特許第6971394号(P6971394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971394特に車両用の、ディスプレイ装置、およびそのディスプレイ装置を備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971394
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】特に車両用の、ディスプレイ装置、およびそのディスプレイ装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20211111BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20211111BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20211111BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/02 Z
   B60J1/02 M
   B60R11/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-517568(P2020-517568)
(86)(22)【出願日】2018年9月20日
(65)【公表番号】特表2020-535065(P2020-535065A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2018075496
(87)【国際公開番号】WO2019063415
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年5月8日
(31)【優先権主張番号】102017217193.6
(32)【優先日】2017年9月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツェ、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クルグ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァーガー、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ケッツェ、ムハンマド アリ
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234477(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/012280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02B 27/02
B60J 1/02
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの窓ガラス(12)を備え、窓ガラス(12)における少なくとも透明な部分領域(14)の内部に設けられた少なくとも1つの体積ホログラム(16)を備え、出射光(20)が体積ホログラム(16)の内部で結合される少なくとも1つの光源(18)を備え、人間の観察者にとって空間的に見える少なくとも1つの画像(22、54)が体積ホログラム(16)によって生成されるようにされており、体積ホログラム(16)は第1の光学素子(34)を有し、この第1の光学素子(34)によって光ビームが窓ガラス(12)から切り離されて画像センサ(24)に向けられるようにされたディスプレイ装置であって、
少なくとも1つの感光性画像センサ(24)を有する少なくとも1つのカメラ装置(26)を有し、このカメラ装置(26)の光学系(28)であって、画像センサ(24)によって画像を取得できる前記光学系(28)が、部分領域(14)によって少なくとも部分的に形成されており、
窓ガラス(12)は、画像センサ(24)の反対側(39)に、画像センサ(24)と重なり合うように配置された反射層(40)を有し、
部分領域(14)がカメラ装置(26)の光学系(28)の全体を形成していることを特徴とするディスプレイ装置(10)。
【請求項2】
体積ホログラム(16)は第1の光学素子(34)のほかに第2の光学素子(42、44)を有し、これら第1および第2の光学素子(34、42、44)によって、少なくとも1つの第1の点(36)で窓ガラス(12)に入る光が、第1の点(36)とは異なる少なくとも1つの第2の点(38)に誘導され、前記光は第2の点(38)において窓ガラス(12)から取り出されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項3】
光源からの光(41)が第1の点(36)において窓ガラス(12)に入り込むことができるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項4】
第2の点(38)において窓ガラス(12)から外に取り出された光が、画像センサ(24)によって検出されることができるように構成されていることを特徴とする請求項2または3記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項5】
画像センサ(24)は窓ガラス(12)に直接配置され、窓ガラス(12)に直接接触していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項6】
体積ホログラム(16)は、窓ガラス(12)の内側に配置された少なくとも1つのフィルムによって形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項7】
窓ガラス(12)は、車両のサイドガラスまたはフロントガラスとして構成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項8】
画像(22、54)が、窓ガラスの前および、または後ろに配置された少なくとも1つの画像面において観察者(50)によって光学的に知覚可能とされていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項9】
部分領域(14)は、少なくとも部分的に不透明な切り替え可能層であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載のディスプレイ装置(10)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のディスフプレイ装置を少なくとも1つ備えていることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、特に車両用の、ディスプレイ装置に関する。さらに、本発明は、そのディスプレイ装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の車両には多数の追加機能が設けられている。これにより、運転者はすぐに視界を失い、道路交通への集中力が低下する可能性がある。さらに、特に車両が停止しているときに使用されるマルチメディア機能は、ますます重要になってきている。さらに、今日の車両に搭載されている運転者支援システムでは、それぞれの運転者支援システムが正しく機能するために、環境の検出が重要である。
【0003】
運転者に車両の状態と追加機能に関する情報とをできるだけ厳密に提供するために、現在の車両には、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD)が装備されている場合がある。これにより、車両の運転者は、視線を維持することと、速度などの車両の状態に関する情報を視界に直接投影することとが可能となる。その結果、車両の運転者は、道路から目を離す必要がなくなり、たとえば交通の安全性を向上させることができる。
【0004】
ドイツ特許出願公開第102011083662号明細書(特許文献1)は、車両の乗員用のディスプレイ装置を示しており、このディスプレイ装置は、ホログラフィック投影面を有する。ディスプレイ装置の設置状態では、ホログラフィック投影面は乗員の視点から見ると透明であり、ライトガイドから結合された光が、乗員に対する表示のために使用される。
【0005】
ドイツ特許出願公開第102013210887号明細書(特許文献2)は、車両のための光学センサ装置を示し、この光学センサ装置は、車両の周囲の環境からの光照射を受光するセンサデバイスと、少なくとも1つの光学素子とを有する。光学素子は、センサデバイスのビーム経路に設けられて、光照射をセンサデバイスに画像化するための、センサデバイスの画像化システムを形成する。
【0006】
さらに、ドイツ特許出願公開第102014204691号明細書(特許文献3)は、特に車両測定用の画像記録装置であって、画像記録方向から画像を記録するように設計され、少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光偏向素子を有するように設計された画像記録装置を示す。この画像記録装置は、光線が画像記録装置から画像記録方向と同軸に出るように、光源から発する光線を偏向するように設計および配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102011083662号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102013210887号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102014204691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の欠点は、たとえば、設置スペースが必要であり、またそれぞれの使用領域が非常に限定されていることにある。
【0009】
本発明の目的は、特に有利な機能を創生することができるように、ディスプレイ装置および車両を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を備えたディスプレイ装置と、請求項10の特徴を備えた車両とによって達成される。本発明の有利な展開は、従属請求項と、以下の説明と、図面とによって説明される。
【0011】
本発明は、少なくとも車両における透明な部分領域内に配置された少なくとも1つの体積ホログラムを備えた少なくとも1つの窓ガラスと、光を体積ホログラムに結合できる少なくとも1つの光源とを有した、特に車両用のディスプレイ装置を提供する。人間の観察者にとって3次元的に見える少なくとも1つの画像は、体積ホログラムを用いて、光源によって提供される光から生成することができる。
【0012】
特に有利な機能を備えたディスプレイ装置を操作できるようにするために、本発明によるディスプレイ装置は、少なくとも1つの感光性画像センサを備える少なくとも1つのカメラ装置を有し、その光学系を介して、画像センサによって画像を記録することができ、この画像は部分領域によって少なくとも部分的に形成される。
【0013】
取り込みされた画像または検出可能な画像は、取り込まれた画像または捕捉された画像とも呼ばれる。画像を捕捉することは画像の捕捉とも呼ばれる。つまり、画像は画像センサによって捕捉される。生成された画像は、生成されたときに表示され、したがって生成された、したがって表示された画像である。少なくとも1つの表示されたまたは生成可能なまたは生成された画像は、表示画像とも呼ばれる。少なくとも部分的に光学系を形成する部分領域は、検出領域または受け取り面とも呼ばれる。光学系はカメラ装置の一部として理解されるべきであり、このカメラ装置は、対物レンズとも呼ばれ、画像モチーフの特に実像である光学画像が検出画像によって生成されることができるように、光を集める。特に、部分領域に配置された体積ホログラムは、カメラ装置の光学系を特徴付ける。
【0014】
体積ホログラムは、たとえば、窓ガラスの第1の部分と第2の部分との間に位置するようにスライド状態で配置され、特に、窓ガラスの2つの層の間に埋め込まれ、これらの層と共に導波路を形成する。この導波路は、ホログラフィック導波路とも呼ばれ、たとえば、その体積の内部で少なくとも特定の波長または特定の波長範囲の光を導くことができるように設計されている。導波路に光を導くことは、全反射によって光ガイドに光を導くことに類似している。光学系によっていわゆる記録面を形成するサブエリアは、少なくとも導波路内を案内できない光の波長範囲については、観察者に対して透明である。透明とは、たとえば、窓ガラスまたはその部分領域などの対象物が、少なくとも可視光の大部分すなわち可視光のスペクトルに対して透明に見えること、すなわち可視スペクトルの大部分に対して光が対象物を透過可能であることを理解すべきである。窓ガラスを可能な限り透明にすることができるように、少なくとも1つの体積ホログラムは、特にこの体積ホログラムによって特定のスペクトルの光が伝送されるために、特定のスペクトルの光のみがこの体積ホログラムによって偏向されるように設計される。たとえば、画像を取り込むために必要な光は、光学系として機能する窓ガラスの部分領域から離れる方向に向けることができる。特に、伝送は個々に定義されたスペクトルの光の波長に対してのみ可能であり、残りの光スペクトルは伝送されずに伝搬される。
【0015】
たとえば、特定の波長のレーザまたはレーザスキャナおよび、またはダイオードを、画像を表示するための光源として使用することができる。代替的または追加的に、プロジェクタを光源として使用することができる。ただし、光学機能が異なるため、レーザープロジェクタではDLPまたはLCDプロジェクタのための光学機能は使用できない。ディスプレイ用の光源は、光源からの光が、観察者、たとえば車両の運転者または別のユーザの、視野の外に好ましく供給されるように配置することができる。光の供給を可能な限り効率的にするために、光源と窓ガラスとの間の距離は、可能な限り小さく保つ必要がある。媒体つまり窓ガラスと光源との間の移動は、できるだけ小さくする必要がある。この目的ため、光源は窓ガラスにしっかりと接続されることができる。
【0016】
本発明によるディスプレイ装置により捕捉画像を捕捉することができるようにカメラ装置の感光性画像センサに光を向けるために、カメラ装置の光学系は、体積ホログラムが配置される部分領域によって少なくとも部分的に形成される。代替として、または追加として、複数の体積ホログラムが窓ガラスの透明な部分領域内に配置される可能性があり、少なくとも1つの体積ホログラムを使用して、いわゆる画像生成レベルとして表示画像を生成し、かつそれぞれの場合において、少なくとも1つの体積ホログラムを使用して、取得画像を取得領域として取り込む。部分領域内の光学系として、異なる領域を使用することもできる。それぞれ1つの領域がカメラ装置の画像センサに割り当てられているため、特に異なる記録角度からの複数の画像取得が可能である。本発明にもとづくディスプレイ装置によって、特に少なくとも1つの体積ホログラムを使用して、対象物は、少なくとも1つの表示画像によってユーザに対して3次元的に表示されるだけでなく、少なくとも1つの取得画像によって3次元的に検出されることもできる。信頼性に関しては、本発明によるディスプレイ装置は、構成要素が多数になることを回避するのに役立つことが有利である。この点は、コストの面でも顕著である
【0017】
3次元的なディスプレイは、たとえば導波路を使用したのでは容易に達成することはできない。これには、いくつかの深度レベルまたはホログラフィックな投影が必要になる。本発明の特に大きな利点は、特に運転者の視野から、特に表示および記録要素を取り除くことにあり、これは、たとえばこれらをドアフレームに組み込むことによってなされる。
【0018】
本発明は、特に、以下の知識に基づいている:今日の車両は、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD)を部分的に備えており、これにより、車両の運転者は、視線を維持したまま、視野に直接投影された速度などの車両の状態に関する情報を得ることができる。その結果、車両の運転者は道路から目を離す必要がなくなり、これによって、たとえば交通の安全性を向上させることができる。このテクノロジーの欠点は、たとえば、3Dコンテンツを深度情報とともに物理的に正しく表示することができないことにある。むしろ、たとえば観察者の目の動きを追跡することによって、3D効果を模倣する必要がある。HUDのもう一つの欠点は、スペースを必要とすることである。
【0019】
HUDに代わるものとして、接着剤を塗布したOLEDエレメントや、非照射型LCDフォイルや、SEDディスプレイや、カプセル化されたLEDや、半透明の面を使用して、車両の運転者の視野に情報を視覚的に提示する試みが行われている。前述の手法の欠点は、画像面が画像生成面に対応することである。これにより、表示距離が近い場合の焦点合わせに問題が発生する可能性がある。たとえば、ドライバーの目は生成された画像から路面に視点を変更するときに焦点を変える必要があり、これはたとえば危険な状況の認識に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、LCDフィルムとOLED素子とでは、透明性と耐熱性が問題である。OLEDとSEDとの寿命も、車両の寿命に比べて有利ではない。さらに、物理的な解像度と柔軟性、およびトリミングオプションと前述のディスプレイテクノロジーの制御との点で、車両での使用には理想的ではない。
【0020】
さらに、車両には、周囲の環境を検出することなどに使用されるカメラシステムが搭載されていることがよくある。いくつかの用途では、たとえば、所望のまたは必要な視角に対して、光学系が観察者特に運転者の視野内にあるようにカメラを配置することが有用であり得る。ピクセルを直接評価したり、ピクセルにサブピクセルを設定したり、カメラを表示領域に統合したりするディスプレイに対して、カメラを統合するためのアプローチが存在する。これは、たとえばカメラを組み込むことによって視野が損なわれる可能性があるため、車両の運転者にとって不利である。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、体積ホログラムは光学素子を有し、この光学素子によって、少なくとも1つの第1の点で窓ガラスに入る光は、第1の点とは異なる少なくとも1つの第2の点であって窓ガラスの外側で光を結合させることができるものに導かれる。光が進む経路は、光を反対方向にも進ませることができる。つまり、光は、少なくとも第2の点で結合され、少なくとも第1の点で分離される。それぞれの点の光学素子によって、窓ガラスまたは体積ホログラムに入る光は、有利には、一つに結合され、結合された光は、体積ホログラム内で伝播される。光が、たとえば全反射と同様のプロセスによって体積ホログラム内で擬似的に広がるように体積ホログラム内に存在する場合は、別の光学素子によって第2の点において結合状態で出て行くことができる。これは、特定の光波長に対して実行させることができる。したがって、光学機能とも呼ぶことができるそれぞれの光学素子を、結合素子および、または光用の結合素子として使用することができる。換言すれば、光学素子は、少なくとも光学素子上でその方向を変えることができるように光線を修正することができる。したがって、窓ガラスの外側から光学素子に当たる光ビームはこの光学素子に結合され、窓ガラスの内部を移動する光ビームは、光学素子に当たると、分離されて窓ガラスの外に向けられる。
【0022】
本発明の有利な実施形態では、光源によって提供される光は、第1の点で窓ガラスに結合することができる。換言すれば、特に光学素子によって形成される第1の点は、光が体積ホログラムに結合されるか、または結合されることができる界面を形成する。特に表示画像をその後に表示する目的で、光源からの光を窓ガラスまたは体積ホログラム内に結合するために、光源は、特にこの光源によって放出すなわち供給される光の波長範囲について、第1の点に光伝導方式で接続することができる。
【0023】
本発明の有利な実施形態では、第2の点で窓ガラスの外に出た光は、画像センサによって検出することができる。換言すれば、特に光学素子によって形成される第2の点は、光が出され得るか、または体積ホログラムから出され得るさらなるインターフェースを形成する。窓ガラスまたは体積ホログラムから出る光をカメラ装置によって画像センサに取り込むように方向付けるために、後者は、導光方式で第2の点に接続することができる。
【0024】
上述の2つのインターフェースおよび光学素子により、特に有利な方法で、体積ホログラムを、表示画像の表示および取得画像の取り込みの両方のために使用することが可能である。光学素子の配置は、表示画像および取得画像の解像度を特徴付けることができる。光学素子は、例えば、窓ガラスが光学系として設計されている第1の点で光が結合され、第2の点で光が取り出されて画像センサに供給され得るという利点をもたらす。さらに、光源の光は少なくとも1つの第1の点で結合されることができるとともに、特に人間の観察者が見える画像を生成するために、光を少なくとも1つの第2の点から取り出すことができる。画像は空間の画像面に存在するが、「空間的」ではない。つまり、複数の角度から見ることはできない。これは、ガラス板の前または後ろに存在する透明なフィルムのように考えられる。
【0025】
本発明のさらに有利な実施形態では、部分領域がカメラ装置の光学系全体を形成する。換言すれば、画像センサによる画像の取得のために、体積ホログラムが内部に配置された窓ガラスの部分領域に比べてさらなる部品または光学系は必要とされない。つまり、窓ガラスの部分領域は、対象物またはそれぞれの画像モチーフによって前面および、または背面から放出されて窓ガラスの部分領域に当たる光を受け取って、カメラ装置の画像センサに放出できるように設計されている。このとき、光は、カメラ装置が窓ガラスの前および、または後ろの対象物を示す画像を取得するように、画像センサを露光する。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、画像センサは、窓ガラス上に直接配置され、窓ガラスに直接触れる。画像センサは、このように、たとえばガラス窓上の第2の点に配置される。そこで、光学素子は光を外に出す。これにより、たとえば追加の光ガイドを使用せずに、取り出された光を直接検出することができる。これには、たとえば部品数の増加による干渉を小さく保つことができ、またスペースを節約できるという利点がある。
【0027】
本発明の有利な実施形態では、窓ガラスは、画像センサとは反対側において、画像センサと重なり合うように配置された反射層を有する。あるいは、またはさらに、光吸収層の使用が考えられる。これにより、より多くの光を反射することができるか、または迷光を防ぐことができる。反射層は、たとえば特に第2の点で、画像センサの位置で、窓ガラスまたは体積ホログラムから外に出される光を反射し、それを画像センサ内に向けることができる。適切な配置により、反射層は、光が画像センサに面する側の窓ガラスから直接出ていた場合にこの光が当たるであろう画像センサに対応する点において、この反射層に当たる光を伝導する。これにより、画像センサに当たる光量が増加し、それによって検出画像の品質を向上させることができる。さらに、反射層は、たとえば迷光の入射を低減し、それによって検出画像の品質がさらに向上する。加えて、反射層は、代替的または追加的に、特に光源と重なるように、窓ガラスにおける光源とは反対側に配置することができ、それによって表示画像の光強度を増加させることができる。
【0028】
本発明の有利な実施形態では、体積ホログラムは、窓ガラスの内側に配置された少なくとも1つのフィルムによって形成される。たとえば、フィルムをガラス窓の第1の層に接着することができ、その上にガラス板の第2の層が接着され、それによって、たとえばいわゆるサンドイッチ構造が形成される。体積ホログラムは、フィルムを使用することで特に簡易であり、したがって、窓ガラス上または窓ガラス内にコスト効率よく配置できる。さらに、フィルムを使用することにより、窓ガラスを2次元的および3次元的に湾曲させることができる。複数の体積ホログラムを単純に積み重ねることも可能である。
【0029】
本発明の有利な実施形態では、窓は、車両のサイドガラスまたはフロントガラスとして設計される。窓ガラスが、たとえばサイドガラスとして設計されている場合は、ドアの開閉システムに組み込むことができる。これにより、少なくとも1つの部分領域によって形成されたカメラ装置の光学系によって、車両の運転者または所有者が近づくと、これらの者が検出される。代わりに、運転者は、窓の前または後ろについての画像レベルに関する視覚的なフィードバックを受け取ることができる。これによって、運転者に、車両が開いたことを通知する。画像面は、表示画像が観察者に見える面であり、本発明によるディスプレイ装置によって、画像生成面から独立している。一方、ディスプレイ装置の面がフロントガラスとして設計されている場合は、たとえば、運転者は、車両の状態に関する重要な情報を自分の視野で直接見ることができる。さらに、光学系を使用して、車外の対象物を検出することができる。この対象物についての追加情報は、拡張現実感を使用して、特に視差エラーなしに、検出された対象物の位置で直接に表示することができる。
【0030】
本発明は、特に車両の外側の透明な窓、特にガラス窓において、またはその窓のために、任意の用途で使用することができる。
【0031】
さらに、たとえばLCD素子を用いて、ガラス窓をピクセルの精度で暗くする可能性または装置が提供され、画像コンテンツが明るい外光のもとで表示されることも考えられる。この点は有利である。なぜなら、体積ホログラムの画像コンテンツを限られた明るさでのみ表示でき、したがって背景に比較的速く重ねることができるためである。
【0032】
本発明のさらに有利な実施形態では、観察者は、窓ガラスの前および、または後ろに配置された少なくとも1つの、特に虚または実の画像面で画像を光学的に知覚することができる。ディスプレイ装置における少なくとも1つの体積ホログラムが、複数の画像平面を表すことを可能にする。したがって、さまざまな深度や効果を作ることができる。たとえば、描写される人物の頭は、観察者から見て、画像形成面の後ろにある画像面であるところの、体積ホログラムによって形成される窓ガラスの部分に現れ、また描写される人物の腕は、画像生成面の前にある画像面に描写される。画像生成面の後ろにある画像面は、虚の面と呼ぶことができ、画像生成面の前にある画像面は、いずれの場合も観察者の観察方向で見た場合、実の面と呼ぶことができる。したがって、体積ホログラムを使用して、特に画像面が画像生成面に対応しない、空間深度を伴う可変画像コンテンツを画像化することができる。画像面、すなわち観察者が画像を見ることができる面は、画像生成面と一致する必要はないが、特に観察者の目からより遠くにある可能性があるという事実は、ディスプレイ装置によって表される表示画像を見るときの焦点合わせの問題を引き起こさない。画像の内容をホログラムとして表示することもできるが、2D画像の奥行きを模したものの表示も可能である。画像コンテンツを窓ガラスの前後に表示するディスプレイ装置の可能性を使用して、対象物を空間内に投影したり、情報を表示したりすることができる。たとえば、観察者から離れた位置に表示される情報は、観察者との関連性が低くなる。これにより、観察者にとって、情報の分類がより容易になる。
【0033】
本発明のさらに有利な実施形態では、窓ガラスの部分領域に、不透明な切り替え可能層がさらに設けられる。この層は、たとえば、濃く構成されたLCDフィルムによって形成することができる。これにより、たとえば、フィルムの外側にある光が透過しないような方法で、窓ガラスの片側を暗くすることができる。たとえば、これにより、ディスプレイの背景が落ち着いたり、たとえば明るい周囲の中の画像が、より強調されておよび、またはより高いコントラストで知覚されたりする。さらに、窓ガラスのそれぞれの側のそれぞれの画像を、的を絞った方法で記録することができる。切り替え可能層によって、窓ガラスはスクリーンとしても使用できる。
【0034】
本発明によるディスプレイ装置では、光源からの光が結合することができる。つまり、画像は窓ガラスの任意の側から供給される。体積ホログラムおよび、または光学素子の特性は、たとえばスケーリングや反射などの入力画像の処理に使うことができる。カメラ装置により画像を取り込むために少なくとも1つの体積ホログラムを使用することにより、特に光学系は観察者には知覚できない。したがって観察者は、たとえば、邪魔されずに映画を見るか、または窓ガラスを通して見ることを、行うことができる。この窓ガラスは、テレビ電話にも使用できる。ディスプレイ装置がテレビ電話にも使用できることの利点の1つは、たとえば画像面に取り付けられたカメラによる視差は発生しないことから、画像面と記録面とが一致するため、対話者が直接お互いを見ることができることにある。
【0035】
さらに、特に異なる記録方法および、または焦点距離を有するいくつかの画像センサは、異なる場所に、さらに上下にも、配置することができる。複数の光学系と複数の画像センサとを使用することにより、イメージモチーフの異なる視点を同時に取り込むことが可能であり、そのジオメトリ、または撮影方向に存在する空間について、結論を出すことができる。さらに、カメラ装置は、窓ガラスの両面で画像を取り込むことができる。たとえば、周囲の環境の検出は、ユーザ、たとえば車両の運転者をモニタすることと同時に行うことができる。モニタすることは、たとえば、いわゆるアイトラッキングのために瞳孔の動きを検出することであり得る。
【0036】
画像生成面は、光学系または記録面として、したがって光が入るところの、対象物に対する開口として使用できる。光は、その後に光学素子によって偏向されて画像センサに向けられる。さらに、たとえば窓ガラス内のいくつかの記録面によって、異なる深度や効果を作りだすことができる。たとえば、異なる光スペクトルおよび、またはパースペクティブも、記録することができかつ記録される。
【0037】
少なくとも1つのカメラデバイスによって、少なくとも1つの画像生成レベルで、複数の画像を同時に記録するために体積ホログラムを使用すると、特にコンパクトな設計が可能になる。さらに、互いに隣り合っているおよび、または互いに前後に存在する複数の画像生成面または記録面を使用することにより、構造のための空間をさらに効率的に使用することが可能になる。光源および、またはカメラ装置は、有利には窓ガラスに直接組み込まれる。
【0038】
本発明はまた車両に関し、特に本発明による少なくとも1つのディスプレイ装置を備えた自動車を含む。本発明はまた、本発明によるディスプレイ装置のさらなる発展に関連して既に説明された特徴を有するところの、本発明による車両のさらなる発展を含む。このため、本発明による車両について対応する開発は、ここでは再び説明はしない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】窓ガラスと、窓ガラスにおける透明な部分に配置された体積ホログラムと、光源と、カメラ装置とを備えたディスプレイ装置の第1の実施形態を示す図である。
図2図1のディスプレイ装置における窓ガラスの横断面を示す図である。
図3】第2の実施形態のディスプレイ装置における窓ガラスの横断面を示す図である。
図4】第3の実施形態のディスプレイ装置における窓ガラスの横断面を示す図である。
図5】カメラ装置の2つの画像センサを有する、第4の実施形態による窓ガラスの横断面を示す図である。
図6】それぞれ体積ホログラムを備えた複数の部分領域を有するディスプレイ装置の第5の実施形態を示す図である。
図7】第1の実施形態を側面視の立体図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の例示的な実施形態を以下に説明する。
【0041】
以下に説明する例示的な実施形態は、本発明の好ましい実施形態である。その例示的な実施形態において、実施形態に記載された構成要素は、それぞれ、互いに独立して考慮されるべき本発明の個々の特徴を表し、これもまた、互いに独立して本発明をさらに発展させ、したがって、本発明の一部として示されたもの以外に、個別にまたは組み合わされるものである。さらに、以下に説明される実施形態は、すでに説明された本発明のさらなる特徴によって補足することもできる。
【0042】
図中、同じ機能を有する要素には、それぞれ同じ参照符号が付されている。
【0043】
図1は、少なくとも1つの窓ガラス12と、窓ガラス12における少なくともの透明な部分領域14内に配置された少なくとも1つの体積ホログラム16と、光20が体積ホログラム16に入り込むまたは入る少なくとも1つの光源18とを備えた、車両用のディスプレイ装置10の第1の実施形態を示す。人間の観察者にとって3次元的に見える少なくとも1つの画像22を、体積ホログラム16によって光20から生成することができる。これは、ディスプレイ装置10によって画像22が生成可能であるか、または生成され、それによって画像22が表示されることを意味する。
【0044】
ディスプレイ装置10によって画像22を表示または存在させることに加えて、少なくとも1つの画像を取得できるようにするために、ディスプレイ装置10は、少なくとも1つの感光性画像センサ24を有する少なくとも1つのカメラ装置26と、その光学系28とを有する。これによって、画像センサ24の画像は、検出されることが可能であり、部分領域14によって少なくとも部分的に形成される。
【0045】
画像センサ24は、窓ガラス12上に直接配置されて窓ガラス12に接触することが有利である。それによって、たとえば、画像センサ24に当たる光の損失は、可能な限り少なくなる。これに加えて、図示の実施形態では、光源18は同様に窓ガラス12上に直接配置され、その結果、光20の損失が同様に可能な限り少なくなる。窓ガラスに光を直接入れるか、または窓ガラスから外に光を直接出すかによって、追加の光ガイドを省略でき、それによってコストを節約できる。
【0046】
カメラ装置26を有するディスプレイ装置10により、少なくとも1つのそれぞれの画像を、捕捉すると同時に表示することができる。 少なくとも1つの取り込まれたまたは検出可能な画像は、記録された画像または取り込まれた画像とも呼ばれ、画像22などの、少なくとも1つの表示されたまたは表示される画像は、表示画像とも呼ばれる。この場合、体積ホログラム16が配置される部分領域14によって形成されるところの、表示画像を表示するために使用される画像生成面は、同時に光学系28を形成し、したがって、記録画像を取り込むことができる。これには、構成要素を低減できるという利点があり、それによって信頼性を高め、コストを削減することができる。
【0047】
図示されているディスプレイ装置10の利点は、窓ガラス12が透明であり、そのまま使用し続けることができることにある。さらに、体積ホログラム16を使用することにより、空間コンテンツを生成および捕捉することが可能になる。これは、対象を記録して3次元で表示できることを意味する。さらに、捕捉した画像の画像モチーフを、表ディスプレイ装置10によって直接照らし出すことができる。
【0048】
図2は、図1のディスプレイ装置10の窓ガラス12を通るA−A面に沿った横断面を示す。体積ホログラム16は、窓ガラス12の第1の層30と第2の層32との間に配置される。体積ホログラム16は、窓ガラス12の少なくとも部分領域14内に配置された少なくとも1つのホログラフィックフィルムとして構成することができる。この実施形態およびさらなる実施形態では、ホログラフィック導波路は、2つの層30および32と、これらの層の間に埋め込まれた体積ホログラム16とによって形成される。光線は、光ガイドのように、全反射によって導波路内を伝播する。ホログラフィックフィルムは、たとえば、レーザを使用して光学機能を持つことができる。光学機能の少なくともいくつかは、光学素子34(さらに、図3の42、44)として構成される。これらは光線、特に特定の設定可能な波長を、変調することを可能にする。変調は、たとえば、その波長に応じた少なくとも1つの光ビームの屈折、回折、反射のうちの少なくとも1つであり得る。その結果、光学素子34は光ビームを方向付けることができる。窓ガラス12に入り込んで少なくとも1つの光学素子34に当たる光ビーム41は、光ビーム41を窓の外に出して画像センサ24に向かわせる別の光学素子34に当てられるように、体積ホログラム16内で案内される。
【0049】
光学素子34は、特定の波長範囲の光のみを体積ホログラム16に導くように構成することができる。それにより、体積ホログラム16、したがって導波路すなわち窓ガラス12は、他の波長の光については透明になる。この透明性により、窓ガラス12への非可視の統合が可能になる。
【0050】
複数の光学素子34(図5参照)が、少なくとも部分領域14にわたって、したがって画像生成平面にわたって分布され、それによって光源18からの光を導波路の外に結ぶように構成され、その結果、画像22を表示することができる。表示画像を表すために用いられる光学素子34は、捕捉画像を捕捉するために使用され得る。その代わりに、またはそれに加えて、部分領域14上に少なくとも部分的に分散または配置される複数のさらなる光学素子34によって、光が窓ガラス12に結ぶことができるように少なくとも部分的に光学系28を形成することができる。少なくとも部分的に光学系28を形成するとともに光を窓ガラス12に結ばせる光学素子34を有した、窓ガラスの部分領域14は、検出面と呼ぶことができる。言い換えれば、少なくとも1つの第1の点36たとえば検出面で窓ガラスに入る光は、光学素子34によって、この第1の点36とは異なり、窓ガラスからの光が分離される少なくとも1つの第2の点38に導かれ得る。この第2の点38で、光は、たとえば画像センサ24によって検出され得る。
【0051】
カメラ装置26による画像の取得または取得の用途ために、光学系28は、窓ガラス12の部分領域14によって形成される。画像センサ24を用いて取得画像を取り込むときに可能な限り最高の光収量を得るために、反射層40が、画像センサ24と重なり合うように、画像センサとは反対側39における窓ガラス12上に設けられる。カメラ装置16のハウジング43は、たとえば窓ガラス12に接着され、自由に移動可能な画像スタビライザーをその内部に有することができ、その結果、ぼやけた画像を防止することができる。同様に、光源18には、さらなる画像安定器、いわゆるブレ防止装置が、接着され、および/または備えられることもできる。または、ソフトウェアを用いた画像安定器を実装することもできる。
【0052】
少なくとも1つの特定の波長範囲の光を搬送することができるというホログラフィック導波路または体積ホログラム16の特性により、画像センサ24および/または光源18は、視野の外に配置することができる。
【0053】
図2に示すカメラ装置26の代わりに、光源18を点38に配置することができる。その結果、図示された光ビーム41は、光源18から出射され、体積ホログラム16を反対方向に通過し、したがって点36を窓ガラス12から切り離す。窓ガラス12の部分領域14は、表示画像を生成するための光20が窓ガラス12から離れる箇所、すなわち窓ガラス12から取り出される箇所であるが、イメージング面とも呼ばれる。イメージング面は、部分領域14と一致する。光学素子34と、画像センサ24と、光源18とのうちの少なくともいずれかは、点36および、または38において、結合と、連結および分離の同時発生とが起こり得るように、構成することができる。
【0054】
図3は、ディスプレイ装置10の第2の実施形態における、窓ガラス12を通るA−A面に沿った横断面を示す。図2に示す実施形態と比較して、この第2の実施形態は、さらなる光学素子42を有する。この光学素子42は光学素子34に比べて波長の異なる光を結合するように構成され、さらなる光学素子42のそれぞれは窓ガラス12の中に設けられる。これとは対照的に、光学素子44は、3つの異なる波長の光を結合するように構成されている。
【0055】
図4は、ディスプレイ装置10の第3の実施形態の、窓ガラス12を通るA−A面に沿った横断面を示す。図3に示す実施形態とは対照的に、この実施形態は、異なる波長の光を偏向できる光学素子44を有さずに、第1の波長のための光学素子34と、第2の波長のための光学素子42とを備える。光学素子34は、たとえば赤外範囲の光を結合または分離することができ、光学素子42は、たとえば、紫外範囲の光を結合または分離することができる。このようにして、それぞれの光を、それぞれの波長の光を受け取るのに適した画像センサ24に向けることができる。たとえば、2つの異なるカメラ装置26を使用して、異なる光スペクトルを分離することができる。
【0056】
異なる光学機能すなわち光学素子34、42、44を使用することにより、一定範囲の光スペクトルを内外で結合することができ、その結果、光を、その波長またはその波長範囲に応じて、異なる場所に伝播することができる。このようにして、たとえば異なる画像を、たとえば赤外線、紫外線、可視光のために、異なるカメラ装置26を用いて取り込むことができる。
【0057】
図5は、第4の実施形態にもとづく、窓ガラス12の断面を示し、ディスプレイ装置10は、カメラ装置26における2つの画像センサ24を有する。それぞれが光学素子34を有するところの明るく図示されたピクセル46は、カメラ装置26における第1の光学系28を表す。各々がやはり光学素子34を有するところの暗く図示されたピクセル48は、カメラ装置26における第2の光学系28を表す。ピクセル46および48は部分領域14内に配置され、それぞれが、それぞれの記録画像の解像度を決定する。2つの光学系28は、それぞれ一方がピクセル46を含み、他方がピクセル48を含み、画像モチーフの取得のための2つの異なる視野をもたらす。それらは重なり合い、その結果、2つの取得画像は互いにわずかにずれる。これは、たとえば、後で画像を効果的に使用する場合に適用できる。
【0058】
図6は、複数の部分領域14を有する、ディスプレイ装置10の第5の実施形態を示す。ここで、体積ホログラム16は、いずれの場合も部分領域14上に設けられる。これらの体積ホログラム16のそれぞれは、それぞれのカメラ装置26におけるそれぞれの光学系28を少なくとも部分的に含む。ここで、それぞれの光学系28は、窓ガラス12のそれぞれの部分領域14内の光を検出し、それぞれの場合に検出光を画像センサ24に導くように構成されている。4つの画像センサ24は、窓ガラス12における狭い側に配置され、第5の画像センサ24は、窓ガラス12の端表面に配置される。図示の実施形態では、5つの異なる立体的な画像モチーフが可能である。
【0059】
図7は、ディスプレイ装置10の第1の実施形態を再び側面立体図で示す。ここで、観察者50は、窓ガラス12についての第1の側に位置されて、窓ガラス12の反対側の第2の側の対象52を見つめる。窓ガラスの部分領域14は、少なくとも1つの第1の捕捉画像が窓ガラス12の第1の側で捉えられ、かつ少なくとも1つの第2の捕捉画像が、窓ガラス12における、観察者50とは反対側すなわち第1の側とは反対側で捉えられるように構成される。車両が完成された状態では、たとえば、第1の側は車両の内部に面しており、このため第2の側は車両の内部から離れて面している。
【0060】
特に第1の検出画像によって観察者50の目の位置を検出することによって、および特に第2の検出画像によって対象52を検出することによって、たとえば電子計算装置によって、視線55と窓ガラス12との交点53を計算することができる。この交点53は、コンテンツの表示、たとえば、いわゆる「拡張現実」を、位置決めするのに役立つ。このコンテンツは、光源18によって窓ガラス12に供給されるとともに、体積ホログラム16の画像生成レベルを介して部分領域14に出力され得る。これにより、観察者50ためのバーチャル画像54が作製され、このバーチャル画像は、観察者が窓ガラス12の外側に知覚できる画像面に存在するように見える。ただし、観察者50側にも画像を表示することができる。いくつかの異なる画像レベルを実現できる。
【0061】
記録された画像は電子計算装置によって処理される。このいわゆる画像処理では、たとえば、前部および後部光ビーム、すなわち、窓ガラス12のそれぞれの側に記録された光を分離することができ、かつ2つの別個の画像を生成することができる。深さ情報は、たとえばライトフィールドを介してこれらのそれぞれの画像から直接、またはたとえばステレオ法を使用した後続の計算によって、取得することができる。このようにして生成されたデータは、たとえば観察者50から対象52への視線55を決定するなどの、さらなる計算の基礎を提供する。この視線55と光学媒体すなわち窓ガラス12との交点53は、図示のように対象を表示するために、たとえば対象をバーチャル画像54としてフレームのまわりに位置させるために、使用することができる。さらに、窓ガラス12の両側で同時に画像を捕捉する可能性によって、たとえば、画像取得中における検出面でのそれぞれのピクセル46、48のそれぞれの検出点を通るベクトルによって、画像取得時に両側の画像要素間に既に一定の関係があるという可能性を与える。これにより、後続の画像処理、たとえば重なり合う画像の分離や画像分析、たとえば対象の検出などの、重要な結論を引き出すことができる。
【0062】
特に、窓ガラスを透過する所定の波長または波長範囲は、窓ガラス12の透明度に影響を与える。したがって、たとえば視線の方向を認識するために瞳孔をモニタリングすることだけが検出される場合に、可視光に対する窓ガラス12の透明度が変化しないように、赤外線波長の範囲の光が使用されることが、有利であり得る。
【0063】
全体として、上記した異なる実施形態の例は、従来のレンズの代わりに少なくとも1つの体積ホログラム16から形成された少なくとも1つの光学系28を備えた少なくとも1つのカメラ装置26を含むディスプレイ装置10によって、本発明が3次元画像の捕捉をどのように実現するかを示す。体積ホログラム16は、窓ガラス12における部分領域14の内部に形成される。ホログラフィック導波路すなわち体積ホログラム16は、視野の外側に配置され得る画像センサ24に加えて、異なる視野での記録を可能にする。加えて、捕捉された画像モチーフは、特に光学素子34、42、44によって、たとえば、スケーリング、曲げ、反射の少なくともいずれかによって、電子的な後処理を低減できるように変更することができる。
【0064】
表示画像の画像出力および検出画像の画像記録は、いずれの場合も、異なる光スペクトルを使用することと、並列および、または前後に配置された、すなわち積み重ねられた複数の体積ホログラム16を使用することとの、少なくともいずれかによって、実現することができる。その結果、さまざまな効果を使用して、たとえば、異なる焦点距離や異なるバーチャル画像レベルを表示することができる。さらに、それぞれの部分領域14が別の焦点面での検出に対応するように、それぞれの光学系28のそれぞれの焦点を設定することができる。さらに、異なる光学素子34、42、44により、および画像スタビライザーの使用により、画像面と、画像フォーマットと、解像度との少なくともいずれかを変更することができる。その結果、ディスプレイ装置10は、一種の鏡頂部として使用することができ、その個々の画像は、異なる視点からの完全な画像をもたらす。
【0065】
窓ガラス12の断面に対する全高の極端な比が選択される場合、非常に明るい光学系28が最小の空間で実現され得る。たとえば、部分領域14が窓ガラス12の表面全体に及ぶ場合は、表面全体を目的の開口部として使用することができる。これにより、特に効率的な、重量の削減、ひいてはコストの削減が可能になり、航空宇宙産業などの分野でもディスプレイ装置10の使用が可能になる。
【0066】
さらに、「大きな窓ガラス12−小さな画像センサ24」の比率で、小さな画像センサ24は、たとえば、より高い光吸収、より深い被写界深度、および、またはより大きなステレオ幅などの、より大きな画像センサの利点を提供できるように操作できる。これにより、重要な領域においてスマートフォンなどのコンパクトで弱光用である画像センサを使用できるようになる。
【0067】
さらに、画像センサ24はもはや所要の記録位置に設置する必要がない。その結果、特に柔軟なシステムを実現することができ、または、たとえばエンジン内やオーブン内などの環境条件の悪い場所で画像を撮ることができる。
【0068】
本発明のさらなる適用分野は、以下のとおりであり得る:
【0069】
光学素子34、42、44は、たとえば、ハイパスフィルタおよび、またはローパスフィルタとして、および、またはカラーシフトのために、使用することができる。窓ガラス12は、たとえば、ミラーおよび、またはモニタとして使用できるようにコーティングすることができる。このコーティングは、反射することはできないが、不透明にすることができ、かつオンまたはオフに切り替えることができる。カップリングアウト導波路とカップリングイン導波路の組み合わせを使用して、窓ガラス12の全体が入出力媒体として機能する、いわゆる「構造化光アプリケーション」を作製することができる。その結果、いわゆる「エリアライト」と同様に、影になる領域を減らすことができる。加えて、人間の目には見えない波長範囲で干渉画像が生成され、それによって、たとえば、乗員の保護を確保し、および/または窓ガラス12にて鳥などの動物に対し警告を行うことができる。さらに、窓ガラス12は、特にそれぞれの体積ホログラム16の異なる焦点面によって、フラットベッドスキャナとして使用することができる。たとえば車両のサイドウィンドウで画像取得することは、生体認証機能を検出することにも使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7