(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0012】
1.電気光学装置
1A.第1実施形態
1A−1.電気光学装置の概要
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置100を模式的に示す平面図である。電気光学装置100は、有機ELを利用して画像を表示する装置である。電気光学装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ等に好適に用いられるマイクロディスプレイである。
【0013】
以下、電気光学装置100について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向といい、X1方向とは反対の方向をX2方向という。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向といい、Y1方向とは反対の方向をY2方向という。Z軸に沿う一方向をZ1方向といい、Z1方向とは反対の方向をZ2方向という。また、Z1方向またはZ2方向でみることを「平面視」という。本実施形態では、X軸が第1軸の一例であり、Y軸が第2軸の一例である。
【0014】
電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の周囲を囲む周辺領域A20と、を有する。
図1に示す例では、表示領域A10の平面視での形状が四角形である。なお、表示領域A10の平面視での形状は、
図1に示す例に限定されず、他の形状でもよい。
【0015】
表示領域A10は、複数の画素Pで構成される。各画素Pは、画像の表示における最小単位である。複数の画素Pは、例えば、X軸およびY軸に沿って行列状に配置される。各画素Pは、青色の波長域の光が得られるサブ画素PBと、緑色の波長域の光が得られるサブ画素PGと、赤色の波長域の光が得られるサブ画素PRと、を有する。なお、以下では、サブ画素PB、サブ画素PGおよびサブ画素PRを区別しない場合、サブ画素P0という。
【0016】
図1に示すように、電気光学装置100は、素子基板200と、光透過性を有する透光性基板300と、を有する。電気光学装置100は、いわゆるトップエミッション構造である。電気光学装置100は、透光性基板300から光を出射させる。なお、光透過性とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0017】
素子基板200は、データ線駆動回路101と走査線駆動回路102と制御回路103と複数の外部端子104とを有する。データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、制御回路103および複数の外部端子104は、周辺領域A20に配置される。データ線駆動回路101および走査線駆動回路102は、複数のサブ画素P0の駆動を制御する周辺回路である。制御回路103は、データ線駆動回路101および走査線駆動回路102の駆動を制御する。制御回路103には、図示しない上位回路から画像データが供給される。制御回路103は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路101および走査線駆動回路102に供給する。図示しないが、外部端子104には、上位回路との電気的な接続のためのFPC(Flexible printed circuits)基板等が接続される。また、素子基板200には、図示しない電源回路が電気的に接続される。
【0018】
透光性基板300は、素子基板200等を保護するカバーである。透光性基板300は、例えば、ガラス基板または石英基板で構成される。透光性基板300は、図示しない接着剤を介して素子基板200に接合される。当該接着剤は、例えば、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の樹脂材料を用いた透明な接着剤である。
【0019】
図2は、
図1に示すサブ画素P0の等価回路図である。素子基板200には、複数の走査線111と複数のデータ線112と複数の給電線113と複数の給電線114とが設けられる。
図2では、1つのサブ画素P0とこれに対応する要素とが代表的に図示される。
【0020】
走査線111はX軸に沿って延び、データ線112はY軸に沿って延びる。図示しないが、複数の走査線111と複数のデータ線112は、格子状に配列される。また、図示しないが、走査線111は、
図1に示す走査線駆動回路102に接続され、データ線112は、
図1に示すデータ線駆動回路101に接続される。
【0021】
図2に示すように、素子基板200は、サブ画素P0ごとに、発光素子120と、発光素子120に電流を供給する画素回路130と、を有する。発光素子120は、OLED(有機発光ダイオード)で構成される。後に詳述するが、発光素子120は、画素電極226と、共通電極229と、これらの間に配置される有機層228と、を有する。
【0022】
画素電極226には、画素回路130を介して給電線113が電気的に接続される。一方、共通電極229には、給電線114が電気的に接続される。ここで、給電線113には、図示しない電源回路から高位側の電源電位Velが供給される。給電線114には、図示しない電源回路から低位側の電源電位Vctが供給される。このため、画素電極226が陽極として機能し、共通電極229が陰極として機能する。発光素子120では、画素電極226から供給される正孔と、共通電極229から供給される電子とが有機層228で再結合することにより、有機層228が光を発生させる。
【0023】
画素回路130は、スイッチング用トランジスター131と駆動用トランジスター132と保持容量133とを有する。スイッチング用トランジスター131のゲートは、走査線111に電気的に接続される。スイッチング用トランジスター131のソースおよびドレインのうち、一方がデータ線112に電気的に接続され、他方が駆動用トランジスター132のゲートに電気的に接続される。駆動用トランジスター132のソースおよびドレインのうち、一方が給電線113に電気的に接続され、他方が画素電極226に電気的に接続される。保持容量133の両電極のうち、一方が駆動用トランジスター132のゲートに接続され、他方が給電線113に接続される。
【0024】
以上の画素回路130では、走査線駆動回路102が走査信号をアクティブにすることで走査線111が選択されると、選択されるサブ画素P0に設けられるスイッチング用トランジスター131がオンする。すると、データ線112からデータ信号が、選択される走査線111に対応する駆動用トランジスター132に供給される。駆動用トランジスター132は、供給されるデータ信号の電位、すなわちゲートおよびソース間の電位差に応じた電流を発光素子120に対して供給する。この結果、発光素子120は、駆動用トランジスター132から供給される電流の大きさに応じた輝度で発光する。その後、走査線駆動回路102が走査線111の選択を解除してスイッチング用トランジスター131がオフした場合、駆動用トランジスター132のゲートの電位は、保持容量133により保持される。このため、スイッチング用トランジスター131がオフした後も、発光素子120の発光を維持することができる。
【0025】
なお、前述の画素回路130の構成は、図示の構成に限定されない。例えば、画素回路130は、画素電極226と駆動用トランジスター132との間の導通を制御するトランジスターをさらに備えてもよい。
【0026】
1A−2.素子基板の詳細
図3は、第1実施形態における素子基板200の一部を示す平面図である。
図4は、
図3中のA−A線断面図である。
図5は、
図3中のB−B線断面図である。
図3では、素子基板200を構成する要素のうち、1つの画素Pにおける要素が代表的に図示される。
【0027】
図3に示すように、素子基板200は、画素Pごとに、発光素子120R、120G1、120G2および120Bの組を有する。発光素子120Rは、サブ画素PRに設けられる発光素子120である。発光素子120G1および120G2のそれぞれは、サブ画素PGに設けられる発光素子120である。発光素子120Bは、サブ画素PBに設けられる発光素子120である。
【0028】
ここで、発光素子120Rが第1発光素子の一例であり、発光素子120G1および120G2が第2発光素子の一例であり、発光素子120Bが第3発光素子の一例である。なお、発光素子120G1および120G2は、サブ画素PGごとに、1つの画素回路130を共用する。したがって、発光素子120G1および120G2は、サブ画素PGごとに、1つの発光素子120Gとして捉えてもよい。なお、発光素子120G1および120G2で個別の画素回路130が設けられてもよい。
【0029】
本実施形態では、発光素子120R、120G1、120G2および120BがX軸およびY軸に沿って行列状に配置される。ここで、発光素子120Rに対して、X1方向には発光素子120G1が配置され、Y2方向には発光素子120Bが配置される。発光素子120G1に対してY2方向、かつ、発光素子120Bに対してX1方向には、発光素子120G2が配置される。
【0030】
発光素子120Rは、サブ画素PRのための光LLRを発する発光領域RRを第1発光領域の一例として有する。発光素子120G1は、サブ画素PGのための光LLG1を発する発光領域RG1を有する。発光素子120G2は、サブ画素PGのための光LLG2を発する発光領域RG2を有する。発光素子120Bは、サブ画素PBのための光LLbを発する発光領域RBを有する。なお、光LLRが第1光の一例であり、光LLG1およびLLG2からなる光LLGが第2光の一例であり、光LLBが第3光の一例である。また、発光領域RG1およびRG2は、サブ画素PGごとに、1つの発光領域RGとして捉えてもよい。
【0031】
図3に示す例では、発光領域RR、RG1、RG2およびRBのそれぞれが平面視で8角形をなす。発光領域RRの面積は、発光領域RBおよびRGのそれぞれの面積よりも小さい。また、発光領域RRの面積は、発光領域RG1の面積に等しい。また、発光領域RBの面積は、発光領域RG2の面積に等しい。ここで、発光領域RRの面積は、発光領域RG1およびRG2の面積の合計よりも小さい。すなわち、発光領域RRの面積は、発光領域RGの面積よりも小さい。なお、これらの各領域の「面積」とは、平面視での面積をいう。また、発光領域RRの面積は、発光領域RG1の面積と異なってもよい。また、発光領域RR、RG1、RG2およびRBのそれぞれの形状は、8角形に限定されず、他の形状でもよい。また、発光領域RR、RG1、RG2およびRBの平面視での形状は、互いに異なってもよい。
【0032】
本実施形態では、X軸に沿う発光領域RRの長さLe11は、Y軸に沿う発光領域RRの長さLe12よりも長い。X軸に沿う発光領域RGの長さLe21は、Y軸に沿う発光領域RGの長さLe22よりも短い。X軸に沿う発光領域RBの長さLe31は、Y軸に沿う発光領域RBの長さLe32よりも短い。
【0033】
図4および
図5に示すように、素子基板200は、基板210と発光素子層220と保護層230とカラーフィルター240とを有する。これらの層は、この順でZ1方向に積層される。なお、素子基板200を構成する各層は、公知の成膜法を適宜に用いて形成される。
【0034】
基板210は、例えばシリコン基板である。図示しないが、基板210には、前述の画素回路130およびこれに接続される各種配線等が形成される。なお、基板210は、シリコン基板に限定されず、例えば、ガラス基板、樹脂基板またはセラミックス基板でもよい。本実施形態では、電気光学装置100がトップエミッション型であるため、基板210は光透過性を有しなくてもよい。画素回路130が有する前述の各トランジスターは、MOS型トランジスター、薄膜トランジスターまたは電界効果トランジスターのいずれでもよい。画素回路130が有するトランジスターがアクティブ層を有するMOS型トランジスターである場合、当該アクティブ層は、シリコン基板で構成されてもよい。また、画素回路130を構成する各部および各種配線の材料としては、例えば、ポリシリコン、金属、金属シリサイドおよび金属化合物等の導電材料が挙げられる。
【0035】
発光素子層220は、発光素子120R、120G1、120G2および120Bが設けられる層である。具体的には、発光素子層220は、絶縁層221と反射層222と増反射層223と絶縁層224と距離調整層225と複数の画素電極226R、226G1、226G2および226Bと素子分離層227と有機層228と共通電極229とを有する。これらの層は、この順でZ1方向に積層される。
【0036】
絶縁層221は、基板210と反射層222との間に配置される層間絶縁膜である。絶縁層221は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料で構成される。
【0037】
反射層222は、有機層228で発生した光をZ1方向に反射する光反射性を有する層である。図示しないが、反射層222は、平面視で、複数のサブ画素P0に対応して行列状に配置される複数の部分に分割される。反射層222の構成材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ti(チタン)等の金属またはこれらのいずれかの金属の合金等が挙げられる。例えば、反射層222は、Tiで構成される膜とAlおよびCuを含む合金で構成される膜との積層体で構成される。
図4および
図5に示す例では、反射層222は、配線としても機能する。当該配線は、図示しないが、例えば、前述の画素回路130と電気的に接続される。なお、反射層222は、当該配線として機能しなくてもよい。この場合、反射層222とは別途配線が設けられる。また、光反射性とは、可視光に対する反射性を意味し、好ましくは可視光の反射率が50%以上であることをいう。
【0038】
増反射層223は、反射層222の光反射性を高めるための光透過性および絶縁性を有する層である。増反射層223は、平面視で反射層222の全域にわたる範囲に配置される。増反射層223は、例えば、酸化シリコン膜で構成される。
【0039】
絶縁層224は、第1絶縁層224aおよび第2絶縁層224bを有する。第1絶縁層224aは、反射層222および増反射層223の分割された複数の部分の間を埋めるとともに、増反射層223上の全域にわたり配置される。第2絶縁層224bは、第1絶縁層224a上の全域にわたり配置される。第1絶縁層224aおよび第2絶縁層224bのそれぞれは、例えば、窒化シリコン(SiN)膜で構成される。
【0040】
距離調整層225は、サブ画素P0ごとに、反射層222と共通電極229との間の距離を調整するための光透過性および絶縁性を有する層である。距離調整層225は、第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bを有する。第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bのそれぞれは、例えば、酸化シリコン膜で構成される。
【0041】
第1距離調整層225aは、サブ画素PR、PGおよびPBのうち、サブ画素PRに配置され、サブ画素PGおよびPBに配置されない。第2距離調整層225bは、サブ画素PR、PGおよびPBのうち、サブ画素PRおよびPGに配置され、サブ画素PBに配置されない。したがって、サブ画素PRには、第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bが配置される。サブ画素PGには、第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bのうち第2距離調整層225bが配置される。サブ画素PBには、第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bのいずれも配置されない。
【0042】
画素電極226R、226G1、226G2および226Bのそれぞれは、サブ画素P0ごとに設けられ、導電性および光透過性を有する層である。ただし、画素電極226G1および226G2は、サブ画素PGで共用される。画素電極226R、226G1、226G2および226Bのそれぞれの構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)およびIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料が挙げられる。
【0043】
画素電極226Rは、サブ画素PRに設けられる画素電極226である。画素電極226G1および226G2は、サブ画素PGに設けられる画素電極226である。画素電極226Bは、サブ画素PBに設けられる画素電極226である。
【0044】
素子分離層227は、画素電極226R、226G1、226G2および226Bのそれぞれの外縁を覆う絶縁性の層である。素子分離層227は、例えば、酸化シリコン等の絶縁材料で構成される。素子分離層227には、画素電極226R、226G1、226G2および226Bの所定領域を有機層228に接触させるための複数の開口が設けられる。当該複数の開口により、発光領域RR、RG1、RG2およびRBが規定される。
【0045】
有機層228は、有機化合物を主材料として構成される層である。具体的には、有機層228は、通電により発光する発光層を含む。本実施形態では、当該発光層は、例えば、赤色の発光色が得られる発光層と、緑色の発光色が得られる発光層と、青色の発光色が得られる発光層と、を有し、これらが適宜に積層される。このため、有機層228で白色またはこれに近似した色の発光が実現される。なお、有機層228は、公知の構成および材料を適用可能である。図示しないが、有機層228は、発光層のほか、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層または電子注入層等を適宜に含む。また、有機層228は、必要に応じて、金属等の無機材料で構成される層を含んでもよい。
【0046】
共通電極229は、サブ画素PR、PGおよびPBに共通して設けられ、光反射性、光透過性および導電性を有する層である。共通電極229の構成材料としては、例えば、Agを含むMgAg等の合金が挙げられる。
【0047】
以上の発光素子層220において、発光素子120Rは、絶縁層221と反射層222と増反射層223と絶縁層224と第1距離調整層225aと第2距離調整層225bと画素電極226Rと素子分離層227と有機層228と共通電極229とを有する。発光素子120G1は、第1距離調整層225aが省略されるとともに、画素電極226Rに代えて画素電極226G1を有する以外は、発光素子120Rと同様の層構成を有する。発光素子120G2は、第1距離調整層225aが省略されるとともに、画素電極226Rに代えて画素電極226G2を有する以外は、発光素子120Rと同様の層構成を有する。発光素子120Bは、第1距離調整層225aおよび第2距離調整層225bが省略されるとともに、画素電極226Rに代えて画素電極226Bを有する以外は、発光素子120Rと同様の層構成を有する。
【0048】
ここで、反射層222と共通電極229との間の距離は、サブ画素P0ごとに異なる。具体的には、サブ画素PRにおける当該距離は、赤色の波長域に対応して設定される。サブ画素PGにおける当該距離は、緑色の波長域に対応して設定される。サブ画素PBにおける当該距離は、青色の波長域に対応して設定される。
【0049】
このため、サブ画素PRでは、反射層222と共通電極229との間で赤色の波長の光を共振させる光共振構造が実現される。サブ画素PGでは、反射層222と共通電極229との間で緑色の波長の光を共振させる光共振構造が実現される。サブ画素PBでは、反射層222と共通電極229との間で青色の波長の光を共振させる光共振構造が実現される。
【0050】
ここで、前述の光共振構造における共振波長は、反射層222と共通電極229との間の距離によって決まる。当該距離をL0とし、当該共振波長をλ0とするとき、次のような関係式[1]が成り立つ。なお、関係式[1]中のΦ(ラジアン)は、反射層222と共通電極229との間での透過および反射の際に生じる位相シフトの総和を表す。
{(2×L0)/λ0+Φ}/(2π)=m0(m0は整数)・・・・・[1]
【0051】
取り出したい波長域の光のピーク波長が波長λ0となるよう、距離L0が設定される。この設定により、取り出したい所定の波長域の光が増強され、当該光の高強度化およびスペクトルの狭幅化を図ることができる。
【0052】
前述のように、本実施形態では、サブ画素PB、PGおよびPRごとに距離調整層225の厚さを異ならせることにより、距離L0が調整される。なお、距離L0の調整方法は、距離調整層255の厚さによる調整方法に限定されない。例えば、サブ画素PB、PGおよびPRごとに画素電極226の厚さを異ならせることにより、距離L0が調整されてもよい。
【0053】
保護層230は、発光素子層220を外部の水分または酸素等から保護するためのガスバリア性および光透過性を有する層である。具体的には、保護層230は、第1層231と第2層232と第3層233とを有する。これらの層は、この順でZ1方向に積層される。第1層231および第3層233のそれぞれは、ガスバリア性を高めるための光透過性を有する層である。第1層231および第3層233のそれぞれは、例えば、酸窒化シリコン(SiON)膜で構成される。第2層232は、第3層233に平坦な面を提供するための光透過性を有する層である。第2層232は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料で構成される。
【0054】
カラーフィルター240は、発光素子120からの光のうち所定の波長域の光を選択的に透過させる層である。カラーフィルター240を用いることで、カラーフィルター240を用いない場合に比べて、各サブ画素P0から出射される光の所望の色における色純度を高めることができる。カラーフィルター240は、例えば、色材を含むアクリル系の感光性樹脂材料等の樹脂材料で構成される。
【0055】
具体的には、カラーフィルター240は、サブ画素PRに設けられるフィルター241Rと、サブ画素PGに設けられるフィルター241Gと、サブ画素PBに設けられるフィルター241Bと、を有する。ここで、フィルター241Rが第1フィルターの一例であり、フィルター241Gが第2フィルターの一例であり、フィルター241Bが第3フィルターの一例である。
【0056】
フィルター241Rは、発光素子120Rからの光のうち赤色の波長域の光を選択的に透過させる着色層である。フィルター241Gは、発光素子120G1および12G2からの光のうち緑色の波長域の光を選択的に透過させる着色層である。フィルター241Bは、発光素子120Bからの光のうち青色の波長域の光を選択的に透過させる着色層である。
【0057】
図3に示すように、フィルター241Rとフィルター241BとがY軸に沿って並ぶ。フィルター241Rとフィルター241GとがX軸に沿って並ぶ。フィルター241Bとフィルター241GとがX軸に沿って並ぶ。ここで、フィルター241Rは、平面視でX軸に沿う長辺を有する長方形をなす。フィルター241Bは、平面視でY軸に沿う長辺を有する長方形をなす。フィルター241Gは、平面視でY軸に沿って延びる形状をなす。より具体的には、フィルター241Gは、X軸に沿う長さの異なる第1部分241G1および第2部分241G2を有し、これらがY軸に沿って並ぶ。ここで、X軸に沿う第1部分241G1の長さLf21aは、X軸に沿う第2部分241G2の長さLf21bよりも短い。また、第1部分241G1は、X軸に沿ってフィルター241Rに隣り合う。第2部分241G2は、X軸に沿ってフィルター241Bに隣り合う。
【0058】
X軸に沿うフィルター241Rの長さLf11は、X軸に沿う発光領域RRの長さLe11よりも長い。X軸に沿うフィルター241Gの長さLf21は、X軸に沿う発光領域RGの長さLe21よりも長い。X軸に沿うフィルター241Bの長さLf31は、X軸に沿う発光領域RBの長さLe31よりも長い。なお、各フィルターの「長さ」とは、フィルターとして機能する領域の長さを意味し、異なる波長域のフィルター同士が重なる部分の長さを含まない長さである。
【0059】
ここで、フィルター241Rの長さLf11と発光領域RRの長さLe11との差(2×LxR)は、フィルター241Gの長さLf21と発光領域RGの長さLe21との差(2×LxG)よりも長い。より具体的には、差(2×LxR)は、第1部分241G1の長さLf21aと発光領域RGの長さLe21との差(2×LxG1)よりも長い。また、差(2×LxR)は、第2部分241G2の長さLf21bと発光領域RGの長さLe21との差(2×LxG2)よりも長い。なお、長さLxRは、平面視におけるフィルター241Rの外縁と発光領域RRの外縁との間の距離に相当する。長さLxGは、平面視におけるフィルター241Gの外縁と発光領域RGの外縁との間の距離に相当する。
【0060】
また、フィルター241Bの長さLf31と発光領域RBの長さLe31との差(2×LxB)は、差(2×LxG2)に等しい。なお、長さLxBは、平面視におけるフィルター241Bの外縁と発光領域RBの外縁との間の距離に相当する。
【0061】
前述のような差(2×LxR)と差(2×LxG)との大小関係は、フィルター241Rとフィルター241Gとの間の中点を、発光領域RRと発光領域RGとの間の中点よりもX1方向に距離ΔLxずらすことで実現される。
【0062】
図6は、観察方向と色差との関係を示すグラフである。
図6では、距離ΔLxが0μmである場合が一点鎖線で示され、距離ΔLxが0.4μmである場合が実線で示され、距離ΔLxが0.7μmである場合が破線で示される。
図6からわかるように、距離ΔLxを0μmよりも大きくすることで、視野角が向上する。なお、
図6中の横軸「観察方向」は、電気光学装置100の表示面の法線方向を基準とし、X軸に沿って視点を変更したときの当該法線方向とのなす角度である。また、
図6中の縦軸「色差」は、電気光学装置100を白色発光させ、基準となる観察方向における表示色との差を示す。
【0063】
以上の電気光学装置100は、前述のように、第1発光素子の一例である発光素子120Rと、第2発光素子の一例である発光素子120Gと、第1フィルターの一例であるフィルター241Rと、第2フィルターの一例であるフィルター241Gと、を有する。発光素子120Rは、第1発光領域の一例である発光領域RRから、第1光の一例である光LLRを出射する。発光素子120Gは、第2発光領域の一例である発光領域RGから、第2光の一例である光LLGを出射する。フィルター241Rは、光LLRのうち第1波長域の光を透過させる。フィルター241Gは、光LLGのうち第1波長域とは異なる第2波長域の光を透過させる。
【0064】
ここで、発光領域RRの面積が発光領域RGの面積よりも小さい。また、第1軸の一例であるX軸に沿う発光領域RRの長さをLe11とし、X軸に沿う発光領域RGの長さをLe21とし、X軸に沿うフィルター241Rの長さをLf11とし、X軸に沿うフィルター241Gの長さをLf21とするとき、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たす。
【0065】
発光領域RRの面積が発光領域RGの面積よりも小さい場合、仮に(Lf11−Le11)=(Lf21−Le21)の関係を満たすと、X軸に沿って視点を変化させることにより、表示領域A10に沿う表示面の法線に対して傾斜する観察方向で発光領域RRおよびRGを観察したとき、光LLRの強度の減衰割合が光LLGの強度の減衰割合よりも大きくなる。
【0066】
これに対し、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たすことで、このような観察方向における光LLRの強度の減衰割合と光LLGの強度の減衰割合との差を低減することができる。このため、観察方向による色変化を低減することができ、この結果、従来に比べて視野角を大きくすることができる。
【0067】
本実施形態では、発光領域RRと発光領域RGとがX軸に沿って互いに隣り合う。このため、フィルター241Rの長さLf11を従来よりも長くした分、フィルター241Gの長さLf21を従来よりも短くすればよい。この結果、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たすことが容易である。
【0068】
また、電気光学装置100は、発光素子120Rおよび120Gとフィルター241Rおよび241Gに加えて、第3発光素子の一例である発光素子120Bと、第3フィルターの一例であるフィルター241Bと、をさらに有する。発光素子120Bは、第3発光領域の一例である発光領域RBから、第3光の一例である光LLBを出射する。フィルター241Bは、光LLBのうち第1波長域および第2波長域とは異なる第3波長域の光を透過させる。
【0069】
ここで、発光領域RRと発光領域RBとが、X軸に直交する第2軸の一例であるY軸に沿って互いに隣り合う。また、発光領域RRおよびRBのそれぞれと発光領域RGとがX軸に沿って互いに隣り合う。このように発光領域RR、RGおよびRBが配置されることにより、第1波長域、第2波長域および第3波長域で赤色、緑色および青色をバランスよく表示することができる。
【0070】
具体的には、第1波長域は、赤色に対応する波長域であり、第2波長域は、青色に対応する波長域であり、第3波長域は、緑色に対応する波長域である。このため、フルカラー表示を行うことができる。
【0071】
また、発光領域RBの面積は、発光領域RRの面積よりも大きく、かつ、発光領域RGの面積よりも小さい。ここで、X軸に沿う発光領域RBの長さをLe31とし、X軸に沿うフィルター241Bの長さをLf31とするとき、
(Lf11−Le11)>(Lf31−Le31)の関係を満たす。この関係を満たすことにより、観察方向による光LLGの強度の減衰割合を低減することができる。また、この関係を満たすことにより、観察方向による光LLR、LLGおよびLLBのバランスをとりやすいという利点もある。
【0072】
さらに、Y軸に沿う発光領域RRの長さをLe12とし、Y軸に沿うフィルター241Rの長さをLf12とするとき、
(Lf11−Le11)>(Lf12−Le12)の関係を満たす。この関係を満たすことにより、光LLRと光LLBとの強度のバランスをとりやすいという利点がある。
【0073】
また、フィルター241Gは、第1部分241G1および第2部分241G2を有する。ここで、X軸に沿う第1部分241G1の長さは、X軸に沿う第2部分241G2の長さよりも短い。また、第1部分241G1は、X軸に沿ってフィルター241Rに隣り合い、第2部分241G2は、X軸に沿ってフィルター241Bに隣り合う。このような第1部分241G1および第2部分241G2により、光LLGの強度不足を防止することができる。
【0074】
さらに、フィルター241Rを構成する層とフィルター241Gを構成する層とのうちの一方の層の端が他方の層に重なる。このため、フィルター241Rおよび241Gが重ならない場合に比べて、フィルター241Rおよび241Gを容易に製造することができる。例えば、フィルター241Rおよび241Gをスピンコート法等の塗布法により形成する場合、これらの層がいずれも存在しない領域が形成されてしまうのを低減することができる。また、フィルター241Rおよび241Gの重なる部分が遮光性を有するため、斜め方向からみたときに所望の色からずれた光が観察されるのを低減することもできる。
【0075】
1B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0076】
図7は、第2実施形態における画素Pを示す平面図である。
図7では、説明の便宜上、フィルター同士が重なり合う部分の図示が省略され、各フィルターと各発光領域との平面視での位置関係が模式的に図示される。
【0077】
図7に示す例では、発光領域RR、RBおよびRGがこの順でX1方向に並ぶ。ここで、Y軸に沿う発光領域RR、RBおよびRGの長さは、互いに等しいが、X軸に沿う発光領域RR、RBおよびRGの長さは、互いに異なる。具体的には、X軸に沿う発光領域RRの長さLe11、X軸に沿う発光領域RGの長さLe21、およびX軸に沿う発光領域RBの長さLe31は、Le11<Le21<Le31の関係にある。
【0078】
したがって、発光領域RR、RBおよびRGのうち、発光領域RRの面積が最も小さい。そこで、前述の第1実施形態と同様、フィルター241Rの長さLf11と発光領域RRの長さLe11との差(2×LxR)は、フィルター241Gの長さLf21と発光領域RGの長さLe21との差(2×LxG)よりも長い。
【0079】
ここで、本実施形態では、X軸に沿ってフィルター241Bの中点が発光領域RBの中点よりもX1方向にずれている。このため、平面視におけるフィルター241Rの外縁と発光領域RBの外縁との間の距離LxB1は、平面視におけるフィルター241Gの外縁と発光領域RBの外縁との間の距離LxB2よりも小さい。言い換えると、距離LxB2が距離LxB1よりも大きい。このため、フィルター241Bの必要な面積を容易に確保することができる。
【0080】
以上の第2実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
1C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0082】
図8は、第3実施形態における画素Pを示す平面図である。
図8では、説明の便宜上、フィルター同士が重なり合う部分の図示が省略され、各フィルターと各発光領域との平面視での位置関係が模式的に図示される。
【0083】
図8に示す例では、発光領域RR、RBおよびRGの面積が互いに等しい。ここで、発光領域RRおよびRBの形状も互いに等しい。また、発光領域RRおよびRBのそれぞれは、X軸に沿う長辺を有する長方形をなす。発光領域RRおよびRBは、Y軸に沿って隣り合う。これに対し、発光領域RBは、Y軸に沿う長辺を有する長方形をなす。発光領域RBと発光領域RRおよびRBのそれぞれは、X軸に沿って隣り合う。
【0084】
本実施形態では、発光領域RGが第1発光領域の一例であり、発光領域RRおよびRBのそれぞれが第2発光領域の一例である。ここで、X軸に沿う発光領域RGの長さLe11は、X軸に沿う発光領域RRの長さLe21とX軸に沿う発光領域RBの長さLe31
とのそれぞれよりも短い。また、Y軸に沿う発光領域RGの長さLe12は、Y軸に沿う発光領域RRの長さLe22とY軸に沿う発光領域RBの長さLe32とのそれぞれよりも長い。
【0085】
また、本実施形態では、フィルター241Gが第1フィルターの一例であり、フィルター241Rおよび241Bのそれぞれが第2フィルターの一例である。ここで、フィルター241Gの長さLf11と発光領域RGの長さLe11との差(2×LxG)は、フィルター241Rの長さLf21と発光領域RRの長さLe21との差(2×LxR)よりも長い。同様に、フィルター241Gの長さLf11と発光領域RGの長さLe11との差(2×LxG)は、フィルター241Bの長さLf31と発光領域RBの長さLe31との差(2×LxB)よりも長い。
【0086】
以上のように、X軸に沿う発光領域RGの長さをLe11とし、Y軸に沿う発光領域RGの長さをLe12とし、X軸に沿う発光領域RRの長さをLe21とし、Y軸に沿う発光領域RRの長さをLe22とし、Xに沿うフィルター241Gの長さをLf11とし、X軸に沿うフィルター241Rの長さをLf21とするとき、Le11<Le21の関係と、Le12>Le22の関係と、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係と、を満たす。
【0087】
Le11<Le21の関係と、Le12>Le22の関係と、を満たす場合、仮に(Lf11−Le11)=(Lf21−Le21)の関係を満たすと、発光領域RGおよびRRの面積が互いに等しくても、X軸に沿って視点を変化させることにより観察方向を変化させて発光領域RGおよびRRを観察したとき、発光領域RGからの第1光の強度の減衰割合が発光領域RRからの第2光の強度の減衰割合よりも大きくなる。
【0088】
これに対し、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たすことで、このような観察方向における第1光の強度の減衰割合と第2光の強度の減衰割合との差を低減することができる。このため、観察方向による色変化を低減することができ、この結果、従来に比べて視野角を大きくすることができる。
【0089】
1D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0090】
図9は、第4実施形態における画素Pを示す平面図である。
図9では、説明の便宜上、フィルター同士が重なり合う部分の図示が省略され、各フィルターと各発光領域との平面視での位置関係が模式的に図示される。
【0091】
図9に示す例では、発光領域RR、RBおよびRGがこの順でX1方向に並ぶ。ここで、発光領域RR、RBおよびRGの面積および形状は、互いに等しい。
【0092】
本実施形態では、発光領域RBが第1光を出射する第1発光領域の一例であり、発光領域RRおよびRGのそれぞれが第2光を出射する第2発光領域の一例である。フィルター241Bが第1フィルターの一例であり、フィルター241Gおよび241Rのそれぞれが第2フィルターの一例である。
【0093】
発光領域RBからの光の拡がり角は、発光領域RRおよびRGのそれぞれからの光の拡がり角よりも小さい。そこで、X軸に沿う発光領域RBの長さをLe11とし、X軸に沿う発光領域RGの長さをLe21とし、X軸に沿うフィルター241Bの長さをLf11とし、X軸に沿うフィルター241Gの長さをLf21とするとき、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たす。
【0094】
第1光の拡がり角が第2光の拡がり角よりも小さい場合、仮に(Lf11−Le11)=(Lf21−Le21)の関係を満たすと、X軸に沿って視点を変化させることにより観察方向を変化させて発光領域RBおよびRGを観察したとき、発光領域RBからの第1光の強度の減衰割合が発光領域RGからの第2光の強度の減衰割合よりも大きくなる。
【0095】
これに対し、(Lf11−Le11)>(Lf21−Le21)の関係を満たすことで、このような観察方向における第1光の強度の減衰割合と第2光の強度の減衰割合との差を低減することができる。このため、観察方向による色変化を低減することができ、この結果、従来に比べて視野角を大きくすることができる。
【0096】
ここで、第1光は、第2光よりも第1波長域に近い波長域の光である。また、第2光は、第1光よりも第2波長域に近い波長域の光である。この場合、第1光の拡がり角が第2光の拡がり角よりも小さくなりやすい。
【0097】
例えば、発光領域RBを有する第1発光素子と、発光領域RGまたはRRを有する第2発光素子とが互いに異なる発光層を有する場合、第1光の拡がり角が第2光の拡がり角よりも小さくなりやすい。この場合、具体的には、発光領域RBを有する第1発光素子は、青色発光の発光層を備えるが、緑色発光および赤色発光の発光層を備えない。発光領域RGを有する第2発光素子は、緑色発光の発光層を備えるが、青色発光および赤色発光の発光層を備えない。発光領域RRを有する第2発光素子は、赤色発光の発光層を備えるが、青色発光および緑色発光の発光層を備えない。
【0098】
図10は、第4実施形態における各サブ画素P0の発光スペクトルの一例を示す図である。
図10では、赤色発光の発光素子の発光スペクトルSpRが二点鎖線で示され、緑色発光の発光素子の発光スペクトルSpGが破線で示され、青色発光の発光素子の発光スペクトルSpBが実線で示される。
図10に示すように、発光スペクトルSpBの線幅は、発光スペクトルSpRおよびSpGのそれぞれの線幅よりも狭い。このような線幅の関係にある場合、青色発光の発光素子からの光の拡がり角は、緑色発光または赤色発光の発光素子からの光の拡がり角よりも小さくなりやすい。
【0099】
また、例えば、発光領域RBを有する第1発光素子と、発光領域RGまたはRRを有する第2発光素子とが互いに異なる共振構造を有する場合、第1光の拡がり角が第2光の拡がり角よりも小さくなりやすい。この場合、具体的には、前述の第1実施形態のようにサブ画素ごとに異なる共振構造が設けられる。
【0100】
図11は、第4実施形態における各サブ画素P0の配光特性を示す図である。
図11では、図中における上段に、サブ画素PRの発光素子の光軸からの拡がり角における発光強度分布が示され、図中における中段に、サブ画素PGの発光素子の光軸からの拡がり角における発光強度分布が示され、図中における下段に、サブ画素PBの発光素子の光軸からの拡がり角における発光強度分布が示される。
図11に示すように、サブ画素PBの発光素子からの光の拡がり角は、サブ画素PRまたはPGの発光素子からの光の拡がり角よりも小さい。
【0101】
1E.第5実施形態
第5実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0102】
図12は、第5実施形態における素子基板200Aの断面図である。素子基板200Aは、カラーフィルター240に代えて、カラーフィルター240Aを有する以外は、前述の第1実施形態の素子基板200と同様である。カラーフィルター240Aは、壁部242をさらに有する以外は、前述の第1実施形態のカラーフィルター240と同様である。
【0103】
壁部242は、フィルター241R、241Gおよび241Bを区分する凸状の部材である。壁部242は、透明な樹脂材料で構成される。当該樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等が挙げられる。
【0104】
以上のように、素子基板200Aは、フィルター241Rとフィルター241Gとの間に配置され、透明な樹脂材料で構成される壁部242をさらに有する。このため、壁部242を有しない場合に比べて、各フィルターを容易に製造することができる。例えば、フィルター241Rおよび241Gをインクジェット法により形成する場合、壁部242を隔壁として用いて各フィルターを形成することができる。また、各フィルターの厚さを調整しやすいという利点もある。
【0105】
1F.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。また、以下に示す第1実施形態の各変形の態様は、相互に矛盾しない範囲で第2実施形態に適宜適用される。
【0106】
第1実施形態では、発光素子120は、色ごとに異なる共振波長を有する光共振構造を備えるが、光共振構造を備えなくてもよい。また、発光素子層220は、例えば、有機層228を、発光素子120ごとに仕切る隔壁を備えてもよい。また、発光素子120は、サブ画素P0ごとに異なる発光材料を含んでもよい。また、画素電極226は、光反射性を有してもよい。その場合、反射層222は省略してもよい。また、複数の発光素子120で共通電極229は共通であるが、発光素子120ごとに個別の陰極が設けられてもよい。
【0107】
また、カラーフィルター240のフィルター同士の間には、いわゆるブラックマトリックスが介在していてもよい。
【0108】
また、前述の形態では、X軸に沿って視点が変化する場合の視野角を向上させる構成が例示されるが、この例示に限定されない。例えば、X軸に沿って視点が変化する場合の視野角を向上させたい場合、前述の構成をX軸まわりに90°回転させた構成とすればよい。
【0109】
また、前述の形態では、サブ画素PB、PGおよびPRの各平面視での形状がほぼ四角形であるが、他の形状でもよい。また、サブ画素PB、PGおよびPRの配列は、特に限定されない。当該配列としては、例えば、ストライプ配列、レクタングル配列、ベイヤー配列、またはデルタ配列が挙げられる。
【0110】
2.電子機器
前述の実施形態の電気光学装置100は、各種の電子機器に適用することができる。
【0111】
2−1.ヘッドマウントディスプレイ
図13は、電子機器の一例である虚像表示装置700の一部を模式的に示す平面図である。
図13に示す虚像表示装置700は、観察者の頭部に装着されて画像の表示を行うヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。虚像表示装置700は、前述した電気光学装置100と、コリメーター71と、導光体72と、第1反射型体積ホログラム73と、第2反射型体積ホログラム74と、制御部79と、を備える。なお、電気光学装置100から出射される光は、映像光LLとして出射される。また、電気光学装置100の代わりに電気光学装置100Aが用いられてもよい。
【0112】
制御部79は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。コリメーター71は、電気光学装置100と導光体72との間に配置される。コリメーター71は、電気光学装置100から出射された光を平行光にする。コリメーター71は、コリメーターレンズ等で構成される。コリメーター71で平行光に変換された光は、導光体72に入射する。
【0113】
導光体72は、平板状をなし、コリメーター71を介して入射する光の方向と交差する方向に延在して配置される。導光体72は、その内部で光を反射して導光する。導光体72のコリメーター71と対向する面721には、光が入射する光入射口と、光を出射する光出射口が設けられる。導光体72の面721とは反対側の面722には、回折光学素子としての第1反射型体積ホログラム73および回折光学素子としての第2反射型体積ホログラム74が配置される。第1反射型体積ホログラム73は、第2反射型体積ホログラム74よりも光出射口側に設けられる。第1反射型体積ホログラム73および第2反射型体積ホログラム74は、所定の波長域に対応する干渉縞を有し、所定の波長域の光を回折反射させる。
【0114】
かかる構成の虚像表示装置700では、光入射口から導光体72内に入射した映像光LLが、反射を繰り返して進み、光出射口から観察者の瞳EYに導かれることで、映像光LLにより形成された虚像で構成される画像を観察者が観察することができる。
【0115】
以上の虚像表示装置700は、電気光学装置100と、電気光学装置100の動作を制御する制御部79と、を有する。このため、従来よりも優れた視野角特性の虚像表示装置700を提供することができる。
【0116】
なお、虚像表示装置700は、電気光学装置100から出射される光を合成するダイクロイックプリズム等の合成素子を備えてもよい。その場合、虚像表示装置700は、例えば、青色の波長域の光を出射する電気光学装置100、緑色の波長域の光を出射する電気光学装置100および赤色の波長域の光を出射する電気光学装置100を備えることができる。
【0117】
2−2.パーソナルコンピューター
図14は、本発明の電子機器の一例であるパーソナルコンピューター400を示す斜視図である。
図14に示すパーソナルコンピューター400は、電気光学装置100と、電源スイッチ401およびキーボード402が設けられた本体部403と、制御部409とを備える。制御部409は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。パーソナルコンピューター400は、前述の電気光学装置100を備えるため、品質に優れる。なお、電気光学装置100の代わりに電気光学装置100Aが用いられてもよい。
【0118】
なお、電気光学装置100を備える「電子機器」としては、
図13に例示した虚像表示装置700および
図14に例示したパーソナルコンピューター400の他、デジタルスコープ、デジタル双眼鏡、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなど眼に近接して配置する機器が挙げられる。また、電気光学装置100を備える「電子機器」は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーション装置、および車載用の表示部として適用される。さらに、電気光学装置100を備える「電子機器」は、光を照らす照明として適用される。
【0119】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。