特許第6971489号(P6971489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971489
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】携帯型杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/06 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   E02D7/06
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-214848(P2019-214848)
(22)【出願日】2019年11月28日
(65)【公開番号】特開2021-85225(P2021-85225A)
(43)【公開日】2021年6月3日
【審査請求日】2020年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503076641
【氏名又は名称】株式会社ナカトミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 哲
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−221481(JP,A)
【文献】 特開2007−203388(JP,A)
【文献】 特開平01−087165(JP,A)
【文献】 実公平07−031973(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2009/031412(WO,A1)
【文献】 特開2015−042386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/06
B25D 15/02
B25D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、
前記動力源が基端側に連結されていると共に前記動力源の出力軸に第1端部が連結された駆動シャフトが内部に挿通された筒状体と、
前記筒状体の先端側に設けられていると共に前記駆動シャフトの第2端部が連結され、対象物を打撃する打撃機構と、を備え、
前記打撃機構は、ハウジングと、前記動力源からの回転出力によって前記ハウジングの内部で回転駆動される回転体と、前記回転体の回転軸から偏心した位置で固定保持された複数の打撃体と、前記ハウジングの内部と外部との間で往復可能に保持されていると共に、前記打撃体側に開口する有底筒状部が形成され、前記有底筒状部にグリスが充填された打撃移動体と、を有し、前記回転体が回転駆動された際に、前記複数の打撃体が前記打撃移動体に打撃力を付与することを特徴とする携帯型杭打機。
【請求項2】
前記複数の打撃体は、前記回転体の回転方向において均等間隔に配設されていることを特徴とする請求項1記載の携帯型杭打機。
【請求項3】
前記筒状体には、前記筒状体を前記対象物に平行な状態で保持するガイド用保持体が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯型杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
防風ネットや獣害防止用ネットおよび電気柵を設置する際においては、ネットや電線を支えるための支柱として、地面に杭を打ち込む作業が必要である。このような杭打ち作業においては、いわゆる携帯型の杭打機が用いられることが多い。このような携帯型杭打機としては例えば特許文献1(特開2015−221481号公報)に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−221481号公報(明細書段落0041−0043、第1図〜第3図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている杭打機200の構成は、図8に示すように、ハウジング210内で回転体220が図示しない回転軸周りに1回転すると、回転体220の一方の端部に設けられた打撃体230が打撃作業体240に対して1回の打撃を付与するものである。したがって短時間で対象物である杭Kを地面に打ち込むためには図示しないエンジンの回転数を高める必要があるが、エンジンの回転数の高速化には限界があり、杭打ち作業時間の短縮に制約を生じているといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、従来技術と同じエンジン回転数であっても打撃作業体に付与する打撃数を2倍にすることにより、杭打ち作業時間を半減させることを可能にした携帯型杭打機の提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、動力源と、前記動力源が基端側に連結されていると共に前記動力源の出力軸に第1端部が連結された駆動シャフトが内部に挿通された筒状体と、前記筒状体の先端側に設けられていると共に前記駆動シャフトの第2端部が連結され、対象物を打撃する打撃機構と、を備え、前記打撃機構は、ハウジングと、前記動力源からの回転出力によって前記ハウジングの内部で回転駆動される回転体と、前記回転体の回転軸から偏心した位置で固定保持された複数の打撃体と、前記ハウジングの内部と外部との間で往復可能に保持されていると共に、前記打撃体側に開口する有底筒状部が形成され、前記有底筒状部にグリスが充填された打撃移動体と、を有し、前記回転体が回転駆動された際に、前記複数の打撃体が前記打撃移動体に打撃力を付与することを特徴とする携帯型杭打機である。
【0007】
これにより、動力源であるエンジンが1回転する際に杭に打撃を与える回数を複数回にすることができ、杭打ち作業に要する時間を大幅に短縮させることができる。また、回転部および衝突部の冷却効果および潤滑効果を長期にわたって維持することができると共に、消音効果を期待することができる。
【0008】
また、前記打撃体は、前記回転体の回転方向において均等間隔に配設されていることが好ましい。
【0009】
これにより、ハウジング内における回転体の回転バランスをとることで、回転体を高速回転させた際における携帯型杭打機の安定的な保持が可能になる。
【0010】
また、前記筒状体には、前記筒状体を前記対象物に平行な状態で保持するガイド用保持体が設けられていることが好ましい。
【0011】
これにより、対象物の長手方向の中心軸線上に沿って打撃力を付与することができ、対象物を地表面に対して垂直に打設する等、対象物を適切な状態で打設することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明における携帯型杭打機の構成によれば、駆動源の回転数が同一であれば、杭へ付与する打撃力を同一にしながらも打撃回数を従来技術に対して複数倍にすることができ、杭打ち作業時間を大幅に短縮することが可能になる。また、回転部および衝突部の冷却効果および潤滑効果を長期にわたって維持することができると共に、消音効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における携帯型杭打機の正面図である。
図2】ガイド用保持体の当接部を示す平面図および斜視図である。
図3図1中のIII−III線における概略断面図である。
図4図1中のIV−IV線における概略断面図である。
図5図1に示す携帯型杭打機の使用状態を示す説明図である。
図6】携帯型杭打機の変形例を示す正面図である。
図7図6に示す携帯型杭打機の使用状態を示す説明図である。
図8】従来技術における携帯型杭打機のハウジング部分概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本実施形態における携帯型杭打機100は、動力源としてのエンジン10と、エンジン10が基端側21に連結されている筒状体20と、筒状体20の先端側22に設けられた打撃機構30とを備えている。筒状体20の内部には第1端部である基端部(図示せず)がエンジン10の出力軸に連結されていると共に第2端部である先端部41が打撃機構30に連結された駆動シャフト40が挿通されていて、エンジン10から出力された回転駆動力により打撃機構30が作動するように構成されている。
【0015】
本実施形態におけるエンジン10はいわゆる携帯型のエンジン10であり、背負用フレーム50に着脱可能に取り付けられている。このような背負用フレーム50は公知の構成を採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0016】
筒状体20は、一方の端部にエンジン10が連結され、他方の端部に操作用保持部23が連結された略L字状に湾曲された湾曲筒状体に形成された基端側21と、操作用保持部23に連結された直線筒状体に形成された先端側22を備えている。操作用保持部23にはエンジン10の回転数を制御するスロットル23Aが設けられている。また、先端側22の中途部分には対象物である杭Kの中心軸に平行な状態で筒状体20の先端側22を保持するためのガイド用保持体24が設けられている。ガイド用保持体24は図1に示すように、先端側22の軸線と直交方向に延設され、筒状体20の側の所要長さ範囲は把持部24Aに形成されていて、ガイド用保持体24の先端部分は杭Kの外周面に当接する当接部24Bに形成されている。
【0017】
当接部24Bは、図2に詳細に示されているように、平板により形成された本体部24Baが平面視略Y字形状に形成されている。本体部24Baには筒状体20と当接する第1当接部24Bbと杭Kと当接する第2当接部24Bcがそれぞれ円弧状にくぼんだ形状に形成されている。第2当接部24Bcにおける外周縁の一部を折り曲げた板金加工部分24Bdに衝撃吸収部材を取り付けてもよい。これにより杭打ち作業中において杭Kからガイド用保持体24に伝わる振動を軽減させることができる点において好都合である。本実施形態における本体部24Baの外周縁は、強度向上および変形防止のために一部を折り曲げた板金加工部分24Beに形成されている。また、板金加工部分24Beには怪我防止用の保護部材を装着してもよい。このような当接部24Bは第1当接部24Bbを筒状体20に当接させた状態で図示しないブラケットを用いてねじ孔24Bfの位置でねじ止めにより固定することができる。すなわち、当接部24Bは把持部24Aがない状態であっても筒状体20に装着することができる。
【0018】
図3および図4に示すように本実施形態における打撃機構30は、ハウジング31、ハウジング31の内部で回転する回転体32、回転体32に固定保持された複数の打撃体33およびハウジング31の内部外部との間で往復可能に保持された打撃移動体34を有する。このような打撃機構30によりエンジン10の回転出力が杭Kに付与される打撃力に変換されるのである。
【0019】
ハウジング31は筒状体20の先端側22の延長方向の中心軸線AXに対して水平方向に直交する第1軸線AX1の方向に延びる回転軸収容部31Aと第1回転軸35の先端側に連結された回転体32を回転可能に収容する回転体収容部31Bとを有している。ハウジング31の内部には回転部材や衝突部材の潤滑および冷却を行うためのグリスが充填されている。回転軸収容部31Aには駆動シャフト40の先端部41と2つの傘型歯車60を介して連結された第1回転軸35が収容されている。このようにして湾曲筒状体に形成された部分を有する筒状体20の内部空間に挿通され、エンジン10の回転出力で回転体32を回転運動させるための駆動シャフト40としては、フレキシブルシャフトを好適に用いることができる。第1回転軸35には回転体32の回転軸をなす第2回転軸32Aが同一軸線上に連結されている。回転体32は第2回転軸32Aと一体に形成された打撃体保持部32Bと第2回転軸32Aから偏心した位置で打撃体保持部32Bに固定保持された複数の打撃体33を有している。
【0020】
図3からも明らかなように、打撃体保持部32Bは回転体収容部31Bの内部空間の直径寸法よりもわずかに短く形成されていると共に、両端部が回転体収容部31Bの内周壁の曲率半径に合わせたアール状部32Cに形成されている。打撃体33はアール状部32Cの内側位置で打撃体保持部32Bに固定保持されている。本実施形態においては太鼓状に形成された打撃体保持部32Bの長さ方向の両端部のそれぞれに打撃体33が固定保持されているが、打撃体33の配設数は2つに限定されるものではなく3つ以上配設することもできる。なお、打撃体33は回転体32(打撃体保持部32B)の回転方向において均等間隔で配設しておけば、杭打ち作業中における打撃体33の回転により生じるモーメントを互いに打ち消すことができる点において好都合である。
【0021】
また、図3および図4に示すように回転体収容部31Bの下側には突設部31Cが形成されており、この突設部31Cには回転体収容部31B(ハウジング31)の内部と外部とを連通する連通孔31Dが形成されていて、この連通孔31Dには回転体収容部31Bの内部と外部との間で往復可能な状態で打撃移動体34が収容されている。打撃移動体34は、回転体収容部31Bの側が筒状部34Aに形成されていて、回転体収容部31Bの外方側が柱状部34Bに形成されている。筒状部34Aの内径寸法は打撃体33の外形寸法よりも十分小さく形成されているので、打撃体33が筒状部34Aに嵌ってしまうことはない。柱状部34Bには高さ方向の中途位置に径外側に突出し、後述する対象物挿入部36の内周面に当接する拡径部34Cが形成されている。拡径部34Cの上にはオイルシール34Dが取り付けられている。
【0022】
また、本実施形態で採用した打撃移動体34はグリスが充填されているハウジング31の内部空間と連通する筒状部34Aを有しており、筒状部34Aの内部空間をグリスの充填空間として利用することができる。これによりハウジング31の内部空間に充填されるグリスの量を増加させることができ、回転部や衝突部等の冷却効果や潤滑効果を長期にわたって維持することができる点や、消音効果を期待することができる点において好都合である。
【0023】
また、回転体収容部31Bには、突設部31Cを囲むようにして対象物挿入部36が取り付けられている。突設部31Cの外周面には図示しないネジ山が刻設されていて、対象物挿入部36の内周面の上側所要範囲には突設部31Cと螺合する図示しないネジ山が刻設されており、突設部31Cに対象物挿入部36が螺着により取り付けられている。対象物挿入部36は、杭Kに被せる側の部分である下側部分がベルマウス状に形成された筒状体に形成されていると共に、高さ方向の中途位置における内周面には打撃移動体34の拡径部34Cを保持する突出部36Aが配設されている。本実施形態においては突出部36AとしてCリングを用いている。突出部36Aは打撃移動体34の回転体収容部31Bからの移動量を規制するためのストッパとしても機能する。
【0024】
以上の実施形態で説明したように、回転体32に複数の打撃体33を取り付けることにより、同じエンジン10の回転数であれば、従来技術に比較して複数倍回の打撃を杭Kに与えることがでる。これにより杭Kの打設作業に要する時間を大幅に短縮させることが可能になる点で非常に好適である。
【0025】
次に、本実施形態における携帯型杭打機100の使用方法について図5を参照しながら説明する。使用者USRは背負用フレーム50を背負うことにより両手が自由になる。使用者USRは筒状体20に設けられた操作用保持部23とガイド用保持体24とで携帯型杭打機100を保持し、対象物挿入部36に杭Kの上端を差し込んだ状態にして杭Kの下端を打設位置Pに位置合わせした状態で立設する。使用者USRは、ガイド用保持体24の当接部24Bを杭Kの外周面に当接させることにより、筒状体20と杭Kとを平行な状態で保持することができる。これにより、打設位置Pに対して適切な状態で杭Kを打設することが可能になる。
【0026】
続いて使用者USRは、操作用保持部23の図示しない始動スイッチを押下してエンジン10を起動させる。続けて使用者USRはスロットル23Aを操作し、エンジン10の回転数を調整しながら杭Kに打撃を加え、打設位置Pに杭Kの打設を行う。杭Kを所定深さにまで打設した後、使用者USRはスロットル23Aを戻し、エンジン10の回転数をアイドリングまで低下させ、図示しない停止スイッチを押下して、杭Kから携帯型杭打機100を取り外しする。使用者USRは打設すべき杭Kをすべて打設するまで以上の操作を繰り返し行えばよい。
【0027】
以上に本実施形態における携帯型杭打機100について説明したが、本発明における携帯型杭打機100は本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、エンジン10が背負用フレーム50に取り付けられ、湾曲部を有する筒状体20形態について説明しているが、このような形態に限定されるものではない。
【0028】
例えば、図6および図7に示すように、エンジン10を背負用フレーム50に取り付けず、かつ、直線状の筒状体20を採用することもできる。この場合、図6および図7に示すようにガイド用保持体24は筒状体20のエンジン10の側の端部付近に設けることにより、使用者USRが筒状体20を保持する部分の自由度を向上させることができる。また、筒状体20が直線状であるため駆動シャフト40を通常のシャフトにすることができる。このように携帯型杭打機100の構成を簡素化させることで製造コストを低減させることも可能になる。また、杭Kの打設方向にエンジン10の重量を付与することができるため、固い地盤に杭Kを打設する際においても好都合である。
【0029】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 エンジン,
20 筒状体,
21 基端側,22 先端側,
23 操作用保持部,23A スロットル,
24 ガイド用保持体,24A 把持部,24B 当接部,
24Ba 本体部,24Bb 第1当接部,24Bc 第2当接部,
24Bd,24Be 板金加工部分,24Bf ねじ孔,
30 打撃機構,
31 ハウジング,31A 回転軸収容部,31B 回転体収容部,31C 突設部,
31D 連通孔,
32 回転体,32A 第2回転軸,32B 打撃体保持部,32C アール状部,
33 打撃体,
34 打撃移動体,34A 筒状部,34B 柱状部,34C 拡径部,
34D オイルシール,
35 第1回転軸,
36 対象物挿入部,36A 突出部,
40 駆動シャフト,41 先端部,
50 背負用フレーム,60 傘型歯車,
100 携帯型杭打機,
AX 中心軸線,AX1 第1軸線,K 杭,P 打設位置,USR 使用者,
200 杭打機,210 ハウジング,220 回転体,230 打撃体,
240 打撃作業体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8