特許第6971434号(P6971434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6971434
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/333 20060101AFI20211111BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B41M5/333 220
   B41M5/42 220
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2021-545751(P2021-545751)
(86)(22)【出願日】2021年2月8日
(86)【国際出願番号】JP2021004529
【審査請求日】2021年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2020-33448(P2020-33448)
(32)【優先日】2020年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】平井 健二
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 佑香
(72)【発明者】
【氏名】緑川 佳美
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−43363(JP,A)
【文献】 特開2019−136983(JP,A)
【文献】 特開2019−43005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28−5/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、少なくとも2種のウレア化合物を含有し、第1のウレア化合物が下記一般式(化1)で表され、第2のウレア化合物が下記一般式(化2)で表される感熱記録体。
【化1】
(式中、Rは、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。)
【化2】
(式中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、mは0~2の整数を表す。)
【請求項2】
前記第1のウレア化合物が、下記一般式(化3)で請求項1に記載の感熱記録体。
【化3】
(式中、Rはアルキル基又はアルコキシ基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
【請求項3】
前記第1のウレア化合物において、Rが炭素数が1〜4のアルキル基を表し、nが0〜1の整数を表し、ベンゼン環中のRの位置が4位である、請求項に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記第2のウレア化合物が、下記一般式(化4)又は下記一般式(化5)で表される請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【化4】
【化5】
【請求項5】
前記感熱記録層中の前記第1のウレア化合物の含有量(固形分)が1.0〜50.0重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項6】
前記感熱記録層中の前記第2のウレア化合物の含有量(固形分)が5.0〜50.0重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項7】
前記感熱記録層中の前記第2のウレア化合物の含有量が、前記第1のウレア化合物1.0重量部に対して、0.1〜30.0重量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項8】
前記感熱記録層が、第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物以外の顕色剤を含有し、前記感熱記録層中に含有される全顕色剤に対する、第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物の合計含有量(固形分)が90重量%以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項9】
更に、前期感熱記録層上に保護層を設けた、請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)と電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)との発色反応を利用した感熱記録体であって、耐油性に優れ、更に耐熱性、耐可塑剤性、印字走行性に優れる感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色のロイコ染料と顕色剤とを含有する塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、スーパーマーケットやコンビニなどのレシート等の記録媒体として広範囲に使用されている。
近年、感熱記録体は、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用など多様な用途にも拡大してきており、そのため、耐水性、画像部の耐可塑剤性、白紙部の耐熱性、耐油性、過酷な条件下における画像部及び白紙部の保存性など様々な性能が必要とされてきている。
このような要求に対して、特定の2種類の顕色剤を組み合わせて用いることにより、耐水性、画像部の耐可塑剤性、白紙部の耐熱性などを向上させた感熱記録体(特許文献1)や、感熱記録体の発色濃度、白色度、及び印字部の保存性などの要求性能を向上させるための顕色剤としてのウレア化合物(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−80852
【特許文献2】国際公開WO2019/044462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、感熱記録体に求められる様々な性能のうち耐油性に優れ、更に耐熱性、耐可塑剤性、印字走行性に優れる感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、感熱記録層に、顕色剤として、少なくとも2種類の特定のウレア化合物を含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、少なくとも2種のウレア化合物を含有し、第1のウレア化合物が下記一般式(化1)で表され、第2のウレア化合物が下記一般式(化2)で表される感熱記録体である。
【化1】
(式中、Rは、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。)
【化2】
(式中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発色性能を有しつつ、耐油性が良好な感熱記録体を提供することができ、さらに、耐熱性、耐可塑剤性、印字走行性が良好な感熱記録体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の感熱記録体は、支持体上に、無色ないし淡色のロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層が顕色剤として少なくとも2種のウレア化合物(下記第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物を含む。)を含有する。
以下、本発明の感熱記録体の感熱記録層で使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤、顔料などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することが可能である。
【0008】
本発明で用いる第1のウレア化合物は下式(化1)で表される。
【化1】
【0009】
一般式(化1)中、Rは、置換若しくは無置換であってもよい、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。このアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜12である。このアラルキル基の炭素数は好ましくは7〜12であり、このアリール基炭素数は好ましくは6〜12のである。また、これらが置換されている場合、その置換基は、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン原子である。また、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。
一般式(化1)のベンゼン環中のR−SO−O−の位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは、3位、4位又は5位である。
【0010】
このアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが挙げられる。
【0011】
このアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、m−エチルベンジル基、p−エチルベンジル基、p−i−プロピルベンジル基、p−t−ブチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、m−メトキシベンジル基、o−メトキシベンジル基、m,p−ジ−メトキシベンジル基、p−エトキシ−m−メトキシベンジル基、p-フェニルメチルベンジル基、p−クミルベンジル基、p−フェニルベンジル基、o−フェニルベンジル基、m−フェニルベンジル基、p−トリルベンジル基、m−トリルベンジル基、o−トリルベンジル基、p−クロロベンジル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアラルキル基などが挙げられる。
【0012】
このアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、メシチレン基、p−エチルフェニル基、p−i−プロピルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、t−ブチル化ナフチル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアリール基などが挙げられる。
【0013】
は、水素原子又はアルキル基、好ましくは水素原子を表し、このアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などである。
一般式(化1)のベンゼン環中のRの位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは3位、4位又は5位である。
【0014】
本発明の第1のウレア化合物として、下記一般式(化3)で表されるウレア化合物が好ましい。
【化3】
一般式(化3)中、Rはアルキル基又はアルコキシ基、好ましくはアルキル基であり、nは0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数を表す。このアルキル基の炭素数は、例えば、1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。
一般式(化3)のベンゼン環中のRの位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは3位、4位又は5位、好ましくは4位である。
【0015】
また、本発明の第1のウレア化合物として、例えば、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−エチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−5−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−プロピル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)−4−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−イソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−t−ブチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m,p−ジメトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−エトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−プロポキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−ブトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クミルベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クミルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明で用いる第2のウレア化合物は下式(化2)で表される。
【化2】
【0017】
一般式(化2)中、R〜Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基である。
特に、R、R、R、Rとしては、水素原子が好ましく、Rとしては、水素原子、又はアルキル基が好ましい。Rとしては、特にアルキル基が好ましい。
このアルキル基(アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基に含まれるものを含む。)、及びアリール基(アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールアミノ基に含まれるものを含む。)については、上記一般式(化1)中のアルキル基及びアリール基と同様に定義される。
このアルコキシ基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルコキシ基であり、炭素数は好ましくは1〜12である。
一般式(化2)のベンゼン環中の−O−(CONH)−SO−置換フェニル基の位置は、好ましくは、3位、4位又は5位である(下記一般式(化4)及び一般式(化5)においても同じ。)。
一般式(化2)中、mは0〜2、好ましくは0〜1の整数を表す。
【0018】
本発明の第2のウレア化合物として、下記一般式(化4)又は下記一般式(化5)で表されるウレア化合物が好ましい。
【化4】
【化5】
【0019】
本発明の感熱記録層中の前記第1のウレア化合物の同含有量は、1.0〜50.0重量%、好ましくは1.0〜40.0重量%である。また、前記第2のウレア化合物の含有量(固形分)は、5.0〜50.0重量%、好ましくは5.0〜40.0重量%である。
また、本発明の感熱記録層中の前記第2のウレア化合物の含有量は、前記第1のウレア化合物1.0重量部に対して、好ましくは0.1〜30.0重量部、より好ましくは0.5〜25.0重量部、更に好ましくは1.0〜20.0重量部、特に好ましくは2.0〜15.0重量部である。
本発明の感熱記録層中の前記第2のウレア化合物の含有量が、前記第1のウレア化合物1.0重量部に対して、0.1重量部以上、特に1.0重量部以上であると、高い発色感度及び画像濃度を有し、かつ優れた耐油性を備えている感熱記録体が得られる。
【0020】
本発明の感熱記録層は、前記第1のウレア化合物及び前記第2のウレア化合物以外の顕色剤を使用してもよく、このような顕色剤として、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、N−[2−(3−フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−214として入手可能であり、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−224として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0021】
本発明の感熱記録層が、第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物以外の顕色剤を含有する場合、感熱記録層中に含有される全顕色剤(前記第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物を含む)に対する、第1のウレア化合物及び第2のウレア化合物の合計含有量(固形分)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。
【0022】
本発明で使用するロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0023】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0024】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0025】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
【0026】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0027】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0028】
本発明で使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドなどを例示することができる。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
本発明で使用する顔料としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられ、要求品質に応じて併用することもできる。
【0030】
本発明で使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0031】
また、本発明では架橋剤を併用することもできる。架橋剤としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等のエピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミド尿素系樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素系樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、又はポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等のポリアミン/ポリアミド系樹脂、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニ
ウムなどを例示することができる。
【0032】
本発明において、感熱記録層にバインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を、それぞれ含有させると、耐水性が特に良好となるため好ましい。
本発明において、感熱記録層にバインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を、それぞれ含有させると、耐水性が特に良好となる理由は、次のように推測される。
【0033】
カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミン部分あるいはアミド部分との間で架橋反応(第1の耐水化)が起こる。次に、カルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂で形成された親水性の架橋部位とポリアミン/ポリアミド系樹脂の親水性部位とが引き合うため、この架橋部位はポリアミン/ポリアミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態、つまり親水性のある架橋部位が疎水性基で水から保護された状態(第2の耐水化)となる。そのため、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤との反応部位に極めて高い疎水性が付与され、耐水性が特に良好となるものと推測される。
【0034】
本発明の感熱記録層で使用するカルボキシル基含有樹脂は、主にカルボキシル基を有するものであればいずれでもよく、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリルなどのカルボキシル基を有する一官能性アクリルモノマーを含むアクリル系樹脂、酸化澱粉、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボキシ変性ポリビニルアルコールなどを例示することが可能である。
特に、カルボキシル基含有樹脂がカルボキシ変性ポリビニルアルコールである場合、画像部の耐可塑剤性及び白紙部の耐熱性が更に良好になるため好ましい。これは、前述の架橋反応に加え、更にポリアミン/ポリアミド系樹脂のカチオン性部位が、カルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と架橋反応するためと推測される。
【0035】
本発明の感熱記録層で使用するカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、又はこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的には、特開昭53−91995号公報の実施例1もしくは4に例示されている製造方法等が挙げられる。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの鹸化度は72〜100mol%であることが好ましく、重合度は500〜2400であることが好ましく、1000〜2000であることがより好ましい。
【0036】
本発明の感熱記録層で使用するエピクロロヒドリン系樹脂は、分子中にエポキシ基を含有していることを特徴とする樹脂であり、前述のポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂等を挙げることができる。
エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度及び分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度は5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量は50万以上が好ましい。これらのエピクロロヒドリン系樹脂は、単独又は2種類以上を使用することも可能である。
本発明の感熱記録層で使用するエピクロロヒドリン系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A、スミレーズレジン6615(以上、住友化学社製)、WS4002、WS4020、WS4024、WS4030、WS4046、WS4010、CP8970(以上、星光PMC社製)などが挙げられる。
【0037】
本発明の感熱記録層で使用するポリアミン/ポリアミド系樹脂は、分子中にエポキシ基を有していないことを特徴とする樹脂であり、前述のポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等を挙げることができる。
これらのポリアミン/ポリアミド系樹脂の中では、特に耐水性が良好となるためポリアミン系樹脂(ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹等)を使用することが好ましい。これらのポリアミン/ポリアミド系樹脂は、単独又は2種類以上を使用することも可能である。
本発明の感熱記録層で使用するポリアミン/ポリアミド系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン302(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン712(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン703(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン636(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製:変性ポリアミド樹脂)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製
)、プリンティブA−700(旭化成社製)、プリンティブA−600(旭化成社製)、PA6500、PA6504、PA6634、PA6638、PA6640、PA6644、PA6646、PA6654、PA6702、PA6704(以上、星光PMC社製:ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)などが挙げられる。
【0038】
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪
酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0039】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、画像部の耐油性等を向上させる安定剤として、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0040】
本発明の感熱記録層で使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.1〜10重量部、顔料0.5〜20重量部、安定化剤0.01〜10重量部、その他の成分0.01〜10重量部程度を使用する。バインダーは感熱記録層固形分中5〜25重量%程度が適当である。
【0041】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。この塗工液に用いる溶媒としては水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は20〜40重量%程度である。
【0042】
本発明の感熱記録体においては、感熱記録層上に更に保護層を設けてもよい。保護層は、顔料と樹脂を主成分とすることが多く、感熱記録層に使用できる材料として例示したバインダー、顔料、架橋剤などを用いることができる。
このバインダーとしては、上述の感熱記録層に使用可能なバインダーが適宜使用可能であるが、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及び非コアシェル型アクリル系樹脂が好ましい。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
また、架橋剤としては、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤が適宜使用可能であるが、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)が好ましい。
保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールと共に、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を含有させることがより好ましく、これにより発色性能が更に改善される。
【0043】
このカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、例えば、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、あるいはこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的な製造方法としては、例えば特開昭53−91995号公報などに例示されている方法が挙げられる。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの鹸化度は72〜100mol%であることが好ましく、重合度は500〜2400、より好ましくは1000〜2000である。
【0044】
この非コアシェル型アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、好ましくは95℃以下であり、更に好ましくは50℃より高い。このTgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。
この非コアシェル型アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分を含み、(メタ)アクリル酸が非コアシェル型アクリル系樹脂100重量部中1〜10重量部であることが好ましい。(メタ)アクリル酸は、アルカリ可溶性であり、中和剤の添加により非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂にする特性を有している。非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂に変化させることによって、特に保護層中に顔料を含有する場合、顔料への結合性が著しく向上し、多量の顔料含有下でも優れた強度を有する保護層を形成することができる。(メタ)アクリル酸と共重合可能な成分としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどのアクリル酸アルキル樹脂及びエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン又はその誘導体によって変性された上記アクリル酸アルキル樹脂などの変性アクリル酸アルキル樹脂、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルを例示できるが、特に(メタ)アクリロニトリル及び/又はメタクリル酸メチルを配合することが好ましい。(メタ)アクリロニトリルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜70部配合することが好ましい。また、メタクリル酸メチルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部含むことが好ましい。(メタ)アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルを含む場合、(メタ)アクリロニトリルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜18部、メタクリル酸メチルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部配合することが好ましい。
【0045】
このエピクロロヒドリン系樹脂は、分子中にエポキシ基を含有していることを特徴とする樹脂であり、例えば、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、これらを単独又は併用することができる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、耐水性が良好なことから、カチオン化度および分子量はカチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。エピクロロヒドリン系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A、スミレーズレジン6615(以上、住友化学社製)、WS4002、WS4020、WS4024、WS4030、WS4046、WS4010、CP8970(以上、星光PMC社製)などが挙げられる。
【0046】
このポリアミン/ポリアミド系樹脂は、分子中にエポキシ基を有さず、例えば、ポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂などを挙げることができ、これらを単独又は併用することができる。ポリアミン/ポリアミド系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン302(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン712(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン703(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン636(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製:変性ポリアミド樹脂)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製)、プリンティブA−700、プリンティブA−600(以上、旭化成社製)、PA6500、PA6504、PA6634、PA6638、PA6640、PA6644、PA6646、PA6654、PA6702、PA6704(以上、星光PMC社製:ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)、CP8994(星光PMC社製:ポリエチレンイミン樹脂)などが挙げられる。特に制限はないが、印字濃度が良好なことから、ポリアミン系樹脂(ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)を使用することが好ましい。
【0047】
保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールと共にエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を使用する場合の含有量は、カルボキシ変性ポリビニルアルコール100重量部に対してそれぞれ1〜100重量部であることが好ましく、5〜50重量部であることがより好ましく、10〜40重量部であることが更に好ましい。
【0048】
保護層に用いる顔料としては、上記の感熱記録層に使用可能な顔料が適宜使用可能であるが、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、シリカが好ましい。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
保護層中のバインダーの含有量(固形分)は好ましくは20重量%以上、20〜80重量%程度がより好ましく、保護層が顔料を含む場合、顔料およびバインダーの含有量は、顔料100重量部に対しバインダーは固形分で30〜300重量部程度が好ましい。
保護層の塗工液には必要に応じて、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤、滑剤、安定剤や、紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0049】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱記録層を有するが、支持体と感熱記録層の間に
下塗り層を設けてもよい。
【0050】
この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に用いるバインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子あるいは疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
【0051】
下塗り層に用いる顔料としては、従来一般的に使用されている公知の顔料、具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、焼成カオリン、クレー、タルク等の無機顔料などを使用することができる。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
下塗り層中の顔料は、全固形分100重量部に対して、通常50〜95重量部、好ましくは70〜90重量部である。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0052】
本発明において、感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層、即ち保護層、下塗り層などを塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m程度であり、保護層の塗工量は固形分で0.5〜5.0g/mが好ましい。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0054】
各分散液と塗工液を以下のように調製した。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90)
100.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
水 50.0部
【0055】
下記配合の顕色剤分散液(A1~A4液)、ロイコ染料分散液(B液)、増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5μmになるまで湿式磨砕を行い、調製した。
【0056】
顕色剤分散液(A1液)
N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素
6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:
PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0057】
顕色剤分散液(A2液)
下記化学式(化6)で表されるウレア化合物 6.0部
【化6】
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0058】
顕色剤分散液(A3液)
下記化学式(化7)で表されるウレア化合物 6.0部
【化7】
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0059】
顕色剤分散液(A4液)
化学式(化8)で表されるフェノール系化合物(日本曹達社製D90)
6.0部
【化8】
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0060】
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(山本化成株式会社製、商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0061】
増感剤分散液(C液)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン
(三光社製、商品名:KS232) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0062】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層用塗工液を調製した。
<感熱記録層用塗工液>
顕色剤分散液(A1液) 2.0部
顕色剤分散液(A2液) 8.0部
ロイコ染料分散液(B液) 5.0部
増感剤分散液(C液) 3.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 25.0部
【0063】
次いで、下記割合からなる配合物を混合して保護層用塗工液を調製した。
<保護層用塗工液>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルク社製、商品名:
マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 40.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、ハイドリンZ−7−30、
固形分30%) 2.0部
グリオキザール水溶液(日本合成化学社製、固形分40%) 3.0部
【0064】
[実施例1]
支持体(坪量47g/mの上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/mとなるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層用塗工液を、固形分で塗工量6.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が100〜500秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
【0065】
[実施例2]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(o−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0066】
[実施例4]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例5]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0067】
[実施例6]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例7]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0068】
[実施例8]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例9]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0069】
[実施例10]
感熱記録層用塗工液において、A1液のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例11]
実施例1において、感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層用塗工液を、固形分で塗工量3.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
【0070】
[実施例12]
感熱記録層用塗工液において、A1液の配合量を2.0部から5.0部に変更し、A2液の配合量を8.0部から5.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例13]
感熱記録層用塗工液において、A2液の代わりにA3液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例14]
感熱記録層用塗工液において、A2液の代わりにA3液を用いた以外は、実施例12と同様にして感熱記録体を作製した。
【0071】
[比較例1]
感熱記録層用塗工液において、A1液を配合せず、A2液の配合量を8.0部から10.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
感熱記録層用塗工液において、A2液を配合せず、A1液の配合量を2.0部から10.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
感熱記録層用塗工液において、A1液を配合せず、A4液を5.0部配合した以外は、実施例12と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
感熱記録層用塗工液において、A2液を配合せず、A4液を5.0部配合した以外は、実施例12と同様にして感熱記録体を作製した。
【0072】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印字速度50mm/secで、印加エネルギー0.35mJ/dotと0.41mJ/dotで市松模様を印字した。印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能(印字濃度)を評価した。
<耐油性>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体に、サラダ油を綿棒で塗布し、24時間放置した後、印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
【0073】
<耐熱性>
作製した感熱記録体について、感熱記録面を110℃の鉄板に5秒間接触させた。非印字部(白紙部)の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値の差から地色発色値を算出し、下記の基準で非印字部(白紙部)の変色を評価した。
地色発色値=(処理後の非印字部の濃度)−(処理前の非印字部の濃度)
優:地色発色値が0.1未満
可:地色発色値が0.1以上0.2未満
不可:地色発色値が0.2以上
<耐可塑剤性>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体を、紙管に塩ビラップ(三井化学製ハイラップKMA)を1回巻き付けた上に貼り付け、更にその上に塩ビラップを3重に巻き付けて、23℃、50%RH環境条件下で24時間静置した。
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値から残存率を算出して、耐可塑剤性を評価した。
残存率(%)=(処理後の印字部の印字濃度/処理前の印字部の印字濃度)×100
【0074】
<印字走行性(耐ヘッドカス性)>
作製した感熱記録体について、サトー社製ラベルプリンタ(レスプリR−8)にて長さ60cmの格子印字を行い、印字後のサーマルヘッドに付着したカス(ヘッドカス)を目視にて下記の基準で評価した。
優:ヘッドカスの付着がほとんど見られなかった。
可:ヘッドカスの付着が少し見られたが、形成された画像の抜け及びカスレが見られず、実用上問題のない程度であった。
不可:ヘッドカスの付着が多く見られ、形成された画像の抜け及びカスレが見られた。
【0075】
結果を下表に示す。表中の顕色剤の数値は配合部数を表す。
【表1】
【要約】
【課題】 感熱記録体に求められる様々な性能のうち耐油性に優れ、更に耐熱性、耐可塑剤性、印字走行性に優れる感熱記録体を提供する。
【解決手段】 支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、少なくとも2種のウレア化合物を含有する感熱記録体である。この2種のウレア化合物には、下記一般式(化1)で表される第1のウレア化合物及び下記一般式(化2)で表される第2のウレア化合物が含まれる。
【化1】
(式中、Rは、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。)
【化2】
(式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基などを表し、mは0〜2の整数を表す。)
【選択図】 なし