(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971485
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】表示装置及びそれに用いる表示用フィルム
(51)【国際特許分類】
G09F 13/12 20060101AFI20211111BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20211111BHJP
G09F 19/16 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
G09F13/12
G09F13/04 J
G09F19/16
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-94268(P2019-94268)
(22)【出願日】2019年5月20日
(65)【公開番号】特開2020-190586(P2020-190586A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2021年4月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月31日に2018年度東京ビジネスデザインアワードにて公益財団法人日本デザイン振興会により公開された。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514003315
【氏名又は名称】株式会社技光堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179534
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 かおる
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雅一
【審査官】
中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−091781(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3211875(JP,U)
【文献】
特開2008−070697(JP,A)
【文献】
特開2010−064356(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3085780(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0124445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/12
G09F 13/04
G09F 19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字等の所望の形状を発光表示する表示装置であって、凹凸模様の表面加工処理が施された金属表面を転写して形成された転写面を表面と裏面のいずれかに有する透明層と、前記透明層の裏面側に前記転写面に沿って形成されたハーフミラー層と、前記ハーフミラー層の裏面側に設けられ、前記文字等の所望の形状を表現可能な表示層と、前記表示層の裏面側に設けられ、前記所望の形状を発光させる発光手段と、を備え、
前記ハーフミラー層と前記発光手段との間にスモーク層が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ハーフミラー層は高輝度アルミ顔料を含む金属色インキの塗膜により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光手段は、光源と該光源の光を導入して面発光する導光部材とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光源はLEDランプであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
文字等の所望の形状を発光表示する表示装置に用いる表示用フィルムであって、
透明な紫外線硬化インキを硬化させて形成されるとともに、凹凸模様の表面加工処理が施された金属表面を転写して形成された転写面を裏面に有する透明層と、前記転写面に形成された金属色インキよりなるハーフミラー層と、を備え、
前記ハーフミラー層の裏面に、文字等の所望の形状が形成された表示層が形成されており、
前記表示層の裏側にスモーク層が設けられていることを特徴とする表示用フィルム。
【請求項6】
前記金属色インキは高輝度アルミ顔料を含むことを特徴とする請求項5に記載の表示用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、数字、図形等の所望の形状を発光表示する表示装置及びそれに用いる表示用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、文字等の形状を発光表示することによって装飾効果が得られるようにした表示装置が記載されている。この表示装置は、鏡面と、透光性層を介して鏡面の上方に形成されたハーフミラー層と、鏡面とハーフミラー層との間で、かつ鏡面及びハーフミラー層から離間した位置において所望の形状を発光させる発光手段とを備え、発光手段によって発光された文字等を鏡面に映し込み、映し込まれた鏡像をハーフミラー層によって反射させることにより、文字等がハーフミラー層を介して立体的に観察されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−70697号公報(段落0005,0006、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている表示装置にあっては、昼間等、発光手段を消灯させているときには、ハーフミラー層の材質を反映した単調な金属色が外部から視認されるのみであり、また発光手段を点灯させた場合でも、単調な金属色の中に文字等が発光表示されるのみであるため、表示装置の高級感や質感及び装飾効果が小さいという問題がある。
【0005】
ところで、金属の表面を研磨加工して、ヘアライン、スピン模様等の微細な凹凸模様が施されることがある。このような凹凸模様が施された金属表面は、光の方向により見え方が変化し、輝きが増すので、装飾効果やデザイン性に優れ、様々な部材に採用されている。従って、このような微細な凹凸模様を有する金属表面を再現したフィルムを製作し、上記のようなハーフミラー層によって凹凸模様を表面に反射させることができれば、発光手段の消灯時、点灯時のいずれにおいても表示装置の高級感や質感及び装飾効果を高めることができる。しかしながら、金属表面の微細な凹凸模様を再現したフィルムは容易に製作することができないため、上記のような表示装置に適用することは困難である。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、金属表面の凹凸模様を再現して表面から視認可能とすることにより、発光手段の消灯時、点灯時のいずれにおいても高級感や質感及び装飾効果を高めうるようにした表示装置及びそれに用いる表示用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の表示装置は、
文字等の所望の形状を発光表示する表示装置であって、凹凸模様の表面加工処理が施された金属表面を転写して形成された転写面を表面と裏面のいずれかに有する透明層と、前記透明層の裏面側に前記転写面に沿って形成されたハーフミラー層と、前記ハーフミラー層の裏面側に設けられ、前記文字等の所望の形状を表現可能な表示層と、前記表示層の裏面側に設けられ、前記所望の形状を発光させる発光手段と、を備え
、
前記ハーフミラー層と前記発光手段との間にスモーク層が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、発光手段が消灯され、外部が明るいときには、透明層に形成された転写面の凹凸模様がハーフミラー層により反射されて表面に現われ、あたかも金属の表面に表面加工処理が施されたかのような金属調の凹凸模様が表示装置の表面から視認される。また、発光手段を点灯させると、表示層に表現された文字等の所望の形状がハーフミラー層を透過して透明層の表面に発光表示され、金属調の凹凸模様の表面に文字等が表示されたかのように視認される。従って、発光手段の消灯時、点灯時のいずれにおいても金属調の凹凸模様が表面から視認されるので、表示装置の高級感や質感及び装飾効果を高めることができる。
【0008】
前記ハーフミラー層は高輝度アルミ顔料を含む金属色インキの塗膜により形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、鏡に近いメタリック調のハーフミラー層を印刷工程により形成することができるとともに、凹凸模様がメタリック調のハーフミラー層により高輝度で反射される。また、メタリック調のハーフミラー層は透過性を有するので、発光手段により表示層の文字等を明瞭に発光表示させることができる。
【0010】
前記発光手段は、光源と該光源の光を導入して面発光する導光部材とからなることを特徴としている。
この特徴によれば、表示面積が広い表示装置であっても、面発光する導光部材により表示層の文字等をむらなく均一に発光表示させることができるので、視認性が向上する。
【0011】
前記光源はLEDランプであることを特徴としている。
この特徴によれば、LEDランプは指向性を有するので、導光部材全体を明るく面発光させることができる。また、光源の発熱量が小さいので、周囲の部材に熱的影響を与えるおそれがなく、かつ光源が長寿命で消費電力も少なくすることができる。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の表示用フィルムは、
文字等の所望の形状を発光表示する表示装置に用いる表示用フィルムであって、
透明な紫外線硬化インキを硬化させて形成されるとともに、凹凸模様の表面加工処理が施された金属表面を転写して形成された転写面を裏面に有する透明層と、前記転写面に形成された金属色インキよりなるハーフミラー層と、を備え
、
前記ハーフミラー層の裏面に、文字等の所望の形状が形成された表示層が形成されており、
前記表示層の裏側にスモーク層が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹凸模様の表面加工処理が施された金属表面に透明な紫外線硬化インキを塗布し、紫外線を照射して硬化させると、裏面に凹凸模様の転写面が形成された透明層が形成され、透明層の転写面に金属色インキを塗布して硬化させれば、透明層の裏面の転写面にハーフミラー層が形成された表示用フィルムを容易に製作することができる。表示用フィルムの表面には、転写面の凹凸模様が金属色のハーフミラー層により反射されて再現され、あたかも金属の表面に表面加工処理が施されたかのような金属調の外観が得られる。
【0013】
前記金属色インキは高輝度アルミ顔料を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、鏡に近いメタリック調のハーフミラー層が形成されるとともに、凹凸模様がメタリック調のハーフミラー層により高輝度で反射される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1に係る表示装置の発光手段点灯時の正面図である。
【
図4】本発明の表示用フィルムの拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る表示装置の拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る表示装置の拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施例4に係る表示装置の正面図である。
【
図8】本発明の表示用フィルムの製作工程を示すもので、(a)は、表面加工処理が施された金属の表面を紫外線硬化インキの裏面に転写する工程の断面図、(b)は、紫外線光源により紫外線硬化インキを硬化させる工程の断面図、(c)は、紫外線硬化インキを硬化させて形成された透明層より金属を剥離させた工程の断面図、(d)は、透明層の裏面の転写面にハーフミラー層を形成する工程の断面図、(e)は、ハーフミラー層の裏面に表示層を形成する工程の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る表示装置及びそれに用いる表示用フィルムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、実施例1に係る表示装置につき、
図1から
図3を参照して説明する。なお、以下においては、文字等を視認する側(
図3の上方)を表面、その反対側を裏面として説明する。表示装置1は、文字等の所望の形状を発光表示する様々なディスプレイ(モニター)に使用されるものであって、
図1は、後述する発光手段4(
図3参照)が点灯しているときの表示装置1の正面図、
図2は、同じく発光手段4が消灯しているときの表示装置1の正面図である。
【0018】
図3の拡大断面図に示すように、表示装置1は、表面側が開口された横長長方形のケース2内に収容された表示用フィルム3と、この表示用フィルム3の裏面側に設けられた発光手段4とを備えている。なお、表示用フィルム3は、理解を容易とするために厚さを誇張して図示してある。
【0019】
図4の拡大図に示すように、本発明の表示用フィルム3は、表面側から順に、保護層5、透明層6、ハーフミラー層7及び表示層8を備え、それらを積層させて形成されている。保護層5は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂やポリカーボネート等よりなる透明フィルムであり、可撓性を有している。なお、保護層5は、透明層6の形成時に基材として用いられる他、透明層6の表面を保護するためのものであるが、表示用フィルムの納入時には除去される場合もあり、本発明の表示用フィルムでは省略されて実施するものも含む。
【0020】
透明層6は、保護層5の裏面に透明な紫外線硬化インキを塗布し、これを硬化させて形成され、その裏面には、研磨等により微細な凹凸模様の表面加工処理が施されたステンレス等の金属表面を転写して形成された転写面9が形成されている。この実施例の凹凸模様はヘアライン模様としてある。
【0021】
ハーフミラー層7は、透明層6の裏面の転写面9に金属色インキを印刷工程等により塗布し、これを硬化させて形成されている。金属色インキとしては、例えば高輝度アルミ顔料を含むものを使用するのが好ましい。このような金属色インキを使用すると、鏡に近いメタリック調のハーフミラー層7を形成することができるとともに、凹凸模様がメタリック調のハーフミラー層7により高輝度で反射される。なお、ハーフミラー層7は、ハーフミラー効果が得られる厚さ(光の透過率が約18%)となるように転写面9の凹凸形状に沿って形成されている。
【0022】
表示層8は、発光手段4からの照射光を受けて、文字、数字、記号、図形またはこれらの組み合わせからなる所望の形状を透明層6の表面に発光表示させるもので、本実施例では、例えばアルファベット文字10が発光表示されるように、アルファベット文字10の形成領域を残して不透光性インキをハーフミラー層7の裏面に印刷し、アルファベット文字10を形成する部分を透光部8aとし、他の部分は不透光部としてある。
【0023】
発光手段4は、左右の1個または複数の光源11、11と、光源11、11の光を左右の端面から導入して面発光する導光部材12とからなっている。光源11としては、発熱量が小さく、かつ長寿命で消費電力も少ないことから、LEDランプを用いるのが好ましく、その発光色は、白、赤、緑、青のいずれのLEDランプであってもよい。特に、光の3原色である赤、緑、青のLEDランプを組み合わせ、それらの発光状態を制御すれば、アルファベット文字10を種々の色調で発光表示させることができる。導光部材12は、透明なアクリル、ポリカーボネート、ガラス等からなり、光源11、11の光を導入して均一に面発光することができる。
【0024】
実施例1に係る表示装置1において、発光手段4の光源11が消灯し、昼間など外部が明るいときには、
図2に示すように、透明層6の裏面に形成された転写面9の凹凸模様、すなわちヘアライン模様13のみ(アルファベット文字10は見えない)がメタリック調のハーフミラー層7により反射されて表面に現れ、保護層5及び透明層6を介して視認される。
図4の矢印で示すように、凹凸状の転写面9に入射した光がハーフミラー層7により乱反射されるので、立体感のあるヘアライン模様13となり、あたかも金属の表面に表面加工処理が施されたかのような金属調の凹凸模様が視認される。
【0025】
一方、発光手段4の光源11を点灯して導光部材12を面発光させると、照射光が表示層8の透光部8a及びハーフミラー層7を透過して表面側に放射されることにより、透明層6の表面にアルファベット文字10が発光表示される。このアルファベット文字10は、あたかも金属の表面に表面加工処理が施されたかのような金属調のヘアライン模様13の表面に現れる。このように、実施例1に係る表示装置1においては、発光手段4の消灯時、点灯時のいずれにおいても金属調のヘアライン模様13が表面から視認されるので、高級感や質感及び装飾効果を高めることができる。
【0026】
なお、表示層8は、入力信号によってアルファベット文字10または他の任意の形状を表現できる、いわゆる液晶シャッターであってもよい。
【実施例2】
【0027】
実施例2に係る表示装置につき、
図5を参照して説明する。なお、前記実施例1と同じ構成部材については同一符号を付して重複する説明を省略する。この実施例の表示装置1は、発光手段に、面発光する有機EL素子14を用いたものである。実施例2の表示装置においても、実施例1の表示装置1と同様の作用効果を奏することができる。また、このような有機EL素子14を用いると、発光手段が薄型化及び軽量化するので、表示装置1の小型化と軽量化が図れる。
【0028】
なお、有機EL素子14は発光色を制御することにより、アルファベット文字10または他の任意の形状を種々の色調で発光表示することができるため、有機EL素子14は発光手段とともに表示層としての機能も兼ね備えている。有機EL素子14を用いた表示装置は、パソコンやタブレット、携帯電話等のディスプレイに使用することができる。
【実施例3】
【0029】
実施例3に係る表示装置につき、
図6を参照して説明する。なお、前記実施例1と同じ構成部材については同一符号を付して重複する説明を省略する。この実施例3の表示装置1は、導光部材12を省略し、表示層8の裏面側に設けた複数のLEDランプの光源11により表示層8を直接照明するようにしたものである。光源11により表示層8を直接照明すると、点灯した光源11や内部の部材が表面から透けて見えることがあるので、これを防止するために、表示層8の裏面にスモーク層15を設けてある。スモーク層15は、例えば透明なインキに黒や茶系のインキを混ぜた透明有色インキを、表示層8の裏面に印刷して形成することができる。なお、スモーク層15に代えて、光源11の光を拡散させる拡散フィルムを用いてもよいし、これらを併用してもよく、光源の出力によっては、スモーク層や拡散フィルムを省略してもよい。実施例3に係る表示装置1においても実施例1の表示装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例4】
【0030】
実施例4に係る表示装置につき、
図7を参照して説明する。この実施例の表示装置は、時計の円形の文字盤16に適用したもので、円形に形成された前記実施例と同様の透明層6(本実施例では図示略)の裏面に、スピン模様の表面加工処理が施された金属表面を転写して形成された転写面9(本実施例では図示略)を形成し、文字盤16の表面に金属調のスピン模様17が現れるようにしてある。また、発光手段の点灯時には、表示層8(本実施例では図示略)に形成された数字18や点19が金属調のスピン模様17の表面に発光表示されるので、高級感や質感及び装飾効果の高い文字盤16とすることができる。
【0031】
次に、
図8を参照して、本発明に係る表示用フィルム3を製作する工程について説明する。まず、
図8(a)に示すように、保護層である透明フィルム20の裏面に透明な紫外線硬化インキ21を塗布した後、この紫外線硬化インキ21の裏面に、ヘアライン等の凹凸模様22の表面加工処理が施された金属23の表面を押し付ける。なお、紫外線硬化インキ21は、印刷工程(例えばスクリーン印刷)により塗布することができる。
【0032】
次いで、
図8(b)に示すように、紫外線光源24が発する紫外線を透明フィルム20の表面側から照射し、紫外線硬化インキ21を硬化させると共に透明フィルム20と一体化する。硬化後の紫外線硬化インキ21は透明層25となる。
【0033】
次いで、
図8(c)に示すように、硬化した透明層25の裏面から金属23を剥離する。この際、紫外線硬化インキ21は金属への接着性が乏しいため、硬化した透明層25から金属23を容易に剥離することができる。金属23を剥離すると、透明層25の裏面に凹凸模様22の表面加工処理が施された金属23の転写面26が形成される。
【0034】
次いで、
図8(d)に示すように、透明層25の裏面の転写面26に高輝度アルミ顔料を含む金属色インキ27を塗布し、これを硬化させてハーフミラー層28を形成する。なお、金属色インキ27は、印刷工程(例えばスクリーン印刷)により塗布することができる。
【0035】
次いで、
図8(e)に示すように、ハーフミラー層28の裏面に表示層29を形成する。表示層29は、文字等の形成領域が透光部29aとして残るように、不透光性インキをハーフミラー層28の裏面に印刷(例えばスクリーン印刷)して形成することができる。以上の工程により、本発明に係る表示用フィルム3を容易に製作することができ、表示用フィルム3の表面には、転写面26の凹凸模様が金属色のハーフミラー層28により反射されて再現される。この凹凸模様は、あたかも金属の表面に表面加工処理が施されたかのような金属調の外観となる。
【0036】
なお、前述した実施例3(
図6)の表示装置に用いられる、スモーク層15を有する表示用フィルム3を製作する場合には、表示層29の裏面にさらに有色透明インキを印刷してスモーク層15を形成すればよい。また、保護層である透明フィルム20を省略した表示用フィルム3を製作する場合には、紫外線硬化インキ21を金属23の表面に塗布して硬化させればよい。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0038】
例えば、前記実施例では、ヘアラインやスピン模様の表面加工処理が施された金属表面を転写した転写面9、26としているが、旭光模様、梨地模様、バイブレーション模様等の表面加工処理が施された金属表面を転写した転写面としてもよい。
【0039】
また、前記実施例の表示用フィルム3では、ハーフミラー層7、28を、高輝度アルミ顔料を含む金属色インキにより形成しているが、銀、金、銅その他の鉄系顔料を含む金属色インキを使用してもよい。
【0040】
さらに、前記実施例の表示装置1では、表示層8をハーフミラー層7の裏面に接触させて形成しているが、表示層8を所定厚さのシート状として、これをハーフミラー層7の裏面と離間させて設けてもよい。
【0041】
さらに、前記実施例の表示装置1では、発光手段の光源11にLEDランプを使用しているが、レーザー光源を用いることもある。
【符号の説明】
【0042】
1 表示装置
2 ケース
3 表示用フィルム
4 発光手段
5 保護層
6 透明層
7 ハーフミラー層
8 表示層
8a 透光部
9 転写面
10 アルファベット文字
11 光源(LEDランプ)
12 導光部材
13 ヘアライン模様(凹凸模様)
14 有機EL素子(発光手段、表示層)
15 スモーク層
16 文字盤
17 スピン模様(凹凸模様)
18 数字
19 点
20 透明フィルム(保護層)
21 紫外線硬化インキ(透明層)
22 凹凸模様
23 金属
24 紫外線光源
25 透明層
26 転写面
27 金属色インキ
28 ハーフミラー層
29 表示層
29a 透光部