部材の外周面とが接触した後、前記第1部材および前記第2部材を軸方向に所定量押し込んで、前記第1部材と前記第2部材とを摩擦による溶接接合により結合する工程と、を含む。これにより、ロッドの製造を容易化することができる。
【0081】
第5の態様は、第4の態様において、前記第2部材における前記第1部材との溶接部以外の部分にネジ加工を施すとともに前記溶接部のバリを除去する工程を含む。
【0082】
第6の態様は、第4の態様において、前記第1部材と前記第2部材とを結合する工程の前に、前記第2部材にネジ加工を施す工程を含む。
【0083】
第7の態様は、第4乃至第6の態様において、少なくとも前記第1部材の内周部の端部は円錐孔状部となっている。
【0084】
第8の態様は、第7の態様において、前記円錐孔状部の前記第1部材の軸線に対する角度は、3°以上、8°以下となっている。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、シリンダ装置の製造を容易化することができる。
【符号の説明】
【0086】
11 シリンダ装置
15 シリンダ
23 開口部
31 ロッドガイド(摺接部材)
33 シール部材(摺接部材)
35 ピストン
38 第1室
39 第2室
41 ロッド
42 主軸部(第1部材)
42A 主軸部形成部材(第1部材)
43 取付軸部(第2部材)
43A 取付軸部形成部材(第2部材)
44 連結軸部(第2部材)
44A 連結軸部形成部材(第2部材)
101 一端円錐孔状部
103 他端円錐孔状部
131,133 溶接部
143 空間
図1
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図12