特許第6971465号(P6971465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンエイの特許一覧

<>
  • 特許6971465-携帯端末用スタンド 図000002
  • 特許6971465-携帯端末用スタンド 図000003
  • 特許6971465-携帯端末用スタンド 図000004
  • 特許6971465-携帯端末用スタンド 図000005
  • 特許6971465-携帯端末用スタンド 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971465
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】携帯端末用スタンド
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/12 20060101AFI20211111BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H04M1/12 Z
   H04M1/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-135519(P2017-135519)
(22)【出願日】2017年7月11日
(65)【公開番号】特開2019-21965(P2019-21965A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第204355207(CN,U)
【文献】 特開2013−095143(JP,A)
【文献】 特開2014−097796(JP,A)
【文献】 特開平02−284795(JP,A)
【文献】 実開昭57−098389(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/12
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の軸状部材に取り付けられ、携帯端末を保持するための携帯端末用スタンドであって、
上記軸状部材を径方向に挟持するクランパと、
一端が上記クランパに固定され、他端に上記携帯端末を保持する端末保持手段が取り付けられるスタンド本体とを備え、
上記クランパは、複数の軸状締結部材で結合される一対の挟持部材からなり、
上記一対の挟持部材は、上記軸状部材の一部が嵌合する嵌合溝であって、断面が円弧状をなしかつ該円弧の曲率が、上記スタンドが上記軸状部材に取り付けられる前の状態において、上記軸状部材の外周の曲率よりも小さい嵌合溝をそれぞれ有し、
上記複数の軸状締結部材は、上記一対の挟持部材と結合した状態で、上記一対の挟持部材の対向方向に延び、
上記複数の軸状締結部材のうち少なくとも2つの軸状締結部材は、上記軸状部材の軸方向に相隣接するように、上記一対の挟持部材に締結されており、
上記一対の挟持部材の少なくとも一方には、上記軸方向に相隣接する上記少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、上記軸方向及び上記対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが設けられており、
上記スタンド本体は、上記複数の軸状締結部材によって、上記一対の挟持部材のうち、上記少なくとも一方の挟持部材と対向する挟持部材に固定されていることを特徴とする携帯端末用スタンド。
【請求項2】
断面円形の軸状部材に取り付けられ、携帯端末を保持するための携帯端末用スタンドであって、
上記軸状部材を径方向に挟持するクランパと、
一端が上記クランパに固定され、他端に上記携帯端末を保持する端末保持手段が取り付けられるスタンド本体とを備え、
上記クランパは、複数の軸状締結部材で結合される一対の挟持部材からなり、
上記一対の挟持部材は、上記軸状部材の一部が嵌合する嵌合溝であって、断面が円弧状をなしかつ該円弧の曲率が、上記スタンドが上記軸状部材に取り付けられる前の状態において、上記軸状部材の外周の曲率よりも小さい嵌合溝をそれぞれ有し、
上記複数の軸状締結部材は、上記一対の挟持部材と結合した状態で、上記一対の挟持部材の対向方向に延び、
上記複数の軸状締結部材のうち少なくとも2つの軸状締結部材は、上記軸状部材の軸方向に相隣接するように、上記一対の挟持部材に締結されており、
上記一対の挟持部材の少なくとも一方には、上記軸方向に相隣接する上記少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、上記軸方向及び上記対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが設けられており、
上記軸状部材は、荷物を運ぶための手押し車の持ち手であり、
上記手押し車は、上記軸状部材よりも下側に上記荷物が載置される載置部を有し、
上記一対の挟持部材は、上記軸状部材を上下方向に挟持するものであり、
上記一対の挟持部材のうち下側に位置する挟持部材における下側でかつ上記載置部側の部分には、上記載置部側に向かって上側に傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする携帯端末用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面円形の軸状部材に取り付けられる携帯端末用スタンドに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、断面円形の軸状部材に取り付けられるスタンドが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、傘を保持するための傘保持具が装備されたシャフトと、パイプ(軸状部材)の適宜部位に対して掴持する固定可能なクランパとを備え、上記クランパをシャフトに沿って移動及び任意位置にてロック可能に取り付けた傘用スタンドが開示されている。
【0004】
この特許文献1に記載の傘用スタンドでは、クランパを構成する一対の挟持部材に形成された、パイプを挟持するための溝は、パイプの軸方向から見て、それぞれV字状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−257957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、ショッピングカートや台車等の手押し車に対して、携帯端末を取り付けるための携帯端末用スタンドが求められている。これは、比較的広いフロアを有するショッピングモール等において、携帯端末に店舗内の地図を表示させることで、目的の場所に素早くたどり着くことができるようにするためである。
【0007】
このような、携帯端末用スタンドでは、携帯端末のユーザに煩わしさを感じさせないという観点や携帯端末のスタンドからの落下防止の観点から、該スタンドをショッピングカート等の持ち手を構成する軸状部材(パイプ等)に取り付けた後、スタンドが軸状部材の軸周りに回転しないようにすることが要求されている。
【0008】
特許文献1に記載のような、軸状部材を挟持するための溝がV字状をなしたものは、軸状部材と溝との接触面積が小さく、クランパが軸状部材の表面を滑って、スタンドが軸状部材の軸周りに回転してしまうおそれがある。また、特許文献1のスタンドのクランパは、該クランパにおける軸状部材の軸方向の大きさが比較的小さいことからも、スタンドが軸状部材の軸周りに回転してしまう可能性が高い。
【0009】
クランパの溝の部分に滑り止めを設けることも考えられるが、滑り止めは、使用によって劣化するため、使い始めの頃は効果があったとしても、使い続けるうちに効果が低下してしまう。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸状部材に取り付けられる携帯端末用スタンドにおいて、該スタンドが軸状部材の軸周りに回転することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、断面円形の軸状部材に取り付けられ、携帯端末を保持するための、携帯端末用スタンドを対象として、上記軸状部材を径方向に挟持するクランパと、一端が上記クランパに固定され、他端に上記携帯端末を保持する端末保持手段が取り付けられる上記スタンド本体とを備え、上記クランパは、複数の軸状締結部材で結合される一対の挟持部材からなり、上記一対の挟持部材は、上記軸状部材の一部が嵌合する嵌合溝であって、断面が円弧状をなしかつ該円弧の曲率が、上記スタンドが上記軸状部材に取り付けられる前の状態において、上記軸状部材の外周の曲率よりも小さい嵌合溝をそれぞれ有し、上記複数の軸状締結部材は、上記一対の挟持部材を結合した状態で、上記一対の挟持部材の対向方向に延び、上記複数の軸状締結部材のうち少なくとも2つの軸状締結部材は、上記軸状部材の軸方向に相隣接するように、上記一対の挟持部材に締結されており、上記一対の挟持部材の少なくとも一方には、上記軸方向に相隣接する上記少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、上記軸方向及び上記対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが設けられており、上記スタンド本体は、上記複数の軸状締結部材によって、上記一対の挟持部材のうち、上記少なくとも一方の挟持部材と対向する挟持部材に固定されている、という構成とした。
【0012】
この構成によると、一対の挟持部材の少なくとも一方における、軸状部材の軸方向に相隣接する少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、軸状部材の軸方向及び一対の挟持部材の対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが形成されているため、該スリットが設けられた挟持部材は、該スリットが設けられていない場合と比較すると、軸状締結部材の延びる方向、すなわち、軸状締結部材の締結方向にしなりやすくなる。また、スタンドが軸状部材に取り付けられる前の状態において、挟持部材に設けられた嵌合溝の曲率は、軸状部材の外周の曲率よりも小さい曲率であるため、一対の挟持部材で軸状部材を挟持して、一対の挟持部材を軸状締結部材で結合したとき、つまり、スタンドを軸状部材に取り付けたときには、スリットが設けられた挟持部材が軸状締結部材の締結方向にしなって、該スリットが設けられた挟持部材の嵌合溝は、軸状部材の外周に沿うような形状に変形する。これにより、一対の挟持部材で軸状部材を挟持する力を出来る限り強くすることができるとともに、少なくともスリットが設けられた挟持部材と軸状部材との接触面積を出来る限り大きくすることができる。これらの結果、挟持部材と軸状部材との間に働く摩擦力を大きくすることができるため、スタンドが軸状部材の軸周りに回転することを防止することができる。
【0014】
この構成によると、携帯端末用スタンドの部品点数を削減することができる。また、スタンド本体のクランパに対する固定強度を向上させることができ、携帯端末用スタンドで携帯端末を適切に保持することができる。
【0015】
本発明の他の態様は、断面円形の軸状部材に取り付けられ、携帯端末を保持するための携帯端末用スタンドを対象として、上記軸状部材を径方向に挟持するクランパと、一端が上記クランパに固定され、他端に上記携帯端末を保持する端末保持手段が取り付けられるスタンド本体とを備え、上記クランパは、複数の軸状締結部材で結合される一対の挟持部材からなり、上記一対の挟持部材は、上記軸状部材の一部が嵌合する嵌合溝であって、断面が円弧状をなしかつ該円弧の曲率が、上記スタンドが上記軸状部材に取り付けられる前の状態において、上記軸状部材の外周の曲率よりも小さい嵌合溝をそれぞれ有し、上記複数の軸状締結部材は、上記一対の挟持部材と結合した状態で、上記一対の挟持部材の対向方向に延び、上記複数の軸状締結部材のうち少なくとも2つの軸状締結部材は、上記軸状部材の軸方向に相隣接するように、上記一対の挟持部材に締結されており、上記一対の挟持部材の少なくとも一方には、上記軸方向に相隣接する上記少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、上記軸方向及び上記対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが設けられており、上記軸状部材は、荷物を運ぶための手押し車の持ち手であり、上記手押し車は、上記軸状部材よりも下側に上記荷物が載置される載置部を有し、上記一対の挟持部材は、上記軸状部材を上下方向に挟持するものであり、上記一対の挟持部材のうち下側に位置する挟持部材における下側でかつ上記載置部側の部分には、上記載置部側に向かって上側に傾斜した傾斜部が設けられている、という構成とした。
【0016】
この構成によると、軸状部材が手押し車の持ち手であるため、手押し車のユーザに煩わしさを与えないように、携帯端末用スタンドが軸状部材の軸周りに回転することを防止することが求められる。このため、軸状部材が手押し車の持ち手である場合には、携帯端末用スタンドが軸状部材の軸周りに回転することを防止することができるという効果が、より適切に発揮される。
【0017】
また、一対の挟持部材のうち下側に位置する挟持部材には、載置部側に向かって上側に傾斜した傾斜部が設けられているため、載置部から荷物を移動させる際に、当該荷物が下側の挟持部材に引っ掛かることを防止することができる。また、荷物が下側の挟持部材に引っ掛かることが防止されれば、当該荷物が傷ついたり、破損したりすることも適切に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によると、一対の挟持部材の少なくとも一方における、軸状部材の軸方向に相隣接する少なくとも2つの軸状締結部材の間の部分に、軸状部材の軸方向及び一対の挟持部材の対向方向の両方に直交する方向に延びるスリットが形成されているため、スリットが設けられた挟持部材が軸状締結部材の締結方向にしなりやすくなる。これにより、一対の挟持部材で軸状部材を挟持して、該一対の挟持部材を軸状締結部材で結合したときには、スリットが設けられた挟持部材の嵌合溝が軸状部材の外周に沿うような形状に変形するため、一対の挟持部材で軸状部材を挟持する力を出来る限り強くすることができるとともに、少なくともスリットが設けられた挟持部材と軸状部材との接触面積を出来る限り大きくすることができる。これらの結果、挟持部材と軸状部材との間に働く摩擦力を大きくすることができ、スタンドが軸状部材の軸周りに回転することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る携帯端末用スタンドが取り付けられたショッピングカートを示す図である。
図2】上記携帯端末用スタンドの分解斜視図である。
図3】上記携帯端末用スタンドを持ち手の軸方向に垂直な平面で切断した断面を、該軸方向から見た断面図である。
図4図2に示す使用状態の上記携帯端末用スタンドを下側から見た底面図であって、カバーが取り付けられる前の状態を示す。
図5】端末保持装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末用スタンド10(以下、単にスタンド10という)が取り付けられたショッピングカート1を示す。
【0022】
ショッピングカート1は、買い物カゴが載置されるカゴ枠2が、上下にそれぞれ設けられたタイプのショッピングカートである。相対的に下側に位置する下部カゴ枠3は、複数のキャスタ5が前後端に設けられる枠状の車台6に設けられている。車台6の左後部及び右後部からは、支柱7がそれぞれ立設されており、相対的に上側に位置する上部カゴ枠4は、該支柱7から車台6上面に張り出すように設けられている。尚、ショッピングカート1は、手押し車の一例である。また、上部カゴ枠4は、荷物が載置される載置部に相当する。
【0023】
各支柱7は、上部カゴ枠4よりも上側まで延びており、該各支柱7の上端部は、左右方向に延びる持ち手8によって連結されている。つまり、持ち手8は、上部カゴ枠4よりも上側に位置する。持ち手部8は、断面円形のパイプで構成されており(図3参照)、スタンド10は、図1に示すように、該持ち手8に取り付けられている。上側にスタンド10に保持される携帯端末Tは、図1に示すように、画面が上側を向くように、スタンド10(厳密には、後述するスタンド本体11)に保持される。尚、持ち手8は、軸状部材の一例である。
【0024】
次に、スタンド10の構成について説明する。尚、以下の説明では、持ち手8の軸方向及び上下方向(後述する一対の挟持部材20,30の対向方向)の両方に直交する方向を前後方向といい、スタンド10がショッピングカート1に取り付けられた状態におけるカゴ枠2側を前側、カゴ枠2とは反対側を後側という。
【0025】
本実施形態に係るスタンド10は、特にタブレット型の携帯端末T(スマートフォンなど)を保持するためのものであって、図2及び図3に示すように、持ち手8を径方向に挟持するクランパ11と、一端がクランパ11に固定され、他端に携帯端末Tを保持する端末保持装置50が取り付けられるスタンド本体40とを備えている。
【0026】
クランパ11は、複数(本実施形態では4つ)のネジ100(軸状締結部材)で結合される一対の挟持部材20,30で構成されている。本実施形態では、一対の挟持部材20,30は、上下方向に対向するように配置され、持ち手8を上下方向に挟持する。以下の説明では、一対の挟持部材のうち相対的に上側に位置する挟持部材を上側挟持部材20といい、一対の挟持部材のうち相対的に下側に位置する挟持部材を下側挟持部材30という。尚、上側挟持部材20と下側挟持部材30は、ボルト単体やボルトとナットのセットで結合されていてもよい。
【0027】
上側挟持部材20は、樹脂で構成されており、略直方体をなしている。上側挟持部材20の四隅には、上記複数のネジ100が1つずつ締結される複数(本実施形態では4つ)の上側ネジ孔21が形成されている。具体的には、上側ネジ孔21は、前側及び後側に2つずつ形成され、前側の2つの上側ネジ孔21及び後側の2つの上側ネジ孔21は、それぞれ、上記軸方向に相隣接して形成されている。
【0028】
上側挟持部材20の下面部20aにおける、前後方向の中央部分には、上記軸方向に沿って延びる上側嵌合溝22が形成されている。該上側嵌合溝22は、持ち手8の一部が嵌合する溝であって、図2及び図3に示すように、断面円弧状に形成されている。上側嵌合溝22の曲率は、スタンド10が持ち手8に取り付けられていない状態では、持ち手8の外周の曲率よりも小さい一方、スタンド10が持ち手8に取り付けられた状態では、上側挟持部材20が、ネジ100の延びる方向、つまり、ネジ100の締結方向にしなることで、持ち手8の外周の曲率と略同じになるように設定されている。
【0029】
また、上側挟持部材20における、該上側挟持部材20の後側の部分に設けられた2つの上側ネジ孔21の間の部分(つまり、ネジ100の締結後は、持ち手8の軸方向に相隣接する2つのネジ100の間の部分)には、前後方向に延びる上側スリット23が形成されている。上側スリット23の前側端は、図3に示すように、上側嵌合溝22の後側端部よりも後側に位置している。
【0030】
下側挟持部材30は、上側挟持部材20と同様に、樹脂で構成されており、略直方体をなしている。下側挟持部材30における相隣接する2つの側面の間の角部はアール状に加工されている。下側挟持部材30の四隅には、上記複数のネジ100が1つずつ締結される複数(本実施形態では4つ)の下側ネジ孔31が形成されている。詳しくは、下側ネジ孔31は、上側挟持部材20と下側挟持部材30とで持ち手8を上下方向に挟持したときに、上側ネジ孔21と上下方向に連通するような位置に設けられている。より具体的には、下側ネジ孔31は、前側及び後側に2つずつ形成され、前側の2つの下側ネジ孔31及び後側の2つの下側ネジ孔31は、それぞれ、上記軸方向に相隣接して形成されている。
【0031】
下側挟持部材30の上面部30a(図)における、前後方向の中央部分には、上記軸方向に沿って延びる下側嵌合溝32が形成されている。該下側嵌合溝32は、持ち手8の一部が嵌合する溝であって、図3に示すように、断面円弧状に形成されている。下側嵌合溝32の曲率は、持ち手8の外周の曲率よりも小さい曲率に設定されている。
【0032】
下側挟持部材30における、該下側挟持部材30の後側の部分に設けられた2つの下側ネジ孔31の間の部分(つまり、ネジ100の締結後は、持ち手8の軸方向に相隣接する2つのネジ100の間の部分)には、前後方向に延びる下側スリット33が形成されている。下側スリット33の前側端は、図3に示すように、下側嵌合溝32の後側端部よりも後側に位置している。尚、下側スリット33は、上側挟持部材20と下側挟持部材30とで持ち手8を上下方向に挟持したときに、上側スリット23と上下方向に連通するような位置に設けられている。
【0033】
下側挟持部材30の下面部30bにおける、上記軸方向の両側に位置する2つの部分は、下側挟持部材30の他の部分よりも上記軸方向の外側に突出している。この突出した2つの部分は、後述するカバー70をガイドするガイドレール36としてそれぞれ機能する部分である。各ガイドレール36は、下側挟持部材30の後述する傾斜部35の後側端から下面部30bの後側端まで、前後方向に延びている。
【0034】
また、下側挟持部材30の下面部30bには、図4に示すように、下側に向かって突出する突出部34が、持ち手8の軸方向に離間して2つ形成されている。この2つの突出部34は、スタンド本体40の後述する2つの嵌合孔41にそれぞれ嵌合して、スタンド本体40の位置決めをする際のガイドとして機能する。
【0035】
下側挟持部材30における下側でかつ前側(つまり、スタンド10がショッピングカート1に取り付けられた状態におけるカゴ枠2側)の部分には、前側に向かって上側に傾斜した傾斜部35が形成されている。この傾斜部35が形成されていることによって、例えば、上側カゴ枠3から買い物カゴを移動させる際に、該買い物カゴが下側挟持部材30に引っ掛かることを抑制することができる。また、買い物カゴが下側挟持部材30に引っ掛かることが抑制される結果、買い物カゴが傷ついたり、破損したりすることも適切に抑制される。
【0036】
スタンド本体40は、本実施形態1では、板金で構成されており、プレス加工等によって折り曲げ加工されたものである。スタンド本体40は、図3に示すように、クランパ11(厳密には、下側挟持部材30)に固定される固定部41と、端末保持装置50を取付支持する支持部42と、固定部41と支持部42とを連結する連結部43とを有している。具体的には、固定部41、下側挟持部材30の下面部30bに沿って後側に延び、連結部43は、固定部41の後側端から、上側及び下側挟持部材20,30の後側面に略沿って上側に延びて、上側挟持部材20の上面よりも僅かに高い高さ位置で後側に延びた後、再び上側に向かって延びている。支持部42は、連結部43の上側端から前側に向かって上側に傾斜して延びている。これにより、連結部43と支持部42とで、図3に示すように、前側に開口するU字形状が形成される。
【0037】
固定部41は、図3及び図4に示すように、複数のネジ100によって、下側挟持部材30と共締めされることで、クランパ11に固定されている。つまり、スタンド本体40は、複数のネジ100によって、クランパ11に固定されている。
【0038】
スタンド本体40の固定部41には、図4に示すように、下側挟持部材30の2つの突出部34がそれぞれ嵌合する2つの嵌合孔44が、持ち手8の軸方向に離間して形成されている。各嵌合孔44は、各突出部34の形状に対応した形状をしており、本実施形態では、矩形状をなしている。
【0039】
また、スタンド本体40の固定部41には、図4に示すように、2つの嵌合孔44の間の部分に、後述するカバー70の係合爪73が係合する係合孔45が形成されている。
【0040】
支持部42は、端末保持装置50の後述する嵌合部53に嵌合することによって、端末保持装置50を取付支持する。
【0041】
端末保持装置50は、図3及び図5に示すように、携帯端末Tを収容する端末ケース51と、端末ケース51に収容された携帯端末Tを保持するための保持手段52と、スタンド本体40の支持部44と嵌合する嵌合部53とを有している。
【0042】
端末ケース51は、図5に示すように、略長方形状をなしかつ携帯端末Tが載置される載置面部51aと、載置面部51aの長手方向の一端に立設された第1ストッパ51bと、載置面部51aの短手方向の一端に立設された第2ストッパ51cとを有している。スタンド10が持ち手8に取り付けられかつ端末保持装置50がスタンド本体40に取り付けられた状態において、載置面部51aは、図3に示すように、長手方向が支持部44に沿って延びるようになり、前後方向に対して上下に傾斜した状態となる。また、上記の状態において、第1ストッパ51bは、図3に示すように、載置面部51aの下端に位置するようになる。第2ストッパ51cは、図2及び図5に示すように、保持手段52の後述する爪部52bと対向するように設けられている。尚、載置面部51aのサイズは、保持される携帯端末Tのサイズに合わせて設定される。
【0043】
載置面部51aの長手方向の中間部分、具体的には、嵌合部53よりも該長手方向の他端側の部分には、図2及び図3に示すように、下側に向かって凹みかつ上記短手方向に延びる凹部51dが形成されている。該凹部51d内には、保持手段52が収容されている。
【0044】
第1ストッパ51bは、図3に示すように、断面L字状をなしており、載置面部51aの長手方向の一端から上側に延びた後、該長手方向の他端側に向かって延びている。一方の第2ストッパ51cも、第1ストッパ51bと同様に、断面L字状をなしており、載置面部51aの短手方向の一端から上側に延びた後、該短手方向の他端側に向かって延びている。また、図5に示すように、第1ストッパ51bと第2ストッパ51cとは一体形成されており、具体的には、第1ストッパ51bの上記短手方向の上記一端側の部分と第2ストッパ51cの上記長手方向の上記一端側の部分とが一体になっている。尚、第1及び第2ストッパ51b,51cの上側に延びる部分の長さは、保持される携帯端末Tの厚みに合わせて設定される。
【0045】
保持手段52は、図5に示すように、凹部51dに沿って延びかつ該凹部51dに沿って上記短手方向にスライド可能なスライド板52aと、スライド板52aにおける上記第2ストッパ51c側とは反対側の端部に設けられた爪部52bと、スライド板52aを上記短手方向の上記一端側に向かって付勢するバネ部材52cとを有している。詳しくは後述するが、載置面部51aに携帯端末Tを載置した後、バネ部材52cの付勢力によって、保持手段52の爪部52bと第2ストッパ51cとで当該携帯端末Tを挟持することで、携帯端末Tが端末保持装置50に保持される。
【0046】
嵌合部53は、載置面部51aの下面に形成されており、図5に示すように、上記短手方向に延びている。嵌合部53は、図3に示すように、上記長手方向(嵌合部53の幅方向と一致)に貫通する嵌合孔53aを構成する。嵌合部53の上記長手方向の上記他端側の端部には、上側に向かって突出する係止部53bが設けられている。係止部53bは、図3に示すように、スタンド本体40の支持部44が、嵌合孔53aに挿入されて、嵌合部53に嵌合した状態で、支持部42の先端と当接する。これにより、端末保持装置50は、支持部42の先端と係止部53aとが当接した状態よりも下側には移動しなくなる。
【0047】
端末保持装置50によって、携帯端末Tを保持するときには、先ず、保持手段52のスライド板52aを、バネ部材52cの付勢力に抗して、第2ストッパ51cから離れるように移動させる。次に、携帯端末Tを第1ストッパ51b及び第2ストッパ51cに沿うように、載置面部51a上に載置させて、端末ケース51に携帯端末Tをセットする。このことから、第1及び第2ストッパ51b,51cは、携帯端末Tを端末ケース51にセットする際にガイドとしての役割も果たしている。端末ケース51に携帯端末Tをセットした後、スライド板52aを、バネ部材50の付勢力によって、第2ストッパ51cから近づくように移動させる。保持手段52の爪部材52bが携帯端末Tに当接して、爪部52bと第2ストッパ51cとで携帯端末Tが挟持されれば、携帯端末Tが端末保持装置50に保持される。そして、端末保持装置50がスタンド本体40に取り付けられていれば、携帯端末Tはスタンド10に保持された状態となる。
【0048】
また、本実施形態に係るスタンド10では、クランパ11で持ち手8を掴持する(つまり、一対の挟持部材20,30で持ち手8を挟持する)とともに、スタンド本体40を下側挟持部材30に固定した後、スタンド本体40の固定部41の下面を、ネジ100のネジ頭ごと下側から覆うカバー70が設けられている。このカバー70は、ネジ100が故意に抜き取られることを防止するためのものである。
【0049】
カバー70は、図2に示すように。カバー本体71と、カバー本体71の幅方向の両側端部にそれぞれ設けられ、下側挟持部材30のガイドレール36に沿ってスライドする2つのスライド爪72と、カバー本体71の中央に設けられ、スタンド本体40の固定部41の係合孔43と係合する係合爪73とを有している。
【0050】
カバー70は、下側挟持部材30に取り付けるときには、先ず、クランパ11で持ち手8を挟持するとともに、スタンド本体40を下側挟持部材30に固定した後、係合爪73が該カバー70の前後方向における前側に位置するような状態で、各スライド爪72を各ガイドレール36に前側から係合させる。次に、各スライド爪72が各ガイドレール36上をスライドするように、カバー70を後側に移動させる。このとき、係合爪73は、スタンド本体40の固定部41に押圧されて、下側に僅かに撓んだ状態となる。そして、係合爪73が、固定部41の係合孔43に係合すると、カバー70の取り付けが完了する。カバー70が、下側挟持部材30に取り付けられた後は、係合爪73が、固定部41の係合孔43の内周部に当接して、カバー70の移動が妨げられるため、カバー70を破壊しない限り、下側挟持部材30からカバー70を取り外すことができなくなる。
【0051】
ここで、ショッピングカート1の持ち手8に取り付けられるスタンド10には、携帯端末Tのユーザ(つまり、ショッピングカート1のユーザ)に煩わしさを感じさせないという観点や携帯端末Tのスタンド10からの落下防止の観点から、該スタンド10をショッピングカート1の持ち手8を構成するパイプに取り付けた後、スタンド10が持ち手8の軸周りに回転しないようにすることが要求されている。
【0052】
本実施形態では、上側挟持部材20における、該上側挟持部材20の後側の部分に配置されかつ持ち手8の軸方向に相隣接する2つのネジ100の間の部分に、前後方向に延びる上側スリット23を形成することで、スタンド10が持ち手8の軸周りに回転することを防止している。
【0053】
具体的には、上側挟持部材20に上側スリット23が形成されているため、該上側挟持部材20は、上側スリット23が設けられていない場合と比較すると、ネジ100の延びる方向、すなわち、ネジ100の締結方向にしなりやすくなる。スタンド10が持ち手8に取り付けられる前の状態において、上側挟持部材20に設けられた上側嵌合溝22の曲率は、持ち手8の外周の曲率よりも小さい曲率であるため、上側及び下側挟持部材20,30で持ち手8を挟持して、上側及び下側挟持部材20,30をネジ100で結合したとき、つまり、スタンド10を持ち手8に取り付けたときには、上側挟持部材20がネジ100の締結方向にしなって、上側嵌合溝22が持ち手8の外周に沿うような形状に変形する。これにより、上側及び下側挟持部材20,30で持ち手8を挟持する力を出来る限り強くすることができるとともに、上側挟持部材20と持ち手8との接触面積を出来る限り大きくすることができる。これらの結果、上側挟持部材20と持ち手8との間に働く摩擦力を大きくすることができるため、スタンド10が持ち手8の軸周りに回転することを防止することができる。尚、図3では詳細には示してないが、実際には、上側挟持部材20は、該上側挟持部材20の前側端部及び後側端部が下側に変位するように、アーチ状にしなる。
【0054】
また、仮に、スタンド10が持ち手8に取り付けられていない状態でも、上側嵌合溝22の曲率が、持ち手8の外周の曲率と同程度である場合、上側挟持部材20と下側挟持部材30とを結合した際に、上側嵌合溝22と上側挟持部材20の下面との間の角部が持ち手8に食い込み、持ち手8を大きく変形させてしまうおそれがある。一方で、本実施形態のように、スタンド10が持ち手8に取り付けられていない状態では、上側嵌合溝22の曲率は、持ち手8の外周の曲率よりも小さいため、上側嵌合溝22と上側挟持部材20の下面との間の角部が持ち手8に食い込むことがない。よって、スタンド10を持ち手8に取り付けた際の、持ち手8の変形も抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、スタンド本体40は、複数のネジ100によって、クランパ11に固定されているため、スタンド10の部品点数を削減することができる。また、スタンド本体40のクランパ10に対する固定強度を向上させることができ、スタンド10で携帯端末Tを適切に保持することができる。
【0056】
また、本実施形態では、スタンド本体40は、支持部42と連結部43とで前側に開口するU字形状が形成されているため、スタンド本体40に上側から荷重が入力されたとしても、支持部42及び連結部43が撓んで、該荷重を適切に吸収することができる。これにより、スタンド本体40に上側から荷重が入力されたとしても、クランパ11(特に下側挟持部材30)に、持ち手8の軸周りに回転するような力が加えられることが抑制される。この結果、スタンド10が持ち手8の軸周りに回転することを、より効果的に、防止することができる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0058】
例えば、上述の実施形態では、上側挟持部材20における、該上側挟持部材20の後側の部分に配置されかつ持ち手8の軸方向に相隣接する2つのネジ100の間の部分にのみ、スリット(上側スリット23)が設けられていたが、これに限らず、上側挟持部材20における、該上側挟持部材20の前側の部分に配置されかつ持ち手8の軸方向に相隣接する2つのネジ100の間の部分にも、スリットが形成されていてもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、スタンド本体40は、下側挟持部材30の下面部30bに、複数のネジ100で固定されていたが、これに限らず、上側挟持部材20の上面部に固定されていてもよい。この場合には、下側挟持部材30が、ネジ100の締結方向にしなって、下側嵌合溝33が、持ち手8の外周に沿うような形状に変形することで、クランパ11と持ち手8との大きな接触面積が確保される。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、スタンド10をショッピングカート1に適用する場合について説明したが、これに限らず、持ち手が断面円形の軸状部材で構成された手押し車(台車など)であれば、スタンド10を適用することができる。
【0061】
また、上述の実施形態では、特に、タブレット型の携帯端末Tを対象にしたが、買い物や台車による運搬作業を行っている際に利用される携帯端末(スマートフォン以外の携帯電話など)を対象に使用してもよい。この場合は、端末保持装置50の形状を当該携帯端末に対応させる必要がある。
【0062】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、断面円形の軸状部材に取り付けられ、携帯端末を保持するための携帯端末用スタンドとして有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 ショッピングカート(手押し車)
2 カゴ枠(手押し車の載置部)
8 持ち手(軸状部材、手押し車の持ち手)
10 携帯端末用スタンド
11 クランパ
20 上側挟持部材(少なくとも一方の挟持部材)
22 上側嵌合溝
23 上側スリット(少なくとも一方の挟持部材に設けられたスリット)
30 下側挟持部材(少なくとも一方の挟持部材と対向する挟持部材)
32 下側嵌合溝
40 スタンド本体
50 端末保持装置
100 ネジ(軸状締結部材)
図1
図2
図3
図4
図5