(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971523
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】除染方法及び除染システム
(51)【国際特許分類】
G21F 9/28 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
G21F9/28 511A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-119861(P2016-119861)
(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-223577(P2017-223577A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592179067
【氏名又は名称】株式会社ガイアート
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】吉留 正一
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−175778(JP,A)
【文献】
特開2002−196097(JP,A)
【文献】
特開平03−221669(JP,A)
【文献】
特開平03−269400(JP,A)
【文献】
米国特許第05302324(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F9/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端を吸入口、他端を吐出口とする貫通路を有する略円筒形状のエジェクター本体と、前記エジェクター本体の側面部において、前記貫通路に連通する少なくとも1つの圧縮空気導入口とを備えたエジェクターを用いて、放射性物質で汚染された除染対象場所を除染する方法であって、
前記除染対象場所から離隔して圧縮空気供給源を設置するとともに、前記除染対象場所から離隔して放射性物質を蓄積するための蓄積手段を設置する工程と、
前記エジェクターの圧縮空気導入口と前記圧縮空気供給源とを流通可能に接続するとともに、前記吐出口と前記蓄積手段とを流通可能に接続する工程と、
前記除染対象場所に対し、前記エジェクターの前記吸入口を臨ませて配置し、前記圧縮空気供給源から前記圧縮空気導入口へ圧縮空気を供給し、前記圧縮空気が流下する方向へ径が縮小されるように前記吐出口に形成されたテーパーによって、圧縮空気導入口側から供給された圧縮空気を前記吐出口側へと流下させる工程と、
前記圧縮空気の供給によって前記放射性物質を前記吸入口から吸引し、吸引した放射性物質を、前記エジェクターの前記吐出口を通じて前記蓄積手段へ送出して前記蓄積手段に蓄積する工程と
を含むことを特徴とする除染方法。
【請求項2】
計測手段が、前記エジェクターの貫通路を通過する吸引された放射性物質の放射線量を計測する工程と、
調整手段が、前記計測手段による計測結果に応じて前記圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の量を調整する工程と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の除染方法。
【請求項3】
前記吸入口には受口部が着脱自在に取付けられ、
前記受口部は、前記吸入口に接続され、前記吐出口側の径よりも小径の取付部と、前記取付部の小径よりも拡開された開口部と、前記開口部の下側において前方に突出されるブレード部とを有し、
前記放射性物質を吸引する工程では、前記放射性物質の量、重さ又は状態に応じて、前記受口部を交換することによって、前記小径及び前記開口部の寸法を変更し、前記除染対象場所において、前記ブレード部により前記放射性物質をすくうようにして前記開口部から吸引する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の除染方法。
【請求項4】
放射性物質で汚染された除染対象場所を除染する除染システムであって、
一端を吸入口、他端を吐出口とする貫通路を有する略円筒形状のエジェクター本体と、前記エジェクター本体の側面部において前記貫通路に連通する少なくとも1つの圧縮空気導入口とを備えたエジェクターと、
前記除染対象場所から離隔して設置された圧縮空気供給源と、
前記除染対象場所から離隔して放射性物質を蓄積するための蓄積手段と、
前記エジェクターの圧縮空気導入口と前記圧縮空気供給源とを流通可能に接続し、前記圧縮空気供給源から前記圧縮空気導入口へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給ホースと、
前記吐出口と前記蓄積手段とを流通可能に接続し、前記圧縮空気の供給によって前記放射性物質を前記吸入口から吸引し、吸引した放射性物質を、前記エジェクターの前記吐出口を通じて前記蓄積手段へ送出して前記蓄積手段に蓄積させる排出用ホースと
を備え、
前記吐出口には、前記圧縮空気が流下する方向へ径が縮小されるようにテーパーが形成され、圧縮空気導入口側から供給された圧縮空気を前記吐出口側へと流下させる
ことを特徴とする除染システム。
【請求項5】
前記エジェクターの貫通路を通過する吸引された放射性物質の放射線量を計測する計測手段と、
前記計測手段による計測結果に応じて前記圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の量を調整する調整手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の除染システム。
【請求項6】
前記吸入口には受口部が着脱自在に取付けられ、
前記受口部は、
前記吸入口に接続され、前記吐出口側の径よりも小径の取付部と、
前記取付部の小径よりも拡開された開口部と、
前記開口部の下側において前方に突出されるブレード部と
を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の除染システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射能で汚染された法面や山林など複雑な地形や狭小な場所など大型の機械の進入が困難な地域の放射性物質を除去する除染方法及び除染システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の事故により、発電所で多量の放射能物質を含む汚染水が発生するとともに、広範囲にわたって放射能が拡散する問題が発生した。原子力発電所や使用済み核燃料の再処理施設で事故が発生すると、セシウム等の放射性物質が大気中に放出されて近隣の田畑が汚染される。土壌に降り注いだ放射性物質は、モニタリングの結果、表面から2〜3cmの部位に90%以上付着することがわかっている。また、表面から5cm以内に100%付着していると考えられている。
【0003】
従来の除染方法としては、表土を重機で5cm程度剥ぎ取り、外部から持ち込んだ土壌と入れ替える方法がある。ところが、作業中に剥ぎ取った土壌が重機から落下したりする等、汚染土壌の除去が不確実となりやすい問題があり、このような方法で除染された田畑で再び作物を作ることには抵抗を感じるものであった。
【0004】
一方、表土を入れ替えることなく除染できる技術が特許文献1,2及び非特許文献1で開示されている。これらの技術は、田畑に水張りして表土と水を攪拌し、その泥水をタンクに汲み上げて凝集剤を加え、放射性物質が付着している土粒を沈殿させて水分を除去する、という方法である。
【0005】
ところで、前記特許文献1,2及び非特許文献1記載の技術では、回収した土粒が厚さ3〜4cm分の表土に相当する量となり、その後の運搬、後処理、保管場所の確保等にコストがかかる問題があった。
【0006】
このような問題に対し、従来では、水中の放射性物質を捕捉できる捕捉材入り網袋で水田を囲い、水中にマイクロバブルを噴出するとともに表土を所定深さに耕耘して土粒に付着している放射性物質を剥離させ、その放射性物質を水とともに捕捉材入り網袋に通過させて、水中の放射性物質を捕捉材で捕捉するという方法が提案されている(例えば、特許文献3)。この特許文献3の方法によれば、除染時の土壌の流出がほとんどなく、放射性廃棄物の運搬や後処理、保管場所の確保等を比較的低コストで実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−50407号公報
【特許文献2】特開2013−117449号公報
【特許文献3】特開2015−049107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、平坦な道路や広場、畑や水田などは比較的除染が容易であるが、法面や山林、狭小な場所等は重機が入り込めないことから、大規模な除染を行うには大人数の人員が必要となるという問題があり、人手による作業では放射性物質に触れてしまう危険性があり安全性に問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、法面や山林などの複雑な地形の場所や狭小な場所等、重機が入り込めないところであっても、少人数で大規模な除染作業が可能な除染方法及び除染システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために、一端を吸入口、他端を吐出口とする貫通路を有する略円筒形状のエジェクター本体と、前記エジェクター本体の側面部において、前記貫通路に連通する少なくとも1つの圧縮空気導入口とを備えたエジェクターを用いて、放射性物質で汚染された除染対象場所を除染する方法であって、
前記除染対象場所から離隔して圧縮空気供給源を設置するとともに、前記除染対象場所から離隔して放射性物質を蓄積するための蓄積手段を設置する工程と、
前記エジェクターの圧縮空気導入口と前記圧縮空気供給源とを流通可能に接続するとともに、前記吐出口と前記蓄積手段とを流通可能に接続する工程と、
前記除染対象場所に対し、前記エジェクターの前記吸入口を臨ませて配置し、前記圧縮空気供給源から前記圧縮空気導入口へ圧縮空気を供給し、
前記圧縮空気が流下する方向へ径が縮小されるように前記吐出口に形成されたテーパーによって、圧縮空気導入口側から供給された圧縮空気を前記吐出口側へと流下させる工程と、
前記圧縮空気の供給によって前記放射性物質を前記吸入口から吸引し、吸引した放射性物質を、前記エジェクターの前記吐出口を通じて前記蓄積手段へ送出して前記蓄積手段に蓄積する工程と
を含むことを特徴とする。
【0011】
他の発明は、放射性物質で汚染された除染対象場所を除染する除染システムであって、
一端を吸入口、他端を吐出口とする貫通路を有する略円筒形状のエジェクター本体と、前記エジェクター本体の側面部において前記貫通路に連通する少なくとも1つの圧縮空気導入口とを備えたエジェクターと、
前記除染対象場所から離隔して設置された圧縮空気供給源と、
前記除染対象場所から離隔して放射性物質を蓄積するための蓄積手段と、
前記エジェクターの圧縮空気導入口と前記圧縮空気供給源とを流通可能に接続し、前記圧縮空気供給源から前記圧縮空気導入口へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給ホースと、
前記吐出口と前記蓄積手段とを流通可能に接続し、前記圧縮空気の供給によって前記放射性物質を前記吸入口から吸引し、吸引した放射性物質を、前記エジェクターの前記吐出口を通じて前記蓄積手段へ送出して前記蓄積手段に蓄積させる排出用ホースと
を備え、
前記吐出口には、
前記圧縮空気が流下する方向へ径が縮小されるようにテーパーが形成され、圧縮空気導入口側から供給された圧縮空気を前記吐出口側へと流下させる
ことを特徴とする。
【0012】
また、上記発明においては、計測手段によって前記エジェクターの貫通路を通過する吸引された放射性物質の放射線量を計測し、調整手段によって前記計測手段による計測結果に応じて前記圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の量を調整するようにしてもよい。
【0013】
さらに、上記発明において、前記吸入口には受口部を着脱自在に取付けるようにしてもよい。この受口部は、前記吸入口に接続され、前記吐出口側の径よりも小径の取付部と、前記取付部の小径よりも拡開された開口部と、前記開口部の下側において前方に突出されるブレード部とを設ける。そして、前記放射性物質を吸引する際には、前記放射性物質の量、重さ又は状態に応じて、前記受口部を交換することによって、前記小径及び前記開口部の寸法を変更し、前記除染対象場所において、前記ブレード部により前記放射性物質をすくうようにして前記開口部から吸引する。
【発明の効果】
【0014】
これらの発明によれば、法面や山林などの複雑な地形の場所や狭小な場所等、重機が入り込めないところであっても、少人数で大規模な除染作業が可能となる。詳述すると、本発明によれば、除染対象場所に吸入口を臨ませて配置させたエジェクターに対して、除染対象場所から離隔されて設置された圧縮空気供給源から圧縮空気を供給することにより、放射性物質をエジェクターの吸入口から吸引する。吸引された放射性物質は、エジェクターの吐出口を通じて、汚染対象場所から離隔されて設置された蓄積手段へ送出されて蓄積される。
【0015】
エジェクター本体は人が携帯できる程度の重量であることから、法面や山林などの複雑な地形の場所に入り込むことができる。これにより、法面や山林などの屋外の他、合材工場のベルトコンベア下回りなどの清掃や側溝の中(ヘドロの回収)など、除染作業で人力作業を必要とされる場所において、エジェクターの吸引によって、対象物に触れることなく、直接回収することができる。
【0016】
このため、本発明によれば、重機が入れない場所や法面などでも少数の人員で作業ができ、直接車上などの収集袋に収集物を収納できるとともに、放射性物質に作業員が直接手を触れずに作業が可能となり安全性を確保できる。
【0017】
具体的には、以下のような効果が得られる。すなわち、コンプレッサー等の圧縮空気供給源から圧縮空気を送ることでエジェクターにより、地面の土や小石、樹木の落ち葉など、固定されていないものを気圧差で吸い込み、同時に送り出して収納袋へ直接収納でき、作業者が収集物に直接手を触れなくても作業が可能となる。
【0018】
また、機械などが使用できない場所でも作業が可能となるうえ、作業員の労力と人数の省力化を図ることができる。また、圧縮空気供給源や蓄積手段を車両上に積載することにより、作業の進行に併せて小刻みに移動しながらの作業が可能となり、種々の地形や状況に応じた作業を行うことができる。現場の状況に応じて、使用する設備の容量を大きくすることで、作業範囲の拡大が可能となる。さらには、エジェクターにより吸引するという簡単な作業が中心となることから、熟練者を必要とせず、作業員の確保が容易となる。
【0019】
なお、吸引作業にあたり、対象物を吸い込む作業であるため、先だって対象物をほぐしておくと作業が容易となる。また、吸い口を取り替えることにより、大きさや形状を変えることによって対象物へ順応できる。
【0020】
また、上記発明において、計測手段によって吸引される放射性物質の放射線量を計測して、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の量を調整するようにした場合には、圧縮空気供給源から離隔してエジェクターが配置されているような状況であっても、除染対象場所における除染作業の進捗に合わせて、吸引力を遠隔的に制御することができる。
【0021】
さらに、上記発明において、吸入口には受口部を着脱自在に取付けて、除染対象場所における放射性物質の量、重さ又は状態に応じて、受口部を適宜交換するようにしてもよい。
【0022】
このとき、前記除染対象場所において、前記ブレード部により前記放射性物質をすくうようにして前記開口部から吸引することにより、容易に表層の汚染物質のみ、例えば表土や枯葉などを吸引することができ、作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る除染システムの全体構成を示す説明図である。
【
図2】実施形態に係る除染システムに用いられるエジェクターを上面から見た全体の断面図である。
【
図3】(a)は、実施形態に係る除染システムに用いられるエジェクターの吸入口を側面から見た断面図であり、(b)は吸入口の上面図である。
【
図4】実施形態に係る蓄積手段を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る除染方法の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る除染システム1の全体構成を示す説明図である。
図2は、本実施形態に係る除染システムに用いられるエジェクターの説明図であり、
図3は、実施形態に係る蓄積手段を示す斜視図である。
【0025】
(除染システムの構成)
図1に示すように、除染システム1は、作業員2がエジェクター3を用いて、放射性物質で汚染された除染対象場所4を除染するシステムである。除染対象場所4は、ここでは法面や山林を例に説明するが、例えば、合材工場におけるベルトコンベア下回りなど、屋内の清掃や、側溝中のヘドロの回収など狭小な場所など、様々な場所に本発明を適用することができる。
【0026】
(1)エジェクター3
エジェクター3は、
図2に示すように、一端を吸入口30とし、他端を吐出口32とする貫通路33を有する略円筒形状のエジェクター本体37と、エジェクター本体37の側部において貫通路33に連通する少なくとも1つの圧縮空気導入口34,34とを備えている。
【0027】
エジェクター3は、
図2に示すように、略円筒形状のエジェクター本体37の一端を吸入口30、他端を吐出口32としており、吸入口30側の側面部には一対の圧縮空気導入口34,34が開口されている。エジェクター本体37は、吸入口30側よりエジェクター本体37内部へ嵌入した内管37aを有しており、内管37aの先端部が圧縮空気導入口11が開口された位置よりも吐出口32側に位置するような長さとしている。
【0028】
このエジェクター3の圧縮空気導入口34,34へ圧縮空気が供給されると、圧縮空気は、図中の矢印で示すように、テーパー32aが形成された吐出口32側へと流下していく際に加速されていき、吐出口32より勢いよく排出用ホース52へと送出される。これによって、エジェクター本体37の吸入口30側に嵌入した内管37a内部には大きな負圧が生じるため、吸入口30側にあるものは吸引されて吐出口32より圧縮空気と共に勢いよく吐出される。なお、本実施例のエジェクター3では圧縮空気導入口34,34が一対備わったものを採用しているが、圧縮空気導入口34,34は1つだけであっても、或いはそれ以上であっても同様の機能を発揮することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、エジェクター3の貫通路33を通過する吸引された放射性物質の放射線量を計測する計測手段として線量計38が設けられており、この線量計38による計測結果に応じて、コンプレッサー6から供給される圧縮空気の量が調整されるようになっている。
【0030】
さらに、本実施形態における吸入口30には受口部31が着脱自在に取付けられるようになっている。この受口部31には、吸入口30に接続されて吐出口32側の径よりも小径の取付部31aと、取付部31aの小径よりも拡開された開口部31bと、開口部31bの下側においてに突出されるブレード部31cとが設けられている。そして、放射性物質を吸引する際には、放射性物質の量、重さ又は状態に応じて、受口部31を適宜交換することによって、取付部31aの径及び開口部31bの寸法を変更し、除染対象場所4において、ブレード部31cにより放射性物質をすくうようにして開口部31bから吸引する。
【0031】
(2)コンプレッサー6
コンプレッサー6は、エアホース62を介してエジェクター3の圧縮空気導入口34,34へ圧縮空気の供給を行う圧縮空気供給源である。ここでは、除染対象場所4から離隔して停車されたトラック60上に載置され、移動可能に設けられている。エアホース62は、エジェクター3の圧縮空気導入口34,34とコンプレッサー6とを流通可能に接続し、コンプレッサー6から圧縮空気導入口34,34へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給ホースである。このエアホース62の途中にはボールバルブ等の開閉弁62aを介在させており、エジェクター3への圧縮空気の供給、非供給を制御している。
【0032】
なお、このコンプレッサー6は、エジェクター3側の線量計38による計測結果を無線又は有線の通信手段により受信可能となっており、エジェクター3側で吸引された放射性物質の放射線量に応じて供給する圧縮空気の量を調整するようになっている。
【0033】
(3)収集袋5
収集袋5は、除染対象場所4から離隔して設置され、排出用ホース52を介してエジェクター3から送出される放射性物質を蓄積するための蓄積手段であり、本実施形態では、除染対象場所4から離隔して停車されたトラック60上に載置され、移動可能に設けられる。収集袋5は、本実施形態では、
図4に示すように、ビニール、ポリエステル等で形成された袋体であり、開口5aを通じて内部中空と外部とが連通されている。この開口5aには排出用ホース52が接続される。排出用ホース52は、吐出口32と収集袋5とを流通可能に接続し、圧縮空気の供給によって放射性物質を吸入口30から吸引し、吸引した放射性物質を、エジェクター3の吐出口32を通じて収集袋5へ送出して蓄積させるホースである。
【0034】
(除染方法の手順)
以上の構成を有する除染システムを動作させることによって、本発明の除染方法を実施することができる。
図5は、実施形態に係る除染方法の手順を示すフロー図である。
【0035】
図5に示すように、先ず、エジェクター3の圧縮空気導入口34,34とコンプレッサー6とを流通可能に接続するとともに、吐出口32と収集袋5とを流通可能に接続する。そして、エジェクター3を携帯した作業員2を除染対象場所4に配置し、除染対象場所4に対しエジェクター3の吸入口を臨ませるようにする(S101)。これと併せて、除染対象場所4から離隔してコンプレッサー6を設置するとともに、除染対象場所4から離隔して放射性物質を蓄積するための収集袋5を設置する。
【0036】
次いで、除染対象場所4に対し、エジェクター3の吸入口30を臨ませて配置した後、コンプレッサー6を始動させて、コンプレッサー6から圧縮空気導入口34,34へ圧縮空気を供給する(S102)。これにより、エジェクター3内に気圧差で吸い込み(S104)、同時に送り出して収集袋5へ送出する(S105)。なお、吸引作業にあたり、この際、対象物を吸い込む作業であるため、先だって対象物をほぐしておくと作業が容易となる。
【0037】
この放射性物質を吸引する際には、ブレード部31cにより放射性物質をすくうようにして開口部31bから吸引する。このとき、この除染対象場所4における放射性物質の量、重さ又は状態に応じて、
図3に示すように、受口部31の高さh、幅w、長さlや、取付部31aの径φの寸法が異なるアタッチメントを、対象物の重量や形状、対象場所の状況に応じて交換することが好ましい。これによって、現場毎にことなる汚染物質の状態に順応できる。
【0038】
そして、吸入口30から吸引した放射性物質を、エジェクター3の吐出口32を通じて収集袋5へ送出して収集袋5に蓄積する(S106)。次いで、その領域の除染が終了した後、作業員、又は必要に応じて車両を移動し(S108)、次の除染対象場所にエジェクター3を臨ませ、全ての領域の除染が完了するまで作業を進める(S107)。
【0039】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、エジェクター本体は人員が携帯できる程度の重量であることから、法面や山林などの屋外の他、合材工場のベルトコンベア下回りの清掃や側溝の中(ヘドロの回収)など、除染作業で人力作業を必要とされる場所でエジェクターの吸引によって対象物に触れることなく、直接回収することができる。
【0040】
このため、本実施形態によれば、重機が入れない場所でも少数の人員で作業ができ、直接車上などの収集袋に収集物を収納できるとともに、放射性物質に作業員が直接手を触れずに作業が可能となり安全性を確保できる。
【0041】
詳述すると以下のような効果が得られる。すなわち、コンプレッサー6から圧縮空気を送ることでエジェクター3により、地面の土や小石、樹木の落ち葉など、固定されていないものを気圧差で吸い込み、同時に送り出して収集袋5へ直接収納でき、作業者が収集物に直接手を触れなくても作業が可能となる。
【0042】
また、機械などが使用できない場所でも作業が可能となるうえ、作業員の労力と人数の省力化を図ることができる。また、コンプレッサー6や収集袋5を車両上に積載することにより、作業の進行に併せて小刻みに移動しながらの作業が可能となり、種々の地形や状況に応じた作業を行うことができる。現場の状況に応じて、使用する設備の容量を大きくすることで、作業範囲の拡大が可能となる。さらには、エジェクターにより吸引するという簡単な作業が中心となることから、熟練者を必要とせず、作業員の確保が容易となる。
【符号の説明】
【0043】
1…除染システム
2…作業員
3…エジェクター
3…エジェクター
4…除染対象場所
5…収集袋
5a…開口
6…コンプレッサー
11…圧縮空気導入口
30…吸入口
31…受口
31a…取付部
32…吐出口
32a…テーパー
33…貫通路
34,34…圧縮空気導入口
37…エジェクター本体
37a…内管
52…排出用ホース
60…トラック
62…エアホース
62a…開閉弁