特許第6971475号(P6971475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971475
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】スイッチ発電機構及びスイッチ発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   H02K7/18 A
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-500213(P2018-500213)
(86)(22)【出願日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2017005791
(87)【国際公開番号】WO2017142048
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2020年1月30日
(31)【優先権主張番号】特願2016-29167(P2016-29167)
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】青柳 智英
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/085057(WO,A1)
【文献】 特許第5740897(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの力の伝達により一定量回転する第2可動部品と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して一定量回転する第1可動部品と、
前記第1可動部品の前記回転により一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに変形が解放される第1変形部品と、
前記第1変形部品の変形が解放されることにより前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の前記回転が回転伝達機構に伝達される機構と、
前記第1可動部品の前記回転が発電機に伝達されることにより前記発電機が電力を発生して発電を行う機構と、
前記第2可動部品に連結されており、外部からの力の伝達により前記第2可動部品が前記一定量回転したときに一定量変形すると共に前記力の伝達が解消されることにより変形が解放される第2変形部品と、
前記第2変形部品の変形の解放により前記第2可動部品が逆方向に一定量回転する機構と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して前記第1可動部品が一定量逆方向に回転する機構と、
前記第1可動部品の前記逆方向への一定量回転により前記第1変形部品が一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに前記第1変形部品の変形が解放される機構と、
前記第1可動部品の前記逆方向への回転が回転伝達機構に伝達され且つ前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転したときの回転が回転伝達機構に伝達される機構と、
前記第1可動部品の前記各回転が前記発電機に伝達されることにより前記発電機が電力を発生して発電を行う機構とを備えてなることを特徴とするスイッチ発電機構。
【請求項2】
第1可動部品と、第2可動部品と、前記第1可動部品に連結される第1変形部品と、発電機とを備えるスイッチ発電機構を用い、
前記スイッチ発電機構の外部から前記第2可動部品に力が伝達されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量回転して前記第1変形部品が一定量変形し、
前記第1可動部品が一定量回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
変形からの解放により前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の一定量回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行い、
前記第2可動部品に第2変形部品が連結されており、
前記力により前記第2可動部品が一定量可動して前記第2変形部品が一定量変形し、
前記力の伝達が解消されることにより前記第2変形部品の変形が解放されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転して前記第1変形部品が一定量変形し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転し、
前記第1可動部品の一定量の逆方向回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行ない且つ前記第1可動部品の前記逆方向とは反対の方向の一定量の回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行なうことを特徴とするスイッチ発電方法。
【請求項3】
前記第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第2可動部品が、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された扇形歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第1変形部品がコイル形状のスプリングであり、一方の端部が前記第2可動部品の中心軸に連結され、他方の端部が前記第1可動部品の中心を除く箇所に連結されており、
前記第2変形部品もコイル形状のスプリングで且つボックスに収められており、一方の端部が前記第2可動部品の中心を除く箇所に連結され、他方の端部が前記ボックスに連結されており、
前記第1可動部品の中心軸には第1傘歯車が軸支され、前記第1可動部品と連結して回転可能に軸支されており、
前記発電機のシャフトには第2傘歯車が固定され、前記第1傘歯車と前記第2傘歯車が互いに歯が噛み合うように連結されており、
前記第2可動部品に前記力が伝達されて前記第2可動部品が前記一定量回転して可動し、中心を除く箇所も一定量可動し、前記第2変形部品が前記一定量伸びて変形し、弾性力による位置エネルギーが前記第2変形部品に蓄積し前記力により保持されると共に、
前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量回転して中心を除く箇所も一定量回転し、前記第1変形部品が前記一定量伸びて変形し、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いにより、弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積し保持され、
前記第1可動部品が前記一定量回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量逆方向に回転し、前記第1傘歯車も回転すると共に前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に前記力の伝達が解消されることにより、前記第2変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第2可動部品が一定量逆方向に回転し、前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転して中心を除く箇所も一定量逆方向に回転し、前記第1変形部品が一定量伸びて変形し弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積すると共に、前記第1傘歯車も回転し前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量回転し、前記第1傘歯車も回転すると共に前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行う請求項2に記載のスイッチ発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ発電機構及びスイッチ発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は使用されずに捨てられていた身近な環境に存在する、微弱な運動エネルギー(人力、振動、圧力、熱、太陽光等)を利用して、電力を発電できる自己発電型の環境発電(エナジーハーベスティング:Energy Harvesting)が注目されている。
【0003】
照明等の各種電気機器や装置には、無線通信装置を用いた遠隔操作によって動作を制御可能としているものが有る。この種の無線通信装置を制御する無線スイッチには乾電池等の電源が内蔵されており、電源から供給される電力によって無線通信装置の動作を制御している。
【0004】
一方、環境発電によって電力を発電し、その電力を使って様々な装置に動作指示を無線通信で送ることで、電源の交換や充電等の作業が不要なスイッチ発電機構の形成が要求されている。具体的には、照明等の機器に点灯や消灯の指示を無線通信で送る際、電源に依らず使用者のスイッチング動作で発電させて電力が得られる、自己発電型のスイッチ発電機構が実現されている。
【0005】
例えば非特許文献1記載のスイッチ発電機構は、スイッチを押す動作(スイッチング動作)の運動エネルギーで発電させ、照明に点灯や消灯の指示を無線通信で送っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】エネルギーハーベスティング、[online]、[平成28年2月9日]、インターネット<URL:https://www.enocean.com/jp/technology/energy-harvesting/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなスイッチ発電機構の一例として、コイルとマグネットを備え、更にボイスコイルが固定されていると共に、マグネットとスイッチ部品は連結されている構成の物が挙げられる。このスイッチ部品を使用者が押すことで、固定されているボイスコイルの中をマグネットが動き、そのマグネットの動きに伴う運動エネルギーによって発電を行う。従って発電される電力量は、ボイスコイル内を動くマグネットの速さ、即ち、スイッチ部品を押す速さに大きく影響される。詳述すると、発電電圧はマグネットの動きによりボイスコイル内の磁束が変化する速さに比例する。また電力(W)は、次式即ち、W=V/R(但し、Vは電圧を、Rはボイスコイルの抵抗をそれぞれ示す)で表せるため、ボイスコイル内のマグネット(若しくはマグネット内のボイスコイル)の移動速度が遅い場合、発電電圧が低く十分な電力を発電出来なかった。
【0008】
更に、使用者によってスイッチを押す速さにはばらつきが有る為、発電量にもばらつきが発生し、必要な電力量を確保できない事態も有った。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、どんなに遅い速度の力で動作させても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能なスイッチ発電機構及びスイッチ発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(1)外部からの力の伝達により一定量回転する第2可動部品と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して一定量回転する第1可動部品と、
前記第1可動部品の前記回転により一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに変形が解放される第1変形部品と、
前記第1変形部品の変形が解放されることにより前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の前記回転が回転伝達機構に伝達される機構と、
前記第1可動部品の前記回転が発電機に伝達されることにより前記発電機が電力を発生して発電を行う機構と、
前記第2可動部品に連結されており、外部からの力の伝達により前記第2可動部品が前記一定量回転したときに一定量変形すると共に前記力の伝達が解消されることにより変形が解放される第2変形部品と、
前記第2変形部品の変形の解放により前記第2可動部品が逆方向に一定量回転する機構と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して前記第1可動部品が一定量逆方向に回転する機構と、
前記第1可動部品の前記逆方向への一定量回転により前記第1変形部品が一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに前記第1変形部品の変形が解放される機構と、
前記第1可動部品の前記逆方向への回転が回転伝達機構に伝達され且つ前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転したときの回転が回転伝達機構に伝達される機構と、
前記第1可動部品の前記各回転が前記発電機に伝達されることにより前記発電機が電力を発生して発電を行う機構とを備えてなることを特徴とするスイッチ発電機構、
(2)第1可動部品と、第2可動部品と、前記第1可動部品に連結される第1変形部品と、発電機とを備えるスイッチ発電機構を用い、
前記スイッチ発電機構の外部から前記第2可動部品に力が伝達されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量回転して前記第1変形部品が一定量変形し、
前記第1可動部品が一定量回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
変形からの解放により前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の一定量回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行い、
前記第2可動部品に第2変形部品が連結されており、
前記力により前記第2可動部品が一定量可動して前記第2変形部品が一定量変形し、
前記力の伝達が解消されることにより前記第2変形部品の変形が解放されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転して前記第1変形部品が一定量変形し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転し、
前記第1可動部品の一定量の逆方向回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行ない且つ前記第1可動部品の前記逆方向とは反対の方向の一定量の回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行なうことを特徴とするスイッチ発電方法、
(3)前記第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第2可動部品が、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された扇形歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第1変形部品がコイル形状のスプリングであり、一方の端部が前記第2可動部品の中心軸に連結され、他方の端部が前記第1可動部品の中心を除く箇所に連結されており、
前記第2変形部品もコイル形状のスプリングで且つボックスに収められており、一方の端部が前記第2可動部品の中心を除く箇所に連結され、他方の端部が前記ボックスに連結されており、
前記第1可動部品の中心軸には第1傘歯車が軸支され、前記第1可動部品と連結して回転可能に軸支されており、
前記発電機のシャフトには第2傘歯車が固定され、前記第1傘歯車と前記第2傘歯車が互いに歯が噛み合うように連結されており、
前記第2可動部品に前記力が伝達されて前記第2可動部品が前記一定量回転して可動し、中心を除く箇所も一定量可動し、前記第2変形部品が前記一定量伸びて変形し、弾性力による位置エネルギーが前記第2変形部品に蓄積し前記力により保持されると共に、
前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量回転して中心を除く箇所も一定量回転し、前記第1変形部品が前記一定量伸びて変形し、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いにより、弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積し保持され、
前記第1可動部品が前記一定量回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量逆方向に回転し、前記第1傘歯車も回転すると共に前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に前記力の伝達が解消されることにより、前記第2変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第2可動部品が一定量逆方向に回転し、前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転して中心を除く箇所も一定量逆方向に回転し、前記第1変形部品が一定量伸びて変形し弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積すると共に、前記第1傘歯車も回転し前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量回転し、前記第1傘歯車も回転すると共に前記第2傘歯車が連動して回転し、前記シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行う前記(2)に記載のスイッチ発電方法
を要旨とする。
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明のスイッチ発電機構は、
外部からの力の伝達により一定量回転する第2可動部品と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して一定量回転する第1可動部品と、
前記第1可動部品の前記回転により一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに変形が解放される第1変形部品と、
前記第1変形部品の変形が解放されることにより前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の前記回転が伝達される回転伝達機構と、
前記第1可動部品の前記回転が伝達されることにより電力を発生して発電を行う発電機とを備えて構成されるものである。
【0011】
本発明のスイッチ発電機構は、
前記第2可動部品に連結されており、外部からの力の伝達により前記第2可動部品が前記一定量回転したときに一定量変形すると共に前記力の伝達が解消されることにより変形が解放される第2変形部品と、
前記第2変形部品の変形の解放により逆方向に一定量回転する前記第2可動部品と、
前記第2可動部品の前記回転により前記第2可動部品と連動して一定量逆方向に回転する前記第1可動部品と、
前記第1可動部品の前記逆方向への一定量回転により一定量変形し、前記第1可動部品が一定量回転したときに変形が解放される前記第1変形部品と、
前記第1可動部品の前記逆方向への回転が伝達され且つ前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転したときの回転が伝達される回転伝達機構と、
前記第1可動部品の前記各回転が伝達されることにより電力を発生して発電を行う発電機とを備えることが好ましい。本発明において、スイッチ発電機構を形成する部品が、前記第2可動部品の一部を除いてボックスに収納されていることが好ましい。この場合において、前記第2可動部品の一部がボックスから突出するように形成される。
【0012】
本発明のスイッチ発電方法は、
第1可動部品と、第2可動部品と、前記第1可動部品に連結される第1変形部品と、発電機とを備えるスイッチ発電機構を用い、
前記スイッチ発電機構の外部から前記第2可動部品に力が伝達されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量回転して前記第1変形部品が一定量変形し、
前記第1可動部品が一定量回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
変形からの解放により前記第1可動部品が一定量回転し、この第1可動部品の一定量回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行うように構成したものである。
【0013】
本発明のスイッチ発電方法は、
前記第2可動部品に第2変形部品が連結されており、
前記力により前記第2可動部品が一定量可動して前記第2変形部品が一定量変形し、
前記力の伝達が解消されることにより前記第2変形部品の変形が解放されて、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転して前記第1変形部品が一定量変形し、前記第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に前記第1変形部品の変形が解放され、
前記第1変形部品の前記変形の解放により前記第1可動部品が前記逆方向とは反対の方向へ一定量回転し、
前記第1可動部品の一定量の逆方向回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行ない且つ前記第1可動部品の前記逆方向とは反対の方向の一定量の回転が前記発電機に伝達されて前記発電機が電力を発生し発電を行うように構成することが好ましい。
【0014】
また本発明のスイッチ発電方法は、
前記第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第2可動部品が、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された扇形歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、
前記第1変形部品がコイル形状のスプリングであり、一方の端部が前記第2可動部品の中心軸に連結され、他方の端部が前記第1可動部品の中心を除く箇所に連結されており、
前記第2変形部品もコイル形状のスプリングで且つボックスに収められており、一方の端部が前記第2可動部品の中心を除く箇所に連結され、他方の端部がボックスに連結されており、
前記第1可動部品の中心軸には第1傘歯車が軸支され、前記第1可動部品と連結して回転可能に軸支されており、
前記発電機のシャフトには第2傘歯車が固定され、第1傘歯車と第2傘歯車が互いに歯が噛み合うように連結されており、
前記第2可動部品に前記力が伝達されて前記第2可動部品が前記一定量回転して可動し、中心を除く箇所も一定量可動し、前記第2変形部品が前記一定量伸びて変形し、弾性力による位置エネルギーが前記第2変形部品に蓄積し前記力により保持されると共に、
前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量回転して中心を除く箇所も一定量回転し、前記第1変形部品が前記一定量伸びて変形し、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いにより、弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積し保持され、
前記第1可動部品が前記一定量回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量逆方向に回転し、第1傘歯車も回転すると共に第2傘歯車が連動して回転し、シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に前記力の伝達が解消されることにより、前記第2変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第2可動部品が一定量逆方向に回転し、前記第1可動部品の歯と前記第2可動部品の歯が噛み合って連動し、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転して中心を除く箇所も一定量逆方向に回転し、前記第1変形部品が一定量伸びて変形し弾性力による位置エネルギーが前記第1変形部品に蓄積すると共に、第1傘歯車も回転し第2傘歯車が連動して回転し、シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行い、
更に、前記第1可動部品が前記一定量逆方向に回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、前記第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し前記第1可動部品が一定量回転し、第1傘歯車も回転すると共に第2傘歯車が連動して回転し、シャフトが回転して前記発電機が電力を発生して発電を行うように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に依れば第1変形部品を含むことで、第1変形部品の変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が押されてスイッチ発電機構が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0016】
更に、本発明は第2変形部品を含むことで、第2変形部品の変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が押されてスイッチ発電機構が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0017】
更に、本発明において第2変形部品の変形の解放は、第2可動部品への力の伝達が解消されることで行われる。即ち、第2可動部品が押されていない状態でもスイッチ発電機構は一定の発電量を確保することが可能となる。従って、自己発電が可能な動作状態を増加出来るため、より確実なスイッチング動作の実現と共に、スイッチ発電機構の使用用途の拡大を図ることも可能となる。
【0018】
更に、本発明において第1と第2の可動部品を歯車として構成し、これらの歯車をスイッチ発電機構の形成部品に用いることで、互いの歯を噛み合わせてスイッチ発電機構を動作させることが可能となる。従って、動作損失の発生を抑制又は防止することが出来るため、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確実に確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となり好ましい。
【0019】
更に、本発明においてスイッチ発電機構は、前記歯車やコイル形状のスプリングや、発電機というような簡易な部品のみで形成されている。従って、耐候性や信頼性に優れ、どのような用途や使用状況でも確実に一定の発電量を確保し、確実なスイッチング動作を行うことが可能なスイッチ発電機構を形成することが出来る。
【0020】
更に、本発明においてスイッチ発電機構を形成する部品を、第2可動部品の一部を除いてボックスに収めることにより、第1可動部品と第2可動部品間の伝達部分の防塵性や防水性を確保することが可能となる。また、歯車部分の防錆効果も得られる。従って、スイッチ発電機構の耐候性や信頼性をより一層向上させることができ、より確実なスイッチング動作を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本発明の実施例に係るスイッチ発電機構の、初期状態を示す模式図である。
図1B図1Aの第1可動部品と第2可動部品のみを抜粋して図示した模式図である。
図2A】本発明の実施例に係るスイッチ発電機構において、第2可動部品が押されて第1変形部品が最大量変形された状態を示す模式図である。
図2B図2Aの第1可動部品と第2可動部品のみを抜粋して図示した模式図である。
図3A】本発明の実施例に係るスイッチ発電機構において、第1変形部品の変形が解放された状態を示す模式図である。
図3B図3Aの第1可動部品と第2可動部品のみを抜粋して図示した模式図である。
図4A】本発明の実施例に係るスイッチ発電機構において、スイッチ発電機構の外部の力が解消されて、第2変形部品の変形が解放された状態を示す模式図である。
図4B図4Aの第1可動部品と第2可動部品のみを抜粋して図示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施の形態の第一の特徴は以下のとおりである。即ち、スイッチ発電機構は電源を含まずスイッチング動作により発電するものである。スイッチ発電機構は、少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、第1可動部品に連結される第1変形部品と、発電機とから形成される。本実施形態のスイッチ発電機構は、その外部から第2可動部品に力(押圧力)が伝達されて、第1可動部品と第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、第1可動部品が一定量回転して第1変形部品が一定量変形し、第1可動部品が一定量回転した後に第1変形部品の変形が解放され、変形からの解放により第1可動部品が一定量回転し、これにより発電機が電力を発生して発電を行うように構成されている。
【0023】
この構成に依れば、第1変形部品の変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放し第1可動部品を一定量回転させることにより、発電機で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が押されてスイッチ発電機構が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0024】
なお本発明において発電機とは、少なくともコイルとマグネットを含み、電力を発生させて発電する装置を指すものとする。
【0025】
本実施形態の第二の特徴は以下のとおりである。即ち、スイッチ発電機構は第2可動部品に第2変形部品が連結されており、押圧力により第2可動部品が一定量可動して第2変形部品が一定量変形するように構成されている。押圧力の伝達が解消されることにより第2変形部品の変形が解放されて、第1可動部品と第2可動部品の互いの少なくとも一部が連動し、第1可動部品が一定量逆方向に回転して第1変形部品が一定量変形し、第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に第1変形部品の変形が解放されるように構成されている。そして第1可動部品が一定量逆方向に回転することと、第1変形部品の変形からの解放により、第1可動部品が一定量回転することにより発電機が電力を発生して発電を行うように構成されている。
【0026】
本実施形態の構成に依れば、第1変形部品以外に更に第2変形部品を含むことで、第2変形部品の変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が押されてスイッチ発電機構が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0027】
更に、第2変形部品の変形の解放は、第2可動部品への押圧力の伝達が解消されることで行われる。即ち、第2可動部品が押されていない状態でもスイッチ発電機構は一定の発電量を確保することが可能となる。従って、自己発電が可能な動作状態を増加出来るため、より確実なスイッチング動作の実現と共に、スイッチ発電機構の使用用途の拡大を図ることも可能となる。
【0028】
なお本発明において、第1可動部品や第2可動部品の回転量、又は第1変形部品や第2変形部品の変形量における「一定量」とは、常に同一の回転量や変形量を意味するものではない。第1、第2可動部品の回転量や第1、第2変形部品の変形量はどの動作時にも常に一定であるとは限らず、異なる場合があり、また回転方向により異なる場合もある。「一定量」とはこのような回転量、変形量の異なる場合も含むものである。
【0029】
本実施形態の第三の特徴は以下のとおりである。即ち、第1可動部品は、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されており、第2可動部品が、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された扇形歯車であり、中心軸を中心に回転可能に軸支されている。第1変形部品はコイル形状のスプリングであり、一方の端部が第2可動部品の中心軸に連結され、他方の端部が第1可動部品の中心を除く箇所に連結されている。第2変形部品もコイル形状のスプリングで且つボックスに収められており、一方の端部が第2可動部品の中心を除く箇所に連結され、他方の端部がボックスに連結されている。第1可動部品の中心軸には第1傘歯車が軸支され、第1可動部品と連結して回転可能に軸支されており、発電機のシャフトには第2傘歯車が固定されている。本実施形態において、第1傘歯車と第2傘歯車が互いに歯が噛み合うように連結されており、第2可動部品に押圧力が伝達されて第2可動部品が一定量回転して可動し、中心を除く箇所も一定量可動し、第2変形部品が一定量伸びて変形し、弾性力による位置エネルギーが第2変形部品に蓄積し押圧力により保持される。本実施形態において、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転して中心を除く箇所も一定量回転し、第1変形部品が一定量伸びて変形し、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いにより、弾性力による位置エネルギーが第1変形部品に蓄積し保持される。第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し第1可動部品が一定量逆方向に回転し、それにより第1傘歯車が回転する。第1傘歯車の回転によりこの第1傘歯車と噛み合う第2傘歯車が連動して回転し、それによりシャフトが回転して発電機が電力を発生して発電を行なう。更に押圧力の伝達が解消されることにより、第2変形部品の変形が解放されて収縮が発生し第2可動部品が一定量逆方向に回転し、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量逆方向に回転して中心を除く箇所も一定量逆方向に回転し、それにより第1変形部品が一定量伸びて変形し弾性力による位置エネルギーが第1変形部品に蓄積すると共に、第1傘歯車が回転し第2傘歯車が連動して回転し、シャフトが回転して発電機が電力を発生して発電を行なう。更に、第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、第1変形部品の変形が解放されて収縮が発生し第1可動部品が一定量回転し、第1傘歯車も回転すると共に第2傘歯車が連動して回転し、シャフトが回転して発電機が電力を発生して発電を行う。
【0030】
以上の構成によれば、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された第1可動部品と、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された第2可動部品とをスイッチ発電機構の形成部品に用いることで、互いの歯を噛み合わせてスイッチ発電機構を動作させることが可能となる。従って、動作損失の発生を抑制又は防止することが出来るため、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確実に確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となり好ましい。
【0031】
更に、本実施形態のスイッチ発電機構は、歯車やコイル形状のスプリング、発電機というような簡易な部品のみで形成されている。従って、耐候性や信頼性に優れ、どのような用途や使用状況でも確実に一定の発電量を確保し、確実なスイッチング動作を行うことが可能なスイッチ発電機構を形成することが出来る。
【0032】
なお第1変形部品における一方の端部の連結位置を、ボックスなどスイッチ発電機構の内部で任意の箇所に変更しても良い。
【0033】
本実施形態の第四の特徴は、スイッチ発電機構を形成する部品が、第2可動部品の一部を除いてボックスに収められていることである。
【0034】
本実施形態に依れば、スイッチ発電機構を形成する部品を、第2可動部品の一部を除いてボックスに収めることにより、第1可動部品と第2可動部品間の伝達部分の防塵性や防水性を確保することが可能となる。また、歯車部分の防錆効果も得られる。従って、スイッチ発電機構の耐候性や信頼性をより一層向上させることができ、より確実なスイッチング動作を実現することが可能となる。
【0035】
以上のスイッチ発電機構は、照明やシャッター等の機器に使用することが可能である。
【0036】
以下に本発明に係る実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
以下、図1A、B〜図4A、Bを参照して本発明に係る実施例のスイッチ発電機構1を説明する。実施例のスイッチ発電機構1は図1Aに示すように、第1可動部品1a、第2可動部品2a、第1変形部品1b、第2変形部品2b、第1傘歯車1c、第2傘歯車2c、及び発電機3と云った各部品から形成されている。更に各部品がボックス4に収められていると共に、第2可動部品2aの一部がボックス4の外部に突出されている。本実施形態において、ボックス4の上面方向を「上方」といい、ボックス4の下面方向を「下方」という。第2可動部品2aの一部はボックス4の上面よりも上方に突出して突出部を形成し、外部に露出している。外部から力(押圧力)を与えて前記突出部を下方に押し込むことにより第2可動部品2aが一定量回転するように構成されている。尚、特に図示しないがボックス4の上面には、第2可動部品2aの一部がボックス4の上面よりも上方に突出できるようにするための開口部が設けられている。
【0038】
第1可動部品1aは、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯7aが形成された歯車であり、ボックス4に設けられた中心軸c1に回転可能に軸支されている。第2可動部品2aは、扇形の伝動車の周囲の少なくとも一部に歯7bが形成された扇形歯車であり、ボックス4の別箇所に設けられた中心軸c2に回転可能に軸支されている。
【0039】
第1可動部品1a及び第2可動部品2aの歯形は、実施例では共にインボリュート歯形である。インボリュート歯形とすることにより、互いの歯車の中心距離(中心軸c1とc2間の直線間隔)が若干変化しても噛み合いが正しく保たれると共に、容易に作製でき、滑りも少ないため好ましい。なお、インボリュート歯形に換えて、サイクロイド歯形に形成することも可能である。
【0040】
第1可動部品1a及び第2可動部品2aの材料は任意に選択可能であり、例えばプラスチックやステンレス、鋼などを用いれば良い。
【0041】
第1変形部品1bはコイル形状のスプリングで構成されており、その一方の端部は第2可動部品2aの中心軸c2に連結され、他方の端部は第1可動部品1aの中心を除く箇所に連結されている。実施例では、第1可動部品1aの一構成部品として設けたホルダ5の端部の穴に、第1変形部品1bの他方の端部を係止して連結している。ホルダ5は、第1可動部品1aの中心軸c1に固定されており、第1可動部品1aと連動して回転可能に軸支されている。
【0042】
更に、第2変形部品2bもコイル形状のスプリングで構成されており、その一方の端部は第2可動部品2aの中心を除く箇所に連結されている。実施例では、第2可動部品2aの外形形状である扇形から突出した突起部pに穴を設け、その穴に第2変形部品2bの一方の端部を係止して連結している。更に、第2変形部品2bの他方の端部は、ボックス4に連結されている。
【0043】
更に、第1可動部品1aの中心軸c1には第1傘歯車1cが固定され、第1可動部品1aと連結して回転可能に軸支されている。一方、発電機3のシャフト6の端部には、第2傘歯車2cが固定されており、シャフト6と連結して回転可能に構成されている。更に、第1傘歯車1cと第2傘歯車2cは、互いに歯が噛み合うように連結されている。なお図1A、B〜図4A、Bでは、第1及び第2傘歯車1c、2cの歯形の図示は省略している。
【0044】
発電機3は、ハウジング内部に少なくともコイルとマグネットを含むモータであり、更にシャフトの回転と共にコイルとマグネットのどちらかが回転する型式のものである。
【0045】
次に、スイッチ発電機構1における自己発電の動作原理に関して説明する。ボックス4の外部に突出している第2可動部品2aの一部(突出部)に、スイッチ発電機構1の外部から人力による押圧力または使用用途毎の対象物からの押圧力と云った力が伝達され、第2可動部品2aが押されて一定量時計方向に回転し可動する(図1A、B及び図2A、B参照)。従って、第2可動部品2aはスイッチ部分として機能し、スイッチング動作により可動する。中心軸c1とc2間の直線間隔は、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯が噛み合うように設定されている。従って、第2可動部品2aが回転すると、第1可動部品1aの歯7aと第2可動部品2aの歯7bが噛み合って連動する。
【0046】
第2可動部品2aに力(押圧力)が伝達され続け、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯が噛み合わされている間は、第1可動部品1aは回転し続ける。よって、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いが外れるまで、第1可動部品1aは一定量回転される(実施例の場合、約90°の反時計回転となる)。
【0047】
第1可動部品1aの一定量の回転に伴い、ホルダ5も第1可動部品1aと連動して回転する。従ってホルダ5の端部の穴も約90°回転し、穴の位置が回動して移動する。一方、第1変形部品1bの一方の端部は第2可動部品2aの中心軸c2に連結されているため、第2可動部品2aが回転しても連結位置は移動しない。よって中心軸c2が固定端になり、ホルダ5の端部の穴の移動に伴って第1変形部品1bは伸長される。ホルダ5の端部の穴は、一定量として約90°回転するため、第1変形部品1bもその約90°回転に伴った一定量だけ伸びて変形する。第1変形部品1bの伸びは、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いにより、弾性力による位置エネルギーとして第1変形部品1bに蓄積し保持される。
【0048】
第1変形部品1bの伸びは、第2可動部品2aに力が伝達され続けて第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯が噛み合わされている間は保持される。従って、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いが外れる直前での、第1変形部品1bの伸びが最大量となる。実施例では、第1可動部品1a及びホルダ5が約90°回転した時点での伸びが最大となる。
【0049】
第1可動部品1aが一定量(約90°)回転した後に、図2A、Bに示すように第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いが外れる。すると、第1変形部品1bの伸びの変形保持が外され、第1変形部品1bの変形が解放されて第1変形部品1bに収縮が発生する。第1変形部品1bの収縮時も、中心軸c2が固定端になると共に、ホルダ5の端部の穴が移動する。従って第1変形部品1bの収縮により、第1可動部品1aが逆方向(実施例では時計方向に約90°の回転となる。図2A、B及び図3A、Bを参照。)に一定量回転する。伸びにより第1変形部品1bに蓄積されている位置エネルギーの最大値は、第1可動部品1aの約90°回転時の伸びに伴う位置エネルギーである。この最大値の位置エネルギーが、収縮によって第1可動部品1aの一定量の逆方向の回転(約90°)に変換される。
【0050】
第1可動部品1aの一定量の逆方向の回転に伴い、第1傘歯車1cも一定量だけ逆方向に回転すると共に第2傘歯車2cも連動して回転し、シャフト6が一定量だけ回転される。即ち、第1可動部品1aの前記回転が、第1傘歯車1cと第2傘歯車2cとからなる回転伝達機構に伝達され、シャフト6が一定量回転する。このように、第1可動部品1aの前記回転はシャフト6に伝達され、これによりシャフト6が一定量回転する。
【0051】
シャフト6が一定量の回転を行うことで、発電機3内部で電力が発生して発電が行われる。その電力により、スイッチ発電機構1の用途に応じて、別途任意に設置可能な赤外線など無線通信装置を起動することが可能となる。
【0052】
シャフト6の回転量は、第1可動部品1aの逆方向の回転量、即ち第1変形部品1bの伸びの最大値に応じて変わる。よって、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯が噛み合うピッチ円の円弧長に伴って、第1変形部品1bの伸びの最大値は任意の一定量で設定可能である。従って、シャフト6の回転量も任意の一定量で設定することが出来るため、発電機3による発電量も、第2可動部品2aに伝わる外部からの力(押圧力)の速度に関係無く一定値に設定可能となる。尚、本実施形態において、回転伝達機構は第1傘歯車1cと第2傘歯車2cとから構成されるものに限定されず、例えば、平行な2軸に取り付けられた相互に噛み合う一対の歯車からなる平歯車により回転伝達機構を構成してもよい。
【0053】
以上により、スイッチ発電機構1は第1変形部品1bを含むことで、第1変形部品1bの変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機3で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品2aが押されてスイッチ発電機構1が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0054】
更に、スイッチ発電機構1における自己発電の動作原理に関して説明を続ける。前記外部からの力が伝わり続けることで、第2可動部品2aは一定量まで回転される。第2可動部品2aの一定量の回転とは、少なくとも第2変形部品2bに伸びに伴う変形が発生するまでの回転であると共に、少なくとも第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いが外れるまでの回転量を指す(図2A、B及び図3A、B参照)。
【0055】
第2可動部品2aが一定量回転して可動すると、第2可動部品2aの中心を除く箇所である突起部pも一定量可動し、穴の位置が移動する。すると、ボックス4の連結部分が固定端になると共に突起部pの穴が移動端となり、その穴の移動に伴い第2変形部品2bは伸びて変形する。
【0056】
第2可動部品2aの一定量の回転に伴い突起部pの穴も一定量移動するため、第2変形部品2bも穴の移動量に伴った一定量だけ伸びて変形する。第2変形部品2bの伸びは、外部からの押圧力が第2可動部品2aに伝達されている間は保持されるため、弾性力による位置エネルギーが第2変形部品2bに蓄積し保持される。
【0057】
次に、第2可動部品2aへの押圧力の伝達が解消されると、第2変形部品2bの変形が解放され収縮する。第2可動部品2aへの押圧力の伝達が解消される状態とは、スイッチ発電機構1の使用用途にも依るが、例えば使用者が第2可動部品2aを押すことを止めたり、対象物が取り除かれて対象物からの押圧力が無くなった状態などが挙げられる。
【0058】
第2可動部品2aへの押圧力の伝達が解消されると、第2変形部品2bの伸びの変形保持が外され、第2変形部品2bの変形が解放されて第2変形部品2bに収縮が発生する。収縮時も、ボックス4との連結部分が固定端になると共に、突起部pの穴が移動端となる。従って第2変形部品2bの収縮により、第2可動部品2aは一定量逆方向(実施例では反時計方向の回転となる。図3A、B及び図4A、Bを参照。)に回転する。
【0059】
第2可動部品2aが一定量逆方向に回転する際に、第1可動部品1aの歯と第2可動部品2aの歯が再び噛み合って互いに連動し、第1可動部品1aが逆方向に回転する。第1可動部品1aの逆方向の回転量は、第2可動部品2aの一定量の逆方向回転量、即ち第2変形部品2bの一定量の変形に依る。従って、伸びにより第2変形部品2bに蓄積されていた位置エネルギーが、収縮によって第1可動部品1aの一定量の逆方向の回転に変換され、第1可動部品1aが一定量逆方向に回転する(実施例では時計方向に約90°の回転となる。図3A、B及び図4A、B参照。)。
【0060】
第1可動部品1aの一定量の逆方向回転に伴いホルダ5も第1可動部品1aと連動し、ホルダ5の端部の穴の位置も一定量逆方向に回転して約90°移動する。中心軸c2が固定端になると共にホルダ5の端部の穴の移動に伴い、第1変形部品1bは一定量だけ伸びて再度変形する。第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いにより、第1変形部品1bの伸びは弾性力による位置エネルギーとして、第1変形部品1bに蓄積される。
【0061】
この第1可動部品1aの一定量の逆方向の回転に伴い、第1傘歯車1cも一定量だけ逆方向に回転すると共に第2傘歯車2cも連動して回転し、シャフトが一定量だけ回転されて発電機3内部で電力を発生して発電が行われる。
【0062】
シャフトの回転量は、第1可動部品1aの一定量の逆方向回転、即ち第2変形部品2bの伸びの最大値に応じて変わる。よって、スイッチ発電機構1の外部からの力(押圧力)の伝達量に伴う第2可動部品2aの回転量(第2可動部品2aが力により押し込まれる量)に応じて、第2変形部品2bの伸びの最大値は任意の一定量で設定可能である。従って、シャフト6の回転量も任意の一定量で設定することが出来るため、発電機3による発電量も、第2可動部品2aに伝わる外部からの力(押圧力)の速度に関係無く一定値に設定可能となる。
【0063】
以上により、スイッチ発電機構1は第2変形部品2bを含むことで、第2変形部品2bの変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機3で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力(押圧力)で第2可動部品2aが押されてスイッチ発電機構1が動作しても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0064】
更に第2変形部品2bの変形の解放は、第2可動部品2aへの押圧力の伝達が解消されることで行われる。即ち、第2可動部品2aが押されていない状態でもスイッチ発電機構1は一定の発電量を確保することが可能となる。従って、自己発電が可能な動作状態を増加出来るため、より確実なスイッチング動作の実現と共に、スイッチ発電機構1の使用用途の拡大を図ることも可能となる。
【0065】
更に、第1可動部品1aが一定量逆方向に回転した後に、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の噛み合いが再び外れて(図4A、B参照)、第1変形部品1bの変形が解放されて収縮が発生する。中心軸c2が固定端になりホルダ5の端部の穴が移動するので、第1変形部品1bが収縮すると第1可動部品1aが連動して一定量(約90°)前記逆方向とは反対の方向即ち、反時計方向に回転する(図1A、B参照)。このように、伸びにより第1変形部品1bに蓄積されていた位置エネルギーが、収縮によって第1可動部品1aの一定量の反時計方向の回転に変換される。
【0066】
第1可動部品1aの一定量の反時計方向の回転に伴い、第1傘歯車1cも一定量だけ反時計方向に回転すると共に第2傘歯車2cも連動して回転し、シャフト6が一定量だけ回転されて発電機3内部で電力を発生して発電が行われる。
【0067】
シャフト6の回転量は、第1可動部品1aの一定量の反時計方向の回転、即ち第1変形部品1bの伸びの最大値に応じて変わる。よって、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯が噛み合うピッチ円の円弧長に伴って、第1変形部品1bの伸びの最大値は任意の一定量で設定可能である。従って、シャフト6の回転量も任意の一定量で設定することが出来るため、発電機3による発電量も、第2可動部品2aに伝わる外部からの押圧力の速度に関係無く一定値に設定可能となる。
【0068】
以上により、スイッチ発電機構1は第1変形部品1bを含むことで、第1変形部品1bの変形量を一定量まで蓄積してからその変形を解放して、発電機3で発電を行うことが可能となる。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品2aが押されてスイッチ発電機構1が動作しても、一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0069】
更に、第1可動部品1aと第2可動部品2aの互いの歯の、再度の噛み合いに依る第1変形部品1bの変形の解放は、第2可動部品2aへの押圧力の伝達が解消されることで行われる。即ち、第2可動部品2aが押されていない状態でもスイッチ発電機構1は一定の発電量を確保することが可能となる。従って、自己発電が可能な動作状態を増加出来るため、より確実なスイッチング動作の実現と共に、スイッチ発電機構1の使用用途の拡大を図ることも可能となる。そして、図4Aから図1Aの初期状態へと戻る。
【0070】
なお図1A、B〜図4A、Bの実施例では、第1変形部品1bにおける一方の端部の連結位置を、第2可動部品2aの中心軸c2に設定した形態例を説明した。しかしながら例えば、ボックス4などスイッチ発電機構1の内部で任意の箇所に、第1変形部品1bにおける一方の端部の連結位置を変更することが可能である。
【0071】
また実施例において、歯車に替えて滑車やマグネットギアを使用しても良い。しかしながら、滑車では滑り損失が発生するおそれがあり、マグネットギアでも動作損失が発生するおそれが有る。一方、歯車をスイッチ発電機構の形成部品に用いることで、互いの歯を噛み合わせてスイッチ発電機構を動作させることが可能となる。従って、動作損失の発生を抑制又は防止することが出来るため、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確実に確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となり好ましい。
【0072】
更に、本実施形態ではスイッチ発電機構1を歯車やコイル形状のスプリング、発電機というような簡易な部品のみで形成している。従って、耐候性や信頼性に優れ、どのような用途や使用状況でも確実に一定の発電量を確保し、確実なスイッチング動作を行うことが可能なスイッチ発電機構を形成することが出来る。
【0073】
更に、スイッチ発電機構1を形成する部品を、第2可動部品2aの一部を除いてボックス4に収めることにより、第1可動部品1aと第2可動部品2a間の伝達部分の防塵性や防水性を確保することが可能となる。また、歯車部分の防錆効果も得られる。従って、スイッチ発電機構1の耐候性や信頼性をより一層向上させることができ、より確実なスイッチング動作を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1 スイッチ発電機構
1a 第1可動部品
1b 第1変形部品
1c 第1傘歯車
2a 第2可動部品
2b 第2変形部品
2c 第2傘歯車
3 発電機
4 ボックス
5 ホルダ
6 シャフト
7a 歯
7b 歯
c1、c2 中心軸
p 突起部

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B