特許第6971408号(P6971408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971408
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-540666(P2020-540666)
(86)(22)【出願日】2018年10月17日
(65)【公表番号】特表2021-500194(P2021-500194A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】CN2018110684
(87)【国際公開番号】WO2019076325
(87)【国際公開日】20190425
【審査請求日】2020年4月7日
(31)【優先権主張番号】201710985383.6
(32)【優先日】2017年10月20日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201810414365.7
(32)【優先日】2018年5月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520122770
【氏名又は名称】ペキン・メッド−ゼニス・メディカル・サイエンティフィック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING MED−ZENITH MEDICAL SCIENTIFIC COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイ・ガオシー
(72)【発明者】
【氏名】リー・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・イーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ・チンリアン
(72)【発明者】
【氏名】クー・ダニアン
(72)【発明者】
【氏名】マン・ジェン
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104873307(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアと修復部材とを含む低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムであって、前記コンベアは、前記修復部材のリリース動作を行うことが可能であり、操作ハンドルと、位置決めピンと、アウターチューブクランプと、アウター搬送チューブと、搬送針と、プッシュチューブとを含み、前記修復部材は、アンカー部材と、接続線とを含み、前記アウターチューブクランプは、前記位置決めピンと前記アウター搬送チューブの端面とをクランプするように構成されている、ことを特徴とする低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項2】
前記操作ハンドルは、タイロッドと、プッシュハンドルと、グリップと、リリースボタンと、スライドキーと、セキュリティボタンとを含み、前記タイロッドは前記プッシュチューブに接続され、前記プッシュハンドルは前記タイロッドの外部に外嵌されており、前記プッシュハンドルは前記搬送針に接続され、前記グリップは前記プッシュハンドルの外部に外嵌されており、前記グリップは前記アウター搬送チューブに接続され、前記タイロッドと前記プッシュハンドルの両方に射出機構が設けられ、前記タイロッドと前記プッシュハンドルはバネにより伝動可能であり、前記位置決めピンは前記アウター搬送チューブの外面に外嵌され、前記アウター搬送チューブは前記搬送針の外面に外嵌され、前記プッシュチューブは前記搬送針の内部に位置し、前記搬送針の内部の前記修復部材をリリースさせるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項3】
前記タイロッドに、排気インターフェースと、血液を密封可能で、接続線が切断されるようにカット可能な管状構造とが設けられ、前記タイロッドの外側と前記プッシュハンドルの内側との間には、バネ機構が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項4】
前記プッシュハンドルの内側には、前記タイロッドの射出を制御するように配置された係止キーが設けられ、前記プッシュハンドルの外側と前記グリップの内側との間にはバネ機構が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項5】
前記スライドキーは前記グリップに位置し、トリガーリリース部分は前記プッシュハンドルに位置し、前記プッシュハンドルが引き離されると、前記スライドキーをリリース位置にスライドさせ、係止キーをアンロックして、さらにタイロッドをリリースさせることができることを特徴とする請求項4に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項6】
前記リリースボタンは前記グリップに設けられ、前記リリースボタンをトリガーした後、即時に前記プッシュハンドルの射出をトリガーすることができ、前記スライドキーは、前記プッシュハンドルが射出された後に前記係止キーをトリガーして、前記タイロッドの射出をトリガーすることができることを特徴とする請求項4に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項7】
前記グリップには、誤操作を防止するためのセキュリティボタンが設けられており、前記セキュリティボタンは、誤操作による前記リリースボタンのトリガーを防止するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項8】
前記位置決めピンの先端と前記アウター搬送チューブの先端とが平行となるように前記位置決めピンと前記アウターチューブクランプとが結合することにより、手術中の出血の停止及び埋め込み位置の弁葉の損傷の回避を実現することを特徴とする請求項2に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項9】
前記アンカー部材は、金属や高分子材料からなり、弁葉にアンカーされるように配置されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項10】
前記接続線は、前記アンカー部材に接続され、高分子材料からなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項11】
前記修復部材は前記コンベアに接続され、操作ハンドル内には内から外へそれぞれプッシュチューブ、搬送針、アウター搬送チューブである3重のカニューレが設けられており、前記操作ハンドルは、タイロッドと、プッシュハンドルと、グリップとを含み、
前記プッシュハンドルは前記タイロッドの外部に外嵌され、前記グリップは前記プッシュハンドルの外部に外嵌されており、
前記操作ハンドル内に、第1チューブベース、第2チューブベース、第3チューブベースが設けられ、前記タイロッドは前記第1チューブベースに接続され、前記プッシュハンドルは前記第2チューブベースに接続され、前記グリップは前記第3チューブベースに接続されており、
前記プッシュチューブは、一端が前記第1チューブベースに接続され、他端が前記第2チューブベースの中心を貫通し、前記搬送針は、一端が第2チューブベースに接続され、他端が第3チューブベースの中心を貫通し、
前記アウター搬送チューブは、一端が第3チューブベースに接続され、他端がアウターチューブクランプ及び位置決めピンの中心を貫通し、前記アンカー部材は前記接続線に接続されることを特徴とする請求項1に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項12】
前記第1チューブベースには第1係合溝が設けられ、前記プッシュチューブには第1係合片が設けられ、前記第1係合溝と第1係合片とは構造的に結合されており、
前記第2チューブベースには第2係合溝が設けられ、前記搬送針には第2係合片が設けられ、前記第2係合溝と前記第2係合片とは構造的に結合されており、
前記第3チューブベースには第3係合溝が設けられ、前記アウター搬送チューブには第3係合片が設けられ、前記第3係合溝と前記第3係合片とは構造的に結合されることを特徴とする請求項11に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項13】
前記タイロッドの外側と前記プッシュハンドルの内側との間に第1バネ機構が設けられ、前記第1バネ機構によって前記タイロッドと前記プッシュハンドルとが伝動接続されており、
前記プッシュハンドルの外側と前記グリップの内側との間に第2バネ機構が設けられ、前記第2バネ機構によって前記プッシュハンドルと前記グリップとが伝動接続されることを特徴とする請求項11に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項14】
前記タイロッドには、排気インターフェースと、テンター装置と、管状構造と、前記プッシュハンドル内でスライド可能な第1スリップキーとが設けられ、前記管状構造は、血液を密封可能であり、且つ接続線が切断されて前記アンカー部材が前記コンベアから離脱するようにカットされることが可能であり、
前記テンター装置は、ワイヤークランプと、第1バネとを含み、前記ワイヤークランプは前記接続線に接続されることを特徴とする請求項11に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項15】
前記プッシュハンドル内には、前記タイロッドがスライドする第1スリップ溝が設けられ、前記第1スリップ溝は前記第1スリップキーにフィットし、前記プッシュハンドルの外部には、前記グリップ内でスライド可能な第2スリップキーが設けられていることを特徴とする請求項14に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項16】
前記プッシュハンドルには、一端に第2バネが設けられていて、第2バネの調整によってタイロッドをロックする係止キーが内部に設けられた方形構造が設けられていることを特徴とする請求項15に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項17】
前記グリップには、スライドキーと、プッシュハンドルがスライドする第2スリップ溝とが設けられ、前記第2スリップ溝は前記第2スリップキーにフィットし、前記スライドキーは前記グリップの尾部に位置して、前記プッシュハンドルが引き離されると、前記スライドキーがリリース位置にスライド可能となり、前記スライドキーは前記プッシュハンドルが射出される際に前記係止キーをアンロックして、さらに前記タイロッドの射出をトリガーすることを特徴とする請求項16に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項18】
前記グリップの先端にリリースボタンが設けられ、前記リリースボタンの下端に第3バネが設けられ、前記プッシュハンドルが引き離されると、前記リリースボタンは第3バネによって前記プッシュハンドルをロックし、前記リリースボタンがトリガーされると、前記プッシュハンドルの射出がトリガーされることができることを特徴とする請求項11に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項19】
前記グリップには、リリースボタンに隣接して設けられ、且つ尾部に第4バネが設けられていて、第4バネの弾性力によってロックを保持するセキュリティボタンがさらに設けられていることを特徴とする請求項18に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【請求項20】
前記グリップには、セキュリティボタンに隣接して設けられ、セキュリティボタンのアンロック後のリセットに用いられるセキュリティボタンリセット孔がさらに設けられていることを特徴とする請求項19に記載の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年10月20日に中国特許局に出願された出願番号2017109853836、名称を「低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム」とする中国特許出願、及び2018年5月3日に中国特許局に出願された出願番号2018104143657、名称を「低侵襲手術で弁葉修復を行うシステム」とする中国特許出願の優先権を主張するものであり、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に、低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
低侵襲手術は、人体への創傷が少なく、幅広く適用されつつある医療技術である。多くの低侵襲インプラント機器を埋め込むためには、ハンドルを操作して多くの複雑なステップを遂行する必要がある。術者にこれらのステップを容易に且つ便利に遂行させることが低侵襲機器の発展方向の一つである。
【0004】
正常な弁膜は、血液の一方向のスムーズな流動を保障することができ、チャンバの血液を逆流させることなく効率的にポンピングすることができる。リウマチ性心疾患、心内膜炎等の多くの疾患による弁膜の障害によって弁膜の機能が損なわれ、狭窄及び逆流が通常の弁膜疾患である。狭窄は、弁膜が完全に開かれないため血流を阻害することであり、弁葉のカルシウム化による増厚が狭窄を引き起こす通常の要因である。逆流は、弁葉が完全に閉じられないため血液がポンピングされているチャンバに還流してしまうことであり、弁輪が拡張したり、弁葉が垂れ落ちたり、弁葉の動きが阻害されたりすることが逆流を引き起こす要因である。
【0005】
二尖弁及び三尖弁は弁輪に付着された小葉からなり、これらの小葉は自由縁で腱索によって支持され、腱索は心室の内壁及び乳頭筋に付着される。しかしながら、これらの腱索のうちの一本又は複数本が弛んだり、破れたりすることにより、弁膜が垂れ落ちてしまい、心房と心室との間に正常に設置されている密封が損なわれて、心臓の収縮時に血液が心房に還流することになる。
【0006】
しかし、現在の関連技術においては、弁葉修復手術における埋め込み操作が難しく、術者にとって手術強度や難易度が大きい。
【発明の概要】
【0007】
そこで、本願では、心臓を止めることなく手術を完成して、弁葉の機能を正確に修復できる低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムを提供する。操作が簡単で、ワンクリックでリリース及び修復操作を実現することができて、手術中の操作難易度や患者の苦痛を低減させる。
【0008】
本願で採用される技術形態は以下のようである。
コンベアと修復部材とを含む低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムであって、コンベア(搬送器具)は、連動リリース動作を行うことが可能であり、操作ハンドルと、位置決めピンと、アウターチューブクランプと、アウター搬送チューブと、搬送針と、プッシュチューブとを含み、修復部材は、アンカー部材と、接続線とを含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、操作ハンドルは、タイロッドと、プッシュハンドルと、グリップと、リリースボタンと、スライドキーと、セキュリティボタンとを含み、タイロッドはプッシュチューブに接続され、プッシュハンドルはタイロッドの外部に外嵌されており、プッシュハンドルは搬送針に接続され、グリップはプッシュハンドルの外部に外嵌されており、グリップはアウター搬送チューブに接続され、タイロッドとプッシュハンドルの両方に射出機構が設けられ、タイロッドとプッシュハンドルはバネにより伝動可能であり、位置決めピンはアウター搬送チューブの外面に外嵌され、アウター搬送チューブは搬送針の外面に外嵌され、プッシュチューブは搬送針の内部に位置し、搬送針の内部の修復部材をリリースさせるためのものである。
【0010】
さらに、タイロッドに、排気インターフェースと、血液を密封可能で、接続線が切断されるようにカット可能な管状構造とが設けられ、タイロッドの外側とプッシュハンドルの内側との間には、バネ機構が設けられている。
【0011】
さらに、プッシュハンドルの内側には、タイロッドの射出を制御するための係止キーが設けられ、プッシュハンドルの外側とグリップの内側との間にはバネ機構が設けられている。
【0012】
さらに、スライドキーはグリップに位置し、トリガーリリース部分はプッシュハンドルに位置し、プッシュハンドルが引き離されると、スライドキーをリリース位置にスライドさせ、係止キーをアンロックして、さらにタイロッドをリリースさせることができる。
【0013】
さらに、リリースボタンは、グリップに設けられ、リリースボタンをトリガーした後、即時にプッシュハンドルの射出をトリガーすることができ、スライドキーは、プッシュハンドルが射出された後に係止キーをトリガーして、タイロッドの射出をトリガーすることができる。
【0014】
さらに、グリップには、誤操作を防止するセキュリティボタンが設けられており、セキュリティボタンは、誤操作によるリリースボタンのトリガーを防止するためのものである。
【0015】
さらに、位置決めピンの先端とアウター搬送チューブの先端とが揃えられるように位置決めピンとアウターチューブクランプとが結合することにより、手術中の出血の停止及び埋め込み位置における弁葉の保護を実現する。
【0016】
さらに、アンカー部材は金属や高分子材料からなり、弁葉にアンカーされる。
【0017】
さらに、接続線はアンカー部材に接続され、高分子材料からなる。
【0018】
本開示の一実施例において、修復部材はコンベアに接続され、操作ハンドル内には、内から外へそれぞれプッシュチューブ、搬送針、アウター搬送チューブである3重のカニューレが設けられており、操作ハンドルは、タイロッドと、プッシュハンドルと、グリップと含み、プッシュハンドルはタイロッドの外部に外嵌され、グリップはプッシュハンドルの外部に外嵌されており、操作ハンドル内に左から右への延長方向に、第1チューブベース、第2チューブベース、第3チューブベースが順に設けられ、タイロッドは第1チューブベースに接続され、プッシュハンドルは第2チューブベースに接続され、グリップは第3チューブベースに接続されており、プッシュチューブは、一端が第1チューブベースに接続され、他端が第2チューブベースの中心を貫通し、搬送針は、一端が第2チューブベースに接続され、他端が第3チューブベースの中心を貫通し、アウター搬送チューブは、一端が第3チューブベースに接続され、他端がアウターチューブクランプ及び位置決めピンの中心を貫通し、アンカー部材は、接続線に接続される。
【0019】
さらに、第1チューブベースには第1係合溝が設けられ、プッシュチューブには第1係合片が設けられ、第1係合溝と第1係合片とは構造的に結合されており、第2チューブベースには第2係合溝が設けられ、搬送針には第2係合片が設けられ、第2係合溝と第2係合片とは構造的に結合されており、第3チューブベースには第3係合溝が設けられ、アウター搬送チューブには第3係合片が設けられ、第3係合溝と第3係合片とは構造的に結合される。
【0020】
さらに、タイロッドの外側とプッシュハンドルの内側との間に第1バネ機構が設けられ、第1バネ機構によってタイロッドとプッシュハンドルとが伝動接続されており、プッシュハンドルの外側とグリップの内側との間に第2バネ機構が設けられ、第2バネ機構によってプッシュハンドルとグリップとが伝動接続される。
【0021】
さらに、タイロッドには、排気インターフェースと、テンター装置と、管状構造と、プッシュハンドル内でスライド可能な第1スリップキーとが設けられ、管状構造は、血液を密封可能であり、且つ接続線が切断されてアンカー部材がコンベアから離脱するようにカットされることが可能であり、テンター装置は、ワイヤークランプと、第1バネとを含み、ワイヤークランプは接続線に接続される。
【0022】
さらに、プッシュハンドル内には、タイロッドがスライドする第1スリップ溝が設けられ、第1スリップ溝は第1スリップキーにフィットし、プッシュハンドルの外部には、グリップ内でスライド可能な第2スリップキーが設けられている。
【0023】
さらに、プッシュハンドルには、一端に第2バネが設けられていて、第2バネによってタイロッドをロックする係止キーが内部に設けられた方形構造が設けられている。
【0024】
さらに、グリップには、スライドキーと、プッシュハンドルがスライドする第2スリップ溝とが設けられ、第2スリップ溝は、第2スリップキーにフィットし、スライドキーはグリップの尾部に位置して、プッシュハンドルが引き離されると、スライドキーがリリース位置にスライド可能となり、スライドキーはプッシュハンドルが射出される際に係止キーをアンロックして、さらにタイロッドの射出をトリガーする。
【0025】
さらに、グリップの先端にリリースボタンが設けられ、リリースボタンの下端に第3バネが設けられ、プッシュハンドルが引き離されると、リリースボタンは第3バネによってプッシュハンドルをロックし、リリースボタンがトリガーされると、プッシュハンドルの射出がトリガーされることができる。
【0026】
さらに、グリップには、リリースボタンに隣接して設けられ、且つ尾部に第4バネが設けられていて、第4バネの弾性力によってロックを保持するセキュリティボタンがさらに設けられている。
【0027】
さらに、グリップには、セキュリティボタンに隣接して設けられ、セキュリティボタンのアンロック後のリセットに用いられるセキュリティボタンリセット孔がさらに設けられている。
【0028】
従来技術に比べて、本願による有益な効果は以下のようである。本願の低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムは、コンベアと修復部材とを含み、コンベアと修復部材は連動リリース動作を行うことができる。コンベアは、操作ハンドルと、位置決めピンと、アウターチューブクランプと、アウター搬送チューブと、搬送針と、プッシュチューブとを含み、修復部材は、アンカー部材と、接続線とを含む。本願によるシステムは、心臓を止めることなく手術を完成することができ、超音波、胸腔鏡、腹腔鏡のような現代の映像機器のナビゲーション機能を利用して、弁葉を正確に修復することができ、操作が簡単で、ワンクリックでリリース及び修復操作を実現することができて、手術中の操作難易度や患者の苦痛を低減させ、手術の成功率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本願による操作ハンドルの断面図である。
図2図2は、本願によるコンベアの非操作ハンドル部分の構造の模式図である。
図3図3は、本願による弁葉修復システムの修復部材の設置模式図である。
図4図4は、本願による第1チューブベースとプッシュチューブの分解図である。
図5図5は、本願による第2チューブベースと搬送針の分解図である。
図6図6は、本願による第3チューブベースとアウター搬送チューブの分解図である。
図7図7は、本願によるテンター装置及び管状構造の結合模式図である。
図8図8は、本願による第1スリップ溝の位置図である。
図9図9は、本願による第2スリップ溝の位置図である。
図10図10は、本願による第2スリップキーの位置図である。
図11図11は、本願による操作ハンドルの先端の構造の模式図である。
図12図12は、本願による操作ハンドルの斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。
図1及び図3に示すように、図1は、本願による操作ハンドルの構造の模式図であり、図3は、本願による弁葉修復システムの修復部材の設置模式図である。本願による低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムは、コンベアと、修復部材21とを含み、修復部材21はコンベアに接続される。ここで、修復部材21は、アンカー部材と、接続線とを含み、アンカー部材は接続線に接続される。修復部材21の接続線は、プッシュチューブ11を貫通してタイロッド1のワイヤークランプ28に接続され、アンカー部材はプッシュチューブ11の端部に載置され、搬送針10の内部に位置する。ここで、アンカー部材は金属や高分子材料からなり、弁葉にアンカーされる。接続線は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルなどの高分子材料で製造されるものである。
【0031】
コンベアは、操作ハンドルと、位置決めピン19と、アウターチューブクランプ20と、アウター搬送チューブ9と、搬送針10と、プッシュチューブ11とを含む。本願の実施例において、操作ハンドルは、タイロッド1と、プッシュハンドル2と、グリップ3と、リリースボタン7と、スライドキー6と、セキュリティボタン8と、を含む。タイロッド1の外部にはプッシュハンドル2が外嵌されている。プッシュハンドル2の外部にはグリップ3が外嵌されている。タイロッド1の外側でありプッシュハンドル2の内側には第1バネ機構12が外嵌されており、タイロッド1とプッシュロッド2が第1バネ機構12によって伝動可能であることにより、タイロッド1がプッシュハンドル2に対して軸方向に移動することができる。プッシュハンドル2の外側には、第2バネ機構13が外嵌されており、プッシュハンドル2とグリップ3が第2バネ機構13によって伝動可能であることにより、プッシュハンドル2がグリップ3に対して軸方向に移動することができる。
【0032】
プッシュハンドル2内には係止キー5が設けられており、係止キー5はバネ機構によりタイロッド1の射出の規制を実現し、プッシュハンドル2内には、タイロッド1と、タイロッド1を射出させる第1バネ機構12と、タイロッド1がスライドするスリップ溝が収容されてもよく、プッシュハンドル2の外部にはグリップ3内でスライド可能なスリップキーが設けられている。グリップ3にはスライドキー6が設けられ、プッシュハンドル2が引き離されると、スライドキー6が係止キーをトリガーする位置に自動的にスライドする。グリップ3にはリリースボタン7が設けられ、リリースボタン7が押下されると、プッシュハンドル2は第2バネ機構13によって前向きに射出される。グリップ3内には、プッシュハンドル2がスライドする位置決め溝が設けられており、プッシュハンドル2が第2バネ機構13によって前向きに射出されると、スライドキー6が係止キー5をトリガーし、さらに、タイロッド1が第1バネ機構12によって前向きに射出されることになる。グリップ3には、リリースボタン7を制御し、誤操作によるリリースボタン7のトリガーを防止するためのセキュリティボタン8が設けられている。
【0033】
操作ハンドル内には3重のカニューレが設けられ、内から外へそれぞれプッシュチューブ11、搬送針10、アウター搬送チューブ9である。位置決めピン19(図2を参照)は、アウター搬送チューブ9の外面に外嵌され、アウター搬送チューブ9は搬送針10の外面に外嵌されていて、プッシュチューブ11は、搬送針10の内部に位置して、修復部材のリリースに用いられる。操作ハンドル内には、左から右への(図1の方位を基準とする)延長方向に第1チューブベース14、第2チューブベース15、第3チューブベース16が順に設けられている。タイロッド1は第1チューブベース14に接続され、プッシュハンドル2は第2チューブベース15に接続され、プッシュチューブ11は、一端が第1チューブベース14に接続され、他端が第2チューブベース15の中心を貫通している。搬送針10は、一端が第2チューブベース15に接続され、他端が第3チューブベース16の中心を貫通している。アウター搬送チューブ9は、一端が第3チューブベース16に接続され、他端がアウターチューブクランプ20及び位置決めピン19の中心を貫通している。
【0034】
図4は本願による第1チューブベースとプッシュチューブの分解図である。図5は本願による第2チューブベースと搬送針の分解図である。図6は本願による第3チューブベースとアウター搬送チューブの分解図である。図4図6を参照すると、さらに、第1チューブベース14には第1係合溝22が設けられ、プッシュチューブ11には第1係合片25が設けられ、第1係合溝22と第1係合片25とは構造的に結合されている。プッシュチューブ11における第1係合片25の下方の部分は、接着剤によって第1チューブベース14に接着されている。第2チューブベース15には第2係合溝23が設けられ、搬送針10には第2係合片26が設けられ、搬送針10における第2係合片26下方の部分は接着剤によって第2チューブベース15に接着されている。第2係合溝23と第2係合片26とは構造的に結合されている。第3チューブベース16には第3係合溝24が設けられ、アウター搬送チューブ9には第3係合片27が設けられ、アウター搬送チューブ9における第3係合片27下方の部分は接着剤によって第3チューブベース16に接着されている。第3係合溝24と第3係合片27とは構造的に結合されている。接着させることで、チューブとチューブベースを密封し、チューブの回動及びチューブのチューブベースからの離脱を防止することができる。また、係合片と係合溝との結合により、射出の過程で衝撃力によってチューブが変位してチューブベースから離脱してしまうことを防止することができる。なお、理解すべきことは、本願の他の実施例において、プッシュチューブ11、搬送針10、アウター搬送チューブ9とそれぞれに対応されるチューブベースとの接続形態は、係合片と係合溝との結合及び接着による接続形態ではなく、ファスナーにより接続されてもよい。図7は、本願によるテンター装置及び管状構造の結合模式図である。図7を参照すると、タイロッド1には、排気インターフェース17、テンター装置、管状構造4、プッシュハンドル2内でスライド可能な第1スリップキー18と(図1を参照)が設けられ、管状構造4は、血液を密封可能であり、接続線が切断されるようにカットされることが可能である。管状構造4と修復部材21の接続線をカットすると、アンカー部材のコンベアからの離脱が可能となる。テンター装置のポートには、排気インターフェース17が設けられており、テンター装置は、ワイヤークランプ28とバネ29を含み、ワイヤークランプ28は修復部材21の接続線に接続される。図8は本願による第1スリップ溝の位置図である。図9は本願による第2スリップ溝の位置図である。図10は本願による第2スリップキーの位置図である。図8図10を参照すると、さらに、第1バネ機構12はタイロッド1を射出させるためのものであり、プッシュハンドル2内にはタイロッド1がスライドする第1スリップ溝30がさらに設けられ、第1スリップ溝30はタイロッド1の第1スリップキー18にフィットする。グリップ3内には、プッシュハンドル2がスライドする第2スリップ溝31が設けられ、第2スリップキー32は、グリップ3の第2スリップ溝31にフィットする。
【0035】
図11は本願による操作ハンドルの先端の構造の模式図である。図12は本願による操作ハンドルの斜視構成図である。図11及び図12を参照すると、プッシュハンドル2の左側に方形構造が設けられ、方形構造内に係止キー5が設けられ、方形構造内のスリップ溝に沿って係止キー5が上下移動可能である。係止キー5の下端には、第2バネ(図示せず)が設けられており、係止キー5は、第2バネによって前記タイロッド1をロックする。
【0036】
リリースボタン7は、グリップ3の先端(即ち、図1に示す右端)に位置し、グリップ3の先端内部のスリップ溝によって上下移動しており、下端に第3バネ(図示せず)が設けられており、第3バネの弾性力によってプッシュハンドル2に対するロックを保持する。
【0037】
本願の実施例では、グリップ3に、プッシュハンドル2がスライドする第2スリップ溝31が設けられ、第2スリップ溝31は第2スリップキー32にフィットする。スライドキー6は、グリップ3の尾部(即ち、図1に示す左端)に位置し、グリップ3の尾部のスリップ溝と案内柱、及びバネの弾性力によって運動する。プッシュハンドル2が引き離されると、スライドキー6はリリース位置に自動的にスライドし、プッシュハンドル2が射出されると、係止キー5をアンロックしてタイロッド1をトリガーし、タイロッド1が第1バネ機構12によって前向きに射出される。
【0038】
グリップ3には、セキュリティボタンリセット孔33がさらに設けられており、本願の一実施例において、セキュリティボタン8はリリースボタン7に隣接して設けられ、セキュリティボタンリセット孔33はセキュリティボタン8に隣接して設けられ、セキュリティボタン8はグリップ3の先端内部のスリップ溝によりスライドする。セキュリティボタン8はリリースボタン7の誤作動による修復部材14の意図しないリリースを防止する。セキュリティボタンリセット孔33は、セキュリティボタン8のアンロック後のリセットに用いられる。
【0039】
本願の実施例では、位置決めピン19の先端とアウター搬送チューブ9の先端とが平行になるように、位置決めピン19をアウターチューブクランプ20と結合して使用することで、手術中の血液の密封及び埋め込み位置の弁葉への保護を実現することができる。本願の実施例による低侵襲手術で弁葉修復を行うシステムは、操作が簡単で、ワンステップでリリース及び修復動作が実現することができ、手術中の操作の難易度や患者の苦痛を低減させる。心臓を止めずに手術を完成し、超音波、胸腔鏡、腹腔鏡のような現代の映像機器のナビゲーション機能を利用して、弁葉機能を正確に修復することができる。また、本願によるセキュリティボタンは、誤操作による意図しないボタンのトリガーの発生を防止することができる。セキュリティボタンの保護が解除された後、バースト状態のためハンドル操作を一時的に中断する必要があるとき、セキュリティボタンリセット孔によって、セキュリティボタンを保護状態に再び復帰させることができる。操作ハンドルに設けられたテンター装置によれば、人工腱索がリリースされた後に「T」字状の構造に自動的に引き伸ばされることができ、人工腱索が射出された後も「−」字状に保持されて弁葉から容易に離脱することを回避することができる。本願の実施例による操作ハンドルは、それぞれチューブとチューブベースとの二つの部分からなる3重のカニューレにより構成される。三つのチューブにはいずれも係合片が設けられており、三つのチューブベースにはいずれも係合溝が設けられている。チューブにおける係合片の下方の部分は接着剤によってチューブベースに接着されるとともに、チューブの係合片はチューブベースの係合溝と結合される。該構成によると、接着させることで、チューブとチューブベースを密封して、チューブの回動及びチューブのチューブベースからの離脱を防止することができる利点がある。また、係合片と係合溝との結合により、射出の過程で衝撃力によってチューブが変位してチューブベースから離脱してしまうことを防止することができる。
【0040】
以上の一連の詳細な説明は、本願の実施可能な実施形態についての具体的な説明に過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。当業者が備える知識範囲内で、本願の要旨を逸脱しない範囲でなされた様々な変更は本願の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願による弁葉修復システムは、低侵襲手術における弁葉の修復に好適であり、操作が簡単で、ワンステップでリリース及び修復操作を完了することができ、且つ手術中の操作の難易度や患者の苦痛を低減させ、手術の成功率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…タイロッド、2…プッシュハンドル、3…グリップ、4…管状構造、5…係止キー、6…スライドキー、7…リリースボタン、8…セキュリティボタン、9…アウター搬送チューブ、10…搬送針、11…プッシュチューブ、12…第1バネ機構、13…第2バネ機構、14…第1チューブベース、15…第2チューブベース、16…第3チューブベース、17…排気インターフェース、18…第1スリップキー、19…位置決めピン、20…アウターチューブクランプ、21…修復部材、22…第1係合溝、23…第2係合溝、24…第3係合溝、25…第1係合片、26…第2係合片、27…第3係合片、28…ワイヤークランプ、29…バネ、30…第1スリップ溝、31…第2スリップ溝、32…第2スリップキー、33…セキュリティボタンリセット孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12