特許第6971444号(P6971444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6971444
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】フラックス
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20211111BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20211111BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   B23K35/363 C
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-30407(P2021-30407)
(22)【出願日】2021年2月26日
【審査請求日】2021年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】大類 寿彦
(72)【発明者】
【氏名】半田 浩亮
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 裕之
【審査官】 橋本 憲一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6725861(JP,B1)
【文献】 特許第6501003(JP,B1)
【文献】 国際公開第2020/116372(WO,A1)
【文献】 国際公開第2019/123674(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第108672985(CN,A)
【文献】 特開2020−049495(JP,A)
【文献】 特開2018−114522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/14
B23K 35/22−35/34
B23K 35/363
B23K 35/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックス全体に対して、
3.5〜11質量%のロジンエステル、
0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂(ただし、以下のロジン変性物を除く:
ロジン又はロジン誘導体と、下記構造式(1)からなるアルカノールアミンとの反応物からなるロジン変性物であって、ロジンもしくはロジン誘導体のCOOH基と下記構造式(1)におけるNH3−n基とが縮合して得られるアミド結合、又はロジンもしくはロジン誘導体のCOOH基と下記構造式(1)におけるOH基とが縮合して得られるエステル結合を有するロジン変性物
式(1) NH3−n−(R−OH)(n≦3))、及び
70質量%以上96.5質量%未満の溶剤
を含むことを特徴とするフラックス。
【請求項2】
フラックス全体に対して0.01〜1質量%のアミン臭化水素酸塩をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフラックス。
【請求項3】
有機酸をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフラックス。
【請求項4】
フラックス全体に対して、
0.3〜2質量%の有機塩素化合物、及び
0.2〜1.5質量%の有機リン化合物
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフラックス。
【請求項5】
前記有機塩素化合物が、クロレンド酸、クロレンド酸無水物、及びメチルペンタクロロオクタデカノエートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載のフラックス。
【請求項6】
前記有機リン化合物が、2−エチルヘキシル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、n−オクチル(n−オクチル)ホスホネート、n−デシル(n−デシル)ホスホネート、及びn−ブチル(n−ブチル)ホスホネートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のフラックス。
【請求項7】
フローソルダリング法に用いるための、請求項1〜6のいずれかに記載のフラックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板への電子部品の実装といった、電子機器における電子部品の固定と電気的接続は、コスト面及び信頼性の面で最も有利なはんだ付けにより一般に行われている。
この種のはんだ付けに一般に採用されている方法は、溶融はんだにプリント基板及び電子部品を接触させてはんだ付けを行うフローソルダリング法、並びにソルダペースト、ソルダプリフォーム又はソルダボールの形態のはんだをリフロー炉で再溶融してはんだ付けを行うリフローソルダリング法である。
【0003】
このはんだ付けにおいては、プリント基板及び電子部品にはんだが付着し易くなるようにする補助剤であるフラックスが使用される。フラックスは、(1)金属表面清浄作用(プリント基板及び電子部品の金属表面の酸化膜を化学的に除去して、はんだ付けが可能となるように表面を清浄化する作用)、(2)再酸化防止作用(清浄になった金属表面をはんだ付け中に覆って酸素との接触を遮断し、加熱により金属表面が再酸化されるのを防止する作用)、(3)界面張力低下作用(溶融したはんだの表面張力を小さくして、金属表面のはんだによる濡れ性を高める作用)、などの多くの有用な作用を果たしている。
【0004】
フローソルダリング法によるプリント基板のはんだ付けでは、電子部品搭載の前又は後にはんだ付け部にフラックス(ポストフラックス)が塗布される。その後、ポストフラックスが塗布された後のプリント基板を、フローはんだ付け装置において噴流させたはんだの上を通過させ、フローはんだ付けを行う。
【0005】
また、スルーホールを有するプリント基板のフローソルダリング法によるはんだ付けは、スルーホールの下部からはんだを供給し、スルーホールの上部まではんだを行き渡らせることにより行われる。この場合、スルーホールの下部から供給したはんだがスルーホール内を上昇すること(スルーホール上がり)が必要となる。しかし、近年のプリント基板の複層化に伴い、スルーホールの上部へ行くにつれてはんだへの伝熱が悪くなるという問題がある。はんだへの伝熱を良くしてスルーホール上がりを向上させるために、近年のフローソルダリング法では、プリント基板のはんだへの浸漬時間を増加させて高温で長時間の加熱を行う傾向がある。
さらに、はんだ付けに用いるフラックスは、実際に使用するまでに長期にわたって保存することがあるため、保存時に析出しないことも求められる。
【0006】
従来のフローソルダリング法によるはんだ付けに用いるフラックスとして、特許文献1には、0.3〜2.0質量%の有機塩素化合物及び0.04質量%を超えて1.00質量%以下のアミン塩酸塩から選択される少なくとも1種、並びにホスホン酸エステル及びフェニル置換ホスフィン酸から選択される少なくとも1種である0.2〜1.5質量%の有機リン化合物を含むフラックスが具体的に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6322881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のフラックスは、はんだ付け時のブリッジ及びボールの発生を抑制することができるものであり、特許文献1の実施例には、ロジンエステルを1.60質量%又は3.00質量%を含むフラックスが具体的に示されている。
本発明者らが鋭意検討したところ、従来のフラックスは、上述のようにフローソルダリング時のプリント基板のはんだへの浸漬時間を増加させて高温で長時間の加熱を行うと、プリント基板のスルーホール等に塗布したポストフラックスが揮発等により消失してしまうこと(フラックスの枯れ)が発生し得ることがわかった。特許文献1に具体的に示されているロジンエステルを少量のみ(3.00質量%以下)含むフラックスは、フラックスの耐熱性が不足しているため、本願の比較例1及び4において後述するように、フラックスの枯れが発生してしまい、枯れの抑制の点では改善の余地があることがわかった。
以上のように、フラックスの耐熱性を向上させてはんだ付け時のフラックスの枯れの発生を抑制し、かつ保存時の析出の発生を抑制するフラックスが望まれている。
【0009】
本発明は、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生及び保存時の析出の発生を抑制するフラックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、ロジンエステル、ロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び溶剤を特定量含むフラックスを用いることで上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明の具体的態様は以下のとおりである。
なお、本明細書において、「X〜Y」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0011】
[1] フラックス全体に対して、
3.5〜11質量%のロジンエステル、
0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び
70質量%以上96.5質量%未満の溶剤
を含むことを特徴とするフラックス。
[2] フラックス全体に対して0.01〜1質量%のアミン臭化水素酸塩をさらに含むことを特徴とする[1]に記載のフラックス。
[3] 有機酸をさらに含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のフラックス。
[4] フラックス全体に対して、
0.3〜2質量%の有機塩素化合物、及び
0.2〜1.5質量%の有機リン化合物
をさらに含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のフラックス。
[5] 前記有機塩素化合物が、クロレンド酸、クロレンド酸無水物、及びメチルペンタクロロオクタデカノエートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、[4]に記載のフラックス。
[6] 前記有機リン化合物が、2−エチルヘキシル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、n−オクチル(n−オクチル)ホスホネート、n−デシル(n−デシル)ホスホネート、及びn−ブチル(n−ブチル)ホスホネートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、[4]又は[5]に記載のフラックス。
[7] フローソルダリング法に用いるための、[1]〜[6]のいずれかに記載のフラックス。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフラックスは、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生及び保存時の析出の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】枯れ発生の評価に使用した比較例1の銅板の写真である。
図2】枯れ発生の評価に使用した実施例1の銅板の写真である。
図3】枯れ発生の評価に使用した実施例2の銅板の写真である。
図4】枯れ発生の評価に使用した実施例12の銅板の写真である。
図5】枯れ発生の評価に使用した実施例3の銅板の写真である。
図6】はんだの広がり特性(濡れ性)の評価に使用した実施例32の試料(積層体)の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のフラックスについて、説明する。
本発明において、ロジンエステルは、ロジン系樹脂の1種であり、エステル結合を有するロジンの誘導体を意味する。
本発明において、ロジン系樹脂は、ロジン、ロジンの誘導体(エステル化、重合、水添等の変性を施したロジン)、又はこれらの組み合わせを意味する。
【0015】
本発明のフラックスは、フラックス全体に対して、3.5〜11質量%のロジンエステル、0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び70質量%以上96.5質量%未満の溶剤を含む。本発明のフラックスは、ロジンエステル、ロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び溶剤を特定量含むことにより、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生及び保存時の析出の発生を抑制することができる。
【0016】
ロジンエステルは、特に限定されないが、ハリマ化成株式会社製 ハリタック 品番SE10、PH、F85、FK100、FK125、4740、28JA、PCJ;荒川化学株式会社製 AA-G、AA-L、AA-V、105、AT、H、HP、GA-100、AZ、C、D-125、D-135、D-160、KK、KE-100、KE-311、PE-590、KE-359、A-18、A-75、A-100、A-115、A-125、スーパーエステルE-720、スーパーエステルE-730-55、スーパーエステルE-788、スーパーエステルE-900-NT、スーパーエステルE-865、スーパーエステルE-865-NT、スーパーエステルNS-100H、スーパーエステルNS-121;丸善油化学商事株式会社製 重合ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル;又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。
フラックス全体に対するロジンエステルの含有量は、3.5〜11質量%であり、4.0〜11質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。ロジンエステルの含有量が3.5質量%未満であると、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生を十分に抑制することできない。上述のように、特許文献1に具体的に示されているロジンエステルを少量のみ(3.00質量%以下)含むフラックスは、フラックスの耐熱性が不足しているため、フラックスの枯れが発生してしまう。ロジンエステルの含有量が11質量%を超えると、保存時にフラックスの析出が発生してしまう。また、ロジンエステルの含有量が4.0質量%以上であると、後述の実施例1〜9に示すように、ロジンエステルの含有量が3.5質量%以上4.0質量%未満である場合に比べて、フラックスの枯れの発生をより効果的に抑制することができる。さらに、ロジンエステルの含有量が5質量%以上であると、後述の実施例2〜16に示すように、ロジンエステルの含有量が4.0質量%以上5質量%未満である場合に比べて、フラックスの枯れの発生をより効果的に抑制することができる。ロジンエステルの含有量は、3.5質量%、3.7質量%、3.9質量%、4.0質量%、4.5質量%、5質量%、5.5質量%、6質量%、6.5質量%、7質量%、7.5質量%、8質量%、8.5質量%、9質量%、9.5質量%、10質量%、10.5質量%、又は11質量%であってもよく、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
ロジンエステル以外のロジン系樹脂は、特に限定されないが、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン、該原料ロジンから得られる、ロジンエステル以外の誘導体、又はこれらの組み合わせを使用することができる。該誘導体は、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、又はα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等);該重合ロジンの精製物、水素化物、又は不均化物;該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物、又は不均化物が挙げられ、これらのうちの2種以上を使用することができる。この中でも、アクリル酸変性水添ロジン、アクリル酸変性ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが好ましい。
フラックス全体に対するロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量は、0質量%超18質量%以下であり、1〜15質量%が好ましく、5〜13質量%がより好ましい。ロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量が0質量%である(ロジンエステル以外のロジン系樹脂を含まない)場合、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生を十分に抑制することができず、また、保存時のフラックスの析出が発生してしまう。ロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量が18質量%超であると、はんだ付け後の残渣が多くなる。ロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量は、0質量%超、0.5質量%、1質量%、3質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、10質量%、13質量%、15質量%、又は18質量%であってもよく、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
ロジンエステルの含有量(質量%)とロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量(質量%)との比(ロジンエステルの含有量(質量%):ロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量(質量%))は、1:4.1〜11:1が好ましく、1:3〜4.5:1がより好ましく、1:2.4〜0.6:1が最も好ましい。ロジンエステルの含有量(質量%)とロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量(質量%)との比が上記数値範囲内であると、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生及び保存時のフラックスの析出をより効果的に抑制することができる。
【0019】
溶剤は、特に限定されないが、イソプロピルアルコール、エタノール等のアルコール系溶剤を使用することができ、これらのうちの2種以上を組み合わせて使用することもできる。
フラックス全体に対する溶剤の含有量は、70質量%以上96.5質量%未満であり、70〜95質量%が好ましく、80〜93質量%がより好ましい。溶剤の含有量が70質量%未満であると、はんだ付け後の残渣が多くなる。また、96.5質量%以上であるとフラックスとして十分な活性が得られない。溶剤の含有量は、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%、95質量%、96質量%、又は96.5質量%未満であってもよく、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
本発明のフラックスは、フラックス全体に対して0.01〜1質量%のアミン臭化水素酸塩をさらに含むことができる。フラックスが特定量のアミン臭化水素酸塩をさらに含むことにより、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0021】
アミン臭化水素酸塩は、特に限定されないが、2−エチルヘキシルアミン臭化水素酸塩、ピリジン臭化水素酸塩、イソプロピルアミン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、モノエチルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン臭化水素酸塩、トリエチルアミン臭化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、ジメチルアミン臭化水素酸塩、ロジンアミン臭化水素酸塩、2−ピペコリン臭化水素酸塩、ヒドラジンヒドラート臭化水素酸塩、トリノニルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアニリン臭化水素酸塩、2−ジエチルアミノエタノール臭化水素酸塩、ジアリルアミン臭化水素酸塩、ヒドラジン一臭化水素酸塩、ヒドラジン二臭化水素酸塩、アニリン臭化水素酸塩、ジメチルシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、エチレンジアミン二臭化水素酸塩、2−フェニルイミダゾール臭化水素酸塩、4−ベンジルピリジン臭化水素酸塩、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。この中でも、はんだの濡れ性を向上させる観点から、モノエチルアミン臭化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、ジエチルアニリン臭化水素酸塩、ジメチルシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、エチレンジアミン二臭化水素酸塩、2−フェニルイミダゾール臭化水素酸塩、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが好ましく、モノエチルアミン臭化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、又はこれらの組み合わせが特に好ましい。
フラックス全体の質量に対するアミン臭化水素酸塩の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.7質量%がより好ましく、0.10〜0.5質量%が最も好ましい。アミンハロゲン化臭化水素酸塩の含有量が上記範囲内であれば、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0022】
本発明のフラックスは、有機酸をさらに含むことができる。当該有機酸は、後述する有機塩素化合物以外の有機酸とすることができる。
【0023】
有機酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、グルタル酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、パルミチン酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)、グリシン、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2−キノリンカルボン酸、3−ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、p−アニス酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸、水添トリマー酸、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。これらの中でも、はんだの濡れ性とつや消し性の観点から、パルミチン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが好ましく、パルミチン酸、コハク酸、グルタル酸、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが特に好ましい。
フラックス全体に対する有機酸は、0.01〜7質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。有機酸の含有量が上記範囲内であれば、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0024】
本発明のフラックスは、フラックス全体に対して、0.3〜2質量%の有機塩素化合物、及び0.2〜1.5質量%の有機リン化合物をさらに含むことができる。
【0025】
有機塩素化合物は、特に限定されないが、クロレンド酸、クロレンド酸無水物、メチルペンタクロロオクタデカノエート、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。この中でも、はんだの濡れ性の観点から、メチルペンタクロロオクタデカノエートが好ましい。
フラックスが有機塩素化合物を含む場合、フラックス全体に対する有機塩素化合物の含有量は、0.3〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%が好ましい。
【0026】
有機リン化合物は、特に限定されないが、ホスホン酸エステル、フェニル置換ホスフィン酸、又はこれらの組み合わせを使用することができる。
ホスホン酸エステルは、特に限定されないが、2−エチルヘキシル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、n−オクチル(n−オクチル)ホスホネート、n−デシル(n−デシル)ホスホネート、n−ブチル(n−ブチル)ホスホネート、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。この中でも、はんだボールの低減の観点から、2−エチルヘキシル(2−エチルヘキシル)ホスホネートが好ましい。
フェニル置換ホスフィン酸は、特に限定されないが、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、又はこれらの組み合わせを使用することができる。
フラックス全体に対する有機リン化合物の含有量は、0.2〜1.5質量%が好ましく、0.3〜1.0質量%がより好ましい。
【0027】
有機塩素化合物の含有量、及び有機リン化合物の含有量が上記範囲内であれば、はんだブリッジ及びはんだボールの発生を抑制することができる。
【0028】
本発明のフラックスは、本願の効果に影響を与えない範囲で、ロジン系樹脂以外のその他の樹脂を含んでもよい。
ロジン系樹脂以外のその他の樹脂は、特に限定されないが、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。変性テルペン樹脂は、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。変性テルペンフェノール樹脂は、水添テルペンフェノール樹脂を使用することができる。変性スチレン樹脂は、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。変性キシレン樹脂は、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。
フラックス全体の質量に対するロジン系樹脂以外のその他の樹脂の含有量は、0.2〜18質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましい。ロジン系樹脂以外のその他の樹脂の含有量が上記範囲内であれば、耐湿性を有することにより絶縁性を向上させることができる。
【0029】
本発明のフラックスは、本願の効果に影響を与えない範囲で、上述の有機塩素化合物、アミン臭化水素酸塩、及び有機酸以外の活性剤を含んでもよい。このような活性剤は、特に限定されないが、アミン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。
【0030】
アミン化合物は、特に限定されないが、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノアルコール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、アミノ酸、グアニジン、ヒドラジド、又はこれらの組み合わせを使用することができる。
【0031】
アミンハロゲン化水素酸塩は、上述のアミン臭化水素酸塩以外のハロゲン化水素酸塩(HCl、HF、又はHIの塩など)を使用することができる。
アミン臭化水素酸塩以外のアミンハロゲン化水素酸塩は、特に限定されないが、ステアリルアミン塩酸塩、ジエチルアニリン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、2−エチルヘキシルアミン塩酸塩、イソプロピルアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩、1,3−ジフェニルグアニジン塩酸塩、ジメチルベンジルアミン塩酸塩、ジメチルシクロヘキシルアミン塩酸塩、2−ジエチルアミノエタノール塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、ヒドラジン一塩酸塩、ヒドラジン二塩酸塩、ピリジン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、へキシルアミン塩酸塩、n−オクチルアミン塩酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、L−グルタミン酸塩酸塩、N−メチルモルホリン塩酸塩、ベタイン塩酸塩、塩化アンモニウム、2−ピペコリンヨウ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンヨウ化水素酸塩、1,3−ジフェニルグアニジンフッ化水素酸塩、ジエチルアミンフッ化水素酸塩、2−エチルヘキシルアミンフッ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンフッ化水素酸塩、エチルアミンフッ化水素酸塩、ロジンアミンフッ化水素酸塩、シクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩、ジシクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。この中でも、はんだの切れ性の観点から、シクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩が好ましい。
フラックス全体に対するアミン臭化水素酸塩以外のアミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、0〜2質量%が好ましく、0.02〜1質量%がより好ましい。アミンハロゲン化水素酸塩の含有量が上記範囲内であれば、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0032】
有機ハロゲン化合物は、上述の有機塩素化合物以外の有機ハロゲン化合物を使用することができる。
有機塩素化合物以外の有機ハロゲン化合物は、特に限定されないが、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1,1,2,2−テトラブロモエタン、2,2,2−トリブロモエタノール、ペンタブロモエタン、四臭化炭素、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、meso−2,3−ジブロモこはく酸、臭化n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、トリアリルイソシアヌレート6臭化物、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、臭化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせを使用することができる。この中でも、はんだの濡れ性の観点より、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、又はこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
フラックス全体に対する有機塩素化合物以外の有機ハロゲン化合物の含有量は、0〜3質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましい。有機ハロゲン化合物の含有量が上記範囲内であれば、はんだの濡れ性を向上させることができる。
【0033】
本発明のフラックスは、着色剤、界面活性剤、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0034】
本発明においては、フラックス全体に対して、3.5〜11質量%のロジンエステル、0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び70質量%以上96.5質量%未満の溶剤となるように、各成分を当業界で公知の方法により混合し、溶剤以外の成分を溶剤に溶解することによりフラックスを調製することができる。
【0035】
また、本発明においては、所定量のロジンエステル及びロジンエステル以外のロジン系樹脂を当業界で公知の方法により加熱混合してフラックス用樹脂組成物を調製し、当該フラックス用樹脂組成物を所定量の溶剤により希釈することによりフラックスを調製することもできる。
【0036】
本発明のフラックスは、フローソルダリング法に用いることができる。
フローソルダリング法に用いるはんだ合金の組成としては、公知のはんだ合金の組成を使用することができる。具体的には、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−In合金、Sn−Pb合金,Sn−Bi合金,Sn−Ag−Cu−Bi合金や前記合金組成にAg、Cu、In、Ni、Co、Sb、Ge、P、Fe、Zn、Ga等を更に添加した合金が挙げられる。
【0037】
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
(評価)
実施例1〜42及び比較例1〜5それぞれのフラックスについて、以下の(1)枯れの発生の評価、(2)析出の発生の評価、及び(3)総合評価を行った。また、実施例7、8、及び32それぞれのフラックスについては、以下の(4)フラックスによるはんだの広がり特性(濡れ性)の評価も行った。上記(1)〜(3)の結果を表3〜6に、上記(4)の結果を表7に示す。
【0039】
(1)枯れの発生の評価
銅板(縦30mm×横30mm×厚さ0.3mm)を準備し、当該銅板の表面の中央にマイクロシリンジで0.1mlのフラックス(液体状)を滴下した。滴下したフラックスは銅板の表面の全体に自然に広がるため、銅板の表面の全体にフラックスが塗布された銅板が得られる。このようにして得られた、フラックスが塗布された銅板を、恒温槽に入れ、150℃の温度で60秒間加熱を行った(予備加熱)。予備加熱後の銅板を、265℃の温度に設定したホットプレート(縦260mm×横200mm)の中央に、銅板全体が均一に加熱できるように載置した後、10秒間加熱を行った(本加熱)。そして、本加熱後の銅板の表面全体が1枚の写真(縦30mm×横30mm)に収まるように写真撮影し、銅板本来の色を際立たせるために、Windows(登録商標)フォトビューアーを使用して、コントラスト:+70、ハイライト:−60、暖かさ:−70の条件にて写真を青色処理した。青色処理後の写真(縦30mm×横30mm)を縦10個×横10個の正方形が合計100個になるよう、各領域(縦3mm×横3mm)に区分した。そして、写真上の各領域を、目視にて観察し、(i)フラックスが残存しフラックスの還元作用によって銅板の酸化が抑制され変色が見られない部分と、(ii)フラックスが消失し(枯れて)銅板が酸化して茶色に変色した部分とに分けた。そして、領域全体100個に対する、銅板の変色が見られない部分(i)の個数の割合(%)を算出し、下記の基準に沿って5段階の評価を行った。下記のランクの数値が大きいほど、フラックスの枯れの発生をより抑制できていることを意味する。
ランク1:10%未満
ランク2:10%以上30%未満
ランク3:30%以上50%未満
ランク4:50%以上80%未満
ランク5:80%以上
また、比較例1、並びに実施例1、2、12、及び3の評価に使用した写真をそれぞれ図1〜5に示す。
【0040】
(2)析出の発生の評価
フラックス(液体状)10mlを透明な容器に入れ、当該容器を15℃の温度条件で15分間静置した後、当該容器内のフラックスの外観を目視で観察して、下記の表1の基準に沿って析出の発生の評価を行った。
【0041】
【表1】
【0042】
(3)総合評価
上記(1)及び(2)の評価結果に基づいて、下記の表2の基準に沿って総合評価を行った。
【0043】
【表2】
【0044】
(4)フラックスによるはんだの広がり特性(濡れ性)の評価
JIS Z 3197に従い、はんだ及びフラックスを酸化処理銅板上に載せ、加熱して溶融した後のはんだの広がり率を測定することによってフラックスの効力を評価する。
銅板(縦30mm×横30mm×厚さ0.3mm)を準備し、当該銅板を150℃の恒温槽にて1時間加熱して、酸化処理銅板を得た。得られた酸化処理銅板の上に、はんだリング(組成:Ag3.0質量%、Cu0.5質量%、残部Sn)(直径(外径)6.5mm×内径3mm×厚さ1.7mm、0.21g)を、酸化処理銅板の中央部分が当該はんだリングの中心と一致するように載置し、酸化処理銅板とはんだリングとの積層体を得た。得られた積層体の酸化処理銅板の中央部分(はんだリングの中心)に、50μlのフラックスをマイクロシリンジにて滴下した。滴下したフラックスは、はんだリング内側の領域からはんだリング外側へあふれ出して酸化処理銅板の表面の一部(図6に示す実施例32においては、フラックスを滴下した箇所を中心にして半径 約10〜12mmの円の領域)に自然に広がるため、はんだリング表面の全体及び酸化処理銅板の表面の一部にフラックスが塗布された積層体が得られる。このようにして得られた、はんだリング表面及び酸化処理銅板の表面の一部にフラックスが塗布された積層体を、250℃の温度に設定したホットプレート(縦260mm×横200mm)の中央に、積層体全体が均一に加熱できるように載置した後、30秒間加熱を行った。実施例32の加熱後の積層体の写真を図6に示す。図6の写真からもわかるように、加熱により、酸化処理鋼板上で、はんだリングが溶融してはんだが濡れ広がる。加熱後の積層体において、酸化処理鋼板上のはんだの厚み(高さ)が最大となる部分を特定し、当該部分の酸化処理鋼板とはんだとの合計の厚み(高さ)をデジタルマイクロメーターにより測定した。得られた酸化処理鋼板とはんだとの合計の厚み(高さ)から酸化処理鋼板の厚みを差し引くことにより、はんだの高さ H(mm)を算出した。そして、JIS Z 3197に記載の下記式に基づいて、はんだの広がり率(%)を算出した。
【0045】
【数1】
【0046】
(実施例1〜42、比較例1〜5)
以下の表3〜7に示す組成で実施例1〜42及び比較例1〜5のフラックスを調合した。
なお、以下の表3〜7中の各成分の数値は、フラックス全体の質量に対する各成分の質量%を表す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
上記表3及び4の結果からわかるように、3.5〜11質量%のロジンエステル、0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び70質量%以上96.5質量%未満の溶剤を含む、実施例1〜16のフラックスは、枯れの発生が少なく、かつ析出が発生しなかった。
特に、4.0質量%のロジンエステルを含む実施例2、6〜9、及び15のフラックスは、枯れの発生がより少なく(ランク4)、また、5〜11.0質量%のロジンエステルを含む実施例3〜5及び10〜14のフラックスは、枯れの発生が極めて少なかった(ランク5)。
一方、ロジンエステルの含有量が3.5質量%未満である比較例1及び4のフラックスは、析出が発生しなかったものの、枯れの発生が極めて多かった。
また、ロジンエステルの含有量が11質量%を超える比較例2及び5のフラックスは、枯れの発生が極めて少なかったものの、析出が発生した。
さらに、ロジンエステル以外のロジン系樹脂を含まない比較例3のフラックスは、枯れの発生が多く、かつ析出が発生した。
【0052】
また、上記の表4に示す実施例10〜16の結果より、ロジンエステル以外のロジン系樹脂の種類及び配合比率を変更しても、枯れの発生が少なく、かつ析出の発生がない状態を維持できることがわかった。
【0053】
上記の表5の結果からわかるように、3.5〜11質量%のロジンエステル、0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び70質量%以上96.5質量%未満の溶剤を含む、実施例17〜20のフラックスは、枯れの発生が少なく、かつ析出の発生がなかった。実施例17〜20の結果より、ロジンエステル以外のロジン系樹脂の含有量を0質量%超18質量%以下の数値範囲内で変化させても、枯れの発生が少なく、かつ析出の発生がない状態を維持できることがわかった。
【0054】
また、上記の表6の結果からわかるように、3.5〜11質量%のロジンエステル、0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び70質量%以上96.5質量%未満の溶剤を含み、さらに、有機酸、有機臭素化合物、アミン臭化水素酸塩、及び/又はアミンホウフッ化水素酸塩を含む、実施例21〜42のフラックスは、枯れの発生が少なく、かつ析出の発生がなかった。実施例21〜42の結果より、有機酸、有機臭素化合物、アミン臭化水素酸塩、及び/又はアミンホウフッ化水素酸塩の種類及び含有量を変更しても、枯れの発生が少なく、かつ析出の発生がない状態を維持できることがわかった。
【0055】
【表7】
【0056】
表7の結果より、上述の実施例7、8、及び32のフラックスは、はんだの濡れ性にも優れることがわかった。特に、実施例7及び32の結果の比較より、アミン臭化水素酸塩の添加によりはんだの濡れ性を向上できることがわかった。
【要約】
【課題】本発明は、はんだ付け時のフラックスの枯れの発生及び保存時の析出の発生を抑制するフラックスを提供することを目的とする。
【解決手段】フラックス全体に対して、
3.5〜11質量%のロジンエステル、
0質量%超18質量%以下のロジンエステル以外のロジン系樹脂、及び
70質量%以上96.5質量%未満の溶剤
を含むことを特徴とするフラックス
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5
図6