【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチャイルドシートは、座部と背もたれ部とを備えて構成され、
前記背もたれ部に、左右の肩ベルトを周縁で支持するように前記肩ベルトを挿通させるベルト支持孔を有するとともに、前記ベルト支持孔の配置高さを調整可能な肩ベルト高さ調整機構が、配設されるチャイルドシートであって、
前記肩ベルト高さ調整機構が、
前記ベルト支持孔を設けて構成される昇降移動部と、
前記背もたれ部に配設されて、前記昇降移動部を、所定高さで停止可能として、上下動可能に保持する合成樹脂製の保持ベース部と、
を備え、
前記昇降移動部が、
前記ベルト支持孔を有して、前記保持ベース部の後面側に配設され、前記保持ベース部の後面側の上下方向に沿って並設された位置決め部に係合して、上下移動を規制される合成樹脂製のベルト支持材と、
前記保持ベース部の前面側に上下動可能に組み付けられるとともに、前記ベルト支持孔を挿通する左右の前記肩ベルトを通し可能なベルト用開口を有して、前記ベルト支持材と連結される合成樹脂製のスライド材と、
操作時、前記ベルト支持材の前記係合部における前記位置決め部との係合を解除可能として、前記スライド材に組み付けられる合成樹脂製の解除操作材と、
を備えて構成され、
前記ベルト支持材が、
前記係合部と、
前記保持ベース部側に圧接されて、前記係合部を前記位置決め部側に係合可能に付勢する弾性変形部と、
前記係合部と前記弾性変形部との間に配設されて、前記位置決め部への係合方向と係合解除方向とへの前記係合部の移動を可能とし、かつ、前記スライド材に対する相対的な上下動を規制して、前記スライド材と連結されるように組み付けられる連結組付部と、
を備えて構成され、
前記解除操作材が、
操作時に保持する操作保持部と、
操作時に、係合していた前記位置決め部から前記係合部を離脱可能に、前記ベルト支持材の対応する押圧部位を押圧する押圧部と、
を備えて構成され、
前記ベルト支持材と前記スライド材との組付、前記解除操作材と前記スライド材との組付、及び、前記スライド材と前記保持ベース部との組付が、対応する部位に設けられた組付部位相互を嵌め合わせて、組み付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るチャイルドシートでは、解除操作材の操作保持部を保持して、押圧部をベルト支持材の押圧部位を押圧するように、解除操作材を操作すると、ベルト支持材の係合部が、係合していた保持ベース部の位置決め部から離脱することから、ベルト支持孔を所定高さに配置させるように、ベルト支持材を、ベルト支持材に連結されたスライド材とともに、上下動させることができ、そして、ベルト支持材を所定高さ位置に配置させた後、解除操作材を復帰させれば、ベルト支持材が、弾性変形部の付勢力を利用して、係合部を、対応する保持ベース部の位置決め部に係合させることとなって、ベルト支持材が、上下動を規制されて位置決めされ、ベルト支持材のベルト支持孔も所定高さ位置で停止されることとなる。そのため、ベルト支持材のベルト支持孔を挿通する左右の肩ベルトの高さ位置が、所定高さに調整されることとなる。そしてまた、再度、肩ベルトの高さ位置を調整する際には、解除操作材の操作保持部を保持して、押圧部をベルト支持材の押圧部位を押圧するように、解除操作材を操作することとなるが、保持ベース部に対して上下動するスライド材とスライド材に保持された解除操作材とが、ベルト支持材とともに、所定高さに一体的に配置できることから、同じ操作により、同様に、高さ調整を行える。また、本発明に係るチャイルドシートでは、ベルト支持材とスライド材との組付、解除操作材とスライド材との組付、及び、スライド材と保持ベース部との組付、が、対応する部位に設けられた組付部位相互を嵌め合わせて、組み付けられており、ボルト等を使用せずに相互を組み付けることができて、簡便に組み付けることができる。さらに、本発明に係るチャイルドシートでは、背もたれ部の保持ベース部に配設される昇降移動部が、それぞれ、一体成形品として構成可能な合成樹脂製としたスライド材、ベルト支持材、及び、解除操作材の3部品から構成されることから、部品点数が少なく、軽量化も図ることができる。
【0008】
したがって、本発明に係るチャイルドシートは、肩ベルト高さ調整機構を軽量かつ簡便に構成することができる。
【0009】
そして、本発明に係るチャイルドシートでは、前記保持ベース部が、
左右の前記肩ベルトを通し可能として、前後方向に貫通した組付孔を、前記背もたれ部の左右方向の中央付近に、設けるとともに、
前記組付孔の周縁に、前記スライド材を上下方向に沿って移動可能なガイド部を設け、かつ、上下方向に沿って複数の前記位置決め部を並設させて、
配設され、
前記ベルト支持材が、
前記係合部を、上下方向に並設された左右の前記位置決め部に、それぞれ係合可能に、左右両側に配設させて、前記ベルト支持材の上部側で左右方向に延びるように配設された横杆部と、
該横杆部の左右方向の中央付近から下方に延びて、下端に前記保持ベース部への圧接部位を設けて配設される前記弾性変形部としての縦杆部と、
前記横杆部の左右両側付近に、前下方に延びるように配置されて、前記横杆部の前後方向の移動を可能として、前記スライド材に設けられた前記組付部位を構成する嵌合孔に嵌合される嵌合部を設けた前記連結組付部としての張出部と、
を備えるとともに、
前記横杆部が、左右両側に、前記ベルト支持孔を設けて配設され、
前記解除操作材が、上端に、前記操作保持部を配設させ、下端に、前記押圧部を配設させて、前記操作保持部と前記押圧部との間の中間部を、上下動可能に、前記スライド材に設けられた摺動溝に嵌合させて配設され、
前記保持ベース部が、
左右の前記肩ベルトをそれぞれ挿通させて、周縁に前記位置決め部を設けた前記組付孔、を左右に配設させるとともに、
左右の前記組付孔の間に、前記解除操作材の前記押圧部を後方側に移動可能に挿通させる補助組付孔を配設させて、
構成され、
前記摺動溝と前記中間部とが、前記スライド材と前記解除操作材との相互の前記組付部位を構成し、
前記ベルト支持材の前記張出部の前記嵌合部と前記スライド材の前記嵌合孔とが、前記ベルト支持材と前記スライド材との相互の前記組付部位を構成し、
前記保持ベース部の前記ガイド部と、前記スライド材の前記ガイド部に嵌合する被ガイド部とが、前記保持ベース部と前記スライド材との相互の前記組付部位を構成していることが望ましい。
【0010】
このような構成では、ベルト支持材が、横杆部の左右両側の係合部を保持ベース部の所定の位置決め部に係合させていれば、上下動しないことから、横杆部の左右両側に配設されたベルト支持孔も上下動しない。そのため、左右の肩ベルトは、所定高さに配置されたベルト支持材のベルト支持孔を挿通して、安定して、調整された所定高さに、配置させることができる。
【0011】
また、保持ベース部の左右の組付孔の周縁に、上下方向に沿って配設されたガイド部に対し、スライド材の被ガイド部が係合して、保持ベース部に対して、スライド材が上下動する構成であり、スライド材が、保持ベース部の左右両側のガイド部により案内されることから、高さ調整するスライド材を、安定して、上下動させることができて、その後のベルト支持材の係合部を左右両側の対応する位置決め部に係合させる際に、円滑に、係合させることができる。
【0012】
また、左右両側に係合部や位置決め部が配設されていても、ベルト支持材は、左右両側に配置された連結組付部としての張出部を介して、左右のバランスよく保持ベース部に対して上下動できるスライド材に連結されており、左右のバランスよく、左右方向の中央に配置された縦杆部を撓ませつつ、円滑に、上下動できる。
【0013】
そしてさらに、本発明に係るチャイルドシートでは、前記スライド材の前記嵌合孔が、上縁側に、下方に延びて、前後方向に撓み可能な舌片を配設させ、下縁側に、前方へ突出する係止壁を突設させて、配設され、
前記ベルト支持材の前記張出部の前記嵌合部が、前記張出部における前記横杆部から下方に延びる首部の下端側の先端から後下方向に反転して、前記係止壁を係止し、かつ、内周面側を前記係止壁の上下面に当接可能とした係止フック、を設けて配設されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、ベルト支持材の連結組付部としての張出部を、スライド材に組み付ける際、張出部の嵌合部における首部から延びる係止フックを、嵌合孔内に挿入して、嵌合孔の下縁周縁の係止壁に、係止させることとなるが、その嵌合孔の上縁側が、前後方向に撓み可能な舌片を配設させており、舌片を撓ませて、係止フックを、差し込むように、容易に嵌合孔を挿通させて、係止壁に係止させることができる。そして、係止フックが係止壁を係止すれば、係止壁の上下面に係止フックの内周面が当接可能となることから、ベルト支持材のスライド材に対する相対的な上下動が規制されて、係合部を位置決め部に係合させたベルト支持材を介して、スライド材は、保持ベース部に対し、上下動せずに、安定して停止することとなる。なお、係止フックが係止壁を係止すれば、舌片が首部下端付近の上方への移動を規制することから、係止フックは、係止壁からの外れが防止される。
【0015】
そしてまた、本発明に係るチャイルドシートでは、前記解除操作材が、
前記操作保持部を引き上げて、前記ベルト支持材の前記押圧部位を押圧可能な前記押圧部を上昇させることにより、前記ベルト支持材の前記横杆部の前記係合部を、係合されていた前記位置決め部から離脱させるように、前記横杆部を後方移動させる構成とするとともに、
引き上げ後の下方への復帰を可能に、前記スライド材における前記操作保持部の収納部位の周壁に圧接されて復帰時の付勢力を発揮可能な撓み片、を設けて配設されていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、解除操作材の操作時、操作保持部を引き上げるように操作して、ベルト支持材とともにスライド材を所定高さ位置に配置させた後、単に、操作保持部から手を離せば、撓み片の付勢力により、解除操作材が、押圧部とともに押し下げられて、押圧部がベルト支持材の押圧部位から離脱し、そして、ベルト支持材が、弾性変形部としての縦杆部の弾性変形の復元により、横杆部の係合部を保持ベース部側に移動させることから、係合部を、対応する位置決め部に、円滑に係合させて、簡便に、昇降移動部のベルト支持材とスライド材とを所定高さ位置に配置させることができることとなる。