(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971467
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】屋内位置特定システム、携帯端末及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 1/76 20060101AFI20211111BHJP
H04B 11/00 20060101ALI20211111BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20211111BHJP
G01C 21/34 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
G01S1/76
H04B11/00 B
H04B11/00 A
H04M1/00 R
!G01C21/34
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-162242(P2017-162242)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-39818(P2019-39818A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ヴィジェガス
(72)【発明者】
【氏名】アン トゥアン ファン
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−271465(JP,A)
【文献】
特開2012−194443(JP,A)
【文献】
特開2014−240813(JP,A)
【文献】
特開2009−198209(JP,A)
【文献】
特開2018−074552(JP,A)
【文献】
特開2017−142229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72 − 1/82
G01S 3/80 − 3/86
G01S 5/18 − 5/30
G01S 7/52 − 7/64
G01S 15/00 − 15/96
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を用いる屋内位置特定システムにおいて、
屋内に設置されている複数のスピーカと、各スピーカを識別する識別情報を含む音声信号を前記複数のスピーカそれぞれから出力させるスピーカ制御部とを有するスピーカ装置と、
前記複数のスピーカそれぞれの前記識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する携帯端末とを備え、
前記携帯端末は、前記複数のスピーカの少なくとも1つから出力される音声信号を受信すると、当該音声信号から前記識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得し、
前記携帯端末は、受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得することを特徴とする屋内位置特定システム。
【請求項2】
前記スピーカ装置は、前記複数のスピーカにおける隣接するスピーカから、互いに異なる周波数帯域で前記識別情報を含む音声信号を出力させることを特徴とする請求項1に記載の屋内位置特定システム。
【請求項3】
屋内のユーザに対して位置情報を提供する携帯端末において、
屋内に所定距離離れて設置されている複数のスピーカから出力される音声信号であって且つ各スピーカを識別する識別情報を含む当該音声信号を受信するマイクロフォンと、
前記複数のスピーカそれぞれの前記識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する記憶部と、
前記マイクロフォンにより受信された音声信号から前記識別情報を抽出し、前記記憶部に記憶される前記位置データベースに基づいて、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を特定する制御部とを備え、
前記制御部は、受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得することを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
屋内のユーザに対して位置情報を提供する携帯可能コンピュータに、
屋内に所定距離離れて設置されている複数のスピーカそれぞれの識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する工程と、
前記複数のスピーカから出力される音声信号であって且つ前記識別情報を含む当該音声信号を受信する工程と、
受信された音声信号から前記識別情報を抽出し、記憶された前記位置データベースに基づいて、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を特定し、さらに受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得する工程とを実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋内におけるユーザの位置を特定する屋内位置特定システム、それを構成する携帯端末、それにより実行されるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋内におけるユーザの位置を特定する手法として、電波信号や音波信号を用いた測位方式が知られている。例えば、屋内の所定位置に設置されたいわゆるビーコン(Beacon)と呼ばれる電波発信機からの電波信号をユーザの携帯端末が受信すると、携帯端末がネットワーク上のサーバにアクセスして、そのビーコンの位置に対応する情報を取得することで、携帯端末及びそれを保持しているユーザの位置を特定する。また、店舗や駅、病院などの各種施設の屋内では、案内放送や音楽などの音声を出力するための多数の音声スピーカ(音波発信器)が設置されており、その音声スピーカから、可聴帯域の音声に非可聴帯域の音波信号による識別情報を重畳させて出力し、それを携帯端末のマイクにより受信し、携帯端末がインターネットなどの通信ネットワーク上のサーバにアクセスして、その識別情報に対応する位置情報を取得することで、携帯端末及びユーザの位置を特定する。
【0003】
さらに、特許文献1は、携帯端末から電波信号と音波信号の両方が発信され、その両方を受信した基地局の位置情報に基づいて、携帯端末の位置を特定するシステムについて開示している。
【0004】
特許文献2は、携帯端末が位置情報を含む電波信号及び音波信号のいずれか一方を選択可能に受信し、受信した電波信号又は音波信号を用いて、通信ネットワーク上の経路案内サーバにアクセスして位置情報を取得する方法について開示している。
【0005】
特許文献3は、店舗等に設置したスピーカ装置等からコンテンツを識別する識別情報を含む音波信号を発信し、その音波信号を携帯端末が受信し、受信した音波信号を用いて、通信ネットワーク上のコンテンツ配信装置にアクセスしてコンテンツ情報を取得するシステムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−35363号公報
【特許文献2】特開2017−32428号公報
【特許文献3】特開2017−78949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、携帯端末は、受信した電波信号や音波信号に含まれる識別情報を用いて、位置情報やコンテンツ情報を取得するには、通信ネットワーク上のサーバ等にアクセスする必要があり、通信ネットワークに接続できない環境(特に屋内環境)では、位置情報を取得できない場合がある。
【0008】
また、通信ネットワーク上のサーバにアクセスして位置情報を取得する場合、サーバに個人の位置情報の履歴が蓄積され、匿名性を確保できないおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、通信ネットワークへアクセスせずに位置情報を取得することを可能にする屋内位置特定システム、それを構成する携帯端末、それにより実行されるコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の屋内位置特定システムは、音声信号を用いる屋内位置特定システムであって、屋内に設置されている複数のスピーカと、各スピーカを識別する識別情報を含む音声信号を前記複数のスピーカそれぞれから出力させるスピーカ制御部とを有するスピーカ装置と、複数のスピーカそれぞれの識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する携帯端末とを備え、携帯端末は、複数のスピーカの少なくとも1つから出力される音声信号を受信すると、当該音声信号から識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得
し、前記携帯端末は、受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得することを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯端末は、屋内のユーザに対して位置情報を提供する携帯端末において、屋内に所定距離離れて設置されている複数のスピーカから出力される音声信号であって且つ各スピーカを識別する識別情報を含む当該音声信号を受信するマイクロフォンと、複数のスピーカそれぞれの識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する記憶部と、マイクロフォンにより受信された音声信号から識別情報を抽出し、記憶部に記憶される位置データベースに基づいて、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を特定する制御部とを備え
、制御部は、受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得することを特徴とする。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、屋内のユーザに対して位置情報を提供する携帯可能コンピュータに、屋内に所定距離離れて設置されている複数のスピーカそれぞれの識別情報とそれに対応する位置情報を有する位置データベースを記憶する工程と、複数のスピーカから出力される音声信号であって且つ識別情報を含む当該音声信号を受信する工程と、受信された音声信号から識別情報を抽出し、記憶された位置データベースに基づいて、当該抽出した識別情報に対応する位置情報を特定
し、さらに受信した音声信号から2つ以上の識別情報を抽出した場合、受信レベルの最も高い音声信号から抽出された識別情報に対応する位置情報を前記位置データベースから取得する工程とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、屋内に設置される複数のスピーカそれぞれの識別情報とそれに対応する位置情報を含む位置データベースを携帯端末の記憶部に記憶させることで、インターネット等の通信ネットワークに接続することなく、スピーカの識別情報に対応する位置を特定することができ、匿名性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態における屋内位置特定システムの構成例を示す。
【
図3】携帯端末10に記憶される位置データベースの構成例を示す。
【
図5】本発明の実施の形態における位置特定処理を含むナビゲーション処理のフローチャートを示す。
【
図6】隣接するスピーカ装置から出力されるスピーカIDの周波数帯域を異ならせた状態を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における屋内位置特定システムの構成例を示す。屋内位置特定システムは、建物や施設の屋内を移動中のユーザが保持する携帯端末10及びその屋内に設置される複数のスピーカ装置20を備えて構成される。各スピーカ装置20は、さまざまな建物や施設にそれぞれ設置されているスピーカを含む館内放送設備を利用するものであってもよく、音声出力手段としての複数のスピーカを有し、スピーカ装置20は、各スピーカを識別する識別情報(ID)を非可聴帯域の音声信号として、各スピーカから出力させる。
【0017】
携帯端末10は、インターネットなどの通信ネットワークに接続する携帯可能なコンピュータ装置であり、いわゆるスマートフォンと呼ばれる通信端末装置であって、通信ネットワーク上のサーバ装置30から各種アプリケーションプログラム、データベースをダウンロード可能である。携帯端末10は、ユーザによって持ち運ばれ、携帯端末10の位置を特定することで、ユーザの位置もその携帯端末10の位置として特定することができる。
【0018】
図2は、携帯端末10の構成例を示す。携帯端末10は、制御部110、記憶部120、通信部130、マイクロフォン140、センサ部150、ディスプレイ160を有して構成される。制御部110は、CPUなどの演算処理ユニット及びRAMやROMなどのメモリを備え、記憶部120に記憶されるデータベースを読み出して参照し、さらに、記憶部120に記憶されるコンピュータプログラムを実行する。記憶部120には、現在位置を表示可能な地図表示プログラム、現在位置から指定された目的地へのルートを表示可能なナビゲーション(経路案内)プログラム、さらには、各スピーカの識別情報(スピーカID)及びそれに対応するスピーカの位置情報を有する位置データベースが格納される。通信部130は、インターネットなど通信ネットワークに接続する機能を有し、本願発明の実施に必要なコンピュータプログラムや位置データベース(位置DB)などをあらかじめ通信ネットワーク上のサーバ装置30(
図1参照)よりダウンロードし、記憶部120に記憶させておく。マイクロフォン140は、スピーカ装置20からの音声信号を検知し、後述するように、受信した音声信号に含まれるスピーカIDを抽出する。センサ部150は、加速度センサ、磁気センサ、ジャイロスコープなどを備え、携帯端末10の移動を自律的に検出する慣性計測装置(IMU)として機能する。ディスプレイ160は、タッチスクリーンであり、地図上に現在位置や目的地までの経路などを表示する。
【0019】
図3は、携帯端末10に記憶される位置データベースの構成例を示す。位置データベース(位置DB)は、本願発明を実現するコンピュータプログラムを、携帯端末10にインストールする際にコンピュータプログラムとともにダウンロードされ、記憶される。ユーザは、あらかじめ携帯端末10をインターネットなどの通信ネットワークに接続し、コンピュータプログラム及び位置データベースをインストールする。
【0020】
位置データベースは、各スピーカの識別情報(スピーカID)及びそれに対応する位置情報から構成される。位置情報は、座標(緯度・経度)、建物・施設名称(建物ID)、フロア(階)を含む。建物・施設が2階建て以上である場合、フロア(階)を特定することで、座標(緯度・経度)が同一である場合の高さ方向の位置も特定することができる。
【0021】
図4は、スピーカ装置20の構成例を示す。スピーカ装置20は、スピーカ210と、スピーカを識別する識別情報(スピーカID)を含む音声信号を各スピーカ210から出力させるスピーカ制御部220を有する。スピーカ制御部220は、例えば館内放送などの可聴帯域の放送用音声データと、非可聴帯域の音声データとして生成されるスピーカIDデータとを合成・重畳し、スピーカ210から出力させる。複数のスピーカ210からは、可聴帯域の通常音声データは、ローパスフィルタによりその上限周波数が設定され、非可聴帯域のスピーカIDは、ハイパスフィルタによりその下限周波数が設定される。複数のスピーカ210からは、同一の可聴音声信号が出力され、且つそれぞれ異なるスピーカIDを有する非可聴音声信号が出力される。スピーカ制御部220は、スピーカ210毎に設けられてもよいし、複数のスピーカ210をまとめて制御する構成であってもよい。
【0022】
建物等の一般的な放送設備(Public Announcement、以下「PA」と称する場合がある)は、一般に、周波数20kHzまでの音声を放送可能であるが、人間が知覚できる可聴範囲は、概ね20Hz〜18kHz程度であるので、スピーカIDの音声データは、18kHzより上の周波数、例えば19kHz以上の音声信号として送信することで、可聴範囲の音声と同時に送信することができる。例えば、ローパスフィルタの上限周波数は18kHzより小さい値、ハイパスフィルタの下限周波数は18kHzより大きい値に設定する。
【0023】
スピーカIDの音声データは例えば次の方法により符号化して生成する。まず、各スピーカ210に12ビットの番号を付与し、12ビットのデータをゴレイ符号化により誤り訂正符号を付加して24ビットデータにする。さらに、それをマンチェスター符号化しそしてリング変調して、伝送用データに変調する。ハイパスフィルタは、好ましくは高次(8次超)バターワース型ハイパスフィルタが採用される。
【0024】
携帯端末10のマイクロフォン140で検出された音声データは、制御部110により上記の符号化処理の逆方向処理を行うことで、スピーカIDを復号する。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態における位置特定処理を含むナビゲーション処理のフローチャートを示す。このナビゲーション処理(経路案内処理)は、携帯端末10の制御部110によって実行される処理である。
【0026】
ユーザは、建物や施設など(建物等)の屋内を移動し、その建物等の屋内における目的地へのナビゲーション(経路案内)が行われる。建物等の一般的な放送設備(Public Announcement)は、屋内に設置される複数のスピーカ210から、館内放送(背景音楽を含む)に重畳されて、実質的に非可聴帯域の周波数のスピーカIDを含む音声信号が出力され、それを携帯端末10のマイクロフォン140により検出する。
【0027】
携帯端末10のマイクロフォン140により検出される音声データからスピーカIDを抽出すると(S100)、記憶部120に記憶されている位置データベースを参照し、当該抽出されたスピーカIDに対応するスピーカ210の位置を特定する(S102)。位置データベースがあらかじめ携帯端末10に記憶されているので、スピーカID抽出時ごとにインターネットなどの通信ネットワーク上のサーバ装置にアクセスしてその位置情報を取得しないので、匿名性が確保される。また、屋内で通信ネットワークにアクセスしにくい場合でも即座に位置を特定することができる。そして、スピーカIDの座標位置と、設定された目的地の座標位置とを比較し、目的地であるかどうか判定する(S104)。目的地である場合は、経路案内処理は終了する。目的地でない場合は、当該特定された座標位置と目的地までの経路を検索する(S106)。ステップS108において、検索された経路(ルート)が前回の経路と異なる場合は、経路を更新し(S110)、検索された経路が前回の経路と同一の場合(もしくは前回の経路がない場合)は、ステップS102で特定されたスピーカIDに対応するスピーカ210の位置からの移動経路を、センサ部150の慣性計測装置(IMU)により検出し(S112)、ディスプレイ160に表示される現在位置を更新する(S114)。更新頻度毎に目的であるかどうか判定し(S116)、目的地でなければ、ステップS102に戻り、目的地に到達するまで上記処理が繰り返される。
【0028】
ステップS100において、複数のスピーカIDが抽出される場合がある。隣接するスピーカ210が近接し、両方のスピーカIDの音声信号を受信する。その場合は、音声データの受信レベルの強弱を判定し、最も受信レベルの高いスピーカIDを、抽出されたスピーカIDとする。より近い位置にいるほど、音声データの受信レベルも高くなるので、より正確な位置を特定することができる。また、隣接するスピーカ210同士は、スピーカIDの音声データを出力する周波数帯域を互いに異ならせてもよい。例えばいわゆる4色定理に基づいて、4つの周波数を用意することで、平面上における隣接するスピーカ210同士を互いに分別することができる。
【0029】
図6は、隣接するスピーカから出力されるスピーカIDの周波数帯域を異ならせた状態を模式的に示す図である。
図6に示されるそれぞれの円は、各スピーカ210の出力範囲を示し、隣接し且つ重複する出力範囲において、4つの周波数帯域F1、F2、F3、F4を用いて、隣接するスピーカ間でスピーカIDを出力する周波数帯域を異ならせることで、出力範囲が重複する領域においても、複数のスピーカからのスピーカIDを区別して受信し識別することができる。スピーカ制御部220により、各スピーカ210から出力されるスピーカIDの周波数帯域は調整される。
【0030】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0031】
上述の実施の形態では、人であるユーザが携帯端末を保持している場合について説明したが、ユーザは、無線で遠隔操作又は自動制御によって飛行できる航空機(無人機)、いわゆるドローンや、遠隔操作されるロボットのような移動物体であってもよく、このような移動物体をユーザとして、これに携帯端末が搭載される場合についても本発明は適用することができる。この場合、携帯端末は、移動物体とも通信可能に移動物体に搭載される通信端末装置であり、スマートフォンのような形態に限らず、例えば電子部品の形態にて装着されてもよく、そして必ずしもディスプレイを有さなくともよい。
【符号の説明】
【0032】
10:携帯端末、20:スピーカ装置、110:制御部、120:記憶部、130:通信部、140:マイクロフォン、150:センサ部、160:ディスプレイ、210:スピーカ、220:スピーカ制御部