特許第6971494号(P6971494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971494
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ねじ転造アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B21H 3/06 20060101AFI20211111BHJP
   B21H 1/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B21H3/06 C
   B21H1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-531556(P2019-531556)
(86)(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公表番号】特表2019-524455(P2019-524455A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】US2017048717
(87)【国際公開番号】WO2018039622
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2020年7月8日
(31)【優先権主張番号】62/379,818
(32)【優先日】2016年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/685,845
(32)【優先日】2017年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519064469
【氏名又は名称】レヴィ、ケネス ロジャー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ、ケネス ロジャー
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−045242(JP,A)
【文献】 特開2012−240088(JP,A)
【文献】 特開昭63−235036(JP,A)
【文献】 特開2003−033842(JP,A)
【文献】 実開昭50−099242(JP,U)
【文献】 特開平11−285765(JP,A)
【文献】 特開昭59−110444(JP,A)
【文献】 特開昭55−126336(JP,A)
【文献】 特開昭53−019168(JP,A)
【文献】 特開2001−353547(JP,A)
【文献】 特開平11−285760(JP,A)
【文献】 特開2016−147285(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0333766(US,A1)
【文献】 独国特許発明第102017113382(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 3/06
B21H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付けフランジが作業台に固定された、高精度ねじ転造アセンブリであって、前記アセンブリは、
それぞれが前記取付けフランジに固定される、第1ラックおよび第1ガイドレールと、
第2ラックおよび第2ガイドレールを含み、前記第2ラックおよび前記第2ガイドレールが接続される移動ダイブロックと、
ベアリングアセンブリと、を備え、
前記第1ラックおよび前記第2ラックはそれぞれ一連のラック歯を含み、
前記ベアリングアセンブリは、
前記第1ガイドレールに、移動可能に連結される第1直動ベアリングと、
前記第2ガイドレールに、移動可能に連結される第2直動ベアリングと、
歯車減速アセンブリと、
を備え、前記歯車減速アセンブリは、
前記第1ベアリングおよび第2ベアリングのそれぞれに接続されるプレートと、
複数のギヤ歯を含むピニオンギヤと、
を備え、前記ピニオンギヤは、前記ギヤ歯が、前記第1ラックのラック歯および第2ラックのラック歯と噛み合い係合で配置されるように、前記プレートに回転可能に接続される、
アセンブリ。
【請求項2】
前記ラック歯が、第1ピッチを有して形成され、前記ギヤ歯が、第2ピッチを有して形成され、前記移動ダイブロックが、その長手方向軸に沿って所定範囲移動するときに、前記第1ベアリングおよび第2ベアリングが、前記第1ピッチの前記第2ピッチに対する比率によって決定される、前記所定範囲の一部を移動する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記移動ダイブロックは、移動ダイポケット部内に配置される移動ダイ、および、前記移動ダイと前記移動ダイポケット部との間に配置される一対のボタンホルダを含み、前記ボタンホルダのそれぞれは、その内部に画定される一対の開口部を有し、各孔はその内部に配置されるダイボタンを有する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項4】
各ボタンホルダは、連携して、前記移動ダイがテーパおよび傾斜に関して調節可能であるように、上部開口部および下部開口部を有する、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記移動ダイブロックから離間して前記作業台に接続される固定ダイブロックをさらに備え、固定ダイブロックは、固定ダイポケット部および固定ダイを含み、前記固定ダイと前記固定ダイポケット部との間に、第2の対のボタンホルダが配置され、前記第2ボタンホルダのそれぞれは、その内部に画定される一対の開口部を有し、各孔はその内部に配置されるダイボタンを有する、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項6】
各第2ボタンホルダは、連携して、前記移動ダイがテーパおよび傾斜に関して調節可能であるように、上部開口部および下部開口部を有する、請求項5記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年8月26日出願の米国仮特許出願第62/379,818号明細書の利益および優先権を主張する、米国通常特許出願第15/685,845号明細書の利益および優先権を主張する、2017年8月24日出願のPCT特許出願であって、その開示内容の全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、転造成形、パターン転造機械に関する。より具体的には、本開示は、1対のベアリングアセンブリの間に配置される歯車減速アセンブリを有する高精度ねじ転造機械アセンブリに関する。
【0003】
往復、対称性ダイを利用する、円筒状ブランクへのねじ、ギヤ歯または他のパターンの冷間成形は、既知の技術を表す。特許文献1、特許文献2および特許文献3にその例を見ることが出来る。そのような機械は、1800年代後半に始まった初期の設計から大きく変化していない。現在までに製造されたすべての機械は、形成されるべきブランク材、形成のために使用されるツーリング、ならびに従来の油膜通路における自然公差およびドリフトのすべてのばらつき、を補償するために、油膜通路、移動キャリアダイブロックおよび、ねじ付き調節部を使用する。CNC加工装置などの、現代のすべての高精度製造装置は、リニアベアリングを使用している。ねじ付きファスナおよび他の形状のためにリニアベアリングを転造成形において使用することは、要求される製造速度(およそ毎分300部品)が、どのような既知のリニアベアリングの製造業者の現在の能力も超えているため、対応していない。
【0004】
転造ねじ山を備える機械ねじが、産業上広く用いられている。それらは典型的に、長年存在する既知のフラットダイ技術を使用して形成される。一般的に使用されるフラット転造ダイは、固定盤上に固定(短尺)ダイを、および対向して配置される往復スライド上に往復(長尺)ダイを含む。
【0005】
当業者に知られるように、機械駆動装置は、ねじ形状を作製するために、移動往復ダイブロックまたは移動キャリアダイブロックを前進させる。確実ではあるが、これらの機械は、セットアップおよび運転に経験豊かなオペレータを必要とする。現在最も一般的に使用されるねじ転造機械は、昔に開発された、摩耗の影響を受け、高価な調整および修理が頻繁に必要になる重金属性の構成要素を備える技術に代表される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第387、184号明細書
【特許文献2】米国特許第3,793,866号明細書
【特許文献3】米国特許第4,712,410号明細書
【発明の概要】
【0007】
具体的には、すべての従来型のねじ転造機械は、一般に油膜通路と呼称される、一般に静水圧直動ベアリングと呼称される直動ガイドウェイを使用する。静圧軸受の油膜は、ねじ転造の、高圧振動の製造方法に耐えるが、そこに付着される移動キャリアダイブロックは、静圧軸受および摩耗による移動ばらつきの影響を受ける。
【0008】
過去に油膜通路が使用された、他のすべての高精度製造装置は、転動要素直動ベアリングに置き換えられており、転動要素直動ベアリングは、高精度の位置決め動作をもたらすために、相対的に移動する2つの物体の間に配置される転動要素(ボール、ローラなど)による、転がり接触を用いることによって摩擦を低下させる。
【0009】
しかし、転動要素直動ベアリングアセンブリを備える従来型のねじ転造機械に対する、油膜通路の単純かつ直接の置換は、実質的かつ重大な2つの障害に対処しない場合、失敗することになる。第1に、従来型のねじ転造機械の製造速度は、毎分約300ストローク必要とされ、この速度では、転動要素直動ベアリングは、安全にまたは効率的に動作することが出来ない。第2に、従来型のねじ転造機械の機械駆動装置は、回転運動を直線運動に変換するために、十分に理解されているスライダクランクの原則で動作する。機械駆動装置は、通常、往復移動ダイに接続される近位端部、およびフライホイールに接続される遠位端部を有するピットマンアームを含む。フライホイールの回転が、ピットマンアームの近位端部、およびそこに接続される往復移動ダイを、直線往復移動で移動させる。その結果、転造成形動作中に、望ましくないオフ角(off-angle)および反力が、往復移動ダイに作用する。不運にも、転動要素直動ベアリングは、回転または振動の力が、直接、ガイドレールに一直線に揃う場合に、その最も高い寿命性能で動作する。
【0010】
したがって、既に認識されており、先行技術の不利な点および実施に対する障害を克服する利点のために、転動要素直動ベアリングアセンブリを備える高精度ねじ転造機械に対する、当技術における長年解決されていなかった必要性が存在する。
【0011】
前述の技術背景、ならびに以下の、本開示の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれることでよりよく理解される。本開示を説明することを目的として、本開示の発明の例示的な構造を、図面に示す。しかし、本開示、および本明細書における本発明は、本明細書に開示する特定の方法および手段に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来型のねじ転造機械上に配置された本開示の高精度ねじ転造アセンブリの斜視図を例示的に図示する(安全ガードは示されていない)。
図2図1の高精度ねじ転造アセンブリの斜視図を、ベアリングアセンブリを除いて例示的に図示する。
図3図2の高精度ねじ転造アセンブリの斜視図を、ガイドレールおよび移動ダイを除いて例示的に図示する。
図4A図1の高精度ねじ転造アセンブリの分解図を例示的に図示する。
図4B図1の高精度ねじ転造アセンブリの歯車減速アセンブリの特定の構成要素の特定の構成要素の部分分離詳細図を例示的に図示する。
図5A】ねじ形成ストロークの開始時点の、図1の高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の上部分離詳細図を例示的に図示する。
図5B図5Aの高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の、ベアリングアセンブリおよび固定ダイを除いた上部分離詳細図を例示的に図示する。
図6】ねじ形成ストロークの中心における、図1の高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の上部分離詳細図を例示的に図示する。
図7A】ねじ形成ストロークの終了時点の図1の高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の上部分離詳細図を例示的に図示する。
図7B図7Aの高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の、ベアリングアセンブリおよび固定ダイを除いた上部分離詳細図を例示的に図示する。
図8】ダイ調節アセンブリの、図1の高精度ねじ転造アセンブリのある特定の構成要素の斜視部分分離詳細図を例示的に図示する。
図9図8のダイ調節アセンブリの部分分解図を例示的に図示する。
図10図8のダイ調節アセンブリの部分分解図を例示的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の開示は、全体として、添付される図面、図面の説明、要約、背景技術、開示の分野、および関連の表題と併せて読まれると、提供される詳細な説明を参照することにより最もよく理解され得る。同一の参照番号が異なる図面中にある場合は、同じ要素または機能的に類似の要素を特定している。要約中に挙げられる要素は参照されないが、詳細な説明および関連する開示の要素に関連して参照される。
【0014】
本開示は、再循環ベアリング上で動作する転動要素直動ベアリングの形態の軽量の線形ガイドウェイ、ならびにオフ角および反力を除去する歯車減速アセンブリなど、現在利用可能な技術の態様を活用する最新設計のねじ転造機械を対象とする冷間成形機器を対象とする。開示する機器の実施は、ねじ付きファスナ、および他の同様に製造された円筒形の、パターン付きの製品の冷間成形を一新する。
【0015】
高精度のベアリングアセンブリを備える従来型のねじ転造機械の移動ダイをガイドする既存の不正確な油膜通路を置き換えることは、回転部分の質および安定性を劇的に向上させ(すなわち、温度および油粘度の変化のために多数の調整を必要とする現行の機器よりも、初期セットアップは、1,000,000以上の部品を、調節なしで、一貫してばらつきなし、またはほぼなしで作製するはずである)、機械の全体的なセットアップの時間を減少させることを、当業者は理解する。
【0016】
一実施形態において、高精度ねじ転造アセンブリ100は、従来機器のアップグレードされた、追加導入の再構築キットとして構成されてもよく、ベース、部品供給レール、ピットマンアーム、および固定ダイブロックなどの既存の機器は変更されていない。
【0017】
高精度ねじ転造アセンブリ100は、直接の代替品として、既存のボルトパターンを使用して既存の機器に取り付けられ、(本明細書において開示する新しい調節アセンブリとは別に)現在行われているものと同じ方法でいくつかの点において調節されるという点で有利である。
【0018】
別の実施形態では、高精度ねじ転造アセンブリ100は、任意の適切な往復駆動アセンブリ、固定ダイおよび部品供給レールを備える、新しい、独立型のアセンブリとして構成され得る。
【0019】
高精度ねじ転造アセンブリ100のさらにもう一つの利点は、ツーリングのセットアップの工学的な解決策をさらに提供し、それによってセットアップごとの手動の調整が除去されることである。従来型のねじ転造機械では、ねじ転造工具が取り付けられるたびに、オペレータは、機械をセットアップするために専門的技術を使用し、判断することを要求される。すべてのセットアップは独特であり、ダイポケット部の既知の位置および油膜通路の自然的可変性なしに、動作中に絶えず調整が必要とされる。たとえば、スレッドロールダイが取り付けられるたびに、最小で2つの調節部が使用される。これらの調節部は、移動ダイおよび固定ダイの間に(圧力/距離)を加えるまたは差し引くねじ付きアジャスタで作製される。すべての機器は、物理的に油膜通路上を移動する。
【0020】
高精度ねじ転造アセンブリは、ダイポケット部の寸法は知られており、セットアップ調節方法が前もって作製され、非熟練労働者に活用されることが可能であるという点で有利である。たとえば、高精度ねじ転造アセンブリ100のセットアップの調節方法は、円筒状ブランクの直径の上部および底部を測定すること、およびダイフェイスの厚さを測定することを含む。転造工程の開始時点のダイフェイス間の距離は特定の値であり、転造工程の終了時点のダイフェイス間の距離は、ねじの谷径に等しい。なお、完成品の容積は、転造前の円筒状ブランクの直径に正確に等しい。しかし、場合によっては、既知の量の伸長が存在することがあり、および/または、既知の量の材料が挟持され、鋭い先端部を有するねじが作製されることもある。
【0021】
従来型のねじ転造機械のように、本開示の高精度ねじ転造アセンブリ100は、作業台24を有するベース22を含み、作業台24の上に、それに対して回転移動するために、フライホイール26が取り付けられる。ピットマンアーム12は、遠位端部28にてフライホイール26に、移動可能に接続される。好ましくは、ピットマンアーム12は、回転するように、旋回するようになど、フライホイール26に対し移動可能である。ピットマンアーム12は、また、近位端部30にて移動ダイ112に、移動可能に接続される。
【0022】
好ましくは、図1〜10に示す高精度ねじ転造アセンブリ100は、従来型のねじ転造機械の油膜通路および調節機構を置き換え、取付けフランジ104を含む作業台24上に配置されてもよい。当業者は、取付けフランジ104は、意図する機能を行うために、任意の適切な形状を有してもよいことを理解する。たとえば、取付けフランジ104は、作業台24と高精度ねじ転造アセンブリ100との接続または連結を可能にするまたは容易にするように、ブロック状、板状、円筒状、管状、「L」状などに形成され得る。
【0023】
図1〜4Bに示す一実施形態において、高精度ねじ転造アセンブリ100は、第1ラック102および第1ガイドレール108を含んでもよく、そのそれぞれは、取付けフランジ104および作業台24のうちの1つに係合する。この特定の例における「係合する」という表現は、適用可能な構造に対し、当技術において一般に知られ、理解される任意の接続の形態または様式で、取付けフランジ104および作業台24のうちの1つに接続される第1ラック102および第1ガイドレール108を包含するように、可能な限り広義にとらえられることが当業者には理解される。たとえば、ねじ付きファスナ、プッシュトゥロック(push−to−lock)、オーバセンタ、接着剤、溶接、などの種類のファスナおよび締結システムが、作業台24および/または取付けフランジ104に対する相対移動なしで第1ラック102と第1ガイドレール108とを固定するまたは貼付けするという、意図された機能を達成するために使用されてもよい。
【0024】
移動ダイブロック116は、第2ラック112および第2ガイドレール118を含んでもよく、そのそれぞれは、移動ダイブロック116に係合する。同様に、この特定の例における「係合する」という表現は、適用可能な構造に対し、当技術において一般に知られ、理解される任意の接続の形態または様式で、移動ダイブロック116に接続される第2ラック112および第2ガイドレール118を包含するように、可能な限り広義にとらえられることが当業者には理解される。たとえば、ねじ付きファスナ、プッシュトゥロック、オーバセンタ、接着剤、溶接、などの種類のファスナおよび締結システムがダイブロック116に対する相対移動なしで第2ラック112と第2ガイドレール118とを固定するまたは貼付けするという、意図された機能を達成するために使用されてもよい。
【0025】
好ましくは、第1および第2ラック102、112はそれぞれ、頂部と頂部、または谷部と谷部が所定の第1ピッチP1で離間してずれて配置される一連のラック歯120を含む。
【0026】
第1および第2ガイドレール108、118のそれぞれは、1つは上部に形成され、もう1つは底部に形成される一対の溝114を含み、一対の溝114は、第1および第2直動ベアリング124、126が、非常に小さい遊びまたはスロップの公差で、第1および第2ガイドレール108、118のそれぞれの長手方向軸に沿って自在に移動可能となるように、第1および第2直動ベアリング124、126のそれぞれの再循環転動要素またはボールとの精密な係合を容易にするように構成される。
【0027】
ベアリングアセンブリ122は、第1ガイドレール108に移動可能に接続される第1直動ベアリング124、および第2ガイドレール118に移動可能に接続される第2直動ベアリング126を含んでもよい。当業者は、第1および第2直動ベアリング124、126のそれぞれは、意図する機能を提供するために、必要性または希望に応じて、単一の直動ベアリングまたは複数の直動ベアリングを含んでもよいことを理解する。一実施形態において、第1直動ベアリング124は、一対の直動ベアリングを含んでもよく、それらは共に、第1ガイドレール108に連結されるが、第1ガイドレール108に長手方向に沿って、互いに離間して、または、ずれるような構成で配置され、第2直動ベアリング126は、一対の直動ベアリングを含んでもよく、それらは共に第2ガイドレール118に連結されるが、第2ガイドレール118に長手方向に沿って互いに離間して、または、ずれるような構成で配置される。一実施形態において、ボールは、第1および第2ガイドレール108、118に形成される溝に沿って、第1および第2直動ベアリング124、126内で転動することによって、際限なく再循環される。当業者は、意図する高精度の機能を提供するために、ボールは、たとえば、金属、鋼、ステンレススチール、クロム鋼、工具鋼、セラミック、窒化ケイ素セラミック、酸化アルミニウムセラミック、プラスチック、など任意の適切な材料で構築されてもよいことを理解する。
【0028】
転動要素直動ベアリングは、回転または振動の力が、ガイドレールに一直線に揃う場合、その最も高い寿命性能で動作する。一実施形態において、一対の直動ベアリング124、126に使用により、ベアリングの表面積が倍になり、ねじ転造機械20のピットマンアーム12またはフライホイール26により生み出される垂直力から生じるオフ角の圧力が純粋な直線移動へと分配される。転造動作のすべてのエネルギーは、ピットマンアーム12を通して移動ダイブロック116へと伝達される。いずれの、オフ角の力(または反力)も、ベアリングアセンブリ122により分配される。
【0029】
歯車減速アセンブリ130は、第1および第2直動ベアリング124、126のそれぞれに接続されるプレート132、およびピニオンシャフト135に取り付けられるピニオンギヤ134を含んでもよい。一実施形態において、ピニオンギヤ134は、長手方向に離間した第1および第2直動ベアリングの一対124、126がその両側に配置されるように、プレート132の長手方向軸に沿って中心に配置される。ピニオンギヤ134は、頂部と頂部、または谷部と谷部が所定の第2ピッチP2で離間してずれて配置される複数のギヤ歯136を含む。好ましくは、ギヤ歯136が、ラック歯120と位置合わせされ同期整列して、噛み合い係合するように配置されるように、ピニオンギヤ134は、プレート132から延び、プレート132に、回転可能に接続され、それによって、相対的な望ましい歯車減速が達成されてもよいような、ラックおよびピニオンの配置におけるピニオンのように機能する。ギヤ歯136およびラック歯120のピッチ比(すなわち、P1/P2)を調節することによって、望ましい歯車減速が達成され得る。一実施形態において、二分の一(1/2)の減速比が、先行技術の不利な点を克服するために有利である。ねじ転造機械器の製造速度は、最大で毎分300ストロークを必要とするが、リニアベアリングはこの速度では動作不可能である。しかし、二分の一(1/2)の速度の歯車減速により、第1および第2直動ベアリング124、126の動作速度が、その動作パラメータに対し許容可能な速度である毎分1フィートの範囲に減速される。
【0030】
図5A〜7Bは、本開示の一実施形態に係る高精度ねじ転造アセンブリ100の動作を示す。本開示の高精度ねじ転造アセンブリ100の利点は、移動ダイ140および固定ダイ142により円筒状ブランク200に付与される転造圧力の中心線CLRPが、常に第1および第2直動ベアリング124、126によって支持されるということである。これは、ねじ転造は、円筒状ブランクがダイ140、142に係合すると、各ストロークの開始時点に衝撃圧力を生むため、先行技術に対し重要なことであり、有利であり、著しい発展である。本開示に明記されるこの新開発の一実施形態のさらなる利点は、衝撃圧力が、吸収され、二組の直動ベアリング124、126中に分散されることである(各ベアリングは、定格仕様制限よりもはるかに小さい衝撃荷重を受け得る)。
【0031】
一実施形態において、転造圧力の中心線CLRPは、第1および第2直動ベアリング124、126の、等間隔に離間した、対の直動ベアリングと直動ベアリングとの間に中心に配置されて支持されるピニオンギヤ134と位置合わせされて整列される。
【0032】
図5Aおよび5Bでは、ストロークの始まりまたは開始時点が示され、円筒状ブランク200が移動ダイ140と固定ダイ142との間に導入されている。転造またはストロークの開始時点に、円筒状ブランク200が移動ダイ140および固定ダイ142の先端部に係合し、ピニオンギヤ134の中心軸は、円筒状ブランク200の中心線とほぼ整列している。図5Bは、第1および第2ラック102、112と噛み合い係合しているピニオンギヤ134、ならびにピニオンギヤ134の中心軸と円筒状ブランク200の中心軸との整列の明確な視点を提供するために、第1および第2直動ベアリングが除かれている。本開示によると、フライホイール26および接続されたピットマンアーム12は、直線運動で横切るように移動ダイブロック116を作動させる。
【0033】
図6では、ストロークの中心または中間時点が示され、ロールまたはストロークの中心または中間時点にて、円筒状ブランク200がねじ付きファスナに嵌め込まれるように、円筒状ブランク200が移動ダイ140および固定ダイ142の中央部分に係合し、ピニオンギヤ134の中心線は依然として、円筒状ブランク200の中心線とほぼ整列している。
【0034】
図7Aおよび7Bでは、ストロークの終了時点が示されており、円筒状ブランク200は、移動ダイ140および固定ダイ142の後端部と大まかに整列しており、ねじ転造工程が完了している。ロールまたはストロークの終了時点にて、円筒状ブランク200が移動ダイ140および固定ダイ142の後端部に係合し、ピニオンギヤ134の中心線は依然として、円筒状ブランク200の中心線とほぼ整列している。図7Bは、第1および第2ラック102、112と噛み合い係合しているピニオンギヤ134、ならびにピニオンギヤ134の中心軸と円筒状ブランク200の中心軸との整列の明確な視点を提供するために、第1および第2直動ベアリングが除かれている。
【0035】
本開示による前述の動作は、円筒状ブランク200上の転造圧力または圧縮荷重の中心線CLRPは、第1および第2直動ベアリング124、126の上または内部で中心に揃えられる場合に最もよく取り扱われ、それによって、また、ベアリングの長期の寿命が可能になるため、重要である。(この実施形態においては、設計により、ピニオンギヤ134の中心線と整列する)ベアリングアセンブリ122の中心線および円筒状ブランク200は、転造工程の各ストロークの間中、精密に整列したままであり、それによって、第1および第2直動ベアリング124、126の中間における圧力または荷重が維持される。当業者は、図5A〜7Bに図示される1つの完全なストロークの間、移動ダイ140は、直線距離D1を横切り、直線距離D1は、第1および第2直動ベアリング124、126が横切る直線距離D2の2倍であることを理解する。これは、第1および第2直動ベアリング124、126が示す直線速度は、移動ダイブロック116、第2ラック112および第2ガイド118の直線速度の二分の一である、歯車減速アセンブリ130の構成の結果である。
【0036】
結果として、従来の機器に、高精度ねじ転造アセンブリ100を追加導入する、または従来の機器を高精度ねじ転造アセンブリ100に変換することが可能であり、優れたねじ転造製品を生産する。既存の油膜通路、移動キャリアダイブロック、ピットマンアームピンおよび他の関連の部品を除去または取り外しするためにわずかなファスナがあるだけである。ファスナが除去されると、従来型の油膜通路アセンブリおよび移動キャリアダイブロック全体が除去され得る。本開示の高精度ねじ転造アセンブリ100のアセンブリは、上で説明したように、同じファスナを用いて直接取り付けられてもよく、ピットマンアームおよびピンを再利用する。しかし、ある程度の初期セットアップが必要であり、具体的には、最終および一回調節部が作製されて、移動ダイポケット部144および固定ダイポケット部146が二方向(上下および前後)に平行であることを確実にする。さらに、移動ダイポケット部および固定ダイポケット部144、146の間の距離は、所定の基準に設定される。この基準距離は、固定ダイポケット部および移動ダイポケット部144、146の間で支持される較正ブロックを使用して微調整される。較正ブロックが取り付けられると、固定ダイブロックを作業台24に固定するためのファスナ、ならびに高精度ねじ転造アセンブリ100を取付けフランジ104および/または作業表面24に固定するためのファスナが締められ、位置が固定される。この位置は、確立された較正ブロックを必要ではないが使用することによって、定期的に検証および再確認され得る。高精度ねじ転造アセンブリ100は、統計的に有意なばらつきなしで数百万回以上のストロークを反復可能である所定の基準距離では動作しない。
【0037】
図8〜10は、セットアップとの接続に使用される調節アセンブリ220、および上で説明した初期セットアップおよび較正の後の、特定のねじ形成方法を用いての高精度ねじ転造アセンブリ100の動作を図示する。調節アセンブリ220は、固定ダイブロック106と固定ダイ142との間に配置される一対の固定ボタンブロック222、ならびに移動ダイブロック116と移動ダイ140との間に配置される一対の移動ボタンブロック224およびレシピブロック226を含んでもよい。固定および移動ボタンブロック222、224のそれぞれは、ダイボタン228を受容するように構成される一対の開口部を含んでもよい。ダイボタン228は、固定または移動ボタンブロック222、224のそれぞれの厚さよりも厚い所望の厚さを有してもよく、固定または移動ボタンブロック222、224の厚さよりも、たとえば、千分の一ずつ大きい。たとえば、固定および移動ボタンブロック222、224が0.250”の厚さを有する場合、ダイボタンは、ダイボタン228の厚さを適合または混合させることによって、0.251”、0.252”、0.253”、0.254”、などの厚さを有してもよい。一実施形態において、ダイボタン228は、移動ダイおよび固定ダイ140、142のそれぞれの上部前面、底部前面、上部背面、底部背面を個別に調節することが可能であり、それは、円筒状ブランク200のテーパ、およびねじ型に合わせて調節するために必要である。スペーススレッド(space threads)を作製する場合、移動ダイ140の表面と固定ダイ142の表面は、平行に延びるべきである。しかし、マシンスレッド(machine thread)を製造する場合、移動ダイ140の表面と固定ダイ142の表面は、テーパ状となるべきである。ねじ山形状ごとに独自の方法が存在する。本開示の調節アセンブリ220は、考えられ得るいずれの方法にも適応することができ、移動ダイまたは固定ダイ140、142を取り外すことなく取り替えられ得る。一実施形態において、ダイボタン228は、磁石などによって、一時的に、固定および移動ボタンブロック222、224に取り外し可能に固定される。大きな変更がある場合は、所望の組み合わせが容易に反復され、非熟練労働者に伝達され得るように、方法ブロック226が、ねじのばらつきに適応するために使用される。従来では、油膜通路における自然のばらつきが、ダイポケット部が予測的な調節部を可能にするほどに十分なほど一定であることを可能にしなかったため、これらの調節部のすべては、ねじ付きアクチュエータで作製される。
【0038】
前述の例は、単に説明の目的のために提供されており、決して、本明細書において開示する本発明を制限するものとは解釈されない。本発明を様々な実施形態を参照して説明したが、本明細書において使用されている語は、限定的な語というよりは、記述および説明の語であることが理解される。さらに、本明細書において、特定の手段、材料および実施形態を参照して本発明を説明しているが、本発明は、本明細書においてにおいて開示する特定の例に限定されることを意図しておらず、むしろ、本発明は、添付の請求項の範囲内であるような、すべての機能的に同等の構造、方法および使用法にまで及ぶ。この明細書の教示の利益を有する当業者は、教示への多数の修正に影響を及ぼしてもよく、本発明の範囲および精神からその態様において逸脱することなく変更が加えられてもよい。
【0039】
本発明の開示された実施形態の各種要素の構造または構成物の他の任意の、開示されていない、または付帯的詳細は、要素が、開示したとおりのことを行うために必要とされる特性を備える限り、本発明の利点の達成に重要であるとは考えられない。確かに、機械技術に習熟しているものは、幅広い代替例、構成およびそれらの良好な組み合わせを想到することが可能である。構造の、これらと他の詳細の選択は、本開示の観点から、この分野において初歩的な技能の1つの能力の範囲内であると考えられる。本発明の例証的な実施形態は、実践的で、動作的な構造を開示する目的のために詳細に説明されており、それによって本発明は、有利に実施されてもよい。本明細書で説明した設計は、例示的となるようにのみ意図される。本発明の新しい特性は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の構造的形状に組み込まれてもよい。本発明は、例証的な実施形態を参照して説明した要素を含む、およびその要素から成る実施形態を包含する。本明細書で使用されるすべての通常の語および用語は、特に指示がない限り、The New Shorter Oxford English Dictionary、1993年版に定義される通例の意味を取るべきである。すべての技術的用語は、適切な技術的分野によって確立され、その特定の分野において当業者によって使用される、通例の意味を取る。すべての医療用語は、Stedman’s Medical Dictionary、第27版に定義される意味を取る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10