特許第6971399号(P6971399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971399フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971399
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20211111BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01Q1/22 Z
   H01Q9/28
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-524646(P2020-524646)
(86)(22)【出願日】2018年11月6日
(65)【公表番号】特表2021-501539(P2021-501539A)
(43)【公表日】2021年1月14日
(86)【国際出願番号】KR2018013338
(87)【国際公開番号】WO2019088788
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年5月1日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0146687
(32)【優先日】2017年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】521094676
【氏名又は名称】クリーモ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ハン・ソプ
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ユン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ウォン・ビン
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−063321(JP,A)
【文献】 特開2007−251625(JP,A)
【文献】 特開2003−347827(JP,A)
【文献】 特開2017−175540(JP,A)
【文献】 特開2008−219322(JP,A)
【文献】 特開平10−126146(JP,A)
【文献】 特開2000−138512(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0078005(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0079674(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01367671(EP,A2)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0130612(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層と、
前記誘電層上に配置され、アンテナ駆動集積回路チップと接続される複数のパッド部と、
前記誘電層上に配置され、放射パターンと、前記放射パターンと前記パッド部との間で延長し、前記放射パターン及び前記パッド部を仲介する伝送ラインとを含む複数のアンテナパターンとを含
前記パッド部のそれぞれは、前記アンテナパターンのそれぞれに提供され、前記放射パターンおよび前記伝送ラインは、それぞれ提供された前記パッド部の側壁に対して所定の傾斜角で傾斜して配置される、フィルムアンテナ。
【請求項2】
前記放射パターン及び前記伝送ラインが互いに同一の傾斜角で延長する、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項3】
前記放射パターン及び前記伝送ラインが、前記パッド部の側壁に対して互いに異なる傾斜角で配向される、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項4】
前記アンテナパターンは、前記パッド部の側壁に対して互いに反対方向に傾斜した複数のアンテナパターンを含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項5】
前記パッド部の側壁に対して平行に延長するアンテナパターンをさらに含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項6】
前記傾斜角は5度(°)以上であり、90度未満である、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項7】
前記誘電層の下に配置されたグランド層をさらに含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項8】
前記アンテナパターンは、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項9】
前記アンテナパターンの周辺に形成されたダミーパターンをさらに含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項10】
前記アンテナパターン及び前記ダミーパターンは、メッシュ構造を含む、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項11】
請求項1〜1のいずれか一項に記載のフィルムアンテナを含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、電極および誘電層を含むフィルムアンテナ、並びにそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi−Fi)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
最近では、移動通信技術が進化するにつれて、超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが前記ディスプレイ装置に結合される必要がある。また、前記ディスプレイ装置がよりコンパクトになることにより、前記アンテナの前記ディスプレイ装置に含まれた表示パネル間の距離又はスペースも減少し、実質的に前記アンテナは前記ディスプレイ装置に一体化され得る。
【0004】
この場合、前記アンテナからの伝播又は放射によって、前記ディスプレイ装置または表示パネルに含まれた構造物(例えば、薄膜トランジスタ、発光素子など)の動作が影響を受けることがある。
【0005】
したがって、前記アンテナの放射又は伝播方向をコントロールして、画像品質に影響を与えることなく、信号感度を向上させることが必要である。
【0006】
例えば、韓国公開特許第2003−0095557号は、携帯用端末に内蔵されるアンテナ構造を開示しているが、前述の問題に対する解決策は提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した信号の送受信効率及び放射信頼性を有するフィルムアンテナを提供することである。
【0008】
本発明の課題は、向上した信号の送受信効率及び放射信頼性を有するフィルムアンテナを含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.誘電層と、前記誘電層上に配置されたパッド部と、前記誘電層上に配置され、前記パッド部に対して傾斜して配向されたアンテナパターンとを含む、フィルムアンテナ。
【0010】
2.前記項目1において、前記アンテナパターンは、放射パターンと、前記放射パターン及び前記パッド部を仲介する伝送ラインとを含む、フィルムアンテナ。
【0011】
3.前記項目2において、前記放射パターン及び前記伝送ラインが共に前記パッド部に対して傾斜する、フィルムアンテナ。
【0012】
4.前記項目3において、前記放射パターン及び前記伝送ラインが互いに同じ傾斜角で延長する、フィルムアンテナ。
【0013】
5.前記項目3において、前記放射パターン及び前記伝送ラインが、前記パッド部に対して互いに異なる傾斜角で配向される、フィルムアンテナ。
【0014】
6.前記項目1において、前記アンテナパターンは、前記パッド部に対して反対方向に傾斜した複数のアンテナパターンを含む、フィルムアンテナ。
【0015】
7.前記項目1において、前記パッド部に対して平行に延長するアンテナパターンをさらに含む、フィルムアンテナ。
【0016】
8.前記項目1において、前記アンテナパターンは、前記パッド部の側壁に対して所定の傾斜角で配向される、フィルムアンテナ。
【0017】
9.前記項目8において、前記傾斜角は5度(°)以上であり、90度未満である、フィルムアンテナ。
【0018】
10.前記項目1において、前記誘電層の下に配置されたグランド層をさらに含む、フィルムアンテナ。
【0019】
11.前記項目1において、前記アンテナパターンは、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、フィルムアンテナ。
【0020】
12.前記項目1において、前記アンテナパターンの周辺に形成されたダミーパターンをさらに含む、フィルムアンテナ。
【0021】
13.前記項目12において、前記アンテナパターン及び前記ダミーパターンは、メッシュ構造を含む、フィルムアンテナ。
【0022】
14.前記項目1〜13のいずれかに記載のフィルムアンテナを含む、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態に係るフィルムアンテナにおいて、放射パターン及び伝送ラインをパッド部に対して傾斜して配列することができる。これにより、例えば、−Z軸方向への放射を減少させ、前記放射パターンの信号強度又は信号損失を減少させることができる。
【0024】
また、前記フィルムアンテナがディスプレイ装置に搭載される場合には、前記−Z軸方向への放射による前記ディスプレイ装置の誤動作、画像妨害の発生を抑制することができる。
【0025】
前記フィルムアンテナは、3G以上、例えば5G高周波帯域の送受信が可能な移動通信機器を含むディスプレイ装置に適用され、放射特性および画像品質を共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図2図2は、例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略断面図である。
図3図3は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図4図4は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図5図5は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図6図6は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図7図7は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図8図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態は、パッド部に対して所定の角度で傾斜して延長する放射パターンを含み、サイドローブ(side lobe)の発生が抑制され、信号信頼性が向上したフィルムアンテナを提供するものである。
【0028】
前記フィルムアンテナは、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記フィルムアンテナは、例えば、3G〜5G移動通信のための通信機器に適用できる。
【0029】
また、本発明の実施形態は、前記フィルムアンテナを含むディスプレイ装置を提供するものである。
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0031】
図1及び図2は、それぞれ例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略的な平面図および断面図である。
【0032】
フィルムアンテナ50は、それぞれ第1方向及び第2方向に延びる辺を含み、例えば、前記第1方向及び前記第2方向は、同一平面上で互いに直交することができる。前記第1方向は水平方向(または幅方向)、前記第2方向は垂直方向(または長手方向)と定義することができる。
【0033】
図1及び図2を参照すると、フィルムアンテナ50は、誘電層100上に配置されたアンテナパターン及びパッド部116を含むことができる。
【0034】
誘電層100は、前記アンテナパターンが形成されるフィルムアンテナ50のフィルム基材として機能することができる。誘電層100は、所定の誘電率を有する絶縁物質を含むことができる。誘電層100は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、金属酸化物などの無機絶縁物質を含むことができる。
【0035】
誘電層100は、透明樹脂物質を含むこともできる。例えば、誘電層100は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を含むこともできる。
【0036】
一部の実施形態では、誘電層100の誘電率は、約1.5〜12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0037】
前記アンテナパターンは、放射パターン112と、伝送ライン114とを含むことができる。
【0038】
放射パターン112は、伝送ライン114と一体に接続することができる。例えば、放射パターン112は、伝送ライン114と接続される突出部を中央部に含むことができる。
【0039】
伝送ライン114は、例えば、前記アンテナパターンのフィーディング(feeding)ラインで提供することができる。伝送ライン114は、放射パターン112の前記突出部からパッド部116に延長することができる。
【0040】
図1に示すように、パッド部116は、リセスを内部に含み、伝送ライン114は、パッド部116の前記リセスの内部に挿入できる。
【0041】
図1に示す放射パターン112及びパッド部116の形状は例示的なものであり、放射効率などを考慮して適宜変更することができる。
【0042】
例示的な実施形態によると、前記アンテナパターンは、所定の角度でパッド部116に対して傾斜して延長することができる。
【0043】
例えば、前記アンテナパターンの放射パターン112をパッド部116に対して傾斜して配置することができる。放射パターン112の傾斜角θは、放射パターン112の延長方向とフィルムアンテナ50の第2方向(例えば、長手方向)への辺との間の角度と定義することができる。放射パターン112の傾斜角θは、放射パターン112の延長方向とパッド部116の側辺116aとの間の角度と定義することもできる。
【0044】
一部の実施形態では、伝送ライン114もまた、放射パターン112と共にパッド部116に対して傾斜して配置することができる。一実施形態では、伝送ライン114の傾斜角と放射パターン112の傾斜角は、実質的に同一であってもよい。
【0045】
一部の実施形態では、伝送ライン114は、末端部114aを含み、末端部114aは、パッド部116の前記リセス内に挿入することができる。末端部114aは、パッド部116の長手方向(例えば、第2方向)と実質的に平行にすることができる。この場合、伝送ライン114は、末端部114aを除いた部分が傾斜するように延長することができる。
【0046】
図2に示すように、誘電層100上には、第1の導電層110が配置され、第1の導電層110は、前述した前記アンテナパターン及びパッド部116を包括することができる。
【0047】
前記アンテナパターン及び/又はパッド部116は、それぞれ銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、又はこれらの合金を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。例えば、前記アンテナパターンは、低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金を含むことができ、例えば、銀−パラジウム−銅(APC)合金を含むことができる。
【0048】
前記アンテナパターン及び/又はパッド部116は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)などの透明金属酸化物を含むこともできる。
【0049】
誘電層100の下には、第2の導電層90を配置することができる。例示的な実施形態では、第2の導電層90は、前記フィルムアンテナのグランド層で提供することができる。この場合には、第2の導電層90及びパッド部116を接続するコンタクトまたは接続グランドパターンを誘電層100内に形成することができる。
【0050】
一部の実施形態では、第2の導電層90は、フィルムアンテナの別の構成として含むことができる。一部の実施形態では、フィルムアンテナが搭載されるディスプレイ装置の導電性部材をグランド層で提供することもできる。
【0051】
前記導電性部材は、例えば、ディスプレイパネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極、スキャンライン又はデータラインなどの各種の配線、または画素電極、共通電極などの各種の電極を含むことができる。
【0052】
第2の導電層90は、金属、合金、透明金属酸化物などの導電物質を含むことができる。
【0053】
前述の例示的な実施形態によると、前記アンテナパターンをパッド部116に対して傾斜して配列することにより、フィルムアンテナ50のサイドローブ(side lobe)の発生を抑制または低減することができる。
【0054】
例えば、フィルムアンテナ50がOLEDパネル又はLCDパネルのような表示パネル上に積層または挿入される場合には、所望の垂直方向への放射(例えば、+Z軸方向)のほか、前記表示パネルへの(例えば、−Z軸方向)伝播及び放射が前記サイドローブとして発生することがある。
【0055】
この場合には、前記−Z軸方向のサイドローブにより、前記表示パネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)、OLED層での発光特性が変形または妨害されることがある。また、液晶層における液晶分子の配向が変形または妨害されることもある。
【0056】
これに対して、例示的な実施形態によると、前記アンテナパターンの配向をパッド部116に対してずれるように調節することにより、−Z軸方向への放射又は伝播の発生を低減することができる。これにより、フィルムアンテナ50の所望の放射特性のみを確保するとともに、前記表示パネルの動作妨害を防止することができる。
【0057】
一部の実施形態では、前述したように、誘電層100の下に第2の導電層90を配置することができ、第2の導電層90は、グランド層として機能することができる。例えば、前記アンテナパターンに傾斜角を形成することにより、前記アンテナパターンと第2の導電層90との間の抵抗を増加させることができる。これにより、第2の導電層90の方向(例えば、−Z軸方向)へのサイドローブの発生を低減することができる。
【0058】
前記アンテナパターンの傾斜角θは、0度(°)よりも大きく、90度よりも小さい範囲で選択することができる。前述した−Z軸方向の放射を効果的に抑制するために、前記アンテナパターンの傾斜角θは、5度以上に設定できる。
【0059】
例えば、前記傾斜角が増加しながらサイドローブの大きさは減少し、それにより、フィルムアンテナ50のビーム幅(beam width)が減少し得る。したがって、フィルムアンテナ50の波長選択性またはゲイン量が増加し得る。
【0060】
前記傾斜角は絶対値を示し、時計回り又は反時計回りへの角度の両方を含むことができる。例えば、図1において、前記アンテナパターンは、パッド部116または伝送ライン114の末端部114aに対して右に傾斜角を形成することもできる。
【0061】
図1では、説明を容易にするために1つのアンテナパターンのみを示しているが、複数のアンテナパターンを誘電層100上に配列することができる。
【0062】
図3は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図3を参照すると、フィルムアンテナ52に含まれた放射パターン112と伝送ライン114の傾斜角は、互いに異なるように設定されてもよい。
【0063】
例えば、伝送ライン114は、第1の傾斜角θ1を有し、放射パターン112は、第2の傾斜角θ2を有することができる。一部の実施形態では、放射パターン112の第2の傾斜角θ2が、伝送ライン114の第1の傾斜角θ1よりも大きくてもよい。
【0064】
伝送ライン114の傾斜角を放射パターン112の傾斜角よりも小さく配向し、前述した−Z軸方向のサイドローブを遮断しながら放射パターン112とパッド部116との間の離隔距離を維持することができる。例えば、伝送ライン114は、放射パターン112とパッド部116との間の仲介パターンまたは緩衝パターンとして機能することができる。
【0065】
図4は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図4を参照すると、フィルムアンテナ54は、誘電層100上に配置された複数のアンテナパターンを含み、互いに反対方向に傾斜したアンテナパターンを含むことができる。
【0066】
例えば、フィルムアンテナ54は、互いに反対方向に傾斜した第1のアンテナパターン及び第2のアンテナパターンを含むことができる。前記第1のアンテナパターンは、第1の放射パターン212a及び第1の伝送ライン214aを含み、前記第2のアンテナパターンは、第2の放射パターン212b及び第2の伝送ライン214bを含むことができる。
【0067】
図4に示すように、前記第1のアンテナパターン及び前記第2のアンテナパターンは、パッド部216a,216bに対して互いに反対方向に傾斜角を形成することができる。
【0068】
例えば、第1の放射パターン212a及び第1の伝送ライン214aを含む前記第1のアンテナパターンは、第1のパッド部216aに対して反時計回り(例えば、左方向)に傾斜することができる。第2の放射パターン212b及び第2の伝送ライン214bを含む前記第2のアンテナパターンは、第2のパッド部216bに対して時計回り(例えば、右方向)に傾斜することができる。
【0069】
前記第1のアンテナパターンの傾斜角θa及び前記第2のアンテナパターンの傾斜角θbの絶対値は、実質的に互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0070】
前述したように、互いに異なる方向の傾斜角で配向された複数のアンテナパターンを含むことにより、サイドローブの防止効果をより均一にフィルムアンテナ54の全領域にわたって実現することができる。
【0071】
図5は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図5を参照すると、フィルムアンテナ56は、複数のアンテナパターンを含むことができる。一部の実施形態では、前記複数のアンテナパターンは、パッド部に傾斜して配向されたアンテナパターン、及びパッド部に平行なアンテナパターンを共に含むことができる。
【0072】
例えば、前記アンテナパターンは、第1〜第3のアンテナパターンを含むことができる。前記第1のアンテナパターンは、第1の放射パターン212a及び第1の伝送ライン214aを含むことができる。前記第2のアンテナパターンは、第2の放射パターン212b及び第2の伝送ライン214bを含むことができる。前記第3のアンテナパターンは、第3の放射パターン212c及び第2の伝送ライン214cを含むことができる。
【0073】
前記第1及び第2のアンテナパターンは、それぞれ第1のパッド部216a及び第2のパッド部216bに対して所定の角度で傾斜して配向することができる。例えば、図4で説明したように、前記第1及び第2のアンテナパターンは、互いに反対方向に傾斜して配向することもできる。
【0074】
前記第3のアンテナパターンは、第3のパッド部216cの側壁に対して実質的に平行に(例えば、傾斜角を形成せず)延長することができる。例えば、前記第3のアンテナパターンは、前記第2方向に延長することができる。
【0075】
一実施形態では、図5に示すように、前記第3のアンテナパターンの周辺に前記第1及び第2のアンテナパターンを配列することができる。例えば、前記第3のアンテナパターンを含めて+Z軸方向の放射を強化し、前記第1及び第2のアンテナパターンにより−Z軸方向のサイドローブの発生を抑制することができる。
【0076】
図6及び図7は、一部の実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図6及び図7を参照すると、放射パターン112および伝送ライン114を含むアンテナパターンは、メッシュ構造を含むことができる。一部の実施形態では、前記アンテナパターンの周辺には、ダミーパターン120が配列され、ダミーパターン120もまた、前記アンテナパターンと実質的に同一または類似のメッシュ構造を含むことができる。
【0077】
前記アンテナパターンをメッシュ構造に形成することにより、フィルムアンテナの透過度を向上させることができる。また、メッシュ構造のダミーパターン120を含むことにより、パターン形状の違いによるアンテナパターンの視認を防止することができる。
【0078】
図6及び図7には、明確に図示されていないが、前記アンテナパターンとダミーパターン120との間には、メッシュ構造が切断された絶縁領域または分離領域が形成され、前記アンテナパターンを区画することができる。
【0079】
図6に示すように、パッド部116もまたメッシュ構造を含むように形成することができる。
【0080】
図7に示すように、一部の実施形態では、パッド部117は、メッシュ構造ではない、実質的に中身が詰まった(solid)構造を有することができる。この場合には、放射パターン112は、メッシュ構造で形成して透過度および光学特性を確保し、パッド部117は、中身が詰まった構造に形成して信号感度および低抵抗特性を実現することができる。
【0081】
例えば、パッド部117は、ディスプレイ装置の周辺部またはベゼル部に配置され、実質的に表示画像に影響を与えないようにすることができる。
【0082】
一部の実施形態では、パッド部117は、放射パターン112とは異なるレベル又は異なる層に配置することができる。例えば、放射パターン112および伝送ライン114上に絶縁層(図示せず)を形成し、前記絶縁層上にパッド部117を配置することができる。
【0083】
前記絶縁層内には、パッド部117と伝送ライン114を電気的に接続するコンタクト(図示せず)を形成することができる。
【0084】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。
【0085】
図8を参照すると、ディスプレイ装置200は、表示領域210および周辺領域220を含むことができる。周辺領域220は、例えば、表示領域210の両側部及び/又は両端部に配置することができる。
【0086】
一部の実施形態では、前述したフィルムアンテナは、ディスプレイ装置200にパッチの形で挿入することができる。一部の実施形態では、前記フィルムアンテナのアンテナパターンが全体的にディスプレイ装置200の表示領域210と重畳してもよい。一部の実施形態では、前記アンテナパターンの放射パターン112(図1を参照)は、表示領域210と重畳し、パッド部116(図1を参照)は、周辺領域220に対応するように配置することができる。
【0087】
周辺領域220は、例えば、画像表示装置の遮光部又はベゼル部に相当し得る。また、周辺領域220には、ディスプレイ装置200及び/又は前記フィルムアンテナのICチップのような駆動回路を配置することができる。
【0088】
前記フィルムアンテナのパッド部116を前記駆動回路に隣接するように配置することにより、信号の送受信経路を短縮して信号損失を抑制することができる。
【0089】
前述のように、放射パターン112を含むアンテナパターンを傾斜して配向し、表示領域210での−Z軸方向の放射を抑制することができる。これにより、ディスプレイ装置200の画像品質を低下させることなく、高信頼性の放射特性を実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8