【実施例】
【0023】
1.苗データ生成システム、苗判別システムの構成
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る苗データ生成装置、苗判別装置の構成を表す概略図を示す。
本発明の苗データ生成システム1、苗判別システム2は、たとえば、苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2、外部の1または複数のデータベース20、入力手段31および表示手段32を備える端末30、撮像手段40をネットワーク50によって互いに通信可能に接続することで構成されている。端末30は作業者によって操作される。
なお、
図1では、説明の簡略化のため、苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2を1つの装置に組み込んだように記載されているが、これに限定されない。苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2は、1つの装置に組み込んでもよいし、それぞれ別の装置に組み込んでもよい。
また、データベース20、端末30、撮像手段40、ネットワーク50による構成は、苗データ生成システム1、苗判別システム2を機能させるための一例であって、これに限定されるものではない。たとえば、環境によってはネットワーク50を介した接続が不要な場合もある。
【0024】
苗データ生成システム1、苗判別システム2のための苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2は、たとえばサーバ型の情報処理装置とされ、端末30の要求に応じて端末への情報送信などの動作を行う。端末30の内部には情報処理機能を有するCPU(Central Processing Unit;プロセッサ)、メモリなどの電子部品を備えている。
なお、苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2は、サーバ型の情報処理装置に限定されるものではない。
【0025】
データベース20は、マスタを有しており、各情報をマスタに格納している。なお、各情報(データ)はテーブル形式のデータ構造でなくてもよく、リスト、キューなど、テーブル以外の形式であってもよい。
【0026】
端末30は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であって、内部に情報を処理するためのCPU、フラッシュメモリなどの電子部品を備えている。端末30には、たとえば、キーボード、マウスなどの入力手段31や、モニターなどの表示手段32などが具体的な装置として接続されている。
入力手段31は、端末30を介して、苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2内の制御手段11(
図2)の外部から操作(入力)するための周知の装置である。具体的に、キーボード、マウスなどが入力手段31に該当する。入力手段31への入力結果は、端末30を介して一旦制御手段11に出力される。
表示手段32は、苗データ生成装置10−1および苗判別装置10−2内の制御手段11が出力する信号に基づいて、端末30を介して各種画像を表示する。
【0027】
撮像手段40は、育成する苗の全体像を表す画像データを取得する装置である。撮像手段40の例として複数のカメラが挙げられるが、これに限定されない。
また、複数の撮像手段40で撮像した多視点映像から画像データ(モデル;たとえば三次元画像)を生成する手法として、視体積交差方法が具体的に挙げられる。視体積交差方法とは、各カメラ画像に被写体のシルエットを黒、その他の領域を白で表したシルエット画像と呼ばれる二値画像(白黒二値画像)を用いて画像データ(モデル;三次元画像)を生成する方法である。
もちろん、本発明において画像データを生成する手法は、視体積交差方法に限定されない。育成する苗の全体像を表す画像データを表現するものであれば、画像データの形式は問わず、具体的には三次元画像であってもなくてもよい。
【0028】
ネットワーク50は通信ネットワークであり、たとえば、イントラネットやLAN(Local Area Network)などの有線または無線の通信網とされる。
【0029】
2.苗データ生成装置、苗判別装置の構成
図2は、本発明の一実施例に係る苗データ生成装置、苗判別装置の構成例を表すブロック図を示す。
苗データ生成装置10−1、苗判別装置10−2は、CPU(プロセッサ)などから構成されて各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御手段11、フラッシュメモリなどの記憶媒体から構成されて情報を記憶する記憶手段12、ネットワーク50を介して外部と通信する通信手段13を備えている。
なお、本発明はたとえばサーバ型の情報分析装置内の制御手段11で実行されるが、これに限定されず、たとえば汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアで実行してもよいし、専用のハードウェアや、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実行してもよい。
【0030】
制御手段11は、記憶手段12に記憶された後述する苗データ生成プログラム121、苗判別プログラム122を実行することで、苗基本データ取得手段110、画像処理手段111、パラメータ設定手段112、苗記憶データ生成手段113、教師データ生成手段114、機械学習手段115として機能する。
【0031】
記憶手段12は、たとえば磁気記憶媒体、光記憶媒体、不揮発性半導体メモリ装置などにより構成されており、システムプログラム120、121、システムデータ122〜124が記憶されている。システムプログラムは、たとえば苗データ生成システム1に係る苗データ生成プログラム120、苗判別システム2に係る苗判別プログラム121であり、各種の処理を実行するために制御手段11により読み取られるプログラムである。
システムデータ122〜124は、たとえば、後述するパラメータデータ122、(特に苗データ生成システム1に係る)苗記憶データ123、(特に苗判別システム2に係る)教師データ124などであり、システムプログラム120、121の実行に伴って参照または記憶されるデータである。
【0032】
3.苗データ生成システム
3.1 苗データ生成システムの処理手順
まず、苗データ生成システム1が実行する苗記憶データの生成について説明する。
図3(A)は苗記憶データの生成の流れを説明するフロー図、(B)は苗基本データの生成の流れを説明するフロー図をそれぞれ示す。苗データ生成システム1は、
図3に示すように、苗記憶データの生成に至るまでに、苗基本データの取得工程、パラメータの設定工程、苗記憶データの生成工程を順に含んでいる。
【0033】
図2と併せて
図3(A)を見るとわかるように、苗基本データの取得工程(ステップS11)では、苗基本データ取得手段110が、育苗する苗の全体像を表す画像データ、苗の品種名、苗の育成が完了するまでの複数の工程のうちの1つの工程を含む苗基本データを取得する。また、苗基本データの取得工程(ステップS11)において、画像処理手段111が画像データを処理する画像処理を行ってもよい。
パラメータの設定工程(ステップS12)では、作業者により、パラメータ設定手段112を介して苗の少なくとも1つの部位と、当該部位の数値範囲とを含むパラメータ(パラメータデータ122)が設定、記憶される。
苗記憶データの生成工程(ステップS13)では、苗記憶データ生成手段113が苗基本データの画像データに紐付けて、苗記憶データ123を生成し、記憶する。
【0034】
図4は苗の撮像を説明する説明図を示す。なお、
図4は色彩を備えている。
図5(A)〜(C)は撮像された画像及び処理された画像の例を表す説明図を示す。なお、
図5(A)〜(C)では、理解のしやすさのため、画像データを二次元画像として表現している。しかし、苗の全体像を表す画像データであれば足り、二次元画像に限定されない。たとえば、苗の画像データは三次元画像でもよい。また、
図5(A)〜(C)では、撮像された画像であることを示すために枠線が記載されているが、枠線の記載は必須ではない。
図3(B)〜
図5(C)を用いて、苗記憶データの生成の流れ(ステップS11〜S13)を説明する。
まず、ステップS11において、作業者により、品種および工程ごとに「育成がよい」と判別された1つの苗(以下、適宜「育苗する苗」や単に「苗」という)60のみが選択される(ステップS11−1)。
苗データ生成システム1で撮像の対象となる苗60として、育成が悪いと判別された苗は選択されない。また、たとえ育成がよいと判別されても撮像対象となる苗は1つのみで足り、複数の苗は必要とされない。
【0035】
品種とは、接木に使用される野菜・果物などの種類を指す。通常、接木の元苗として使用される野菜・果物は、顧客の要求に対応するために複数の品種を準備している。しかし、一種類の野菜(たとえば、トマト)に対して一種類の品種しか準備していない場合あれば、苗データ生成システム1における「品種」の表現としては野菜名(トマト、キュウリ、ナスなど)のみでもよい。なお、システムの内部において、通常、品種や工程はなんらかのコードで表されることはいうまでもない。
工程とは、接木の工程を指す。接木の工程には、たとえば上述のような、受注、播種、発芽管理、初期育苗、接木、養生順化、プラグ出荷、鉢上げ、2次育苗、選別、出荷、余剰管理、残土処理・培土生産などが含まれるが、これらに限定されない。
図4に記載された、撮像対象とされている苗60は、「初期育苗」の工程における「トマト」の「麗容」という品種である。つまり、「トマト」の「麗容」という品種名、「初期育苗」という工程名が、作業者により入力手段31を介してあらかじめ入力される(ステップS11−2)。
【0036】
そして、育苗する苗60は、撮像手段40により苗の全体像を表す画像として、色彩を備えて撮像される(ステップS11−3)。
図5(A)の符号70は、育苗する苗60を撮像した画像データを示す。画像データ70は、理解のしやすさのため、二次元画像として表現されている。
撮像手段40は、育苗する苗60の全体像、すなわち苗姿の全方向を表す情報(たとえば三次元画像)が撮像、取得できればよく、
図4のように複数台であってもよいし、1台でもよい。
【0037】
それから、品種名(「トマト」の「麗容」)、工程名(「初期育苗」)と、撮像手段40で撮像された苗の画像データ70とが紐付けられて苗基本データとされる(ステップS11−4)。なお、実施例では、ステップS11−2で品種名、工程名の入力を行い、その後、ステップS11−3で苗を撮像するように記載したが、ステップS11−2、3の順序は逆でもよい。
撮像手段40で撮像された苗の画像データ70は、撮像手段から制御手段11にデータが送られ、画像処理手段111によって色彩が除かれて白黒のみで表現されるように加工される(ステップS11−5、
図2、
図5(B))。
図5(B)の符号71は、白黒で表された画像データを示す。
【0038】
白黒で表された苗の画像データ71は、さらに、画像処理手段111によって輪郭線のみで表現されるように加工される(ステップS11−6、
図5(C))。
図5(C)の符号72は、輪郭線のみで表された画像データを示す。
そして、ステップS11−5、6の画像処理を行った場合は、ステップS11−6で生成された輪郭線のみで表された画像データ72が、ステップ11−4で生成された苗基本データの画像データに上書きされる(ステップS11−7)。
【0039】
たとえば、輪郭線のみで表された画像データ72は、表示手段32に送られて、品種名、工程名とともに表示手段上に表示される。そして、作業者(主に熟練者)により、苗の画像データ72上において、育成がよいと判別される指標となる苗の部位およびその部位の数値範囲(育成がよいと判別される数値範囲)とがパラメータとして指定される。指定されたパラメータは、パラメータ設定手段112によりパラメータデータ122として設定、記憶される(ステップS12)。
パラメータデータ122は、苗の画像データ72を表示手段32上に表示してから設定、記憶されてもよいし、あらかじめ記憶手段12に設定、記憶しておいてもよい。
【0040】
図5(C)に示すように、撮像された苗60(工程「初期育苗」、品種「トマト」の「麗容」)では、たとえば、第一本葉61の面積(大きさ)が「育成がよいと判別される指標」の1つとされている。工程「初期育苗」、品種「トマト」の「麗容」においては、苗の部位(第一本葉)およびその部位の数値範囲(面積)とがパラメータとして指定される。たとえば、苗の画像データ72において、画像処理手段111は、空間における座標値の範囲として指定された苗の部位(範囲)を認識する。
【0041】
図6は、新たな苗の画像データを表した説明図を示す。
苗の画像データ72からパラメータが指定されると、制御手段内の画像処理手段111により、指定された部位61(第一本葉)を指定された数値範囲で変更した新たな部位61−1〜61−6が複数作成される。そして、作成された新たな部位61−1〜61−6を、指定された部位以外の画像データと結合することで、指定されたパラメータに応じた輪郭線のみで表された苗の新たな画像データ(以下、単に「新たな苗の画像データ」という)72−1〜72−6が生成される(ステップS13)。
【0042】
そして、苗記憶データ生成手段113は、生成された新たな苗の画像データ72−1〜72−6を、ステップS11で取得された苗基本データの画像データにそれぞれ追加して、苗基本データから苗記憶データ123を生成する。生成された苗記憶データ123は、記憶手段12に記憶される(ステップS13)。
【0043】
図6(A)〜(F)では、1つの苗の画像データ72から新たな苗の画像データ72−1〜72−6が6つ生成されているが、この数に限定されない。1つの苗の画像データ72から、指定されたパラメータの数値範囲において新たな苗の画像データをいくつ生成するかは、たとえば、使用する人工知能の性能や記憶手段12の容量により決定される。また、作業者が新たな苗の画像データの制限を設けてもよい。
また、実施例では第一本葉61を指定してパラメータを変更したが、指定する部位は「育成がよいと判別される指標」となる部位であればよく、第一本葉に限定されないことはいうまでもない。もちろん、指定する部位は1個所に限定されず、複数個所指定してそれぞれパラメータを設定してもよい。
【0044】
さらに、実施例ではステップS13において、第一本葉61の大きさ(数値範囲;パラメータ)を変更して新たな部位61−1〜61−6を生成したが、指定するパラメータは大きさに限定されない。たとえば、パラメータとして角度を指定し、指定した部位を回転させてもよいし、あるいは、大きさ、角度の双方を指定し、指定した部位の大きさを変更しつつ回転させてもよい。たとえば、指定した部位の大きさを1として、0.9から1.1まで0.1刻みで大きさを変更(拡大縮小)しつつ、90度刻みで回転するように指定すれば、新たな苗の画像データが複数生成される。
【0045】
3.2 苗データ生成システムの効果
苗データ生成システム1によれば、育苗する苗の全体像(苗姿)を正確に把握することができる。
そして、苗データ生成システム1によれば、品種および工程ごとに育成がよいと判別される指標となるパラメータ(苗の部位および当該部位の数値範囲)を指定するだけで、育成がよいと判別された1つの苗の画像データ70から、新たな苗の画像データ72−1〜72−6を複数生成することができる。つまり、育成がよいと判別される1枚の画像データから複数の画像データを自動的に生成する。このため、複数の画像データ、苗の育成がよいか否か(苗の育成の良否)を判別するための教師データとして、自動的かつ容易に準備することができる。
さらに、色彩を備える画像データは、画像処理手段111により、まずは白黒のみとされ、次に輪郭のみで表されるように加工される。色彩を備える画像データをそのまま記憶手段12に記憶させると記憶手段のデータ容量が圧迫されるが、白黒および輪郭のみとする画像処理を行うことで、育成の良否判別に最低限必要なデータのみに抑えつつ、記憶手段のデータ容量を確保することができる。
また、変動確率モデルではなく幾何学変換を用いることにより、作業者が表示手段32上で画像データを視認しながらパラメータを操作することが可能となる。
【0046】
4.苗判別システムについて
4.1 苗判別システムの処理手順(苗記憶データを教師データとしない場合)
次に、苗判別システム2が実行する苗の育成の判別(苗の育成がよいか否かの判別)について説明する。
図7(A)は苗の育成の良否判別の流れを説明するフロー図、(B)は苗基本データの取得および画像処理の流れを説明するフロー図をそれぞれ示す。苗判別システム2は、
図7(A)に示すように、苗の育成の判別に至るまでに、苗基本データの取得工程、機械学習工程を順に含んでいる。
苗判別システム2において、苗データ生成システム1と共通する構成部材については同じ参照符号を付してその説明を省略し、苗データ生成システムと異なる苗判別システムの構成を主として説明する。
図1、2、4〜6は苗判別システム2においてもそのまま採用される。
【0047】
なお、苗判別システム2において、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを「育成がよい」場合の教師データを使用してもよいし、使用しなくてもよい。以下の説明では、先に、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを教師データとしないフローを述べる。
苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを教師データとしない場合、苗判別システム2自身が苗基本データの取得や、画像データの白黒および輪郭の画像処理を行う点が特徴とされる(ステップS21、S22、
図7)。
【0048】
苗基本データの取得工程(ステップS21)では、苗基本データ取得手段110が、育苗する苗の全体像を表す画像データ、苗の品種名、苗の育成が完了するまでの複数の工程のうちの1つの工程を含む苗基本データを取得し、これらを紐付ける。苗基本データは、次の機械学習工程(ステップS22)での教師データとなる。また、苗基本データの取得工程(ステップS21)において、画像処理手段111が画像データを処理する画像処理を行う。
機械学習工程(ステップS22)では、機械学習手段115がステップS22の教師データに基づいて教師付き学習を実施し、学習結果のデータをまた教師データとして記録し、データベース化する。
【0049】
各工程について、詳細に説明する。先に、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを教師データとしないフローを述べる。
図7(B)を用いて、苗基本データの取得および画像処理の流れ(ステップS21)を説明する。
まず、作業者により、品種および工程ごとに苗60’が選択される(ステップS21−1、
図4)。苗判別システム2では、苗データ生成システム1とは異なり、撮像の対象となる苗は必ずしも「育成がよい」と判別された1つの苗でなくてもよい。ここでは、先に述べたとおり、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを教師データとしないフローを述べるため、「育成がよい」と判別された苗に限定されない。
そして、選択された苗60’の品種名、工程名が、作業者により入力手段31を介して入力される(ステップS21−2)。たとえば、「トマト」の「麗容」という品種名、「初期育苗」という工程名が入力される。
【0050】
次に、選択された苗60’の全体像が、撮像手段40により色彩を備える画像として撮像される(ステップS21−3、
図4、
図5(A))。
図5(A)の符号70’は、撮像手段40で撮像された画像データを示す。撮像手段40は、撮像する苗60’の全体像、すなわち苗姿の全方向を表す情報(たとえば三次元画像)が撮像、取得できればよいことはいうまでもない。
なお、実施例では、ステップS21−2で品種名、工程名の入力を行い、その後、ステップS21−3で苗を撮像するように記載したが、ステップS21−2、3の順序は逆でもよい。
【0051】
苗基本データ取得手段110により、ステップS21−2で入力された品種名(「トマト」の「麗容」)、工程名(「初期育苗」)と、撮像手段40で撮像された苗の画像データ70’とが紐付けられて苗基本データとされる(ステップS21−4)。
このように、ステップS21−1〜S21−4を経て、苗基本データが取得される。
【0052】
次に、苗基本データの画像データ70’を画像処理する場合は、以下のステップで行われる(ステップS21−5〜7)。
まず、撮像手段40で撮像された苗の三次元画像70’は、撮像手段から制御手段11にデータが送られ、画像処理手段111によって色彩が除かれて白黒のみで表現されるように加工される(ステップS21−5、
図2、
図5(B))。
図5(B)の符号71’は、撮像された苗60’が白黒で表された三次元画像を示す。
【0053】
そして、白黒で表された苗の画像データ71’は、さらに、画像処理手段111によって輪郭線のみで表現されるように加工される(ステップS21−6、
図5(C))。
図5(C)の符号72’は、輪郭線のみで表された画像データを示す。
さらに、輪郭線のみで表された画像データ72’は、苗基本データの画像データに上書きされる。そして、この苗基本データが、苗判別システムの教師データ124として記憶手段12に記憶されて(ステップS21−7)、ステップS21が終了する。
【0054】
機械学習手段115は、教師データ(苗基本データ)124を取得し、苗の育成がよいか否かの判別を機械学習(教師付き学習)する。そして、品種名、工程名、画像データを含む教師データ(苗基本データ)に、苗の育成がよいか否かの判別結果を紐付けて、これをまた教師データ124として記憶手段12に記憶し、データベース化する(ステップS22)。
【0055】
「育成がよいと判別される指標」として、苗データ生成システム1と同様に第一本葉の面積(大きさ)が挙げられる。機械学習手段115は、苗の部位(第一本葉)およびその部位の数値範囲(面積)を機械学習により認識し、育成がよいか否かの判別を自動的に行う。第一本葉の位置は、たとえば、苗の画像データ72の空間における座標値の範囲として認識される。
【0056】
そのほかの「育成がよいと判別される指標」として、たとえば苗の成長点(図示しない)の有無が挙げられる。成長点とは、植物が細胞分裂により新たに芽を伸ばす部分をいう。たとえば、
図4では茎の延長部と新しい葉とを作り出す茎頂との間、つまり第三本葉の伸びる茎における途中の部位60’−1が苗の成長点に該当する。
成長点は周囲の茎などとは異なる色彩をしており、この色彩を検知することで成長点を特定することができる。成長点がない苗は成長を続けることはできず、育成不良(芯どまり)の苗とされる。このような育成不良の苗は、そもそも成長点が存在しないため、画像処理をしても成長点が検出されない。また、成長点から芽(茎)が1つ伸びればよいところ、芽が複数伸びるような奇形苗とされる。このような奇形苗は、成長点が複数の点となって検出される。
そのため、撮像された苗の画像データ70’が撮像手段40から制御手段11へ送られると、制御手段の画像処理手段111が苗の画像データから特定の色彩の点を検出する。色彩の点が検出されない場合、画像処理手段111はその旨を制御手段11に送信し、苗は「(苗の)育成がよくない」と判別される。育成の点が検出された場合、画像処理手段111はその個数を数える。苗は、個数が1つであれば「(苗の)育成がよい」と判別され、2以上であれば「(苗の)育成がよくない」と判別される。
【0057】
4.2 苗判別システムの処理手順(苗記憶データを教師データとする場合)
次に、苗判別システム2において、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを「育成がよい」場合の教師データとして利用する場合、つまり、苗データ生成システム、苗判別システムを連続させた場合のフローを述べる。
上記4.1で述べた、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを「育成がよい」場合の教師データとして使用しない場合は、苗判別システム2自身が苗基本データの取得や、画像データの白黒および輪郭の画像処理を行い(
図7(A)(B))、輪郭のみを表した画像データを含むデータを苗基本データとし、機械学習の教師データとしていた。しかし、苗データ生成システム1の苗記憶データを「育成がよい」場合の教師データとして使用する場合は、苗基本データの取得、パラメータの設定、苗記憶データの生成を苗データ生成システム1が行い、苗判別システム2は、苗データ生成システム1が生成した苗記憶データを機械学習の教師データしている点で異なる。
【0058】
図8は苗記憶データの生成および苗の育成の良否判別の流れを説明するフロー図を示す。苗データ生成システム1、苗判別システム2を連続させた場合とは、つまり、苗データ生成システム1は、苗基本データの取得工程、パラメータの設定工程、苗記憶データの生成工程を、苗判別システム2は、苗の育成の判別に至るまでに、苗記憶データの取得工程、機械学習工程をそれぞれ順に含んでいる。
また、苗記憶データを教師データとする場合においても、苗記憶データを教師データとしない場合と同様に、共通する構成部材については同じ参照符号を付してその説明を省略し、苗記憶データを教師データとしない場合と異なる構成を主として説明する。
図1、2、4〜6は、苗記憶データを教師データとする場合においても、そのまま採用される。
【0059】
苗データ生成システム1で生成された苗記憶データを「育成がよい」場合の教師データとして利用する場合であっても、苗データ生成システム1における苗記憶データの生成の流れ(ステップS11、S12(S12−1〜7)、S13)は同じである(
図3(A)(B)、
図8)。
概略、作業者により、品種および工程ごとに「育成がよい」と判別された1つの苗(育苗する苗)60のみが選択され(ステップS11−1、
図4)、品種名、工程名が、作業者により入力手段31を介して入力される(ステップS11−2)。育苗する苗は色彩を備えて三次元で撮像され(ステップS11−3、
図4)、この画像データ70が、品種名、工程名と紐付けられて苗基本データとされる(ステップS11−4、
図5(A))。苗の画像データ70は、画像処理手段111によって色彩が除かれて白黒のみ(ステップS11−5、
図5(B))、さらに輪郭線のみで表現されるように加工される(ステップS11−6、
図5(C))。そして、この輪郭線のみで表された画像データ72が、苗基本データの画像データに上書きされる(ステップS11−7)。
輪郭線のみで表された画像データ72に対して、育成がよいと判別される指標となる苗の部位およびその部位の数値範囲とが作業者により設定され、パラメータデータ122として記録手段12に記憶される(ステップS12)。そして、画像処理手段111が、パラメータとして指定された部位(たとえば、第一本葉61)を指定された数値範囲で変更して、新たな部位61−1〜61−6を含む苗の新たな画像データ72−1〜72−6を生成し、苗の新たな画像データが苗記憶データ123として記憶手段12に記憶される(ステップS13、
図5)。
【0060】
続いて、苗判別システム2における機械学習手段115が、ステップS13で記憶された苗記憶データ123を教師データとして取得し、苗の育成がよいか否かの判別を機械学習(教師付き学習)する。そして、品種名、工程名、画像データを含む教師データ(苗記憶データ)に、苗の育成がよいか否かの判別結果を紐付け、これをまた教師データ124として記憶手段12に記憶し、データベース化する(ステップS22)。
【0061】
4.3 苗判別システムの効果
苗判別システム2によれば、苗データ生成システム1と同様に、育苗する苗の全体像(苗姿)を正確に把握することができる
また、苗判別システム2によれば、「育成がよい」苗と「育成がよくない苗(未成熟の苗や奇形苗)」とを機械学習によって自動的に判別することができる。そのため、熟練者の経験などに基づかなくても、元苗や接木苗の育成の良否を適切に判別することができる。
特に、上記4.2で述べたように、苗判別システム2が、苗データ生成システム1で生成された苗記憶データ124を教師データとすれば、「育成がよい」場合の苗の画像データが自動的に収集され、教師データを収集する時間を省くことができる。
【0062】
また、苗判別システム2においても、白黒および輪郭のみとする画像処理を行うことで、育成の良否判別に最低限必要なデータのみに抑えつつ、記憶手段のデータ容量を確保することができることはいうまでもない。
【0063】
5.そのほか
上述した実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何等限定するものでなく、本発明の技術範囲内で変形、改造などの施されたものも全て本発明に包含されることはいうまでもない。