(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971435
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】減圧組織療法装置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】31
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-510774(P2018-510774)
(86)(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公表番号】特表2018-526091(P2018-526091A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016047126
(87)【国際公開番号】WO2017040021
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】62/212,997
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】フー,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ケネス
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0276488(US,A1)
【文献】
特表2010−506615(JP,A)
【文献】
特開昭61−114999(JP,A)
【文献】
特表2013−538083(JP,A)
【文献】
特表2011−527620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力生成機構を含むハウジングと;
遠位ポートと;
前記遠位ポートと流体連通するスリーブを含む貯蔵モジュールにおいて、前記スリーブは、壁、および陰圧下で前記壁の内向きの潰れに抵抗するように構成された、前記壁に沿った支持要素を含み、および前記スリーブの近位端部壁は前記吸引力生成機構に取り付けられる、貯蔵モジュールと
を含み、
前記スリーブの前記壁が、前記装置の縦軸に対して垂直でかつ第1の角度を規定する複数の第1のプリーツを含み、
前記支持要素が、少なくとも1つの第1のプリーツに沿って配置されており、
前記支持要素が、前記第1のプリーツにおいて前記スリーブ壁に追加される第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の角度よりも鋭角な第2の角度を有する第2のプリーツを規定することを特徴とする、減圧療法装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記スリーブの前記壁は可撓性であり、および前記支持要素は、前記可撓性の壁よりも剛性の支持構造を含むことを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造がヘリカルコイルを含むことを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造が1つ以上のリングまたはループを含むことを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造がワイヤグリッド足場を含むことを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造がメッシュまたはウィーブを含むことを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記支持要素がヒンジを含むことを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記ヒンジが一体丁番を含むことを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置において、前記ヒンジが、接続構造によって枢動可能に接続される個別の構成要素を含む機械的ヒンジを含むことを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記機械的ヒンジが、前記ヒンジを所望の最大開放角度にロックする係合構造を含むことを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、前記機械的ヒンジが、前記ヒンジが開放できる前記最大角度を制限する干渉手段を含むことを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記第2の材料が、前記第1のプリーツから延在しかつ約0.005インチ〜約0.02インチの距離、前記スリーブの縦軸に対して垂直に突出することを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記距離が約0.01インチ〜約0.015インチであることを特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造が前記スリーブの前記壁内に入れられていることを特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造が、前記スリーブの前記壁の内面に配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項16】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造が、前記スリーブの前記壁の外面に配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項2に記載の装置において、前記支持構造が、前記スリーブの前記壁の内面および外面に配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記スリーブがさらに遠位弁を含むことを特徴とする、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、前記遠位弁が一方向弁であることを特徴とする、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記吸引力生成機構が力部材を含むことを特徴とする、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、前記力部材が定力バネを含むことを特徴とする、装置。
【請求項22】
請求項20に記載の装置において、前記力部材が可変力バネを含むことを特徴とする、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、さらに、前記ハウジングの前記縦軸に沿って平行移動する摺動アセンブリを含むことを特徴とする、装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、前記摺動アセンブリが摺動シールアセンブリであることを特徴とする、装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置において、前記摺動アセンブリが前記吸引力生成機構に取り付けられていることを特徴とする、装置。
【請求項26】
請求項23に記載の装置において、前記スリーブの前記近位端部壁が、スナップ嵌め、螺嵌、捻り嵌め、摩擦嵌め、接着剤、面ファスナー係合、磁気係合、クリップ、および/または留め金によって、前記摺動アセンブリに取り付けられていることを特徴とする、装置。
【請求項27】
請求項23に記載の装置において、さらに、前記摺動アセンブリを、前記ハウジングの縦軸に沿って遠位に促すように構成された起動ツールを含むことを特徴とする、装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、前記スリーブが、前記吸引力生成機構および前記遠位ポートから取り外し可能であることを特徴とする、装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置において、前記スリーブ壁がフィルムまたは膜を含むことを特徴とする、装置。
【請求項30】
吸引力生成機構を含むハウジングと;
遠位ポートと;
前記遠位ポートと流体連通するスリーブを含む貯蔵モジュールにおいて、前記スリーブは、壁、および陰圧下で前記壁の内向きの潰れに抵抗するように構成された、前記壁に沿った支持要素を含み、および前記スリーブの近位端部壁は前記吸引力生成機構に取り付けられる、貯蔵モジュールと
を含み、
前記スリーブの前記壁が、前記装置の縦軸に対して垂直でかつ第1の角度を規定する複数の第1のプリーツを含み、
前記支持要素が、少なくとも1つの第1のプリーツに沿って配置されており、
前記支持要素が、前記第1のプリーツから延在しかつ約0.005インチ〜約0.02インチの距離、前記スリーブの縦軸に対して垂直に突出する第2の材料を含むことを特徴とする、減圧療法装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置において、前記距離が約0.01インチ〜約0.015インチであることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 USC 119(E)下において、2015年9月1日出願の米国仮特許出願第62/212,997号明細書(「Reduced Pressure Tissue Therapy Device」)の利益を主張し、これを本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
研究から、組織の創傷に減圧をもたらすことは、いくつかの有益な効果をもたらし得ることが示されている。例えば、創傷にサブ大気圧をもたらすと、損傷した組織の縁に収縮力を生じ、それゆえ、創傷の収縮を促し得ることによって、治癒を促進し得る。減圧創傷療法はまた、損傷した組織に対して機械的な刺激をもたらし、それにより、創傷床に成長因子が放出されて治癒を促し得る。場合によっては、創傷に吸引を行うことにより、創傷床から壊死組織を除去し、細菌負荷を減少させるのを助け得る。減圧の適用は、損傷した組織への血流量を増やし、それにより治癒を促進し得る。さらに、減圧は、肉芽形成阻害メタロプロテイナーゼ酵素を除去し、それにより、組織の再構築および治癒を促進し得る。
【0003】
減圧組織療法のこれらおよび他の利益に照らして、創傷への減圧の適用を確実に信頼性高く行う方法および装置が望ましいとし得る。
【発明の概要】
【0004】
当該技術分野では、チャンバおよびピストンシールを含む内蔵型装置を使用して陰圧閉鎖療法を適用することが知られている。これらの装置は、使い捨てであるように設計されているため、治療法が送達されかつチャンバが創傷滲出液で満たされた後、それに続いて装置全体が廃棄されることが意図されている。しかしながら、コスト的制約および医療環境に起因して、例えば、装置を再使用することが望ましいとし得る場合があるかもしれない。装置の再使用は、収集した創傷滲出液のチャンバをパージすることを含み得るが、この実施は、衛生的なリスクおよび潜在的なバイオハザードリスクをもたらし得る。滲出液は、悪臭を含むことがあり、および感染性細菌を含み得るため、チャンバをパージすることによって、滲出液をエアロゾル化し、かつ残留物が、チャンバ内、流路内、または装置の外部に留まり得る。本明細書には、バイオハザード汚染を最小限にするように設計された陰圧閉鎖療法装置が開示されている。装置は、耐久性のある再使用可能な構成要素、および使い捨ての交換可能な構成要素を含み得る。
【0005】
既存の減圧システムは、ベローズを含むことが知られており、ベローズ内に生じた陰圧によって、流体および組織滲出液を吸い込んで、創傷の治癒を促す。ベローズを用いるシステムの例は、米国特許第4,578,060号明細書、同第4,278,089号明細書、同第8,641,692号明細書、および同第8,007,257号明細書に開示されており、これらの全体を参照することにより本書に援用する。これらのおよび他の典型的な陰圧システムの欠点は、真空がベローズ内に生成されると、陰圧が、ベローズを横方向内向きに潰すのを促すこと、および/またはベローズの断面形状を減少させるまたは他の方法で変更することである。生成された吸引力に起因してベローズの横断面が完全に潰れて閉鎖すると、治療用陰圧は、もはや、意図した送達部位に伝達されない。これにより、組織部位にもたらされ得る陰圧の時間を短くするかまたはその大きさを小さくすることによって、吸引装置が陰圧をもたらす能力を低減させ得る。本明細書には、陰圧下でスリーブの横方向の構造的完全性を維持するおよび/またはスリーブの断面形状を保持するのを助ける支持要素を含み得るスリーブを有する陰圧閉鎖療法装置が開示される。
【0006】
減圧療法装置の一変形例は、力生成機構を含むハウジングと、遠位ポートと、貯蔵モジュールとを含み得る。貯蔵モジュールは、遠位ポートと流体連通するスリーブを含み得、スリーブは、壁と、陰圧下での壁の内向きの潰れに抵抗するように構成された、壁に沿った支持要素とを含む。スリーブの近位端部壁は吸引力生成機構に取り付けられ得る。スリーブの壁は、可撓性としてもよく、および支持要素は、可撓性の壁よりも剛性の支持構造を含み得る。いくつかの変形例では、支持構造は、ヘリカルコイル、1つ以上のリングまたはループ、ワイヤグリッド足場、メッシュまたはウィーブ(weave)、および/または任意の同様の構造を含み得る。支持要素はヒンジを含み得、およびヒンジは、一体丁番を含み得るか、または接続構造によって枢動可能に接続される個別の構成要素を有する機械的ヒンジを含み得る。機械的ヒンジは、ヒンジを所望の最大開放角度にロックする係合構造、および/またはヒンジが開放できる最大角度を制限する干渉手段を含み得る。いくつかの変形例では、スリーブの壁は、複数の第1のプリーツを含み得、各第1のプリーツは、装置の縦軸に対して垂直であり、および第1の角度を規定する。支持要素は、少なくとも1つの第1のプリーツに沿って配置され得、および任意選択的に、第1のプリーツにおいてスリーブ壁に追加される第2の材料を含み得、第2の材料は、第1の角度よりも鋭角な第2の角度を有する第2のプリーツを規定する。例えば、支持要素は、第1のプリーツから延在しかつ約0.005インチ〜約0.02インチ、例えば、約0.01インチ〜約0.015インチの距離、スリーブの縦軸に対して垂直に突出する第2の材料を含み得る。
【0007】
支持構造は、スリーブの壁内に入れられ得るか、またはスリーブの壁の内面に配置され得るか、またはスリーブの壁の外面に配置され得るか、またはスリーブの壁の内面および外面に配置され得る。いくつかの変形例では、スリーブは、さらに、一方向弁とし得る遠位弁を含み得る。吸引力生成機構は力部材を含み得、力部材は、定力バネまたは可変力バネを含み得る。装置はまた、ハウジングの縦軸に沿って平行移動可能な摺動アセンブリを含み得る。いくつかの変形例では、摺動アセンブリは、摺動シールアセンブリとし得るか、または吸引力生成機構に取り付けられ得る。スリーブの近位端部壁は、スナップ嵌め、螺嵌(screw−fit)、捻り嵌め(twist−fit)、摩擦嵌め、接着剤、面ファスナー係合(hooks and loop engagement)、磁気係合、クリップ、および/または留め金によって、摺動アセンブリに取り付けられ得る。装置は、任意選択的に、摺動アセンブリをハウジングの縦軸に沿って遠位に促すように構成された起動ツールを含み得る。いくつかの変形例では、装置のスリーブは、吸引力生成機構および遠位ポートから取り外され得る。スリーブ壁は、フィルムまたは膜を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】
図1Aは、取り外し式滲出液貯蔵モジュールおよびハウジングを含む吸引装置の変形例の構成要素の斜視図である。
【
図1B】
図1bは、貯蔵モジュールがハウジングに対して外れた状態の、
図1Aの装置の切り欠き斜視図である。
【
図1C】
図1cは、貯蔵モジュールがハウジングに対して結合された状態の、
図1Aの装置の切り欠き斜視図である。
【
図1D】
図1dは、取り外し式貯蔵モジュールおよび回転可能な保持ブラケットを含む吸引装置の別の変形例の斜視図である。
【
図2a】
図2Aは、取り外し式貯蔵モジュールおよび圧縮構成にあるスリーブを含む減圧療法装置の一変形例の切り欠き斜視図である。
【
図2B】
図2bは、スリーブが膨張構成にある
図2Aの装置の部分切り取り図である。
【
図2C】
図2cは、構造的支持体を有する、
図2Aおよび
図2Bにおいて使用されるスリーブの斜視的な断面図である。
【
図2D】
図2Dは、フィンを含む一変形例を示す。幾何学的形状が修正されたヒンジを有するスリーブの変形例の拡大断面図である。
【
図2E】
図2eは、ヒンジから突出する追加的な材料を含む別の変形例を示す。幾何学的形状が修正されたヒンジを有するスリーブの変形例の拡大断面図である。
【
図3A】
図3aは、ハウジングと、スリーブを備える取り外し式貯蔵モジュールとを含む吸引装置の別の変形例の斜視図である。貯蔵モジュールがハウジングから取り外され、かつスリーブが潰れた状態にある、開放構成にある装置を示す。
【
図3B】
図3bは、ハウジングと、スリーブを備える取り外し式貯蔵モジュールとを含む吸引装置の別の変形例の斜視図である。貯蔵モジュールがハウジングに取り付けられ、かつ装置が部分的な消耗構成にあることを示す。
【
図3C】
図3cは、ハウジングと、スリーブを備える取り外し式貯蔵モジュールとを含む吸引装置の別の変形例の斜視図である。貯蔵モジュールがハウジングから取り外された状態にある、消耗状態の装置を示す。
【
図3D】
図3dは、摺動アセンブリと、摺動アセンブリに取り付けられたスリーブとを含む、貯蔵モジュールを含む吸引装置の別の変形例の斜視図である。
【
図4】
図4は、構造的支持コイルを備える収集パウチを含む貯蔵モジュールを含む吸引装置の別の変形例である。
【
図5A】
図5Aは、圧縮構成にある、入れ子状ベローズを含む吸引装置の別の変形例の前面斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、膨張構成にある、入れ子状ベローズを含む吸引装置の別の変形例の前面斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、装置が消耗されると、ハウジングから貯蔵モジュールを自動的に係合解除するように構成された取り付け機構を含む吸引装置の概略的な断面図である。
【
図6B】
図6Bは、装置が消耗されると、ハウジングから貯蔵モジュールを自動的に係合解除するように構成された取り付け機構を含む吸引装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書には、減圧組織療法のための装置および方法が説明される。減圧組織療法用の吸引装置が、組織滲出液を除去および/または貯蔵するように構成され得る。滲出液は、一般に、体液または混合流体および他の細胞性物質である。いくつかの変形例では、吸引装置は、耐久性のあるまたは再使用可能な構成要素と、耐久性のあるまたは再使用可能な構成要素に信頼性高く取り付けるように構成された使い捨ての構成要素を含み得る。例えば、減圧組織療法用の吸引装置は、ハウジングと、陰圧を生じる吸引力生成機構と、収集した組織滲出液を分離(segregate)または隔離(isolate)するように構成された取り外し式滲出液貯蔵モジュールとを含み得る。いくつかの変形例では、ハウジングは、再使用され得る(再滅菌したりまたは他の改造を行ったりすることなく)一方で、吸引力生成機構および/または滲出液貯蔵モジュールは治療毎に交換され得る。他の変形例では、ハウジングおよび吸引力生成機構の双方が再使用され、および滲出液貯蔵モジュールが交換され得る一方、さらに他の変形例では、ハウジング、吸引力生成機構、および滲出液貯蔵モジュールは各治療後に交換され得る。これは、吸引装置の再使用可能部分のバイオハザード汚染を低減させるのを助け得る。取り外し式貯蔵モジュールは、滲出液の収集および隔絶(sequestering)用のチャンバを含み得る。本明細書で説明する減圧療法装置は、耐久性のある部分(例えば、ハウジング、吸引力生成機構など)と、組織滲出液を保持および/または隔絶する使い捨て部分(例えば、取り外し式滲出液貯蔵モジュール)とを有すると特徴付けられ得るが、吸引装置の他の変形例は、再使用され得るいずれの構成要素も含まなくてもよい。そのような吸引装置は、1回の治療セッション後に完全に交換される必要があり得る。
【0010】
吸引装置の取り外し式滲出液貯蔵モジュールは、吸引装置が消耗されるときおよび/または一定量の滲出液が収集されたときに除去され得る。いくつかの実施形態では、貯蔵モジュールは、貯蔵モジュールへと吸引された滲出液の漏出に抵抗するかまたはそれを防止する流体保持アセンブリを含み得る。いくつかの変形例では、貯蔵モジュールは、吸引チャンバと、吸引チャンバ内のスリーブとを含んでもよく、吸引装置によって収集される滲出液がスリーブによって保持され、かつ吸引チャンバの内壁に接触しないようにする。スリーブは、半透過性(例えば、空気に対して透過性があるが、液体に対しては透過性がない)または不透過性(例えば、空気および液体の双方に対して不透過性である)とし得る。その代わりにまたはそれに加えて、取り外し式貯蔵モジュールは、吸引チャンバと、吸引装置の遠位キャップとを含み得る。いくつかの貯蔵モジュールはまた、吸引チャンバ内に可動式に配置された摺動アセンブリを含み得る。いくつかの変形例では、摺動アセンブリは摺動シールアセンブリである。貯蔵モジュールは、吸引チャンバのないスリーブを含み得る、またはあるいは、スリーブは、吸引チャンバと一緒に使用され得る(例えば、吸引チャンバ内で)。任意のタイプの流体収集区画室が、吸引装置の取り外し式貯蔵モジュールと一緒に含まれ得るため、貯留した組織滲出液は、吸引装置の他の構成要素および/または患者を汚染することなく、除去され得る。様々なタイプの取り外し式滲出液貯蔵モジュールを備える減圧組織療法用の吸引装置の例について、下記で説明する。
【0011】
取り外し式滲出液貯蔵モジュールのいくつかの変形例は、可撓性および/または弾力性の壁を有するスリーブを含み得る。しかしながら、スリーブ壁の可撓性および/または弾力性に起因して、吸引チャンバは、内部に陰圧が生成されると、内向きに潰れ得る。これにより、特定のサイズ/体積の吸引チャンバによって生成され得る陰圧の量を制限し得る。任意選択的に、可撓性の壁を有するスリーブは、陰圧条件下での吸引チャンバの横断面の開存性(patency)を維持するのを助け得る支持構造を含み得る。いくつかの変形例では、支持構造は、壁よりも硬いおよび/または剛性とし得る。いくつかの変形例では、スリーブは、スリーブ壁に沿って複数のひだまたはプリーツ(例えば、蛇腹状のひだ、ベローズ状のひだ)、およびひだまたはプリーツに沿ってそれぞれ配置された複数のループまたはリングを有する支持構造を含み得る。ループ状支持構造は、吸引チャンバの断面形状に対応する輪郭を形成し得る。別の変形例では、スリーブは、予め形成されたひだまたは折り目を有しない可撓性および/または弾力性の壁を含み得る。例えば、スリーブは、フィルムまたは膜で作製され得る。フィルムまたは膜よりも剛性のおよび/または硬い支持構造は、スリーブに(例えば、スリーブ壁の内面および/または外面に)巻き付いて、陰圧を生成する際の、スリーブの内向きの潰れを防止するのを助ける。例えば、支持構造は、その長さに沿ってスリーブの周りを囲むコイル(例えば、ヘリカルコイル)とし得る。いくつかの可撓性および/または弾力性のスリーブは、いずれの支持構造も有していなくてもよいが、陰圧条件下でスリーブが内向きに潰れるのを防止するように、吸引チャンバに取り付けられ得る。例えば、スリーブは、吸引チャンバの壁に少なくとも部分的に接着する材料を含み得る。その代わりにまたはそれに加えて、スリーブは、空気に対して透過性があるが、液体または固体に対しては透過性がない材料を含み得、それにより、陰圧の生成を可能にし、かつ陰圧の存在下で横断面の開存を維持しながら、滲出液の収集を可能にし得る。さらに他の変形例では、スリーブは、壁を内向きに潰し得る力に耐えるように十分に剛性である壁を含み得る。例えば、スリーブは、可動接合部(例えば、ヒンジ)によって互いに取り付けられる一連の壁セグメントを含んで、それらセグメントが、互いに折り重なることができるようにし(例えば、装置を準備状態にするために)、かつ広げることができるようにし得る(例えば、陰圧を生成して加えるために)。そのような変形例では、可動接合部は、スリーブの断面形状を保持するように構成され得る。その代わりにまたはそれに加えて、スリーブは、全体的にテーパが付けられるかまたは円錐状の幾何学的形状を有するベローズ、例えば入れ子状のベローズを含み得る。
【0012】
取り外し式滲出液貯蔵モジュールのいくつかの変形例は、陰圧療法の過程で収集され得る滲出液を隔絶するように構成されたスリーブのない、剛性吸引チャンバを含み得る。例えば、吸引装置は、ハウジングと、吸引力生成機構と、剛性吸引チャンバを含む取り外し式貯蔵モジュールとを含み得る。吸引力生成機構は、吸引チャンバ内に陰圧を生じ、および吸引チャンバは、滲出液を収集して隔絶するように構成され得る。減圧組織療法に使用され得るそのような吸引装置の一例は、
図1A〜1Cに示されている。吸引装置100は、ハウジング102と、ハウジング102の近位部分114に吸引力生成機構104と、ハウジング102の空洞103内に解放可能に保持されるように構成された貯蔵モジュール101とを含む。貯蔵モジュール101は、吸引チャンバ106と、吸引チャンバ106内で可動である摺動シールアセンブリ108と、吸引チャンバ106の遠位端部に取り付けられた遠位キャップ110とを含み得る。摺動シールアセンブリ108は、吸引チャンバ106内に同心状に配置され、かつその下側の吸引装置100の部分と吸引装置100の残りの部分との間に気密分離を生じるように適合される。摺動シールアセンブリ108は、実質的に気密シールを維持しながら、吸引チャンバ106の近位端部105と遠位端部107との間を縦方向に移動するように構成される。遠位キャップ110は、吸引チャンバ106と流体接続するポート112を含み得る。ポートは、組織部位においてドレッシングアセンブリに接続されるチューブに接続するように構成されてもよく、ドレッシングアセンブリと吸引チャンバの内部体積部との間に流体連通があるようにする。ハウジング102および吸引チャンバ106は、半透明もしくは光学的に透明の材料、または半透明もしくは光学的に透明の窓を備えるもしくは備えない不透明材料を含み得る。ハウジング102は、任意選択的に、減圧療法の過程において、吸引チャンバ内での摺動シールアセンブリの位置の基準を提供するための印を含み得る。
【0013】
図1Bは、吸引装置100の部分切り取り図である。吸引力生成機構104は1つ以上のバネ116を含んでもよく、これらバネは、それらの近位端部で、例えば複数の支柱やピンを使用してハウジング102に取り付けられ、およびハウジングは、それらの遠位端部において、貯蔵モジュール101の摺動シールアセンブリ108に解放可能に取り付けられる。バネ116は定力バネとし得るが、他の変形例では、伸長位置において生成される力が収縮位置において生成される力よりも小さいバネを含む、可変力バネとし得る。定力バネ116は、吸引装置100がチャージ構成(すなわち、陰圧を加えることができる)にあるときに伸長され、かつ吸引装置100が消耗構成(すなわち、もはや陰圧を加えることができない)ときにコイル状にされ得る。バネ116の伸長により、バネ内に位置エネルギーを生成し、このエネルギーは、摺動シールアセンブリに対して、近位に向けられた力を加えるために使用され得、それにより、摺動シールアセンブリの下側にある吸引チャンバの部分内に陰圧を生じる。摺動シールアセンブリに対して、近位に向けられた力を加えることができる他のタイプのバネも、使用され得る。
【0014】
吸引力生成機構104は、任意の好適な機構によって、例えば、スナップ嵌め、螺嵌、捻り嵌め、摩擦嵌め、接着剤、面ファスナー(hooks and loops)、クリップ、留め金、クランプなどによって、貯蔵モジュール101に解放可能に取り付けられ得る。いくつかの変形例では、吸引力生成機構は摺動シールアセンブリに取り付けられて、吸引力生成機構の起動(すなわち、バネがコイル状構成を再び取るため、バネ内から位置エネルギーを放出すること)によって、摺動シールアセンブリを近位に促して、吸引チャンバに陰圧を生成し得る。
【0015】
いくつかの変形例では、バネ116は、摺動シールアセンブリ108に直接、および解放可能に取り付けられる。他の変形例では、バネ116の遠位端部はバネブロック111に取り付けられてもよく、およびバネブロックは、貯蔵モジュール101の摺動シールアセンブリ108に解放可能に取り付けられ得る。例えば、バネブロック111は、摺動シールアセンブリ108に設けられたコネクタ(図示せず)に解放可能に取り付けるように構成されるコネクタ115を有し得る。バネブロック111と摺動シールアセンブリ108との間の取り付けは、任意の好適な解放可能な取り付け機構、例えばスナップ嵌め、螺嵌、捻り嵌め、摩擦嵌め、接着剤、面ファスナー係合、磁気係合、クリップ、留め金などとし得る。バネブロックと摺動シールアセンブリとの間に制御可能かつ繰り返し可能な係合および係合解除をもたらすように構成される任意の解放可能な取り付け機構が、使用され得る。追加的な取り付け機構を下記で説明する。
【0016】
図1Cは、貯蔵モジュール101がハウジング102内に挿入され、かつ起動ツール122によって摺動シールアセンブリ108が近位位置から吸引チャンバ106の遠位端部107の近くの遠位位置へと動かされた状態の、吸引装置100の部分切り取り図を示す。起動ツール122を使用して、バネ116を伸長させることによって吸引装置100を機械的にチャージし得るため、陰圧が吸引チャンバ106内に生成され得る。ハウジング102は、起動ツール122の長尺状の本体部分124を挿入するサイズおよび形状にされるアパーチャ118を含み得る。長尺状の本体部分124 122の遠位端部は、バネブロック111の近位面123に押し付けられ、それにより、同様に、摺動シールアセンブリ108を遠位に促して、吸引装置100をチャージし得る。
図1Cに示すように、吸引力生成機構104の一部分は、使用中(例えばバネ116が最大伸長位置にあるとき)、貯蔵モジュール101に存在し得る。起動ツール122は、摺動シールアセンブリ108が遠位キャップ110の壁に接触するまで、摺動シールアセンブリ108が吸引チャンバ106の遠位端部壁に隣接するまで、バネ116が最大限伸長されるまで、および/または起動ツール122の拡大ヘッド部分126とハウジング102の近位部分114との間の機械的干渉手段がさらなる挿入に抵抗するまで、押され得る。減圧療法に使用され得る吸引装置、ならびに吸引装置を使用する方法の他の変形例は、2009年2月17日出願の、係属時は米国特許出願第12/372,661号明細書(現在は米国特許第8,177,764号明細書)に説明されており、その全体が参照することにより本書に援用され、かつ付属書類に含まれる。
【0017】
いくつかの変形例では、バネブロック111は、バネブロックが起動ツール122によって促されるときにバネブロック111を案内するのを助ける位置合わせ機構(図示せず)を含んでもよく、バネブロックコネクタ115が摺動シールアセンブリ108上のコネクタと実質的に位置合わせされるようにする。例えば、バネブロックは、1つ以上の弱い磁石を含んでもよく、および摺動シールアセンブリは、反対の磁極の1つ以上の対応する弱い磁石を含んでもよい。バネブロックが起動ツールによって摺動シールアセンブリのごく近くに動かされると、弱い磁石は互いに引き付け合ってもよく、それにより、使用者がバネブロックのコネクタと摺動シールアセンブリとを位置合わせするのを助け得る。任意選択的に、摺動シールアセンブリ内の1つ以上の磁石は、下記で説明するように、吸引チャンバ内の摺動シールアセンブリの位置をアラームシステムによって検出できるようにし得る。他の例では、装置は、テーパ状側面または位置合わせ面を備える結合構造を備える、摺動シールアセンブリを含み得、これら側面は、バネブロックコネクタの突起を最初に受け入れ、かつバネブロックコネクタが摺動シールアセンブリにさらに押し付けられると、バネブロックコネクタを位置合わせされた最終位置の方へ案内するように構成されている。結合構造は、凹部または開口部を含み得る。当然ながら、他の変形例では、摺動シールアセンブリは突起を含んでもよく、およびバネブロックコネクタは、テーパ状側面を備える凹部または開口部を含んでもよい。それに加えてまたはその代わりに、摺動シールアセンブリは、縦方向に延在する位置合わせレールを含んでもよく、それに沿って起動ツールが動かされて、起動ツールがバネブロックコネクタを摺動シールアセンブリ上のコネクタの方へ確実に促すようにするのを助け得る。位置合わせレールは、それらの縦方向軸に沿って、起動ツールおよび/またはバネブロックコネクタ上の突起または溝に対応し得る溝または突起を含んで、摺動シールアセンブリの方へ前進されるときの側方偏位を防止するのを助け得る。
【0018】
ひとたびバネブロックのコネクタと摺動シールアセンブリのコネクタが位置合わせされたら、解放可能な取り付け機構が、それらを一緒に取り付けるように起動され得る。いくつかの変形例では、バネブロックと摺動シールアセンブリを接触させることにより、それらの係合を生じ得る。例えば、バネブロックおよび摺動シールアセンブリは、ラッチ機構または磁気機構によって自動的に係合し得る。その代わりにまたはそれに加えて、取り付け機構は、起動ツール122の回転、捻り、摺動、押込みなどによって起動され得る。いくつかの変形例では、起動ツール122を第1の方向に捻ることによって取り付け機構を起動して、バネブロックが摺動シールアセンブリと係合されるようにし得る。起動ツール122を第2の方向に捻ることによって、取り付け機構を動作停止させ、かつ摺動シールアセンブリからバネブロックを係合解除し得る。いくつかの変形例では、バネブロック上のコネクタは、摺動シールアセンブリのコネクタ上の相補的構造と合致する機械的構造を有し得る。例えば、
図1Bに示すように、コネクタ115はネジが切られていてもよく、および摺動シールアセンブリ108上のネジ付きコネクタと対応し得る。起動ツール122を捻ることによって、バネブロック111のネジ付き構造と摺動シールアセンブリ108を係合し得る。いくつかの変形例では、取り付け機構は、吸引装置が実質的にまたは十分に消耗されると(例えば、摺動シールアセンブリが吸引装置内の遠位箇所から吸引装置内の近位箇所へと動かされ、かなりの量の滲出液が収集されたとき)、バネブロックと摺動シールアセンブリを自動的に係合解除するように構成され得る。吸引力生成機構と貯蔵モジュールの一部分(例えば、摺動シールアセンブリ、吸引チャンバなど)との間の取り付け機構の他の例について、下記で説明する。
【0019】
貯蔵モジュール101は、上述の通り摺動シールアセンブリ108をバネブロック111と係合することによって吸引装置ハウジング102に取り付けられ得るが、その代わりにまたはそれに加えて、貯蔵モジュール101は、吸引チャンバ106とハウジング102との間の機械的係合によってハウジング102に取り付けられ得る。例えば、吸引チャンバ106は、近位端部105のリムに沿って棚状部113を含んでもよく、それが突起に係合し得るかまたはハウジング102内に引っかかり得る(例えば、スナップ式ロックによって)。棚状部113はまた、摺動シールアセンブリ108が吸引チャンバ106から出て近位に摺動するのを防止するのを助け得るため、摺動シールアセンブリは、吸引チャンバに収集された滲出液と吸引装置の残りの部分との間のバリアの機能を果たす。その代わりにまたはそれに加えて、吸引チャンバ106の側壁は、ハウジング102の壁に沿った突起または溝に対応し得る1つ以上の溝または突起を含んでもよく、空洞103内への吸引チャンバ106の摺動によって、これらの溝および突起を位置合わせして、貯蔵モジュール101をハウジング102内にしっかりと保持するようにする。いくつかの変形例では、貯蔵モジュールの近位部分は、撓むことができるかぎ状突起を含んでもよく、これは、吸引装置のハウジング上にあるタブに係合するように構成されているため、貯蔵モジュールおよびハウジングはスナップ式にロックされる。貯蔵モジュールと吸引装置のハウジングとの間の他の解放可能な取り付け機構の例は、螺嵌、捻り嵌め、摩擦嵌め、接着剤、クリップ、留め金、面ファスナー係合、磁気係合などを含み得る。いくつかの変形例では、遠位キャップ110は、ハウジング102の遠位部分に解放可能に係合するように、同様に構成され得る。
【0020】
本明細書で説明する吸引装置は、任意選択的に、吸引装置の状態を感知して使用者に警告をもたらす(例えば、吸引装置が消耗して交換または再チャージする必要があるかもしれないときに、使用者に知らせる)ように構成されるアラームシステムを含み得る。例えば、アラームシステム120は、吸引装置ハウジング102に配置されてもよく、および貯蔵モジュール101の吸引チャンバ106内の摺動シールアセンブリ108の位置を検出するように構成され得る。アラームシステムは、吸引装置が消耗すると、警告(例えば、可視的、音声、触覚、電子など)を生成し得る。アラームシステム120は、使用者が吸引装置の機能を制御できるようにし得る1つ以上のボタン、ならびに使用者に視覚フィードバックを提供するディスプレイを含み得る。いくつかの変形例では、アラームシステムの検出機構は、吸引装置のハウジング内に配置されるリードスイッチを含んでもよく、これは、摺動シールアセンブリ内に配置され得る磁性部品の位置を感知するように構成される。いくつかの変形例では、貯蔵モジュールは、ハウジング内の回路によって精査され得る圧力変換器を含み得る。回路は、圧力変換器を読み取り、かつ吸引チャンバのステータスに関して、およびそれが除去および/または交換される必要があるかどうかに関して、警告をもたらし得る。いくつかの実施形態では、アラームシステムは、吸引装置を保持するように構成される取付装置(例えば、クリップ、ストラップなど)上に配置され得る。陰圧を生成する吸引装置の能力が消耗されると、貯蔵モジュールは取付装置から除去されて新しい貯蔵モジュールと交換され、陰圧療法を再開し得る。他の変形例では、所望とし得る通りに、吸引装置全体が除去されて交換され得る。アラームシステム、感知機構、および取付装置の変形例は、2011年7月1日出願の米国特許出願第13/175,744号明細書(現在では米国特許第8,795,246号明細書)に説明されており、その全体が参照することにより本書に援用され、かつ付属書類に含まれる。
【0021】
感知機構はまた、吸引チャンバ内に生成される陰圧を制御するために使用され、およびより多くの陰圧を生成するために吸引力生成機構を起動または動作停止させるように使用され得る。例えば、感知機構は、吸引チャンバ内の圧力を検出して、それを標的圧力レベルと比較し得る。アラームシステムのコントローラは、所望の圧力標的を達成するように吸引力生成機構を調整し得る。吸引チャンバ内の圧力は、様々な方法で、例えば、バネ(例えば、定力バネ)にわずかな回転振動をもたらすことによって、または摺動シールアセンブリの線形振動をもたらすことによって、調整され得る。これらの調整は、バネを保持する軸受に歯車機構を取り付け、および歯車機構を電気モータに接続することによって、実施され得る。あるいは、ローラ(すなわち、その軸の周りにバネが巻かれている)と接触した状態でのバネの収縮は、伸長したバネの曲率を修正することによって、伝達されたバネ力を調節し得る。ローラの形状を変更することによって、生じるバネ力および陰圧を調節し得る。他の変形例では、吸引チャンバ内の圧力の調整は、摺動シールアセンブリを、電気モータに接続されるライン・プーリシステムに取り付けることによって、実施され得る。モータ用の電力は、吸引装置のハウジング内に入れられているバッテリーによってもたらされ得る。吸引装置の貯蔵モジュールは、ハウジングの空洞内へと摺動させることによってハウジング内に設置され得るが、いくつかの実施形態では、吸引装置の貯蔵モジュールは、代替的な方法でハウジングと係合され得る。ヒンジ機構を使用して吸引装置に係合されるように構成された取り外し式貯蔵モジュールを含み得る吸引装置の1つの変形例を、
図1Dに示す。吸引装置130は、ハウジング132と、吸引装置の近位部分133に配置された吸引力生成機構134と、遠位ブラケット144によって解放可能に保持されるように構成された貯蔵モジュール131とを含み得る。遠位ブラケット144は、貯蔵モジュール131の遠位部分に接触して、それをハウジング132の近位部分133に押し付け得る。ハウジング132は、起動ツールを挿入するためのアパーチャ148を近位端部に含み得る。遠位ブラケット144は、軸ピンまたはヒンジ141によってハウジング132に取り付けられ得る。遠位ブラケット144は、貯蔵モジュール131のポート143と位置合わせするように構成され得るブラケットポート146を含み得る。貯蔵モジュール131は、剛性吸引チャンバ142と、吸引チャンバ内で可動である摺動シールアセンブリ136とを含み得る。ポート143は、吸引チャンバ142の遠位端部に配置され得る。吸引装置130はまた、上述のようなアラームシステム140を含み得る。貯蔵モジュール131は、摺動シールアセンブリと吸引力生成機構との間の取り外し式の機械的な嵌合(interfit)によってハウジング132に解放可能に取り付けられ得る。あるいは、吸引力生成機構134はバネブロック138に結合され得、およびバネブロック138は、摺動シールアセンブリ136に解放可能に取り付けるように構成されて、ハウジング132内に貯蔵モジュール131を保持するのを助け得る。解放可能な取り付け機構は、上述の取り付け機構のいずれとしてもよく、およびバネブロックと摺動シールアセンブリの制御可能および繰り返し可能な係合および係合解除を行うことができる。ひとたびバネブロック138が摺動シールアセンブリ136と係合されたら、遠位ブラケット144は、ヒンジ141の周りで回転されて、遠位ブラケット上のブラケットポート146が吸引チャンバのポート143と位置合わせされ得るようにする。これにより、ブラケットポート146から吸引チャンバポート143まで、および吸引チャンバ142内への、連続的な流体導管を形成し得る。貯蔵モジュール131がハウジング132内に設置され、およびブラケットの長さ部分が貯蔵モジュールの遠位面145に当接してそれを支持すると、遠位ブラケット144は、ハウジング132の縦方向部分に対して実質的に直角を形成し得る。遠位ブラケット144が貯蔵モジュール131を押圧する力は、十分な気密シールを可能にするのに十分とし得、吸引力生成機構134が吸引チャンバ142内に陰圧を生じ得るようにする。ヒンジ141は、もはや回転可能でなくなるように、ロックされ得る。任意選択的に、貯蔵モジュールは、螺嵌、捻り嵌め、摩擦嵌め、接着剤、クリップ、留め金、面ファスナー係合、磁気係合などを含む上述の取り付け機構を使用して、ハウジングに取り付けられ得る。例えば、ブラケット144は、貯蔵モジュールの遠位面145とスナップ嵌めし、および/またはバネブロック138は、摺動シールアセンブリのコネクタ135とスナップ嵌めし得る。吸引チャンバ142の近位リムは、ハウジング132のタブ、突起またはかぎと嵌合する棚状部を有し得る(例えば、スナップ式ロックによって)。また、吸引チャンバ壁およびハウジング壁の長さ部分に沿って、対応する溝、突起などがあって、溝および突起が解放可能に係合して、減圧療法の最中にハウジング132内に貯蔵モジュール131を保持するようにしてもよい。吸引装置が消耗した後、ヒンジ141はロック解除され、遠位ブラケットが回転され、および貯蔵モジュールが除去および交換され得る。
【0022】
いくつかの変形例では、吸引装置は、吸引チャンバと、チャンバ内にスリーブとを含む貯蔵モジュールを有し得る。例えば、取り外し式滲出液貯蔵モジュールは、吸引チャンバ、吸引チャンバの長さ部分に沿って可動な摺動アセンブリ、チャンバの遠位部分にあるポート、および摺動アセンブリとポートとの間に置かれたスリーブを含み得る。そのような吸引装置の一変形例を、
図2A〜2Cに示す。吸引装置200は、ハウジング210、ハウジングの近位部分に吸引力生成機構212、および取り外し式滲出液貯蔵モジュール201を含む。貯蔵モジュール201は、吸引チャンバ202、摺動アセンブリ204、遠位ポート208を備える遠位キャップ207、および摺動アセンブリ204とポート208との間に置かれるスリーブ206を含み得る。スリーブ206は、閉鎖近位端部壁および内部区画室を含むパウチとし得る。摺動アセンブリ204は、吸引チャンバ202とのシールをもたらして、その下側の吸引装置の部分と吸引装置の残りの部分との間に気密分離を生じる必要はない。摺動アセンブリ204は、可撓性スリーブに取り付け、または可撓性スリーブとインターフェースを取って、内部区画室の体積を変更する。いくつかの変形例では、スリーブ206の近位部分は摺動アセンブリ204に解放可能または解放不能に取り付けられ、およびスリーブ206の遠位部分は遠位キャップ207に取り付けられて、スリーブ206の内部区画室が遠位ポート208と流体連通するようにし得る。他の変形例では、スリーブ206は、摺動アセンブリ204に取り付けられなくてもよい。スリーブは、折り畳まれ、かつ摺動アセンブリに支障をきたすことなく、吸引チャンバ内で縦方向に容易に膨張するように構成された、潰れた状態で提供され得る。スリーブの内部区画室の体積は、吸引チャンバ202の長さ部分に沿って摺動アセンブリ204を近位または遠位に動かすことによって、調整され得る。減圧療法の過程では、組織滲出液は、遠位ポート208を通してスリーブ206内へと収集され得る。スリーブ206は、組織滲出液と吸引チャンバの壁との間のバリアの機能を果たし、滲出液による吸引チャンバの汚染を防止し得る。スリーブ206は、半透過性材料(例えば、空気に対して透過性であるが、液体に対して透過性ではない)または不透過性材料(例えば、空気および液体の双方に対して不透過性である)で作製され得る。例えば、スリーブ206は、例えばポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、他のゴムコンパウンド(rubber compositions)などのコンプライアント(compliant)材料で作製され得る。スリーブの厚さは、約0.01インチ以下の範囲でもよく、ときには約0.001インチ未満であってもよい。いくつかの変形例では、スリーブと吸引チャンバの内壁との間の表面は、タルクまたは他の物質で処理されて、スリーブが膨張するかまたは広がるときの摩擦抵抗を減少させ得る。
【0023】
いくつかの変形例では、スリーブ206は、予め形成された折り目を有し得る。
図2Aは、圧縮構成にあるスリーブ206を示し、ここでは、スリーブは、予め形成された折り目に沿って折り畳まれている。貯蔵モジュール201がハウジング210内に設置されると、起動ツール214を使用して、吸引力生成機構212を摺動アセンブリ204に解放可能に取り付け、かつ摺動アセンブリ204をチャージ構成へと遠位に促し得る(例えば、上述の解放可能な取り付け機構のいずれかを使用して)。いくつかの変形例では、吸引力生成機構は、1つ以上の力部材(例えば、定力バネ)を含み得、これは、摺動アセンブリ/スリーブのほぼ中央線に取り付けられ得るが、他の変形例では、力部材は、摺動アセンブリ/スリーブの側面に沿って取り付けられ得る。例えば、吸引力生成機構は2つの定力バネを含み得、および第1のバネは摺動アセンブリ/スリーブの左側に取り付けられ、および第2のバネは摺動アセンブリ/スリーブの右側に対称的に取り付けられ得る。摺動アセンブリ204を遠位に促すことは、スリーブ206を縦方向に圧縮する働きをし、これにより、スリーブの内部区画室の体積を減少させ、かつ吸引力生成機構212のバネに位置エネルギーを生成して、陰圧を生成し得る。起動ツール214は、吸引装置200がチャージ構成に配置された後、除去され得る。吸引力生成機構212の起動(例えば、コイル状構成を再び取るときのバネ内からの位置エネルギーの放出)によって、摺動アセンブリ204を近位に促し、これにより、スリーブ206内に陰圧を生成して、その内部に組織滲出液を引き込み得る。
【0024】
図2Bは、消耗構成にある吸引装置200を示し、スリーブ206は膨張し、および組織滲出液で満たされ得る。吸引装置200が消耗されると、貯蔵モジュール201は、吸引力生成機構212から係合解除されて廃棄され得る。例えば、貯蔵モジュール210の摺動アセンブリ204と吸引力生成機構212との間の取り付けは、上述のような起動ツール214を使用して解放され得る。任意選択的に、スリーブ206は、スリーブがハウジングおよび/または吸引力生成機構および/または摺動アセンブリから係合解除されるときの、滲出液の流出を防止するのを助け得る一方向弁を含み得る。いくつかの変形例では、スリーブ206は、遠位キャップ207、ポート208、および摺動アセンブリ204に解放可能に取り付けられ得るため、スリーブは除去されて廃棄され得る。スリーブ206の除去後、減圧療法の追加的なセッションのために、新しいスリーブが貯蔵モジュール201に設置され、かつハウジング210内に挿入され得る。他の変形例では、スリーブは、遠位キャップ207、ポート208、および摺動アセンブリ204に解放不能に取り付けられ得る。そのような変形例では、貯蔵モジュール201全体が廃棄されて交換され得る。
【0025】
スリーブ206は、十分に可撓性がある任意の材料で作製され得るため、可撓性スリーブは縦方向の圧縮構成から縦方向の非圧縮構成へと移行され得る。例えば、スリーブ206は、弾性重合体、例えばシリコーンなどで作製され得る。しかしながら、スリーブ内に真空が生成されると、陰圧により、スリーブを横方向内向きに潰れるのを促し、および/またはスリーブの断面形状を減少させるかまたはそうでなければ変更する。生成された吸引力に起因してスリーブの横断面が完全に潰れて閉鎖する場合、治療用陰圧は、もはや、意図した送達部位には伝達されない。これにより、組織部位にもたらされ得る陰圧の時間を短縮するかまたはその大きさを小さくすることによって、吸引装置が陰圧をもたらす能力を低下させ得る。スリーブのいくつかの変形例は、可撓性であるが非伸縮性である材料、または伸縮が限られている材料を含み得る。そのような材料の例は、限定されるものではないが、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタンゴム、繊維強化ポリウレタンフィルム、および積層ナイロン(laminated nylon)を含み得る。
【0026】
その代わりにまたはそれに加えて、スリーブは、陰圧下のスリーブの横方向の構造的完全性を維持するおよび/またはスリーブの断面形状を保持するのを助け得る少なくとも1つの支持要素を含み得る。スリーブが可撓性および/または弾力性の壁を含む変形例では、スリーブは、さらに、スリーブ壁材料よりも硬い足場または支持構造の形態の支持要素を含み得る。支持要素用の材料の例は、例えば、陰圧の生成中に潰れないように十分に硬い、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、鋼またはアルミニウムなどの金属を含み得る。支持構造は、可撓性スリーブと共成形(co−molded)されても、または後で可撓性スリーブに挿入されてもよい。
図2Cは、スリーブがその構造的完全性を維持する(例えば、内向きの潰れに抵抗するために横方向の圧縮を減少させ、スリーブの横断面の開存性を維持する)のを助け得る足場または支持構造の一変形例を備えるスリーブ206の縦断面図を示す。スリーブ206は、スリーブの折り目またはひだに沿って配置され得る1つ以上の支持ループまたは保持リング216を含んでもよく、保持リングは、スリーブの壁よりも硬いまたは剛性である。より硬い保持リング216は、スリーブ内に陰圧を生成することから生じ得る内向きの力に対抗することによって、スリーブの構造を支持する働きをし得る。保持リング216はまた、スリーブの断面形状を維持するのを助け得る。いくつかの変形例では、保持リングは、別個の構造でなくてもよく、スリーブの予め形成された折り目に沿って配置されたより硬い材料の複数の領域とし得る。硬い保持リング216は、スリーブ206の1つ以上の凸状または凹状のひだに配置されても、またはスリーブの選択された予め形成された折り目に配置されてもよい(例えば、折り目毎、1つおきの折り目に沿ってなど)。保持リングは、個々の接続されていないループとしても、または互いに接続されていてもよい(例えば、コイル様の構成、ヘリカルコイル構成、チェーン様の構成などにある)。保持リングはまた、スリーブの実質的に平面に沿って配置され得る。
【0027】
その代わりにまたはそれに加えて、ヒンジの形態の支持要素は、スリーブの1つ以上の凸状または凹状のひだに配置され、スリーブの曲げおよびスリーブの断面形状の保持の双方を可能にし得る。ヒンジは、弾力性材料製の一体丁番としても、またはピンなどの接続構造によって枢動可能に接続されて、スリーブを折り目に沿って折り畳む/広げることができる、個別の構成要素を含む機械的ヒンジとしてもよい。例えば、スリーブの壁は、剛性の平面的な構造を含んでもよく、スリーブのひだは、1つの剛性の平面的な構造を次の剛性の平面的な構造に取り付けるヒンジによって形成される。ヒンジは、スリーブが縦方向に潰れるかまたは膨張するときに、剛性の平面的な構造が枢動できるようにする一方、剛性の平面的な構造は、スリーブの横方向の圧縮を減少させるのを助け得る。支持要素として、ヒンジは、スリーブ内で陰圧を生成するときのスリーブの内向きの潰れに抵抗するように構成され得る。いくつかの変形例では、ヒンジはまた、枢動して、制限された最大度数、例えば、90度、120度、150度、または180度などまで開放するように構成され得る。最大開放度数を制限することによって、ヒンジは、極端に開放するのを(例えば、180度超まで開く)、およびスリーブが内向きに座屈し得るのを防止され得る。いくつかの変形例では、剛性の構成要素および/または接続構造(例えば、ピン)に干渉手段が含まれて、剛性の構成要素が一定の度数を越えて回転するのを防止し得る。干渉手段は、タブまたは材料の他の延在部または突起を含み得る。一例では、剛性の構成要素に設けられたタブは、ヒンジが150度に開放されると、接続構造に設けられたタブと干渉し得る。他の変形例では、ヒンジは、ヒンジが所望の最大度数まで開放したときにロックするラチェット構造または係合手段(例えば、面ファスナー、リッジおよび凹部)を備える他の構造を含み得る。これらの係合手段はまた、縦方向に膨張した構成でのスリーブの増分的なロッキングによる潰れまたは座屈に抵抗し得る。
【0028】
いくつかの変形例では、ヒンジは、追加的な材料で補強されてもよく、これにより、追加的な構造的完全性をもたらすのを助け得る。それらの変形例のいくつかでは、追加的な材料は、ヒンジにおけるスリーブの幾何学的形状を修正してもよく、およびスリーブの最大限に膨張した長さにおいて、ヒンジが開放される角度を小さくする。
図2Dに示す一例では、ヒンジは、主壁の折り目において角度αを規定するスリーブの主壁Pを含み得る。主壁Pは、スリーブの縦軸Lから主壁の折り目における主壁Pの厚さ部分まで、それを含めて測定されるようなスリーブの横断面幅W1(図示せず)を規定する。副壁Sを形成する材料は、主壁の折り目から距離Dでヒンジに追加されて、副壁の折り目を形成し得る。副壁Sは、スリーブの縦軸Lから副壁の折り目における副壁Sの厚さ部分まで、それを含めて測定されるようなスリーブの横断面幅W2(図示せず)を規定する。W2は、W1、距離D、および副壁Sの厚さの和に等しい。副壁Sは、副壁の折り目において角度βを規定し、βは、α未満(例えば、より鋭角)である。副壁Sのより大きな横断面幅W2およびより小さな角度βによって、スリーブが十分に膨張または消耗されるときに、ヒンジが開放する角度が小さくなり、これにより、送達される陰圧の範囲を通して、座屈に抵抗し得る。例えば、標準的なベローズは、150度まで、または170度まで開放する最大角度を有し得る。本明細書で説明されたような副壁を備えて構成されたヒンジは、90度まで、または120度まで開放する最大角度を有し得る。より一般的には、副壁の構造/幾何学的形状および材料は、スリーブまたはベローズを内向きに潰れさせ得る力に抵抗するように選択され得る。
【0029】
図2Eに示す別の例では、ヒンジの幾何学的形状は、スリーブの折り目に材料を追加することによって、修正される。追加的な材料は、ヒンジから、スリーブの縦軸に対して垂直に突出し、折り目におけるヒンジの厚さが、追加された材料の厚さだけ厚くなるようにする。スリーブの縦方向の長さLから、スリーブ壁の厚さ部分まで、それを含めて測定されるようなスリーブの横断面幅は、追加的な材料の厚さだけ厚くなるようにする。追加的な材料の厚さは、スリーブまたはベローズを潰れさせ得る力に抵抗するようなものとし得、および約0.005インチ〜約0.02インチ、より具体的には約0.01インチ〜約0.015インチとし得る。特定の厚さの材料が、例えば、ヒンジを補強し、および内向きの座屈を防止するのを助け得るために、一体丁番に適用され得る。いくつかの変形例では、この追加的な材料は、ヒンジの残りの部分または別の異なる補強材料と同じとし得る。
【0030】
スリーブ206はまた、その近位端部219および遠位端部221にコネクタを含み得るため、スリーブは、摺動アセンブリおよび遠位キャップに取り付けられ得る。スリーブ206は、近位端部に摺動アセンブリコネクタ218を含んでもよく、これは、摺動アセンブリに取り付けるようなサイズおよび形状にされ得る。例えば、コネクタ218は、摺動アセンブリ上の突出部分に対応する凹状部分を含み得る。コネクタ218は、スリーブの内部体積部222と流体連通しなくてもよく、それにより、スリーブに収集され得るいずれの滲出液も摺動アセンブリと接触するのを防止し得る。スリーブ206はまた、遠位端部221にポートコネクタ220を含んでもよく、これは、遠位キャップ207上のポート208に取り付けるようなサイズおよび形状にされ得る。例えば、ポートコネクタ220は、ポート208上のかかりの付いた取付部品と係合するのに好適とし得る棚状部を備えるアパーチャとし得る。ポートコネクタ220とポート208との間の係合は、ポート208のルーメンがコネクタ220およびスリーブ206の内部部分と流体接続するような、任意のものとし得る。
【0031】
いくつかの変形例では、吸引装置は、
図3A〜3Cに示すように、摺動シールアセンブリを備えるスリーブを含み得る。吸引装置300は、吸引チャンバ302を含むハウジングと、吸引チャンバ302内で吸引装置の近位部分312と遠位部分314との間で可動な摺動シールアセンブリ304と、摺動シールアセンブリ304に取り付けられる定力バネ303を含む吸引力生成機構とを含み得る。吸引装置はさらに、起動ツール306と、吸引装置の遠位部分314に取り付けられるように構成された貯蔵モジュール301とを含み得る。貯蔵モジュール301は、遠位キャップ307、およびチューブ310と流体接続し得るスリーブ308を含み得る。スリーブ308は、閉鎖近位端部壁および内部区画室を含むパウチとし得る。チューブ310は、スリーブおよび/または吸引チャンバに生成された陰圧を下流の組織領域まで伝達し得る。スリーブ308は、上述の取り付け機構のいずれかを使用して(例えば、接着剤、クリップ、ネジ、面ファスナーなどを使用して)、遠位キャップ307に解放可能に取り付けられ得る。吸引チャンバの内部区画室および/またはスリーブの体積は、吸引チャンバ302の長さ部分に沿って摺動シールアセンブリ304を近位または遠位に動かすことによって、調整され得る。スリーブは、折り畳まれて、かつ摺動シールアセンブリに支障をきたすことなく、吸引チャンバ内で縦方向に容易に膨張するように構成された、潰れた状態で設けられ得る。スリーブ308は、上述のような任意のコンプライアントな半透過性または不透過性材料で作製され得る。吸引装置300を使用する前、起動ツール306を使用して、摺動シールアセンブリ304を吸引装置の遠位部分314へと促し、そこで、スリーブ308の近位部分は、摺動シールアセンブリ304の遠位面305に解放可能に取り付けられても、またはそうでなくてもよい。遠位キャップ307は、上述のような任意の好適な機構によって吸引チャンバ302に解放可能に取り付けられて、可撓性スリーブが、所望され得る度に除去されて交換され得る。チューブ310は、組織領域に減圧を適用するために、遠位キャップ307とドレッシングアセンブリとの間に取り付けられ得る。いくつかの変形例では、吸引装置300は、吸引チャンバから空気が放出されることができるように構成された一方向弁を含んでもよく、これにより、遠位キャップ307が遠位部分314に取り付けられるときに、吸引チャンバの圧縮を防止するのを助け得る。
【0032】
図3Bは、部分的な消耗構成にある吸引装置300を示し、ここでは、定力バネ303は、チューブ310を経由して組織に伝達され得る陰圧をスリーブおよび/または吸引チャンバに生成するために、摺動シールアセンブリ304を吸引チャンバの少なくとも長さ部分に沿って近位に引っ込めている。減圧療法の最中、滲出液316はスリーブ308内に捕捉され得る。スリーブ308は、滲出液316と吸引チャンバ302内壁315および/または摺動シールアセンブリ304との間のバリアの機能を果たし、滲出液が吸引チャンバの壁または摺動シールアセンブリと接触しないようにし得る。いくつかの変形例では、スリーブ308は流体保持アセンブリを含んでもよく、これにより、下記で説明するように、滲出液の粘度を高め得るおよび/または滲出液を消毒し得る。スリーブの形状および体積は、収集された滲出液の量、およびスリーブの内部区画室と吸引チャンバとの間の圧力勾配に従って、変化し得る。例えば、スリーブは、滲出液のない状態では、潰れたまたは縦方向に圧縮した構成を有してもよく、および収集された滲出液の量が増えるにつれて、縦方向に膨張し得る。定力バネ303は、空気および液体の双方に対して不透過性である材料製のスリーブ内に、陰圧を生成できる。不透過性スリーブ内の陰圧は、吸引チャンバとスリーブの内部区画室との間に陰圧勾配を生じ得、それにより、滲出液のない状態で、スリーブが潰れたまたは圧縮した構成を有するようにし得る。いくつかの変形例では、スリーブは、空気に対して透過性があるが、液体に対しては透過性がない(すなわち、半透過性)材料で作製され得る。そのような半透過性スリーブは、吸引チャンバとスリーブとの間での陰圧勾配の形成を減少または防止する。従って、スリーブは、滲出液のない状態で、必ずしも潰れたりまたは圧縮されたりしないかもしれず、およびいくつかの変形例では、スリーブの内部区画室は、滲出液のない状態で、吸引チャンバのかなりの量を占有し得る。陰圧療法の過程での滲出液の貯留は、スリーブをさらに膨張させる働きをし得る。
【0033】
図3Cは、消耗された後の、および貯蔵モジュール301が吸引チャンバ302から取り外された後の、吸引装置300を示す。いくつかの変形例では、吸引装置は、スリーブが滲出液で満たされると完全に消耗され得るが、他の変形例では、吸引装置は、可撓性スリーブが完全に滲出液で満たされていなくても、完全に消耗され得る。貯蔵モジュール301は、吸引チャンバの遠位部分314から遠位キャップ307を係合解除することによって、吸引チャンバ302から除去され得る。これにより、摺動シールアセンブリおよび/または吸引チャンバの内壁から、可撓性スリーブ308の取り付けを解放し得る。可撓性スリーブ308は、遠位キャップ307から除去された後、廃棄され得る。減圧療法の追加的なセッションを実施するために、上述したように、新しいスリーブが遠位キャップ307上に設置され、かつ吸引装置300に挿入され得る。いくつかの変形例では、スリーブは、遠位キャップ307に解放不能に取り付けられ(すなわち、スリーブを引き離すことなく、スリーブは、遠位キャップから分離されなくてもよい)、およびスリーブおよび遠位キャップの双方が交換され得る。
【0034】
いくつかの変形例では、吸引装置は、ハウジングと、ハウジングに取り付けられた取り外し式吸引力生成機構と、スリーブ(例えば、ここで説明するスリーブのいずれか)および摺動アセンブリを含む取り外し式滲出液貯蔵モジュールとを含み得る。摺動アセンブリおよび吸引力生成機構は、吸引装置が陰圧をもたらす能力が使い果たされた後、および/またはスリーブが滲出液で満たされた後、スリーブと一緒に吸引装置から除去され得る。そのような吸引装置の一例を、
図3Dに示す。吸引装置320は、ハウジング330、ハウジング330内の吸引チャンバ328、ハウジング330に解放可能に取り付けられた取り外し式吸引力生成機構(例えば、ここで説明する機構のいずれか、例えば定力バネ)、およびハウジング330に解放可能に取り付けられた取り外し式貯蔵モジュール321を含み得る。吸引装置320はまた、ハウジング330の近位部分329に配置されるアパーチャに挿入され得る起動ツール325を含み得る。取り外し式貯蔵モジュール321は、遠位ポート327を備える遠位キャップ326、摺動アセンブリ322、およびスリーブ324を含み得る。スリーブは、予め形成された折り目を有しても、または有しなくてもよい。スリーブ324の近位部分は、摺動アセンブリ322に取り付けられても、または取り付けられなくてもよく、およびスリーブ324の遠位部分は、上述の取り付け機構のいずれかを使用して遠位キャップ326に取り付けられ得る。貯蔵モジュール321は、ハウジング330に挿入されかつ上述の取り付け機構のいずれかを使用してハウジングに解放可能に取り付けられるように構成され得る。例えば、ハウジング330は、遠位部分331に配置される1つ以上の溝332を有し得、これら溝は、貯蔵モジュール321の遠位キャップ326上にある突起(図示せず)に対応し得る。溝332および突起は、ハウジング330と貯蔵モジュール321との間にスナップ式ロック機構をもたらして、それにより、貯蔵モジュールをハウジングに解放可能に取り付ける。その代わりにまたはそれに加えて、吸引力生成機構は、上述の取り付け機構のいずれかを使用して、摺動アセンブリ322に解放可能に取り付けられ得る。ひとたび貯蔵モジュール321がハウジング330内に設置されたら、起動ツール325を使用して摺動アセンブリを遠位に前進させ、減圧組織療法のために吸引装置をチャージし、それにより、吸引力生成機構をチャージし得る。吸引装置320が陰圧を適用する能力が消耗された後および/またはスリーブ324が組織滲出液で満たされると、貯蔵モジュール321、摺動アセンブリ322および吸引力生成機構は、ハウジング330から係合解除され得る。任意選択的に、スリーブ324は除去され得る。スリーブ324は、収集された滲出液を隔絶するのを助け得るため、吸引装置320の他の部分(例えば、吸引チャンバ、摺動アセンブリ、および/または遠位キャップ)は、滲出液に接触しない。ひとたびスリーブが除去されたら、減圧組織療法の追加的なセッションのために新しいスリーブが設置され得る。任意選択的に、貯蔵モジュール、摺動アセンブリおよび吸引力生成機構は廃棄されてもよく、および新しい貯蔵モジュール、摺動アセンブリおよび吸引力生成機構が陰圧療法の追加的なセッションのために設置され得る。
【0035】
いくつかの変形例では、貯蔵モジュールは、摺動アセンブリまたは吸引チャンバのない、スリーブを含み得る。そのような装置の一例を、
図4に示す。吸引装置400は、吸引力生成機構(図示せず)を含むハウジング403と、可撓性収集パウチ402の形態のスリーブを含む貯蔵モジュール401とを含み得る。ハウジング403内にある吸引力生成機構は、例えば、定力バネを含んでもよく、定力バネは、それらの遠位端部において収集パウチ402の近位部分407に取り付けられ得る。貯蔵モジュール401は定力バネに解放可能に結合されて、バネによって加えられた近位方向の力によって、収集パウチに陰圧を生成し得るようにする。例えば、定力バネは、プラットフォーム411の近位側面に固定して取り付けられ得、および収集パウチ402は、プラットフォーム411の遠位側面に解放可能に取り付けられ得る。収集パウチ402は、任意の好適な取り付け機構を使用して、例えば、接着剤、クリップ、ネジ、面ファスナーなどを使用して、プラットフォーム411に取り付けられ得る。プラットフォーム411は、ハウジング403に対して遠位に動かされて定力バネを伸長させ、かつ吸引装置400をチャージし得る。いくつかの変形例では、収集パウチ402は、収集パウチの内面に沿ってらせん状になる内側コイル404と、収集パウチの外面に沿っててらせん状になる外側コイル406とを含み得る。内側コイル404および外側コイル406は、収集パウチ402に構造的支持をもたらすため、パウチは、収集パウチ内に陰圧が生成されるときに、横方向に潰れない。例えば、内側コイル404が収集パウチに外向きの力を加えることによって、横方向支持をもたらし得る。内側コイルおよび外側コイルは、パウチをチャージ構成から縦方向に膨張させるかまたはそのように促すバネ力を、収集パウチに全くもたらさなくてもよい。収集パウチ402の横方向の潰れを防止するのを助けるために、他の構造要素、例えば、ワイヤグリッド足場、メッシュ、ウィーブ、保持リングなども使用され得る。いくつかの変形例では、収集パウチ402は、1つ以上の予め形成された折り目を有し得る一方、他の変形例では、収集パウチ402は、予め形成された折り目を全く有していなくてもよい。
【0036】
収集パウチ402の遠位部分409は弁408を含み得る。弁408は、任意の標準的なチューブまたはシリンジとインターフェースを取るようなサイズおよび形状にされ得る、例えば、ルアータイプのチューブまたはシリンジ取付部品に適応するような形状にされ得る。いくつかの変形例では、弁408は、収集パウチ402内で生成した陰圧をドレッシングアセンブリへ伝え得るチューブ410に接続され得る。チューブ410に沿って、1つ以上の空気流量調整装置、例えば、1つ以上のクランプ、弁、および/またはシリンジ412があってもよい。収集パウチ402は、近位部分407から遠位部分409へ延在する長さL1を有し得る。チャージ構成では、収集パウチ402は縦方向に圧縮されてもよく、および消耗構成では、収集パウチ402は縦方向に膨張されてもよく、ここでは、チャージ構成のL1は、消耗構成のL1よりも短い。例えば、チャージ構成では、収集パウチ402の長さは消耗構成のパウチの長さよりも短いとし得る。吸引装置400は、収集パウチ402がもはや組織に陰圧を適用できなくなった後、および/または収集パウチ402が組織滲出液で満たされると、消耗され得る。吸引装置400が消耗された後、収集パウチ402は、定力バネ403から取り外されて廃棄され得る。所望され得るように、減圧療法の追加的なセッションのために、新しい収集パウチがプラットフォーム411に取り付けられ得る。
【0037】
本明細書で説明する吸引装置は、任意選択的に、様々な幾何学的形状のベローズを含み得る。ベローズは、吸引チャンバおよび/または貯蔵モジュールの幾何学的形状と近似する幾何学的形状を有し得る。例えば、楕円形横断面を備える全体的にシリンダー状の吸引チャンバを備える吸引装置は、楕円形横断面を有する同様にシリンダー状のベローズを含み得る。他の変形例では、吸引装置の貯蔵モジュール内に含まれ得るベローズは、
図5Aおよび
図5Bに示す入れ子状のベローズ500など、テーパ状または円錐状の幾何学的形状を有し得る。ベローズ500は、膜カバー508に入れられるヘリカルコイル510を含み得る。膜カバー508は、ヘリカルコイル510の周りに流体密封シールを形成するエラストマー材料とし得る。ヘリカルコイルは、ベローズを縦方向に膨張させるかまたはそのように促すようなバネ力を膜カバーに対して全くもたらさないか、それに近いとし得る。ベローズ500の近位部分502は、上述の任意の取り付け機構を使用して、定力バネなどの吸引力生成機構(図示せず)に取り付けられ得る。ベローズ500の遠位部分503は、組織部位にあるドレッシングアセンブリ506とベローズ500の内部体積部との間に流体連通をもたらし得るチューブ504を含み得る。
図5Aは、圧縮された、チャージ構成にあるベローズ500を示し、ここでは、ベローズは、ドレッシングアセンブリ506に伝達され得る陰圧を生成するように準備されている。ベローズ500がドレッシングアセンブリ506に陰圧を加えるとき、ヘリカルコイル510は近位方向511に引かれており、かつドレッシングアセンブリへ陰圧を加えるのを維持するように膨張され得る。
図5Bは、完全に膨張された消耗構成状態にあるベローズ500を示し、ここでは、ベローズ500は、もはや、ドレッシングアセンブリ506に陰圧をもたらすことができない。ベローズ500はまた、減圧療法の最中に収集された組織滲出液を含み得る。いくつかの変形例では、ベローズ500に収集された滲出液の量に依存して、ベローズがドレッシングアセンブリに陰圧を加える能力は、ヘリカルコイル510が完全に膨張される前に、消耗され得る。いくつかの変形例では、ベローズは、他の構成の支持構造(例えば、保持リング)を含み、陰圧の最中の横方向の座屈または潰れを防止し得、支持構造は、ベローズの断面形状に対応する形状を有する。
【0038】
上述の通り、吸引装置の貯蔵モジュールは、様々な機構を使用して、および様々な個所で、吸引装置のハウジングに取り付けられ得る。いくつかの変形例では、貯蔵モジュールの壁(例えば、吸引チャンバおよび/または遠位キャップの壁)は、タブ、突起、フック、ループ、リッジ、凹部などを含んでもよく、これらは、これらの特徴と機械的に係合するように構成されるハウジング上の構造に対応する。貯蔵モジュールは、ハウジング内の吸引力生成機構を摺動アセンブリおよび/または貯蔵モジュールのスリーブに取り付けることによって、吸引装置の残りの部分に係合され得る。いくつかの変形例では、吸引装置のハウジングと貯蔵モジュールとの間の取り付け機構は、吸引装置が陰圧を生成する能力が消耗されると貯蔵モジュールが自動的に係合解除されるように、構成され得る。吸引装置のハウジングおよび貯蔵モジュールは、所望とし得るように、吸引装置が完全に消耗される前でも、自動的に係合解除するように構成され得る。
【0039】
吸引装置が消耗されるときに自動的に係合解除するように構成された取り付け機構の一変形例を、
図6Aおよび
図6Bに示す。そこに示す変形例では、内部部品の取り付け(例えば、摺動シールアセンブリへのバネブロック)、および外部部品の取り付け(例えば、貯蔵モジュールの吸引チャンバへの吸引装置のハウジング)は、自動的に係合解除するようにトリガされ得る。
図6Aは、ハウジング606と、吸引力生成機構(例えば、定力バネ608)と、貯蔵モジュール601とを含む吸引装置600の部分切り取り図を示す。定力バネ608はバネブロック605に取り付けられ得る。吸引装置ハウジング606は、ハウジングの近位部分に1つ以上の突起612および凹部614を含み得る。ハウジング突起612は、サイズおよび形状が、摺動シールアセンブリ凹部616に対応し、およびハウジング凹部614は、サイズおよび形状が、バネブロック突起618に対応し得る。ハウジング606およびバネブロック605の突起および凹部は、バネブロック605が近位に引っ込められるときに、それら突起が凹部と嵌合するように位置合わせされ得る。貯蔵モジュール601は、吸引チャンバ602、および吸引チャンバ内で可動な摺動シールアセンブリ604を含み得る。摺動シールアセンブリ604は、スナップ嵌めによってバネブロック605に解放可能に取り付けられ得、ここでは、スナップ嵌め機構の係合は、摺動シールアセンブリ凹部616にハウジング突起612が存在することまたは存在しないことによって、制御され得る。例えば、摺動シールアセンブリ凹部616へのハウジング突起612の挿入によって、スナップ嵌め機構を撓ませて、バネブロック605が摺動シールアセンブリ604から解放され得るようにする。ハウジング突起612の除去によって、スナップ嵌め機構を係合構成に保持できるようにするため、バネブロックおよび摺動シールアセンブリは、互いに取り付けられ得る。
【0040】
吸引チャンバ602はまた、スナップ嵌め機構によって吸引装置ハウジング606に取り付けられ得る。スナップ嵌め機構の係合は、バネブロック605と摺動シールアセンブリ604との間のスナップ嵌めの取り付けに関して上記で説明した機構と同様に、ハウジング凹部614にバネブロック突起618が存在することまたは存在しないことによって、制御され得る。突起612、618の長さは、吸引装置ハウジング606からの貯蔵モジュール601の係合解除が、吸引装置が消耗構成になるまで発生し得ないように、選択され得る。吸引装置600が、
図6Bに示すような消耗構成になると、バネブロック突起618はハウジング凹部614と嵌合し、かつハウジング606と吸引チャンバ602との間の取り付けを係合解除し得る。さらに、ハウジング突起612は摺動シールアセンブリ凹部616と嵌合し、かつバネブロック605と摺動シールアセンブリ604との間の取り付けを係合解除し得る。突起612、618の長さは同じとしてもよいため、ここで説明する両取り付け機構は実質的に同時に係合解除され得る。しかしながら、一方の取り付け機構が他方の取り付け機構の前に係合解除されることが望まれる場合、突起612、618の長さは異なってもよい。
【0041】
他の変形例では、バネブロックと摺動シールアセンブリとの間の取り付け機構は、摺動シールアセンブリが吸引チャンバの選択した長さにわたって動かされた後、自動的に係合解除されるように構成され得る。例えば、吸引装置のハウジングは、近位端部から延在するプロングを含み、およびバネブロックは、ハウジングの近位端部に対面する面上にフィンガーを含み得る。フィンガーは、プロングと位置合わせされるように配置され得る。フィンガーは、それぞれ、バネに結合され、フィンガーに力を加えることによってバネを圧縮する働きをし、かつバネブロックと摺動シールアセンブリとの間の取り付けを解放し、および力の解放によってフィンガーが跳ね返って摺動シールアセンブリに係合できるようにする。最初は、バネブロックのフィンガーは、摺動シールアセンブリに取り付けるように押圧され得る。バネブロックは減圧組織療法の最中に近位に動くため、吸引装置のハウジング上のプロングは、バネブロック上のフィンガーに接触し、かつフィンガーに結合されたバネを圧縮する。バネの圧縮により、バネブロックと摺動シールアセンブリとの間の取り付けを解放する。プロングは、任意の所望の長さを有し、吸引装置が一定の選択した状態まで消耗された後、バネブロックおよび摺動シールアセンブリが係合解除され得るようにする。起動ツールを使用して、上述の通り、バネブロックを摺動シールアセンブリに対して係合および係合解除し得る。いくつかの実施形態では、貯蔵モジュールの遠位キャップおよび吸引装置のハウジングは、貯蔵モジュールを吸引装置のハウジングに係合するために、上述の機械的な特徴の任意の組み合わせを有し得る。
【0042】
上述の吸引装置は、1つ以上の定力バネを使用して陰圧を生成するが、任意の好適な機構は、創傷の密封囲いに陰圧をもたらすために、吸引装置と一緒に使用され得ることを理解するべきである。例えば、陰圧は、ベローズチャンバを使用して生成され得る。チャージ構成では、ベローズは圧縮され得、およびベローズが膨張すると、陰圧は組織に伝達され得る。消耗構成では、ベローズは膨張され得、およびある程度の組織滲出液をそこに収集し得る。
【0043】
上述の取り外し式滲出液貯蔵モジュールのいずれかは、任意選択的に、貯蔵モジュールに収集された滲出液の漏出に抵抗するかまたはそれを防止する流体保持機構を含み得る。流体保持機構は、使用者または医療従事者およびそれらの周辺を汚染するリスクを低減させるのを助け得る。貯蔵モジュールは、吸収材を含む流体保持アセンブリを有し得るため、滲出液が吸収材と接触すると、その材料によって吸収され、かつ貯蔵モジュール内に保持され得る。任意選択的に、流体保持アセンブリは、メッシュおよび/またはスクリーンおよび/またはバッグに含まれ得る。例えば、流体保持アセンブリの一変形例は、貯蔵モジュールおよび/または吸引チャンバのある部分において吸収材を隔絶するために使用され得るスクリーンまたはメッシュを含み得る。スクリーンまたはメッシュは、吸収材が貯蔵モジュールおよび/または吸引チャンバから出るのを防止するのを助け得る。それに加えてまたはその代わりに、流体保持アセンブリは、吸収材および/または凝固剤を取り囲むパウチを含み得る。
【0044】
流体保持アセンブリにおいて使用され得る吸収材は、期待される粘度(または他の液体の特徴)および/または滲出液の量に従って選択され得る。いくつかの吸収材はまた、所望の吸収能に基づいて選択され得る。材料の吸収能は、陰圧および/または陽圧条件下で維持され得る。吸収材のいくつかの変形例は、吸湿性としてもよく、および蒸気を吸収できる。流体吸収材は、空気に対して透過性があり、吸引装置によって生成された陰圧が、実質的に妨害されずに、創傷へと伝えられ得る。好適な吸収材は、天然、合成、および改質天然ポリマーおよび材料から選択され得る。吸収材は、無機材料、例えばシリカゲル、または有機化合物、例えば架橋ポリマーとし得る。吸収材の他の例は、ガーゼ、パルプ、スポンジ、乾燥したヒドロゲル(dessicated hydrogels)、および架橋多塩基樹脂(cross−linked polyprotic resins)を含み得る。好適な吸収材および/または凝固材は、様々な商業的な供給業者、例えばMidland,Mich.,U.S.A.にあるDow Chemical Company、およびD−47805 Krefeld,Federal Republic of GermanyのStockhausen GmbH & Co. KGから入手可能とし得、およびナトリウムジクロロ−S−トリアジントリオン二水和物(sodium dichloro−S−triazinetrione dihydrate)を伴うポリアクリル酸ナトリウム、セルロースベースの基材、AQUA KEEP(登録商標)ポリマー製品などを含み得る。流体保持アセンブリのいくつかの変形例は、その乾燥重量の少なくとも100%に等しい水の量を保持できる(例えば、固有吸収能(Intrinsic Absorbent Capacity)の試験によって測定されるような)超吸収材を使用し得る。上述の実施形態のいくつかでは、超吸収材は、Microtek MedicalによるIsolyser(商標)とし得る。流体保持アセンブリの他の例は、2011年9月26日出願の米国特許出願第13/245,744号明細書に説明されており、その全体が参照することにより本書に援用され、かつ付属書類に含まれる。
【0045】
任意選択的に、流体保持アセンブリのいくつかの変形例は、貯蔵モジュールおよび/または吸引チャンバに入る液体滲出液を衛生化するのを助け得る消毒薬を含み得る。例えば、消毒薬は、吸収材に取り付けられ得る、埋め込まれ得る、架橋され得るおよび/または他の方法で組み込まれ得る。他の例では、消毒薬は、収集チャンバ内に自由に配置され得るか、または他の構造、例えば摺動シールに取り付けられ得る。消毒薬は、抗菌性(例えば静菌性または殺菌性)、抗ウィルス性、抗真菌・カビ性、および/または駆虫性とし得る。流体保持システムにおいて使用され得る消毒薬化合物のいくつかの例は、クロルヘキシジン、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムジクロロ−s−トリアジントリオン脱水物(sodium dichloro−s−triazinetrione dehydrate)(または他の塩素ベースの消毒薬)、スルホンアミド、スルファジアジン銀、ポリヘキサニド(polyhexanide)を含み得る。いくつかの変形例では、吸収材自体がまた、消毒薬の機能を果たし得る。例えば、流体保持アセンブリは、Microtek MedicalによるIsolyser LTS−Plus(登録商標)SolidifierまたはIsosorb(登録商標)Solidifierなどの液体医療廃棄物凝固剤を使用し得る。任意選択的に、流体保持アセンブリはまた、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、または過酸化水素などの脱臭剤を含み得る。いくつかの変形例では、消毒薬は、使用済み装置の廃棄を、バイオハザード廃棄物としてではなく、一般的なごみの廃棄とすることを可能にする。流体保持アセンブリの他の例および説明(例えば、バイオハザード汚染アセンブリ)は、2010年8月11日出願の米国仮特許出願第61/372,837号明細書(その全体が参照することにより本書に援用され、かつ付属書類に含まれる)、および2011年9月26日出願の米国特許出願第13/245,744号明細書(その全体が参照することにより以前に本書に援用されている)に説明されている。
【0046】
上述の通り、ベローズを用いる従来技術のシステムの例は、米国特許第4,578,060号明細書、同第4,278,089号明細書、同第8,641,692号明細書、および同第8,007,257号明細書に開示されている。構造的支持(例えば、保持リング)および/またはヒンジ(例えば、一体丁番、機械的ヒンジ、および横断面幅を広くされるなど、幾何学的形状が修正されたヒンジ)を含む、本明細書で説明する支持要素のいずれかは、これら従来技術の設計および他の典型的な創傷ドレナージシステム設計のベローズに含まれて、陰圧下のベローズの横方向の構造的完全性および/または断面形状を維持するのを助け得る。
【0047】
本明細書の実施形態をいくつかの例に関して説明したが、説明した例の様々な追加的な実施形態および代替形態は、本発明の範囲内で考慮される。それゆえ、上述の説明のいずれの部分も、以下の特許請求の範囲で説明されるような本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。上述の実施形態の全てに関し、方法のステップは、順次的に実施される必要はない。従って、添付の特許請求の範囲によるものを除いて、本発明が限定されることは意図しない。